JP4234566B2 - 藻場を形成するための海草類種苗生産方法および海草類基盤ユニット。 - Google Patents

藻場を形成するための海草類種苗生産方法および海草類基盤ユニット。 Download PDF

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この発明は、アマモ類等の海草類の種苗生産システムに関するものである。
沿岸域の河口や内湾の砂泥底などに見られるアマモ場を代表とする海草藻場(以下、藻場という)は、多様な生物相を形成するとともに、高い生物生産力、水質浄化、親水等様々な機能を有する空間である。
しかし、近年の海水汚濁の影響や開発行為により藻場の消失傾向が続いている。これらの消滅した藻場を復活させるため、海草類の増・移植が必要とされ、各地で種子を播種する方法(播種法)、健全な藻場から採取した草体を移植する方法(移植法)、種子を固定化した基盤の設置等が試みられているが、安定した藻場を短期間でつくる技術は未だ確立されていない。
前記移植に関しては当該海域以外からの草体を苗(栄養株)として持ち込み移植することが多く、地域における海草類の遺伝子レベルでの生態系撹乱(多様性の破壊)という側面をも有している。そこで、当該海域の生殖株から採集した種子を基に、これを確実に種苗として増殖させることが生態系の保全の面からも必要な技術である。
このように、沿岸域の海草類(特にアマモ類:アマモ、タチアマモ、オオアマモ、コアマモ等)の増殖には、種子を直接播種する方法が望ましいが、潮流や波浪により種子が流失してしまい、藻場の形成が難しく、その対策としては下記特許文献等の発案がある。
特公平7−40839号公報(アマモ場の造成方法とその方法に用いる播種基体) 特開2001―169611号公報(アマモ場の造成に用いる播種基体) 特開平11−308904号公報(播種シートおよび人工藻場造成用播種シート)
前記特許文献1は、早期腐食性の繊維と難腐食性または非腐食性の繊維とで交織されたネット状の布帛によって、早期腐食性繊維が腐食した後の布帛の目合いが腐食前の布帛の目合いの2倍以上となるように、袋体を形成し、この袋体にアマモの種子を含む生育基盤材を充填して播種基体を形成し、さらに、この播種基体を水底に沈降敷設することを内容とする。
特許文献2は、腐食性材料よりなるネット状袋体に、アマモの種子を含む生育基盤材と石とを混合したものを充填するか、または前記生育基盤材と石とをそれぞれ区分して充填してあり、さらに、発芽してきたアマモの芽が当該ネット状袋体から外部に出現可能なように前記ネット状袋体を一定の厚みに規制する手段を設けてあることを内容とする。
特許文献3は、生分解性樹脂よりなり、且つ、2〜50%の開孔率を有するシート状物に、湿潤生物活性を有する種子を、生分解性を有する固着剤と共に配設させた播種シートであることを内容とする。
このように特許文献1〜3は、柔らかい素材に海草類種子を入れて海底に敷く方法である。
前記特許文献1〜3のような袋やシートなどの平面的な柔らかい網状構造体としての基盤では、アマモ類のように地下茎を用いた繁殖生態をする海草類にはふさわしくない形状である。すなわち、網状構造体の場合では種子の発芽までは有効であるが、潮流により構造体が揺動しやすく、構造体上に底質(砂)が堆積し難い点と、地下茎の伸長は、その形成様式から構造体の内部でなく、上部に這う点とが観察されていることによる。
これより、基盤上にアマモ類の地下茎が露出をすることにより、地下茎自身が波力を受けることで抵抗が大きくなり、基盤内に入り込んだひげ根等の根系がちぎれ、草体自身が地下茎ごとはがれ、流されてしまう結果となる。
なお、長期間海底上にマットやコンクリート材料の基盤を敷くことにより、基盤下部の底質が還元層となり、嫌気化するために、生態系を変えてしまう問題もある。
また、藻場の形成の難しさは、海草類種子の発芽方法や入手困難性も要因となっている。前記特許文献1〜3およびその他の文献において、使用する種子は、一般的に採取後一定の保存期間を経て用いられるが、播種時に発芽にとって最適な処理を施す手法は採られていない。
例えば自然海域でのアマモ(zostera marina L1.)の種子の発芽率は1%未満と言われており、室内試験でも発芽までには1カ月以上の期間を要し、その発芽率は30%程度であり、精度が高く、安定性・信頼性のある海草類種子の発芽方法の開発が望まれている。
発芽までに日数が仮に40〜50日かかると、それだけ、潮流による種子の流失や食害・腐敗の可能性が高いことになる。特にアマモの種子を播種する時期である冬季には季節風による波浪が起きやすく、種子や幼苗が流される確率も高いことから、安定した藻場を短期間に造成するには、発芽方法の開発が必要とされている。
一般にアマモ類等の海草類種子は自然の海域で採集するしかない。藻場の形成にあたり、その不足分を他の海域で採集した種子で補うことも考えられるが、採種時期は限られており、海草類種苗の量産に必要な種子が得られないこともある。また、アマモ類等の海草類は海域により遺伝的多様性を有しており、これを人為的に攪乱し、破壊することは避けなければならない。同一種であっても海域によって発芽や生長に適する時期あるいは温度や塩分等の環境条件が必ずしも一様でないことから、さまざまな海域産の種子が混在するとその発芽・生長にかかる管理はきわめて困難となる。従って、安定した藻場を短期間に造成するために、海草類種苗の量産は難しいのが現状であり、その解決が望まれている。
近年、アマモ場の修復、復元を目的とする試験・研究が数多く行われているが、実際のアマモ場造成を考えた場合、現在までに種子を播種する方法、健全な藻場から採取した草体を移植する方法、種子を固定化した基盤の設置等が試みられているものの、多くは種子の流失や発芽不良、二次的な環境破壊を招くという指摘があり、安定した藻場を短期間で造成する技術は確立されていない。
また、移植に関しては当該海域以外からの苗を持ち込み移植することが多く、地域における海草類の遺伝子レベルでの生態系攪乱という側面も有しており、当該海域の生殖株から採取した種子を基に、これを確実に種苗として増殖させることが生態系の保全の面からも必要な技術であることは明らかである。
この発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、効率の良い、安定した海草類種苗の生産が一度に大量に行うことができ、実海域に基盤ユニットごとの移植ができる藻場を形成するための海草類種苗生産方法および海草類基盤ユニットを提供することにある。
この発明は前記目的を達成するため、藻場を形成するための海草類種苗生産方法としては、弟1に、海草類の地上部および地下部が伸長可能な空隙を有する網構造扁平箱形で、下部にフランジ状の突出部を設けた生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うこと、第2に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子を塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、この種子と底質とを海草類の地上部および地下部が伸長可能な空隙を有する網構造扁平箱形で、下部にフランジ状の突出部を設けた生分解性樹脂製容器内に配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うことを要旨とするものである。
第3に、上部に柵片を立ち上げた植栽容器状の生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うこと、第4に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子を塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、この種子と底質とを上部に柵片を立ち上げた植栽容器状の生分解性樹脂製容器内に配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うことを要旨とするものである。
海草類基盤ユニットとしては、第1に、海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うための海草類基盤ユニットであって、海草類の地上部および地下部が伸長可能な空隙を有する網構造扁平箱形で、下部にフランジ状の突出部を設けた生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設したこと、第2に、海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うための海草類基盤ユニットであって、上部に柵片を立ち上げた植栽容器状の生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設したこと、第3に、基盤ユニットは、生分解性樹脂製容器と、該容器内に配置した生分解性シートとで構成され、前記シートは前記容器より速く分解されるものであり、このシートの内側に海草類種子と底質とを配設したこと、第4に、基盤ユニット内に鉄含有物を配置することを要旨とするものである。
この発明によれば、発芽→育苗→海域(藻場)設置に至るまでの藻場造成の工程を1つの、すなわち基盤ユニットを用いて行うものであり、一定期間保存した種子を用いることにより、採種時期に限定されずに、海草類の種苗を生産することができる。また、一定量の種子を蓄積・貯蔵しておくことができるので、他海域産の種子を導入する必要がなく、海草類の遺伝子レベルでの生態系攪乱や多様性破壊を回避することができる。
また、底質に、所定の温度・塩分濃度下で一定期間保存した種子を播き、播種後、低濃度塩水または淡水によって発芽促進処理を行うことで、発芽に日数が従来の一ヵ月以上から1〜10日間に短縮され、発芽率もほぼ80%以上に達することができる。そして、塩分(濃度)・温度(水温)・光量・流速を適正な値に変化させ、発芽から育苗までを適切に管理することで、斉一な発芽揃いおよび育苗が確保され、基盤ユニット単位での成苗率の歩留まりを向上することができる。
さらに、基盤ユニットを使用することで、基盤中の種子に物理的外力をほとんど加えずに、発芽体(種苗)の設置ができる。
しかも、基盤ユニットを扁平箱形というパレット形の薄型基盤形状とすれば、種子を配設(播種)した状態で、縦に積み重ねることができ、スペースを取らないものとすることができ、基盤ユニット中の層構造により底質(砂)の流動が少なく、基盤ユニットごとの種子の発芽から育苗に至るまでの管理が大変楽なものとなる。
また、水中での養生が楽で、塩分・温度が一定となるように調整した水槽システムヘの組み込みが容易にでき、発芽促進や生長コントロールに適する。
発芽・生長に最適な塩分・温度・光量についてデータベース化された制御プログラムにより、種苗生産の安定化と大量生産化を図ることができる。
現場海域へ移植する際も、苗を1本1本手植えする必要は無く、基盤ユニットごと設置すればよく、ユニット式でコンパクト・軽量のため作業の軽減と経費の低コスト化とを図ることができる。
生分解性樹脂製容器の内側に敷設する生分解性シートは、生分解性樹脂製容器を網構造のものとした場合にその孔部から基盤ユニット中の底質が流出するのを防ぐ。そして、種子が発芽し、根系が基盤ユニット外までに伸長する頃(60日目〜80日目頃)に生分解性シートは分解するので、基盤ユニットから外に根がさらに伸長するのを阻害しない。従来の袋状・マット状基盤では、袋の中の底質に根が広がるため、根腐れすることがあった。
また、生分解性樹脂製容器とその内側に敷設する生分解性シートは、相互に異なる2種類以上の分解速度の違う生分解性材料を用いることで種子に影響を与えずに、基盤ユニット内の種子の固定、基盤形状の保持をできる。
さらに、生分解性樹脂製容器を構成する生分解性のプラスチック樹脂材料は、6ヵ月〜1年程度で分解される。海草は根および地下茎を伸長させ、約1年で藻場として底質を安定化させる。その時点で基盤ユニットの役割はなくなるため、分解することで環境への負荷が低減する。
これに加えて、生分解性樹脂製容器は、剛性を有し、潮流による揺動も少ないので、底質(砂)が容器上に堆積しやすい。また、生分解性樹脂製容器は、海草類の地上部および地下部が伸長可能な空隙を有するので、海草類は、基盤内外の底質に自由に地下茎を伸長させることが出来るため、草体の安定性が確保でき、従来の網状構造による基盤にあるように、地下茎が露出して水流の抵抗を受けて流されることはない。
さらに、生分解性樹脂製容器の下部に突出部を設けることで、海底に埋設設置した際に、洗掘されるのを防止できる。
また、基盤内に、比重の高い鉄を含む鉄含有物として、例えば鉄鋼スラグを配置することで、底質の嫌気化による硫化水素等の発生を抑制し、基盤内の底質を改善・安定化させることができる。この場合でも、アマモ種子の発芽、種苗の生長を阻害しないし、また、二次的な汚染もない。
以上述べたようにこの発明の藻場を形成するための海草類種苗生産方法および海草類基盤ユニットは、効率の良い、安定した海草類種苗の生産が一度に大量に行うことができ、実海域に基盤ユニットごとの移植ができるものであり、基盤ユニットごと早期に確実に発芽・育苗することが可能で、軽量のため海域(藻場)への搬送が楽であり、海域設置後の波浪や潮流による種子または種苗が流失しにくいものである。また、基盤ユニットは、種子の流失を防ぐために短期間で分解する生分解性材料で種や底質を保持すると共に、初期の幼苗の流失を防ぐために長期間で分解する生分解性のプラスチック樹脂材料で構成されるので、藻場の形成が確実に可能とするものである。
以下、図面について発明の実施の形態を詳細に説明する。図1はこの発明の藻場を形成するための海草類種苗生産方法および海草類基盤ユニットの1実施形態を示すブロック図、図2はそのシステムに使用する海草類基盤ユニットの説明図である。この発明のシステムでは、海草類データベースの取得・解析により海草類の亜寒帯〜亜熱帯域にまで分布する幅広い地域特性による海草類の生育環境の違いや異種間での生理生態特性の変化にも対応可能であり、安定した種苗生産を実現するものである。
さらに、この発明によるシステムの特徴として、発芽→育苗→海域(藻場)設置に至るまでの藻場造成の工程を1つのすなわち同一の基盤ユニットを用いて効率的に行う点があげられる。
本発明の基盤ユニットは、生分解性樹脂製容器1の単独とするか、もしくはこの生分解性樹脂製容器1と、該生分解性樹脂製容器1内に敷設した生分解性シート2との組み合わせからなる。
生分解性樹脂製容器1は、6ヵ月〜1年程度で分解する生分解性のプラスチック樹脂材料からなり、その形状や構造は特に限定されない。
一例として、図3にも示すように、海草類の地下系や根系の伸長を妨げない空隙を持つ厚み数センチの網構造扁平箱形(いわゆるパレット形)のものとすることができる。図示例の容器1は上面開口の本体1aとこの開口面を覆う蓋1bとからなり、厚み30mm程度で、5mmメッシュの網構造を有する。なお、蓋1bは省略可能である。生分解性シート2は、不織布状やメッシュ状等とすることができる。
第2の実施形態として図9に示すように、生分解性樹脂製容器1の下部にフランジ状の突出部5を設けるようにしてもよい。
前記生分解性のプラスチック樹脂材料には種々のものの選択が可能であるが、微生物により自然分解し、最終的には水と二酸化炭素(炭酸ガス)になるものであればよく、例えば、ヒドロキシブチレートとバリレートとの共重合体(PHB/V)、セルロース、微生物多糖等の微生物系、ポリ乳酸、一段直接重合ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ−γ−メチルグルタメート、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)、脂肪族ポリエステル(コハク酸とブタンジオール/エチレングリコールとのポリエステル)等の化学合成系、キトサンとセルロースとの混合物、デンプン+PCLのアロイ、デンプン+添加剤等の天然物利用系からなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合物である。
生分解性樹脂製容器1は、図3のようにパレット形の薄型基盤形状とすると、種子を配設(播種)した状態で、縦に積み重ねることができる。
生分解性樹脂製容器1の内側に、生分解性シート2を敷設し、その内側に底質3を配設する。底質3としては、例えば1mm以下の粒子の砂(約70〜90容積%)と、パーク堆肥(約10〜30容積%)との混合物とすることができる。パーク堆肥の混合により低質3の気相率と栄養分とが向上する。パーク堆肥に代えて腐葉土等を用いてもよい。この生分解性シート2を構成する材料は、数週間で生分解するものが好ましく、生分解性樹脂製容器1を形成する生分解性のプラスチック樹脂材料は前述の通り約6ヵ月〜1年で生分解するものが好ましい。
図示は省略するが、生分解性シート2を敷設せずに底質3を、生分解性樹脂製容器1内に配置するようにしてもよい。また、前記底質3に対して比重の高い鉄を含む鉄含有物として、例えば鉄鋼スラグを5〜30容積%加えること、または、薄層状として生分解性樹脂製容器1内の底部等に併設することなどが可能である。
前記底質3には、所定の温度・塩分濃度下で一定期間、例えば温度20℃・塩分33psuで2ヵ月以上保存して登熟させたアマモ種子(海草類種子)4を播く。なお、種子4の保存手法には各種あるが、基本的に種を採集した現場海域の水温・塩分(濃度)で保存するのが良いことが試験により明らかになっている。播種後、低濃度塩水(塩分10psu未満)または淡水によって発芽促進処理(プライミング処理)を24〜144時間、好ましくは24〜72時間行う。
前記アマモ種子(海草類種子)4を底質3中に播く際に、種子4の深度(播種深さ)を一定にし、種子4の底質3中での安定を図るために前記生分解性シート2でアマモ種子4を支承する、または、挟み込むようにしてもよい。
図10、図11は生分解性樹脂製容器1の第3、第4の実施形態を示すもので、前記地上部および地下部が伸長可能な空隙を有する生分解性樹脂製容器1に代えて、植栽容器、例えばポット状の容器またはコンテナ状の容器としてもよい。容器1の本体1aの上部には波浪対策や種子4の流失防止の柵片1cをスリット間隔を存して並列に立ち上げ、そのスリット間隔から、あるいは柵片1cを押し倒しながら地下茎6が容器1の外側に伸長する。柵片1cの部分以外の本体1aは、図示例のように海底に埋設する。海底から突出する柵片1cは、長さ5〜10mm程度となるように調整する。また本体1aには、根腐れ防止のため、細孔を適宜穿つことが好ましい。
この図10、図11に示す生分解性樹脂製容器1内に、生分解性シート2を敷設せずに底質3を配置するようにしてもよいことは前記実施形態と同じである。
前記播種後の発芽促進処理(プライミング処理)は、低濃度塩水または淡水に基盤ユニットを一定時間浸漬する方法、または基盤ユニットに一定時間シャワーする方法がある。
また、播種前に発芽促進処理することも可能である。すなわち、所定の温度・塩分濃度下で一定期間保存した海草類種子4を低濃度塩水または淡水によって発芽促進処理した後、この種子4と底質3とを生分解性樹脂製容器1内に配設して基盤ユニットとする。
アマモ種子4について、図7には塩分による発芽率(温度20℃)を、図8には水温と発芽(発芽率50%)までの日数の関係(塩分0psu)をそれぞれ示す。
次いで、図4に示すように、発芽から育苗までを人工的に管理する。この管理は、発芽・育苗に最適な塩分(濃度)・温度(水温)・光量・流速について海草類データベースに基づいた制御プログラムにより、自動的に適正な値に変化させるので、基盤ユニットは移動せずに発芽から育苗までを適切にかつ容易に行うことができる。なお、発芽から育苗までの管理は、図4の実施形態に限定されるものではない。
図5は前記塩分(濃度)・温度(水温)・光量・流速の各制御の一例であり、このようなデータベースに基づいた制御の検証結果として、図6にアマモ草体の草丈を示す。
ここで、図7および図8の結果を得るために行った発芽試験方法について説明する。
下記表1の条件下において24well細胞培養用マルチウエルプレート平底の各穴に3粒ずつアマモ種子4を入れて恒温器内に静置した。換水は週1回行い、種子4の発芽の有無の観察は初日〜11日目までは毎日実施し、それ以降は週1回とした。本試験における発芽の定義は、種子4の外皮が割れたものを発生段階とした。試験期間は、発芽率の再現性や種子採取地域等毎の保存条件の同一性について確認するため複数に分けて設けるのが好ましく、本例では表2に示す通り2回に分けて実施した。
Figure 0004234566
Figure 0004234566
このような発芽試験方法により、海草類種子4の発芽率を的確にかつ用意に把握することができる。また、本発明のシステムにおいて、所定の温度・塩分濃度下で一定期間保存した海草類種子4を基盤ユニットに配設する前に、種子4の一部分について、下記内容の発芽試験マニュアルに準拠して発芽率の検定を行うことが好ましい。
[海草類種子の発芽試験(発芽検定)マニュアル]
(材料)
保存種子60粒、マルチウエルプレート(12ホール)、滅菌蒸留水
(方法)
(1) 保存種子をマルチウエルプレート(12ホール)に5粒ずつ計60粒いれる。
(2) 各穴に滅菌蒸留水を4cc入れる。
(3) 20℃(暗所)にて静置する。
(観察及び管理)
(1) 毎日(できれば)観察を行い、発芽をチェックする。発芽は種皮が割れた段階とする。
(2) 水替は最低週2回行う。また週に1回プレートを新品に交換する。
(3) 発芽種子は、発芽した段階で取り出す。(発芽種子は、淡水では腐敗しやすいため)
この発芽試験マニュアルによれば、海水中でなければ保存できないアマモ類等の海草類の種子4は、保存期間や保存状態により、性状が変わりやすく、種子4の発芽率を的確に判断することはできなかったが、保存種子4の発芽率を短期間(1週間程度)で把握できる。また、アマモ類等の海草類の種子4は、実際に底質(砂)3中でなければ発芽しないとされていたため、今までは発芽まで1ヵ月以上かかったが、これを大幅に短縮できる。さらに毒物試験(種子発芽への化学物質・環境ホルモン等の発芽阻害要因の影響)を短期間で評価できる。
この発明の藻場を形成するための海草類種苗生産方法および海草類基盤ユニットの1実施形態を示すブロック図である。 この発明の藻場を形成するための海草類種苗生産方法で使用する基盤ユニットの説明図である。 この発明の藻場を形成するための海草類種苗生産方法で使用する生分解性樹脂製容器の第1の実施形態を示す斜視図である。 この発明の藻場を形成するための海草類種苗生産方法の1実施形態を示すシステム概要説明図である。 システム制御の各制御項目の制御内容を示すグラフである。 システム制御の検証結果としてのアマモ草体の生長を示すグラフである。 アマモ種子の塩分による発芽率を示すグラフである。 アマモ種子の水温と発芽までの日数との関係を示すグラフである。 生分解性樹脂製容器の第2の実施形態を示す斜視図である。 生分解性樹脂製容器の第3の実施形態を示す斜視図である。 生分解性樹脂製容器の第4の実施形態を示す斜視図である。
符号の説明
1…生分解性樹脂製容器
1a…本体
1b…蓋
1c…柵片
2…生分解性シート
3…底質
4…アマモ種子(海草類種子)
5…突出部
6…地下茎
7…種

Claims (8)

  1. 海草類の地上部および地下部が伸長可能な空隙を有する網構造扁平箱形で、下部にフランジ状の突出部を設けた生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うことを特徴とする藻場を形成するための海草類種苗生産方法
  2. 採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子を塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、この種子と底質とを海草類の地上部および地下部が伸長可能な空隙を有する網構造扁平箱形で、下部にフランジ状の突出部を設けた生分解性樹脂製容器内に配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うことを特徴とする藻場を形成するための海草類種苗生産方法
  3. 上部に柵片を立ち上げた植栽容器状の生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うことを特徴とする藻場を形成するための海草類種苗生産方法
  4. 採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子を塩分10psu未満の低濃度塩水または淡水によって24〜144時間発芽促進処理した後、この種子と底質とを上部に柵片を立ち上げた植栽容器状の生分解性樹脂製容器内に配設して基盤ユニットとし、この基盤ユニットを海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うことを特徴とする藻場を形成するための海草類種苗生産方法
  5. 海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うための海草類基盤ユニットであって、海草類の地上部および地下部が伸長可能な空隙を有する網構造扁平箱形で、下部にフランジ状の突出部を設けた生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設したことを特徴とする海草類基盤ユニット。
  6. 海草類の発芽・育苗に適した環境条件下で管理し、生育した海草類を基盤ユニットごと藻場に設置するまでの工程を同一の基盤ユニットで行うための海草類基盤ユニットであって、上部に柵片を立ち上げた植栽容器状の生分解性樹脂製容器内に、採集した現場海域の水温・塩分濃度で保存して登熟させた海草類種子と底質とを配設したことを特徴とする海草類基盤ユニット。
  7. 基盤ユニットは、生分解性樹脂製容器と、該容器内に配置した生分解性シートとで構成され、前記シートは前記容器より速く分解されるものであり、このシートの内側に海草類種子と底質とを配設したことを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかに記載の海草類基盤ユニット。
  8. 基盤ユニット内に鉄含有物を配置する請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の海草類基盤ユニット
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