JP4232350B2 - Norbornene resin and method for producing molded product - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノルボルネン系モノマーをルテニウム錯体触媒によりメタセシス重合させて、ノルボルネン系樹脂及び該樹脂成形品を製造する方法に関する。さらに詳しくは、ノルボルネン系モノマーをルテニウム錯体触媒によりメタセシス重合させるノルボルネン系樹脂及び成形品の製造方法であって、反応遅延効果を有する特定のリン化合物又は一級アミン化合物をルテニウム錯体触媒と併用することを特徴とするノルボルネン系樹脂及び成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ジシクロペンタジエンやトリシクロペンタジエン等のノルボルネン系モノマーを、タングステン系触媒やモリブデン系触媒等のメタセシス重合触媒の存在下に開環重合させる方法により、ノルボルネン系樹脂成形品が工業的規模で製造されている。
【0003】
また、最近になって、ルテニウム又はオスミウム錯体化合物等が優れたメタセシス触媒活性を有すること、及びこれらの化合物がノルボルネン系モノマーの開環重合等の触媒として有用であることが報告されている(米国特許第5710298号、同5849851号公報等参照)。このような錯体触媒は空気中の酸素や水分に対して安定であり、前述のタングステン系やモリブデン系触媒に比べて、一般的に取扱いが容易であるという利点を有している。
【0004】
しかしながら、これらの錯体触媒は粉末状であり、モノマーへの分散・溶解が不十分となる場合がある。そして、局所的な重合が進行してしまい、モノマーとの均一混合が困難となったり、モノマーと触媒とを予め混合しておき、混合液を型内へ注入して成形する場合には、成形型内に注入する前に重合が開始してしまうため、目的とする成形品を得ることができないという不都合があった。
【0005】
そこで、ルテニウム系錯体触媒等に直接的に作用して重合反応を制御する物質(以下、本明細書では「遅延剤」という。)を併用することにより、触媒の活性を一時的に抑制し、重合反応を緩やかに進行させる方法が報告されている。その報告例としては、次のものがある。
【0006】
(1)特表2000−504359号公報には、(a)特定の構造を有するルテニウム又はオスミウムカルベン錯体、及び(b)電子供与体又はルイス塩基を含む組成物が提案されている。そこでは、上記(b)(同公報においては、「ゲル化調節添加剤」と称される。)は、触媒の結合環境を変化させることによって機能し、重合速度を高めたり、あるいは低下させ得たり、反応液の可使時間を調節できるという実用的な効果が記載されている。
【0007】
また、この文献には、上記ゲル化調節添加剤として、ホスフィン類、スルホン化ホスフィン類、ホスファイト類、ホスフィナイト類、ホスホナイト類、アルシン類、スチビン類、エーテル類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、カルボキシル類、ニトロシル類、ピリジン類、チオエーテル類、ニトリル類、チオフェン類及びフラン類からなる群が開示されている。
【0008】
(2)特開2000−256443号公報及び特開2000−59018号公報には、特定の構造を有するルテニウム系又はオスミウム系メタセシス重合触媒を不活性化する工程において、該触媒と窒素原子を有する配位性化合物(同公報においては「不活性化剤」と称される。)とを混合することが記載されている。そして、その不活性化剤として、ピリジン、4−ビニルピリジン、アセトニトリル、エチレンジアミン、N−ベンジリデンメチルアミンが開示されている。
【0009】
(3)特開2001−2719号公報には、オレフィンメタセシス反応性モノマー、特定の構造を有するルテニウム又はオスミウム−カルベン錯体及びアミン化合物を含有するオレフィンメタセシス反応性組成物が提案されている。そこでは、上記アミン化合物により反応速度の調節が可能になること、特に反応を遅延させことが可能になることが記載されている。そして、アミン化合物として、各種の脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン等が開示されている。
【0010】
このように、錯体触媒と遅延剤との併用例として多数のものが知られているが、いずれの文献においても、遅延剤と併用される錯体触媒として具体的に開示されるのは、トリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン等のホスフィン化合物がルテニウム金属に2つ結合した触媒である。
【0011】
しかしながら、このような2つのホスフィン化合物がルテニウム金属に結合した錯体触媒は比較的活性が低く、遅延剤を併用すると加熱等で再度活性化させようとしても、硬化が不十分となったり、硬化に長時間を要したりするという問題があった。また、モノマーを十分に硬化させるためには、一旦予備硬化させて得られる硬化性組成物を成形型へ移した後に加熱して硬化させる必要があった。さらには、該硬化性組成物へ架橋開始剤を加えてから硬化させるという煩雑な方法を採用しなければならなかった。
【0012】
一方、近年においては、WO99/51344号公報やWO00/58322号公報、WO00/71554号公報に開示されるようなヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体が開発されている。これらのルテニウム錯体触媒は非常に高活性であり、成形工程の高サイクル化や触媒量の低減によるコストダウンが期待されている。しかし、これらの触媒は、高活性であるがゆえに、モノマーとの混合不良や、成形前のゲル化等が従来の触媒(2つのホスフィン化合物がルテニウム金属に結合した錯体触媒)に比べてより生じやすくなっており、遅延剤の必要性はいっそう増している。
【0013】
ところで、成形型内で行われるメタセシス重合の反応速度を調整するために、反応液や成形型の温度を適宜調節する方法は公知であり、一般的に使用する触媒の種類に関わらず、温度を変化させることによる反応制御効果を予測することは可能である。
【0014】
しかしながら、遅延剤の添加効果についてはその予測が困難である。つまり、特定構造の錯体触媒について既に得られている知見を別の構造を有する錯体触媒へそのまま適用できるとは言い難い。試みに、本発明者らは、従来の触媒で通常遅延剤として用いられているトリフェニルホスフィンやピリジンのようなルイス塩基を、ヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体を重合触媒として使用した反応系に添加して触媒活性を制御しようとしたが、遅延効果はまったく認められなかった。
【0015】
以上のように、ヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体と遅延剤を併用して、ノルボルネン系樹脂及び成形品を工業的規模で十分に効率よく生産する方法は、未だ確立されていないのが実状である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実状に鑑みてなされたものであり、ルテニウム錯体触媒を用いてノルボルネン系モノマーを重合させる際に、遅延剤を併用することにより、ルテニウム錯体触媒が本来有する極めて高い活性を抑制しながら、取扱い易い状態で重合準備操作を行なうことができ、かつ重合反応段階では速やかに反応を進行させることができるノルボルネン系樹脂及び該樹脂成形品を製造する方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、極めて高い活性を示すヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体触媒に着目して、これと併用する遅延剤について鋭意検討を重ねた。その結果、特定の構造を有するホスフィン化合物やアミン化合物が極めて優れた反応遅延効果を有することを見出すと共に、それらの遅延剤と触媒とを併用することにより、取扱い易い状態で重合準備操作を行なうことができ、反応液を加熱するだけで速やかに重合が進行して、一挙に目的とするノルボルネン系樹脂及び該樹脂成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0018】
かくして、第1の本発明によれば、ノルボルネン系モノマーを、ルテニウムに少なくとも一つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなるルテニウム錯体触媒を用いて重合させるノルボルネン系樹脂の製造方法であって、一般式(1):PR1R2R3(式中、R1〜R3は、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表し、それらの少なくとも1つは一級炭化水素基である。また、R1とR2、R2とR3又はR1とR3は、一緒になって結合して環を形成していてもよい。)で表されるホスフィン化合物、及び一般式(2):R4NH2(式中、R4は置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。)で表される一級アミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、前記触媒と併用することを特徴とするノルボルネン系樹脂の製造方法が提供される。
【0019】
また、第2の本発明によれば、前記一般式(1)及び(2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、ノルボルネン系モノマーの少なくとも1種及び前記ルテニウム錯体触媒を混合してなる反応液を成形型内へ注入し、ポストキュアー処理(後処理)することなく該反応液を硬化させることを特徴とするノルボルネン系樹脂成形品の製造方法が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、ルテニウム錯体触媒、遅延剤、ノルボルネン系モノマー、ノルボルネン系樹脂の製造方法及び該樹脂成形品の製造方法の項目に分けて詳細に説明する。
【0021】
(ルテニウム錯体触媒)
本発明において使用されるルテニウム錯体触媒は、ルテニウムに少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなる錯体であれば特に限定されないが、通常、下記の一般式(4)又は一般式(5)で表わされるルテニウムカルベン錯体である。
【0022】
【化1】
【0023】
(式中、R5、R6は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでもよいC1〜C20の炭化水素基を表す。
X1及びX2は、それぞれ独立して任意のアニオン性配位子を示す。
L1はヘテロ原子含有カルベン化合物を表し、L2はヘテロ原子含有カルベン化合物又は任意の中性の電子供与性化合物を表す。
また、R5、R6、X1、X2、L1及びL2の2個、3個、4個、5個又は6個は、互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。)
【0024】
本発明の文脈において、ヘテロ原子とは、周期律表第15族及び第16族の原子を意味し、具体的には、N、O、P、S、As、Se原子等を挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、S原子等が好ましく、N原子が特に好ましい。
【0025】
また、カルベン化合物とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表される電荷のない2価の炭素原子を持つ化合物をいう。一般的にカルベンは反応中に生じる不安定な中間体として存在するが、ヘテロ原子を有すると比較的安定なカルベン化合物として単離することができる。
【0026】
ヘテロ原子含有カルベン化合物の例としては、下記の式(6)又は式(7)で示される化合物が挙げられる。
【0027】
【化2】
【0028】
(式中、R7、R8は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくはけい素原子を含んでもよいC1〜C20の炭化水素基を表す。)
【0029】
前記式(6)で表される化合物の具体例としては、1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリジン−2−イリデン等が挙げられる。
【0030】
前記式(7)で表される化合物の具体例としては、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラメチル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニル−4−イミダゾリン−2−イリデン等が挙げられる。
【0031】
また、前記式(6)及び式(7)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデン等のヘテロ原子含有カルベン化合物も挙げることができる。
【0032】
ヘテロ原子含有カルベン化合物としては、カルベンに隣接するヘテロ原子が嵩高い置換基を有する飽和環状化合物が特に好ましい。その具体例としては、1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジアダマンチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4,5−テトラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロチアゾール−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン等が挙げられる。
【0033】
前記式(4)及び式(5)において、アニオン(陰イオン)性配位子X1、X2は、中心金属から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン原子;水素;アセチルアセトナト基、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、置換アリル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキル又はアリールスルフォネート基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基等を挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
【0034】
また、中性の電子供与性化合物は、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子、すなわちルイス塩基であればいかなるものでもよい。その具体例としては、酸素、水、カルボニル、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、ホスフィナイト類、ホスファイト類、スチビン類、スルホキシド類、チオエーテル類、アミド類、芳香族化合物、環状ジオレフィン類、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類等が挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類が好ましく、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンがより好ましい。
【0035】
前記一般式(4)及び(5)のR5、R6としては、水素原子、C2〜C20アルケニル基、C2〜C20アルキニル基、C1〜C20アルキル基、アリール基、カルボキシル基、C2〜C20アルケニルオキシ基、C2〜C20アルキニルオキシ基、アリールオキシ基、C2〜C20アルコキシカルボニル基、C1〜C20アルキルチオ基、アリールチオ基、C1〜C20アルキルスルホニル基、C1〜C20アルキルスルフィニル基等が挙げられる。
【0036】
前記一般式(4)で表わされる錯体化合物としては、例えば、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3,4,5−テトラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド等のヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
【0037】
ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロリド等の2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;等が挙げられる。
【0038】
また、前記一般式(5)で表わされる錯体化合物としては、例えば、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェニル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルナフチル)イミダゾリジン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3,4,5−テトラフェニルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド等のヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
【0039】
ビス(1,3−ジイソプロピルイミダゾリジン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)t−ブチルビニリデンルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリド等の2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;等が挙げられる。
【0040】
さらに、本発明においては、前記一般式(4)又は(5)で表わされる錯体化合物を、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロロルテニウム]、ジ−μ−クロロビス[(p−シメン)クロロオスミウム]、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウムダイマー等の複核金属錯体と反応させて得られる複核ルテニウム−カルベン錯体化合物を用いることもできる。
【0041】
ルテニウム錯体触媒の使用量は、触媒中の(金属ルテニウム:ノルボルネン系モノマー)のモル比として、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
【0042】
(遅延剤)
本発明は、上記ルテニウム錯体触媒に、一般式(1):PR1R2R3で表されるホスフィン化合物及び一般式(2):R4NH2で表される一級アミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「遅延剤」ともいう。)を併用することを特徴とする。
【0043】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物の少なくとも1種をルテニウム錯体触媒と併用することにより、ルテニウム錯体触媒が本来有する極めて高い活性を抑制しながら、取扱い易い状態で重合準備操作を行なうことができ、かつ重合反応段階では速やかに反応を進行させることとして、工業的に有利にノルボルネン系樹脂及び該樹脂成形品を製造することができる。
【0044】
前記一般式(1)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表す。炭素数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル基等の炭素数1〜30のアルキル基;メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−(n−プロポキシ)エチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−メトキシブチル基等のアルコキシ基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;メチルチオメチル、エチルチオメチル、2−メチルチオエチル、2−エチルチオエチル基等のアルキルチオ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基;
【0045】
メチルスルホニルメチル、エチルスルホニルメチル、2−メチルスルホニルエチル、2−エチルスルホニルエチル基等のアルキルスルホニル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル基等のアルコキシカルボニル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;シアノメチル、2−シアノエチル基等のシアノ基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル基等のアリール基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;
【0046】
ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル基等の炭素数1〜30のアルケニル基;ベンジル、4−メチルベンジル、3−クロロベンジル、2−ニトロベンジル、α−メチルベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル基等の炭素数1〜30のアラルキル基;フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル基等の炭素数1〜30のアリール基;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;等が挙げられる。
【0047】
また、前記一般式(1)で表される化合物のR1〜R3の少なくとも1つは、式(3);CH2rで表される一級炭化水素基である。R1〜R3のいずれもが一級炭化水素基ではない式(1)で表される化合物を用いる場合には、硬化反応の遅延効果が不十分となる。
【0048】
前記式(3)中、rは、水素原子又は炭素数1〜29の炭化水素基を表す。炭素数1〜29の炭化水素基としては、前記炭素数1〜30の炭化水素基として列記したものと同様な基を例示することができる。
【0049】
また、本発明においては、前記式(1)で表される化合物として、R1とR2、R2とR3又はR1とR3とが一緒になって結合して環を形成したリン化合物を用いることもできる。かかる環としては、4〜8員の飽和又は不飽和の炭素環、ビフェニル環、ビナフチル環、アントラニル等が挙げられる。かかるリン化合物の具体例としては、下記(a)〜(f)が挙げられる。
【0050】
【化3】
【0051】
上記式中、r1〜r3は、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表す。炭素数1〜30の炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、メトキシメチル、2−メトキシエチル、ベンジル基等が挙げられる。
【0052】
これらの中でも、R1、R2及びR3が、それぞれ独立して炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である化合物、又はR1とR2、R2とR3又はR1とR3とが結合して環を形成したリン化合物が好ましい。
【0053】
より好ましいリン化合物の具体例としては、トリメチルホスフィン、ジメチルエチルホスフィン、トリエチルホスフィン、メチルジエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、メチル−ジ−n−プロピルホスフィン、エチル−ジ−n−プロピルホスフィン、ジメチル−n−プロピルホスフィン、ジエチル−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、メチル−ジ−n−ブチルホスフィン、エチル−ジ−n−ブチルホスフィン、ジメチル−n−ブチルホスフィン、ジエチル−n−ブチルホスフィン、トリ−n−ペンチルホスフィン、トリ−n−ヘキシルホスフイン、ジメチルジフェニルホスフィン等が挙げられる。
【0054】
前記式(2)において、R4は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル基等の炭素数1〜30のアルキル基;メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−(n−プロポキシ)エチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ヒドロキシエチル基等のアルコキシ基又は水酸基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;メチルチオメチル、エチルチオメチル、2−メチルチオエチル、2−エチルチオエチル基等のアルキルチオ基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;1−メチルスルホニルメチル、エチルスルホニルメチル、2−メチルスルホニルエチル、2−エチルスルホニルエチル基等のアルキルスルホニル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル基等のアルキルカルボニル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;ベンジル、4−メチルベンジル、3−クロロベンジル、2−ニトロベンジル、α−メチルベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル基等の炭素数1〜30のアラルキル基;
【0055】
1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、ベンジル、4−メチルベンジル、3−クロロベンジル、2−ニトロベンジル、α−メチルベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル基等のアリール基で置換された炭素数1〜30のアルキル基;1−プロペニル、2−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル基等の炭素数1〜30のアルケニル基;
プロパルギル、2−ブチン−1−イル、3−ブチン−1−イル基等のアルキニル基;等が挙げられる。
これらの中でも、R4は、炭素数1〜30の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましい。
【0056】
一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン等が挙げられる。
【0057】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、遅延剤の使用量は、ルテニウム錯体触媒1モルに対して、通常0.01〜100モル、好ましくは0.1〜10モル、より好ましくは0.1〜5モルの範囲である。
【0058】
(ノルボルネン系モノマー)
本発明においては、前記の触媒の存在下に開環メタセシス重合させるモノマーとして、ノルボルネン環構造を有するノルボルネン系モノマーを用いる。かかるノルボルネン系モノマーとしては、置換及び未置換の二環又は三環以上の多環ノルボルネンの使用が好ましい。
【0059】
その具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミド等の二環ノルボルネン類;
【0060】
ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等の三環ノルボルネン類;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等の四環ノルボルネン類;トリシクロペンタジエン等の五環ノルボルネン類、ヘキサシクロヘプタデセン等の六環ノルボルネン類;ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖又はエステル基等で結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体等のノルボルネン環を含む化合物等が挙げられる。
【0061】
また、上記ノルボルネン系モノマーに、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン及び置換基を有するそれらの誘導体を共重合させることもできる。
【0062】
前記ノルボルネン系モノマーは単独でも2種以上を使用してもよいが、2種以上の使用が好ましい。2種以上使用する場合には、熱可塑性樹脂となる1つの2重結合を有するモノマーと熱硬化性樹脂となる複数の2重結合を有するモノマーとを適宜組合せると、種々の物性を有する樹脂を入手することができる。また、モノマーを単独で使用する場合と比較して、2種以上併用する場合には、凝固点降下により、凝固点温度が高いモノマーでも液状として取扱えるという利点がある。
【0063】
(ノルボルネン系樹脂及びノルボルネン系樹脂成形品の製造)
前記ノルボルネン系モノマー、遅延剤及びルテニウム錯体触媒を含有してなる反応液を調製し、該反応液を所定温度に加熱して開環メタセシス重合させることによりノルボルネン系樹脂を製造することができる。
【0064】
反応液の調製法としては特に制約はないが、例えば、(i)ノルボルネン系モノマーと遅延剤の所定量を溶解又は分散させた溶液と、ルテニウム錯体触媒の所定量の粉末又はルテニウム錯体触媒の所定量を適当な溶媒に溶解又は分散させた溶液とを別々に調製し、反応させる直前に混合して調製する方法、(ii)ノルボルネン系モノマー(無溶媒又は溶液)と、ルテニウム錯体触媒及び遅延剤を分散又は溶解させた溶液を別々に調製し、反応させる直前に混合して調製する方法、(iii)ノルボルネン系モノマー、遅延剤及びルテニウム錯体触媒を適当な溶媒に溶解又は分散させて調製する方法等が挙げられる。本発明においては、(i)又は(ii)の方法を用いるのが好ましい。
【0065】
また、反応液には、必要に応じてルイス酸や各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、エラストマー、高分子改質剤、充填剤、着色剤、難燃剤、架橋剤、摺動化剤、着臭剤、軽量化のためのフィラー類、発泡剤、表面平滑化のためのウイスカー等を含有させることができる。これらのルイス酸や添加剤は、予めノルボルネン系モノマーの溶液又はルテニウム錯体触媒の溶液に溶解又は分散させることができる。
【0066】
ルイス酸は、重合反応率等を向上させるために添加される。かかるルイス酸としては、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウム等が挙げられる。
【0067】
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロボキシ基、イソプロボキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−オクトキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシ基の他に、β位にハロゲン原子が結合したハロゲン含有アルコキシ基を用いると、反応率が向上するだけでなく、モノマーと触媒の混合性を害することなく反応速度も速くなるので特に好適である。
【0068】
このようなハロゲン含有アルコキシ基の具体例としては、2−クロロエトキシ基、2,2−ジクロロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、2−クロロ−1−プロポキシ基、1,3−ジクロロ−2−プロポキシ基、1,1−ジクロロ−2−プロポキシ基、1,1,1−トリクロロ−2−プロポキシ基、ヘキサクロロ−2−プロポキシ基、2−クロロ−2−プロペン−1−オキシ基、2−クロロ−1−ブトキシ基、1−クロロ−3−メトキシ−2−プロポキシ基、1,3−ジブロモ−2−プロポキシ基、1,3−ジヨード−2−プロポキシ基、2−クロロシクロヘキソキシ基等が挙げられる。これらの中では、1,3−ジクロロ−2−プロポキシ基が特に好ましい。
【0069】
また、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等を挙げることができる。
【0070】
ルイス酸の使用量は、(ルテニウム錯体中の金属ルテニウム:ルイス酸)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
【0071】
エラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)及びこれらの水素化物等が挙げられる。これらのエラストマーを反応液に添加すると、得られるポリマーに耐衝撃性が付与されるだけではなく、反応液の粘度を調節することができる。
【0072】
酸化防止剤としては、ヒンダードフエノール系、リン系、アミン系等の各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤がある。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、2種以上を組合せ用いることが好ましい。配合割合は、通常、ノルボルネン系モノマーに対して0.5重量部以上、好ましくは1〜3重量部である。また酸化防止剤はモノマーと共重合可能なものでもよく、その具体例として5−(3,5−ジーtert−ブチルー4−ヒドロキシペンジルー2−ノルボルネンのようなノルボルネニルフェノール系化合物等が例示される(特開昭57−83522号公報参照)。
【0073】
充填剤としては、ガラス粉末、カーボンブラック、タルク、炭酸カルシウム、雲母、水酸化アルミニウム等の無機質充填剤等が挙げられる。また充填剤は、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。架橋剤としては、イオウ又は過酸化物を用いると耐熱性が向上する。
【0074】
着色剤としては、染料、顔料等が用いられる。染料は成形品に鮮やかな染料色を付与できるので好ましい。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。例えば、ニトロ染料、ニトロソ染料、アゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン染料、チアゾール染料、インダミン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等が挙げられる。また、顔料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、黄鉛、酸化鉄黄色、二酸化チタン、酸化亜鉛、四酸化三鉛、鉛丹、酸化クロム、紺青、チタンブラック等が挙げられる。
【0075】
反応液の調製に用いられる溶媒としては、生成する重合体を溶解し、かつ重合を阻害しないものが用いることができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素系炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン系炭化水素;等を使用することができる。これらの溶媒の中でも、工業的に汎用性がある芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒及びエーテル類の使用が好ましく、重合反応時に不活性であること、重合体の溶解性に優れること等の観点から、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒を使用するのがより好ましい。
【0076】
本発明において、開環メタセシス重合反応は溶媒中で行う溶液重合であっても、塊状(バルク)重合であってもよいが、成形型にノルボルネン系モノマー、遅延剤及びルテニウム錯体触媒の所定量を含む反応液を注入して硬化させる塊状重合が好ましい。塊状重合による場合は、ポストキュアー(後処理)を施すことなく、一挙に目的とするノルボルネン系樹脂成形品を製造することができる。
【0077】
溶液重合の場合は、ノルボルネン系モノマーの1種又は2種以上、遅延剤及びルテニウム錯体触媒を適当な溶媒に溶解又は分散させた反応液を調製し、このものを撹拌下に所定温度に加熱することにより、目的とするノルボルネン系樹脂を製造することができる。溶液重合の重合温度は、一般には、−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜180℃である。重合時間は、通常1分間〜100時間である。
【0078】
また、溶液重合の場合のノルボルネン系モノマーの濃度は、1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、5〜40重量%が特に好ましい。ノルボルネン系モノマーの濃度が過度に低いと生産性が悪くなる一方で、過度に高いと重合後の粘度が高すぎて、後処理が難しくなる。
【0079】
塊状重合による場合、用いることができる成形法としては、注入、射出、注型、回転、遠心、押出、引抜、射出圧縮、ハンドレイアップ等の成形法が挙げられるが、通常は成形型を用いる成形法である。特にレジントランスファーモールディング(RTM)法や反応射出成形(RIM)法により、ノルボルネン系モノマーを成形型内において塊状で重合する方法が推奨される。この重合法では、モノマーや触媒を含有する反応液又は触媒液を混合するために、公知のRTM機、RIM機等の成形機を使用することができる。
【0080】
RTM機は、一般的にモノマー配合液タンク、触媒配合液タンク、計量ポンプ及びミキサー等からなる。計量ポンプにより、モノマー配合液と触媒配合液を1000:1〜10:1の容量比でミキサー内に送り込んで混合し、次いで所定温度に加熱した成形型内に注入し、そこで即座に塊状重合させて成形品を得ることができる。
【0081】
RTM機を用いた好ましい成形法は、ノルボルネン系モノマーを含有するモノマー配合液と、ルテニウムに少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなる錯体触媒を、少量の溶媒に溶解させた触媒配合液を用意し、これらを混合して成形する方法である。
【0082】
RIM機を用いる場合は、2種類以上の反応液をミキシングヘッドに送り込んで、その衝突エネルギーによって混合させ、次いで成形型内へ注入し、そこで即座に塊状重合させて成形品を得る。RIM機を用いた好ましい成形法は、ノルボルネン系モノマーを二つの部分に分け、三液目としてルテニウムに少なくとも1つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなるルテニウム錯体触媒を少量の溶媒に溶解させた液を用意し、これらの三液を衝突混合させて反応射出成形する方法である。
【0083】
所定形状の成形品を得るために成形型を使用する。成形型は従来公知のものを使用すればよいが、通常、割型構造すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型を用い、それらの空隙部(キャビティー)に反応液を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。
【0084】
成形型の形状、材質、大きさ等は特に制限されない。本方法は比較的低粘度の反応液を用い低温低圧で成形できるため、金属製の成形型だけでなく、各種合成樹脂、レジコン等種々の材料で作成されたものが使用できる。金属製の成形型としては、例えば、鍛造アルミニウム製型、ニッケル電鋳製型等が挙げられる。
【0085】
成形型の内部には、通常、熱媒体用流路が形成してあり、例えば、コア型及びキャビティー型の温度を個別に調節できるようにしてある。熱媒体用流路は、成形型内部を穿孔して流路を直接形成してもよいが、パイプ等を埋め込むことにより形成してもよい。熱媒体用流路は、反応液の温度を制御するために、できる限り型内の空隙部に近い位置に設けることが好ましい。
【0086】
この熱媒体用流路にはポンプ等の循環手段が装着してあり、熱交換部で一定温度に加熱された熱媒体を循環させるようになっている。熱交換部では、ヒーター等の加熱手段より、また必要に応じて冷却手段を設けることにより、流路に流れる熱媒体の温度を一定に保つように制御する。このように成形型の温度制御手段は、通常、成形型の内部を循環する熱媒体用流路と、その流路に熱媒体を循環させるポンプと、熱媒体を一定温度に保持する熱交換部とを含む。
【0087】
熱媒体としては、例えば、温水、オイル、スチーム等が用いられ、温水が好ましく使用される。これらの熱媒体により制御される成形型の温度は特に限定されないが、通常、常圧の温水により温度制御可能な範囲である。より具体的には、通常40〜100℃、好ましくは40〜95℃、より好ましくは45〜90℃である。成形型として、コア型とキャビティー型のような割型構造のものを用いる場合、両方の型温は同じでも、異なっていてもよい。一般的に、目的とする成形品の製品面側に当接する型の温度を、非製品面側に当接する型よりも高く制御する。この場合の温度差は、通常5℃〜60℃の範囲である。
【0088】
成形型内の空隙部へ注入される前の反応液の温度は、好ましくは20〜80℃である。反応液の粘度は、例えば30℃において、通常、2〜1000cP、好ましくは、5〜500cPである。反応液をキャビティー内に充填する際の充填圧力(射出圧)は、通常0.1〜100kgf/cm2、好ましくは0.2〜50kgf/cm2である。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は通常0.1〜100kgf/cm2の範囲内である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常、10秒〜20分、好ましくは5分以内である。
【0089】
前記したRTM機又はRIM機等で混合した反応液を成形型の空隙部に注入すると、即座に塊状重合反応が開始し、硬化する。重合は発熱反応である。この重合法によれば、成形型の温度を40〜100℃に設定してあっても、反応液の温度が急激に上昇し、短時間(例えば、10秒〜5分程度)で140〜230℃のピーク温度に到達して、成形品を完全硬化させることができる。
【0090】
塊状重合させて得られた成形品は、通常、コア型に付着させた状態で成形型を開いて成形体を脱型することができる。成形品のコア型への付着は、成形条件を制御することによって行われる。型温度を高くする程、あるいはキュアー時間を長くする程、コア型に付着するようになる。キュアー時間が短い場合には、成形型を開けると、成形品はキャビティー型に付着して残る。しかし、コア型に付着させても、キュアー時間が長すぎると成形品の冷却による収縮がかなりの程度まで進むため、過度に成形体が冷却しない状態で、エアーエジェクター又は成形型に設けた脱型装置により脱型すればよい。
【0091】
(ノルボルネン系樹脂成形品)
本発明により製造される成形品は特に限定されるものではなく、本発明は、あらゆる用途、形状、大きさの成形品の製造に適用できる。かかる成形品としては、例えば、浄化槽筐体、浴槽パン、洗場パン、防水パン、洗面ボール等が挙げられる。本発明の方法により製造されるノルボルネン系樹脂成形品は、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、耐吸水性等に優れており、しかも薄肉成形ができるので軽量であるという優れた特長を有する。
【0092】
【実施例】
実施例1 遅延剤としてトリ−n−ブチルホスフィンを使用した塊状重合の例
30mlの広口ガラス瓶に、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Org.Lett.,1999年,1巻,953頁の記載に基づいて合成したもの)を0.85mg(0.001ミリモル)入れ、さらに撹拌子を入れた。注射器で0.02モル/リットル濃度のトリ−n−ブチルホスフィン/トルエン溶液0.05mlを加えてマグネチックスターラーで撹拌してルテニウム錯体触媒を溶解させた後、ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエン3量体を10%及びプロペニルノルボルネン及びイソプロペニルノルボルネンを合わせて0.6%含む。)9.95mlを加えて、さらに10秒間撹拌した。その後、重合反応熱により温度が急激に上昇して重合反応が完結した。この際、内温を熱電対で測定し、モノマー注入から液温が100℃に達するまでの時間(第1表のT100)を求めた。なお、実験は、45℃に設定した恒温槽中で行ない、モノマーが入った容器、反応用ガラス瓶及び注射器も、45℃に設定した恒温槽中に置いて恒温になったものを使用した。また、重合反応は窒素雰囲気下で行った。結果を第1表に示す。
【0093】
実施例2 遅延剤としてトリ−n−ブチルホスフィンを使用した塊状重合の例
0.02モル/リットル濃度のトリ−n−ブチルホスフィン/トルエン溶液に代えて、0.01モル/リットル濃度のトリ−n−ブチルホスフィン/トルエン溶液を使用するほかは、実施例1と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0094】
実施例3 遅延剤としてメチルジフェニルホスフィンを使用した塊状重合の例
0.02モル/リットル濃度のトリ−n−ブチルホスフィン/トルエン溶液に代えて、0.1モル/リットル濃度のメチルジフェニルホスフィン/トルエン溶液を使用するほかは、実施例1と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0095】
実施例4 遅延剤としてn−ブチルアミンを使用した塊状重合の例
0.02モル/リットル濃度のトリ−n−ブチルホスフィン/トルエン溶液に代えて、0.1モル/リットル濃度のn−ブチルアミン/トルエン溶液を使用するほかは、実施例1と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0096】
実施例5 遅延剤としてトリ−n−ブチルホスフィンを使用したジシクロペンタジエン(純度99.8%)塊状重合の例
磁気撹拌子を備えた10mlのナス型フラスコに、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド(Org.Lett.,1999年,1巻,953頁の記載に基づいて合成したもの)51mg、トリ−n−ブチルホスフィンのトルエン溶液(濃度は10ミリモル/リットル)3.0mlを加え、撹拌して溶解させ、触媒溶液を調製した(触媒溶液のルテニウム及びホスフィン濃度は、それぞれ20ミリモル/リットル、10ミリモル/リットル)。以上の操作は、室温、窒素雰囲気下で行った。
【0097】
次いで、30mlの広口ガラス瓶に撹拌子を入れ、ジシクロペンタジエン(純度99.8%。不純物として、プロペニルノルボルネン及びイソプロペニルノルボルネンを合わせて0.1%含む。)を9.95ml加えた後、撹拌しながら触媒溶液を0.05ml加え、さらに10秒間撹拌したところ、触媒は充分に混合され、均一溶液となった。その後撹拌を止め、熱電対で内温を測定した。内温は次第に上昇していき、触媒溶液投入後7分30秒後に最高温度203℃に達した。以上の重合操作は、窒素雰囲気下、40℃で行った。
【0098】
比較例1 遅延剤無添加の塊状重合の例
0.02モル/リットル濃度のトリ−n−ブチルホスフィン/トルエン溶液に代えて、トルエンを使用する以外は、実施例1と同様に操作した。結果を第1表に示す。
【0099】
比較例2〜10 各種ルイス塩基を添加した塊状重合の例
0.02モル/リットル濃度のトリ−n−ブチルホスフィン/トルエン溶液に代えて、0.1モル/リットル濃度の各種ルイス塩基/トルエン溶液を使用する以外は、実施例1と同様に操作した。
各種ルイス塩基として、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ピリジン、4−ビニルピリジン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、亜リン酸トリフェニル及びベンゾニトリルを用い、それぞれ比較例2、3、4、5、6、7、8、9及び10とした。結果を第1表に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
比較例11 遅延剤無添加のジシクロペンタジエン(純度99.8%)塊状重合の例
トリ−n−ブチルホスフィンのトルエン溶液の代わりにトルエンを用いる他は、実施例5と同様に操作した。ジシクロペンタジエンと触媒溶液の混合は不十分となり、一部の固化した部分と液状のままの部分とが混在する状態となった。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ルテニウム錯体触媒を用いてノルボルネン系モノマーを重合させる際に、遅延剤を併用することにより、ルテニウム錯体触媒が本来有する極めて高い活性を抑制しながら、取扱い易い状態で重合準備操作を行なうことができ、かつ重合反応段階では速やかに反応を進行させることができるノルボルネン系樹脂及び成形品の製造方法が提供される。
また、本発明においては、用いるルテニウム錯体触媒はきわめて高い触媒活性を有しているので、遅延剤を併用した場合であっても、所定温度に加熱することにより十分な硬化が得られ、反応液を成形型へ移した後に再度加熱して(いわゆる「ポストキュア−処理」)硬化させる必要はない。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a norbornene-based resin and a method for producing the resin molded product by metathesis polymerization of a norbornene-based monomer using a ruthenium complex catalyst. More specifically, it is a method for producing a norbornene-based resin and a molded article in which a norbornene-based monomer is metathesized by a ruthenium complex catalyst, and a specific phosphorus compound or primary amine compound having a reaction delay effect is used in combination with the ruthenium complex catalyst. The present invention relates to a characteristic norbornene-based resin and a method for producing a molded product.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, norbornene-based resin molded products have been produced on an industrial scale by ring-opening polymerization of norbornene-based monomers such as dicyclopentadiene and tricyclopentadiene in the presence of metathesis polymerization catalysts such as tungsten-based catalysts and molybdenum-based catalysts. It is manufactured.
[0003]
Recently, it has been reported that ruthenium or osmium complex compounds have excellent metathesis catalytic activity, and that these compounds are useful as catalysts for ring-opening polymerization of norbornene monomers (US) Patent Nos. 5710298 and 5849851). Such a complex catalyst is stable to oxygen and moisture in the air, and has an advantage that it is generally easy to handle as compared with the above-described tungsten-based and molybdenum-based catalysts.
[0004]
However, these complex catalysts are in the form of powder and may be insufficiently dispersed and dissolved in the monomer. And when local polymerization proceeds, it becomes difficult to uniformly mix with the monomer, or when the monomer and catalyst are mixed in advance and the mixture is injected into the mold and molded, Since the polymerization is started before being injected into the mold, there is a disadvantage that a desired molded product cannot be obtained.
[0005]
Therefore, by using a substance that directly acts on a ruthenium complex catalyst or the like to control the polymerization reaction (hereinafter referred to as “retarder” in this specification), the activity of the catalyst is temporarily suppressed, A method for slowly progressing the polymerization reaction has been reported. Examples of reports include:
[0006]
(1) JP-T-2000-504359 proposes a composition containing (a) a ruthenium or osmium carbene complex having a specific structure, and (b) an electron donor or a Lewis base. Therein, the above (b) (referred to in the same publication as “gelation-controlling additive”) functions by changing the binding environment of the catalyst and can increase or decrease the polymerization rate. Or a practical effect that the pot life of the reaction solution can be adjusted.
[0007]
In addition, this document includes phosphines, sulfonated phosphines, phosphites, phosphinites, phosphonites, arsine, stibine, ethers, amines, amides, sulfoxides as the above-mentioned gelation control additives. , Carboxyls, nitrosyls, pyridines, thioethers, nitriles, thiophenes and furans are disclosed.
[0008]
(2) Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 2000-256443 and 2000-59018 disclose that a ruthenium-based or osmium-based metathesis polymerization catalyst having a specific structure is disposed with the catalyst and a nitrogen atom. It is described that a potential compound (referred to as “inactivating agent” in the publication) is mixed. And pyridine, 4-vinylpyridine, acetonitrile, ethylenediamine, and N-benzylidenemethylamine are disclosed as the deactivator.
[0009]
(3) JP-A-2001-2719 proposes an olefin metathesis-reactive composition containing an olefin metathesis-reactive monomer, a ruthenium or osmium-carbene complex having a specific structure, and an amine compound. It describes that the reaction rate can be adjusted by the amine compound, and in particular that the reaction can be delayed. As the amine compound, various aliphatic amines, aromatic amines, heterocyclic amines and the like are disclosed.
[0010]
As described above, a large number of examples of combined use of a complex catalyst and a retarder are known, but in any document, what is specifically disclosed as a complex catalyst used in combination with a retarder is tricyclohexyl. A catalyst in which two phosphine compounds such as phosphine, tricyclopentylphosphine, and triisopropylphosphine are bonded to a ruthenium metal.
[0011]
However, such a complex catalyst in which two phosphine compounds are bonded to ruthenium metal has relatively low activity, and when a retarder is used in combination, even if it is reactivated by heating or the like, curing may be insufficient or may not be cured. There was a problem that it took a long time. Further, in order to sufficiently cure the monomer, it is necessary to transfer the curable composition obtained by pre-curing once to a mold and then cure it by heating. Furthermore, a complicated method of adding a crosslinking initiator to the curable composition and curing it has to be employed.
[0012]
On the other hand, in recent years, ruthenium complexes in which hetero atom-containing carbene compounds are bonded as disclosed in WO99 / 51344, WO00 / 58322, and WO00 / 71554 have been developed. These ruthenium complex catalysts are very highly active, and are expected to reduce costs by increasing the cycle of the molding process and reducing the amount of catalyst. However, since these catalysts are highly active, mixing with monomers and gelation before molding occur more than conventional catalysts (complex catalysts in which two phosphine compounds are bonded to ruthenium metal). It is becoming easier and the need for retarders is increasing.
[0013]
By the way, in order to adjust the reaction rate of the metathesis polymerization performed in the mold, a method of appropriately adjusting the temperature of the reaction solution and the mold is known, and the temperature is generally controlled regardless of the type of catalyst used. It is possible to predict the reaction control effect by changing.
[0014]
However, it is difficult to predict the effect of adding a retarder. That is, it is difficult to say that the knowledge already obtained about the complex catalyst having a specific structure can be directly applied to a complex catalyst having another structure. In an attempt, the present inventors have used a ruthenium complex in which a heteroatom-containing carbene compound is bonded as a polymerization catalyst to a Lewis base such as triphenylphosphine or pyridine, which is usually used as a retarder in conventional catalysts. An attempt was made to control the catalyst activity by adding it to the system, but no delay effect was observed.
[0015]
As described above, a method for producing a norbornene-based resin and a molded article sufficiently efficiently on an industrial scale by using a ruthenium complex bonded with a heteroatom-containing carbene compound and a retarder has not been established yet. It's real.
[0016]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made in view of such a situation, and when a norbornene-based monomer is polymerized using a ruthenium complex catalyst, the extremely high activity inherent in the ruthenium complex catalyst is suppressed by using a retarder in combination. However, it is an object of the present invention to provide a norbornene-based resin capable of performing a preparatory polymerization operation in an easy-to-handle state and allowing the reaction to proceed rapidly in the polymerization reaction stage and a method for producing the resin molded product.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problems, the present inventors have paid attention to a ruthenium complex catalyst to which a heteroatom-containing carbene compound exhibiting extremely high activity is bonded, and have made extensive studies on a retarder used in combination therewith. As a result, it is found that phosphine compounds and amine compounds having a specific structure have an extremely excellent reaction delay effect, and by using these retarders and a catalyst in combination, a polymerization preparation operation can be performed in an easy-to-handle state. It was found that the polymerization proceeded rapidly only by heating the reaction solution, and the desired norbornene-based resin and the resin molded product were obtained all at once, and the present invention was completed.
[0018]
Thus, according to the first aspect of the present invention, there is provided a method for producing a norbornene-based resin in which a norbornene-based monomer is polymerized using a ruthenium complex catalyst in which at least one heteroatom-containing carbene compound is bonded to ruthenium, Formula (1): PR1R2R3(Wherein R1~ R3Each independently represents a hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms, at least one of which is a primary hydrocarbon group. R1And R2, R2And R3Or R1And R3May be bonded together to form a ring. And a phosphine compound represented by formula (2): R4NH2(Wherein R4Represents an optionally substituted alkyl group, alkenyl group or alkynyl group having 1 to 30 carbon atoms. A method for producing a norbornene-based resin is provided, wherein at least one compound selected from the group consisting of primary amine compounds represented by the above formula is used in combination with the catalyst.
[0019]
According to the second aspect of the present invention, at least one compound selected from the group consisting of the compounds represented by the general formulas (1) and (2), at least one norbornene-based monomer, and the ruthenium complex catalyst There is provided a method for producing a norbornene-based resin molded product, which comprises injecting a reaction liquid obtained by mixing the above into a mold and curing the reaction liquid without post-curing treatment (post-treatment).
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail by dividing into items of a ruthenium complex catalyst, a retarder, a norbornene monomer, a method for producing a norbornene resin, and a method for producing the resin molded product.
[0021]
(Ruthenium complex catalyst)
The ruthenium complex catalyst used in the present invention is not particularly limited as long as it is a complex in which at least one heteroatom-containing carbene compound is bonded to ruthenium, but usually the following general formula (4) or general formula (5) It is a ruthenium carbene complex represented by these.
[0022]
[Chemical 1]
[0023]
(Where R5, R6Each independently may contain a hydrogen atom, a halogen atom, or an oxygen atom, a nitrogen atom, a sulfur atom, a phosphorus atom or a silicon atom.1~ C20Represents a hydrocarbon group.
X1And X2Each independently represents any anionic ligand.
L1Represents a heteroatom-containing carbene compound, and L2Represents a heteroatom-containing carbene compound or any neutral electron-donating compound.
R5, R6, X1, X2, L1And L22, 3, 4, 5 or 6 may combine with each other to form a multidentate chelating ligand. )
[0024]
In the context of the present invention, a heteroatom means an atom of Groups 15 and 16 of the Periodic Table, and specific examples include N, O, P, S, As, Se atoms and the like. . Among these, from the viewpoint of obtaining a stable carbene compound, N, O, P, S atoms and the like are preferable, and N atom is particularly preferable.
[0025]
The carbene compound is a general term for compounds having a methylene free group, and refers to a compound having a divalent carbon atom having no charge represented by (> C :). In general, carbene exists as an unstable intermediate generated during the reaction, but if it has a hetero atom, it can be isolated as a relatively stable carbene compound.
[0026]
Examples of the heteroatom-containing carbene compound include compounds represented by the following formula (6) or formula (7).
[0027]
[Chemical formula 2]
[0028]
(Wherein R7, R8Each independently may contain a hydrogen atom, a halogen atom, or an oxygen atom, a nitrogen atom, a sulfur atom, a phosphorus atom or a silicon atom.1~ C20Represents a hydrocarbon group. )
[0029]
Specific examples of the compound represented by the formula (6) include 1,3-diisopropylimidazolidine-2-ylidene, 1,3-dicyclohexylimidazolidin-2-ylidene, 1,3-di (methylphenyl) imidazo. Lysine-2-ylidene, 1,3-di (methylnaphthyl) imidazolidin-2-ylidene, 1,3-dimesitylimidazolidin-2-ylidene, 1,3-diadamantylimidazolidin-2-ylidene, 1 , 3-diphenylimidazolidin-2-ylidene, 1,3,4,5-tetramethylimidazolidin-2-ylidene and the like.
[0030]
Specific examples of the compound represented by the formula (7) include 1,3-diisopropyl-4-imidazoline-2-ylidene, 1,3-dicyclohexyl-4-imidazoline-2-ylidene, 1,3-di ( Methylphenyl) -4-imidazoline-2-ylidene, 1,3-di (methylnaphthyl) -4-imidazoline-2-ylidene, 1,3-dimesityl-4-imidazoline-2-ylidene, 1,3-diadamantyl -4-imidazoline-2-ylidene, 1,3-diphenyl-4-imidazoline-2-ylidene, 1,3,4,5-tetramethyl-4-imidazoline-2-ylidene, 1,3,4,5- And tetraphenyl-4-imidazoline-2-ylidene.
[0031]
In addition to the compounds represented by the formulas (6) and (7), 1,3,4-triphenyl-2,3,4,5-tetrahydro-1H-1,2,4-triazole-5 -Ilidene, 3- (2,6-diisopropylphenyl) -2,3,4,5-tetrahydrothiazol-2-ylidene, 1,3-dicyclohexylhexahydropyrimidin-2-ylidene, N, N, N ', N '-Tetraisopropylformamidinylidene, 1,3,4-triphenyl-4,5-dihydro-1H-1,2,4-triazol-5-ylidene, 3- (2,6-diisopropylphenyl) -2 Heteroatom-containing carbene compounds such as 1,3-dihydrothiazol-2-ylidene can also be mentioned.
[0032]
As the heteroatom-containing carbene compound, a saturated cyclic compound in which a heteroatom adjacent to the carbene has a bulky substituent is particularly preferable. Specific examples thereof include 1,3-diisopropylimidazolidine-2-ylidene, 1,3-dicyclohexylimidazolidine-2-ylidene, 1,3-di (methylphenyl) imidazolidin-2-ylidene, 1,3- Di (methylnaphthyl) imidazolidin-2-ylidene, 1,3-dimesitylimidazolidin-2-ylidene, 1,3-diadamantylimidazolidin-2-ylidene, 1,3-diphenylimidazolidin-2-ylidene 1,3,4,5-tetraphenylimidazolidin-2-ylidene, 1,3,4-triphenyl-2,3,4,5-tetrahydro-1H-1,2,4-triazole-5-ylidene 3- (2,6-diisopropylphenyl) -2,3,4,5-tetrahydrothiazol-2-ylidene, 1,3-dicyclohexene Hexahydro-2-ylidene and the like.
[0033]
In the formulas (4) and (5), the anionic (anionic) ligand X1, X2Can be any ligand that has a negative charge when pulled away from the central metal. For example, halogen atoms such as F, Cl, Br, I, etc .; hydrogen; acetylacetonato group, diketonate group, substituted cyclopentadienyl group, substituted allyl group, alkenyl group, alkyl group, aryl group, alkoxy group, aryloxy group , Alkoxycarbonyl group, carboxyl group, alkyl or aryl sulfonate group, alkylthio group, alkenylthio group, arylthio group, alkylsulfonyl group, alkylsulfinyl group and the like. Among these, a halogen atom is preferable and a chlorine atom is more preferable.
[0034]
The neutral electron donating compound may be any ligand as long as it is a ligand having a neutral charge when pulled away from the central metal, that is, a Lewis base. Specific examples include oxygen, water, carbonyl, amines, pyridines, ethers, nitriles, esters, phosphines, phosphinites, phosphites, stibine, sulfoxides, thioethers, amides, aromatics. Group compounds, cyclic diolefins, olefins, isocyanides, thiocyanates and the like. Among these, phosphines are preferable, and trialkylphosphine or triarylphosphine is more preferable.
[0035]
R in the general formulas (4) and (5)5, R6As a hydrogen atom, C2~ C20Alkenyl group, C2~ C20Alkynyl group, C1~ C20Alkyl group, aryl group, carboxyl group, C2~ C20Alkenyloxy group, C2~ C20Alkynyloxy group, aryloxy group, C2~ C20Alkoxycarbonyl group, C1~ C20Alkylthio group, arylthio group, C1~ C20Alkylsulfonyl group, C1~ C20Examples thereof include an alkylsulfinyl group.
[0036]
Examples of the complex compound represented by the general formula (4) include (1,3-dicyclohexylimidazolidine-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, (1,3-dicyclohexyl-4-imidazoline-2). -Ylidene) (tricyclohexylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, (1,3-dimesitylimidazolidine-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, (1,3-dimesitylimidazolidine-2-ylidene) ) (Triphenylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, (1,3-dimesityl-4-imidazoline-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, (1,3-dimesi Ru-4-imidazoline-2-ylidene) (triphenylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, [1,3-di (methylphenyl) imidazolidin-2-ylidene] (tricyclohexylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, [1,3- Di (methylnaphthyl) imidazolidine-2-ylidene] (tricyclohexylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, (1,3,4,5-tetraphenylimidazolidin-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) benzylideneruthenium dichloride, (1 , 3-Dicyclohexylhexahydropyrimidin-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) benzylidene ruthenium dichloride and other heteroatom-containing carbene compounds and neutral electron donating compounds. Ruthenium complex compounds were;
[0037]
Bis (1,3-diisopropylimidazolidine-2-ylidene) benzylideneruthenium dichloride, bis (1,3-dicyclohexylimidazolidine-2-ylidene) benzylideneruthenium dichloride, bis (1,3-diisopropyl-4-imidazoline-2- Ruthenium complex compounds in which two heteroatom-containing carbene compounds such as ylidene) benzylidene ruthenium dichloride and bis (1,3-dicyclohexyl-4-imidazoline-2-ylidene) benzylidene ruthenium dichloride are bonded.
[0038]
Examples of the complex compound represented by the general formula (5) include (1,3-dicyclohexylimidazolidine-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) phenylvinylidene ruthenium dichloride, (1,3-dimesitylimidazo). Lysine-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) t-butylvinylideneruthenium dichloride, (1,3-dimesityl-4-imidazoline-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) phenylvinylideneruthenium dichloride, [1,3-di ( Methylphenyl) imidazolidin-2-ylidene] (tricyclohexylphosphine) t-butylvinylideneruthenium dichloride, [1,3-di (methylnaphthyl) imidazolidin-2-ylidene] (tricyclohexylphosphine) Phenylvinylidene ruthenium dichloride, (1,3,4,5-tetraphenylimidazolidin-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) t-butylvinylidene ruthenium dichloride, (1,3-dicyclohexylhexahydropyrimidine-2-ylidene) ( A ruthenium complex compound in which a heteroatom-containing carbene compound such as tricyclohexylphosphine) phenylvinylideneruthenium dichloride and a neutral electron donating compound are bonded;
[0039]
Bis (1,3-diisopropylimidazolidin-2-ylidene) phenylvinylidene ruthenium dichloride, bis (1,3-dicyclohexylimidazolidin-2-ylidene) t-butylvinylidene ruthenium dichloride, bis (1,3-diisopropyl-4- Ruthenium complex compounds in which two heteroatom-containing carbene compounds such as imidazoline-2-ylidene) t-butylvinylidene ruthenium dichloride and bis (1,3-dicyclohexyl-4-imidazoline-2-ylidene) phenylvinylidene ruthenium dichloride are bonded; Is mentioned.
[0040]
Furthermore, in the present invention, the complex compound represented by the general formula (4) or (5) is di-μ-chlorobis [(p-cymene) chlororuthenium], di-μ-chlorobis [(p-cymene). A binuclear ruthenium-carbene complex compound obtained by reacting with a binuclear metal complex such as chloroosmium] or dichloro (pentamethylcyclopentadienyl) rhodium dimer can also be used.
[0041]
The amount of the ruthenium complex catalyst used is usually 1: 2,000 to 1: 2,000,000, preferably 1: 5,000 to 1: 1 as the molar ratio of (metal ruthenium: norbornene monomer) in the catalyst. In the range of 1: 10,000 to 1: 500,000.
[0042]
(Retarding agent)
In the present invention, the ruthenium complex catalyst may be represented by the general formula (1): PR1R2R3A phosphine compound represented by formula (2): R4NH2And at least one compound selected from the group consisting of primary amine compounds (hereinafter also referred to as “retarder”).
[0043]
By using at least one of the compounds represented by the general formula (1) or (2) together with a ruthenium complex catalyst, the preparative operation for polymerization is easy to handle while suppressing the extremely high activity inherent in the ruthenium complex catalyst. In addition, the norbornene-based resin and the resin molded product can be produced industrially advantageously by allowing the reaction to proceed rapidly in the polymerization reaction stage.
[0044]
In the general formula (1), R1, R2And R3Each independently represents a hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms. Examples of the hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms include methyl, ethyl, n-propyl, isopropyl, n-butyl, sec-butyl, t-butyl, n-pentyl, n-hexyl, n-heptyl, n- C1-C30 alkyl groups such as octyl, n-nonyl, n-decyl group; methoxymethyl, ethoxymethyl, n-propoxymethyl, 2-methoxyethyl, 2-ethoxyethyl, 2- (n-propoxy) ethyl An alkyl group having 1 to 30 carbon atoms substituted with an alkoxy group such as 2-methoxypropyl, 3-methoxypropyl, 3-ethoxypropyl, 4-methoxybutyl group; methylthiomethyl, ethylthiomethyl, 2-methylthioethyl, A hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms substituted with an alkylthio group such as a 2-ethylthioethyl group;
[0045]
An alkyl group having 1 to 30 carbon atoms substituted with an alkylsulfonyl group such as methylsulfonylmethyl, ethylsulfonylmethyl, 2-methylsulfonylethyl, 2-ethylsulfonylethyl group; methoxycarbonylmethyl, ethoxycarbonylmethyl, 2-methoxycarbonyl An alkyl group having 1 to 30 carbon atoms substituted with an alkoxycarbonyl group such as ethyl or 2-ethoxycarbonylethyl group; an alkyl group having 1 to 30 carbon atoms substituted with a cyano group such as cyanomethyl or 2-cyanoethyl group; 1 -C1-C30 alkyl group substituted by aryl groups, such as a naphthylmethyl and 2-naphthylmethyl group;
[0046]
Vinyl, 1-propenyl, 2-propenyl, isopropenyl, 1-butenyl, 2-butenyl, 3-butenyl, 1-pentenyl, 2-pentenyl, 3-pentenyl, 4-pentenyl, 1-hexenyl, 2-hexenyl, 3 C1-C30 alkenyl groups such as -hexenyl, 4-hexenyl, 5-hexenyl group; benzyl, 4-methylbenzyl, 3-chlorobenzyl, 2-nitrobenzyl, α-methylbenzyl, 2-phenylethyl, 3 An aralkyl group having 1 to 30 carbon atoms such as phenylpropyl group; an aryl group having 1 to 30 carbon atoms such as phenyl, 1-naphthyl and 2-naphthyl groups; a cycloalkyl group such as cyclopropyl, cyclopentyl and cyclohexyl groups; etc. Is mentioned.
[0047]
In addition, R of the compound represented by the general formula (1)1~ R3At least one of the formula (3); CH2It is a primary hydrocarbon group represented by r. R1~ R3When any of the compounds represented by the formula (1) which are not primary hydrocarbon groups is used, the effect of delaying the curing reaction is insufficient.
[0048]
In said formula (3), r represents a hydrogen atom or a C1-C29 hydrocarbon group. Examples of the hydrocarbon group having 1 to 29 carbon atoms include the same groups as those listed as the hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms.
[0049]
In the present invention, as the compound represented by the formula (1), R1And R2, R2And R3Or R1And R3It is also possible to use a phosphorus compound in which and are bonded together to form a ring. Examples of such a ring include a 4- to 8-membered saturated or unsaturated carbocycle, biphenyl ring, binaphthyl ring, anthranyl and the like. Specific examples of such phosphorus compounds include the following (a) to (f).
[0050]
[Chemical 3]
[0051]
In the above formula, r1~ R3Each independently represents a hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms. Examples of the hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms include methyl, ethyl, n-propyl, isopropyl, n-butyl, sec-butyl, t-butyl, n-pentyl, n-hexyl, n-heptyl, n-octyl, Examples include n-nonyl, n-decyl, methoxymethyl, 2-methoxyethyl, benzyl group and the like.
[0052]
Among these, R1, R2And R3Are each independently an alkyl group optionally having a substituent having 1 to 20 carbon atoms, a cycloalkyl group having 3 to 8 carbon atoms, or an aryl group having 6 to 20 carbon atoms, or R1And R2, R2And R3Or R1And R3A phosphorus compound in which and are bonded to form a ring is preferable.
[0053]
Specific examples of more preferable phosphorus compounds include trimethylphosphine, dimethylethylphosphine, triethylphosphine, methyldiethylphosphine, tri-n-propylphosphine, methyl-di-n-propylphosphine, ethyl-di-n-propylphosphine, and dimethyl. -N-propylphosphine, diethyl-n-propylphosphine, tri-n-butylphosphine, methyl-di-n-butylphosphine, ethyl-di-n-butylphosphine, dimethyl-n-butylphosphine, diethyl-n-butyl Examples include phosphine, tri-n-pentylphosphine, tri-n-hexylphosphine, dimethyldiphenylphosphine, and the like.
[0054]
In the formula (2), R4Are methyl, ethyl, n-propyl, isopropyl, n-butyl, sec-butyl, t-butyl, n-pentyl, n-hexyl, n-heptyl, n-octyl, n-nonyl, n-decyl group, etc. An alkyl group having 1 to 30 carbon atoms; methoxymethyl, ethoxymethyl, n-propoxymethyl, 2-methoxyethyl, 2-ethoxyethyl, 2- (n-propoxy) ethyl, 2-methoxypropyl, 3-methoxypropyl, 3 -C1-C30 alkyl group substituted by alkoxy groups or hydroxyl groups such as ethoxypropyl, 4-methoxybutyl, 2-hydroxyethyl groups; methylthiomethyl, ethylthiomethyl, 2-methylthioethyl, 2-ethylthioethyl An alkyl group having 1 to 30 carbon atoms substituted with an alkylthio group such as a group; 1-methylsulfonylmethyl, An alkyl group having 1 to 30 carbon atoms substituted with an alkylsulfonyl group such as rusulfonylmethyl, 2-methylsulfonylethyl, 2-ethylsulfonylethyl group; methoxycarbonylmethyl, ethoxycarbonylmethyl, 2-methoxycarbonylethyl, 2- An alkyl group having 1 to 30 carbon atoms substituted with an alkylcarbonyl group such as ethoxycarbonylethyl group; benzyl, 4-methylbenzyl, 3-chlorobenzyl, 2-nitrobenzyl, α-methylbenzyl, 2-phenylethyl, 3 -An aralkyl group having 1 to 30 carbon atoms such as a phenylpropyl group;
[0055]
Substituted with an aryl group such as 1-naphthylmethyl, 2-naphthylmethyl, benzyl, 4-methylbenzyl, 3-chlorobenzyl, 2-nitrobenzyl, α-methylbenzyl, 2-phenylethyl, 3-phenylpropyl C1-C30 alkyl group; 1-propenyl, 2-propenyl, isopropenyl, 1-butenyl, 2-butenyl, 3-butenyl, 1-pentenyl, 2-pentenyl, 3-pentenyl, 4-pentenyl, 1- An alkenyl group having 1 to 30 carbon atoms such as hexenyl, 2-hexenyl, 3-hexenyl, 4-hexenyl, 5-hexenyl group;
Alkynyl groups such as propargyl, 2-butyn-1-yl, 3-butyn-1-yl, and the like.
Among these, R4Is preferably an alkyl group which may have a substituent having 1 to 30 carbon atoms, and more preferably an alkyl group having 1 to 10 carbon atoms.
[0056]
Preferable specific examples of the compound represented by the general formula (2) include methylamine, ethylamine, n-propylamine, isopropylamine, n-butylamine, sec-butylamine, t-butylamine, n-pentylamine, and n-hexyl. Examples include amine, n-heptylamine, n-octylamine, n-decylamine, ethylenediamine, and ethanolamine.
[0057]
The compounds represented by the general formula (1) or (2) can be used alone or in combination of two or more. Moreover, the usage-amount of a retarder is 0.01-100 mol normally with respect to 1 mol of ruthenium complex catalysts, Preferably it is the range of 0.1-10 mol, More preferably, it is the range of 0.1-5 mol.
[0058]
(Norbornene monomer)
In the present invention, a norbornene-based monomer having a norbornene ring structure is used as a monomer that undergoes ring-opening metathesis polymerization in the presence of the catalyst. As such norbornene-based monomers, use of substituted and unsubstituted bicyclic or tricyclic or higher polycyclic norbornene is preferable.
[0059]
Specific examples thereof include norbornene, norbornadiene, methylnorbornene, dimethylnorbornene, ethylnorbornene, chlorinated norbornene, ethylidenenorbornene, chloromethylnorbornene, trimethylsilylnorbornene, phenylnorbornene, cyanonorbornene, dicyanonorbornene, methoxycarbonylnorbornene, pyridylnorbornene, nadic Bicyclic norbornenes such as acid anhydrides and nadic imides;
[0060]
Tricyclonorbornenes such as dicyclopentadiene, dihydrodicyclopentadiene and its alkyl, alkenyl, alkylidene, and aryl substituents; dimethanohexahydronaphthalene, dimethanooctahydronaphthalene and its alkyl, alkenyl, alkylidene, and aryl substituents Tetracyclic norbornenes; pentacyclic norbornenes such as tricyclopentadiene, hexacyclic norbornenes such as hexacycloheptadecene; dinorbornene, compounds in which two norbornene rings are linked by a hydrocarbon chain or an ester group, etc. And compounds containing a norbornene ring such as an aryl substituent.
[0061]
In addition, the norbornene-based monomer can be copolymerized with a monocyclic cycloolefin such as cyclobutene, cyclopentene, cyclooctene, or cyclododecene and derivatives thereof having a substituent.
[0062]
The norbornene monomers may be used alone or in combination of two or more, but the use of two or more is preferable. When two or more types are used, a resin having various physical properties can be obtained by appropriately combining a monomer having one double bond to be a thermoplastic resin and a monomer having a plurality of double bonds to be a thermosetting resin. Can be obtained. In addition, when two or more monomers are used in combination, there is an advantage that even a monomer having a high freezing point temperature can be handled as a liquid by lowering the freezing point when compared with the case of using the monomer alone.
[0063]
(Manufacture of norbornene resin and norbornene resin molded product)
A norbornene-based resin can be produced by preparing a reaction solution containing the norbornene-based monomer, a retarder, and a ruthenium complex catalyst, and heating the reaction solution to a predetermined temperature for ring-opening metathesis polymerization.
[0064]
There are no particular restrictions on the method for preparing the reaction solution.For example, (i) a solution in which a predetermined amount of a norbornene monomer and a retarder is dissolved or dispersed, a predetermined amount of a ruthenium complex catalyst powder, or a ruthenium complex catalyst. A method in which a solution in which a fixed amount is dissolved or dispersed in a suitable solvent is prepared separately and mixed immediately before the reaction, (ii) a norbornene monomer (no solvent or solution), a ruthenium complex catalyst and a retarder (Iii) A method in which a norbornene monomer, a retarder, and a ruthenium complex catalyst are dissolved or dispersed in a suitable solvent. Etc. In the present invention, it is preferable to use the method (i) or (ii).
[0065]
The reaction solution may contain Lewis acid and various additives as necessary, for example, antioxidants, ultraviolet absorbers, elastomers, polymer modifiers, fillers, colorants, flame retardants, crosslinking agents, lubricants. Activating agents, odorants, fillers for weight reduction, foaming agents, whiskers for surface smoothing, and the like can be included. These Lewis acids and additives can be dissolved or dispersed in advance in a solution of a norbornene monomer or a solution of a ruthenium complex catalyst.
[0066]
The Lewis acid is added to improve the polymerization reaction rate and the like. Examples of such Lewis acids include trialkoxyaluminum, triphenoxyaluminum, dialkoxyalkylaluminum, alkoxydialkylaluminum, trialkylaluminum, dialkoxyaluminum chloride, alkoxyalkylaluminum chloride, dialkylaluminum chloride, trialkoxyscandium, tetraalkoxytitanium. , Tetraalkoxytin, tetraalkoxyzirconium and the like.
[0067]
Examples of the alkoxy group include a methoxy group, an ethoxy group, an n-propoxy group, an isopropoxy group, an n-butoxy group, a sec-butoxy group, and an n-octoxy group. In addition to these alkoxy groups, use of a halogen-containing alkoxy group in which a halogen atom is bonded to the β-position not only improves the reaction rate, but also increases the reaction rate without impairing the mixing property of the monomer and the catalyst. Is preferred.
[0068]
Specific examples of such halogen-containing alkoxy groups include 2-chloroethoxy group, 2,2-dichloroethoxy group, 2,2,2-trichloroethoxy group, 2-chloro-1-propoxy group, 1,3- Dichloro-2-propoxy group, 1,1-dichloro-2-propoxy group, 1,1,1-trichloro-2-propoxy group, hexachloro-2-propoxy group, 2-chloro-2-propene-1-oxy group 2-chloro-1-butoxy group, 1-chloro-3-methoxy-2-propoxy group, 1,3-dibromo-2-propoxy group, 1,3-diiodo-2-propoxy group, 2-chlorocyclohexoxy Groups and the like. Of these, a 1,3-dichloro-2-propoxy group is particularly preferable.
[0069]
Examples of the alkyl group include a methyl group, an ethyl group, an n-propyl group, an isopropyl group, an n-butyl group, and a sec-butyl group.
[0070]
The amount of the Lewis acid used is usually a molar ratio of (metal ruthenium in the ruthenium complex: Lewis acid), usually 1: 0.05 to 1: 100, preferably 1: 0.2 to 1:20, more preferably The range is 1: 0.5 to 1:10.
[0071]
Examples of the elastomer include natural rubber, polybutadiene, polyisoprene, styrene-butadiene copolymer (SBR), styrene-butadiene-styrene block copolymer (SBS), styrene-isoprene-styrene copolymer (SIS), and ethylene. -Propylene-diene terpolymer (EPDM), ethylene-vinyl acetate copolymer (EVA), hydrides thereof, and the like. When these elastomers are added to the reaction solution, not only the resulting polymer is given impact resistance, but also the viscosity of the reaction solution can be adjusted.
[0072]
Antioxidants include various types of antioxidants for plastics and rubbers such as hindered phenol, phosphorus, and amine. These antioxidants may be used alone, but it is preferable to use a combination of two or more. The blending ratio is usually 0.5 parts by weight or more, preferably 1 to 3 parts by weight with respect to the norbornene monomer. Further, the antioxidant may be copolymerizable with a monomer, and specific examples thereof include norbornenyl phenol compounds such as 5- (3,5-di-tert-butyl-4-hydroxypendileu 2-norbornene. (See JP-A-57-83522).
[0073]
Examples of the filler include inorganic fillers such as glass powder, carbon black, talc, calcium carbonate, mica, and aluminum hydroxide. Moreover, what was surface-treated with the silane coupling agent etc. can also be used for a filler. When sulfur or a peroxide is used as the crosslinking agent, the heat resistance is improved.
[0074]
As the colorant, dyes, pigments and the like are used. The dye is preferable because it can impart a bright dye color to the molded article. There are various kinds of dyes, and known ones may be appropriately selected and used. For example, nitro dye, nitroso dye, azo dye, ketoimine dye, triphenylmethane dye, xanthene dye, acridine dye, quinoline dye, methine dye, thiazole dye, indamine dye, azine dye, oxazine dye, thiazine dye, sulfur dye, aminoketone And dyes, anthraquinone dyes, indigoid dyes, phthalocyanine dyes, and the like. Examples of the pigment include carbon black, graphite, yellow lead, iron oxide yellow, titanium dioxide, zinc oxide, trilead tetroxide, red lead, chromium oxide, bitumen, and titanium black.
[0075]
As the solvent used for preparing the reaction solution, a solvent that dissolves the polymer to be produced and does not inhibit the polymerization can be used. For example, aliphatic hydrocarbons such as pentane, hexane, heptane; cyclopentane, cyclohexane, methylcyclohexane, dimethylcyclohexane, trimethylcyclohexane, ethylcyclohexane, diethylcyclohexane, decahydronaphthalene, bicycloheptane, tricyclodecane, hexahydroindenecyclohexane, Cycloaliphatic hydrocarbons such as cyclooctane; aromatic hydrocarbons such as benzene, toluene and xylene; nitrogen-containing hydrocarbons such as nitromethane, nitrobenzene and acetonitrile; ethers such as diethyl ether and tetrahydrofuran; chloroform, dichloromethane, chlorobenzene, Halogenated hydrocarbons such as dichlorobenzene; etc. can be used. Among these solvents, industrially versatile aromatic hydrocarbon solvents, aliphatic hydrocarbon solvents, alicyclic hydrocarbon solvents and ethers are preferred, and are inert during the polymerization reaction. From the viewpoint of excellent polymer solubility, it is more preferable to use an alicyclic hydrocarbon solvent such as cyclohexane.
[0076]
In the present invention, the ring-opening metathesis polymerization reaction may be a solution polymerization performed in a solvent or a bulk (bulk) polymerization, but a predetermined amount of a norbornene monomer, a retarder, and a ruthenium complex catalyst is added to a mold. Bulk polymerization in which a reaction solution containing the solution is injected and cured is preferable. In the case of bulk polymerization, the desired norbornene-based resin molded product can be produced all at once without performing post-cure (post-treatment).
[0077]
In the case of solution polymerization, a reaction solution is prepared by dissolving or dispersing one or more norbornene-based monomers, a retarder and a ruthenium complex catalyst in an appropriate solvent, and this is heated to a predetermined temperature with stirring. Thus, the intended norbornene-based resin can be produced. The polymerization temperature of the solution polymerization is generally −30 ° C. to 200 ° C., preferably 0 ° C. to 180 ° C. The polymerization time is usually 1 minute to 100 hours.
[0078]
The concentration of the norbornene monomer in the solution polymerization is preferably 1 to 50% by weight, more preferably 2 to 45% by weight, and particularly preferably 5 to 40% by weight. When the concentration of the norbornene monomer is excessively low, the productivity is deteriorated. On the other hand, when the concentration is excessively high, the viscosity after polymerization is too high, and post-treatment becomes difficult.
[0079]
In the case of bulk polymerization, examples of the molding method that can be used include molding methods such as injection, injection, casting, rotation, centrifugation, extrusion, drawing, injection compression, hand lay-up, etc. Usually, a molding die is used. It is a molding method. In particular, a method of polymerizing norbornene monomers in a lump in a mold by a resin transfer molding (RTM) method or a reaction injection molding (RIM) method is recommended. In this polymerization method, a known RTM machine, RIM machine, or other molding machine can be used to mix the reaction liquid or catalyst liquid containing the monomer or catalyst.
[0080]
An RTM machine generally includes a monomer compounding liquid tank, a catalyst compounding liquid tank, a metering pump, a mixer, and the like. Using a metering pump, the monomer compounded solution and the catalyst compounded solution are fed into the mixer at a volume ratio of 1000: 1 to 10: 1, mixed, and then injected into a mold heated to a predetermined temperature, where it is immediately bulk polymerized. Thus, a molded product can be obtained.
[0081]
A preferable molding method using an RTM machine is a catalyst compounded solution in which a monomer compounded solution containing a norbornene monomer and a complex catalyst in which at least one heteroatom-containing carbene compound is bonded to ruthenium are dissolved in a small amount of solvent. Is prepared, and these are mixed and molded.
[0082]
In the case of using a RIM machine, two or more kinds of reaction liquids are fed into a mixing head, mixed by the collision energy, then injected into a mold, and immediately subjected to bulk polymerization to obtain a molded product. In a preferred molding method using a RIM machine, a norbornene monomer is divided into two parts, and a ruthenium complex catalyst in which at least one heteroatom-containing carbene compound is bonded to ruthenium as a third solution is dissolved in a small amount of solvent. In this method, a liquid is prepared, and these three liquids are collided and mixed to perform reaction injection molding.
[0083]
A mold is used to obtain a molded product having a predetermined shape. A conventionally known mold may be used. Usually, a split mold structure, that is, a mold having a core mold and a cavity mold is used, and a reaction solution is injected into these voids (cavities) to perform bulk polymerization. Let The core mold and the cavity mold are produced so as to form a gap that matches the shape of the target molded product.
[0084]
The shape, material, size, etc. of the mold are not particularly limited. Since this method can be molded at a low temperature and low pressure using a reaction solution having a relatively low viscosity, not only a metal mold but also one made of various materials such as various synthetic resins and resin resins can be used. Examples of the metal mold include a forged aluminum mold and a nickel electroformed mold.
[0085]
Usually, a heat medium flow path is formed inside the mold, and for example, the temperatures of the core mold and the cavity mold can be individually adjusted. The flow path for the heat medium may be formed directly by drilling the inside of the mold, or may be formed by embedding a pipe or the like. In order to control the temperature of the reaction solution, the heat medium flow path is preferably provided as close as possible to the void in the mold.
[0086]
Circulation means such as a pump is attached to the heat medium flow path so as to circulate the heat medium heated to a constant temperature in the heat exchange section. In the heat exchanging section, the temperature of the heat medium flowing in the flow path is controlled to be constant by providing a cooling means as necessary from a heating means such as a heater. As described above, the temperature control means of the mold usually includes a heat medium flow path that circulates inside the mold, a pump that circulates the heat medium in the flow path, and a heat exchange unit that maintains the heat medium at a constant temperature. Including.
[0087]
As the heat medium, for example, warm water, oil, steam or the like is used, and warm water is preferably used. The temperature of the mold controlled by these heat media is not particularly limited, but is usually in a range where the temperature can be controlled by normal-pressure hot water. More specifically, it is usually 40 to 100 ° C, preferably 40 to 95 ° C, more preferably 45 to 90 ° C. When a mold having a split mold structure such as a core mold and a cavity mold is used as the mold, both mold temperatures may be the same or different. Generally, the temperature of the mold that contacts the product surface side of the target molded product is controlled to be higher than that of the mold that contacts the non-product surface side. The temperature difference in this case is usually in the range of 5 ° C to 60 ° C.
[0088]
The temperature of the reaction solution before being injected into the void in the mold is preferably 20 to 80 ° C. The viscosity of the reaction solution is usually 2 to 1000 cP, preferably 5 to 500 cP at 30 ° C., for example. The filling pressure (injection pressure) when filling the reaction liquid into the cavity is usually 0.1 to 100 kgf / cm.2, Preferably 0.2-50 kgf / cm2It is. If the filling pressure is too low, transfer of the transfer surface formed on the inner peripheral surface of the cavity tends not to be performed well. If the filling pressure is too high, the mold must be rigid and economical. is not. Clamping pressure is usually 0.1-100kgf / cm2Is within the range. The polymerization time may be appropriately selected, but is usually 10 seconds to 20 minutes, preferably within 5 minutes.
[0089]
When the reaction liquid mixed with the above-mentioned RTM machine or RIM machine is poured into the cavity of the mold, the bulk polymerization reaction starts immediately and cures. Polymerization is an exothermic reaction. According to this polymerization method, even if the temperature of the mold is set to 40 to 100 ° C., the temperature of the reaction solution rises rapidly, and 140 to 230 in a short time (for example, about 10 seconds to 5 minutes). A peak temperature of 0 C can be reached and the molded product can be fully cured.
[0090]
The molded product obtained by bulk polymerization can usually be demolded by opening the molding die in a state of being attached to the core die. Adhesion of the molded product to the core mold is performed by controlling molding conditions. The higher the mold temperature or the longer the curing time, the more the core will adhere to the core mold. When the curing time is short, when the mold is opened, the molded product remains attached to the cavity mold. However, even if it is attached to the core mold, if the curing time is too long, shrinkage due to cooling of the molded product proceeds to a considerable extent, so that the molded body is not excessively cooled and the mold is provided on the air ejector or the mold. What is necessary is just to demold with an apparatus.
[0091]
(Norbornene resin molded product)
The molded product produced by the present invention is not particularly limited, and the present invention can be applied to the production of molded products of all uses, shapes, and sizes. Examples of such molded products include septic tank housings, bathtub pans, wash basins, waterproof pans, and wash bowls. The norbornene-based resin molded product produced by the method of the present invention is excellent in impact resistance, heat resistance, dimensional stability, water absorption resistance, etc., and has the excellent feature of being lightweight because it can be molded into a thin wall. .
[0092]
【Example】
Example 1 Example of bulk polymerization using tri-n-butylphosphine as retarder
Synthesized in a 30 ml wide-mouth glass bottle based on the description of benzylidene (1,3-dimesitylimidazolidine-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) ruthenium dichloride (Org. Lett., 1999, Vol. 1, page 953) 0.85 mg (0.001 mmol), and a stir bar was added. After adding 0.05 ml of 0.02-mol / liter tri-n-butylphosphine / toluene solution with a syringe and stirring with a magnetic stirrer to dissolve the ruthenium complex catalyst, dicyclopentadiene (cyclopentadiene trimer) 10% and 0.6% of propenyl norbornene and isopropenyl norbornene combined.) 9.95 ml was added and stirred for another 10 seconds. Thereafter, the temperature rapidly increased due to the heat of polymerization reaction, and the polymerization reaction was completed. At this time, the internal temperature was measured with a thermocouple, and the time from the monomer injection until the liquid temperature reached 100 ° C. (T100 in Table 1) was determined. The experiment was carried out in a thermostatic chamber set at 45 ° C., and the container containing the monomer, the reaction glass bottle and the syringe were also placed in the thermostatic bath set at 45 ° C. and used for constant temperature. The polymerization reaction was performed in a nitrogen atmosphere. The results are shown in Table 1.
[0093]
Example 2 Example of bulk polymerization using tri-n-butylphosphine as retarder
The same procedure as in Example 1 was performed except that a tri-n-butylphosphine / toluene solution having a concentration of 0.01 mol / liter was used instead of the tri-n-butylphosphine / toluene solution having a concentration of 0.02 mol / liter. Operated. The results are shown in Table 1.
[0094]
Example 3 Example of bulk polymerization using methyldiphenylphosphine as retarder
The same operation as in Example 1 was conducted except that a 0.1 mol / liter methyldiphenylphosphine / toluene solution was used instead of the 0.02 mol / liter tri-n-butylphosphine / toluene solution. The results are shown in Table 1.
[0095]
Example 4 Example of bulk polymerization using n-butylamine as retarder
The same operation as in Example 1 was conducted except that a 0.1 mol / liter n-butylamine / toluene solution was used instead of the 0.02 mol / liter tri-n-butylphosphine / toluene solution. The results are shown in Table 1.
[0096]
Example 5 Example of dicyclopentadiene (purity 99.8%) bulk polymerization using tri-n-butylphosphine as retarder
To a 10 ml eggplant-shaped flask equipped with a magnetic stir bar, benzylidene (1,3-dimesitylimidazolidine-2-ylidene) (tricyclohexylphosphine) ruthenium dichloride (Org. Lett., 1999, 1, 953). 51 mg, a toluene solution of tri-n-butylphosphine (concentration: 10 mmol / liter) (3.0 ml) was added and dissolved by stirring to prepare a catalyst solution (ruthenium in the catalyst solution). And phosphine concentrations are 20 mmol / liter and 10 mmol / liter, respectively). The above operation was performed at room temperature in a nitrogen atmosphere.
[0097]
Next, a stirring bar was placed in a 30 ml wide-mouth glass bottle, and 9.95 ml of dicyclopentadiene (purity 99.8%, including 0.1% of propenyl norbornene and isopropenyl norbornene as impurities) was added and stirred. While adding 0.05 ml of the catalyst solution and further stirring for 10 seconds, the catalyst was sufficiently mixed to obtain a homogeneous solution. Thereafter, stirring was stopped, and the internal temperature was measured with a thermocouple. The internal temperature gradually increased, and reached a maximum temperature of 203 ° C. 7 minutes and 30 seconds after charging the catalyst solution. The above polymerization operation was performed at 40 ° C. in a nitrogen atmosphere.
[0098]
Comparative Example 1 Example of bulk polymerization without addition of retarder
The same operation as in Example 1 was carried out except that toluene was used instead of the 0.02 mol / liter tri-n-butylphosphine / toluene solution. The results are shown in Table 1.
[0099]
Comparative Examples 2 to 10 Examples of bulk polymerization to which various Lewis bases were added
The same operation as in Example 1 was conducted except that various Lewis base / toluene solutions having a concentration of 0.1 mol / liter were used instead of the tri-n-butylphosphine / toluene solution having a concentration of 0.02 mol / liter.
As various Lewis bases, triphenylphosphine, tricyclohexylphosphine, pyridine, 4-vinylpyridine, diethylamine, triethylamine, tetramethylethylenediamine, triphenyl phosphite and benzonitrile were used, respectively Comparative Examples 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9 and 10. The results are shown in Table 1.
[0100]
[Table 1]
[0101]
Comparative Example 11 Example of bulk polymerization of dicyclopentadiene (purity 99.8%) without addition of retarder
The same operation as in Example 5 was performed except that toluene was used instead of the toluene solution of tri-n-butylphosphine. Mixing of the dicyclopentadiene and the catalyst solution became insufficient, and a part of the solidified part and a part in the liquid state were mixed.
[0102]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, when a norbornene-based monomer is polymerized using a ruthenium complex catalyst, by using a retarder in combination, the extremely high activity inherent in the ruthenium complex catalyst is suppressed and handled. Provided are a norbornene-based resin and a method for producing a molded article, in which a preparatory operation for polymerization can be performed in an easy state, and the reaction can proceed rapidly in the polymerization reaction stage.
In the present invention, since the ruthenium complex catalyst used has a very high catalytic activity, even when a retarder is used in combination, sufficient curing can be obtained by heating to a predetermined temperature. It is not necessary to reheat (so-called “post-cure treatment”) and cure after transferring to the mold.
Claims (2)
で示されるヘテロ原子含有カルベン化合物が結合してなるルテニウム錯体触媒を用いて重合させるノルボルネン系樹脂の製造方法であって、一般式(1):PR1R2R3(式中、R1〜R3は、それぞれ独立して炭素数1〜30の炭化水素基を表し、それらの少なくとも1つは一級炭化水素基である。また、R1とR2、R2とR3又はR1とR3は、一緒になって結合して環を形成していてもよい。)で表されるホスフィン化合物、及び一般式(2):R4NH2(式中、R4は置換基を有してもよい炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表す。)で表される一級アミン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を、前記触媒と併用することを特徴とするノルボルネン系樹脂の製造方法。A norbornene-based monomer having at least one of ruthenium and the following formula (6) or formula (7)
A norbornene-based resin that is polymerized using a ruthenium complex catalyst formed by bonding a heteroatom-containing carbene compound represented by the general formula (1): PR 1 R 2 R 3 (wherein R 1 to R 3 each independently represents a hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms, at least one of which is a primary hydrocarbon group, and R 1 and R 2 , R 2 and R 3 or R 1 and R 3 may be bonded together to form a ring.), And a general formula (2): R 4 NH 2 (wherein R 4 has a substituent). Or an alkyl group having 1 to 30 carbon atoms, an alkenyl group or an alkynyl group, which is optionally selected from the group consisting of primary amine compounds. Production of norbornene resin Law.
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