JP4233361B2 - 配送拠点立地決定装置、決定方法、及びプログラム - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、配送対象物品を届先へ配送するための配送拠点(物流施設)の立地を決める配送拠点立地決定装置、決定方法、及びこれらのプログラムに関する。詳しくは、配送対象物品の届先へ該物品の配送許容時間内に配送でき、且つ、配送拠点数がより少なくて足りるように配送拠点(物流施設)の立地を決める配送拠点立地決定装置、決定方法、及びこれらの装置や方法を実現するためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
多数の届先へ物品を配送するための複数の配送拠点を最適に立地する手法は知られていない。
このため、建設用の土地が有る等の偶然的な要素や、大体この辺りなら他の配送拠点との関係で重複も無く配送に適しているだろう等のような勘に頼って各配送拠点の立地を決めているのが実情である。このため、全体的なコストやサービス(注文を受けてから届けるまでの時間)に鑑みると立地は必ずしも最適ではなく、無駄な立地も多いと思われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、多数の届先へ物品を配送するための複数の配送拠点の立地を最適に決め得るようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記[1]〜[9]のように構成される。
[1]構成1:
所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定装置であって、
所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持し、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持し、前記所定の地域の単位領域で区分された地図を保持し、前記各届先の位置を保持し、前記所定の配送範囲規定時間を保持し、所定の立地間隔上限値を保持する、記憶装置と、
隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に各配送拠点候補を配置する拠点候補配置手段と、
届先と配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り、各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求め、その総和を当該届先と当該配送拠点候補の間の移動所要時間として所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行する2地点間所要時間演算手段と、
前記所定の記憶装置に記憶した届先と配送拠点候補の間の移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該届先を当該配送拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行する配送先候補決定手段と、
前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行する重複配送先候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶する抹消拠点候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する配送拠点決定手段と、
を有することを特徴とする配送拠点立地決定装置。
【0005】
届先とは、本発明により設定される複数の配送拠点の中の何れかから物品又はサービスを届けるべき相手先をいう。物品又はサービスを届ける方向は、通常は配送拠点から届先へ向かう方向であるが、届先の側から配送拠点へ出向く場合をも含んでよい。届先は、具体的な所在地を持つ既存の相手先でもよく、所在地を仮に与えて想定した相手先でもよい。サービスには、例えば、消防や救急或いは警察等の公共的なサービスを含んでもよい。
所定の配送許容時間を持つ物品とは、注文や要請を受けた時から或る所定の時間(配送許容時間)内に注文や要請の対象の物品又はサービスを届けるべきことが必須である物品又はサービスをいう。ここで、「必須である」とは、配送許容時間内に届けることができなければ当該物品やサービスが無意味と化すような場合を当然に含むが、そのような場合ばかりでなく、例えば、コストや顧客の要請等に鑑みてユーザが適宜に配送許容時間を設定した場合をも含む。つまり、通常の用語法では「必須である」ではなく「望まれる」と表現されるような場合であっても、ユーザの意志で適宜の配送許容時間を設定してよい。
配送拠点とは、注文や要請を発した相手先へ当該注文や要請にかかる物品又はサービスを届ける時の出発点となる基地をいう。物品を受け取ったりサービスを受けたりする目的地であってもよい。
隣接する配送拠点候補間の間隔とは、或る配送拠点候補に注目したとき、当該配送拠点候補に最も近い配送拠点候補との間隔をいう。また、「近い」とは、時間的に近いこと、又は、距離的に近いことをいう。
所定の立地間隔上限値とは、所定の立地間隔上限時間、又は、所定の立地間隔上限距離である。
配送拠点候補から届先までの移動所要時間は、所定の記憶手段に予め記憶していてもよく、その都度、所定の演算で求めてもよい。
所定の配送範囲規定時間とは、各配送拠点候補が受け持つべき配送範囲の最遠地(各方向での最遠地;本装置のユーザが意志で決める最遠地)を規定する時間である。配送範囲規定時間としては、例えば、配送許容時間を採用することができる。即ち、往路で配送許容時間を使い果たす範囲までを配送範囲として規定することもできる。また、配送許容時間の1/2の時間を採用することもできる。即ち、往復で配送許容時間を使い果たす範囲までを配送範囲として規定することもできる。また、配送許容時間を円周とする円(サービスリードタイム円(S/L円);後述)の直径の範囲まで(=S/L円の直径を半径とする円内)を配送範囲として規定することもできる。なお、何れの場合も例外を認めてもよい。例えば、一つ又は少数の届先が他の届先から離れて孤立しており、当該一つ又は少数の届先のために配送拠点候補を設けることはコスト的に不利であると想定されるような場合に、当該一つ又は少数の届先については、配送範囲規定時間を無視するような例外を認めてもよい。また、上記は何れも一例を示すものであり、配送範囲規定時間の決め方が上記に限定されないことは勿論である。
配送先とは、配送拠点候補の中から本発明により設定される複数の配送拠点の中の特定の配送拠点から物品又はサービスを届けるべき相手先(または、複数の配送拠点の中の特定の配送拠点に於いて物品を受け取ったりサービスを受けたりする相手の出発点である住所や居所)をいう。換言すれば、管轄する配送拠点が一意に決められた届先をいう。
【0006】
配送拠点立地決定装置の機能を、図1を参照して説明する。
図1は、届先(図内「○」で示す)が分布する地域を所定距離間隔(例:10km間隔)の格子で区分して各格子点に配送拠点候補(図内「●」で示す)を仮に配置し、各配送拠点候補について、その配送範囲(配送範囲規定時間で規定される領域)をそれぞれ図示したものである。図示の例では、当該地域に配置すべき配送拠点の総数を当該地域の面積及び人口密度を考慮して経験則に基づいて決定し、該決定した総数を、当該地域を均等にカバーするように割り当てることによって格子間隔(配送拠点候補の立地間隔)を決めている。即ち、立地間隔上限値の単位として、距離を採用している。なお、経験則上の配送拠点の総数は、配送対象の物品によってそれぞれ異なる。また、人口密度は、現在の人口密度でもよく、推計による将来の人口密度でもよい。
本明細書では、配送拠点候補Gij(ここでのi,jは任意数)の配送範囲内に位置する届先を、配送拠点候補Gijの配送先候補という。なお、管轄の配送拠点を一意にきめられた届先を配送先ということは、先述のとおりである。
【0007】
図1に於いて、配送範囲を実線で示した各配送拠点候補G11,G12,G13,G22,G23,G31,G33,G41,G42では、配送範囲内の届先の中の少なくとも一つは、当該配送拠点候補の配送範囲にのみ含まれる。
これに対して、配送範囲を破線又は一点鎖線で示した配送拠点候補G21,G32,G43では、配送範囲内の届先の全てが、当該配送拠点候補の配送範囲のみならず近隣の配送拠点候補の配送範囲にも重複して含まれている。
【0008】
例えば、配送拠点候補G21では、その配送範囲(破線で示す範囲)に、下記3個の届先a,b,cが含まれている。
届先aは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補G11の配送先候補でもある。
また、届先bは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内下方位置にて隣接する配送拠点候補G31の配送先候補でもある。
また、届先cは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内右下方に位置する配送拠点候補G32の配送先候補でもある。
このように、配送拠点候補G21では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
【0009】
また、配送拠点候補G32では、その配送範囲(一点鎖線で示す範囲)に、下記8個の届先c,d,e,f,g,h,i,jが含まれている。
上述のように、届先cは配送拠点候補G32の配送先候補であると同時に、図内左上方に位置する配送拠点候補G21の配送先候補でもある。
届先d,eは、配送拠点候補G32の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補G22の配送先候補でもある。
また、届先e,f,g,hは、配送拠点候補G32の配送先候補であると同時に、図内右方位置にて隣接する配送拠点候補G33の配送先候補でもある。
また、届先iは、配送拠点候補G32の配送先候補であると同時に、図内右下方に位置する配送拠点候補G43の配送先候補でもある。
また、届先jは、配送拠点候補G32の配送先候補であると同時に、図内下方位置にて隣接する配送拠点候補G42の配送先候補でもある。
このように、配送拠点候補G32では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
また、届先cは、全ての配送先候補が近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている配送先拠点であるところの配送先拠点G21及びG32のみに重複して含まれている。
【0010】
また、配送拠点候補G43では、その配送範囲(破線で示す範囲)に、下記4個の届先i,k,l,mが含まれている。
先述のように届先iは、配送拠点候補G43の配送先候補であると同時に、図内左上方に位置する配送拠点候補G32の配送先候補でもある。
届先k,lは、配送拠点候補G43の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補G33の配送先候補でもある。
また、届先mは、配送拠点候補G43の配送先候補であると同時に、図内左方位置にて隣接する配送拠点候補G42の配送先候補でもある。
このように、配送拠点候補G43では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
また、届先iは、全ての配送先候補が近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている配送先拠点であるところの配送先拠点G32及びG43のみに重複して含まれている。
【0011】
本発明の配送拠点立地決定装置では、配送拠点設定手段が、
(1)各届先が何れかの配送拠点候補の配送先候補として網羅される配送拠点候補の組み合わせを全て求め、
(2)その中で配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求め、
(3)配送拠点候補数が最小の組み合わせを構成する各配送拠点候補を各々配送拠点として設定する。
以下、図1の配送拠点候補の組み合わせについて検討する。
【0012】
G11〜G43の全てを含む組み合わせ(C1):
配送拠点候補G11〜G43の全てを含む組み合わせ(C1)に於いて各届先を何れかの配送拠点候補の配送先候補として網羅することは、隣接する配送拠点候補間の間隔を適正に設定する(格子間隔が所定の立地間隔上限値(立地間隔上限距離)を越えないように設定する)ことによって可能となる。
図1では、格子間隔が適正に設定されているものとする。したがって、12個の配送拠点候補G11〜G43の全てを含む組み合わせ(C1)は、各届先を何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅する。なお、当然ながら、この組み合わせ(C1)が持つ配送拠点候補数は12個である。
【0013】
G11〜G43からG21を除いた組み合わせ(C2):
前述のように、配送拠点候補G21では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。このため、当該近隣の配送拠点候補を組み合わせに含むことを条件に、配送拠点候補G21を組み合わせから除くことが可能である。換言すれば、12個の配送拠点候補G11〜G43の中から配送拠点候補G21のみを除いた組み合わせ(C2)もまた、各届先を何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅する。なお、この組み合わせ(C2)が持つ配送拠点候補数は11個である。
【0014】
G11〜G43からG32を除いた組み合わせ(C3):
同様に、配送拠点候補G32では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。このため、12個の配送拠点候補の中から配送拠点候補G32のみを除いた組み合わせ(C3)もまた、各届先を何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅する。なお、この組み合わせ(C3)が持つ配送拠点候補数は11個である。
【0015】
G11〜G43からG43を除いた組み合わせ(C4):
同様に、配送拠点候補G43では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。このため、12個の配送拠点候補の中から配送拠点候補G43のみを除いた組み合わせ(C4)もまた、各届先を何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅する。なお、この組み合わせ(C4)が持つ配送拠点候補数は11個である。
【0016】
G11〜G43からG21とG32を除いた組み合わせ(C5):
全ての配送先候補が近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている配送拠点候補G21及びG32を除いた組み合わせ(C5)では、配送先拠点G21及びG32のみに重複して含まれている届先cが網羅されない。したがって、この組み合わせ(C5)は採用できない。
【0017】
G11〜G43からG21とG43を除いた組み合わせ(C6):
全ての配送先候補が近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている配送拠点候補G21及びG43を除いた組み合わせ(C6)では、配送先拠点G21及びG43のみに重複して含まれている届先は無い。したがって、12個の配送拠点候補の中から配送拠点候補G21及びG43のみを除いた組み合わせ(C6)もまた、各届先を何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅する。なお、この組み合わせ(C6)が持つ配送拠点候補数は10個である。
【0018】
G11〜G43からG32とG43を除いた組み合わせ(C7):
全ての配送先候補が近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている配送拠点候補G32及びG43を除いた組み合わせ(C7)では、配送先拠点G32及びG43のみに重複して含まれている届先iが網羅されない。したがって、この組み合わせ(C7)は採用できない。
【0019】
G11〜G43からG21とG32とG43を除いた組み合わせ(C8):
全ての配送先候補が近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている配送拠点候補G21、G32、及びG43を除いた組み合わせ(C8)では、届先cと届先iが網羅されない。したがって、この組み合わせ(C8)は採用できない。
【0020】
G21、G32、G43以外を除いた組み合わせ群(C9):
G21、G32、G43以外の配送拠点候補は、何れも、当該配送拠点候補の配送範囲内にのみ含まれる届先を持つ。したがって、G21、G32、G43以外の配送拠点候補の何れかを除いた組み合わせでは、網羅されない届先が発生する。したがって、この組み合わせ群(C9)は採用できない。
【0021】
以上の検討結果からわかるように、組み合わせ(C1)〜(C4)、及び(C6)では、各届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。また、これらの組み合わせの中で配送拠点候補数が最小となる組み合わせは(C6)である。このため、配送拠点設定手段は、組み合わせ(C6)を構成している10個の配送拠点候補G11、G12、G13、G22、G23、G31、G32、G33、G41、G42を、配送拠点として設定する。
【0022】
上記の議論が基づいている図1は、先述のように、立地間隔上限値の単位として距離を採用している。言い換えれば、立地間隔上限値として、所定距離を採用している。これに対して、立地間隔上限値の単位として時間を採用する場合、例えば、配送拠点候補間の間隔(格子間隔)として所定の移動所要時間を採用する場合を、図2に示す。図2(a)は時間地図表現、図2(b)は時間地図表現(a)から変換した距離地図表現である。ここで、時間地図とは、図上の各位置相互間の距離が、各位置相互間を所定の移動手段(例:配送用のトラック等)で移動した場合の移動所要時間に比例するように、各位置を配置した地図をいう。なお、図2内の各記号等の意味は、図1と同様である。
【0023】
図2では、隣接する配送拠点候補間の間隔は、その間を所定の移動手段(オートバイ/トラック/貨車/貨物船/飛行機等;配送対象地域の広さ,届先の分布状態,配送対象の物品等に応じて適宜に決められる移動手段)で移動する場合の移動所要時間が、所定の立地間隔上限値(立地間隔上限時間)を越えない範囲の或る所定時間とされている。
【0024】
また、図2(a)に於いて、各円の半径は、配送範囲規定時間を表す。換言すれば、図示の各円は、配送範囲規定時間で規定される配送範囲を示している。
いま、配送範囲規定時間をTgとすると、図2では、隣接する配送拠点候補間の間隔(格子間隔)Dは、
【数1】
D=2Tg/21/2・・・・(1)
で表される。なお、配送範囲規定時間Tgとして配送対象の物品の配送許容時間を採用してもよいことは、先述のとおりである。
配送許容時間をTpとすると、上記(1)式は、
【数2】
D=2Tp/21/2・・・・(2)
のように記述される。
【0025】
図2に於いて、配送範囲を実線で示した各配送拠点候補g11,g12,g13,g22,g23,g31,g33では、配送範囲内の届先の中の少なくとも一つは、当該配送拠点候補の配送範囲にのみ含まれる。
これに対して、配送範囲を破線で示した配送拠点候補g21,g32では、配送範囲内の届先の全てが、当該配送拠点候補の配送範囲のみならず近隣の配送拠点候補の配送範囲にも重複して含まれている。
【0026】
例えば、配送拠点候補g21では、その配送範囲(破線で示す範囲)に、下記3個の届先p,q,rが含まれている。
届先pは、配送拠点候補g21の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補g11の配送先候補でもある。
また、届先qは、配送拠点候補g21の配送先候補であると同時に、図内右方位置にて隣接する配送拠点候補g22の配送先候補でもある。
また、届先rは、配送拠点候補g21の配送先候補であると同時に、図内下方位置にて隣接する配送拠点候補g31の配送先候補でもある。
このように、配送拠点候補g21では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
【0027】
また、配送拠点候補g32では、その配送範囲(破線で示す範囲)に、下記6個の届先s,t,u,v,w,xが含まれている。
届先t,u,vは、配送拠点候補g32の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補g22の配送先候補でもある。
また、届先w,xは、配送拠点候補g32の配送先候補であると同時に、図内右方位置にて隣接する配送拠点候補g33の配送先候補でもある。
また、届先sは、配送拠点候補g32の配送先候補であると同時に、図内左方位置にて隣接する配送拠点候補g31の配送先候補でもある。
このように、配送拠点候補g32では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
【0028】
以下、図1の場合と同様の手順で配送拠点候補の組み合わせを検討することにより、図2の場合、即ち、立地間隔上限値の単位として時間を採用し且つ立地間隔上限値を配送許容時間に基づいて決める場合にも、各届先を1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅し且つ配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求めることができる。図2の場合、g11〜g33からg21とg32を除いた組み合わせが、求める解となる。即ち、配送拠点設定手段は、g11、g12、g13、g22、g23、g31、g33を、配送拠点として設定する。
【0029】
[2]構成2:
所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定装置であって、
前記所定の地域の単位領域で区分された地図と、前記各届先の位置と、前記所定の配送範囲規定時間と、所定の立地間隔上限値と、所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持する距離時間記憶手段と、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持する単位道路記憶手段と、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に配置された配送拠点候補と前記届先とを結ぶ経路を前記単位領域で区切り各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求めその総和を当該配送拠点候補と当該届先の間の移動所要時間とする処理を配送拠点候補と届先の組み合わせを変えて順に実行することにより構成した2地点間所要時間記憶手段と、を保持する記憶装置と、
前記2地点間所要時間記憶手段が配送拠点候補と届先に対応付けて保持する移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該移動所要時間が対応付けられている届先を当該移動所要時間が対応付けられている配送拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行する配送先候補決定手段と、
前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行する重複配送先候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶する抹消拠点候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する配送拠点決定手段と、
を有することを特徴とする配送拠点立地決定装置。
【0030】
[3]構成3:
構成1又は構成2に於いて、
前記記憶装置は、前記立地間隔上限値として所定の立地間隔上限距離を保持する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定装置。
【0031】
[4]構成4:
構成1に於いて、
前記記憶装置は、前記立地間隔上限値として所定の立地間隔上限時間を保持し、
前記拠点候補配置手段は、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限時間を越えないように前記所定の地域の地図上に各配送拠点候補を配置するに際して、隣接する配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り、各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求め、その総和を当該隣接する配送拠点候補の間の間隔として用いる、
ことを特徴とする配送拠点立地決定装置。
【0032】
[5]構成5:
構成2に於いて、
前記記憶装置は、前記立地間隔上限値として所定の立地間隔上限時間を保持するとともに、隣接する配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求めその総和を当該隣接する配送拠点候補の間の間隔として用いることにより隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限時間を越えないように配置された各配送拠点候補と前記各届先との間の移動所要時間を前記2地点間所要時間記憶手段に保持する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定装置。
【0033】
物品の輸送手段は、配送対象の物品や、配送対象地域の事情(広さ,交通インフラストラクチャー等)に応じて、適宜に選択される。例えば、オートバイ/トラック/貨車/貨物船/飛行機等である。
単位距離は、50m/100m/200m/500m/1km/5km/10km/50km/100km/500km等、配送対象の地域(市街地/郊外/住宅地/商業地等)の移動事情(走行事情)や、選択した輸送手段等に応じて適宜に決めることができる。
【0034】
前記単位距離を、前記輸送手段で移動する場合の所要時間を、単位所要時間と定義する。同地域であっても時間帯や曜日等に応じて移動所要時間が異なる場合がある。そのような場合には、例えば、時間帯別及び/又は曜日別等の単位所要時間を定義してもよい。
単位所要時間としては、例えば、既存のデータ(例:国土交通省提供の道路区間別の走行速度)に基づいて得た移動所要時間を、当該地域担当の宅配便のドライバーの経験値で修正したデータを用いることができる。宅配便のドライバーが走行速度を意識して配送することは稀であるため、担当地域内各区間の平均走行速度については無知なこともある。しかし、配送時間帯や配送予定時刻については意識して配送することが非常に多く、このため、担当地域内各区間の移動所要時間については精度の良い経験上の知識を持っている。このため、上記の如く宅配便のドライバーの経験値で修正したデータを採用することで、精度の良いデータを得ることができる。なお、上記のドライバーにより、オンライン又はオフラインで単位所要時間を適宜に微修正可能に構成してよいことは勿論である。
【0035】
単位領域は、例えば、一定間隔(50m/100m/200m/500m/1km/5km/10km/50km/100km/500km等)の格子で区分した各方形領域とすることができる。この格子間隔は、配送対象の地域(市街地/郊外/住宅地/商業地等)の移動事情(走行事情)や、選択した輸送手段等に応じて適宜に決めることができる。各単位領域は、必ずしも同サイズでなくてもよい。また、必ずしも方形でなくてもよい。例えば、旧住居表示の町名毎や、新住居表示の丁目毎に単位領域を設定してもよい。その場合には、宅配便のドライバーによる更に精度の良い修正を期待できる。また、高速道路の各インター間等を単位領域としてもよい。
【0036】
2地点間を移動する際に通過する各単位領域内の通過長さ(道のり)は、各単位領域内のどの経路を通るかによって異なる。経路を操作者の入力で指定するように構成してもよく、所定の規則で選択するように構成してもよい。所定の規則としては、例えば、最短の経路を選択する規則を挙げることができる。
単位領域内の通過長さに、当該単位領域の単位所要時間を乗算して正規化することで、換言すれば、単位所要時間を乗算して単位距離で除算することで、当該単位領域の通過に要する時間を得ることができる。したがって、2地点間の移動所要時間は、該2地点間を移動する際に通過する各単位領域の通過所要時間の和として求めることができる。
【0037】
隣接する配送拠点候補間の移動所要時間が配送許容時間に基づいて決めた所定の立地間隔上限時間を越えないように配送拠点候補を仮に配置する際には、上記のようにして求めた移動所要時間を用いる。
【0038】
[6]構成6:
所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定方法であって、
記憶装置が、所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持し、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持し、前記所定の地域の単位領域で区分された地図を保持し、前記各届先の位置を保持し、前記所定の配送範囲規定時間を保持し、所定の立地間隔上限値を保持し、
制御装置が、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に各配送拠点候補を配置し、
制御装置が、届先と配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り、各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求め、その総和を当該届先と当該配送拠点候補の間の移動所要時間として所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行し、
制御装置が、前記所定の記憶装置に記憶した届先と配送拠点候補の間の移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該届先を当該配送拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行し、
制御装置が、前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定方法。
【0040】
[7]構成7:
所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定方法であって、
記憶装置が、前記所定の地域の単位領域で区分された地図と、前記各届先の位置と、前記所定の配送範囲規定時間と、所定の立地間隔上限値と、所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持する距離時間記憶手段と、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持する単位道路記憶手段と、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に配置された配送拠点候補と前記届先とを結ぶ経路を前記単位領域で区切り各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求めその総和を当該配送拠点候補と当該届先の間の移動所要時間とする処理を配送拠点候補と届先の組み合わせを変えて順に実行することにより構成した2地点間所要時間記憶手段とを保持し、
制御装置が、前記2地点間所要時間記憶手段が配送拠点候補と届先に対応付けて保持する移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該移動所要時間が対応付けられている届先を当該移動所要時間が対応付けられている配送拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行し、
制御装置が、前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定方法。
前記各構成に於いて、届先は、前記所定の地域を人口分布に基づいて区分してなる小地域毎に各々仮に配置した届先としてもよい。
【0041】
例えば、コンビニや外食等のチェーン小売店、消防署、警察署(交番)、市役所や区役所やその支所、保健所、学校、等の立地を決定する場合には、対象地域内の人口分布に基づいて各小地域を決めるとともに、各小地域内に抽象的な届先位置(当該小地域の代表位置)を決め、各届先位置と各配送先拠点候補との関係を考慮して、前記のように配送拠点の立地を決定すればよい。また、基づく人口分布としては、コンビニ等で対象とする年齢構成等を考慮して、例えば、年齢別や性別等の人口分布、或いは、所得(購買力)を考慮した戸主等の人口分布であってもよい。また、人口分布は、現在の人口分布でもよく、推計に基づく将来の人口分布でもよい。
【0042】
[8]構成8:
コンピュータを、構成1〜構成5の何れかに記載の配送拠点立地決定装置として機能させるためのプログラム。
【0043】
[9]構成9:
構成8のプログラムが記録された記録媒体。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[A]システム構成と機能の概要:
図3は実施の形態のコンピュータシステムを示す。図示のシステムは、制御装置10、補助記憶装置(ハードディスク等)20、作業用等に用いられる主記憶装置(RAM)30、表示装置(CRTディスプレイ,液晶ディスプレイ等)51、印刷装置53、入力装置(キーボード,マウス等)55、通信装置(NCU等)57を有する。なお、図3にはスタンドアローンの構成を示すが、本発明はLAN等で接続された複数のコンピュータで構成されてもよい。例えば、各種のテーブル等をサーバに持つ構成であってもよい。要は、本発明の機能をコンピュータによって実現できるシステム構成であればよい。
【0051】
制御装置10:
制御装置10は、CPUや所定のインターフェース等の公知のデバイスで構成されており、配送拠点立地決定機能11、配送所属決定機能12、配送経路決定機能13、移動所要時間演算機能14、物流コスト算出機能18、物流コスト対照機能19を有する。
また、制御装置10は、前記各装置(制御装置10、補助記憶装置20、主記憶装置30、表示装置51、印刷装置53、入力装置55、通信装置57)の制御機能を有する。
【0052】
配送拠点立地決定機能11は、或る所定の地域内に分布する各届先へ或る所定の配送許容時間を持つ物品を配送するための配送拠点の配置を、最適に決定する機能である。即ち、上記の各届先へ上記の物品を配送許容時間内に配送でき、且つ、配送拠点の総数がより少なくなるように、各配送拠点の立地を決定する機能である。この時、各配送拠点が管轄する届先の候補である配送先候補も、各配送拠点に関してそれぞれ決定される。或る配送先候補が2以上の配送拠点に重複して所属している場合、即ち、或る配送先候補が2以上の配送拠点の配送先候補である場合には、例えば、より近い(時間的に近い/距離的に近い)立地の配送拠点を、当該配送先候補が所属する配送拠点として決定することができる。或いはまた、物流コスト算出機能18により算出する総コストが、より低コストとなるように、所属先の配送拠点を決定することもできる。
【0053】
配送所属決定機能12は、或る配送拠点が管轄する配送先(管轄配送先)の各々を、当該或る配送拠点により行われる配送の何れの回の配送(第1の一巡経路の配送,第2の一巡経路の配送,,,,等)に所属させるかを決定する機能である。換言すれば、各管轄配送先への配送を何れの回の配送で行うべきかを、管轄配送先毎に、それぞれ決定する機能である。所属先の配送回(一巡経路)が確定された管轄配送先を、以下、「配送宛先」という。配送所属決定機能12によって行われる所属先の配送回の決定は、各一巡経路の配送でそれぞれ最大荷量の配送が行われ、且つ、各一巡経路での配送がそれぞれ配送許容時間内に完了するように行われる。また、配送回数がより少なくて足りるように行われる。
【0054】
配送経路決定機能13は、或る配送拠点により行われる或る回の配送(或る一巡経路の配送)に於いて、当該或る回の配送(当該或る一巡経路の配送)に所属させた各配送宛先を、どのような順番で辿るかを決定する機能である。即ち、或る回の配送(或る一巡経路の配送)に所属させた各配送宛先へ物品を配送するときに辿り得る一巡経路としては種々の一巡経路が想定されるのであるが、その中から何れの一巡経路を選択するかを決定する機能である。配送経路決定機能13により行われる一巡経路の選択は、当該一巡経路の配送で最大荷量の配送が行われ、且つ、当該一巡経路の配送が配送許容時間内に完了するように行われる。
配送所属決定機能12と配送経路決定機能13とは相互に補完しつつ機能するものであるため、それぞれ別個の機能として構成してもよいが、一体に融合した機能として構成すると、更に良好に機能させることができる。
【0055】
移動所要時間演算機能14は、2地点間を所定の移動手段(後述の例では「トラック」)で移動する場合の移動所要時間を、当該移動手段用の所定の距離時間テーブルを参照して演算する機能である。距離時間テーブルには、当該移動手段により単位領域内を単位距離移動する場合の移動所要時間が、単位領域毎に保持されている。演算対象の2地点間を結ぶ経路が複数個存在する場合は、その中の何れの経路を演算対象とするかを操作者の入力に従って特定するようにしてもよく、また、所定の規則に従って特定するようにしてもよい。所定の規則とは、例えば、最短距離を選択する規則である。また、有料道路を避ける規則や、有料道路を利用する規則等であってもよい。
【0056】
物流コスト算出機能18は、物流業務を持つ企業に関して、物流施設別の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別且つ物流対象の物品サイズ分類別の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別且つ物品サイズ分類別の単位量(単位個数;作業工程の作業で取り扱う最小単位)当たりの物流コストを、当該企業の損益計算書や貸借対照表等の既存のデータベースから求める機能である。
【0057】
物流コスト対照機能19は、現状の物流ネットワーク(現ネットワーク)から求めた物流コストと、現状の物流ネットワークを改変した後のネットワーク(新ネットワーク)から求めた物流コストを、比較対照する機能である。例えば、配送拠点の立地,各配送拠点の管轄配送先,各配送拠点が持つ移動手段(後述の例では「トラック」)の車格や台数,各配送拠点の管轄配送先それぞれの所属先の配送回や所属先の配送回それぞれに於ける配送順等を、第1の状態(現ネットワーク)に設定した場合と、第1の状態と異なる第2の状態(新ネットワーク)に設定した場合とで、物流コストを比較対照する機能である。
【0058】
補助記憶装置20:
ハードディスク等で構成される補助記憶装置20には、前記各機能を実現するためのアプリケーションプログラムが格納されている。また、補助記憶装置20には、前記各機能に於いて使用される各種のテーブルを持つデータベースが格納されているとともに、前記各機能によって作成された各種のデータが新たにデータベース内の所定のテーブルに記録される。例えば、届先が分布する地域を区分した(後述の例では「メッシュ状に区分した」)各小領域(後述の例では「メッシュ」)内の単位距離移動の所要時間である単位所要時間を小領域毎に保持する距離時間テーブル、一意の単位道路IDに道路名とメッシュIDとメッシュ名と当該道路名の当該メッシュ内の部分の長さを対応付けて保持する道路テーブル、各届先(顧客)の書誌事項(住所,電話番号,位置,名称,管轄配送拠点等)を届先毎に保持する顧客テーブル、届先や配送拠点(配送拠点候補を含む)等の移動所要時間の算出対象となる各地点に関して2地点間の移動所要時間を保持する地点間所要時間テーブル、各配送拠点を持つ企業の損益計算書、貸借対照表等が格納されている。
【0059】
周辺装置:
入力装置55は、前記各機能を実現するために必要なデータや指示をユーザが操作入力するための装置である。
表示装置51は、前記各機能の実現に必要な画面等を表示する装置である。
印刷装置53は、前述の各機能により作成される各種のデータや、前述の各機能の実現に必要な各種のデータを、必要に応じてプリントアウトするために用いられる。
通信装置57は、LANに接続された他のコンピュータシステム(不図示)等や、インターネット等の外部のネットワーク(不図示)に接続された他のコンピュータシステム等との通信のために用いられる。例えば、小領域(メッシュ)内の移動所要時間を当該小領域を含む地域の宅配の担当ドライバーが携帯電話やPDS等の携帯情報端末で送信する構成であれば、その送信データは、通信装置57を介して取り込まれる。
【0060】
[B]移動所要時間演算機能:
図4は、任意の2地点間を所定の移動手段で移動する場合の移動所要時間を演算する手順を示すフローチャートである。所定の移動手段とは、例えば、オートバイ/トラック/貨車/列車/飛行機/貨物船等であるが、本例では、トラックの場合に即して説明する。
【0061】
まず、移動所要時間を演算する対象である2地点を取得する(S01)。この2地点は、例えば、入力装置55から操作者が任意に指定した2地点であってもよい。また、届先や配送拠点(配送拠点候補を含む)等の多数の地点のデータを持つテーブル(例:届先のデータを持つ顧客テーブル/図7右欄)から所定の規則に従って抽出する2地点であってもよい。所定の規則とは、例えば、地点の一方として配送拠点候補を順に抽出し、他方として物品の届先を順に抽出する規則である。ここでの届先は、全ての届先であってもよいが、現在注目している配送拠点候補から所定距離範囲内に位置する届先(=現在注目している配送拠点候補から配送範囲規定時間を大きく逸脱することなく移動可能と推定される距離範囲内に位置する届先)であってもよい。なお、配送拠点立地決定機能を実現する際に届先として後者(所定距離範囲内に位置する届先)を用いると、管轄配送先に成り得ない遠方の届先との間の移動所要時間を演算する手間を省けるため、移動所要時間の演算量を減らすことができる。
移動所要時間を、以下、適宜、時間距離とも呼ぶ。
【0062】
次に、上記ステップS01で取得した2地点を結ぶ経路を構成する1又は2以上の道路名を取得する(S03)。これは、例えば、入力装置55から操作者が任意に指定した経路を構成する1又は2以上の道路名を取得するようにしてもよい。また、上記2地点を結ぶ各経路(各経路は1又は2以上の道路名から構成される)の中から所定の規則に従って本装置が選択した特定の経路を構成する1又は2以上の道路名を取得するようにしてもよい。当然ながら、両方式を組み合わせて用いてもよい。なお、所定の規則としては、例えば、2地点を結ぶ経路群の中から移動距離が最短となる経路を選択する規則を挙げることができる。
【0063】
入力装置55から操作者が任意に指定した経路を構成する1又は2以上の道路名を取得する構成にすると、操作者が本装置との対話方式で複数の経路の候補を指定してそれぞれの移動所要時間を求め、その中から所望の候補を経路として選定するように構成できる。この構成は、例えば、ドライブ計画の立案に有用である。また、取得した経路に有料道路を含む場合には、当該有料道路の料金を所定のテーブルから併せて取得して、算出した料金を移動所要時間とともに表示するようにしてもよい。
【0064】
次に、上記ステップS03で取得した経路を構成する1又は2以上の道路部分を指す1又は2以上の単位道路IDと、当該各単位道路IDに対応付けられている長さ及びメッシュIDを、当該1又は2以上の各単位道路ID毎に、道路テーブル(図7(a))からそれぞれ取得する(S05)。単位道路IDが指す道路部分は、当該道路部分を構成要素とする道路名の道路を、当該単位道路IDに対応付けられているメッシュIDが指すメッシュの境界で区分したものである。以下、単位道路IDが指す道路部分を「単位道路」という。なお、メッシュIDとメッシュ名とは、距離時間テーブル(図8右欄)に於いて対応付けられている。
【0065】
道路名と単位道路IDが指す道路部分(単位道路)との関係を説明する。
図11に示すように、本装置では、交差点−交差点間の道路毎に、それぞれ道路名(ad11,ad12,ec11等)を付与する。また、各道路名を、当該道路名の道路が所属する1又は2以上のメッシュ((a)(b)(c)等)の境界で区切るとともに、区切った各区間(道路部分)をそれぞれ単位道路として扱い、それぞれに一意の単位道路IDを対応付ける(図7(a)参照)。さらに、各単位道路の長さを単位道路IDに対応付けて道路テーブル(図7(a))に保持するとともに、各単位道路に所属メッシュのメッシュIDを対応付けて道路テーブル(図7(a))に保持する。なお、図11の道路名「ad11」等は、図7(a)では道路名「瑞穂ad11」等のように表記している。
【0066】
上述のステップS01〜S05の処理は、図11内の2地点A−B間の移動所要時間を求める具体例では、以下のように説明される。
まず、地点AとBを取得する(S01)。次に、A−B間の経路として、例えば、瑞穂ad14、瑞穂ec12、瑞穂ec11、という道路名を取得する(S03)。道路テーブル(図7(a))に示すように、瑞穂ad14は、単位道路ID「0150218」と「0150219」という2区間(単位道路)から成り、各単位道路は「750m」と「400m」という長さと「001023」と「001024」というメッシュIDを持つ。また、瑞穂ec12は、単位道路ID「0150124」と「0150125」という2区間(単位道路)から成り、各単位道路はそれぞれ「400m」と「200m」という長さと「001022」と「001023」というメッシュIDを持つ。また、瑞穂ec11は、単位単位道路ID「0150121」と「0150122」と「0150123」という3区間(単位道路)から成り、各単位道路はそれぞれ「350m」と「200m」と「300m」という長さと「001025」と「001026」と「001022」というメッシュIDを持つ。ステップS05では、これらの単位単位道路IDと、各単位道路IDに対応付けられている長さ及びメッシュIDを、それぞれ取得する。
【0067】
次に、ステップS05で取得した各単位道路IDに関して、各単位道路IDに対応付けられているメッシュIDをキーとして、各単位道路ID(単位道路)に対応付けられている単位所要時間を距離−時間テーブル(図8右欄参照)からそれぞれ取得するとともに(S07)、該取得した各単位所要時間に対して、各単位所要時間が対応付けられている単位道路ID(単位道路)が持つ長さをそれぞれ乗算して正規化する(単位距離で除算する)ことで、各単位道路IDが指す単位道路での移動使用時間をそれぞれ求める(S09)。この処理(S07〜S09)を、ステップS05で取得した全ての単位道路ID(単位道路)に関して繰り返す(S11)。
ステップS05で取得した全ての単位道路ID(単位道路)に関してステップS07〜S09の処理が終了すると(S11でYES)、単位道路ID(単位道路)別に演算した移動所要時間の総和を求める(S13)。こうして2地点間の移動所要時間を得る。
【0068】
距離時間テーブル:
ここで、距離時間テーブルを説明する。
図8右欄に示すように、距離−時間テーブルでは、一意のメッシュIDに、適用種別ID、メッシュ名、単位所要時間が対応付けられている。前述のように、単位所要時間は、所定の移動手段(本例では「トラック」)で単位距離を移動する場合の所要時間である。また、適用種別IDは、距離時間テーブルの当該レコードが適用される時間帯及び/又は曜日を表す。例えば、適用種別ID=2は、図8(b)の適用種別テーブルに示すように、「平日昼」を表す。したがって、適用種別ID=2を持つレコードは、当該レコードのメッシュIDが持つ単位所要時間が、平日昼の単位所要時間であることを表す。
【0069】
上記ステップS07〜S09の処理は、前述の2地点A−B間の移動所要時間を求める具体例では、以下のように説明される。
瑞穂ad14は、前述のように、単位道路ID「0150218」と「0150219」という単位道路から成り、各単位道路は道路テーブルに示すように「750m」と「400m」という長さと「001023」と、「001024」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001023」と「001024」は、距離時間テーブルに示すようにそれぞれ「120sec」と「110sec」という単位所要時間を持つ。また、単位距離は、本例ではシステム設定で500mとしている。したがって、単位道路ID「0150218」と「0150219」という各単位道路の移動所要時間は、それぞれ「750m×120sec/500m=180sec」と「400m×110sec/500m=88sec」となる。
また、瑞穂ec12は、前述のように、単位道路ID「0150124」と「0150125」という単位道路から成り、各単位道路はそれぞれ道路テーブルに示すように「400m」と「200m」という長さと、「001022」と「001023」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001022」と「001023」は、距離時間テーブルに示すようにそれぞれ「90sec」と「120sec」という単位所要時間を持つ。また、単位距離は、本例ではシステム設定で500mとしている。したがって、単位道路ID「0150124」と「0150125」という各単位道路の移動使用時間は、それぞれ「400m×90sec/500m=72sec」と「200m×120sec/500m=48sec」となる。
また、瑞穂ec11は、前述のように、単位道路ID「0150121」と「0150122」と「0150123」という単位道路から成り、各単位道路は道路テーブルに示すようにそれぞれ「350m」と「200m」と「300m」という長さと、「001025」と「001026」と「001022」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001025」と「001026」と「001022」は、距離時間テーブルに示すようにそれぞれ「90sec」と「90sec」と「90sec」という単位所要時間を持つ。また、単位距離は、本例ではシステム設定で500mとしている。したがって、単位道路ID「0150121」と「0150122」と「0150123」という各単位道路の移動使用時間は、それぞれ「350m×90sec/500m=63sec」と「200m×90sec/500m=36sec」と「300m×90sec/500m=54sec」となる。
【0070】
地点A−B間の移動所要時間は、ステップS13(図4)に示すように、上記演算結果の総和であるから、「180+88+72+48+63+36+54=541sec」として求まる。
以上のようにして、2地点間の移動所要時間を得る。
【0071】
本システムでは、小領域(メッシュ)内の単位距離を所定の輸送手段(トラック)で移動するのに要する時間である単位所要時間として、国土交通省提供の道路別・区間別の走行速度に基づいて得た当該小領域の走行所要時間を、当該小領域での配送を担当しているドライバーの経験値で修正した値から求めた値を採用しているため、良好な精度を得ることができる。
【0072】
また、本システムでは、距離時間テーブルを固定とせず、担当ドライバーからオンライン又はオフラインで入力されるの訂正データに基づいて適宜に更新可能としている。これにより、担当ドライバの思い込みや錯覚等に起因する誤差を適宜に是正することができ、より良好な精度を得ることができる。訂正データの入力は、例えば、携帯電話やPHS或いはその他の移動情報端末を用いて、担当ドライバから本システムに送信することにより行うことができる。
【0073】
時間地図:
次に、時間地図の概念を説明する。
時間地図とは、時間地図上の任意の地点間の距離が、該任意の地点間を配送対象の物品を輸送する手段(オートバイ/トラック/貨車/列車/飛行機/貨物船等)で移動した場合の移動所要時間に比例するように、各地点を配した地図である。したがって、時間帯、曜日、選択する経路等に応じて2地点間の移動所要時間が変わる場合には、時間地図としてもそれぞれ異なったものとなる。
【0074】
時間地図の実体は、本装置では、図9に例示する地点間所要時間テーブルである。この地点間所要時間テーブルは、多数の地点(届先,配送拠点候補)から抽出した多数の2地点間に関して、それぞれ移動所要時間を求めて作成したテーブルである。移動所要時間の算出には、前述の移動所要時間演算機能14を用いている。多数の地点から抽出する2地点間としては、本装置では、配送拠点の決定に必要な2地点間、及び、配送所属・配送経路の決定に必要な2地点間を、少なくとも含む。配送拠点の決定に必要な2地点間については前述の通りである。配送所属・配送経路の決定に必要な2地点に関しては、後述の配送所属決定機能12と配送経路決定機能13の説明中で述べる。
【0075】
本装置では、時間地図によってカバーされる領域は、配送対象の物品の届先が分布する地域に応じて決まる。例えば、名古屋市内全域を配送対象とする配送会社であれば、名古屋市内全域が時間地図のカバー領域となる。同様に、愛知県全域,東海地方全域,中部地方全域,本州全域,日本全域,東アジア全域,アジア全域,全世界等であってもよい。
【0076】
[C]配送拠点立地決定機能:
図5と図6は配送拠点立地決定手順を示すフローチャートである。
まず、隣接する配送拠点候補間の最短距離を与える立地間隔距離と、配送拠点候補から配送を行うべき範囲を定める配送範囲規定時間と、多数の届先各々の位置と、を取得する(S21)。本装置では、複数の配送拠点を立地する立地対象地域に配送拠点候補を均等に配置する(格子点として配置する)ため、立地間隔距離は、各格子点間の最短距離を与える。この立地間隔距離を、本例では、立地対象地域の面積及び人口を考慮して総数を決めた配送拠点候補が立地対象地域内に均等に配置されるように、決めている。また、本例では、配送対象物品の配送許容時間Tpに基づいて決めた配送範囲規定時間内の時間で移動できると推定される距離を立地間隔上限距離として決め、この立地間隔上限距離を越えないように、立地間隔距離を決めている。
【0077】
立地間隔距離や配送範囲規定時間は、例えば、入力装置55から操作者が入力した値を取得するようにステップS21を構成してもよい。また、所定のデータベースに保持している値を取得する構成でもよい。また、配送許容時間Tpを操作者が入力装置55から入力するように構成するとともに、該入力した配送許容時間Tpに基づいて立地間隔距離や配送範囲規定時間を決め、これらを取得するようにステップS21を構成してもよい。或いはまた、配送対象物品を操作者が入力装置55から入力するように構成するとともに、該入力した配送対象物品に対応する配送許容時間Tpを所定のデータベースから取得し、この取得した配送許容時間Tpに基づいて立地間隔距離や配送範囲規定時間を決め、これらを取得するようにステップS21を構成してもよい。
【0078】
多数の届先各々の位置は、例えば、各届先の書誌情報(住所,電話番号,届先名,届先が位置する単位道路の単位道路ID,当該単位道路での届先の位置を単位道路の所定端からの長さで示す単位道路内位置,届けるべき荷量[m3],届けるべき荷量(個数),地点名,等)を届先(顧客)毎に保持している届先テーブル(図7(b);但し図7(b)では「住所」「電話番号」等は不図示)から取得することができる。この届先テーブルのレコードは、適宜に追加/削除可能である。また、この届先テーブルの各レコードの各項目の記録事項は、適宜に修正可能である。例えば、荷量等は注文に応じて適宜に記録される。
【0079】
届先の位置データは、当該届先が位置する単位道路を特定するデータと、当該単位道路上での当該届先の位置(当該単位道路の所定の端部からの道のり)を示すデータから構成される。なお、単位道路とは、前述のように、道路を交差点で区分して交差点間部分毎に道路名を付し、道路名を付した道路部分(交差点間部分)を所属単位領域(メッシュ)で区分してメッシュ部分毎に単位道路IDを付した場合に於ける、各メッシュ部分(単位道路IDに対応付けられる部分)をいう。
【0080】
立地間隔距離と配送範囲規定時間と各届先の位置の取得(S21)後、第1の配送拠点候補の位置を取得する(S23)。例えば、入力装置55から操作者が第1の配送拠点候補として入力した配送拠点候補の位置を取得する。この位置入力は、例えば、画面上に当該立地対象地域の地図を表示して、該地図上で所望の位置をポイントすることで行うように構成してもよい。本例では、図1内左上隅の配送拠点候補G11を取得することとする。
【0081】
次に、各配送拠点候補の位置を演算で求める(S25)。この演算は、ステップS23で取得した第1の配送拠点候補の位置と、ステップS21で取得した立地間隔距離とを用い、且つ、演算の方向及び範囲等を定めた所定の規則に従って行うことができる。例えば、第1の配送拠点候補の位置を配送拠点候補G11の位置として起点位置に設定し、該起点位置から所定方向(例:図1内右方向(又は下方向))へ立地間隔距離だけ離れた位置を配送拠点候補G12(又はG21)の位置として決める。次に、該配送拠点候補G12(又はG21)の位置を起点位置に設定し、該起点位置から同様に所定方向(例:図1内右方向(又は下方向))へ立地間隔距離だけ離れた位置を配送拠点候補G13(又はG31)の位置として決める。以下同様に繰り返し、立地対象地域の端部に達すると、向きを換えて同様に繰り返す。このような処理を繰り返すことにより、各配送拠点候補の位置を決めることができる。
【0082】
なお、ステップS21〜S25の処理に代えて、例えば、全ての配送拠点候補の位置を操作者が入力装置55から入力するように構成してもよい。その場合には、配送拠点候補の配置を必ずしも均等に(格子状に)設定する必要が無く、任意のパターンでの配置が可能となる。
【0083】
或いはまた、立地対象地域の面積と該立地対象地域内の四隅の配送拠点候補の位置とを操作者が入力装置55から入力し、これに基づいて配送拠点候補の総数や更には立地間隔距離を求め、これらから残りの配送拠点候補の位置を決めるように構成することも可能である。
【0084】
各配送拠点候補の位置が決まる(S25)と、次に、配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間を、各配送拠点候補毎にそれぞれ取得する(S27)。望ましくは、配送拠点候補と当該配送拠点候補の近隣の各届先との間の移動所要時間を、各配送拠点毎にそれぞれ取得する(S27)。ここで、近隣の届先とは、注目している配送拠点候補からの移動所要時間が配送範囲規定時間を著しく越えない範囲に位置する届先であり、例えば、注目している配送拠点候補の周囲の4つの格子内領域に位置する届先である。例えば、図1内の配送拠点候補G22であれば、G11・G13・G33・G31で囲まれる方形領域内に位置する届先である。このように移動所要時間を求める範囲を近隣の届先に制限すると、処理の負荷を軽減することができる。なお、全ての届先との間の移動所要時間を取得するようにしてもよいことは勿論である。
【0085】
配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間は、例えば、前記「[B]移動所要時間演算機能」の項で述べた移動所要時間演算機能14により求めて、これを取得するように構成することができる。また、配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間を保持している所定のテーブルから取得するように構成することもできる。後者の場合、当該所定のテーブルとしては、前記「[B]移動所要時間演算機能」の項で述べた移動所要時間演算機能14を用いて作成したテーブルでもよく、他の公知の手法によって作成したテーブルでもよい。
【0086】
次に、上記ステップS27で取得した移動所要時間(配送拠点候補の各々と届先(望ましくは当該配送拠点候補の近隣の届先)との間の移動所要時間)を、前記ステップS21で取得した配送範囲規定時間と比較し(S29)、上記ステップS27で取得した移動所要時間が、前記ステップS21で取得した配送範囲規定時間より小さい場合は(S31でYES)、当該移動所要時間に係る届先を当該移動所要時間に係る配送拠点候補の配送先候補として設定する(S33)。
かかる比較・設定/非設定処理(S29〜S33)を、ステップS27で取得した全ての移動所要時間について実行し、全てについての処理が終了すると(S35でYES)、ステップS37〜S43の処理に進む。
【0087】
ステップS37〜S43の処理は、現在注目している配送先候補が、一つの配送拠点候補のみに所属している配送先候補であるか、又は、2以上の配送拠点候補に重複して所属している配送先候補(重複候補)であるか、を調べるステップである。ここで、「所属している」とは、前記ステップS33の処理により配送拠点候補の配送先候補として設定されていることをいう。
【0088】
まず、現在注目中の配送拠点候補に所属する現在注目中の配送先候補を、別の配送拠点候補に所属する配送先候補と順番に比較し(S37)、合致が検出された場合は(S39でYES)、当該現在注目中の配送先候補を、当該現在注目中の配送拠点と当該別の配送拠点とに重複して所属する配送先候補(重複候補)に設定して、重複先との対応関係を保持する(S41)。
【0089】
かかる比較・重複設定/重複非設定処理(S37〜S41)を、「現在注目中の配送拠点候補に所属する現在注目中の配送先候補」を順に代えて、さらに「現在注目中の配送拠点候補」を順に代えて、実行する。全ての「現在注目中の配送拠点候補に所属する現在注目中の配送先候補」と、全ての「現在注目中の配送拠点候補」に付いて比較・重複設定/非設定処理(S37〜S41)が終了すると(S43でYES)、ステップS45に進む。
【0090】
ステップS45は、所属する配送先候補の全てが重複候補に設定されている配送拠点候補を抽出して、配送拠点抹消候補に設定する処理である。
例えば、図1に於いて、配送拠点候補G21では、所属する配送先候補の全てが重複候補に設定されている。即ち、配送拠点候補G21には、図示のように3個の配送先候補a,b,cが所属している。この中で、配送先候補aは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補G11の配送先候補でもある。また、配送先候補bは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内下方位置にて隣接する配送拠点候補G31の配送先候補でもある。また、配送先候補cは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内右下方に位置する配送拠点候補G32の配送先候補でもある。したがって、配送拠点候補G21では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
同様に、配送拠点候補G32,G43も、所属する配送先候補の全てが重複候補に設定されている。
このため、これらの配送拠点候補G21,G32,G43は、それぞれ配送拠点抹消候補に設定される。配送拠点抹消候補の設定が終了する(S45)と、ステップS47〜S51の処理に進む。
【0091】
ステップS47〜S51は、上記ステップS45で設定した配送拠点抹消候補から選択した何れか1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた配送拠点候補の組合せが、全ての届先を網羅するか否かをチェックし(S47)、網羅する場合に(S49でYES)、当該1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた配送拠点候補の組合せを配送拠点組合せ候補に設定する(S51)処理である。なお、各配送拠点組合せ候補内には、上記で除くように選択した配送拠点抹消候補以外の配送拠点抹消候補は、当然ながら含まれている。
【0092】
例えば、図1に於いて、配送拠点抹消候補G21のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G21のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0093】
また、配送拠点抹消候補G32のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G32のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0094】
また、配送拠点抹消候補G43のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G43のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0095】
しかし、2個の配送拠点抹消候補G21とG32とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G21及びG32のみに重複して所属している届先cが網羅されない。したがって、2個の配送拠点抹消候補G21とG32とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0096】
その一方で、2個の配送拠点抹消候補G21とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、2個の配送拠点抹消候補G21とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0097】
しかし、2個の配送拠点抹消候補G32とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G32及びG43のみに重複して所属している届先iが網羅されない。したがって、2個の配送拠点抹消候補G32とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0098】
また、3個の配送拠点抹消候補G21とG32とG43とのみを除いた9個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G21とG32とG43の何れかのみに重複して所属している届先cと届先iが網羅されない。したがって、3個の配送拠点抹消候補G21とG32とG43とのみを除いた9個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0099】
配送拠点候補から1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除く全ての場合について上述の網羅チェック・配送拠点組合せ候補設定/非設定処理(S47〜S51)が終了すると(S53でYES)、配送拠点組合せ候補として設定された中から当該組合せ候補を構成する配送拠点候補の数が最小である組合せが選択されて、配送拠点組合せに設定される(S55)。
上述の例でいえば、2個の配送拠点抹消候補G21とG43のみを除いた10個の配送拠点候補の組合せが、配送拠点候補の数が最小であるため、配送拠点組合せに設定される(S55)。
以上のようにして、配送拠点が決定される。
【0100】
[D]配送所属決定・配送経路決定機能:
時間円:
時間円とは前述の時間地図上に描いた円である。
本例では、図12に示すように、配送許容時間Tpをπで除算した値であるTp/πを半径rgとする時間円を配送範囲規定時間円Tgとし、その中心Gに配送拠点を置く。また、配送範囲規定時間円Tgの領域内に分布する各届先を当該配送拠点Gの管轄配送先とする。
【0101】
配送範囲規定時間円Tgを上記の如く決める理由を以下に述べる。
物品をトラックに積載して配送拠点を出発し、複数の管轄配送先へ順に配送して配送拠点Gへ戻る配送業務では、出発時に物品を満載し、往路で順に配送を行うとともに、復路も空荷で走行しないで引き続いて積荷の配送を行い、配送拠点Gへ戻り着く直前にトラックが空荷になり、且つ、トラックが空荷になった時点が配送許容時間Tp以下で且つ配送許容時間に近いことが、トラック利用効率の観点から望まれる。
この望ましい配送では、
(イ)1回の配送に於いて、トラックが空荷となる時点である配送拠点Gに戻り着く直前の時点が、当該物品の配送許容時間内Tpに収まることが要求され、且つ、該配送許容時間Tpと略同じであることが望ましい。
また、
(ロ)1回の配送で配送すべき物品の量、換言すれば、1回の配送経路上に在する管轄配送先へ届けるべき物品の量が、トラックの可載容量Q以下であることが要求され、且つ、該可載容量Qと略同じであることが望ましい。
また、前記望ましい配送のための1又は2以上の各々1回分の配送経路は、
(ハ)各々が1回分の配送である上記1又は2以上の配送経路の総和によって当該配送拠点Gの管轄配送先の全てを漏れ無く辿り得ることが必須とされる。
さらに、
(ニ)効率良く配送を行うためには、上記1又は2以上の配送経路によって配送拠点Gの管轄配送先を重複無く辿ること、換言すれば、1の管轄配送先に対しては1回の配送で物品を届けることも要求される。
【0102】
上記(イ)〜(ニ)の要請は、それぞれ下記の手法に言い換え可能である。
(イ)1回の配送経路上に存する管轄配送先を辿る時間距離(移動所要時間=走行所要時間)の総和が配送許容時間Tp以下であることが必須であり、且つ、配送許容時間Tpと略同じになることが望ましい。これを満たすように、当該1回の配送経路と当該1回の配送経路上に含める管轄配送先とを決定する。
(ロ)1回の配送経路上に存する管轄配送先へ届けるべき物品の総量が、トラックの可載容量Q以下であることが必須であり、且つ、可載容量Qと略同じになることが望ましい。これを満たすように、当該1回の配送経路上に含める管轄配送先を決定する。
(ハ)配送拠点Gの管轄配送先の分布領域を、一方の端部から他方の端部へ向けて仮想線で走査し、該仮想線に接触する配送先を順に抽出する。この走査に対して上記(イ)と(ロ)の制約を課すことで、1回分の配送経路用の管轄配送先抽出の区切りを得る。仮想線の走査は、配送拠点Gを起点(中心)とする半径線を一方向へ回転させる走査であることが望ましい。
(ニ)上記の(ハ)と同じである。
【0103】
このため、本例の装置では、上記(イ)〜(ロ)の手法を、それぞれ下記のように具体化する。
(イ)配送拠点Gを出発し、管轄配送先を辿り、配送許容時間Tp以内に当該配送拠点Gへ戻り得る種々の経路を包含する代表軌跡として、円周の長さを配送許容時間Tpに合致させた時間円を採用する。この時間円を、以下、配送経路円という。図12内の時間円Pc,Pc1が、配送経路円に該当する。配送経路円Pc,Pc1の直径は、前記配送範囲規定時間円Tgの半径rgに等しい。
(ロ)管轄配送先へ届けるべき種々の形状の物品の総荷量をトラック積載時の容積に換算する手法として、サイズ分類別のモデル容積と容積膨張率の概念を導入する。これにより、配送先へ届けるべき種々の形状の物品の総荷量と、トラックの可載容量Qと、の大小比較が可能となる。サイズ分類別のモデル容積と容積膨張率については後述する。
(ハ)上記(イ)の配送経路円Pcの直径rgの一端を配送拠点Gに置き、これを前述の管轄配送先抽出走査用の仮想線として採用する。換言すれば、配送経路円Pcの円周上の1点を配送拠点Gに合致させて固定し、該配送拠点Gを中心として配送経路円Pcの直径線(配送範囲規定時間円Tgの半径線)rgを一定方向(例:時計回り)へ回転させて、前述の管轄配送先抽出走査を行う。
上記よりわかるように、配送範囲規定時間円Tg内の領域は、配送経路円Pcを上記の如く回転させた場合に、該配送経路円Pcによって塗りつぶされる領域となる。したがって、配送範囲規定時間円Tg内に分布する管轄配送先は、その全てを、重複無く、配送経路上に含め得ることとなる。
(ニ)上記の(ハ)と同じである。
【0104】
配送所属決定・配送経路決定の概要:
図13と図14は、配送所属&経路の決定手法を示す。
本例の装置では、配送範囲規定時間円Tgの中心G(配送拠点)から半径方向に引いた仮想線rgを、中心Gを回転中心として、図13のように一定方向(図示の例では時計回り)に回転させて配送範囲規定時間円Tg内の管轄配送先を走査し、この走査により抽出される管轄配送先を順に配送経路に組み入れる。
【0105】
管轄配送先の抽出走査に於いて、前記(イ)の配送許容時間Tpの制約と、前記(ロ)のトラック可載容量Qの制約の、何れか一方が満たされると、その時点で、管轄配送先の抽出走査を一旦停止する。即ち、管轄配送先の抽出走査の途中に於いて、(イ)配送拠点Gから抽出した管轄配送先を辿って当該配送拠点Gへ戻る配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が配送許容時間Tpに達すると、又は、(ロ)抽出した管轄配送先へ届けるべき物品の総荷量qがトラックの可載容量Qに達すると、その時点で管轄配送先の抽出走査を一旦停止する。
【0106】
上記の走査により抽出した管轄配送先を辿って配送拠点Gへ戻る一巡経路としては種々の一巡経路が可能である。また、事情によっては、抽出走査を一旦停止させている仮想線rgを挟む1又は少数の管轄配送先を入れ換えた一巡経路を採用する方が良い結果を得る場合もある。本例では、これらの事情を考慮して、採用するべき一巡経路を、下記の手法で決めている。
【0107】
(a)抽出順の配送経路:
まず、走査により抽出した順に管轄配送先を辿って配送拠点Gへ戻る一巡経路を、第1の候補とする。即ち、抽出走査を開始する基準位置(図14の仮想線rgの位置=仮想線rgが上方を向く位置)からの開き角度θの昇順に管轄配送先を辿る一巡経路を、第1の候補とする。図14の例であれば、管轄配送先を、D1,D2,D3,D4,D5,D6の順に辿って配送拠点Gへ戻る破線矢印の経路である。なお、管轄配送先D7は、該管轄配送先D7を今回の配送経路に組み入れると、前記(イ)の配送許容時間Tpの制約、又は、前記(ロ)のトラック可載容積Qの制約が満たされてしまうため、今回の配送経路から除外した管轄配送先である。この管轄配送先D7は、次回の配送経路に組み入れられる。
【0108】
(b)半径方向移動の修正:
走査の抽出順(θの昇順)に設定した配送経路が不適当な場合、例えば、半径方向の比較的長い移動回数が多く、そのため、配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が早期に配送許容時間Tpに達してしまうような場合には、走査の抽出順が比較的早く且つ配送範囲規定時間円Tgの中心寄り位置の管轄配送先から、走査の抽出順が比較的早く且つ配送範囲規定時間円Tgの円周寄り位置の管轄配送先を辿り、さらに、走査の抽出順が比較的遅く且つ配送範囲規定時間円Tgの円周寄り位置の管轄配送先を辿った後、走査の抽出順が比較的遅く且つ配送範囲規定時間円Tgの中心寄り位置の配送先を経て配送拠点Gへ戻る一巡経路を、第2の候補とする。図14内右上に示す実線矢印の経路、即ち、管轄配送先を、D3,D2,D1,D4,D6,D5の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路が、これに該当する。この第2の候補を前記第1の候補と比較して、良い結果を得る方を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。良い結果とは、例えば、移動所要時間の総和を短縮できること、望ましくは移動所要時間の総和を短縮できるため当該1回分の管轄配送先を増加させ得ることをいう。
【0109】
(c)半径方向移動の再修正:
上記(b)の修正では、複数の一巡経路が候補としてピックアップされる場合がある。例えば、図14内の右下に示すD3,D1,D2,D4,D6,D5の順に配送先を辿って配送拠点Gへ戻る実線矢印の経路は、上記(b)の修正によるD3,D2,D1,D4,D6,D5の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路とともに、第2の候補としてピックアップされると考えられる。そのような場合には、配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が短い方の一巡経路を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。
【0110】
(d)停止した抽出走査線を挟む入換修正:
抽出走査を一旦停止させている仮想線rgを挟む1又は少数の管轄配送先を入れ換えてみて、入換後の方が良い結果を得る場合(例:移動所要時間の総和を短縮できる場合/移動所要時間の総和を短縮できるため当該1回分に組み入れる管轄配送先を増加させ得る場合/総荷量を減量できる場合/総荷量を減量できるため当該1回分に組み入れる管轄配送先を増加させ得る場合)には、当該入換後の配送経路を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。
なお、良い結果を得るか否かの評価方式としては、上記以外に、例えば、配送効率を評価する所定の評価式による評価を挙げることができる。
【0111】
(e)非修正/修正/再修正後の微修正:
配送経路の候補を決めた後、さらに、該候補を微修正した配送経路を作成して配送経路の長さ(移動所要時間の総和)を比較し、短い方を採用するように構成してもよい。この微修正の手法としては、例えば、(e1)配送経路上で隣接する2つの管轄配送先の一方を、その近くの管轄配送先と入れ換えてみて、入換後の移動所要時間を比較する手法;(e2)微修正により配送経路の長さ(移動所要時間の総和)を十分に短縮できた場合に、当初に除外した管轄配送先(図14の例では管轄配送先D7)を今回の配送経路に組み入れてみて、組み入れ後の移動所要時間の総和が配送許容時間Tp以下になり、且つ、組み入れ後の荷量の総和がトラックの可載容量Q以下になる場合に、当該当初に除外した管轄配送先を今回の一巡経路に組み入れる手法;等を挙げることができる。
【0112】
(f)抽出走査の再開:
以上のようにして、1回分の配送経路が決まると、一旦停止していた抽出走査を再開し、上記と同様にして、次の1回分の配送経路を決める。図14の例であれば、管轄配送先D7の位置から走査を再開する。但し、前記(d)の入換修正や、上記(e2)の微修正を行った場合は、その事情を考慮して再開する。
また、仮想線rgによる抽出走査が1回転(360°)すると、配送範囲規定時間円Tg内の全ての管轄配送先の所属先の配送経路が決まる。これにより、配送所属決定・配送経路決定処理は終了する。
【0113】
配送所属・配送経路の決定手順:
図15〜図20のフローチャートに即して、多数の届先の中から配送拠点G−aが管轄する管轄配送先を決定し、該決定した管轄配送先へ配送拠点G−aから所定の荷物を配送する経路を決定する手順を説明する。
【0114】
ステップS71〜S77では、配送拠点G−aからの移動所要時間が、配送範囲規定時間円の半径rg(=配送範囲規定時間)以下である各届先を、配送拠点G−aの管轄配送先としてそれぞれ抽出する。
即ち、配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブル(図23(a))から、配送拠点G−aと各届先との間の移動所要時間を抽出し(S71)、該移動所要時間がrg以下であれば(S73でYES)、該届先を配送拠点G−aの管轄配送先として設定する(S75)。例えば、図23(a)では、届先IDが1,2,4〜7,9,10,の各届先は移動所要時間が配送範囲規定時間1.273[hour]以下であるため管轄配送先として抽出されるが、届先IDが3,8の各届先は移動所要時間が配送範囲規定時間1.273[hour]を越えているため抽出されない。かかる処理を全届先について順に実行し、全届先について処理が終了すると(S77でYES)、ステップS79へ進む。
【0115】
ステップS79では、ステップS71〜S75で抽出した各管轄配送先が持つ角度θと荷量をそれぞれ取得する。
管轄配送先が持つ角度θとは、管轄配送先と配送拠点G−aを結ぶ線が、配送拠点G−aを通る所定方向の基準線(例:南北方向に延びる線)と成す角度をいう(図21(a)(b)参照;一般の距離地図と同様に図21(a)(b)では北が上方を向いているものとする)。この角度θは、拠点−届先/所要時間&角度テーブル(図23(a))から取得する。なお、拠点−届先/所要時間&角度テーブルは、本装置がハードディスク20に予め持っていてもよく、届先テーブル(図7(b))が持つ各届先及び各配送拠点の所在地を示すデータ(当該項目は図7(b)では不図示)や移動所要時間演算機能14等を用いて所要のデータを求めてメモリ30上に構成するようにしてもよい。
管轄配送先が持つ荷量とは、配送拠点G−aから当該管轄配送先へ配送すべき荷物の量[m3]である。この荷量[m3]として、本装置では、配送対象の物品が属するサイズ分類(図25(a)参照)に対応付けられているモデル容積及び容積膨張率(図24(a)参照)と、配送対象の物品の個数と、に基づいて求めた値を用いている。即ち、配送すべき物品のモデル容積に、配送すべき個数(配送単位数)を乗算し、さらに容積膨張率を乗算した値を用いている。或るサイズ分類のモデル容積とは、当該或るサイズ分類に属する各種の物品についてそれぞれ実測した物品1個当たり(物品1配送単位当たり)の容積の平均値をいう。実際には、過去の配送実績が上位10位までの各物品について実測した容積の平均値を用いている。また、容積膨張率とは、種々のサイズ分類の物品を所定の比率で混載した場合に於ける嵩の増加量を各サイズ分類についてそれぞれ実測して得たサイズ分類別の補正係数である。所定の混載比率として、本装置では、過去の配送実績での平均的な混載比率を採用している。なお、上記に於いて、配送単位とは、配送作業に於ける当該物品の取り扱いの最小単位をいう。
この荷量を、届先テーブル(図7(b))から取得する。
【0116】
次に、ステップS81に進む。
ステップS81では、まず、ステップS79で取得した管轄配送先をθの昇順に配列する(再配列処理)。なお、図23(a)の拠点−届先/所要時間&角度テーブルでは届先がθの昇順に配列されているためステップS81での再配列処理は一見不要に思われるが、この再配列処理は、配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブルに届先のレコードが後に於いて新たに追加され、その結果、配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブルでの届先の配列がθの昇順で無くなってしまう場合にも対応できるように想定したものである。
再配列処理後、項目として管轄配送先ID・届先ID・角度θ・荷量・経路を持ち、再配列した管轄配送先毎にレコードが構成される角度&荷量テーブル(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブル;図23右欄)を、メモリ上に構成する。管轄配送先IDは、再配列処理後の各管轄配送先に順に割り当てられる一意の識別情報である。この管轄配送先IDは、後述のように、同一配送経路内での配送順を管理するデータとしても用いられる。経路の項目には、当該管轄配送先について作成される1又は2以上の経路、即ち、配送拠点G−aを起点として幾つかの管轄配送先を経て配送拠点G−aに戻る1又は2以上の配送経路の中の何れの配送経路に属するかを示すデータが記録される。
【0117】
次に、ステップS83にて、配送拠点G−aに属する各トラックのトラック可載容量をトラックテーブル(図25(b))から取得する。さらに、ステップS85にて、配送拠点G−aの各管轄配送先相互間の移動所要時間を地点間所要時間テーブル(図11)から取得して、メモリ上に、配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブル(図22)を構成する。なお、この管轄配送先間所要時間テーブルでは、配送拠点G−aも一つの管轄配送先として扱われ、配送拠点G−aと管轄配送先との間の移動所要時間に関するデータも、管轄配送先間の移動所要時間と同様に保持される。
【0118】
配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルと、配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブルとが、上記のようにして作成されると、ステップS87以降の処理を実行する。
【0119】
まず、ステップS87にて、現在の処理対象の経路(当該経路に所属させるべき管轄配送先と、それらを辿る順を決める処理対象の経路)を表す変数jに、初期値「1」をセットする。また、配送宛先(所属させるべき経路が確定された管轄配送先)数の累計値を表す変数kに、初期値「0」をセットする。
【0120】
次に、ステップS89にて、現在の処理対象の経路jに於いて現在注目している管轄配送先を表す変数iに初期値「1」をセットする。また、現在の処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先までの荷量の累計を表す変数qに初期値「0」をセットする。また、現在の処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計を表す変数tに初期値「0」をセットする。
【0121】
各初期値のセット後、ステップS91、S93、S99の処理を、現在の処象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先までの荷量の累計qが当該経路で使用するトラックの可載容量Qを越えるまで(S95でNO)、又は、現在の処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計tが配送許容時間Tpを越えるまで(S97でNO)、繰り返して実行する。
ステップS91は、現在の処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの荷量の累計に、現在注目している管轄配送先の荷量を加えた値を、現在注目している管轄配送先までの荷量の累計qとする処理である。
ステップS93は、現在の処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの移動所要時間の累計に、該直前の管轄配送先と現在注目している管轄配送先との間の移動所要時間を加えた値を、配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計tとする処理である。
ステップS99は、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先を、現在注目している管轄配送先とする処理である。即ち、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先へ、注目を進ませる処理である。
【0122】
上記の繰り返し処理中にステップS95での判定がNOとなった場合、換言すれば、現在の処象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先iまでの荷量の累計qが当該経路で使用するトラックの可載容量を越えた場合は、ステップS101以降へ進む。
【0123】
一方、上記の繰り返し処理中にステップS97の判定がNOとなった場合、換言すれば、現在の処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先iに至るまでの移動所要時間の累計tが配送許容時間Tpを越えた場合は、ステップS141以降へ進む。
【0124】
ステップS101以降の処理(累計荷量オーバーの場合):
現在の処理対象の経路jに於ける第1番目〜第i番目の荷量の累計qがトラックの可載容量Qを越えた場合は(S95でNO)、ステップS101以降の処理が実行される。
ステップS101は、例えば、現在注目している管轄配送先iと、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i+1とを入れ換えてみて、入換後の荷量の累計qが、現在の処理対象の経路jで使用するトラックの可載容量Q以下になるか否かをチェックする処理である。
その結果、入換後の荷量の累計qが、トラックの可載容量Q以下になった場合は(S103でYES)、ステップS105に進む。
一方、入換後の荷量の累計qが、依然としてトラックの可載容量Qを越えている場合は(S103でNO)、現在注目している管轄配送先の前の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i−1と、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先i+1とを入れ換えてみて、同様にチェックする(S101)。
又は、現在注目している管轄配送先iと、現在注目している管轄配送先の次の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i+2とを入れ換えてみて、同様にチェックする(S101)。
上記チェックの結果、入換後の荷量の累計qが依然としてトラックの可載容量Qを越えている場合は(S103でNO)、管轄配送先i−2以前や、管轄配送先i+3以降について、同様にチェックを行う。なお、どの範囲まで遡ってチェックするか、及び、どの範囲まで飛び越えてチェックするかの基準、即ち、ステップS109で所定の入換チェック終了か否かを判定する基準は、システムに予め設定されているものとする。
【0125】
ステップS103で、入換後の荷量の累計qがトラックの可載容量Q以下になったと判定された場合は(S103でYES)、ステップS105に進む。
ステップS105では、配送拠点G−aを出発し、ステップS101での入換処理によって特定されるi個の管轄配送先(所属させるべき経路が確定された管轄配送先=配送宛先)を辿り、配送拠点G−aへ戻るという一巡経路の中で、移動所要時間の累計値tが最小値Tminiとなる一巡経路(最小時間一巡経路)を求める。この処理の詳細は、後述する。
上記に於いて、i個の管轄配送先(配送宛先)とは、例えば、管轄配送先iとi+1とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−1,k+i+1」の管轄配送先である。また、管轄配送先iとi+2とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−1,k+i+2」の管轄配送先である。また、管轄配送先i−1とi+1とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−2,k+i,k+i+1」の管轄配送先である。他の管轄配送先に関する入換を行った場合も同様である。なお、第1の一巡経路を決める処理時点では「k=0」である(ステップS87参照)。
【0126】
ステップS105で求めた移動所要時間の累計値tの最小値Tminiが、配送許容時間Tp以下の場合(S107でYES)、換言すれば、配送拠点G−aを出発し、ステップS101で特定されたi個の管轄配送先(配送宛先)を辿り、配送拠点G−aへ戻る一巡経路であって、移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路の移動所要時間の累計値Tminiが、配送許容時間Tp以下の場合は、ステップS101で行った管轄配送先(配送宛先)の入換を採用する。具体的には、ステップS101で仮に入れ換えてみた2つの管轄配送先の管轄配送先IDを入れ換える(S111)。これにより、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,,k+i」であるi個の管轄配送先が、現在の処理対象の経路jに所属する管轄配送先(配送宛先)として確定される。
【0127】
こうして現在の処理対象の経路jに所属する管轄配送先(配送宛先)が確定すると、次に、それらi個の管轄配送先の管轄配送先IDを、移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路での順番に昇順となるように入れ換える(S113)。即ち、当該最小時間一巡経路でトラックがそれらi個の管轄配送先(配送宛先)を辿る順番で昇順となるように入れ換える。これにより、現在の処理対象の経路jでの辿り順を管轄配送先IDの昇順で管理することが可能となる。
【0128】
また、現在の処理対象の経路jへの所属が決まった上記i個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S115)。
【0129】
次に、ステップS117へ進み、管轄配送先IDがk+i+1以上である各管轄配送先に関して、換言すれば、所属させるべき経路が未確定の各管轄配送先に関して、k+i+1を先頭値として順に1づつ増加する管轄配送先IDを、θの昇順に再設定する。この処理は、その時点での現在の処理対象の経路jから見て次に確定すべき経路に関して、上記と同様にして所属させるべき管轄配送先を決め得るようにするためである。
【0130】
次に、kにk+iを代入し(=所属させるべき経路が確定した管轄配送先である配送宛先の従前の累計数kに、現在の処理対象の経路jに所属させることが確定した管轄配送先の個数iを加えた値で、kを更新し;S119)、さらに、jを1インクリメントし(=現在の処理対象の経路を次に移し;S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。即ち、次の経路に関して、上記と同様に処理を実行する。なお、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに等しくなった場合は(S131でNO)、処理を終了する。
【0131】
一方、前記ステップS109で所定の入換処理が終了と判定された場合、換言すれば、システムに予め設定されている範囲での入換チェックを全て行ったにもかかわらず、i個の管轄配送先の荷量の累計qがトラックの可載容量Qを越えてしまう場合は、現在の処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先を、現在の処理対象の経路jに所属させるべき管轄配送先(配送宛先)として、前記i個の場合と略同様に処理する。即ち、前記i個の場合のステップS105と同様にして移動所要時間の累計値tが最小値Tminiとなる最小時間一巡経路を求め(S121)、前記i個の場合のステップS113と同様にしてi−1個の管轄配送先の管轄配送先IDを移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路での順番に昇順となるように入れ換え(S123)、前記i個の場合のステップS115と同様にして現在の処理対象の経路jへの所属が決まったi−1個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目に各々jを設定し(S125)、さらに、前記i個の場合のステップS119と略同様にkにk+i−1を代入する(S127)。その後、jを1インクリメントし(S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。
【0132】
現在の処理対象の経路jで抽出したi個の管轄配送先を現在の処理対象の経路jに所属させる場合(S111〜S117の場合)に於ける前記ステップS111(入換の確定)やステップS117(未確定の管轄配送先のθの昇順の再設定)に対応する処理が、現在の処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先を現在の処理対象の経路jに所属させる場合(S121〜S125の場合)に無い理由は、後者では管轄配送先の入換を行っていないため、必要が無いからである。
また、前記ステップS81では、1個と1個を入れ換えているが、1個と複数個、又は、複数個と1個や、複数個と複数個を入れ換えて略同様に処理するように構成してもよい。
【0133】
ステップS141以降の処理(累計時間オーバーの場合):
現在の処理対象の経路jに於ける第i番目までの移動所要時間の累計tが配送許容時間Tpを越えた場合は(S97でNO)、ステップS141以降の処理が実行される。
ステップS141は、入換前の一巡経路の移動所要時間の累計値Ta0の初期値として、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i」であるi個の管轄配送先を角度θの昇順に辿る一巡経路での移動所要時間の累計値を初期セットする処理である。ここで、入換前の一巡経路とは、配送拠点G−aから管轄配送先を辿って配送拠点G−aに戻る一巡経路に於いて2個の管轄配送先の順番を入れ換える前の一巡経路をいう。
ステップS143は、入換後の一巡経路の移動所要時間の累計値を求めて、変数Tb0にセットする処理である。ここで、入換後の一巡経路とは、所定の規則で決められる2個の管轄配送先を辿る順番のみを、前回の順番と入れ換えた一巡経路をいう。また、所定の規則とは、例えば、角度θの差が所定値以下である2個の管轄配送先を順番入換対象として抽出する規則、配送拠点G−aとの間の移動所要時間の差が所定値以上である2個の管轄配送先を順番入換対象として抽出する規則、これら2つの規則の論理積として定義される規則、これら2つの規則の論理和として定義される規則、等を例示することができる。この所定の規則はシステムにセットされているものとする。また、前回の順番とは、初回に実行されるステップS143ではi個の管轄配送先をθの昇順に辿る順番であるが、2回目以降に実行されるステップS143では必ずしもθの昇順に辿る順番というわけではない。
【0134】
ステップS145では、上記2つの変数Ta0,Tb0にセットされている値を大小比較する。その結果、「Tb0<Ta0」の場合、即ち、2つの管轄配送先の順番を入れ換えた方が移動所要時間の累計値が小さくなる場合は(S145でYES)、当該2つの管轄配送先の管轄配送先IDを入れ換えるとともに(S147)、変数Ta0の値を変数Tb0の値で更新する(S149)。
【0135】
上記ステップS143〜S149の処理を繰り返すことにより、変数Ta0には、現在の処理対象の経路jに関し、移動所要時間の累計値がより小さい一巡経路の移動所要時間がセットされることになる。なお、前述のステップS85やステップS121の処理は、上記ステップS143〜S149の繰り返し処理と略同様にして実行することができる。
【0136】
所定の入換チェックが終了すると(S151でYES),変数Ta0の値を配送許容時間Tpと比較し、その結果、「Ta0≦Tp」の場合、即ち、移動所要時間の累計値が最小となるように管轄配送先を辿る一巡経路の移動所要時間の累計値が、配送許容時間Tp以下になる場合は(S153でYES)、当該一巡経路で管轄配送先を辿る順と同じ順に当該i個の管轄配送先の管轄配送先IDを再設定するとともに(S155)、上記i個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S157)。ステップS155の処理は前述のステップS113やステップS123と同趣旨であり、ステップS157の処理は前述のステップS115やステップS125と同趣旨である。
なお、上記ステップS153でYESの場合、直ちにステップS155へは進まず、まず、届先(「i+1」番目の届先等)を更に追加できるか否かをチェックして、追加できる場合(=追加しても配送許容時間とトラック可載容量の制限を満たす場合)に当該追加可能な届先を追加する処理を、上記ステップS155の前に置くようにしてもよい。
【0137】
その後、kにk+iを代入し(=所属させるべき経路が確定した管轄配送先である配送宛先の従前の累計数kに、現在の処理対象の経路jに所属させることが確定した管轄配送先の個数iを加えた値で、kを更新し;S119)、さらに、jを1インクリメントし(=現在の処理対象の経路を次に移し;S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。即ち、次の経路に関して、上記と同様に処理を実行する。なお、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに等しくなった場合は(S131でNO)、処理を終了する。
【0138】
一方、前記ステップS153で、「Ta0>Tb0」の場合、即ち、移動所要時間の累計値が最小となるように管轄配送先を辿る一巡経路の移動所要時間の累計値が、依然として配送許容時間Tpより大きい場合は(S153でNO)、現在の処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先について、前記i個の場合と略同様の処理を行う。
【0139】
即ち、前記ステップS141〜S151と略同様にステップS161〜S171の処理を実行することで、変数Ta1に、現在の処理対象の経路jに於いて移動所要時間の累計値が最小となる一巡経路の移動所要時間をセットする。この移動所要時間は、現在の処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iが除かれているため、当然ながら、配送許容時間Tp以下である。
【0140】
次に、当該一巡経路で管轄配送先を辿る順と同じ順に当該i−1個の管轄配送先の管轄配送先IDを再設定するとともに(S173)、上記i−1個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S175)。ステップS173の処理は前述のステップS113やステップS123と同趣旨であり、ステップS175の処理は前述のステップS115やステップS125と同趣旨である。
なお、上記ステップS171でYESの場合、直ちにステップS173へは進まず、まず、届先(「i」番目の届先等)を更に追加できるか否かをチェックして、追加できる場合(=追加しても配送許容時間とトラック可載容量の制限を満たす場合)に当該追加可能な届先を追加する処理を、上記ステップS173の前に置くようにしてもよい。
【0141】
その後、前記i個の場合のステップS119での処理と略同様にkにk+i−1を代入し(S127)。さらに、jを1インクリメントし(S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S111でYES)、前記ステップS89へ戻る。
以上のようにして、多数の届先の中から配送拠点G−aが管轄する配送先を決定し、該決定した管轄配送先へ配送拠点G−aから所定の荷物を配送する経路を決定する処理が実現される。
【0142】
【発明の効果】
前記[8]の構成では、届先が分布する所定の地域に、隣接する配送拠点候補間の間隔が所定の立地間隔上限値を越えないように複数の配送拠点候補を仮に配置し、配送拠点候補から届先までの移動所要時間が所定の配送範囲規定時間内にある届先を当該配送拠点候補の配送先候補として設定する処理を各配送拠点候補について各々実行し、各届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される配送拠点候補の組み合わせの中で配送拠点候補数が最小の組み合わせを求め、該求めた組み合わせを構成する各配送拠点候補を各々配送拠点として設定するため、多数の届先へ物品を配送するための複数の配送拠点の立地を最適に決めることができる。
前記[1]の構成では、多数の届先へ物品を配送するための複数の配送拠点の立地を最適に決め得る装置を提供することができる。
前記[9]の構成では、コンピュータを、多数の届先へ物品を配送するための複数の配送拠点の立地を最適に決め得る装置として機能させるためのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】配送拠点候補の組み合わせの中から配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求める手法を示す説明図。配送拠点候補の立地間隔上限値の単位として距離を採用した場合を示す。
【図2】配送拠点候補の組み合わせの中から配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求める手法を示す説明図。配送拠点候補の立地間隔上限値の単位として時間を採用した場合を示し、(a)は時間地図表現、(b)は(a)から変換した距離地図表現を示す。
【図3】実施の形態の装置の構成を示すブロック図。
【図4】移動所要時間演算手順を示すフローチャート。
【図5】配送拠点立地決定手順を示すフローチャートの一部。
【図6】配送拠点立地決定手順を示すフローチャートの残部。
【図7】道路テーブル(a)と、届先テーブル(b)を例示する説明図。
【図8】距離時間テーブル(a)と、適用種別テーブル(b)を例示する説明図。
【図9】地点間所要時間テーブルを例示する説明図。
【図10】距離地図をメッシュ(単位距離走行に必要な単位所要時間が各々設定されている小領域;図内の破線で囲まれた各小領域)に区分する様子を示す説明図。
【図11】図11内のA地点とB地点の間の時間距離(移動所要時間)を算出する手法を示す説明図。
【図12】周長を配送許容時間Tpに合致させて成る配送経路円Pcに基づいて決める場合の配送範囲規定時間円Tgの説明図。
【図13】配送拠点Gの配送範囲規定時間円Tg内に分布する管轄配送先を仮想線rgの所定方向への回転走査により順に漏れなく抽出する様子を示す説明図。
【図14】図13で抽出した各管轄配送先D1,D2,D3,,,へ配送拠点Gから物品を届けるための配送経路を決める様子を示す説明図。
【図15】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図16】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図17】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図18】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図19】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図20】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの残部。
【図21】配送拠点G−aの管轄配送先と配送経路を決める様子を、距離地図(a)と時間地図(b)を対照して示す説明図。
【図22】配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブルを例示する説明図。
【図23】配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブル(a)と、配送拠点G−aの管轄配送先管理テーブル(b)を例示する説明図。
【図24】物品をサイズに基づいて分類してモデル容積と容積膨張率を対応付けるサイズ分類テーブル(a)と、物品を配送許容時間に基づいて分類して配送許容時間を対応付ける配送時間分類テーブル(b)と、を例示する説明図。
【図25】物品毎にサイズ分類IDと配送時間分類IDを持つ物品テーブル(a)と、トラック毎に所属先の配送拠点を示す配送拠点IDと可載容量を持つトラックテーブル(b)と、を例示する説明図。
【符号の説明】
10 制御装置
11 配送拠点立地決定機能
12 配送所属決定機能
13 配送経路決定機能
14 移動所要時間演算機能
18 物流コスト演算機能
19 物流コスト対照機能
20 補助記憶装置(ハードディスク等)
30 RAM
Claims (9)
- 所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定装置であって、
所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持し、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持し、前記所定の地域の単位領域で区分された地図を保持し、前記各届先の位置を保持し、前記所定の配送範囲規定時間を保持し、所定の立地間隔上限値を保持する、記憶装置と、
隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に各配送拠点候補を配置する拠点候補配置手段と、
届先と配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り、各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求め、その総和を当該届先と当該配送拠点候補の間の移動所要時間として所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行する2地点間所要時間演算手段と、
前記所定の記憶装置に記憶した届先と配送拠点候補の間の移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該届先を当該配送拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行する配送先候補決定手段と、
前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行する重複配送先候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶する抹消拠点候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する配送拠点決定手段と、
を有することを特徴とする配送拠点立地決定装置。 - 所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定装置であって、
前記所定の地域の単位領域で区分された地図と、前記各届先の位置と、前記所定の配送範囲規定時間と、所定の立地間隔上限値と、所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持する距離時間記憶手段と、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持する単位道路記憶手段と、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に配置された配送拠点候補と前記届先とを結ぶ経路を前記単位領域で区切り各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求めその総和を当該配送拠点候補と当該届先の間の移動所要時間とする処理を配送拠点候補と届先の組み合わせを変えて順に実行することにより構成した2地点間所要時間記憶手段と、を保持する記憶装置と、
前記2地点間所要時間記憶手段が配送拠点候補と届先に対応付けて保持する移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該移動所要時間が対応付けられている届先を当該移動所要時間が対応付けられている配送 拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行する配送先候補決定手段と、
前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行する重複配送先候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶する抹消拠点候補決定手段と、
前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する配送拠点決定手段と、
を有することを特徴とする配送拠点立地決定装置。 - 請求項1又は請求項2に於いて、
前記記憶装置は、前記立地間隔上限値として所定の立地間隔上限距離を保持する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定装置。 - 請求項1に於いて、
前記記憶装置は、前記立地間隔上限値として所定の立地間隔上限時間を保持し、
前記拠点候補配置手段は、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限時間を越えないように前記所定の地域の地図上に各配送拠点候補を配置するに際して、隣接する配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り、各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求め、その総和を当該隣接する配送拠点候補の間の間隔として用いる、
ことを特徴とする配送拠点立地決定装置。 - 請求項2に於いて、
前記記憶装置は、前記立地間隔上限値として所定の立地間隔上限時間を保持するとともに、隣接する配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求めその総和を当該隣接する配送拠点候補の間の間隔として用いることにより隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限時間を越えないように配置された各配送拠点候補と前記各届先との間の移動所要時間を前記2地点間所要時間記憶手段に保持する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定装置。 - 所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定方法であって、
記憶装置が、所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持し、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持し、前記所定の地域の単位領域で区分された地図を保持し、前記各届先の位置を保持し、前記所定の配送範囲規定時間を保持し、所定の立地間隔上限値を保持し、
制御装置が、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に各配送拠点候補を配置し、
制御装置が、届先と配送拠点候補を結ぶ経路を前記単位領域で区切り、各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求め、その総和を当該届先と当該配送 拠点候補の間の移動所要時間として所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行し、
制御装置が、前記所定の記憶装置に記憶した届先と配送拠点候補の間の移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該届先を当該配送拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行し、
制御装置が、前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定方法。 - 所定の地域に分布する各届先が何れかの配送拠点から所定の配送範囲規定時間内の位置に含まれるように各配送拠点の立地を決める配送拠点立地決定方法であって、
記憶装置が、前記所定の地域の単位領域で区分された地図と、前記各届先の位置と、前記所定の配送範囲規定時間と、所定の立地間隔上限値と、所定の移動手段により単位領域内の単位距離を移動するときの所要時間である単位所要時間を当該単位領域に対応付けて単位領域毎に保持する距離時間記憶手段と、単位領域で区切られる部分道路である単位道路の長さ及び当該単位道路が所属している単位領域を当該単位道路に対応付けて単位道路毎に保持する単位道路記憶手段と、隣接する配送拠点候補の間隔が前記所定の立地間隔上限値を越えないように前記所定の地域の地図上に配置された配送拠点候補と前記届先とを結ぶ経路を前記単位領域で区切り各部分の移動所要時間をそれぞれの長さと単位所要時間に基づいて求めその総和を当該配送拠点候補と当該届先の間の移動所要時間とする処理を配送拠点候補と届先の組み合わせを変えて順に実行することにより構成した2地点間所要時間記憶手段とを保持し、
制御装置が、前記2地点間所要時間記憶手段が配送拠点候補と届先に対応付けて保持する移動所要時間を前記配送範囲規定時間と比較して、移動所要時間が配送範囲規定時間内であれば、当該移動所要時間が対応付けられている届先を当該移動所要時間が対応付けられている配送拠点候補の配送先候補に設定して所定の記憶装置に記憶する処理を、届先と配送拠点候補の組み合わせを変えて順に実行し、
制御装置が、前記所定の記憶装置に記憶した或る配送拠点候補の配送先候補と別の配送拠点候補の配送先候補との重複を調べ、重複する場合には当該配送先候補を重複候補に設定して当該2つの配送拠点候補に対応付けて所定の記憶装置に記憶する処理を、各配送拠点候補の各配送先候補について実行し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の中から、配送先候補の全てが前記重複候補に設定された配送拠点候補を全て抽出し、それぞれ配送拠点抹消候補に設定して所定の記憶装置に記憶し、
制御装置が、前記所定の地域の地図上に配置した配送拠点候補の全てを含む組合せと、該組合せから1又は2以上の任意の配送拠点抹消候補を除いた組合せの全てとに関し、当該の組合せが前記届先の全てを網羅しているか否かを調べ、網羅していない組合せを除いた中で配送拠点候補の数が最小の組合せを求め、当該組合せを構成している各配送拠点候補をそれぞれ配送拠点に設定する、
ことを特徴とする配送拠点立地決定方法。 - コンピュータを、請求項1〜請求項5の何れかに記載の配送拠点立地決定装置として機能させるためのプログラム。
- 請求項8のプログラムが記録された記録媒体。
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