JP4230441B2 - マグネシウム合金製中空金属球 - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウムまたはマグネシウムを主成分とする合金板から作成された中空金属球に関する。
近年、中空金属球(MHS:Metal Hollow Sphere)が注目されている。中空金属球を積層することによって作成される規則的なセル構造体は、高強度であり、衝撃吸収特性や吸音特性が優れている。これらの殆どは、鉄又はアルミニウム合金で作られている。しかし、中空金属球は、実用金属の中で最も密度の低いマグネシウムでは実用化されていなかった。
従来、中空金属球は、芯材に球状の高分子有機物を用いて、その表面に金属を被覆し、加熱することにより芯材の高分子有機物を分解して、ガス化し、金属の中空球体を得ていた。
特許文献1は、無機物の天然ガラスの芯材に金属を被覆し、被覆した金属の溶融温度以上の温度で加熱して、芯材を発泡させ、微小な中空球体を製造すること開示する。
特許文献1では、微小な芯材の粉末を原料とし、芯材に真空下PVD法、CVD法、又は無電解めっき法により金属を被覆する。これらの金属被覆法は、被覆できる金属が限られ、またそれぞれ設備を必要とし、コストが高くなる。
又、金属板をプレスすることにより擬似的な中空金属球が連続する構造を作成する方法がある。特許文献2は、金属板材を金型によりプレスして、半球ドーム状の突起が連続する部材を形成し、この部材を2枚組合わせ、擬似中空球体が並ぶ層状構造を作成し、この層状構造を積層して衝撃吸収体を形成する方法を開示する。
一方、自動車部品や、携帯用電子機器の分野で、低密度のマグネシウム合金が、注目されている。マグネシウム合金は、軽量で機械的特性が優れているので、マグネシウム合金の中空金属球を形成することができれば、これを積層して超軽量なセル構造体を作成することができる。しかし、マグネシウム合金は六方最密結晶構造で延性が低い。そのため、塑性加工が困難で、マグネシウム合金をプレス成形することは難かしかった。一方、マグネシウム粉末は反応性が高く取り扱いが難しいので、粉末冶金による方法で、マグネシウム合金の中空金属球を形成するのは、困難であった。また金属粉末は高価である。
そのため、取り扱いの難しいマグネシウム粉末を用いずに、マグネシウム板から簡単な方法で超軽量のマグネシウム合金の中空金属球を製造する方法の開発が望まれている。
特開2002−241801号 特開2003−275825号
本発明の目的は、製造が簡単で安価なマグネシウム合金の中空金属球及びその製造方法を提供することである。
我々は、固体のマグネシウム合金板から、閉セルのマグネシウム中空金属球を製造する新しい方法を開発した。本発明方法は、成形性の良いマグネシウム合金板を原料とし、マグネシウム合金板に発泡剤を挟み、マグネシウム合金板の積層、拡散結合、圧延、切断を繰り返して、発泡剤が均一に分散したマグネシウム合金プリフォームを作成する。次に、このプリフォームを中空球体を作成するのに適した大きさに切断し、切断したプリフォームを発泡剤の分解温度以上の温度で加熱して発泡剤を発泡させ、その膨張力によりプリフォームを膨張させ、マグネシウム合金の中空金属球を作成する。
なお、本発明では、マグネシウム合金板を発泡させて発泡体を形成する。できた発泡体の形状は、主として温度条件により、少し膨らんだ形状から、中空金属球に近い形状まで変化する。そのため、本発明でいう中空金属球とは、外形が完全な球形状の球体だけではなく、球形に近い球状体までを含んでいる。
本発明の1態様は、Mg-Al-Zn系(AZ系)マグネシウム合金板と、発泡剤粉末とから製造された直径が1〜10mmである中空金属球である。
前記AZ系マグネシウム合金は、AZ31であることが好ましい。
前記発泡剤粉末は水素化チタン粉末であることが好ましい。
前記水素化チタン粉末は、前記マグネシウム合金板に対して0.5〜2.0質量%添加されることが好ましい。
本発明の別の態様は、複数のマグネシウム合金板に発泡剤を挟み、前記マグネシウム合金板の積層、拡散結合、圧延、切断を繰り返して、発泡剤を均一に分散したマグネシウム合金プリフォームを作成し、前記プリフォームを前記発泡剤の分解温度以上の温度で加熱して前記発泡剤を発泡させて作成したマグネシウム合金製中空金属球である。
本発明の別の態様は、マグネシウム合金製中空金属球の製造方法であって、
(a) 複数のマグネシウム合金板の間に発泡剤粉末を挟み、
(b) 前記マグネシウム合金板を積層し、
(c) 前記積層したマグネシウム合金板を拡散接合し、
(d) 前記拡散接合したマグネシウム合金板を圧延し、
(e) 前記圧延したマグネシウム合金板を複数枚に切断し、
(f) 前記(b)積層と、(c)拡散接合と、(d)圧延と、(e)切断とのステップを複数回繰り返して、プリフォームを作成し、
(g) 前記切断した前記プリフォームを前記発泡剤粉末の分解温度以上の温度で加熱して、前記発泡剤粉末を発泡させ、マグネシウム合金の中空金属球を作成する、ステップを備える。
前記マグネシウム合金板の絶対温度での融点をTMとして、前記プリフォームをTM×0.8以上で、TM以下の温度で加熱して発泡させることが好ましい。
本発明によれば、マグネシウム合金板を用い、簡単な製造方法により、安価で、超軽量のマグネシウム合金の金属中空球を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の実施の形態では、原材料として、展伸用マグネシウム合金板と、粉末状の発泡剤とを準備する。展伸用マグネシウム合金は、Mg-Al-Zn系(AZ系)マグネシウム合金、例えばAZ31を使用する。AZ31の化学的組成は、Alが3質量%、Znが1質量%、残部がMgである。AZ31以外のMg-Al-Zn系、又はMg-Zn-Zr系、Mg-Li系といった展伸用マグネシウム合金板を使用することができる。
本発明で使用する発泡剤は、使用する展伸用マグネシウム合金の融点以下の温度で発泡し、展伸用マグネシウム合金を膨張させることができるものであれば良い。良好な中空金属球を得るには、使用するマグネシウム合金の融点に近い分解温度を有する発泡剤を使用するのが望ましい。AZ31マグネシウム合金を使用する場合は、分解温度が約400℃の水素化チタンを使用することが好ましい。本発明の実施の形態では、発泡剤として水素化チタンを使用するが、水素化チタン以外に、水素化ジルコニウム、水素化マグネシウム等を使用することができる。
発泡剤の粒径は、母材中に均一に分散させるためには十分小さいことが望ましいが、小さすぎると粒子の取り扱いが難しい等の問題があるので、10〜50μm程度が好ましい。
発泡剤を複数のマグネシウム合金板の間に挟むには、一方の金属板の表面にふるいにかけながら発泡剤を散布し、その上に他の金属板を重ね合わせればよい。又は、その他の方法により、マグネシウム合金板の間に発泡剤を挟んでも良い。
発泡剤の使用量は、使用するマグネシウム合金の組成、発泡剤の種類、得ようとする中空金属球の大きさ、気孔率等により変わる。使用量は、発泡してマグネシウム合金を十分に膨張させる量であり、且つ発泡するときにマグネシウム合金の壁面を突き破るほどには膨張させない量であることが必要である。AZ31マグネシウム合金を使用し、発泡剤として水素化チタンを使用する場合は、AZ31マグネシウム合金板の重量に対して、0.5〜2.0重量%程度の水素化チタンを使用することが好ましい。
図1に、本実施の形態によるマグネシウム合金のプリフォームシートの製造工程を示す。プリフォームシートとは、発泡前のシートを表す。まず、複数枚のマグネシウム合金板10を準備する。拡散接合をするのに必要な程度に、マグネシウム合金板10の表面に付着している油分等の汚れを清浄化し、表面を平滑に研磨する。アセトン等の溶剤で洗浄するか、又はサンドブラスト処理しても良い。次に、図1の(a)に示すように、マグネシウム合金板10の表面に発泡剤として水素化チタン(TiH2)粉末12を均一に散布する。その上に他のマグネシウム合金板10を重ね合わせ、水素化チタン粉末12を散布し、更に他のマグネシウム合金板10を重ね合わせる工程を繰り返す。こうして、複数のマグネシウム合金板10の間に水素化チタン粉末12を挟んだ積層体ができる。
積層するマグネシウム合金板の枚数は、マグネシウム合金板の厚さ、使用するホットプレス等の性能による。積層した全体の厚さが厚くなると、高性能のホットプレスが必要になることから、積層する枚数は、2〜10枚程度が適当である。又、1枚のマグネシウム合金板の厚さは、取り扱いやすく、また圧延により発泡剤をマグネシウム合金板中に均一に分散させる必要があるので、1〜3mm程度が好ましい。
積層した複数枚のマグネシウム合金板10を加圧加熱して拡散接合する。本実施の形態では、大気雰囲気中で、ホットプレス20により拡散接合する。拡散接合温度(TD)は、マグネシウム合金板10を拡散接合できる温度である必要がある。AZ31マグネシウム合金では、300〜350℃が好ましい。
次に、(b)に示すように、拡散接合したマグネシウム合金板10を圧延する。本実施の形態では、二段式圧延機25を用いて、1回の圧下率は15%程度とし、圧延を繰り返して、初期の板厚の半分になるまで圧延する。圧延圧力、速度は圧延するマグネシウム合金により、適宜選択することができる。二段式圧延機25による圧延温度TRは、マグネシウム合金を圧延することができる温度であり、かつ後述するマグネシウム合金の発泡が起こらない温度である必要がある。AZ31マグネシウム合金の場合300〜400℃が好ましい。
(c)に示すように、二段式圧延機25により圧延したマグネシウム合金板10を剪断機により横方向に切断し、2枚のマグネシウム合金板10にする。なお、2枚に切断せず、3枚又はそれ以上の枚数に切断することもできる。
次に、(d)に示すように、切断したマグネシウム合金板10を積層する。なお、積層する前に、再度切断したマグネシウム合金板10の間に水素化チタン粉末12を挟んでも良い。
積層した2枚のマグネシウム合金板10を再度(a)に示すホットプレス20により、拡散接合する。次に、(b)に示す二段式圧延機25を用いて、圧延する。
このようにして、(d)積層、(a)拡散接合、(b)圧延、(c)切断の工程を繰り返す。マグネシウム合金板10中に水素化チタン粉末12を均一に分散させるには、繰り返し回数は多いほうが良い。(a)〜(d)の工程を1回行うと、マグネシウム合金板10の間の水素化チタン粉末12からなる水素化チタン層13の数が2倍に増える。(a)〜(d)の工程を繰り返すことにより、水素化チタン層13の数は2倍ずつ増加し、次第に水素化チタン粉末12がマグネシウム合金の母材中に均一に分散した状態に近づいていく。
本実施の形態では、(a)〜(d)の工程を4〜6回繰り返す。こうして、マグネシウム合金板のプリフォームシートを形成する。
次に、必要により、プリフォームシートを発泡に適した厚さ、1mm〜3mmの厚さに圧延する。プリフォームシートが薄すぎると、発泡させたときに発生する気体が少ないので十分膨張しない。一方、厚すぎるとプリフォームシートの変形抵抗が大きく、発生した気体により十分膨張させることができない。
プリフォームシートを更に切断し、多数のプリフォーム試料15を作成する。プリフォーム試料15の大きさは、作成しようとする発泡体の大きさによる。プリフォーム試料15の形状は、正方形、長方形又はその他の形状でも良いが、均一な形状の発泡体を形成するには、正方形が好ましい。ここにプリフォーム試料15とは、発泡前の試料を意味する。
次に、このプリフォーム試料15を発泡剤の分解温度以上の温度で加熱して、発泡剤を発泡させ、金属発泡体を得る。加熱する温度(発泡温度)TFは、発泡剤が発泡してマグネシウム合金を膨張させることができる温度である。また、発泡温度TFは、使用するマグネシウム合金の絶対温度での融点をTMとすると、TM×0.8以上でTM以下の温度、即ち、TM×0.8≦TF≦TMを満たす温度が好適である。AZ系合金の場合、加熱する発泡温度TFは600〜630℃が適している。プリフォーム試料15を10〜30秒間発泡温度TFに保持する。加熱は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
本実施の形態では、プリフォーム試料15を電気炉30で加熱する。図2に電気炉30の概略図を示す。この電気炉30は、高周波誘導コイル32により円筒形黒鉛31を加熱し、円筒形黒鉛31によりその中の試料を加熱するものである。円筒形黒鉛31の底部から試料台33を円筒形黒鉛31内に出し入れすることができるようになっている。円筒形黒鉛31の外周に熱電対34が設けられ、熱電対34は導線36により温度測定部(図示せず)に接続され、円筒形黒鉛の外面の温度(TC)を測定するようになっている。また、円筒形黒鉛31の底部に熱電対35が設けられ、熱電対35は導線37により温度測定部(図示せず)に接続され、試料の温度(TS)を測定するようになっている。図示しないが、通常の電気炉のように、高周波誘導コイル32、円筒形黒鉛31等は、気密構造のチャンバ内に配置され、内部をガス雰囲気で置換することができるようになっている。加熱は図示した電気炉に限らず、所定の雰囲気中で所定の温度条件で加熱できる炉を使用することができる。
図3に、プリフォーム試料15を加熱するときの温度プロファイル曲線を示す。図中、点線で示すTCは円筒形黒鉛31の温度、実線で示すTSはプリフォーム試料15の温度を示す。予め、電気炉30の内部をアルゴン雰囲気とし、誘導コイル32により円筒形黒鉛31を加熱し、円筒形黒鉛31が一定の温度になるようにしておく。試料台33にプリフォーム試料15を載せ、円筒形黒鉛31内に入れる。プリフォーム試料15の試料温度TSは、次第に円筒形黒鉛の温度に近づく。試料温度TSが所定の温度になったところで加熱をやめ、試料温度TSを発泡温度TFに保持する。
試料温度TSを発泡温度TFに一定時間保持するために、円筒形黒鉛31の温度TCをどのように制御するかは、使用する炉によって異なる。
また、プリフォーム試料15を加熱する温度プロファイル曲線は、図3に示すものに限定されない。発泡剤を発泡させ、プリフォーム試料15を膨張させて、中空金属球を作成することが出来る条件であればよく、使用するマグネシウム合金、発泡剤により条件は異なる。
プリフォーム試料15の加熱により、プリフォーム試料15に含まれている水素化チタン粉末12が分解して発泡する。発泡により発生した気体の膨張力により、板の形状のプリフォーム試料15は、膨張して発泡体が形成される。発泡体の形状は、発泡温度が低いときは、板の形状の中央部が膨らんだ形状であるが、ある温度範囲では、発泡体はほぼ球形となり、内部に球形の空洞が形成された中空金属球となる。その後、プリフォーム試料15を載せた試料台33を円筒形黒鉛31の底部から出し、プリフォーム試料15を急冷する。こうして、マグネシウム合金の中空金属球ができる。
できた発泡体の気孔率は、密度を測定することにより求めることができる。本発明の実施の形態により、気孔率が40〜80%の中空金属球を得ることができる。
中空金属球の直径は、プリフォーム試料15の大きさ、水素化チタン粉末12の量等により変わるが、本発明の実施の形態によれば、直径1〜10mmの中空金属球を得ることができる。
多数のこの中空金属球を接着剤により接着し、又は焼結することにより、多数の閉じたセルが含まれるセル構造体を作成することができる。
市販のAZ31マグネシウム合金板のストリップ(幅30mm、長さ300mm、厚さ1mm)を6枚準備した。アセトンで表面を清浄化し、次に円板状の研磨板で表面研磨し、表面を平滑にした。マグネシウム合金板10の重ね合わせる表面に、直径45μm以下の水素化チタン(TiH2)粉末12を均一に散布した。水素化チタン粉末12の量は、マグネシウム合金板10の重量に対して0.5%と2.0%とした。水素化チタン粉末12を間に挟んで、マグネシウム合金板10のストリップを6枚積層した。積層したマグネシウム合金板10のストリップを大気雰囲気中でホットプレス20により、60MPaの圧力をかけ、拡散接合温度(TD)350℃で600秒間保持し、6枚のマグネシウム合金板10のストリップを拡散接合した。
拡散接合したマグネシウム合金板10のストリップを二段式圧延機25を使用して、圧延温度(TR)300℃で圧延した。1回の圧延で15%圧延し、元の厚さの50%の厚さになるまで、圧延を繰り返した。50%の厚さに圧延し、元の約2倍の長さになったマグネシウム合金板10のストリップを剪断機で2つのマグネシウム合金板10のストリップに切断した。2つに切断したマグネシウム合金板10のストリップを積層し、2回目の拡散結合を行った。拡散結合の条件は1回目の拡散結合と同じとした。このマグネシウム合金板10のストリップに2回目の圧延を行った。圧延の条件は1回目の圧延と同じとした。この切断と、積層と、拡散結合と、圧延とのプロセスを合計で4回繰り返した。
図4に、拡散結合と圧延を繰り返したときのマグネシウム合金板10のストリップの断面写真を示す。サイクル数が多くなると、マグネシウム合金板10の層数と、水素化チタン粉末12からなる水素化チタン層13の数が多くなる。当初6層であったマグネシウム合金層は、4サイクルの後、48層になり、1層の厚さは62.5μmとなる。(1mm×6÷2÷48=62.5μm)水素化チタン粉末12の粒子は、直径45μm以下なので、4サイクルの後、マグネシウム合金の母材中にほぼ均一に分散した状態となる。これをプリフォームシートとした。
このプリフォームシート(厚さ3mm)を機械加工により7.5mm×7.5mmに切断し、プリフォーム試料15とした。このプリフォーム試料を図2に示す電気炉に入れてアルゴンガス雰囲気中で加熱した。
プリフォーム試料15を発泡温度を変えて加熱し、30秒間その温度に保持した。これにより、プリフォーム試料15は発泡した。その後、発泡した試料を電気炉から取り出し、室温まで冷却した。これにより、マグネシウム合金の中空金属球ができた。
図5に、水素化チタンの添加量が(a)0.5質量%と(b)2.0質量%の試料について、発泡温度TFを変えて中空金属球を作成した場合の、発泡温度TFと気孔率の関係を示す。発泡温度TFが高くなると、気孔率が高くなる。また、発泡温度TFが低いときの発泡体の形状は、プリフォーム試料の上下面の中央が膨らんだ形状であるが、発泡温度TFが高くなると、次第に、球形に近い形状の中空金属球となる。発泡により、適切にマグネシウム合金板が膨張するためである。
しかし、ある温度を超えると、気孔率は急激に小さくなり、発泡体の形状は、球形からゆがんでくる。これは、発泡温度が、マグネシウム合金の融点に近づくと、マグネシウム合金板が柔軟になりすぎ、発泡剤が発泡するときマグネシウム合金板の壁面が破れるためであると考えられる。
2.0質量%の水素化チタン粉末12を含む試料では、0.5質量%の試料より高い気孔率を示した。0.5質量%の水素化チタン粉末12を含む試料では、発泡温度TF610℃で最大の気孔率58%が得られた。このとき発泡体の形状はほぼ球形であった。2.0質量%の水素化チタン粉末12を含む試料では、発泡温度TF610℃で最大の気孔率77%が得られた。これは0.41g/cm3に相当する。密度は、アルキメデスの原理により測定することができる。このマグネシウム中空金属球は、密度が1より小さいので、容易に水に浮く。
図6は、水素化チタン粉末の添加量が2.0質量%の板状のプリフォーム試料から、発泡温度TF610℃で発泡させて作成したマグネシウム合金製発泡体の写真であり、ほぼ中空金属球の形状である。左側は外観写真、右側は中空金属球を切断した状態の写真である。
本発明によるマグネシウム合金製中空金属球を多数積層することにより多数の閉じたセルが形成された多孔性のマグネシウム合金の構造体を形成することができる。このマグネシウム合金の構造体により、超軽量の衝撃吸収材、吸音材を作成することができ、自動車等の衝撃吸収材、吸音材として使用することができる。
本発明の実施の形態によるマグネシウム合金板プリフォームシートを形成する工程を示す模式図。 電気炉の概略図。 プリフォーム試料を加熱するときの温度プロファイル曲線。 マグネシウム合金板について、拡散結合、圧延、切断、積層を1回〜4回繰り返したときのマグネシウム合金板の断面写真。 プリフォーム試料の加熱温度と気孔率の関係を示す図。 マグネシウム合金製中空金属球の外観と断面の写真。
符号の説明
10 マグネシウム合金板
12 水素化チタン粉末
13 水素化チタン層
15 プリフォーム試料
20 ホットプレス
25 二段式圧延機
30 電気炉
31 円筒形黒鉛
32 高周波誘導コイル
33 試料台
34,35 熱電対
36,37 導線

Claims (6)

  1. 複数のMg-Al-Zn系マグネシウム合金板に発泡剤を挟み、前記マグネシウム合金板の積層、拡散接合、切断を繰り返して、発泡剤を均一に分散したマグネシウム合金プリフォームを作成し、前記プリフォームを厚さ3mm、一辺7.5mmの正方形に切り出した後、前記発泡剤の分解温度以上の温度で高周波コイルによる誘導加熱方式により加熱して前記発泡剤を発泡させて作成したことを特徴とするマグネシウム合金製中空金属球。
  2. 前記Mg-Al-Zn系マグネシウム合金は、AZ31マグネシウム合金である請求項1に記載の中空金属球。
  3. 前記発泡剤粉末は水素化チタン粉末であり、前記マグネシウム合金板に対して0.5〜2.0質量%添加される請求項1に記載の中空金属球。
  4. 前記マグネシウム合金板の拡散接合と切断との間に、圧延を行い作成した請求項1に記載の中空金属球。
  5. マグネシウム合金製中空金属球の製造方法であって、
    (a) 複数のマグネシウム合金板の間に発泡剤粉末を挟み、
    (b) 前記マグネシウム合金板を積層し、
    (c) 前記積層したマグネシウム合金板を拡散接合し、
    (d) 前記拡散接合したマグネシウム合金板を圧延し、
    (e) 前記圧延したマグネシウム合金板を複数枚に切断し、
    (f) 前記(b)積層と、(c)拡散接合と、(d)圧延と、(e)切断とのステップを複数回繰り返して、プリフォームを作成し、
    (g) 前記プリフォームを厚さ3mm、一辺7.5mmの正方形に切断し、前記発泡剤粉末の分解温度以上の温度で高周波コイルによる誘導加熱方式により加熱して、前記発泡剤粉末を発泡させ、マグネシウム合金の中空金属球を作成する、
    ステップを備えることを特徴とする製造方法。
  6. 前記マグネシウム合金板の絶対温度での融点をTMとして、前記プリフォームをTM×0.8以上で、TM以下の温度で加熱して発泡させる請求項5に記載の方法。
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