JP4231054B2 - 末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
−CH2−C(R1)(CO2R2)(X) (1)
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
このような製造法の具体例としては、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として用いる重合方法によって一般式1で示す構造を有する(メタ)アクリル系重合体を製造し、さらに、重合性のアルケニル基とそれ以外の少なくとも1つのアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる方法、あるいは、一般式1で示す末端構造を有する(メタ)アクリル系重合体に、アルケニル基を有する有機金属化合物を反応させる方法、等が挙げられる。また、アルケニル基を有するハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いて、片末端にアルケニル基を有し、他の末端に式1の構造を有する(メタ)アクリル系の重合体を製造し、その末端のハロゲンをアルケニル基含有置換基に変換することによっても、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。
以下に本発明を詳述する。
−CH2−C(R1)(CO2R2)(X) (1)
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
末端にハロゲンを有する(メタ)アクリル系重合体の製造法としては例えば、ハロゲン化物を連鎖移動剤(テローゲン)として用いる重合において、四塩化炭素や四臭化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等を用いる方法が利用されてきた。しかしこの方法では両末端に確実にハロゲンを導入することは困難である。
o−,m−,p−XCH2−C6H4−CH2X、o−,m−,p−CH3C(H)(X)−C6H4−C(H)(X)CH3、o−,m−,p−(CH3)2C(X)−C6H4−C(X)(CH3)2、
(ただし、上の化学式中、C6H4はフェニレン基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
RO2C−C(H)(X)−(CH2)n−C(H)(X)−CO2R、RO2C−C(CH3)(X)−(CH2)n−C(CH3)(X)−CO2R、RC(O)−C(H)(X)−(CH2)n−C(H)(X)−C(O)R、RC(O)−C(CH3)(X)−(CH2)n−C(CH3)(X)−C(O)R、
(式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、nは0〜20の整数、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
XCH2C(O)CH2X、CH3C(H)(X)C(O)C(H)(X)CH3、(CH3)2C(X)C(O)C(X)(CH3)2、C6H5C(H)(X)−(CH2)n−C(H)(X)C6H5、
(上の式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2CO2−(CH2)n−OCOCH2X、CH3C(H)(X)CO2−(CH2)n−OCOC(H)(X)CH3、(CH3)2C(X)CO2−(CH2)n−OCOC(X)(CH3)2、
(上の式中、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)C(O)CH2X、CH3C(H)(X)C(O)C(O)C(H)(X)CH3、(CH3)2C(X)C(O)C(O)C(X)(CH3)2、o−,m−,p−XCH2CO2−C6H4−OCOCH2X、o−,m−,p−CH3C(H)(X)CO2−C6H4−OCOC(H)(X)CH3、o−,m−,p−(CH3)2C(X)CO2−C6H4−OCOC(X)(CH3)2、o−,m−,p−XSO2−C6H4−SO2X、
(上の式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、上記の重合で得られる、末端にハロゲンを有する(メタ)アクリル系重合体のハロゲンを変換することによって得ることができる。
H2C=C(R3)−R4−R5−C(R6)=CH2 (2)
(式中、R3、R6は水素またはメチル、R4は−C(O)O−(エステル基)、またはo−、m−、p−フェニレン基、R5は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。)
で示される化合物が挙げられる。R4がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R4がフェニレン基のものはスチレン系の化合物である。一般式2におけるR5としては、メチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基、o−,m−,p−フェニレン基、ベンジル基等のアラルキル基、−CH2CH2−O−CH2−や−O−CH2−等のエーテル結合を含むアルキレン基等が例示される。
H2C=C(H)C(O)O(CH2)n−CH=CH2、H2C=C(CH3)C(O)O(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、nは0〜20の整数)
H2C=C(H)C(O)O(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2、H2C=C(CH3)C(O)O(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2、
(上記の各式において、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o−,m−,p−ジビニルベンゼン、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−CH2−C(CH3)=CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−CH2CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−OCH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−OCH2−C(CH3)=CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−OCH2CH2CH=CH2o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6H4−C(CH3)=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6H4−CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6H4−CH2C(CH3)=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6H4−CH2CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6H4−OCH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6H4−OCH2−C(CH3)=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6H4−OCH2CH2CH=CH2
(ただし、上記化学式中、C6H4はフェニレン基を示す。)
が好ましい。
H2C=C(R7)C(R8)(R9)Sn(R10)3 (3)
(式中、R7、R8、R9は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基で互いに同じでも異なっていてもよい。R10は、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基)
式3の有機錫化合物の具体例を示すならば、アリルトリブチル錫、アリルトリメチル錫、アリルトリ(n−オクチル)錫、アリルトリ(シクロヘキシル)錫等が例示される。一般式3で示されるアルケニル基含有有機錫化合物は、一般式1の末端ハロゲンとラジカル機構で反応するので、(メタ)アクリル系モノマーの重合途中で添加してもよいし、一般式1の末端構造を有する(メタ)アクリル系重合体を一旦単離してからあらためて反応させてもよい。後者の場合、反応は加熱のみによっても進行するが、反応を促進させるためにアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を加えてもよい。
末端ハロゲン基のアルケニル基への変換方法としては、さらに、ハロゲンを末端に有する(メタ)アクリル系重合体に対し、金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてハロゲンをメタル化し、しかる後に、アルケニル基を有する求電子化合物と反応させる方法を用いることも可能である。
末端をヒドロキシル基含有置換基に変換する方法としては各種の反応を利用することが出来る。例えば、上記の重合法によって一般式1で示す末端を有する(メタ)アクリル系重合体を製造し、さらに重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法、一般式1で示すハロゲン末端を有する(メタ)アクリル系重合体に対し、金属単体または有機金属化合物を作用させてハロゲンをメタル化し、アルデヒドあるいはケトン等のカルボニル化合物と反応させる方法、ハロゲンを水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物で直接置換する方法、ハロゲンをポリアルコールで置換する方法等である。
R11R12C(X)−R13−R14−C(R1)=CH2 (4)
(式中、R1は水素、またはメチル基、R11、R12は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル、または他端において相互に連結したもの、R13は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R14は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
これらの化合物は、ハロゲンが結合している炭素がカルボニル基あるいはフェニル基と結合しており、炭素−ハロゲン結合が活性化されて重合が開始する。
XCH2C(O)O(CH2)nCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2,
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2,
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式5で示される化合物が挙げられる。
H2C=C(R1)−R14−C(R11)(X)−R15−R12 (5)
(式中、R1、R11、R12、R14、Xは上記に同じ、R15は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
R14は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R15としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R14が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R15としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
式5の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C2H5、CH2=CHC(H)(X)CH(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C6H5、CH2=CHC(H)(X)CH2C6H5、CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−CO2R、CH2=CH(CH2)8C(H)(X)−CO2R、CH2=CHCH2C(H)(X)−C6H5、CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−C6H5、CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−C6H4−SO2X、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−O−C6H4−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
これらの化合物を具体的に例示するならば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、3,3’−(エチレンジオキシ)ジフェノール、α,α’−ジヒドロキシ−p−キシレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、および、上記ポリオール化合物のアルカリ金属塩、
エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、α,α’−ジアミノ−p−キシレン、および上記ポリアミン化合物のアルカリ金属塩、
シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、1,8−オクタンジカルボン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、および上記ポリカルボン酸のアルカリ金属塩、
1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2−メルカプトエチルエーテル、p−キシレン−α,α’−ジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、および、上記ポリチオール化合物のアルカリ金属塩、
硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、等である。
この硬化性組成物は、(A)上記のいずれかの方法により得られる、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体、および(B)ヒドロシリル基含有化合物、を含有する硬化性組成物である。
R18 3SiO−[Si(R18)2O]a−[Si(H)(R19)O]b−[Si(R19)(R20)O]c−SiR18 3 (9)
HR18 2SiO−[Si(R18)2O]a−[Si(H)(R19)O]b−[Si(R19)(R20)O]c−SiR18 2H (10)
(式中R18およびR19は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R20は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基、aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100の整数を示す)、
一般式11で表される環状シロキサン
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でも(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有する、一般式12、13で示される鎖状シロキサンや、一般式14、15で示される環状シロキサンが好ましい。
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(C6H5)2O]h−Si(CH3)3 (12)
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(CH3){CH2C(H)(R24)C6H5}O]h−Si(CH3)3 (13)
(式中、R24は水素またはメチル基、gは2≦g≦100、hは0≦h≦100の整数、C6H5はフェニル基を示す)
(B)成分の少なくとも2個以上のヒドロシリル基を有する硬化剤としてはさらに、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物に対し、式9〜15に示したヒドロシリル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いることもできる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物としては、各種のものを用いることができる。例示するならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,O’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフェノールA等のエーテル系化合物、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート等のエステル系化合物、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等のカーボネート系化合物が挙げられる。
ラジカル開始剤としては特に制限はなく各種のものを用いることができる。例示するならば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等が挙げられる。
H2C=C(R3)−R4−R5−[Si(R16)2−b(Y)bO]m−Si(R17)3−a(Y)a (6)
(式中、R3、R4およびR5は、一般式2におけるR3、R4、R5に同じ、R16およびR17は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R16またはR17が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。)で示される化合物が挙げられる。R4が−C(O)O−(エステル基)の場合は(メタ)アクリレート系の化合物であり、R4がフェニレン基である場合はスチレン系の化合物である。
これらの中でも、加水分解性シリル基の反応性がマイルドで取扱いやすく、また、入手が容易であるという点で、
H2C=C(H)CO2−(CH2)n−Si(OCH3)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−Si(OC2H5)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−Si(OC3H7)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−Si(OCH3)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−Si(OC2H5)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−Si(OC3H7)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−Si(CH3)(OC3H7)2、
(上記の各式中、nは2〜20の整数)
H2C=C(H)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(OCH3)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(OC2H5)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(OC3H7)3、H2C=C(H)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC3H7)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(OCH3)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(OC2H5)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC2H5)2、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(OC3H7)3、H2C=C(CH3)CO2−(CH2)n−O−(CH2)m−Si(CH3)(OC3H7)2、
(上記の各式中、nは1〜20の整数、mは2〜20の整数)
o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−(CH2)n−Si(OCH3)3、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−(CH2)n−Si(CH3)(OCH3)2、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−O−(CH2)n−Si(OCH3)3、o−,m−,p−H2C=CH−C6H4−O−(CH2)n−Si(CH3)(OCH3)2
(但し、上記化学式中、C6H4はフェニレン基、nは2〜20の整数。)
が好ましい。
R11R12C(X)−R13−R14−C(H)(R1)CH2−[Si(R16)2−b(Y)bO]m−Si(R17)3−a(Y)a (7)
(式中、R1、R11、R12、R13、R14、R16、R17、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
式7の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、XCH2C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(CH3)(OCH3)2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
(R17)3−a(Y)aSi−[OSi(R16)2−b(Y)b]m−CH2−C(H)(R1)−R14−C(R11)(X)−R15−R12 (8)
(式中、R1、R11、R12、R14、R15、R16、R17、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、(CH3O)3Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
H−[Si(R16)2−b(Y)bO]m−Si(R17)3−a(Y)a (16)
(式中、R16、R17、Y、a、bは、一般式6におけるそれらと同じである。)
で表される化合物が例示される。
これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式17
H−Si(R17)3−a(Y)a (17)
(式中、R17、Y、aは前記と同じ。)で表される架橋性基を有するヒドロシラン化合物が、入手容易な点から好ましい。一般式16または17で示される架橋性基を有するヒドロシラン化合物の具体例としては、
HSiCl3、HSi(CH3)Cl2、HSi(CH3)2Cl、HSi(OCH3)3、HSi(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)2OCH3、HSi(OC2H5)3、HSi(CH3)(OC2H5)2、HSi(CH3)2OC2H5、HSi(OC3H7)3、HSi(C2H5)(OCH3)2、HSi(C2H5)2OCH3、HSi(C6H5)(OCH3)2、HSi(C6H5)2(OCH3)、HSi(CH3)(OC(O)CH3)2、HSi(CH3)2O−[Si(CH3)2O]2−Si(CH3)(OCH3)2、HSi(CH3)[O−N=C(CH3)2]2
(但し、上記化学式中、C6H5はフェニル基を示す)
等が挙げられる。
上記のようにして得られた、末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、これを主成分とする硬化性組成物にすることができる。
(2−アリロキシエチルメタクリレートの合成)撹拌機、温度計、還流冷却管、ディーンスターク管を取り付けた三つ口フラスコに、メタクリル酸(137.7g、1.6mol)、エチレングリコールモノアリルエーテル(80.7g、0.8mol)、p−トルエンスルホン酸(0.76g、4.0mmol)、およびトルエン(650mL)を仕込んだ。120℃で5時間反応させた後、p−トルエンスルホン酸を0.12g追加し、さらに同じ温度で6時間反応させ、p−トルエンスルホン酸を0.1g追加した。同じ温度でさらに9時間反応させて反応を終了した。この間、液体クロマトグラフィーでメタクリル酸とエチレングリコールモノアリルエーテルを追跡し、転化率は最終的に98%に達した。NaHCO3水溶液を加えて中和し、2層を分離した。水層をトルエンで1回抽出し、有機層をCaCl2で乾燥した後、揮発分を減圧下留去した。粗生成物を減圧蒸留する(60℃、2mmHg)ことにより、下式に示す2−アリロキシエチルメタクリレートを98.7g得た(収率73%)。
H2C=C(CH3)CO2(CH2)2OCH2CH=CH2
30mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(2.5mL、2.24g、17.45mmol)、α,α’−ジブロモ−p−キシレン(92.5mg、0.35mmol)、臭化第一銅(50mg、0.35mmol)、2,2’−ビピリジル(163mg、1.05mmol)、および酢酸エチル(2mL)、アセトニトリル(0.5mL)を仕込み、窒素ガスを10分間吹き込んで溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、1時間反応させた。室温に冷却した後、製造例1で得られたアリロキシエチルメタクリレート(600mg、3.5mmol)を窒素ガス雰囲気下で添加して封管した。混合物を80℃に加熱し、1時間反応させた。混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去し、下式に示す両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチルを1.97g得た(重合収率88%)。重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により6700、分子量分布は1.60であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1HNMR分析より、5.4個であった。
実施例1において、アクリル酸ブチルのかわりにアクリル酸メチルを使用する以外は全く同様にして、下式の構造を有する両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸メチルを得た(収率93%)。重合体の数平均分子量はGPC測定により(ポリスチレン換算)により7900、分子量分布は2.0であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H NMR分析より平均3.3個であった。
50mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(10mL、8.94g、69.8mmol)、α,α’−ジブロモ−p−キシレン(370mg、1.4mmol)、臭化第一銅(200mg、1.4mmol)、2,2’−ビピリジル(433mg、2.8mmol)、およびメチルイソブチルケトン(10mL)を仕込み、窒素ガスを10分間吹き込んで溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、20分反応させた。室温に冷却した後、混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去し、両末端に臭素を有するポリ(アクリル酸ブチル)を5.21g得た(58%)。重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により3700、分子量分布は1.41であった。
30mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(5mL、4.47g、34.9mmol)、α,α’−ジブロモ−p−キシレン(180mg、0.69mmol)、臭化第一銅(98mg、0.69mmol)、2,2’−ビピリジル(319g、2.06mmol)、および酢酸エチル(4mL)、アセトニトリル(1ml)を仕込み、窒素ガスを10分間吹き込んで溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、1時間反応させた。混合物を冷却後、窒素雰囲気下でアリルトリブチル錫(0.51mL、1.64mmol)を添加し、100℃で1時間反応させた。混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去し、下式に示す両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチルとブロモトリブチル錫の混合物を得た(収量4.48g)。重合体の数平均分子量はGPC測定により(ポリスチレン換算)により7700、分子量分布は1.33であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H NMR分析より、1.6個であった。
30mLの耐圧ガラス反応器に、アクリル酸メチル(5mL、4.78g、55.6mmol)、α,α’−ジブロモ−p−キシレン(292mg、1.11mmol)、臭化第一銅(159mg、1.11mmol)、2,2’−ビピリジル(518mg、3.3mmol)、および酢酸エチル(4mL)、アセトニトリル(1mL)を仕込み、真空脱揮を2回行って溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、2.7時間反応させた。室温に冷却した後、アリルトリブチル錫(0.82mL、2.66mmol)を添加し、80℃で6時間反応させた。混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去した。粗生成物を少量のアセトンに溶かし、ヘキサンで再沈殿を2回行い、下式に示す両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸メチルを得た(収量2.80g)。重合体の数平均分子量はGPC測定により(ポリスチレン換算)により7000、分子量分布は1.26であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H NMR分析より、1.7個であった。
(アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の製造1)
50mLの2口フラスコを窒素置換し、2−アリルオキシエタノール(2.5mL、23.4mmol)、ピリジン(3mL)、およびTHF(10mL)を仕込んだ。溶液を0℃に冷却し、2−ブロモプロピオン酸クロライド(2mL、19.52mmol)をゆっくり滴下した。そのままの温度で1時間撹拌を続けた後、酢酸エチル(10mL)を加え、生成したピリジンの塩酸塩を濾過により除去した。濾液を希塩酸(10mL)、NaHCO3水溶液(10mL)、さらにブライン(10mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧化留去した。得られた粗生成物を減圧蒸留することにより、下式に示すアリルオキシエチル−2−ブロモプロピオネートを得た。(78.5〜81℃(1.3mmHg)、2.986g)。
(アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の製造2)
50mLの2口フラスコを窒素置換し、5−ヘキセン−1−オール(2.81mL、23.4mmol)、ピリジン(3mL)、およびTHF(10mL)を仕込んだ。溶液を0℃に冷却し、2−ブロモプロピオン酸クロライド(2mL、19.52mmol)をゆっくり滴下した。そのままの温度で1時間撹拌を続けた後、酢酸エチル(10mL)を加え、生成したピリジンの塩酸塩を濾過により除去した。濾液を希塩酸(10mL)、NaHCO3水溶液(10mL)、さらにブライン(10mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧化留去した。得られた粗生成物を減圧蒸留することにより、下式に示すヘキセニル−2−ブロモプロピオネートを得た。(82〜83℃(2.3mmHg)、3.101g)。
CH3C(H)(Br)C(O)O−(CH2)4−CH=CH2
30mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(2.5mL、2.24g、17.45mmol)、製造例2で得られたアルケニル基を有する開始剤(165mg、0.698mmol)、臭化第一銅(100mg、0.698mmol)、2,2’−ビピリジル(218mg、1.40mmol)、アセトニトリル(0.5mL)、酢酸エチル(2mL)を仕込み、窒素ガスを10分間吹き込んで溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、50分反応させた。室温に冷却した後、混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去して、片末端にアルケニル基、他の末端には臭素を有するポリ(アクリル酸ブチル)を1.90g得た(79%)。重合体の数平均分子量はGPC測定により(ポリスチレン換算)により3600、分子量分布は1.51であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H NMR分析より、0.75個であった。
30mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸メチル(5mL、4.78g、55.5mmol)、2−メチル−2−ブロモプロピオン酸アリル(0.354mL、460mg、2.22mmol)、臭化第一銅(318mg、2.22mmolmmol)、2,2’−ビピリジル(1.04g、6.66mmol)、アセトニトリル(1mL)、酢酸エチル(4mL)を仕込み、真空脱気を3回行って溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を80℃に加熱し、3時間反応させた。室温に冷却した後、混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去して、片末端にアルケニル基、他の末端には臭素を有するポリ(アクリル酸ブチル)を3.93g得た(75%)。重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により2700、分子量分布は1.48であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H NMR分析より、0.81個であった。
100mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(10mL、8.94g、69.8mmol)、製造例2で得られたアルケニル基を有する開始剤(332mg、1.40mmol)、臭化第一銅(200mg、1.40mmol)、2,2’−ビピリジル(433mg、2.80mmol)、アセトニトリル(2mL)、および酢酸エチル(8mL)を仕込み、窒素ガスを10分間吹き込んで溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、1.5時間反応させた。室温に冷却した後、p−ジビニルベンゼン(364mg、2.80mmol)を窒素ガス雰囲気下で添加して封管した。混合物を100℃に加熱し、2時間反応させた。混合物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去し、下式に示す両末端にアルケニル基を有するポリアクリル酸ブチルを6.43g得た(69%)。重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により3900、分子量分布は5.35であった。また、オリゴマー1分子当たりに導入されたアルケニル基は、1H NMR分析より、1.73個であった。
硬化物の作成
実施例1、2、3、6、7、8で得られた両末端にアルケニル基を有する重合体をトルエンに溶解し、重合体と等量の珪酸アルミ(協和化学製:キョーワード700PEL)を添加して1時間撹拌し、重合体中の微量不純物を除去した。次に、精製されたポリ(アクリル酸エステル)と、下式に示す多価ハイドロジェンシリコン化合物、および、0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体(8.3×10−8mol/Lキシレン溶液)をよく混合した。多価ハイドロジェンシリコン化合物の使用量は、重合体のアルケニル基とハイドロジェンシリコン化合物のヒドロシリル基がモル比で1/1.2となる量、また、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対して、モル比で10−4〜10−3当量とした。
30mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(5mL、4.47g、34.9mmol)、α,α’−ジブロモ−p−キシレン(185mg、0.70mmol)、臭化第一銅(100mg、0.70mmol)、2,2’−ビピリジル(1.09g、7.0mmol)、およびアセトニトリル(5mL)を仕込み、真空脱揮を3回行って溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、6時間反応させた。混合物を酢酸エチル(mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を希塩酸で3回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去し、両末端に臭素を有するポリ(アクリル酸ブチル)を得た(3.04g、重合収率68%)。重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により5200、分子量分布は1.17であった。次に、30mLの耐圧反応管に、上で得られた両末端に臭素を有するポリ(アクリル酸ブチル)(1g)、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(285mg、1.15mmol)、臭化第一銅(27.6mg、0.193mmol)、2,2’−ビピリジル(300mg、1.93mmol)、および酢酸エチル(3mL)を仕込み、130℃で6時間反応させたところ、下式に示す末端にトリメトキシシリル基を有するポリ(アクリル酸ブチル)を得た。
30mLの耐圧ガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(5mL、4.47g、34.9mmol)、α,α’−ジブロモ−p−キシレン(185mg、0.70mmol)、臭化第一銅(100mg、0.70mmol)、2,2’−ビピリジル(217mg、1.40mmol)、酢酸エチル(4mL)、およびアセトニトリル(1mL)を仕込み、窒素バブリングを10分間行って溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に加熱し、2時間反応させた。混合物を冷却した後、メチルジメトキシシリルプロピルメタクリレート(650mg、2.8mmol)を添加し、100℃で2時間反応させた。混合物を冷却後、酢酸エチル(20mL)で希釈し、生成した不溶固体をろ過した後、濾液を塩化アンモニウム水溶液で2回、ブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥し、揮発分を減圧下留去し、下式に示す両末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリ(アクリル酸ブチル)を4.78g得た(90%)。重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により7100、分子量分布は1.74であった。また、1H NMR分析により、一分子あたりに導入されたシリル基は3.2個であった。
Claims (5)
- (A)末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体、及び、(B)ヒドロシリル基含有化合物、を含有する硬化性組成物であって、
(A)成分の末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として用いる重合方法によって一般式1で示す末端構造を有する(メタ)アクリル系重合体を製造し、さらに、一般式2で示す化合物を反応させることによって得られるものである
ことを特徴とする硬化性組成物。
−CH2−C(R1)(CO2R2)(X) (1)
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
H2C=C(R3)−R4−R5−C(R6)=CH2 (2)
(式中、R3、R6は水素またはメチル、R4は−C(O)O−(エステル基)、またはo−、m−、p−フェニレン基、R5は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。) - 開始剤である有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が、アルケニル基を有するハロゲン化物である請求項1記載の硬化性組成物。
- アルケニル基を有するハロゲン化物が、一般式4、または5で示される化合物である請求項2記載の硬化性組成物。
R11R12C(X)−R13−R14−C(R1)=CH2 (4)
(式中、R1は水素、またはメチル基、R11、R12は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、または他端において相互に連結したもの、R13は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−、m−、p−フェニレン基、R14は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
H2C=C(R1)−R14−C(R11)(X)−R15−R12 (5)
(式中、R1、R11、R12、R14、Xは上記に同じ、R15は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基) - (A)末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体、及び、(B)ヒドロシリル基含有化合物、を含有する硬化性組成物であって、
(A)成分の末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体は、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物、または、アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒として用いる重合方法によって、片末端にアルケニル基、他の末端に一般式1で示される構造を有する(メタ)アクリル系重合体を製造し、さらに一般式1のハロゲンを置換することのできる、同一または異なった官能基を合計2個以上有する化合物を用いて、ハロゲン末端どうしをカップリングすることによって得られるものである
ことを特徴とする硬化性組成物。
−CH2−C(R1)(CO2R2)(X) (1)
(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素) - 一般式1のハロゲン末端どうしのカップリング反応を、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリチオール、およびそれらの塩、アルカリ金属硫化物からなる群より選ばれる化合物を用いて行う請求項4記載の硬化性組成物。
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