JP4231603B2 - クロム系の触媒系を用いるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造方法 - Google Patents
クロム系の触媒系を用いるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の分野】
本発明は、クロムを含有する化合物、水素化有機アルミニウム及び亜リン酸水素エステルを含んで成る触媒系を用いるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造方法に関する。シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、プラスチックとゴムの両方の性質を示す。シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、ゴムに混入することができ、そして残存する2重結合があるので、不飽和結合があるゴムと共加硫することができる。
【0002】
【発明の背景】
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、溶液、乳化又は懸濁重合によって製造することができる。溶液、乳化又は懸濁重合で得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、一般に約195℃〜215℃の範囲の融点を有している。
【0003】
シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造に対する先行技術において、コバルト、チタン、バナジウム、クロム、及びモリブデン系の種々の遷移金属触媒系が報告されている(例えば、L.Porri and A.Giarrusso,in Comprehensive Polymer Science,edited by G.C.Eastmond,A.Ledwith,S.Russo and P.Sigwalt,Pergamon Press:Oxford,1989,Volume 4,Page 53参照)。しかしながら、これらの触媒系の大部分は、触媒活性が低いか立体選択性が小さいために、そしてある場合には商業的な使用には不適当な低分子量重合体や架橋した重合体を生成するために実用性に欠ける。
【0004】
次のコバルト系の触媒系がシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造用として公知である:(1)ビス(アセチルアセトナート)コバルト/トリエチルアルミニウム/水/トリフェニルホスフィン(米国特許第3,498,963号、第4,182,813号、日本特許公告公報44−32426、日本合成ゴム(株)に権利譲渡)、及び(2)トリス(アセチルアセトナート)コバルト/トリエチルアルミニウム/二硫化炭素(米国特許第3,778,424)号、日本特許公告公報72−19,892、81−18,127、74−17,666及び74−17667、日本特許公開公報81−88408、81−88409、81−88410、75−59,480、75−121,380、及び75−121,379、宇部興産(株)に権利譲渡)。これら2種の触媒系もまた、重大な不利な点を持っている。
【0005】
ビス(アセチルアセトナート)コバルト/トリエチルアルミニウム/水/トリフェニルホスフィンによって生成するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、結晶性が非常に低い。更にこの触媒系は重合媒体としてハロゲン化炭化水素溶媒を使用した場合にのみ十分な触媒活性を示すが、ハロゲン化溶媒には毒性の問題がある。
【0006】
トリス(アセチルアセトナート)コバルト/トリエチルアルミニウム/二硫化炭素には、二硫化炭素が触媒成分の一つとして使用されている。二硫化炭素は、その高い揮発性、悪臭、低い引火点及び毒性のために、使用するのが難しくそして危険であり、少量でも大気中に逃げないようにするためには高価な安全設備を必要とする。更には、この触媒系で製造されたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは200〜210℃の範囲内という非常に高い融点を持っているので重合体を加工するのが困難である。シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの融点は第4成分としての変成剤を使用することによって低下させることができるけれども、そのような触媒変成剤の存在は触媒活性と重合体収率を低下させる効果をも有する。従って、上記2種の先行技術の触媒系を工業的に使用するには多くの条件が必要である。クロム(III)アセチルアセトナート/トリエチルアルミニウムのようなクロム含有化合物をベースとする配位触媒系はかなり以前から公知であるが、公知の触媒系は、1,3−ブタジエンの重合に対しては触媒活性が低く立体選択性が小さく、そしてオリゴマー、低分子量液状ポリマー又は架橋した重合体を与える。それ故に、この先行技術のクロム系の触媒系は工業的には利用できない。
【0007】
日本特許JP−A−7306939及びJP−A−7364178(両者共三菱に譲渡)は、(a)可溶性クロム(III)化合物、(b)トリアルキルアルミニウム化合物及び(c)亜リン酸水素ジアルキルを含んで成る3成分触媒系を用いることによる1,3−ブタジエンの無定型の1,2−ポリブタジエンへの重合方法を開示している。生成物はゲル部分を含んでおり、明確な融点を示さない白色のゴム状の重合体であったと報告されている。
【0008】
米国特許第4,751,275号(Bayerに譲渡)は、1,3−ブタジエンの炭化水素重合媒体中での溶液重合による1,2−ポリブタジエンの製造方法を開示している。この溶液重合に使用された触媒系は、炭化水素に可溶性のクロム(III)化合物、トリアルキルアルミニウム化合物及び亜リン酸水素ジネオペンチル又は亜リン酸水素メチルネオペンチルを含有している。しかしながら、その重合生成物の特徴は、生成物の融点もシンジオタクチック規則性の程度も報告されていないので、明らかではない。
【0009】
米国特許第4,168,357号及び米国特許第4,168,374号(両者共Goodyearに譲渡)及びは、高シス−1,4−ポリペンタジエンの製造用の類似したクロム系の触媒系を記載している。それには、例えば米国特許第4,168,357号の第2欄、44〜52行において高シス−1,4−ポリペンタジエンの製造のための水素化ジアルキルアルミニウムが開示されているが、特許請求の範囲では、水素化ジアルキルアルミニウムをその触媒系の一部として特許請求していない。
【0010】
【発明の概要】
本発明は、(a)クロム含有化合物、(b)水素化アルキルアルミニウム化合物及び(c)亜リン酸水素エステルを含んで成る3成分触媒系を用いる1,3−ブタジエンのシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンへの改良された重合方法に関する。クロム系の触媒系は公知であるけれども、水素化アルキルアルミニウム及び亜リン酸水素エステルと組み合わせて使用してシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを生成させることは知られていない。本発明の触媒は、多種多様な条件の下で(例えば、溶媒を用いる場合でも用いない場合でも、広い温度範囲にわたって、そして多種多様な分子量調節剤と共に)使用することができる。本発明の触媒系を使用すれば、先行技術の触媒で使用された二硫化炭素やハロゲン含有溶媒のような環境的に好ましくない成分の使用を避けることができる。また、ここで開示した触媒系を使用すれば、先行技術の触媒系によって製造されたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンにとって一般的な溶融温度である195〜215℃よりも低い温度でゴムと混合することができる、別種の低い溶融温度を持つシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを製造することができる。
【0011】
【発明の詳細な記述】
本発明は、(a)クロム含有化合物、(b)水素化アルキルアルミニウム化合物及び(c)亜リン酸水素エステルを含んで成る触媒系の存在下で1,3−ブタジエンを重合することによるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造方法を教示する。
【0012】
本発明の触媒系の成分(a)としては、種々のクロム含有化合物を用いることができる。一般的には、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素又は脂環族炭化水素のような炭化水素溶媒に可溶なクロム含有化合物を用いるのが有利であるけれども、重合媒体中に単に分散した不溶性のクロム含有化合物が触媒活性種を生成することも可能である。従って、溶解性を確保するために、クロム含有化合物に何らかの限定を設けるべきではない。
【0013】
本発明の触媒系で用いられるクロム含有化合物中のクロムは、種々の酸化状態例えば、これに限定されないが、0、+2、+3、及び+4の酸化状態であることができる。クロムが+2の酸化状態である2価のクロム化合物(chromous化合物とも呼ばれる)及びクロムが+3の酸化状態である3価のクロム化合物(chromic化合物とも呼ばれる)を使用するのが好ましい。本発明の触媒系で用いることができる適切な種類のクロム含有化合物の例として、これには限定されないが、カルボン酸クロム、クロムβ−ジケトナート、クロムアルコキシド又はアリーロキシド、ハロゲン化クロム、疑似ハロゲン化クロム、及び有機クロム化合物が挙げられる。
【0014】
適切なカルボン酸クロムの具体例としては、蟻酸クロム(II)、蟻酸クロム(III)、酢酸クロム(II)、酢酸クロム(III)、アクリル酸クロム(II)、アクリル酸クロム(III)、メタクリル酸クロム(II)、メタクリル酸クロム(III)、吉草酸クロム(II)、吉草酸クロム(III)、グルコン酸クロム(II)、グルコン酸クロム(III)、クエン酸クロム(II)、クエン酸クロム(III)、フマル酸クロム(II)、フマル酸クロム(III)、乳酸クロム(II)、乳酸クロム(III)、マレイン酸クロム(II)、マレイン酸クロム(III)、シュウ酸クロム(II)、シュウ酸クロム(III)、2−エチルヘキサン酸クロム(II)、2−エチルヘキサン酸クロム(III)、ネオデカン酸クロム(II)、ネオデカン酸クロム(III)、ナフテン酸クロム(II)、ナフテン酸クロム(III)、ステアリン酸クロム(II)、ステアリン酸クロム(III)、オレイン酸クロム(II)、オレイン酸クロム(III)、安息香酸クロム(II)、安息香酸クロム(III)、ピコリン酸クロム(II)及びピコリン酸クロム(III)が挙げられる。
【0015】
適切なクロムβ−ジケトナートの具体例としては、クロム(II)アセチルアセトナート、クロム(III)アセチルアセトナート、クロム(II)トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、クロム(II)ベンゾイルアセトナート、クロム(III)ベンゾイルアセトナート、クロム(II)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート及びクロム(III)2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナートが挙げられる。
【0016】
適切なクロムアルコキシド又はアリーロキシドの具体例としては、クロム(II)メトキシド、クロム(III)メトキシド、クロム(II)エトキシド、クロム(III)エトキシド、クロム(II)イソプロポキシド、 クロム(III)イソプロポキシド、クロム(II)2−エチルヘキソキシド、 クロム(III)2−エチルヘキソキシド、クロム(II)フェノキシド、クロム(III)フェノキシド、クロム(II)ノニルフェノキシド、クロム(III)ノニルフェノキシド、クロム(II)ナフトキシド及びクロム(III)ナフトキシドが挙げられる。
【0017】
適切なハロゲン化クロムの具体例としては、フッ化クロム(II)、フッ化
フッ化クロム(III)、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、臭化クロム(II)、 臭化クロム(III)、沃化クロム(II)及び沃化クロム(III)が挙げられる。
【0018】
適切な疑似ハロゲン化クロムの代表的な例としては、シアン化クロム(II)、シアン化クロム(III)、シアン酸クロム(II)、シアン酸クロム(III)、チオシアン酸クロム(II)、チオシアン酸クロム(III)、アジ化クロム(II)及びアジ化クロム(III)が挙げられる。
【0019】
本明細書中で使用される用語「有機クロム化合物」は、少なくとも1個のクロム−炭素共有結合を含有するクロム化合物を指す。適切な有機クロム化合物の具体的な例としては、トリス(アリル)クロム(III)、トリス(メタリル)クロム(III)、トリス(クロチル)クロム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)クロム(III)(クロモセンとも呼ばれる)、トリス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロム(III)(デカメチルクロモセンとも呼ばれる)、ビス(ベンゼン)クロム(0)、ビス(エチルベンゼン)クロム(0)及びビス(メジチレン)クロム(0)が挙げられる。
【0020】
本発明の触媒系の成分(b)は、水素化有機アルミニウム化合物である。本明細書中で使用される用語「水素化有機アルミニウム化合物」は、少なくとも1個のアルミニウム−炭素共有結合と少なくとも1個のアルミニウム−水素共有結合とを含有するアルミニウム化合物を指す。一般的には、炭化水素重合溶媒に可溶な水素化有機アルミニウム化合物を用いるのが有利である。従って、本発明の触媒系において用いることができる適切な種類の水素化有機アルミニウム化合物の例としては、これには限定されないが、式:AlHnR3-n(n=1又は2)(式中、各々のRは、同じであっても異なっていてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、及びアリル基から成る群から選ばれ、各々の基の含有する炭素原子数が、好ましくは、1個又はその基を形成するのに適当な最小の数から20個迄である)によって表される、水素化ジヒドロカルビルアルミニウム化合物及び二水素化ヒドロカルビルアルミニウム化合物が挙げられる。一般的には、水素化ジヒドロカルビルアルミニウム化合物が好ましい。
【0021】
本発明の触媒系において用いることができる適切な水素化有機アルミニウム化合物いくつかの具体例は、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジイソプロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ−n−オクチルアルミニウム、水素化ジフェニルアルミニウム、水素化ジ−p−トリルアルミニウム、水素化ジベンジルアルミニウム、水素化フェニルエチルアルミニウム、水素化フェニル−n−プロピルアルミニウム、水素化フェニルイソプロピルアルミニウム、水素化フェニル−n−ブチルアルミニウム、水素化フェニルイソブチルアルミニウム、水素化フェニル−n−オクチルアルミニウム、水素化−p−トリルエチルアルミニウム、水素化−p−トリル−n−プロピルアルミニウム、水素化−p−トリルイソプロピルアルミニウム、水素化−p−トリル−n−ブチルアルミニウム、水素化−p−トリルイソブチルアルミニウム、水素化−p−トリル−n−オクチルアルミニウム、水素化ベンジルエチルアルミニウム、水素化ベンジル−n−プロピルアルミニウム、水素化ベンジルイソプロピルアルミニウム、水素化ベンジル−n−ブチルアルミニウム、水素化ベンジルイソブチルアルミニウム、及び水素化ベンジル−n−オクチルアルミニウム及び他の一水素化有機アルミニウムである。二水素化エチルアルミニウム、二水素化n−プロピルアルミニウム、二水素化イソプロピルアルミニウム、二水素化n−ブチルアルミニウム、及び二水素化n−オクチルアルミニウム及び他の二水素化有機アルミニウムもそれに含まれる。上記の水素化有機アルミニウム化合物の混合物もまた用いることができる。
【0022】
本発明の触媒系は更に亜リン酸水素エステルを、成分(c)として含んで成っている。亜リン酸水素エステルは、非環式の亜リン酸水素ジヒドロカルビルであっても環状の亜リン酸水素ヒドロカルビレンであってもよい。
【0023】
本発明の触媒系において用いられる非環式の亜リン酸水素ジヒドロカルビルは、次のケト−エノール互変異性構造:
【0024】
【化1】
【0025】
[式中、R1及びR2は、同じであっても異なっていてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、及びアリル基から成る群から選ばれるヒドロカルビル基であって、各々の基の含有する炭素原子数が、好ましくは、1個又はその基を形成するのに適当な最小の数(例えば、3又は6)から20個迄である]
によって表すことができる。非環式の亜リン酸水素ジヒドロカルビルは、主としてケト異性体(左側に示す)として存在し、エノール異性体(右側に示す)は少ない。2種の互変異性のいずれでも、それらの混合物でも本発明の触媒系の成分(c)として使用することができる。上記の互変異性平衡の平衡定数は、温度、R1及びR2基の種類、溶媒の種類等の要因に依存する。両方の異性体共、水素結合によって2量体、3量体又はオリゴマー状に会合していてもよい。
【0026】
適切な非環式の亜リン酸水素ジヒドロカルビルのいくつかの代表的な例は、亜リン酸水素ジメチル、亜リン酸水素ジエチル、亜リン酸水素ジブチル、亜リン酸水素ジヘキシル、亜リン酸水素ジオクチル、亜リン酸水素ジデシル、亜リン酸水素ジドデシル、亜リン酸水素ジオクタデシル、亜リン酸水素ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)、亜リン酸水素ジイソプロピル、亜リン酸水素ビス(3,3−ジメチル−3−ブチル)、亜リン酸水素ビス(2,4−ジメチル−3−ペンチル)、亜リン酸水素ジ−t−ブチル、亜リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)、亜リン酸水素ジネオペンチル、亜リン酸水素ビス(シクロプロピルメチル)、亜リン酸水素ビス(シクロブチルメチル)、亜リン酸水素ビス(シクロペンチルメチル)、亜リン酸水素ビス(シクロヘキシルメチル)、亜リン酸水素ジシクロブチル、亜リン酸水素ジシクロペンチル、亜リン酸水素ジシクロヘキシル、亜リン酸水素ジメンチル、亜リン酸水素ジフェニル、亜リン酸水素ジナフチル、亜リン酸水素ジベンジル、亜リン酸水素ビス(1−ナフチルメチル)、亜リン酸水素ジアリル、亜リン酸水素ジメタリル、亜リン酸水素ジクロチル、亜リン酸水素エチルブチル、亜リン酸水素メチルヘキシル、亜リン酸水素メチルネオペンチル、亜リン酸水素メチルフェニル、亜リン酸水素メチルシクロヘキシル、亜リン酸水素メチルベンジル、等である。上記の亜リン酸水素ジヒドロカルビルの混合物もまた用いることができる。
【0027】
本発明の触媒系において用いられる環状の亜リン酸水素ヒドロカルビレンは、環状の亜リン酸水素アルキレンであっても環状の亜リン酸水素アリーレンであってもよく、そして次のケト−エノール互変異性構造:
【0028】
【化2】
【0029】
(式中、R3は、2価のアルキレン又はアリーレン基、或いは2価の置換されたアルキレン又はアリーレン基であって、その炭素数は好ましくは2個又は6個〜約20個である)
によって表すことができる。環状の亜リン酸水素ヒドロカルビレンは、主としてケト異性体(左側に示す)として存在し、エノール異性体(右側に示す)は少ない。2種の互変異性のいずれでも、それらの混合物でも本発明の触媒系の成分(c)として使用することができる。上記の互変異性平衡の平衡定数は、温度、R1及びR2基の種類、溶媒の種類等の要因に依存する。両方の異性体共、水素結合によって2量体、3量体又はオリゴマー状に会合していてもよい。
【0030】
適切な環状の亜リン酸水素アルキレンのいくつかの具体的な例は、2−オキソ−(2H)−5−ブチル−5−エチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−4−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−5−エチル−5−メチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−5,5−ジエチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−5−メチル−5−プロピル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−4−イソプロピル−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、 2−オキソ−(2H)−4,6−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−4−プロピル−5−エチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン、2−オキソ−(2H)−4−メチル−1,3,2−ジオキサホスホラン、2−オキソ−(2H)−4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン、2−オキソ−(2H)−4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサホスホラン等である。上記の環状の亜リン酸水素アルキレンの混合物もまた用いることができる。
【0031】
適切な環状の亜リン酸水素アルキレンのいくつかの具体的な例は、2−オキソ−(2H)−4,5−ベンゾ−1,3,2−ジオキサホスホラン、2−オキソ−(2H)−4,5−(3’−メチルベンゾ)−1,3,2−ジオキサホスホラン、2−オキソ−(2H)−4,5−(4’−メチルベンゾ)−1,3,2−ジオキサホスホラン、2−オキソ−(2H)−4,5−(4’−t−ブチルベンゾ)−1,3,2−ジオキサホスホラン、2−オキソ−(2H)−4,5−ナフタロ−1,3,2−ジオキサホスホラン、等である。上記の環状の亜リン酸水素アリーレンの混合物もまた用いることができる。
【0032】
本発明の触媒系は、上記の3成分(a)、(b)及び(c)を主成分として含有する。所望ならば、3触媒成分(a)、(b)及び(c)に加えて、当技術分野で公知の、他の有機金属化合物のような触媒成分を添加してもよい。
【0033】
本発明の触媒系は、全触媒濃度及び触媒成分比の広い範囲に渉って非常に高い触媒活性を有している。3触媒成分(a)、(b)及び(c)は、明らかに、相互作用して触媒活性種を形成している。従って、いずれかの一つの触媒成分の最適濃度は、他の二つの触媒成分の濃度に依存する。重合は、広範囲の触媒濃度及び触媒成分比に渉って起こるけれども、最も望ましい性質を持つ重合体は、触媒濃度及び触媒成分比のより狭い範囲内で得られる。
【0034】
本発明の触媒系における水素化有機アルミニウム化合物のクロム含有化合物に対するモル比(Al/Cr)は、約1:1から約100:1まで変化することができる。しかしながら、Al/Crモル比のより好ましい範囲は、約3:1〜約50:1であり、最も好ましい範囲は約5:1〜約20:1である。亜リン酸水素エステルのクロム含有化合物に対するモル比(P/Cr)は、約0.5:1から約50:1まで変化することができるが、P/Crモル比のより好ましい範囲は、約1:1〜約25:1であり、最も好ましい範囲は約2:1〜約10:1である。
【0035】
重合混合物中の全体の触媒濃度は、成分の純度、所望の重合速度及び転化率、重合温度等の要因に依存する。従って、個々の場合における全体の触媒濃度については、明確に表明することは不可能であり、それぞれの触媒成分の触媒的に有効な量を使用するべきであると言う以外にない。一般的には、使用されるクロム含有化合物の量は、1,3−ブタジエン100g当たり約0.01から約2ミリモルまで変化することができ、より好ましい範囲は1,3−ブタジエン100g当たり約0.02〜約1.0ミリモルであり、最も好ましい範囲は1,3−ブタジエン100g当たり約0.1〜約0.5ミリモルである。所望の性質を有する重合体を生成する、個々の場合の全体の触媒濃度と触媒成分比のいくつかについては、本発明の教示事項を説明するために提出される実施例において具体的に示されるであろう。
【0036】
本発明の3種の触媒成分は、数種の異なったやり方で重合系に導入することができる。触媒は3種の触媒成分をモノマー/溶媒混合物に段階的に又は同時に添加することによってその場で形成することができ、段階的に添加する際の成分の添加順序は、決定的に重要なものではないが、水素化有機アルミニウム化合物、クロム含有化合物、最後に亜リン酸水素エステルの順に添加するのが好ましい。あるいはまた、3触媒成分を重合系の外部で適当な温度(例えば、約−20℃〜約80℃)で前混合し、次いで得られた混合物を重合系へ添加することもできる。さらに、触媒を前もって形成すること、即ち3触媒成分を少量の1,3−ブタジエンの存在下で適当な温度(例えば、約−20℃〜約80℃)で前混合した後に、重合に供するモノマー/溶媒混合物の主要部分に添加することもできる。触媒を前もって形成する際に使用することができる1,3−ブタジエンモノマーの量は、クロム含有化合物1モル当たり約1〜約500モルの範囲であることができ、好ましくは、クロム含有化合物1モル当たり約4〜約50モルであるべきである。更に、3成分触媒を、2段階の手順で重合系に導入することもできる。この手順は、最初に、上記で規定した少量の1,3−ブタジエンの存在下で適当な温度(例えば、約−20℃〜約80℃)でクロム含有化合物を水素化有機アルミニウム化合物と反応させることを包含する。次いで得られた反応混合物及び亜リン酸水素エステルを、モノマー/溶媒混合物の主要部分に、段階的又は同時のいずれかのやり方で添加する。更に、別の2段階の手順も適用することができる。この手順は、最初に、クロム含有化合物を亜リン酸水素エステルと適当な温度(例えば、約−20℃〜約80℃)で反応させてクロム錯体を形成させ、続いて得られたクロム錯体と水素化有機アルミニウム化合物をモノマー/溶媒混合物に段階的又は同時のいずれかのやり方で添加することを包含する。
【0037】
触媒溶液を重合系の外部で調製する場合、触媒成分溶液に使用できる有機溶媒は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素、並びに上記の炭化水素の2種以上の混合物から選ぶことができる。有機溶媒がベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン及びシクロヘキサンから選ばれる少なくとも1種から成ることが好ましい。
【0038】
本発明の方法による、上記のクロム系の触媒の存在下での1,3−ブタジエンモノマーの重合は、溶媒を用いないバルク重合を用いて行うことができる。そのようなバルク重合は、凝縮した液相においてでも気相ででも行うことができる。
【0039】
また、そしてこの方が一般的であるが、本発明の方法による1,3−ブタジエンの重合は、希釈剤としての有機溶媒中で行われる。そのような場合には、重合する1,3−ブタジエンモノマーと生成した重合体の両方が重合媒体に溶解している溶液重合系を用いることができる。あるいはまた、生成した重合体がそれに不溶な溶媒を選択することによって、懸濁重合系を用いることもできる。両方の場合において、触媒成分溶液中に含まれる有機溶媒量を超える有機溶媒は通常重合系に添加される。追加の有機溶媒は、触媒成分溶液中に含まれる有機溶媒と同一であっても異なっていてもよい。一般的には、重合反応の触媒として用いられる触媒系に対して不活性な溶媒を選択することが望ましい。希釈剤として 用いることができる適切な種類の溶媒の例としては、これに限定はされないが、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素が挙げられる。適切な脂肪族溶媒の代表的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシン、石油スピッリツ、等が挙げられる。適切な脂環式溶媒の代表的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、等が挙げられる。適切な芳香族溶媒の代表的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メジチレン、等が挙げられる。上記の炭化水素の市販の混合物も使用できる。環境面の理由から脂肪族及び脂環式溶媒が非常に好ましい。
【0040】
重合用の1,3−ブタジエンモノマーの濃度は特定の範囲には限定されない。しかし、一般的に、重合の開始時に重合媒体中に存在する1,3−ブタジエンモノマーの濃度は約3重量%〜約80重量%の範囲であるのが好ましいが、より好ましい範囲は約5重量%〜約50重量%であり、最も好ましい範囲は約10重量%〜約30重量%である。
【0041】
本発明の方法にしたがって、1,3−ブタジエンの重合を行うに当たって、製造されるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの分子量を制御するために分子量調節剤を使用することができる。その結果として、重合系の適用範囲を、極めて高分子量の重合体から低分子量の重合体の範囲のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを製造するために使用できるように拡大することができる。使用できる適切な種類の分子量調節剤の例としては、これに限定はされないが、アレン及び1,2−ブタジエンのようなアレン系(accumulated)ジオレフィン;1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、4−ビニルシクロヘキセン、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,2−ジビニルシクロヘキサン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、及び1,2,4−トリビニルシクロヘキサンのような非共役ジオレフィン;アセチレン、メチルアセチレン及びビニルアセチレンのようなアセチレン類;及びそれらの混合物が挙げられる。重合において適用される分子量調節剤の使用量は、1,3−ブタジエンモノマー100重量部当たりの部(phm)で表して、約0.01〜約10phmの範囲であり、好ましくは約0.02〜約2phmの範囲であり、そして最も好ましくは約0.05〜約0.5phmの範囲である。更に、得られるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの分子量は、水素の存在下で1,3−ブタジエンモノマーの重合を行うことによって効果的に制御することもできる。この場合、水素の分圧は、約0.01〜約50気圧の範囲で適宜に選択する。
【0042】
本発明の方法による1,3−ブタジエンモノマーの重合は、バッチ工程として、半連続法で、又は連続法で行うことができる。いずれの場合でも、窒素、アルゴン又はヘリウムのような不活性ガスを用いて無酸素条件下で、ゆっくり又は激しく攪拌しながら、重合を行う。本発明の実施において適用される重合温度は、−10℃以下のような低温から100℃以上のような高温まで非常に広範囲に変化することができ、好ましい温度範囲は約20℃〜約90℃である。重合熱は、外部冷却、1,3−ブタジエンモノマー又は溶媒の蒸発による冷却、或いはこの2種の方法の組み合わせによって除去することができる。本発明の実施において適用される重合圧力も又広範囲に変化し得るけれども、好ましい圧力範囲は約1気圧〜約10気圧である。
【0043】
本発明の重合反応は、所望の転化率に到達した時に、公知の重合停止剤を重合系に添加して触媒系を不活性化することによって停止し、続いて、一般的に用いられておりそして共役ジエン重合体の製造の当業者に公知である脱溶媒と乾燥の通常の工程を行う。一般的には、触媒系を不活性化するために用いられる停止剤はプロトン性化合物であり、その例としては、これに限定はされないが、アルコール、カルボン酸、無機の酸及び水、或いはそれらの組み合わせが挙げられる。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールのような酸化防止剤を停止剤添加の前又は後に共に添加してもよい。酸化防止剤の使用量は、通常、生成する重合体の0.2重量%〜1重量%の範囲である。重合反応が停止すると、重合混合物からメタノール、エタノール又はイソプロパノールのようなアルコールを用いる析出又は溶媒及び未反応1,3−ブタジエンモノマーの水蒸気蒸留を行い、続いて濾過を行うことによってシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン生成物を単離することができる。次いで生成物を、一定の真空下で、約25℃〜約100℃の範囲内の温度(好ましくは約60℃)で乾燥する。
【0044】
本発明の方法によって製造されたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン生成物は、先行技術のクロム系触媒によって製造されたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン生成物のいくつかの種類よりも高い溶融温度及び向上したシンジオタクティシティーを有する。特許請求の範囲の方法の目的のための望ましい溶融温度は、約100〜140℃であり、より望ましくは約102又は105〜125又は130℃である。特許請求の範囲の方法の目的のための望ましい1,2−結合含量は、全繰り返し単位の約75、80又は83〜約90又は95%である。
【0045】
本発明の方法によって製造されたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン生成物は、多方面に使用される。それは、種々のゴムとブレンドしてその性質を改良するすることができる。例えば、それは特にタイヤにおいてエラストマーのグリーン強度を向上させるために、エラストマーに混入することができる。タイヤの支持カーカス(補強カーカス)は、タイヤ成型や加硫工程で特に変形されやすい。このため、タイヤの支持カーカスにおいてゴム組成物にシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを混入すると、この変形を防止するのに特に有用である。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンをタイヤのトレッド組成物に混入すると発熱を低下させ、タイヤの耐候特性を向上させる。シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン生成物はまた、食品用フィルムの製造や多くの成型分野においても有用である。
【0046】
本発明の方法実施について、以下の実施例を参照して更に具体的に説明するが、この説明は本発明の範囲を限定すると解釈されてはならない。実施例に示す部及び%は他に示さなければ重量基準である。
【0047】
【実施例】
実施例 1
乾燥機で乾燥した1リットルのガラス瓶を密閉用ゴムライナー及び孔の開いた金属キャップで栓をし、乾燥窒素を流してパージした。1,3−ブタジエン20.4重量%を含有する1,3−ブタジエン/ヘキサンブレンド 245gをその瓶に仕込んだ。以下の触媒成分を以下の順で瓶に添加した:水素化ジイソブチルアルミニウム0.50ミリモル、2−エチルヘキサン酸クロム(III)0.050ミリモル、及び亜リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)0.20ミリモル。瓶を50℃に維持したウオーターバスの中で4時間回転させた。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.5gを含有するイソプロパノール10mlを添加して重合を停止させた。重合混合物をイソプロパノール3リットル中に加えた。重合体を単離し、真空下60℃で恒量になるまで乾燥した。収量は38.1g(76%)であった。示差走査熱量測定法(DSC)によって測定して、重合体の融点は105℃であった。重合体の1H及び13C核磁気共鳴(NMR)分析の結果、1,2−結合の含量は81.1%であり、シンジオタクティシティは69.0%であることがわかった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって定量して、重量平均分子量(Mw)は1,400,000であり、数平均分子量(Mn)は647,7000であり、そして多分散性指数(Mw/Mn)は2.2であることが分かった。モノマーの仕込み、触媒成分の量及び得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの性質を表Iに纏めて示す。
【0048】
【表1】
【0049】
実施例 2〜4
実施例2〜4においては、実施例1の手順を表Iに示した触媒比を用いて繰り返した。モノマーの仕込み、触媒成分の量及び得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの性質を表Iに纏めて示す。
【0050】
実施例 5〜8
実施例5〜8においては、実施例1の手順を、但し亜リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)の代わりに亜リン酸水素ジネオペンチルを用い、モノマー及び触媒比を表2に示すようにして、繰り返した。モノマーの仕込み、触媒成分の量及び各々の実施例において得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの性質を表IIに纏めて示す。
【0051】
【表2】
【0052】
比較実施例 9〜10
比較実施例9及び10においては、実施例1の手順を、但し水素化ジイソブチルアルミニウムの代わりにトリエチルアルミニウムを用いて、繰り返した。モノマーの仕込み、触媒成分の量及び各々の実施例において得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの性質を表IIIに纏めて示す。
【0053】
【表3】
【0054】
比較実施例 11〜12
比較実施例11〜12においては、実施例1の手順を、但し、水素化ジイソブチルアルミニウムの代わりにトリエチルアルミニウムを、そして亜リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)の代わりに亜リン酸水素ジネオペンチルを用いて、繰り返した。モノマーの仕込み、触媒成分の量及び各々の実施例において得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの性質を表IIIに纏めて示す。
【0055】
実施例1〜8において得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの分析データを比較実施例9〜12において得られた生成物の分析データを比較すると、本発明の触媒系が、先行技術のクロム系の触媒系を用いて得られた生成物に比較して重要な意味を持つ程度のより高い溶融温度とより高いシンジオタクティシティーに示されるようなより高い品質を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを生成することが分かる。
【0056】
実施例 13〜16
実施例13〜16においては、分子量調節剤としての1,2−ブタジエンの有用性を評価するために一連の重合を行った。実験手順は本質的に実施例1に記載した手順と同一であったが、但し、種々な量の1,2−ブタジエンを、触媒成分の添加前にモノマー溶液を含有する重合瓶に添加した。モノマーの仕込み、触媒成分の量及び各々の実施例において得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの性質を表IVに纏めて示す。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例 17〜20
実施例17〜20においては、分子量調節剤としての1,2−ブタジエンの有用性を評価するために一連の重合を行った。実験手順は本質的に実施例13〜16に記載した手順と同一であったが、但し、但し亜リン酸水素ビス(2−エチルヘキシル)の代わりに亜リン酸水素ジネオペンチルを用いた。モノマーの仕込み、触媒成分の量及び各々の実施例において得られたシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの性質を表Vに纏めて示す。
【0059】
【表5】
【0060】
上記の実施例において、本発明を、特定の実験手段、材料及び態様に参照して記載してきたが、「特許請求の範囲」に記載した特許を請求している範囲内で種々な変更や修正をなし得ることは、当業者にとっては明らかなことであろう。それ故に、本発明は、開示された特定物に限定されるのではなくて、「特許請求の範囲」内の全ての均等物に及ぶものである。
Claims (2)
- 触媒として有効な量の、(a)2−エチルヘキサン酸クロム(III)、(b)水素化有機アルミニウム及び(c)非環式亜リン酸水素エステルを含んで成る触媒系の存在下で、場合によっては更に分子量調節剤の存在下で、1,3−ブタジエンを重合させることを含んで成るシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの製造方法。
- a)2−エチルヘキサン酸クロム(III)、、
b)水素化有機アルミニウム、及び
c)非環式亜リン酸水素エステル
を含んで成る、1,3−ブタジエンからシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを合成する触媒となる組成物。
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