JP4234319B2 - 前立腺腫瘍ポリヌクレオチドおよび抗原組成物 - Google Patents
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Description
(発明の分野)
本発明は、前立腺腫瘍に由来する新規のコード配列およびペプチド、ならびにこのような腫瘍細胞の存在を検出するための方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
前立腺ガンは、合衆国において、毎年、約250,000人の男性が罹患するガンの一形態であり、アメリカ人において最も高い頻度のガンの1つである。これはまた、この国における男性のガンに関連する死亡の第2の主要な原因でもある。前立腺ガンの5年間の生存率は、数十年にわたって一般的には改善されてきているが、進行した転移性形態の疾患の処置は、有意には改善されていない。
【0003】
それゆえ、前立腺ガンの早期の検出および処置が、この疾患のさらなる蔓延および死亡率を防ぐための、最も有効な処置の1つであるままである。悪性腫瘍の特徴である多数のタンパク質抗原が見出されているが、前立腺腫瘍は、この疾患の検出および/または免疫療法(例えば、受動免疫療法による)に使用され得る標的抗原の特に豊富な供給源ではなかった。
【0004】
それゆえ、前立腺ガンの早期検出において使用され得る1つ以上の疾患特異的分子または抗原を提供することが有用である。本発明は、前立腺ガンの診断および処置の両方に有用である新規なヌクレオチド配列および対応する発現された抗原を提供する。
【0005】
(発明の要旨)
1つの局面によって、本発明は、単離された核酸分子に関し、この分子は、RNAまたはDNAの任意の形態であり得、特に、診断用検出法の分野で有用である。本明細書中に記載される核酸分子は、前立腺腫瘍組織サンプルにおけるそれらの独自の存在に基づいて同定された。それゆえ、この分子は、前立腺腫瘍細胞の、組織または体液サンプル中での存在を検出することにおいて有用性を有する。
【0006】
1つの実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8、および配列番号14からなる群より選択される配列と配列粗同一性を有する領域を含むか、またはこのようなコード核酸配列に相補的である。
【0007】
別の実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシー条件下で、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8、および配列番号14からなる群より選択される配列、またはそれらの相補体にハイブリダイズする。
【0008】
一般的には、好ましい局面によって、このポリヌクレオチドは、約10キロベース長未満である。なおさらなる局面において、本発明は、言及されたポリヌクレオチドを含む。本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドのフラグメントを含む。なお別の関連する局面において、本発明は、前述の核酸配列の翻訳によって形成されるRNA分子を包含する。
【0009】
この単離された核酸配列は、3つのpCR2.1プラスミドベクター(Invitrogen, San Diego, CA)のcDNAインサートを含み得る。全長SP1−4(配列番号14)配列を共に構成する3つのクローンは、pCR2.1/SP1−4(5’RACE、配列番号27)、pCR2.1/SP1−4(3’RACE、配列番号28)、およびpCT2.1/SP1−4(配列番号29)と命名される。およその長さのプラスミドインサートは、それぞれ、1700、3850、および350塩基対である。ATCC98828、98829、および98827として1998年8月6日に寄託されたベクターは、配列番号15をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0010】
別の実施態様において、本発明は、前立腺腫瘍抗原をコードするDNAを含むベクターを提供する。このようなベクターを含む宿主細胞もまた提供される。例として、この宿主細胞は、CHO細胞、E.coli、昆虫細胞、または酵母であり得る。前立腺腫瘍抗原を産生するためのプロセスがさらに提供され、そしてこのプロセスは、前立腺腫瘍抗原の発現に適切な条件下で宿主細胞を培養する工程、およびこの前立腺腫瘍高原を細胞培養物から回収する工程を含む。
【0011】
本発明の一部に有用かつそれを形成するものはまた、前立腺腫瘍抗原をコードするDNAを含む単離された核酸分子である。1つの局面において、この単離された核酸は、配列番号9〜11および15からなる群より選択されたアミノ酸配列を有する前立腺腫瘍抗原をコードするDNAを含むか、またはこのようなコード核酸配列に相補的であり、そして少なくとも穏和な条件下および必要に応じて高ストリンジェンシー条件下でそれへの安定な結合が残存する。このようなペプチドは、診断用アッセイ、ならびに抗原組成物(例えば、体液性または細胞性免疫応答を誘発するのに使用するためのペプチドワクチン)における有用性を有する。
【0012】
本発明はさらに、異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合した、前立腺腫瘍抗原またはその細胞外ドメインを含むキメラ分子を提供する。このようなキメラ分子の例は、抗原の免疫原性特性を増強する異種ポリペプチドに融合した前立腺腫瘍抗原を含む。
【0013】
本発明はまた、前立腺腫瘍抗原のフラグメントを含む。
【0014】
本発明のさらなる局面は、前立腺腫瘍抗原またはその細胞外ドメインに特異的に結合する1つ以上の抗体である。必要に応じて、この抗体は、モノクローナル抗体である。なお別の局面において、本発明は、前立腺腫瘍抗原に特異的な抗体を含む。この抗体は、特に前立腺関連悪性疾患の処置における、診断用および治療用の用途を有する。処置方法は、前立腺腫瘍抗原の発現を調節するためのアンチセンスまたはコード配列ポリヌクレオチドを使用するものを含むがこれらに限定されず、同様に前立腺腫瘍抗原に特異的な抗体を使用する処置方法である。
【0015】
特定の組織サンプル中の前立腺腫瘍抗原を検出するため、および組織中の前立腺腫瘍抗原の発現のレベルを検出するための診断方法もまた、本発明の一部を形成する。
【0016】
さらに、上記に言及されたポリヌクレオチドは、種々の核酸に基づく検出アッセイにおいて特定の有用性を有する。例示的なアッセイは、インサイチュハイブリダイゼーションアッセイおよびPCRに基づくアッセイを含む。
【0017】
本発明はまた、個体における前立腺腫瘍関連状態を診断するための方法を提供する。第1の個体由来の組織中の前立腺腫瘍抗原の存在が測定され、そして第2の罹患していない個体由来の組織と比較される。前立腺腫瘍抗原が、この第1の個体から検出されそしてこの第2の個体からは検出されない場合、この第1の固体は、前立腺腫瘍関連状態の危険性がある。
【0018】
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、本発明の以下の詳細な説明が、添付の図面と組み合わされて読まれる場合、より完全に明らかになる。
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明は、前立腺腫瘍組織サンプルにおけるこのような配列の優先的な発現によって明らかなように、前立腺腫瘍に独自の新規なヌクレオチド配列に関する。これらの配列(配列改変体およびその伸張された配列を含む)は、腫瘍細胞の存在を検出するための、体液または生検組織の診断用アッセイにおける有用性を有する。このようなDNA分子によって発現されるタンパク質およびペプチドはまた、本発明によって包含され、そして診断用アッセイ、ならびに免疫療法(例えば、腫瘍細胞に特異的に標的される抗体の使用)を含む疾患介入のための薬理学的ストラテジーの開発において使用され得る。
【0020】
(I.定義)
本明細書中で使用される用語「ポリペプチド」とは、ペプチド結合によって連結されるアミノ酸残基の一本鎖を形成する化合物をいう。本明細書中で使用される用語「タンパク質」は、用語「ポリペプチド」と同義であり得るか、またはさらに、2つ以上のポリペプチドの複合体をいい得る。
【0021】
アミノ酸残基は、本明細書中では、それらの標準的な一文字記号で示される:A、アラニン;C、システイン;D、アスパラギン酸;E、グルタミン酸;F、フェニルアラニン;G、グリシン;H、ヒスチジン;I、イソロイシン;K、リジン;L、ロイシン;M、メチオニン;N、アスパラギン;P、プロリン;Q、グルタミン;Rアルギニン;S、セリン;T、スレオニン;V、バリン;W、トリプトファン;Y、チロシン。
【0022】
本明細書中で使用される用語「前立腺腫瘍抗原」は、ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原およびそのポリペプチド改変体を包含する。この前立腺腫瘍抗原は、種々の供給源(例えば、ヒト組織型または別の供給源)から単離され得るか、または組換え方法もしくは合成方法によって調製され得る。
【0023】
「ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原」は、天然由来の前立腺腫瘍抗原と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。このようなネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原は、天然から単離され得るか、または組換え手段もしくは合成手段によって産生され得る。用語「ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原」は、具体的に、前立腺腫瘍抗原の天然に存在する短縮型もしくは分泌型形態(例えば、例えば細胞外ドメイン配列を含む可溶性形態)、天然に存在する改変体形態(例えば、代わりにスプライスされた形態)、および前立腺腫瘍抗原の天然に存在する対立遺伝子改変体を包含する。
【0024】
本明細書中で同定されたアミノ酸配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、もし必要であれば、配列を整列させ、そしてギャップを誘導して最大割合配列同一性を達成した後に、ネイティブ配列中のアミノ酸残基と同一である候補体配列中のアミノ酸残基の割合として定義され、そして配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮しない。
【0025】
本明細書中で使用される用語「ポリペプチド配列改変体」とは、全長のネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原について、図9A〜Cおよび11(それぞれ、配列番号9〜11および15)に示される推定アミノ酸配列を有する前立腺腫瘍抗原と、少なくとも約80%アミノ酸配列同一性を有する、活性な前立腺腫瘍抗原をいう。このような前立腺腫瘍抗原改変体は、例えば、1つ以上のアミノ酸残基が、図9A〜Cおよび11(それぞれ、配列番号9〜11および15)のいずれか1つに示される配列のN末端またはC末端で、付加または欠失されるポリペプチドを含む。
【0026】
前立腺腫瘍抗原をいう場合、用語「フラグメント」とは、前立腺腫瘍抗原と同じ生物学的機能または活性を本質的に保持するか、または前立腺腫瘍抗原の機能または活性の少なくとも1つを保持するかのいずれかの前立腺腫瘍抗原のアミノ酸配列の一部(全体ではない)と同じであるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する;例えば、レセプターに結合する能力を保持するフラグメント、または前立腺腫瘍抗原の免疫学的活性を保持するフラグメント。このフラグメントは、好ましくは、前立腺腫瘍抗原の少なくとも約100〜200の連続するアミノ酸残基、より好ましくは、少なくとも約20〜100の連続するアミノ酸残基、なおより好ましくは、少なくとも約10〜20の連続するアミノ酸残基、および最も好ましくは、前立腺腫瘍抗原の少なくとも約9〜10の連続するアミノ酸残基を含む。
【0027】
本明細書中で開示される種々のポリペプチドを記載するために使用される場合「単離された」はまた、その天然の環境の成分から分離および/または回収された、同定されたポリペプチドを意味する。
【0028】
本明細書中の目的のために、「生物学的に活性」または「生物学的活性」は、ネイティブの前立腺腫瘍抗原または天然に存在する前立腺腫瘍抗原の生物学的および/または免疫学的活性を保持する前立腺腫瘍抗原の形態をいう。
【0029】
本明細書中で使用される用語「核酸」は、DNAもしくはRNAのいずれか、またはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方を含む分子をいう。この核酸は、ゲノムmRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、およびセンスおよびアンチセンス核酸を含むオリゴヌクレオチドを含む。用語「核酸」もまた、本発明のポリヌクレオチドのフラグメント、好ましくは少なくとも約300〜600ヌクレオチド長、より好ましくは約150〜300ヌクレオチド長、なおより好ましくは約30〜150ヌクレオチド長、および最も好ましくは約27〜30ヌクレオチド長を含む。このような核酸はまた、生理学的環境おいてこのような分子の安定性および半減期を増加するために、リボース−リン酸塩骨格における改変を含み得る。
【0030】
この核酸は、二本鎖、一本鎖であり得るか、または二本鎖配列もしくは一本鎖は配列の両方の一部を含み得る。一本鎖の記述はまた、他の鎖の配列を定義し、従ってまた、この配列の相補体を含み得る。
【0031】
本明細書中で使用される用語「ポリヌクレオチド」は、代表的なポリヌクレオチドに水素結合し得る塩基を支持する骨格を有するポリマー分子をいい、ここでこのポリマー骨格は、ポリマー分子と代表的なポリヌクレオチド(例えば、一本鎖DNA)との間の配列特異的様式におけるこのような水素結合を許容する様式で塩基を示す。このような塩基は、代表的には、イノシン、アデノシン、グアノシン、シトシン、ウラシル、およびチミジンである。ポリマー分子は、二本鎖および一本鎖のリボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)を含み、そしてこのようなメチルホスホネート結合の骨格修飾を有するポリマーを含み得る。
【0032】
本明細書中で使用される用語「組換え核酸」は、一般的には、エンドヌクレアーゼによる核酸の操作によって、天然には通常見出されない形態で、インビトロで本来形成される核酸をいう。
【0033】
核酸サブユニットは、本明細書中で、これらの標準的な塩基命名法によって称される;T、チミン;A、アデノシン;C、シトシン;G、グアニン;U、ウラシル;可変性の部位は、標準的なIUPAC略号によって称される:W、AまたはT/U;R、AまたはG;S、CまたはG;K:GまたはT/U(37CFR.§1.822)。
【0034】
本明細書中で同定される前立腺腫瘍抗原配列に関して「パーセント(%)核酸配列同一性」は、もし必要であれば、配列を整列しそしてギャップを誘導して、最大割合配列同一性をした後に、開示された前立腺腫瘍抗原配列中のヌクレオチドと同一である候補体配列中のヌクレオチドの割合として定義される。パーセント核酸配列同一性を決定する目的のための整列は、例えば、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピューターソフトウェアを用いて、当該技術分野内の種々の方法で達成され得る。当業者は、整列を測定するための適切なパラメーターを決定し得、この方法には、比較される配列の長さにわたって最大整列を達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムが含まれる。
【0035】
用語「ベクター」とは、新たな核酸を同化し得、そして適切な宿主中でこれらの新規な配列を増殖し得るヌクレオチド配列をいう。ベクターは、組換えプラスミドおよびウイルスを含むがこれらに限定されない。本発明の核酸を含むベクター(例えば、プラスミドまたは組換えウイルス)は、キャリア、例えば、タンパク質に複合体化するプラスミド、脂質ベースの核酸形質導入系と複合体化するプラスミド、または他の非ウイルスキャリア系であり得る。
【0036】
用語「制御配列」とは、特定の宿主生物中で作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列をいう。原核生物に適切な制御配列は、例えば、プロモーター、必要に応じてオペレーター配列、およびリボソーム結合部位を含む。真核生物細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが公知である。
【0037】
用語「ポリメラーゼ連鎖反応」および「PCR」は、1つ以上の特定の核酸配列を増幅するプロセスをいい、ここで(i)増幅される配列の末端を決定するオリゴヌクレオチドプライマーは、試験サンプル中の一本鎖核酸にアニールされ、(ii)核酸ポリメラーゼは、アニールされたプライマーの3’末端を伸張して、プライマーがアニールされた核酸に配列中で相補的な核酸鎖を作成し、(iii)得られた二本鎖核酸が変性されて、2つの一本鎖核酸を生じ、そして(iv)プライマーのアニーリング、プライマーの伸張、および産物変性のプロセスが、プライマーによって規定される配列の容易に同定かつ測定される量を生成するのに十分な回数反復される。続くアニーリング、伸張、および変性の工程は、反応容器の温度を、通常は反復する周期性様式で変化させることによって制御される。アニーリングおよび伸張は、代表的には、40〜80℃の間で実施されるのに対し、変性は約80℃と100℃との間の温度を必要とする。「サーマルサイクラー」(例えば、Perkin Elmer Model 9600)が代表的には使用されて、反応を調節する。
【0038】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、そして具体的には、単一の抗前立腺腫瘍抗原モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、および中和抗体を含む)およびポリエピトープ性(polyepitopic)特異性を有する抗前立腺腫瘍抗原抗体組成物を包含する。
【0039】
本明細書中で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に同質な抗体の集団(すなわち、この集団を含む個体の抗体は、少量で存在し得る可能な天然に存在する変異を除いて同一である)から得られる抗体をいう。
【0040】
(II.前立腺腫瘍特異的DNA分子の同定)
前立腺ガン特異的遺伝子は、核酸の2つ以上の供給源の間の遺伝子発現(例えば、一時性の発症、疾患、および/またはマイトジェンの刺激に応答する示差発現)における差異の検出を可能にする、当業者に公知の種々の技術によって単離され得る。
【0041】
「単離された」前立腺腫瘍抗原コード核酸は、本来は会合する少なくとも1つの夾雑物から同定および分離される核酸分子である。単離された前立腺腫瘍抗原コード核酸は、天然に見出される形態または配列とは異なり、そしてそれゆえ、天然細胞に存在するような前立腺腫瘍抗原コード核酸とは区別される。
【0042】
ディファレンシャルディスプレイまたは種々のサブトラクティブ(subtractive)ハイブリダイゼーションストラテジーを用いて、関連する細胞型に由来するmRNAは、特定のmRNA種における定性的および定量的差異を提供するために比較され得る。
【0043】
ディファレンシャルディスプレイ(DD)は、2つの異なる型のプライマーを使用して、異なる画分のmRNAプール構成(constituency)を二本鎖cDNAフラグメントへ変換する。これらのフラグメントは電気泳動的に分離されて、発現プロフィールの「バーコード」を提供する。第1のプライマーは、一般的には、「固定された」プライマーとして称される。ほとんどの固定されたプライマーは、一群の10〜12dTを使用して、mRNAのポリ(A+)テイルとのアニーリングを達成する。第1鎖cDNA合成は、固定されたプライマーを生じ、それにより、転写物の3’末端に固定する。固定されたプライマーは、1つまたは2つのいずれかの非dt塩基を使用して、mRNAプール内のmRNAのサブセットへの固定されたプライマーのアニーリングを達成する。単一の塩基が固定されたプライマーは、3つの異なる画分を生成し、これらは、ポリ(A+)領域のすぐ上流のC、GまたはTのいずれかの存在に対応する。mRNAの存在を10,000〜15,000の異なる種と仮定すると、単一の塩基が固定されたプライマーの各々は、約3,000〜5,000の異なる第1鎖cDNAを生成することが予測される。各々が1塩基順列よりもかなり小さいサブセットのmRNAプールを提示するとともに、ポリ(A+)領域のすぐ上流の12の異なる2塩基対の組み合わせの可能性が存在する。2塩基が固定されたプライマーの各々は、約1/12(8%)のmRNAプール構成、または約800〜1,200の異なる第1鎖cDNAを理論的に選択する。mRNAプールを「抜粋する」ための2つの非dt塩基を使用する固定されたプライマーは、より扱いやすい数のcDNAフラグメントを提供する。
【0044】
第1鎖合成を完了した後、反応物のアリコートは、第2の上流または「任意の」プライマーと組み合わせて本来の固定されたプライマーを用いる、指数(2方向性)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅に供される。任意のプライマーは、固定されたプライマーの上流の部位でアニールして、第1鎖cDNAを1つ以上の短縮されたcDNAフラグメントに変換するように設計される配列を含む。比較されるRNAサンプルは、12の異なるオリゴ(dT)が固定された3’プライマーセットを用いる逆転写反応における、第1鎖cDNA合成のためのテンプレートとして役立つ。次いで、RT反応で産生されたcDNAは、4つの異なる任意の5’プライマーと2つ1組で組み合わせて、RT反応で使用される同じ固定された3’プライマーを用いる、二重DD−PCT反応で使用される。各RNAサンプルは、48のプライマー対の組み合わせによって増幅される。二重DD−PCRサンプルは、高分解能変性ゲルの連続レーンにおいて共にグループ化された同じ固定されたプライマー対および任意のプライマー対を用いて増幅された異なるRNAからのサンプルと共に、隣接するレーンにロードされる。ゲルはオートラジオグラフィーに供され、そして前立腺腫瘍由来サンプルに現れるが、コントロールサンプル(例えば、正常な前立腺組織またはHeLa細胞サンプル)には現れないバンドは、さらなるプロセシングのために選択される。第IV節は、本発明の支持において実施された実験に使用される実験手順の詳細を提供する。
【0045】
実施例1に記載のされるように、前立腺腫瘍由来組織からのRNAが、正常な前立腺組織またはHeLa細胞サンプルからのRNAと比較された場合、54の独自のDD産物が同定された。対応するバンドがゲルから切り出され、PCRによって再増幅され、ゲル精製され、そして5’末端が、サイクル配列決定によるDNA配列決定に供される。
【0046】
サブトラクティブハイブリダイゼーションに続く、サブトラクションに続いて得られる配列の1回以上のPCR増幅は、例えば、正常な健常組織ではない疾患状態、またはある組織型であるが別の組織型ではない組織で優先的に発現される核酸を単離するために有用である。
【0047】
実施例3A〜Bに記載されるように、前立腺腫瘍特異的な部分的cDNA配列は、cDNA末端の迅速な増幅によって同定された対応する全長配列と共に、単一の遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、サブトラクティブハイブリダイゼーションストラテジーおよびPCR増幅を用いて同定された(RACE,Frohmanら、Proc.Natl.Acad.Sci. 85:8998−9002(1988))。
【0048】
この配列は、実施例2において議論されるように、公開されたデータバンクと比較され、そして本明細書中に配列番号1〜4および6〜8として示された8つの新規なmRNA/CDNAが、サブトラクティブハイブリダイゼーションによって得られた、SP1−4と称されるさらなる配列(配列番号14)を用いるディファレンシャルディスプレイ法によって得られた。ディファレンシャルディスプレイ法によって得られた配列の1つ(配列番号5)はさらに、実施例2に記載される方法によって、チオレドキシンレダクターゼとのいくらかの程度の相同性を有することが見い出された。
【0049】
(A.前立腺腫瘍特異的DNA配列改変体およびペプチドの同定)
本発明は、本明細書中に言及される特定の配列を有するDNA分子に加えて、配列改変体、伸張された配列、およびこのような配列に由来するペプチドを包含する。この節は、どのようにして、これらの種々の分子が本発明によって同定されるかを記載する。
【0050】
(1.DNA配列改変体)
a.配列同一性および特異的ハイブリダイゼーション。「改変体」ポリヌクレオチド配列は、参照ポリペプチド配列由来の1つ以上のアミノ酸によって変更される「改変体」アミノ酸配列をコードする。
【0051】
配列改変体は、配列番号1〜8および14のいずれか1つの核酸配列と、それぞれ、少なくとも約80%の核酸配列同一性、好ましくは少なくとも約85%の核酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の核酸配列同一性、およびなおより好ましくは少なくとも約95〜98%の核酸配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0052】
前立腺腫瘍抗原をコードする核酸の文脈における配列同一性は、比較される2つの配列の対応する位置での同一の核酸を意味する。配列比較は、IIB節で以下に記載される、当該分野で公知の標準的な技術を用いて実施される。
【0053】
配列の類似性を評価するために代替的に使用され得る配列同一性の機能的基準は、特定のヌクレオチド分子の、規定された条件下で第2のヌクレオチドとハイブリダイズする能力である。「ハイブリダイゼーション」は、核酸の鎖が塩基対形成を通じて相補鎖を結合する任意のプロセスを含む。従って、厳密に言えば、この用語は、試験配列の相補体の試験配列に結合する能力、またはその逆の能力をいう。
【0054】
核酸類似性は、ハイブリダイゼーション研究を通じて決定され得る。従って、例えば、高ストリンジェンシー下で図1〜8および14に示される核酸配列またはそれらの相補体にハイブリダイズする核酸は、前立腺腫瘍抗原遺伝子とみなされる。高ストリンジェンシー条件は、当該分野で公知である;このような条件の例は、約65℃にて約5×SSPE中でのハイブリダイゼーションおよび約65℃にて約0.1×SSPE中での洗浄条件を含む。Maniatisら、MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL、第2版(1989)、およびAusubel,F.M.ら編、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley&Sons,Inc.、Current Protocolsによる著作権(c)1987,1988,1989,1990を参照のこと(これらの両方を、本明細書中において参考として援用する)。
【0055】
ハイブリダイゼーション条件は、核酸結合複合体またはプローブの融解温度(Tm)に基づき、そして代表的には、その条件下でハイブリダイゼーションが測定される条件の「ストリンジェンシー」の程度によって分類される(Ausubelら、1990)。例えば、「最高ストリンジェンシー」は、代表的には、約Tm−5℃(5%はプローブのTm未満)で生じる;約5〜10℃での「高ストリンジェンシー」はTm未満である;約10〜20℃での「中間ストリンジェンシー」は、プローブのTm未満である;そして約20〜25℃での「低ストリンジェンシー」はTm未満である。機能的には、最高ストリンジェンシー条件は、ハイブリダイゼーションプローブとの厳密な同一性またはほぼ厳密な同一性を有する配列を同定するために使用され得る;一方、高ストリンジェンシー条件は、プローブと約80%以上の配列同一性を有する配列を同定するために使用される。
【0056】
(2.遺伝コードの縮重)
配列改変体はまた、本明細書中に記載される腫瘍特異的核酸分子によってコードされるのと同じペプチドをコードする核酸分子を含む。従って、種々の同定された核酸分子のコードフレームが、例えば、以下のBまたはC部に記載されるように、公知の遺伝子に対する相同性または配列の伸張によって公知である場合、遺伝コードの縮重の結果として、多数のコード配列が産生され得ることが認識される。例えば、トリプレットCGTは、アミノ酸のアルギニンをコードする。アルギニンは、CGA、CGC、CGG、AGA、およびAGGによって代替的にコードされる。それゆえ、コード領域におけるこのような置換が、本発明によって包含される配列改変体内にあることが理解される。任意および全てのこれらの配列改変体は、同定された親配列の配列番号1〜8について本明細書中に記載されるのと同じ方法で利用され得る。
【0057】
このような配列改変体は、高ストリンジェンシー条件下で、親配列にハイブリダイズしてもしなくても良いことがさらに理解される。このことは、例えば、配列改変体が親ヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の各々についての異なるコドンを含む場合にあり得る。それにも関わらず、このような改変体は、本発明によって具体的に意図され、かつ包含される。本発明によって、このような縮重に由来する配列改変体と少なくとも80%同一である配列もまた包含される。
【0058】
ヌクレオチド配列改変体は、好ましくは、中程度に高いかまたは高いストリンジェンシーの条件下で、本明細書中に言及されるヌクレオチド配列にハイブリダイズし得るが、いくつかの場合において、上記のような、コードの縮重に基づいて改変体を用いる利点が存在する。例えば、コドンは、特定の宿主生物によって検出される最適コドンの使用頻度に従って、ペプチドの発現が特定の原核生物または真核生物に生じる割合を増加するために選択され得る。あるいは、言及された配列によって産生されるmRNAよりも長い半減期を有するRNAを産生することが所望され得る。
【0059】
(3.伸長されたポリヌクレオチド配列)
本明細書中に引用されるポリヌクレオチド配列は、プロモーターおよび調節エレメントのような上流の配列を検出するために、当該分野で公知の種々の方法を使用して伸長され得る。例えば、「制限部位」ポリメラーゼ連鎖反応は、既知の配列に隣接する未知の配列を回収するためにユニバーサルプライマーを使用する、直接的な方法である。最初に、ゲノムDNAが、リンカー配列に対して指向されるプライマー、および既知の領域に特異的なプライマーの存在下で増幅される。増幅された配列は、同じリンカープライマーおよび最初のプライマーの内部にある別の特異的プライマーでの次の回のPCRに供される。各回のPCRの産物は、適切なRNAポリメラーゼを用いて転写され、そして逆転写酵素を使用して配列決定される。
【0060】
同様に、「逆(inverse)PCR」として公知の方法が、既知の領域に基づく拡散(divergent)プライマーを使用して配列を増幅または伸長するために使用され得る。プライマーは、標準的なプライマー分析ソフトウェア(例えば、GeneWorks(Oxford Biomolecular Systems,CA))を使用して、少なくとも15ntの長さであり、50%以上のGC含量を有し、そして約68〜72℃の温度で標的配列にアニーリングするように設計され得る。この方法は、遺伝子の既知の領域中に適切なフラグメントを生成するための、いくつかの制限酵素の使用を必要とする。次いで、フラグメントは連結によって環状にされ、そしてPCR鋳型として使用される。あるいは、隣接する配列および全長の配列、および特に、イントロン/エキソン連結部が、キット(例えば、「PROMOTER−FINDER」(Clonetech Labs,Palo Alto,CA))を使用して同定され得る。このキットは、PCR,ネスティッドプライマー、およびゲノムDNA中での歩行のための特異的ライブラリーを使用する。
【0061】
全長のcDNAのスクリーニングのための好ましいライブラリーは、より大きなcDNAを含むように大きさが選択されているライブラリーである。ランダムにプライムされたライブラリーが好ましい。なぜなら、これらは、遺伝子の5’および上流領域を含有するさらなる配列を含むからである。ゲノムライブラリーは、5’非翻訳調節領域への伸長に有用である。好ましくは、このようなライブラリーは、目的の腫瘍細胞(例えば、本明細書中で説明される前立腺腫瘍細胞)から生成される。
【0062】
本発明に従って同定された全長の配列の大きさおよび配列の分析は、当該分野で公知の標準的な方法(例えば、自動配列決定法,ゲルでの大きさの分析、およびキャピラリー電気泳動)によって行われ得る。
【0063】
全長の配列が同定されている場合、全長の配列のさらなる領域がハイブリダイゼーションプローブを作製するため、および/または本発明に従う腫瘍検出試薬を作製するために使用され得ることが理解される。詳細には、部分配列または全長の配列の知見は、被験体配列が他の種または組織(特に、腫瘍組織)において相同性を有し得るかどうかを決定するために、広範に入手可能なデータベースの検索を可能にする。現在の配列に基づく相同性の例が、本明細書中で実施例2に示される。
【0064】
全長の配列はまた、ベクター中に挿入される組換え核酸を構築するため、および以下のD部において議論されるような、コードされるポリペプチドを発現させるために、使用され得る。
【0065】
一旦、組換え核酸が作製され、そして宿主細胞または生物中に再導入されると、それが宿主細胞の細胞性機構を使用して非組換え的に複製され、そしてこのような(一旦、組換え的に産生されたが、しかし続いて非組換え的に複製された)核酸が、本発明の目的についてなお考慮される組換え体であることが、理解される。
【0066】
(4.ポリペプチド改変体)
本発明の1つの実施態様において、ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原は、図11(配列番号15)のアミノ酸1から1095を含む、成熟または全長のネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原である。本発明の別の実施態様において、ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原は、全長の前立腺腫瘍抗原の細胞外ドメインである。必要に応じて、前立腺腫瘍抗原は、1998年8月6日にATCC 98828、98829、および98827として寄託された、ベクターpCR2.1/SP1−4(5’RACE、配列番号27)、pCR2.1/SP1−4(3’RACE、配列番号28)、およびpCT2.1/SP1−4(配列番号29)のcDNA挿入物によってコードされるポリペプチドを発現させることによって得られるか、または入手可能である。
【0067】
通常は、前立腺腫瘍抗原改変体は、図9A〜Cおよび図11(それぞれ、配列番号9〜11、および15)のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、そしてなおより好ましくは少なくとも約95〜98%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0068】
前立腺腫瘍抗原の状況における配列類似性は、好ましい同一性を有する配列類似性または同一性を意味する。この状況における同一は、比較される2つの配列中の対応する部位での同一のアミノ酸を意味する。この状況における類似性は、同一であるアミノ酸および類似である(機能的に等価である)アミノ酸を含む。この類似性または同一性は、当該分野で公知の標準的な技術(例えば、Devereuxら、Nucl.Acid Res.12:387−395(1984)によって記載されている「Best Fit」配列プログラム、BLASTPまたはBLASTXプログラム(Altshulら、Methods in Enzymology 266:460−480(1990)、Nucl.Acids Res.25:3389−3402(1997)))を使用して、好ましくは、デフォルト設定を使用して決定される。アラインメントは、整列される配列中のギャップの導入を含み得る。さらに、関連するネイティブタンパク質よりも多いかまたは少ないかのいずれかであるアミノ酸を含む配列について、類似性の割合は、アミノ酸の総数に対する類似または同一のアミノ酸の数に基づいて決定される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の範囲内である種々の方法において、例えば、デフォルトパラメーターを用いてLALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して、達成され得る。LALIGNプログラムは、配列比較プログラムのFASTAバージョン1.7(Pearsonら、1988;Pearson、1990;William R.Pearson,Department of Biological Chemistry,Box 440、Jordan Hall、Charlottesville,VAより入手可能なプログラム)において見出される。
【0069】
当業者は、比較される配列にわたる最大のアラインメントを達成するために必要とされるアルゴリズム(例えば、「Best Fit」または「BLASTX」)を選択することを含む、アルゴリズムを測定するための適切なパラメーターを決定し得る(Pearsonら、Methods in Enzymol.266:227−258(1996)もまた参照のこと)。
【0070】
本発明の前立腺腫瘍抗原の定義には、アミノ酸配列改変体もまた含まれる。これらの改変体は、以下の3つのクラスの1つ以上に入る:置換改変体、挿入改変体、または欠失改変体。これらの改変体は、通常は、カセット変異誘発もしくはPCR変異誘発、または当該分野で周知の他の技術を使用して、前立腺腫瘍抗原をコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的変異誘発によって、改変体をコードするDNAを産生し、その後組換え細胞培養物中でDNAを発現させるために調製される。しかし、約100〜150残基までを有する改変体前立腺腫瘍抗原フラグメントは、確立された技術を使用してインビトロでの合成によって調製され得る。アミノ酸配列改変体は、変動の予め決定された性質、天然に存在する対立遺伝子または前立腺腫瘍抗原のアミノ酸配列の種間変動からそれらを区別する様に設定した特性によって特徴付けられる。この改変体は、代表的には、天然に存在するアナログとして同じ性質の生物学的活性を示すが、以下により完全に概説されるような改変された特徴を有する改変体もまた、選択され得る。
【0071】
「置換」は、それぞれ異なるヌクレオチドまたはアミノ酸による、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の置換によって生じる。
【0072】
「挿入」または「付加」は、天然に存在する配列と比較した場合に、それぞれ、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の付加を生じる、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列における変化である。
【0073】
「欠失」は、それぞれ、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が不在である、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列のいずれかにおける変化として定義される。
【0074】
アミノ酸配列の変動を導入するための部位または領域は予め決定されるが、変化はそれ自体は、予め決定されている必要はない。例えば、所定の部位での変異の実行を最適化するために、ランダムな変異誘発が、標的のコドンまたは領域で行われ得、そして発現された前立腺腫瘍抗原改変体が、所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングされ得る。既知の配列を有するDNA中の予め決定された部位で置換を作製するための技術は周知であり、例えば、M13プライマー変異誘発およびPCR変異誘発である。変異体のスクリーニングは、PCRによって直接行われ得るか、または改変された配列の発現後に、前立腺腫瘍抗原についてのアッセイを使用して、例えば、抗体検出研究が行われ得る。
【0075】
アミノ酸置換は、代表的には、単一の残基である;挿入は、通常は、約1から20アミノ酸までの程度であるが、かなり大きな挿入が許容され得る。欠失は、約1から約20残基までの範囲であるが、いくつかの例においては、欠失は、さらに大きいものであり得る。
【0076】
置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせが、最終的な誘導体で到達するために使用され得る。一般的には、これらの変化は、分子の変更を最小にするために少数のアミノ酸に対して行われる。しかし、より大きな変化が、特定の状況において許容され得る。
【0077】
アミノ酸置換は、類似の構造および/または化学的特性を有する別のアミノ酸での1つのアミノ酸の置き換え(例えば、セリンでのロイシンの置換)、すなわち、保存的アミノ酸置換の結果であり得る。挿入または欠失は、必要に応じて、1個から5個までの範囲のアミノ酸においてであり得る。
【0078】
生物学的活性の維持とともに許容される変動は、配列中にアミノ酸の挿入、欠失、または置換を系統立ててに作製すること、および得られる改変体を活性について試験することによって決定され得る。遺伝子の発現は、免疫学的方法(例えば、細胞または組織切片の免疫組織化学的染色、および細胞培養物または体液のアッセイ)によって、遺伝子産物の発現を直接定量するために測定され得る。免疫組織化学的染色および/または組織もしくは体液のサンプルのアッセイのために有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかであり得、そして天然の前立腺腫瘍抗原である、本明細書中で提供されるDNA配列に基づく合成ペプチドに対して、または前立腺腫瘍特異的抗体エピトープを含む異種融合タンパク質に対して調製され得る。抗体に基づくアッセイにおいて診断的有用性を有する例示的な前立腺ガン抗原として、前立腺特異的抗原(PSA、米国特許第5,710,007号;同第5,614,372号、同第5,672,480号など)、前立腺特異的膜抗原(PSMA、米国特許第5,538,866号)、およびヒト前立腺カリクレイン(HK−2、米国特許第5,516,639号)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者によって慣用的に使用される種々の異なる技術に基づく多くの診断アッセイが、これらの分子について開発されている。
【0079】
前立腺腫瘍抗原の特徴における小さな変更が所望される場合は、置換は一般的には、既知の「保存的置換」に従って作製される。
【0080】
「保存的置換」は、同じクラス中のアミノ酸による1つのクラス中のアミノ酸の置換をいう。ここで、クラスは、共通の物理化学的アミノ酸側鎖特性、および天然に見出される相同タンパク質における高い置換頻度(例えば、標準的なDayhoff頻度交換マトリックスまたはBLOSUMマトリックスによって決定されるような)によって定義される。上記のように分類される6つの一般的なアミノ酸側鎖のクラスとして、以下が挙げられる:クラスI(Cys);クラスII(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラスIII(Asn、Asp、Gln、Glu);クラスIV(His、Arg、Lys);クラスV(Ile、Leu、Val、Met);およびクラスVI(Phe、Tyr、Trp)。例えば、別のクラスIII残基(例えば、Asn、Gln、またはGlu)でのAspの置換は保存的置換である。
【0081】
「非保存的置換」は、別のクラスに由来するアミノ酸での1つのクラスのアミノ酸の置換をいう;例えば、Ala(クラスII残基)のクラスIII残基(例えば、Asp、Asn、Glu、またはGln)での置換。
【0082】
機能性または免疫学的同一性における実質的な変更は、「非保存的置換」である置換を選択することによって行われる。例えば、以下により、有意に影響を与える置換が作製され得る;変更の領域中のポリペプチド骨格の構造(例えば、αへリックスまたはβシート構造)、標的部位での分子の電荷もしくは疎水性、または側鎖の大きさ(bulk)。ポリペプチドの特性において最大の変化を生じることが一般的に予想される置換は、(a)親水性残基(例えば、セリルまたはスレオニル)が疎水性残基(例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、またはアラニル)で(またはそれによって)置換される、置換;(b)システインまたはプロリンが、任意の他の残基で(またはそれによって)置換される、置換;(c)電気的陽性の側鎖を有する残基(例えば、リジル、アルギニル、またはヒスチジル)が電気的陰性の残基(例えば、グルタミルまたはアスパルチル)で(またはそれによって)置換される、置換;あるいは(d)大きな側鎖を有する残基(例えば、フェニルアラニン)がそのような側鎖を有さない残基(例えば、グリシン)で(またはそれによって)置換される、置換である。
【0083】
前立腺腫瘍抗原改変体は、代表的には同質の生物学的活性を示し、そして天然に存在するアナログと同じ免疫応答を誘発するが、改変体はまた、必要とされる場合には、前立腺腫瘍抗原の特徴を改変するように選択される。例えば、グリコシル化部位、およびより詳細には、1つ以上のO−結合型またはN−結合型グリコシル化部位が変更され得るか、または除去され得る。アミノ酸の変化が、前立腺腫瘍抗原の翻訳後のプロセシングを変更し得る(例えば、グリコシル化部位の数もしくは位置を変化させるか、または膜固定化特性を変更する)ことが、当業者に明らかである。
【0084】
変動は、オリゴヌクレオチド媒介性の(部位特異的)変異誘発、アラニンスキャン、およびPCR変異誘発のような当該分野で公知の方法を使用して行われ得る。部位特異的変異誘発(Carterら、Nucl.Acid Res.13:4331(1986);Zollerら、Nucl.Acid Res.10:6487(1987))、カセット変異誘発(Wellsら、Gene 34:315(1985))、制限選択変異誘発(Wellsら、Philos.Trans.R.Soc.London SerA 317:415(1986))、または他の公知の技術が、前立腺腫瘍抗原をコードする改変体DNAを産生するためにクローニングDNAに対して行われ得る。
【0085】
他の関連する前立腺腫瘍抗原タンパク質もまた、前立腺腫瘍抗原タンパク質の定義に含まれる。従って、プローブまたは縮重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列は、他の関連するタンパク質を見出すために使用され得る。有用なプローブまたはプライマー配列は、前立腺腫瘍抗原配列の全てもしくは一部に対して、またはコード領域の外側の配列に対して設計され得る。当該分野で一般的に公知であるように、好ましいPCRプライマーは、約15から約35ヌクレオチドまでの長さであり、好ましくは約20から約30までであり、そして必要である場合は、イノシンを含有し得る。PCR反応の条件は一般的には当該分野で公知である。
【0086】
(B.前立腺腫瘍抗原の改変)
前立腺腫瘍抗原の共有的改変が、本発明の範囲内に含まれる。1つの型の共有的改変として、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの選択された側鎖、またはN−もしくはC−末端残基と反応し得る有機的な誘導化試薬と、前立腺腫瘍抗原の標的化されたアミノ酸残基とを反応させることが挙げられる。二官能性の試薬での誘導体化が、例えば、水不溶性の支持マトリックスまたは表面に対して前立腺腫瘍抗原を架橋させるために有用である。一般的に使用される架橋剤として、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(例えば、4−アジドサリチル酸を有するエステル)、ホモ二官能性イミドエステル(3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)のようなジスクシンイミジルエステルを含む)、二官能性マレイミド(例えば、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタン)、およびメチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートのような薬剤が挙げられる。
【0087】
他の改変として、それぞれ対応するグルタミルおよびアスパルチル残基へのグルタミニルおよびアスパラギニル残基の脱アミド化、プロリンおよびリジンの水酸化、セリルまたはスレオニル残基の水酸基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のアミノ基のメチル化(T.E.Creighton.PROTEINS:STRUCTURE AND MOLECULAR PROPERTIES,W.H.Freeman & Co.,San Francisco、79−86頁(1983))、N末端アミンのアセチル化、および任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
【0088】
本発明の範囲に含まれる前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの共有的改変の別の型として、ポリペプチドの天然のグリコシル化パターンを変更すること、ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原ポリペプチドから1つ以上の炭水化物部分を欠失させること、および/またはそれに1つ以上の炭水化物部分を付加することによって、ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原ポリペプチドを単に改変することが挙げられる。
【0089】
前立腺腫瘍抗原ポリペプチドに対するグリコシル化部位の付加は、そのアミノ酸配列を変更することによって達成され得る。変更は、例えば、ネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原ポリペプチドに対して(O−結合型グリコシル化部位について)、1つ以上のセリンまたはスレオニン残基の付加またはそれらによる置換によって行われ得る。前立腺腫瘍抗原のアミノ酸配列は、必要に応じて、DNAレベルでの変化によって、特に、所望のアミノ酸に翻訳されるコドンが生成されるように予め選択された塩基で、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドをコードするDNAを変異させることによって、変更され得る。
【0090】
前立腺腫瘍抗原ポリペプチド上の炭水化物部分の数を増大させる別の手段は、ポリペプチドに対するグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる。このような方法は、当該分野で、例えば、1987年9月11日に公開されたWO 87/05330、ならびにAplinおよびWriston、CRC Crit.Rev.Biochem.259−306頁(1981)に記載されている。
【0091】
前立腺腫瘍抗原ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的もしくは酵素的に達成され得るか、またはグリコシル化の標的として作用するアミノ酸残基をコードするコドンの変異的置換によって達成され得る。さらに、炭水化物部分は、Thotakuraら、Meth.Enzymol.138:350(1987)によって記載されるような種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用による酵素的切断によって、または例えば、Hakimuddinら、Arch.Biochem.Biophys.259:52(1987)およびEdgeら、Anal.Biochem.118:131(1981)に記載されている化学的グリコシル化技術によって、除去され得る。
【0092】
前立腺腫瘍抗原の共有的改変の別の型として、例えば、米国特許第4,791,192号に示される、非タンパク質様ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン)に抗原を連結することが挙げられる。
【0093】
(C.コードされるポリペプチド抗原)
(1.前立腺腫瘍抗原の発現)
本明細書中に記載されるポリヌクレオチド配列は、適切な宿主細胞中での対応するポリペプチドの発現を指向する組換えDNA分子中で使用され得る。上記に議論されるように、遺伝子コードの縮重は、実質的に同じであるかまたは機能的に等価であるアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が、同定されたポリペプチドをクローニングし、そして発現するために使用され得ることを指示する。特定の宿主細胞に好ましいコドンが選択され得、そして発現の割合および/または効率を増大させるために、天然に存在するヌクレオチド配列中に置換され得る。
【0094】
所望の前立腺腫瘍抗原ポリペプチドをコードする核酸(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)は、クローニング(DNAの増幅)のため、または発現のための複製可能なベクター中に挿入され得る。ポリペプチドは、当業者に公知の方法に従って、任意の多数の発現系中で組換え的に発現され得る(Ausubelら、1990)。
【0095】
適切な宿主細胞として、酵母、細菌、古細菌、真菌、ならびに昆虫および動物細胞(哺乳動物細胞(例えば、骨髄幹細胞を含むがこれに限定されない幹細胞を含む、初代細胞)を含む)が挙げられる。より詳細には、これらには、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌、および酵母発現ベクターで形質転換された酵母のような微生物が挙げられるが、これらに限定されない。組換え昆虫ウイルス(例えば、バキュロウイルス)で感染させられた昆虫細胞、および哺乳動物発現系もまた、含まれる。
【0096】
発現される核酸配列は、種々の手順によってベクター中に挿入され得る。一般的には、DNAは、当該分野で公知の技術を使用して適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。ベクター成分は一般的には、1つ以上のシグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列を含むが、これらに限定されない。1つ以上のこれらの成分を含有する適切なベクターの構築は、当業者に公知である標準的な連結技術を使用する。
【0097】
本発明の前立腺腫瘍抗原タンパク質は、前立腺腫瘍抗原タンパク質をコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換された宿主細胞を、このタンパク質の発現を誘導するかまたはそれを引き起こすために適切な条件下で培養することによって産生される。前立腺腫瘍抗原タンパク質の発現に適切な条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択にとともに変化し、そして慣用的な実験によって当業者に容易に確認される。例えば、発現ベクター中での構成性プロモーターの使用は、宿主細胞の成長および増殖を最適化することを必要とするが、一方、誘導性プロモーターの使用は、誘導のための適切な成長条件を必要とする。さらに、いくつかの実施態様においては、回収のタイミングが重要である。例えば、昆虫細胞発現において使用されるバキュロウイルス系は溶解性ウイルスであり、従って、採取時間の選択は、生成物の収量について決定的であり得る。
【0098】
宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するその能力、または所望の様式で発現されたタンパク質をプロセスするその能力について選択され得る。タンパク質のこのような改変として、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングもまた、正確な挿入、折り畳み、および/または機能のために重要であり得る。例示の目的で、宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、BHK、MDCK、293、WI38など)は、このような翻訳後の活性についての特異的な細胞性機構およびそれに特徴的な機構を有し、そして導入された外来タンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするために選択され得る。特定の目的は、Drosophila melangaster細胞、Saccharomyces cerevisiaeおよび他の酵母、E.coli、Bacillus subtilis、SF9細胞、C129細胞、293細胞、Neurospora、BHK、CHO、COS,およびHeLa細胞、繊維芽細胞、Schwanoma細胞株、固定された哺乳動物骨髄細胞株およびリンパ系細胞株、Jukat細胞、ヒト細胞および他の初代細胞である。
【0099】
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係にそれを配置することによって「作動可能に連結」されなければならない。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAが、それがポリペプチドの分泌において関与するプレタンパク質として発現される場合に、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結される;プロモーターまたはエンハンサーは、それが配列の転写に影響を与える場合に、コード配列に作動可能に連結される;または、リボソーム結合部位は、それが翻訳を容易にするように配置される場合に、コード配列に作動可能に連結される。一般的には、「作動可能に連結された」DNA配列は連続的であり、そして分泌リーダーの場合には、連続的でありかつリーディング相中にある。しかし、エンハンサーは、連続的でなくても良い。連結は、便利な制限部位での連結によって達成される。このような部位が存在しない場合は、合成のオリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが、従来の方法に従って使用される。
【0100】
プロモーター配列は、構成性または誘導性のプロモーターのいずれかをコードする。プロモーターは、天然に存在するプロモーターまたはハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。ハイブリッドプロモーター(これは、1つより多いプロモーターのエレメントを組み合わせる)もまた当該分野で公知であり、そして本発明において有用である。
【0101】
発現ベクターは、さらなるエレメントを含み得る。例えば、発現ベクターは、2つの複製系を有し得、従って、それは、2つの生物中(例えば、発現のための哺乳動物細胞中または昆虫細胞中、ならびにクローニングおよび増幅のための原核生物宿主中)で維持されることが可能である。
【0102】
発現およびクローニングの両方のベクターは、ベクターが1つ以上の選択された宿主細胞中で複製することを可能にする核酸配列を含む。このような配列は、種々の細菌、酵母、およびウイルスについて周知である。プラスミドpBR322に由来する複製起点が、ほとんどのグラム陰性細菌について適切であり、2:プラスミド複製起点が酵母に適切であり、そして種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、またはBPV)が、哺乳動物細胞中でのクローニングベクターに有用である。
【0103】
さらに、発現ベクターを組み込むためには、発現ベクターは、宿主細胞ゲノムに対して相同である少なくとも1つの配列を含み、そして好ましくは、発現構築物に隣接する2つの相同配列を含む。組込みベクターは、ベクター中への封入のための適切な相同性配列を選択することによって、宿主細胞中で特異的な遺伝子座に対して指向され得る。組込みベクターの構築は当該分野で周知である。
【0104】
好ましくは、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするための選択マーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は当該分野で周知であり、そして使用される宿主細胞とともに変化する。
【0105】
発現およびクローニングベクターは、代表的には、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含む。代表的な選択遺伝子は、以下のタンパク質をコードする:(a)抗生物質または他の毒素(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、またはテトラサイクリン)に対する耐性を付与する、タンパク質、(b)栄養要求性の欠損を相補する、タンパク質、または(c)複合培地から入手可能ではない重要な栄養素を供給する、タンパク質(例えば、Bacilliについては、D−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)。
【0106】
前立腺腫瘍抗原をコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培養物からのコードされるタンパク質の発現および回収のために適切な条件下で培養され得る。組換え細胞によって産生されたタンパク質は、分泌され得るか、膜結合し得るか、または使用される配列および/もしくはベクターに依存して細胞内に含まれ得る。当業者によって理解されるように、前立腺腫瘍抗原をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターは、原核生物または真核生物細胞膜を通じての前立腺腫瘍抗原の分泌を指向するシグナル配列を有して設計され得る。
【0107】
所望される前立腺腫瘍抗原ポリペプチドは、直接組換え的に産生され得るだけではなく、異種ポリペプチドを有する融合ポリペプチドとしてもまた産生され得る。これは、成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドであり得る。一般的には、シグナル配列はベクターの成分であり得るか、またはこれは、ベクター中に挿入された前立腺腫瘍抗原をコードするDNAの一部であり得る。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性腸毒素IIリーダーの群から選択された原核生物シグナル配列であり得る。酵母分泌のためには、シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、α因子リーダー(SaccharomycesおよびKluyveromyces「α−因子リーダー」を含む、後者は、米国特許第5,010,182号に記載されている)、または酸性ホスファターゼリーダー、C.albicansグルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日に公開されたEP 362,179号)、または1990年11月15日に公開されたWO 90/13646に記載されているシグナルであり得る。哺乳動物細胞発現のためには、哺乳動物シグナル配列(例えば、同じ種または関連する種の分泌されるポリペプチドに由来するシグナル配列、およびウイルス分泌リーダー)が、タンパク質の分泌を指向するために使用され得る。
【0108】
選択される発現系に従って、コード配列は、適切なベクター中に挿入され、次いで、これは、特定の特徴的な「制御エレメント」または「調節配列」の存在を必要とし得る。適切な構築物は当該分野で一般的に公知であり(Ausubelら、1990)、そして多くの場合、Invitrogen(San Diego,CA)、Stratagene(La Jolla,CA)、Gibco BRL(Rockville、MD)、またはClonetech(Palo Alto,CA)のような市販の供給源から入手可能である。
【0109】
a.細菌系中での発現。細菌細胞の形質転換は、「BLUESCRIPT」ファージミド(Stratagene,La Jolla,CA)または「pSPORT1」(Gibco BRL,Rockville、MD)のハイブリッドlacZプロモーターのような誘導性プロモーターを使用して達成され得る。さらに、多数の発現ベクターが、容易に検出され得そして/または精製され得る切断可能な融合タンパク質を産生するための細菌細胞中での使用のために選択され得る。これらとして、「BLUESCRIPT」(β−ガラクトシダーゼ;Stratagene,La Jolla,CA)またはpGEX(グルタチオンS−トランスフェラーゼ;Promega,Madison,WI)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
適切な細菌プロモーターは、細菌のRNAポリメラーゼが結合し得、そして前立腺腫瘍抗原遺伝子のmRNAへのコード配列の下流(3’)の転写を開始し得る任意の核酸配列である。細菌性プロモーターは、コード配列の5’末端に対して通常は近位に配置される、転写開始領域を有する。この転写開始領域は、代表的には、RNAポリメラーゼ結合部位および転写開始部位を含む。代謝経路の酵素をコードする配列は、特に有用なプロモーター配列を提供する。例として、糖を代謝する酵素(例えば、ガラクトース、ラクトース、およびマルトース)に由来するプロモーター配列、および生合成酵素(例えば、トリプトファン)に由来する配列が挙げられる。バクテリオファージに由来するプロモーターもまた使用され得、そして当該分野で公知である。さらに、合成のプロモーターおよびハイブリッドプロモーターもまた、有用である;例えば、tacプロモーターは、trpプロモーター配列とlacプロモーター配列とのハイブリッドである。さらに、細菌性プロモーターとして、細菌のRNAポリメラーゼに結合し、そして転写を開始する能力を有する、細菌ではない起源の天然に存在するプロモーターが挙げられ得る。効率的なリボソーム結合部位もまた、所望される。
【0111】
発現ベクターとしてまた、細菌中での前立腺腫瘍抗原タンパク質の分泌を提供する、シグナルペプチド配列が挙げられ得る。シグナル配列は、代表的には、当該分野で周知であるような、細胞からのタンパク質の分泌を指向する疎水性アミノ酸からなるシグナルペプチドをコードする。タンパク質は、増殖培地中(グラム陽性細菌)、または細胞の内膜と外膜との間に局在するペリプラズム空間(グラム陰性細菌)のいずれかに分泌される。細菌発現ベクターとしてまた、形質転換されている細菌株の選択を可能にするための選択マーカー遺伝子が挙げられ得る。適切な選択遺伝子として、薬物耐性遺伝子(例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、およびテトラサイクリン)が挙げられる。選択マーカーとしてまた、生合成遺伝子(例えば、ヒスチジン、トリプトファン、およびロイシン生合成経路における生合成遺伝子)が挙げられる。
【0112】
例えば、抗体の誘導のために、大量の前立腺腫瘍抗原が必要とされる場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現を指向するベクターが、所望され得る。このようなベクターとして、多機能性のE.coliクローニングベクターおよび発現ベクター(例えば、BLUESCRIPT(登録商標)(Stratagene,La Jolla,CA)が挙げられるが、これに限定されない。ここで、前立腺腫瘍抗原をコードする配列は、β−ガラクトシダーゼのアミノ末端のMetおよび続く7残基の配列とともにインフレームでベクター中に連結され得、その結果、ハイブリッドタンパク質が産生される;pINベクター(Van HeekeおよびSchuster,J.Biol.Chem.264:5503−5509(1989);pETベクター(Novagen,Madison,WI);など。
【0113】
細菌の発現ベクターは上記に示す種々の成分を含み、そして当該分野で周知である。例として、とりわけ、Bacillus subtilis、E.coli、Streptococcus cremoris、およびStreptococcus lividansのベクターが挙げられる。細菌発現ベクターは、当該分野で周知の技術(例えば、塩化カルシウム媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーションなど)を使用して細菌宿主細胞中に形質転換される。
【0114】
b.酵母中での発現。酵母発現系は当該分野で周知であり、そしてSaccharomyces cerevisiae、Candida albicansおよびC.maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragilisおよびK.lactis、Pichia guillerimondiiおよびP.pastoris、Schizosaccharomyces pombe、ならびにYarrowia lipolyticaの発現ベクターが挙げられる。酵母宿主中での使用に適切なプロモーターの例として、3−ホスホグリセレートキナーゼのプロモーターが挙げられる(Hitzemanら、J.Biol.Chem.255:2073(1980))または他の糖化酵素(Hessら、J.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968);Holland,Biochemistry 17:4900(1978))(例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホスフェートイソメラーゼ、3−ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースホスフェートイソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、α因子、ADH2/GAPDHプロモーター、グルコキナーゼアルコールオキシダーゼ、およびPGH)が挙げられる(例えば、Ausubelら、1990;Grantら、Methods in Enzymology 153:516−544(1987)を参照のこと)。
【0115】
誘導性である他の酵母プロモーターは、成長条件によって制御される転写のさらなる利点を有し、これらとして、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用を担う酵素のプロモーター領域が挙げられる。酵母発現における使用に適切なベクターおよびプロモーターは、さらに、EP 73,657に記載されている。酵母の選択マーカーとして、ツニカマイシンに対する耐性を付与するADE2、HIS4、LEU2、TRP1、およびALG7;G418に対する耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子;ならびに酵母が銅イオンの存在下で成長することを可能にするCUP1遺伝子が挙げられる。
【0116】
酵母発現ベクターは、目的の前立腺腫瘍抗原をコードするDNAに由来する前立腺腫瘍抗原の細胞内産生または分泌のために構築され得る。例えば、選択されるシグナルペプチド、および適切な構成性または誘導性プロモーターが、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの細胞内発現を指向するために選択されたプラスミド中の適切な制限部位に挿入され得る。前立腺腫瘍抗原の分泌のためには、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドをコードするDNAが、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの発現のための、プロモーターをコードするDNA、酵母α−因子分泌シグナル/リーダー配列、およびリンカー配列(必要とされる場合は)とともに選択されたプラスミド中にクローニングされ得る。
【0117】
次いで、酵母細胞は、上記のような発現プラスミドで形質転換され得、そして適切な醗酵培地中で培養され得る。次いで、このように形質転換された酵母によって産生されたタンパク質は、10%のトリクロロ酢酸での沈殿によって濃縮され得、そしてSDS−PAGEによる分離およびクマシーブル染色でのゲルの染色後に分析され得る。
【0118】
組換え前立腺腫瘍抗原が続いて単離され得、そして当業者に公知の技術によって醗酵培地から精製され得る。
【0119】
c.哺乳動物系中での発現。前立腺腫瘍抗原タンパク質は、哺乳動物細胞中で発現され得る。哺乳動物発現系は当業者に公知であり、そしてレトロウイルスベクター媒介性発現系が挙げられる。哺乳動物宿主細胞は、任意の多数の異なるウイルスに基づく発現系(例えば、アデノウイルス)で形質転換され得る。ここで、コード領域は、後期プロモーターおよび三者間リーダー配列から構成されるアデノウイルス転写/翻訳複合体中に連結され得る。ウイルスゲノムの必須ではないE1またはE3領域中での挿入は、感染させられた宿主細胞中で目的のポリペプチドを発現し得る生存性のウイルスを生じる。
【0120】
好ましい発現ベクター系は、レトロウイルスベクター系であり、例えば、PCT/US97/01019およびPCT/US97/01048に一般的に記載されている。これらの両方が、本明細書中で参考として明確に援用されている。
【0121】
適切な哺乳動物発現ベクターは、哺乳動物RNAポリメラーゼが結合し得、そして前立腺腫瘍抗原タンパク質のコード配列のmRNAへの下流(3’)の転写を開始し得る任意のDNA配列である、哺乳動物プロモーターを含む。プロモーターは、コード配列の5’末端に対して通常は近位に配置される、転写開始領域、および転写開始部位の上流の配置された25〜30塩基対を使用するTATAボックスを有する。TATAボックスは、正確な部位でRNA合成を開始するようにRNAポリメラーゼIIを指向すると考えられる。哺乳動物プロモーターはまた、上流のプロモーターエレメント(エンハンサーエレメント)を含み、代表的には、TATAボックスの上流の100から200塩基対内に配置される。上流のプロモーターエレメントは、転写が開始される速度を決定し、そしていずれかの方向で作用し得る。哺乳動物プロモーターとしての特定の使用は、哺乳動物ウイルス遺伝子に由来するプロモーターである。なぜなら、ウイルス遺伝子は、しばしば高度に発現され、そして広範な宿主範囲を有するからである。
【0122】
例として、以下のようなプロモーターが、このようなプロモーターが宿主細胞系と適合性であるという条件で、挙げられる:ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス(1989年7月5日に公開された、UK 2,211,504)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、鳥類肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、およびシミアンウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、異種哺乳動物プロモーター(例えば、アクチンプロモーターまたはイムノグロブリンプロモーター)から得られるプロモーター、ならびに熱ショックプロモーターから得られるプロモーター。
【0123】
高等真核生物による前立腺腫瘍抗原ポリペプチドをコードするDNAの転写は、ベクター中へエンハンサー配列を挿入することによって増大され得る。エンハンサーは、DNAのシス作用エレメントであり、通常は、10から30bpまでであり、これは、その転写を増大するようにプロモーターに対して作用する。哺乳動物遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、「α−フェトプロテイン」およびインシュリン)に由来する多くのエンハンサー配列が、現在公知である。しかし代表的には、当業者は、真核生物細胞ウイルスに由来するエンハンサーを使用する。例として、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側に対するポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。エンハンサーは好ましくは、プロモーターから5’位置に配置される。
【0124】
一般的には、哺乳動物細胞によって認識される転写終結配列およびポリアデニル化配列は、翻訳停止コドンに対して3’に、従って、コード配列に隣接してプロモーターエレメントとともに配置された調節領域である。成熟mRNAの3’末端は、部位特異的翻訳後切断およびポリアデニル化によって形成される。転写ターミネーターおよびポリアデニル化シグナルの例として、SV40に由来するものが挙げられる。
【0125】
長期間の高収量の組換えタンパク質の産生は、安定な発現系中で達成され得る。ウイルス複製起点または内因性の発現エレメント、および選択マーカー遺伝子を含む発現ベクターが、この目的のために使用され得る。哺乳動物細胞中での使用のための選択マーカーを含有する適切なベクターが、市販によって容易に入手可能であり、そして当業者に公知である。このような選択マーカーの例として、それぞれ、tk細胞またはhprt細胞中での使用のための、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼおよびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
哺乳動物宿主、および他の宿主中に外因性の核酸を導入する方法は当該分野で周知であり、そして使用される宿主細胞とともに変化する。技術として、デキストラン媒介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、リポソーム中へのポリヌクレオチド(単数または複数)のカプセル化、および核へのDNAの直接的なマイクロインジェクションが挙げられる。
【0127】
d.昆虫細胞中での発現。前立腺腫瘍抗原ポリペプチドはまた、昆虫細胞中で産生され得る。昆虫細胞の形質転換のための発現ベクター、および特に、バキュロウイルスに基づく発現ベクターが、当該分野で周知である。1つのこのような系においては、前立腺腫瘍抗原をコードするDNAが、バキュロウイルス発現ベクター中に含まれるエピトープタグの上流に融合される。Autographa california核多角体病ウイルス(AcNPV)が、Spodoptera frugiperda Sf9細胞中、またはTrichoplusiaの幼虫中で外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用される。前立腺腫瘍抗原をコードする配列は、ウイルスの必須ではない領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)中にクローニングされ、そしてポリヘドリンプロモーターの制御化に配置される。前立腺腫瘍抗原をコードする配列の首尾よい挿入は、ポリヘドリン遺伝子を不活性にし、そしてコートタンパク質コートを欠失している組換えウイルスを産生する。次いで、組換えウイルスは、S.frugiperda細胞またはTrichoplusiaの幼虫を感染させるために使用され、ここで、前立腺腫瘍抗原が発現される(Smithら、J.Virol.46:584(1994);Engelhardら、Proc.Nat.Acad.Sci.91:3224−3227(1994))。
【0128】
前立腺腫瘍抗原をコードするDNAに対する融合に適切なエピトープタグとして、ポリ−ヒスタグおよびイムノグロブリンタグ(IgGのFc領域と同様)が挙げられる。種々のプラスミドが使用され得、市販によって入手可能なプラスミド(例えば、pVL1393(Novagen,Madison,WI))が挙げられる。簡潔には、前立腺腫瘍抗原をコードするDNAまたは前立腺腫瘍抗原をコードするDNAの所望の部分が、5’および3’領域に対して相補的であるプライマーを用いてPCRによって増幅される。5’プライマーは、隣接する制限部位を取り込み得る。次いで、PCR産物は、選択された制限酵素で消化され、そして発現ベクター中にサブクローニングされる。
【0129】
組換えバキュロウイルスは、上記のプラスミドおよびBaculoGoldTMウイルスDNA(Pharmingen,San Diego,CA)のSpodoptera frugiperda(「Sf9」)細胞(ATCC CRL 1711)への、リポフェクチン(Gibco−BRL,Rockville,MDから市販)または当業者に公知の他の方法を使用する同時トランスフェクションによって生成される。ウイルスは、28℃でSf9細胞の培養物中に4〜5日までに産生され、そしてさらなる増幅のために使用される。手順は、O’Reilleyら、BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS:A LABORATORY MANUAL、Oxford University Press(1994)にさらに記載されているように行われる。
【0130】
抽出は、Rupertら、Nature 362:175−179(1993)に記載されているように、組換えウイルスで感染させたSf9細胞から調製され得る。
【0131】
あるいは、発現されたエピトープタグ化前立腺腫瘍抗原ポリペプチドが、アフィニティークロマトグラフィーによって精製され得るか、または例えば、IgGタグ化(もしくはFcタグ化)前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの精製が、プロテインAもしくはプロテインGカラムクロマトグラフィーを含む、クロマトグラフィー技術を使用して行われ得る。
【0132】
(D.遺伝子発現の評価)
遺伝子発現は、例えば、当業者に公知の標準的な技術(例えば、本明細書中に提供される配列に基づく適切に標識されたプローブを使用する、DNAの検出のためのサザンブロッティング、mRNAの転写を決定するためのノーザンブロッティング、ドットブロッティング(DNAまたはRNA)、またはインサイチュハイブリダイゼーション)によって、サンプル中で直接評価され得る。あるいは、抗体が、核酸(例えば、DNA二本鎖、RNA二本鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二本鎖、またはDNA−タンパク質二本鎖を含む特異的二本鎖)の検出のためのアッセイにおいて使用され得る。このような抗体は標識され得、そして二本鎖が表面に結合され、その結果、表面上での二本鎖の形成の際に二本鎖に結合した抗体の存在が検出され得るアッセイが行われる。
【0133】
あるいは、遺伝子発現は、細胞または組織切片の免疫組織化学的染色、および細胞培養物または体液のアッセイによって、前立腺腫瘍抗原の発現を直接評価するために、測定され得る。このような免疫学的アッセイに有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかであり得、そして本明細書中で提供されるDNA配列に基づいてネイティブ配列の前立腺腫瘍抗原に対して調製され得る。
【0134】
(1.発現されたタンパク質の精製)
発現された前立腺腫瘍抗原ポリペプチドは、当業者に公知の任意の種々の方法を使用して、発現後に精製され得るかまたは単離され得る。適切な技術は、どのような他の成分がサンプル中に存在するかに依存して変化する。単離または精製によって除去される混入している成分は、代表的には、ポリペプチドの診断的または治療的用途を妨害する物質であり、そして酵素、ホルモン、および他の溶質が挙げられ得る。精製工程(単数または複数)は、例えば、使用される産生プロセス、および産生される特定の前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの性質に依存して選択される。
【0135】
前立腺腫瘍抗原ポリペプチドまたはタンパク質は、培養培地または宿主細胞溶解物から回収され得る。膜に結合している場合は、それは、適切な界面活剤性溶液(例えば、Triton−X 100)を使用するか、または酵素的切断によって膜から放出させられ得る。あるいは、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの発現において使用される細胞は、種々の物理的もしくは化学的手段(例えば、凍結−融解サイクル、超音波処理、機械的な破砕)によって、または細胞溶解剤の使用によって破壊され得る。
【0136】
例示的な精製方法として、イオン交換カラムクロマトグラフィー;シリカゲルもしくは陽イオン交換樹脂(例えば、DEAE)を使用するクロマトグラフィー;例えば、Sephadex G−75を使用するゲル濾過;IgGのような混入物を除去するためのプロテインA Sepharoseカラム;前立腺腫瘍抗原ポリペプチドのエピトープタグ化形態を結合させるための金属キレート化カラムを使用するクロマトグラフィー;エタノール沈殿;逆相HPLC;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;および硫酸アンモニウム沈殿が挙げられるが、これらに限定されない。通常は、単離された前立腺腫瘍抗原ポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程によって調製される。例えば、前立腺腫瘍抗原タンパク質は、標準的な抗前立腺腫瘍抗原抗体カラムを使用して精製され得る。限外濾過および透析技術もまた、タンパク質の濃縮と組み合わせて、有用である(例えば、Scopes,R.,PROTEIN PURIFICATION、Springer−Verlag,NY,1982を参照のこと)。必要とされる精製の程度は、前立腺腫瘍抗原の使用に依存して変化する。いくつかの例においては、精製は必要ではない。
【0137】
必要とされる場合は、一旦発現され、そして精製されると、本発明の前立腺腫瘍抗原タンパク質および核酸は、以下に詳述されるように、多数の適用において有用である。
【0138】
(2.発現されたタンパク質の標識)
本発明の核酸、タンパク質、および抗体は、標識され得る。本明細書中では、標識された、によって、化合物が、化合物の検出を可能にするために付着させられた少なくとも1つのエレメント、同位元素、または化合物を有すること意味する。一般的には、標識は、以下の3つのクラスに入れられる:a)同位元素標識(これは、放射活性同位元素または重金属同位元素であり得る);b)免疫標識(これは、抗体または抗原であり得る);およびc)発色または蛍光色素。標識は、検出される化合物の生物学的活性または特徴を妨害しない任意の位置で、化合物中に取り込まれ得る。
【0139】
(3.前立腺腫瘍抗原融合タンパク質)
本発明の前立腺腫瘍抗原はまた、別の異種ポリペプチドまたはアミノ酸配列に融合された前立腺腫瘍抗原を含有するキメラ分子を形成するための方法で改変され得る。本明細書中で使用される用語「融合タンパク質」は、「標的化ポリペプチド」に融合された、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドを含有するキメラポリペプチドまたはそのドメイン配列をいう。標的化ポリペプチドは、特定の細胞型またはレセプターに対する標的化を容易にするために十分な残基を有し、それはなお、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの生物学的機能を妨害しないように十分に短い。標的化ポリペプチドはまた、好ましくは、かなり特有であり、その結果、融合タンパク質は、他の細胞型またはレセプターとは実質的に交差反応しない。適切な標的化ポリペプチドは、一般的には、少なくとも約10個のアミノ酸残基を有し、そして通常は、約10個から約500個までの間のアミノ酸残基を有する。好ましい標的化ポリペプチドは、約20個から約200個までのアミノ酸残基を有する。
【0140】
融合タンパク質はまた、抗タグ抗体が選択的に結合し得るエピトープを提供するタグポリペプチドとの前立腺腫瘍抗原の融合体を含み得る。エピトープタグは、一般的には、前立腺腫瘍抗原のアミノ末端またはカルボキシ末端に配置される。このような前立腺腫瘍抗原のエピトープタグ化形態は、タグポリペプチドに対する抗体を使用して検出され得る。また、エピトープタグの供給は、前立腺腫瘍抗原が抗タグ抗体またはエピトープタグに結合する別の型のアフィニティーマトリックスを使用することによって容易に精製されることを可能にする。あるいは、融合タンパク質は、イムノグロブリンまたはイムノグロブリンの特定の領域との前立腺腫瘍抗原の融合体を含み得る。キメラ分子の二価の形態については、このような融合体は、IgG分子(または例えば、GM−CSF)のFc領域であり得る。好ましい融合タンパク質として、前立腺腫瘍抗原の免疫標的化を容易にする分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
前立腺腫瘍抗原融合タンパク質は、当該分野で周知の技術を使用して種々の他の目的のために生成され得る。例えば、抗体の作製のためには、所望されるエピトープが小さい場合は、部分的なまたは完全な前立腺腫瘍抗原タンパク質が、免疫原を形成するために、キャリアタンパク質と融合させられ得る。あるいは、前立腺腫瘍抗原タンパク質は、抗原が細胞性および/または体液性(抗体に基づく)免疫応答を刺激する能力を増大させるような融合タンパク質として、または他の理由について生成され得る。
【0142】
(E.抗前立腺腫瘍抗原抗体)
本発明はさらに、抗前立腺腫瘍抗原抗体を提供する。本発明の抗体として、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異的、および異種結合抗体が挙げられる。
【0143】
(1.ポリクローナル抗体)
本発明の抗前立腺腫瘍抗原抗体は、ポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体を調製する方法は、当業者に公知である。このようなポリクローナル抗体は、哺乳動物中で、例えば、免疫化薬剤、および好ましくは、アジュバントの1回以上の注射後に、産生され得る。代表的には、免疫化薬剤および/またはアジュバントは、一連の皮下または腹膜内注射によって哺乳動物中に注射される。免疫化薬剤は、前立腺腫瘍抗原またはその融合タンパク質を含み得る。免疫化される哺乳動物中で免疫原性であることが公知のタンパク質に対して抗原を結合させることが、有用であり得る。このような免疫原性タンパク質の例として、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆のトリプシンインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。アジュバントとして、例えば、フロイトの完全なアジュバント、およびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルLipid A、合成のトレハロースジコリノミコレート(dicorynomycolate))が挙げられる。免疫化プロトコルは、標準的なプロトコルに基づいて、または慣用的な実験によって、当業者によって決定され得る。
【0144】
(2.モノクローナル抗体)
あるいは、抗前立腺腫瘍抗原抗体は、モノクローナル抗体であり得る。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマによって産生され得る。ここで、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物が、免疫化薬剤に特異的に結合する抗体を産生するかまたは産生し得るリンパ球を誘発するために、免疫化薬剤で免疫される(KohlerおよびMilstein,Nature 256:495(1975))。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫化され得る。
【0145】
免疫化薬剤は、代表的には、前立腺腫瘍抗原またはその融合タンパク質を含む。一般的には、非ヒト哺乳動物供給源が所望される場合には、脾臓細胞もしくはリンパ節細胞が使用されるか、またはヒト起源の細胞が所望される場合には、末梢血リンパ球(「PBL」)が使用される。リンパ球は、ハイブリドーマ細胞を産生するために、適切な融合化薬剤(例えば、ポリエチレングリコール)を使用して不朽化された細胞株と融合される(Goding,MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE、Academic Press、59−103頁(1986))。一般的には、不朽化された細胞株は、形質転換された哺乳動物細胞(例えば、ラット、マウス、ウシ、またはヒト起源の骨髄腫細胞)である。ハイブリドーマ細胞は、融合されていない不朽化された細胞の増殖または生存を阻害する、1つ以上の基質を好ましくは含有する、適切な培養培地中で培養される。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)を欠失している場合、ハイブリドーマのための培養培地は、代表的には、HGPRT欠損細胞の増殖を妨げる基質である、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT)を含有する。
【0146】
好ましい不朽化された細胞株は効率的に融合し、抗体の安定な高レベルの産生を支持し、そしてHAT培地のような培地に対して敏感である細胞株である。より好ましい不朽化された細胞株は、マウスまたはヒト骨髄腫細胞株であり、これは、例えば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、Rockville,Marylandから入手可能であり得る。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株がまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor,J.Immunol.133:3001(1984);Brodeurら、MONOCLONAL ANTIBODY PRODUCTION TECHNIQUES AND APPLICATIONS、Marcel Dekker,Inc.,New York、51−63頁(1987))。
【0147】
ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地(上清)は、前立腺腫瘍抗原に対して指向されるモノクローナル抗体の存在についてアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ上清中に存在するモノクローナル抗体の結合特異性が、免疫沈降によって、またはインビトロでの結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA))によって決定される。適切な技術およびアッセイは、当該分野で公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、MunsonおよびPollard,Anal.Biochem.107:220(1980)のScatchard分析によって決定され得る。
【0148】
所望の抗体産生性ハイブリドーマ細胞が同定された後、細胞は、限界希釈手順によってクローニングされ得、および標準的な方法(Goding、1986)によって増殖され得る。この目的のための適切な培養培地として、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地およびRPMI−1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物中の腹水のように、インビボで増殖させられ得る。
【0149】
選択されたクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、当業者によって慣用的に使用されるイムノグロブリン精製手順(例えば、プロテインA−Sepharose、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィー)によって、培養培地または腹水液から単離または精製され得る。
【0150】
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号に記載されているような、組換えDNA法によって作製され得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、前立腺腫瘍抗原特異的ハイブリドーマ細胞から単離され得、そして例えば、マウスの抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって、配列決定され得る。一旦単離されると、DNAは、発現ベクター中に挿入され得る。これは次いで、組換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を得るために、他にはイムノグロブリンタンパク質を産生しない、サルのCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞のような宿主細胞中にトランスフェクトされる。DNAはまた、例えば、相同性マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列で置換することによって(Morrisonら、Proc.Nat.Acad.Sci.81:6851−6855(1984);Neubergerら、Nature 312:604−608(1984);Takedaら、Nature 314:452−454(1985))、またはイムノグロブリンコード配列の全てもしくは非イムノグロブリンポリペプチドのコード配列の一部に共有的に連結することによって、改変され得る。非イムノグロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインについて置換され得るか、またはキメラの二価抗体を作製するために本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインについて置換され得る。
【0151】
抗体はまた、一価の抗体でもあり得る。一価の抗体を調製するための1つの方法は、当該分野で周知である。例えば、インビトロでの方法が、一価の抗体を調製するために適切である。抗体のフラグメント(特に、Fab)を産生するための抗体の消化は、当該分野で公知の慣用的である技術を使用して達成され得る。
【0152】
(3.ヒト化抗体)
本発明の抗前立腺腫瘍抗原抗体はさらに、ヒト化抗体またはヒト抗体を含み得る。用語「ヒト化抗体」は、キメラ抗体、そのイムノグロブリン鎖またはフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、または抗体の他の抗原結合部分の配列)である非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態をいう。これは、非ヒト抗体に由来する配列のいくつかの部分を含む。ヒト化抗体として、ヒトイムノグロブリンが挙げられる。ここでは、ヒトイムノグロブリンの相補性決定領域(CDR)に由来する残基は、所望の結合特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、またはウサギのような非ヒト種のCDRに由来する残基で置換される。一般的には、ヒト化抗体は、実質的に全ての少なくとも1つ、そして一般的には、2つの可変ドメインを含む。ここで、全てまたは実質的に全てのCDR領域は、非ヒトイムノグロブリンのものに対応し、そして全てまたは実質的に全てのFR領域は、ヒトイムノグロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、必要に応じて、イムノグロブリン定常領域(Fc)(代表的には、ヒトイムノグロブリンの定常領域)の少なくとも一部を含む(Jonesら、Nature 321:522−525(1986)およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992))。
【0153】
非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野で周知である。一般的には、ヒト化抗体は、ヒト抗体により密接に似るようにするために、非ヒトである供給源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸を有するが、抗体のもともとの結合活性をなお維持している。抗体のヒト化のための方法はさらに、Jonesら、Nature 321:522−525(1986);Riechmannら、Nature 332:323−327(1988);およびVerhoeyenら、Science 239:1534−1536(1988)にさらに詳述されている。
【0154】
このような「ヒト化」抗体は、非ヒト種に由来する対応する配列によって置換されているキメラ抗体(ここでは、実質的にインタクトではないヒト可変ドメイン)である。
【0155】
(4.ヘテロ結合体抗体)
2つの共有結合された抗体を含むヘテロ結合体抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロ結合体抗体は、架橋剤に関する方法を含む、合成タンパク質化学における既知の方法を使用してインビトロで調製され得る。例えば、イムノトキシンは、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって調製され得る。
【0156】
(5.二重特異的抗体)
二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する。このような抗体はモノクローナルであり、そして好ましくは、ヒトまたはヒト化である。本発明の二重特異的抗体の結合特異性の1つは、前立腺腫瘍抗原に対するものであり、そして他方は、好ましくは、細胞表面タンパク質またはレセプターまたはレセプターサブユニットに対するものである。
【0157】
二重特異的抗体を作製するための方法が当該分野で公知であり、そして一般的には、二重特異的抗体の組換え産生は、ハイブリドーマ細胞中での2つのイムノグロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく。ここで、2つの重鎖は異なる特異性を有する(MilsteinおよびCuello,Nature 305:537−539(1983))。イムノグロブリン重鎖および軽鎖のランダムな組み合わせが、ハイブリドーマによる可能性のある10個の異なる抗体分子の産生を生じると仮定すると、正確な分子の精製は、通常は、いくつかの種類のアフィニティー精製(例えば、アフィニティークロマトグラフィー)を必要とする。
【0158】
(III.有用性)
(A.ポリヌクレオチド)
前立腺腫瘍抗原ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列(またはその相補物)は、染色体および遺伝子マッピングならびにアンチセンスRNAおよびDNA作製において種々の適用(ハイブリダイゼーションプローブとしての使用を含む)を有する。さらに、前立腺腫瘍抗原コード核酸は、本明細書中に記載のように、薬学的介入のための(例えば、DNAワクチン開発のための)、および組換え技術による前立腺腫瘍抗原ポリペプチド調製のための標的として有用である。本明細書中に記載のポリヌクレオチド(その配列改変体を含む)は、診断アッセイ(特に、腫瘍細胞検出のための)において使用され得る。本発明の重要な特色は、記載された配列が前立腺腫瘍細胞に特異的なものとして現在認識されているが、これはまた、他の腫瘍細胞の特徴でもあり得ることである。従って、体液または組織サンプル中のこのようなポリヌクレオチドの存在の検出に基づく診断方法は、本発明の特色である。
【0159】
本発明に従う核酸に基づく診断アッセイの例は、ハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション)およびPCRに基づくアッセイを含むが、それらに限定されない。本明細書中に記載のポリヌクレオチド(その長さを伸長したポリヌクレオチド、配列改変体、およびそのフラグメントを含む)を使用して、このようなアッセイにおける使用のためのハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーを作製し得る。このようなプローブおよびプライマーは、本明細書中に記載の腫瘍特異的ポリヌクレオチドに類似するかまたは相補的な、ポリヌクレオチド配列(ゲノム配列を含む)を検出し得る。
【0160】
ハイブリダイゼーションプローブは、例えば、組織サンプル(例えば、顕微鏡スライド上に調製した固定組織切片もしくは凍結組織切片、または懸濁細胞)上でのインサイチュハイブリダイゼーションを行うことにおいて使用され得る。簡単には、標識DNAまたはRNAプローブを、制御された条件下で、準備ができた顕微鏡上の組織切片中のそのDNAまたはRNA標的サンプルに結合させる。一般的に、プラスミドまたはバクテリオファージDNAベクターにクローニングされた目的のDNAからなるdsDNAプローブがこの目的のために使用されるが、ssDNAまたはssRNAプローブもまた使用され得る。プローブは、一般的に、長さが約15〜40ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドである。あるいは、プローブは、PCRランダムプライミングプライマー伸長により作製されたポリヌクレオチドプローブ、またはプラスミドからのインビトロRNA転写により作製されたポリヌクレオチドプローブ(リボプローブ)であり得る。これらの後者のプローブは、代表的に、長さが数百塩基対である。プローブは、当該分野で周知の方法に従って、蛍光タグ、酵素、または放射性部分を含む多数の方法のいずれかにより標識され得る。特定の検出方法は、プローブにおいて利用される標識の型と対応する(例えば、適切なように、オートラジオグラフィー、X線検出、蛍光顕微鏡分析、または光学(visual)顕微鏡分析)。反応は、使用する検出分子の標識に対して指向される免疫細胞化学的技術(例えば、蛍光標識プローブに存在する蛍光部分に指向される抗体、またはアビジンもしくはマーカー酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)に対する抗体)を用いてインサイチュにおいてさらに増幅され得る。特異的標識およびインサイチュ検出方法は、例えば、本明細書中に参考として援用される、Howard,G.C.編、METHODS IN NONRADIOACTIVE DETECTION,Appleton&Lange,Norwalk,CT,(1993)に見出され得る。
【0161】
前立腺腫瘍細胞を検出するための1つの好ましいアッセイは、PCRに基づくアッセイにおけるプライマーとして、本ポリヌクレオチドまたはそのフラグメントを利用する。このアッセイによれば、試験組織または細胞サンプルに存在する核酸は、配列番号1〜8および14からなる群の1つ以上に由来する少なくとも15のヌクレオチドからなる2つのプライマー(本明細書中に記載のように、このような配列の改変体および/または伸長に由来するプライマーを含む)を用いた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅される。増幅産物は、米国特許第4,683,195号に記載の方法に従って、増幅産物を標識するために使用された特定の標識に適した方法によりサンプル中で検出される。PCR検出方法(例えば、PCRインサイチュハイブリダイゼーション)における使用のために、PCRプライマーは、長さが少なくとも15のヌクレオチド、および好ましくは、長さが約15〜30のヌクレオチドであるように選択され、そして当該分野で公知の方法に従って目的のDNA分子から選択される。このようなプライマーは、本明細書中で配列番号1〜配列番号8および配列番号14として同定される配列内から選択され得るが、一方、上記の節IIA2に従って同定されるより長いヌクレオチド配列を含む配列を選択することもまた望ましくあり得る。好ましくは、プローブは、2つのハイブリダイゼーション部位が、約100〜1,000ヌクレオチド(時々、約10,000ヌクレオチドまで)分離されるように選択される。
【0162】
組織切片および/または細胞サンプルのPCRインサイチュハイブリダイゼーションは、固定細胞または組織サンプル中の稀な細胞型に対する高感度検出方法を提供する。PCRインサイチュハイブリダイゼーション検出方法は、当該分野で公知の方法(例えば、Nuovo,G.J.,PCR in situ HYBRIDIZATION:PROTOCOLS AND APPLICATIONS,Raven Press,NY,1992:米国特許第5,538,871号、これらの両方は本明細書中に参考として援用される)に従って行われる。
【0163】
簡単には、細胞サンプル(顕微鏡スライド上の組織、ペレット化細胞懸濁物)を、一般的な固定調製物(例えば、緩衝化ホルマリン、ホルムアルデヒドなど)を用いて固定する。試薬に対する細胞浸透性を増大させるためのプロテイナーゼまたは界面活性剤処理は、固定後が好ましい。PCR反応を、2つのプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりインサイチュで行う。上記で議論されたように、プライマーは、本明細書中に記載のヌクレオチド配列、特に、配列番号1〜配列番号8および配列番号14として記載される配列の1つ以上を選択的に増幅するように設計される。増幅反応混合物は、標的ヌクレオチドサンプルおよびプライマーに加えて、耐熱性DNAポリメラーゼ(例えば、Thermus aquaticusに由来するポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ、米国特許第4,889,818号))および十分な量の4つの標準的なデオキシリボヌクレオチド(dNTP)(これらの1つ以上は検出を容易にするために標識され得る)を含む。反応混合物を、標的ヌクレオチド配列の複数コピー(増幅産物)を生成するために数回のサーモサイクリングに供する。次いで、増幅産物を、例えば、放射性標識増幅産物を検出することによりサンプル中で検出する。
【0164】
ハイブリダイゼーションプローブおよびPCRプライマーはまた、本発明に従って同定される全長タンパク質に対応するゲノム配列(天然に存在するポリペプチドをコードする遺伝子のプロモーター、エンハンサーエレメント、およびイントロンを含む)から選択され得る。
【0165】
前立腺腫瘍抗原ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列はまた、前立腺腫瘍抗原をコードする遺伝子をマップするための、および個体の遺伝子分析のためのハイブリダイゼーションプローブを構築するために使用され得る。本明細書中に提供されるヌクレオチド配列は、既知の技術(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する連鎖解析、およびライブラリーを用いたハイブリダイゼーションスクリーニング)を用いて染色体および染色体の特定領域にマップされ得る。簡単には、配列は、前立腺腫瘍抗原cDNAからPCRプライマー(好ましくは、15〜25bp)を調製することにより、染色体にマップされ得る。3’非翻訳領域のコンピューター解析を使用して、増幅プロセスを複雑にする、ゲノムDNAにおいて1を超えるエキソンにまたがらないプライマーを迅速に選択する。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用される。プライマーに対応するヒト遺伝子を含むこれらのハイブリッドのみが増幅フラグメントを生じる。
【0166】
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定のDNAを特定の染色体に割り与えるための迅速な手順である。同じオリゴヌクレオチドプライマーを用いた本発明を用いて、亜局在性(sublocalization)が、特定の染色体に由来するフラグメントのパネルまたは大きなゲノムクローンのプールを用いて類似の様式で達成され得る。その染色体にマップするために同様に使用され得る他のマッピングストラテジーは、インサイチュハイブリダイゼーション、標識された流動選別(flow−sorted)染色体を用いたプレスクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリーを構築するためのハイブリダイゼーションによる前選択を含む。
【0167】
本発明の前立腺腫瘍抗原をコードする遺伝子の変化を有する個体またはその遺伝子において変異を有する個体は、種々の技術によりDNAレベルで検出され得る。診断のために使用される核酸は、患者の細胞(例えば、組織生検および解剖材料を含む)から得られ得る。ゲノムDNAは検出のために直接使用され得るか、または分析前にPCR(Saikiら、Nature 324:163−166(1986))を用いることにより酵素的に増幅され得る。RNAまたはcDNAはまた、同じ目的のために使用され得る。例として、本発明の核酸に相補的なPCRプライマーを使用して、本発明の遺伝子における変異を同定および分析し得る。欠失および挿入は、正常遺伝子型と比較した増幅産物のサイズの変化により検出され得る。
【0168】
点変異は、増幅DNAを、本発明の放射性標識RNAあるいは本発明の放射性標識アンチセンスDNA配列にハイブリダイズすることにより同定され得る。特定の位置での配列変化もまた、ヌクレアーゼ保護アッセイ(例えば、RNaseおよびS1保護)もしくは化学切断法(例えば、Cottonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397−4401(1985))により、または融解温度の差異により明らかにされ得る。本発明の核酸に相補的なプローブ配列を含むヘアピン型1本鎖合成オリゴヌクレオチドである、「分子ビーコン(beacon)」(Kostrikisら、Science 279:1228−1229(1998))もまた、点変異または他の配列変化を検出するために、ならびに前立腺腫瘍抗原の発現レベルをモニターするために使用され得る。
【0169】
前立腺腫瘍抗原をコードするポリヌクレオチドまたはこのようなポリヌクレオチドの相補物はまた、治療目的のために使用され得る。前立腺腫瘍抗原の発現はアンチセンス技術により調整され得、この技術は、前立腺腫瘍抗原をコードする遺伝子の制御、5’または調節領域に対する相補ポリヌクレオチド(すなわち、アンチセンスDNAまたはRNA)により遺伝子発現を制御する。例えば、本発明のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列の5’コード部分を使用して、長さが約10〜40塩基対のアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計する。転写開始部位に由来するオリゴヌクレオチド(例えば、開始部位から−10位と+10位の間)が好ましい。アンチセンスDNAオリゴヌクレオチドは、転写に関与する遺伝子領域に相補的であるように設計され(Leeら、Nucl.Acids Res.6:3073(1979);Cooneyら、Science 241:456(1988);およびDervanら、Science 251:1360(1991))、それにより転写およびその後の前立腺腫瘍抗原生成を妨げるか、または防止する。アンチセンスRNAオリゴヌクレオチドはインビボでmRNAにハイブリダイズし、そしてmRNA分子の前立腺腫瘍抗原タンパク質への翻訳をブロックする(Okano,J.Neurochem.56:560(1991))。アンチセンス構築物は当該分野で公知の手順により細胞に送達され得、その結果、アンチセンスRNAまたはDNAはインビボで発現され得る。
【0170】
本発明の治療ポリヌクレオチドは、適切な薬学的キャリアと組み合せて使用され得る。このような組成物は、治療的に有効な量の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む。このようなキャリアは、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびその組み合わせを含むが、それらに限定されない。その処方は、投与形式に従って選択される。
【0171】
前立腺腫瘍抗原ポリペプチド、ならびにその生物学的活性を調整するアゴニストまたはアンタゴニストポリペプチドは、インビボでのこのようなポリペプチドの発現(すなわち「遺伝子治療」)により本発明に従って使用され得る。患者に由来する細胞は、エキソビボで、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)を取り込むように操作され得、次いで、この操作された細胞は患者に投与される。このような処置方法は当該分野で公知である。例えば、細胞は、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含むレトロウイルス粒子の使用により操作され得る。
【0172】
あるいは、細胞は、当該分野で公知の手順により、インビボでのポリペプチド発現のためにインビボで操作され得る。例として、本発明のポリペプチドをコードするRNAを含むレトロウイルス粒子を生成し得るプロデューサー細胞は、細胞操作および発現のために患者に投与され得、両方の工程はインビボで起こる。細胞を操作するための発現ビヒクルは、レトロウイルス以外、例えば、適切な送達ビヒクル中での後のインビボ投与のために、インビトロまたはインビボで細胞を操作するために使用され得るアデノウイルスであり得る(例えば、Griscelliら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 95:6367−6372(1998)を参照のこと)。
【0173】
前立腺腫瘍抗原ポリペプチドまたはその任意の改変形態をコードする核酸はまた、トランスジェニック動物または「ノックアウト」動物のいずれかを作製するために使用され得、次に、これらの動物は、治療上有用な試薬の開発およびスクリーニングに有用である。トランスジェニック動物(例えば、マウスまたはラット)はトランスジーンを含む細胞を有する動物であり、このトランスジーンは、動物または出生前(例えば、胚段階)の動物の原型(ancestor)に導入された。トランスジーンは、トランスジェニック動物が発生する細胞のゲノムに組込まれたDNAである。前立腺腫瘍抗原をコードするcDNAは確立した技術に従ってゲノムDNAに取り込まれ得、このゲノムDNAを使用して、前立腺腫瘍抗原を発現する細胞を含むトランスジェニック動物を作製する。トランスジェニック動物(特に、マウスおよびラットのような動物)を作製するための方法は、当該分野で慣習的になっており、そして例えば、米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号に記載される。このようなトランスジェニック動物は、特定の前立腺腫瘍抗原をコードするDNAの改変した発現の効果を調べるために使用され得る。このような動物は、例えば、特定の前立腺腫瘍抗原の発現または過剰発現と関連する病理学的状態からの保護を付与すると考えられる試薬に対する試験動物として使用され得る。従って、動物は試薬で処置され、そしてトランスジーンを有する非処置動物と比較した、特定の前立腺腫瘍抗原と関連する病理学的状態の発生数の低減は、その病理学的状態に対する治療介入の可能性を示す。
【0174】
あるいは、前立腺腫瘍抗原の非ヒトホモログは、選択された前立腺腫瘍抗原をコードする欠損遺伝子または変えられた遺伝子を有する、「ノックアウト」動物を構築するために使用され得る。例えば、前立腺腫瘍抗原をコードするcDNAは、確立した技術に従って、前立腺腫瘍抗原をコードするゲノムDNAをクローニングするために使用され得る。前立腺腫瘍抗原をコードするゲノムDNAの一部は、欠失されるか、または別の遺伝子(例えば、組込みをモニターするために使用され得る選択マーカーをコードする遺伝子)で置換され得る。代表的には、数キロ塩基の変えられていない隣接DNA(5’および3’末端の両方)がベクターに含まれる(例えば、ThomasおよびCapecchi,Cell 51:503(1987)を参照のこと)。このベクターは胚性幹細胞株に導入され、そして導入DNAが内因性DNAと相同組換えした細胞が選択される(例えば、Liら、Cell 69:915(1992)を参照のこと)。次いで、選択された細胞は動物(例えば、マウスまたはラット)の胚盤胞に注射されて、凝集キメラを形成する(例えば、Bradley,TERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS:A PRACTICAL APPROACH,E.J.Robertson編,(IRL,Oxford),113−152(1987)を参照のこと)。次いで、キメラ胚は適切な雌の里親動物に移植され得、そして胚は、「ノックアウト」動物を生み出すために出産予定日まで育てられ得る。それらの生殖細胞に相同組換えDNAを有する子供は、標準的な技術により同定され得る。ノックアウト動物は、例えば、選択された前立腺腫瘍抗原と通常関連する病理学的状態の非存在のために特徴づけられ得る。
【0175】
(B.ポリペプチド)
同様に、本明細書中で提供される全長ヌクレオチド配列、および時には部分的なヌクレオチド配列の知識は、本明細書中に記載のヌクレオチドによりコードされる種々のポリペプチドを同定するための基礎を提供する。このようなポリペプチド抗原またはその免疫原性フラグメントは、例えば、生物に存在する腫瘍細胞を根絶する目的のための、宿主生物において免疫応答(体液性または細胞性)を誘発するために、あるいは治療のためのまたは本発明に従う診断キットにおける使用のための、ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体生成を刺激するために使用され得る。本発明のポリペプチドは、非常に多くの使用(腫瘍特異的抗原に対するワクチンの生成における有用性を含むが、それらに限定されない)を有する。このようなワクチンは、標的生物において体液性(抗体)または細胞性免疫応答を生じるように処方され得る。一般的に、ワクチン組成物は、全長ポリペプチドまたは抗原性ペプチドを用いて生成され得、ここで後者は、一般的に免疫原性キャリアに結合され、そして細胞性免疫刺激組成物は、本明細書中に参考として援用される共有に係る同時係属米国特許出願第08/579,823号に記載のような方法に従って生成され得る。
【0176】
本発明に従うポリペプチドはまた、検出方法(例えば、ラジオイムノアッセイに基づく診断アッセイおよびELISAに基づく診断アッセイ)において有用性を見出し得る。このようなポリペプチドはまた、このようなアッセイにおける試薬として使用される抗体を生成するために使用され得る。このようなアッセイの準備および最適化は、アッセイ開発の当業者の技術範囲内である。
【0177】
本発明はまた、前立腺腫瘍抗原についてのレセプターを同定するための方法を含む。前立腺腫瘍抗原レセプターをコードする遺伝子は、当業者に公知の非常に多くの方法(例えば、リガンドパンニング(ligand panning)およびFACS選別(Coliganら、Current Protocols in Immunol.1(2),第5章(1991)))により同定され得る。好ましくは、発現クローニングが使用され、ここでポリアデニル化RNAは前立腺腫瘍抗原応答性細胞から調製され、そしてこのRNAから創作されたcDNAライブラリーはプールに分けられ、そしてこれを使用して、COS細胞または前立腺腫瘍抗原非応答性の他の細胞をトランスフェクトする。ガラススライド上で増殖されたトランスフェクト細胞は、標識された前立腺腫瘍抗原に暴露される。前立腺腫瘍抗原は、種々の手段(ヨウ素化、または部位特異的プロテインキナーゼの認識部位の封入を含む)により標識され得る。固定化およびインキュベーション後、スライドは、オートラジオグラフ分析に供される。陽性プールは同定され、そしてサブプールは調製され、そして反復サブプーリング(sub−pooling)および再スクリーニングプロセスを用いて再トランスフェクトされ、最後に、推定レセプターをコードする単一クローンを得る。
【0178】
レセプター同定のための代替アプローチとして、標識された前立腺腫瘍抗原は、レセプター分子を発現する細胞膜または抽出調製物と光親和性結合され得る。架橋材料はPAGEにより分離され、そしてX線フィルムに暴露される。前立腺腫瘍抗原−レセプターを含む標識複合体は切り出され、ペプチドフラグメントに分離され、そしてタンパク質微量配列決定に供され得る。微量配列決定から得られたアミノ酸配列は、cDNAライブラリーをスクリーニングして推定レセプターをコードする遺伝子を同定するための、1セットの縮重オリゴヌクレオチドプローブを設計するために使用され得る。
【0179】
本発明はまた、前立腺腫瘍抗原活性に対して調整効果を有する分子(例えば、合成薬物、抗体、ペプチド、または他の分子)(例えば、前立腺腫瘍抗原−レセプターのアゴニストまたはアンタゴニスト)を同定するための方法を含む。
【0180】
前立腺腫瘍抗原が別のタンパク質に結合する場合、例えば、前立腺腫瘍抗原がレセプターとして機能する場合、前立腺腫瘍抗原は、結合相互作用に関与し得る他のタンパク質または分子を同定するためのアッセイにおいて使用され得る。このような方法により、レセプター/リガンド結合相互作用のインヒビターが同定され得る。このような結合相互作用に関与するタンパク質はまた、この結合相互作用の、ペプチドもしくは小分子インヒビターまたはアゴニストをスクリーニングするために使用され得る。
【0181】
スクリーニングアッセイは、ネイティブな前立腺腫瘍抗原またはこのような前立腺腫瘍抗原のレセプターの生物学的活性を調整する化合物を見出すように設計され得る。好ましいスクリーニングアッセイは、それらを小分子薬物候補物の同定に特に適切にする、化学薬品ライブラリーの高スループットスクリーニングに従う。意図される小分子は、合成有機化合物または無機化合物を含む。アッセイは、タンパク質−タンパク質結合アッセイ、生化学的スクリーニングアッセイ、イムノアッセイ、および細胞に基づくアッセイ(これらの全ては当該分野において十分に特徴付けられている)を含む、種々の形式で行われ得る。
【0182】
(C.抗体)
前立腺腫瘍抗原ポリペプチドはまた、抗体を作製するために使用され得るが、前立腺腫瘍抗原ポリペプチドは、少なくとも1つのエピトープまたは決定基を、図9A〜Cまたは11のいずれか1つに示される全長タンパク質配列と共有しなければならない。本明細書中の「エピトープ」または「決定基」は、抗体を作製および/または結合するタンパク質の一部を意味する。従って、大抵の場合、より小さな前立腺腫瘍抗原ポリペプチドに対して作られた抗体は、全長タンパク質に結合し得る。エピトープは独特であることが好ましく;すなわち、独特のエピトープに対して作製された抗体は、他の抗原とほとんどまたは全く交差反応性を示さない。言い換えれば、本発明の抗体は前立腺腫瘍抗原に特異的に結合する。本明細書中の「特異的に結合する」は、抗体が、少なくとも106〜108Mの範囲の結合定数でタンパク質に結合することを意味し、好ましい範囲は107〜109Mである。
【0183】
本発明の抗前立腺腫瘍抗原抗体は種々の有用性を有し、例えば、それらは、前立腺腫瘍抗原の存在についての(例えば、特定の細胞、組織、および/または血清における発現を検出するための)診断アッセイにおいて使用され得る。当該分野で公知の種々の診断アッセイ(例えば、競合結合アッセイ、直接または間接サンドイッチアッセイ、および不均一相または均一相いずれかにおいて行われる免疫沈降アッセイ(Zola,MONOCLONAL ANTIBODIES:A MANUAL OF TECHNIQUES,CRL Press,Inc.,147−158(1987)))が使用され得る。このような診断アッセイにおいて使用される抗体は、検出可能な標識で標識され得る。検出可能な標識は、直接的または間接的のいずれかで、検出可能なシグナルを生じ得るべきである。例えば、検出可能な標識は、放射性同位体(例えば、3H、14C、32P、35Sもしくは125I)、蛍光もしくは化学発光化合物(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、もしくはルシフェリン)、または酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼ)であり得る。抗体を検出可能な標識に結合するために、当該分野で公知の任意の方法(Hunterら、Nature 144:945(1962);Davidら、Biochemistry 13:1014(1974);Painら、J.Immunol.Meth.40:219(1981)およびNygren,J.Histochem.and Cytochem.30:407(1982)に記載される方法を含む)が使用され得る。
【0184】
抗前立腺腫瘍抗原抗体は、組換え細胞培養物または天然供給源からの前立腺腫瘍抗原のアフィニティ精製に有用である。このプロセスにおいて、前立腺腫瘍抗原に対する抗体は、当該分野で周知の方法を用いて適切な支持体(例えば、Sephadex樹脂または濾紙)上に固定化される。次いで、固定化抗体は、精製される前立腺腫瘍抗原を含むサンプルと接触させられ、その後、支持体は、固定化抗体に結合している前立腺腫瘍抗原を除くサンプル中材料を実質的に全て除去する適切な溶媒で洗浄される。最後に、支持体は、前立腺腫瘍抗原を抗体から放出する別の適切な溶媒で洗浄される。
【0185】
本発明の前立腺腫瘍抗体は、この抗体が特異的に反応する前立腺腫瘍抗原の生物学的機能を低減または排除し得る。すなわち、ポリクローナルまたは好ましくはモノクローナル抗前立腺腫瘍抗原抗体の、前立腺腫瘍レセプターを含む細胞への添加は、前立腺腫瘍の存在と関連する病理を低減または排除し得る。一般的に、活性の少なくとも50%の減少が好ましく、少なくとも約75%がより好ましく、少なくとも約85〜90%が特に好ましく、そして約95〜100%の減少がとりわけ好ましい。
【0186】
抗前立腺腫瘍抗体組成物は、当該分野で公知の方法に従って、特異性、効力、組織代謝を確かめるために、そして投薬量を見積もるために、疾患の適切なインビトロおよびインビボ動物モデルにおいて試験される。
【0187】
抗前立腺腫瘍抗体組成物は、一貫したおよび予測可能な濃度の抗体を標的組織において提供するように設計された多数の経路および方法のうちのいずれかにより投与され得る。抗体組成物は、単独で、あるいは他の薬剤(例えば、安定化化合物)と組み合せて、および/または他の薬学的薬剤(例えば、薬物もしくはホルモン)と組み合せて投与され得る。治療値(therapeutic value)は、前立腺腫瘍抗原に特異的な1つ以上の抗体を投与することにより達成され得る。このような抗体は、腫瘍抗原とそのレセプターとの相互作用の防止に有用であり得る。
【0188】
ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体は、本発明の治療適用に好ましい。この抗体は、代表的に、約1〜15mg/kg被験体体重の量でIV注射により滅菌溶液として投与されるが、他の非経口投与経路が適切であり得る。適切な処置レジメは、選択された特定の抗体の親和性、選択された投与経路、用量、および患者の状態に依存して変化する。これらのパラメーターは、日常的な実験を用いて当業者により容易に決定可能である。1つの例示的な方法において、抗体処置は、抗体を腫瘍部位に投与することにより腫瘍増殖を阻害するために使用され、そしてこのような投与は治療改善が見られるまで続けられる。
【0189】
処置方法における使用のための治療組成物は、滅菌した注射可能な溶液中の抗体、経口送達ビヒクル中の抗体、または噴霧形態のポリペプチドを含み得、全ては周知の方法に従って調製される。このような組成物は、治療的に有効な量の抗体、および薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を含む。このようなキャリアは、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびその組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0190】
以下の例は例示的な目的のためだけに提供され、そしていかようにも本発明の範囲を限定することが意図されない。
【0191】
本明細書中に引用された全ての特許および参考文献は、それらの全体が参考として本明細書により援用される。
【0192】
(IV.材料および方法)
(A.ディファレンシャルディスプレイ検出キットおよびプライマー)
市販のディファレンシャルディスプレイ検出キット「HIEROGLYPH mRNA Profile System」(GENOMYX Corp.,Foster City,CA)を使用して、前立腺腫瘍細胞に特異的なポリヌクレオチドを同定した。このシステムは、2連のサンプル間で優れた再現性を有する、長さが1.2〜1.5kbまでのcDNAフラグメントを生成するように設計されている。HIEROGLYPHアンカー(anchored)プライマーは、フラグメント/ベクターサブクローニングを必要としない、最初のmRNA転写物の3’末端からの指向性配列決定を可能にする17ntのT7 NAポリメラーゼプロモーター由来部位(ACGACTCACTATAGGGC;配列番号12)を取り込んでいる。HIEROGLYPHシステムにおいて使用するアービトラリー(arbitrary)5’プライマーのコアアニーリング配列は、長さが10塩基である。20個の異なるアービトラリー上流プライマーを使用する。アービトラリープライマー(ARP)は、最初の転写物の5’末端からの指向性配列決定を可能にする、M13ユニバーサル逆(148)24マープライマー配列の16ntセグメント、ACAATTTCACACAGCA(配列番号13)を取り込んでいる。従って、各々のARPは、長さが26ntである。
【0193】
(B.差引き(subtracted)前立腺cDNAの富化)
「高度に富化された」差引き前立腺cDNAを、Clontech Laboratories(Palo Alto,CA)からのcDNAサブトラクションキットに詳述される方法により調製した。簡単には、テスターcDNAを、正常ヒト前立腺ポリA+RNAから調製した;目的の組織特異的配列を含むcDNA集団。ドライバー(driver)cDNAを、10個の異なる組織(脾臓、胸腺、脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、卵巣、胎盤、および骨格筋を含む)から調製したポリA+RNA混合物から調製した。サブトラクティブ(subtractive)ハイブリダイゼーションおよび一次PCRを、これらの2つの集団を用いて行った。
【0194】
(C.前立腺腫瘍特異的核酸のクローニング)
全てのクローニング手順を、市販のキットを用いて、製造者により提供されるプロトコルに従って行った。差引き前立腺DNAを、「Clontech PCR選択cDNAサブトラクションキット」(Clontech,Palo Alto,CA)を用いて作製した。サブクローニング手順を、「TAクローニングキット」(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて行った。
【0195】
(実施例1)
(前立腺腫瘍細胞からの遺伝子の分子クローニング)
正常前立腺、前立腺ガン腫細胞株LNCaP(ATCC CRL 1740;American Type Culture Collection;Rockville,MD)、およびHeLa細胞のmRNA発現パターンを、上記のHIEROGLYPH mRNA Profile Systemを用いてディファレンシャルディスプレイ(DD)により比較した。全手順を、本質的に、パッケージの挿入物として提供され、そして本明細書中に参考として援用される製造者の説明書に記載されるように行った。簡単には、DNAを含まない総RNAを、SNAP Total RNAキット(Invitrogen,San Diego,CA)を用いて細胞株から単離した。前立腺組織由来RNAを、Clontech,Inc.(Palo Alto,CA)から商業的に得、そしてゲノムDNA汚染物を除去するためにRNAseを含まないDNAseで処理した。質的に、このRNAは、1.8を超える最小OD260/OD280比を有した。このRNAは、電気泳動分析によりインタクトであることが決定された。
【0196】
RNA転写物の第1鎖cDNAコピーを、市販の転写酵素(「SUPERSCRIPT」,Life Technologies,Rockville,MD)、およびHIEROGLYPHキットにおいて提供される3’「アンカー」プライマーを用いて作製した。反応を、42℃で1時間行った。次いで、逆転写RNAを、10個のアンカー3’プライマーおよび4個のアービトラリー5’プライマーの2つ一組の組み合わせを有する2連反応を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅に供した。アンカープライマーは、逆転写酵素反応において使用したものと同一であった。反応混合物中に、AMPLITAQ DNAポリメラーゼおよび[α−33P]dATPもまた存在した。4回のPCRサイクルを46°で行い、そして25サイクルを60°で行った。反応産物を、4.5%および/または6%HR−1000ゲルでの電気泳動により分離し、続いて得られたゲルのオートラジオグラフィーを行った。
【0197】
20のプライマー組み合わせを、計120のPCR反応について、3つのmRNA供給源各々からの2連の実験において評価した。スクリーニングレジメから作製したDD−PCRフラグメントを、33(genomyxLRおよびHR−1000ゲルを用いた61cmゲル)でのゲル電気泳動により分析した。ゲルのオートラジオグラフを、前立腺ガン腫細胞株サンプルLnCaPのみにおいて特異的に発現するが、HeLaガン腫または正常前立腺において発現しないバンドについて分析した。これらの基準を満たす計54のDD産物を同定し;バンドをゲルから切り出し、そしてPCRにより再増幅した。PCR産物をアガロースゲル電気泳動を介して精製し、そして5’末端を、ジデオキシターミネーターを用いるサイクルシークエンス法によるDNA配列決定に供した。配列を、54のフラグメントの全てについて得た。54個のフラグメントは35個の異なるmRNA転写物を示し、これを、GenBank、GenBank EST部、およびEMBLの毎日更新されるデータベース発表と比較した。BLASTNまたはTBLASTXアルゴリズムを用いた有意なデータベース適合の欠如により証明されるように、計8個のmRNA/CDNAが新規であると見出された(実施例2、配列番号1〜4、6〜8)。配列番号5は、この方法により、チレドキシンレダクターゼ遺伝子ファミリーの新規メンバーと同定された。
【0198】
(実施例2)
(選択されたヌクレオチド配列のスクリーニング)
(A.配列番号1〜8の配列同一性スクリーニング)
ヌクレオチド配列を、NCBI Entrez NR(1997年5月6日;309920配列)およびNCBI Entrez EST(1997年5月6日;10155474配列)データベース発表に対して、BLASTNおよびTBLASTXアルゴリズムを用いてスクリーニングした。配列番号1〜4および6〜8は、いずれの既知の配列とも有意な配列類似性を有さないことが見出された。配列番号5は、BLASTNにより、特徴付けられていないマウスESTと実質的な相同性(約78%)を有することが見出された。配列番号5から推定され、本明細書中に配列番号9〜11として援用されるアミノ酸配列もまた、TBLASTXにより、マウスおよびヒトチオレドキシンレダクターゼの一部との相同性を有することが決定され、これは、検出されたヌクレオチド配列が、チオレドキシンレダクターゼ遺伝子ファミリーの新規メンバーをコードすることを示唆する。
【0199】
(B.SP 1−4配列の配列同一性スクリーニング)
SP 1−4ヌクレオチド配列(配列番号14)を、NCBI Entrez NRおよびNCBI Entrez ESTデータベース発表(1998年7月1日)に対して、BLASTNおよびTBLASTXアルゴリズムを用いてスクリーニングした。配列番号14およびその部分配列は、任意の既知の核酸配列と約45%未満の配列同一性を有することが見出された。推定SP 1−4アミノ酸配列である配列番号15は、配列番号15のアミノ酸1〜1095と1998年7月1日の「non−redundant GenbankCDS translations+PDB+SwissProt+Spupdate+PIR」データベースとを比較する検索においてBLASTPアルゴリズムを用いて、配列の全長にわたって任意の既知のポリペプチドと約30%未満の配列同一性を有することが見出され、これは、SP 1−4ヌクレオチド配列が新規タンパク質をコードすることを示唆する。
【0200】
(実施例3)
(ヒトSP 1−4 cDNAの分子クローニング)
(A.最初の部分cDNA挿入物の単離)
前立腺特異的部分cDNA配列が高度に富化されたヒト差引き前立腺cDNAを、以下のプライマー対:
NP1 5’−TCGAGCGGCCGCCCGGGCAGGT−3 ’(配列番号16)
NP2 5’−AGGGCGTGGTGCGGAGGGCGGT−3 ’(配列番号17)
を用いて、以下の熱サイクリングプロフィール:94℃10秒;68℃30秒;72℃5分を使用する11サイクルで、Perkin−Elmer GeneAmp9600Cyclerにおいて増幅した。この後に、72℃5分でさらに1回行った。産物を、pCR2.1 TAクローニングベクター(Invitrogen,San Diego,CA)に連結し、そしてE.coliに形質転換した。個々のアンピシリン耐性細菌形質転換体を、以下のプライマー対:
M13逆 5’−CAGGAAACAGCTATGA−3’(配列番号18)
M13正 5’−GTAAAACGACGGCCAGTG−3’(配列番号19)
および以下の熱サイクリングプロフィール:94℃15秒;55℃30秒;72℃1分を用いて、挿入物の存在についてPCRによりスクリーニングした。この後に、72℃6分でさらに1回行った。pCR2.1プラスミド中の最初のSP 1−4挿入物(配列番号29)を、ABI 373 DNA配列決定機において、M13逆プライマー(配列番号18)およびM13−20プライマー(配列番号19)を用いて配列決定した。最初のSP 1−4挿入物(配列番号29)は、配列番号14のヌクレオチド1534〜1875に対応する。DNA配列を、Sequencher3.0(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MI)を用いて分析した。
【0201】
(B.全長SP 1−4 cDNAの単離)
正常ヒト前立腺ポリA+RNAに由来するマラソン(marathon)cDNAを、5’および3’両方のRapid Amplification of cDNA Ends(RACE、Frohmanら、Proc.Nat.Acad.Sci.85:8998−9002(1988),Clontech Laboratories,Palo Alto,CA)を行うために調製した5’RACEを、以下のプライマー対:
AP1 5’−CCATCCTAATACGACTCACTATAGGGC−3’(配列番号20)
A79331 5−GCCGAGTAATAGGAGACACGTCGTGG−3’(配列番号21)
を用いて行った。
【0202】
3’RACEを、以下のプライマー対:
AP1 5’−CCATCCTAATACGACTCACTATAGGGC−3’(配列番号20);および
A79326 5−TGGAAACTGGTTGCGAACTTCCG−3’(配列番号22)
を用いて行った。
【0203】
全RACE反応の熱サイクリングプロフィールは、Advantage cDNA Polymerase Mix(Clontech Laboratories,Palo Alto,CA)を用いて、94℃15秒;68℃4分の30サイクルであった。それぞれ、約4kbおよび1.6kbの5’および3’RACE産物を、アガロースゲル電気泳動により単離し、pCR2.1 TAベクター(Invitrogen,San Diego,CA)に連結し、そしてコンピテントE.coli細胞に形質転換した。個々のアンピシリン耐性細菌コロニーを、5’RACE産物については以下のプライマー対:
AP2 5’−ACTCACTATAGGGCTCGAGCGGC−3’(配列番号23)
A79331 5’−GCCGAGTAATAGGAGACACGTCGTGG −3’(配列番号21)、
そして3’RACE産物については以下のプライマー対:
AP2 5’−ACTCACTATAGGGCTCGAGCGGC−3’(配列番号23)
A79328 5’−CAAAGTCATTTGGCAGCAGACCAGG−3’(配列番号24)
を用いて、94℃15秒;55℃30秒;72℃1分の35サイクル、続いて72℃6分でさらに1回の熱サイクリングプロフィールを使用して、挿入物の存在についてPCRによりスクリーニングした。PCR産物をアガロースゲル電気泳動により分離し、そして個々の細菌形質転換体を、プラスミドDNA調製前に、液体培養(アンピシリン100μg/mlを補充したLuria−Broth)中で増殖させた。個々のRACE産物の完全DNA配列を、カスタムDNAプライマーおよびPrimer Island Transposition Kit(Perkin−Elmer/Applied Biosystems Division,Foster City,CA)と組み合わせてABI 373 DNA配列決定機を用いて、自動化蛍光配列決定により決定した。
【0204】
SP 1−4 cDNAと呼ぶ全5668塩基対のヌクレオチド配列を、図10(配列番号14)に示す。この配列は、ヌクレオチド43〜45位に明らかな翻訳開始部位を有し(Kozakら、Nucl.Acids Res.12:3873−3893(1984))、ヌクレオチド3328〜3330位に停止コドンを有する(図10)、単一オープンリーディングフレームを含む。
【0205】
図11に示す全長SP 1−4タンパク質(配列番号15)は、1095アミノ酸長である。SP 1−4タンパクのアミノ酸配列の重要な領域は、アミノ酸732〜748、846〜876、681〜703、789〜805、944〜971、820〜837、および999〜1015それぞれに対応する膜貫通領域、ならびにアミノ酸6、75、247、308、812、925、1041、および1063それぞれから始まる潜在的なN−グリコシル化部位を含む。クローンpCR2.1/SP 1−4(5’RACE、配列番号27)およびpCR2.1/SP 1−4(3’RACE、配列番号28)はATCCに寄託されており、そしてそれぞれ、ATCC寄託番号98829および98829を割り当てられている。
【0206】
(実施例4)
(ヒトSP 1−4の発現)
(A.RT−PCR)
第1鎖cDNA合成を、ヒトポリA+RNAおよびSMART PCR cDNA Synthesis Kit(Clontech Laboratories,Palo Alto,CA)を用いて調製した。以下のプライマー対:
A80552 5’−GATTTTCACCAATGACCGCCG−3’(配列番号25);および
A80553 5’−CCCCAGCAGCATTGATGTCG −3’(配列番号26)
を使用して、94℃15秒;65℃15秒;72℃30秒(30サイクル)、続いて72℃6分でさらに1回の熱サイクリングプロフィールを用いて発現を評価した。増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分離し、そして臭化エチジウム染色および紫外線により視覚化した。
【0207】
以下の表1に示すように、非常に多くのサンプルを増幅し、そしてSP 1−4特異的mRNA発現を、RT−PCRにより、精巣および前立腺組織、ならびに結腸直腸腺ガン細胞株(SW480)、黒色腫組織サンプル(G361)、および前立腺ガン腫細胞株であるLNCaPにおいて明瞭に検出した。
【0208】
【表1】
【0209】
(B.核酸ハイブリダイゼーション)
差引きライブラリーから単離した最初の挿入物を、ノーザンブロットおよびRNAドットブロット分析のためのハイブリダイゼーションプローブとして使用した。フラグメントを32P−dCTPでランダムプライマー標識し、G−50マイクロスピンカラムにおいて精製し、そしてExpressHyb Hybridization Solution(Clontech Laboratories,Palo Alto,CA)を用いて68℃で2〜4時間、フィルターにハイブリダイズさせた。フィルターを、2×SSC(1×SSC=150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム)、0.1%SDSで室温で30分、0.5×SSC、0.1%SDSで室温で30分、そして0.5×、0.1%SDSで65℃で30分、連続して洗浄した。オートラジオグラフィーを、Kodak XARフィルムおよびシグナル増感スクリーンを用いて、1時間〜1日、−70℃で行った。
【0210】
非常に多くの組織(以下の表2および3に示すように成人起源および胎児起源の両方)のヒトRNAドットブロットおよびノーザンブロット分析の結果は、それぞれ、SP 1−4特異的mRNAが前立腺組織において優先的に発現されることを示す。
【0211】
【表2】
【0212】
【表3】
【0213】
本発明を特定の方法および実施態様に関して記載してきたが、一方、種々の改変および変化は本発明を逸脱することなくなされ得ることが認識される。
【0214】
【表4】
【0215】
【表5】
【0216】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本明細書中で配列番号1として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図2】 図2は、本明細書中で配列番号2として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図3】 図3は、本明細書中で配列番号3として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図4】 図4は、本明細書中で配列番号4として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図5】 図5は、本明細書中で配列番号5として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図6】 図6は、本明細書中で配列番号6として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図7】 図7は、本明細書中で配列番号7として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図8】 図8は、本明細書中で配列番号8として同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図9】 図9A〜9Cは、配列番号5に由来する3つのペプチドの配列を、配列番号9(9A)、配列番号10(9B)、および配列番号11(9C)として示す。
【図10】 図10は、配列番号14として本明細書中で同定された、本発明の前立腺腫瘍由来ポリヌクレオチドの配列を示す。
【図11】 図11は、配列番号14に由来し、そして配列番号15として同定されたポリペプチドの配列を示す。配列番号14の予測した5’および3’非翻訳領域は小文字で示され、43〜3227位のオープンリーディングフレームは大文字で示され、そして本来の部分cDNAフラグメント(配列番号29)は、下線で示される。
【配列表】
Claims (13)
- 配列番号14のヌクレオチド43〜3327、配列番号14のヌクレオチド43〜3327に対して少なくとも90%の配列同一性を有する単離されたポリヌクレオチドの相補体、または少なくとも30ヌクレオチド長のその連続するフラグメントに、少なくとも95%の配列同一性を有する、単離されたポリヌクレオチドであって、ここで%同一性が、FASTA Version 2.0の一式のプログラムのようなパラメーターセットに見出されるLALIGNプログラムを用いて、BLOSUM50マトリックス、2のktupおよび−12/−2のギャップペナルティーであるデフォルトパラメーターを用いて計算されるものであって、該単離されたポリヌクレオチドは、配列番号14のヌクレオチド43〜3327に対して、5×SSPE中での65℃におけるハイブリダイゼーションおよび0.1×SSPE中で65℃の洗浄条件という高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするものである、単離されたポリヌクレオチド。
- 請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドがRNA分子である、単離されたポリヌクレオチド。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクターであって、該核酸が、該ベクターで形質転換された宿主細胞によって認識される制御配列に作動可能に連結されている、ベクター。
- 請求項3または4に記載のベクターを含む、宿主細胞。
- 前立腺腫瘍抗原ポリペプチドを産生するためのプロセスであって、該プロセスは以下の工程:
(a)該前立腺腫瘍抗原ポリペプチドの発現に適切な条件下で請求項5に記載の宿主細胞を培養する工程;および
(b)該前立腺腫瘍抗原ポリペプチドを、細胞培養物から回収する工程、
を包含する、プロセス。 - 図11(配列番号15)のアミノ酸残基1〜1095、および少なくとも10アミノ酸長のその連続するフラグメントと、少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する単離された前立腺腫瘍抗原ポリペプチドであって、該ポリペプチドが抗原性である、ポリペプチド。
- 請求項7に記載のポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
- 図11(配列番号15)のアミノ酸残基1〜1095を含む、単離された前立腺腫瘍抗原ポリペプチド。
- 異種アミノ酸配列に融合した請求項9に記載の前立腺腫瘍抗原ポリペプチドを含む、キメラ分子。
- 請求項9に記載の前立腺腫瘍抗原ポリペプチドに特異的に結合する、抗体。
- 個体中の前立腺腫瘍抗原の発現を検出するための方法であって、該方法は以下の工程:
(a)第1の個体由来の組織中の前立腺腫瘍抗原の発現を測定する工程であって、該前立腺腫瘍抗原は、配列番号15のポリペプチド配列と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチド配列を有する、工程;ならびに
(b)該発現と、第2の罹患していない個体由来の組織中の該前立腺腫瘍抗原の発現とを比較する工程であって、ここで該第1の個体からの該前立腺腫瘍抗原の発現が、該第2の個体中の前立腺腫瘍抗原の発現よりも多い場合、該第1の個体は、前立腺腫瘍抗原関連状態の危険性がある、工程、
を包含する、方法。 - 組織サンプル中の腫瘍細胞を検出する方法であって、該方法は以下の工程:
(a)該サンプルから生成された核酸を、2つのプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する工程であって、該2つのプライマーは、配列番号14、または該配列の1つの部分を選択的に増幅するように設計される、工程;ならびに
(b)該配列の少なくとも1つに対応する増幅産物またはその増幅された部分の存在を検出する工程、
を包含する、方法。
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