JP4230368B2 - ペロブスカイトマンガン酸化物膜及びその製造方法 - Google Patents

ペロブスカイトマンガン酸化物膜及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電荷整列相を示すペロブスカイトマンガン酸化物膜及びその製造方法に関するものである。
近年、放送及び通信のディジタル化は著しい進展を遂げている。それに伴い高品質な動画等の広帯域かつ大容量の情報に対応可能なストレージデバイスが注目を集めており、据え置き型の商品を中心に普及が進む磁気ディスクメモリや光ディスクメモリのみならず、ノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、さらにはウエアラブルパソコンといった可搬性の高い小型商品への搭載を睨んだ大容量の固体メモリ素子(不揮発メモリ)の開発が進められている。
例えば、非特許文献1によれば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)並の高速アクセスが可能な次世代の不揮発メモリとして、MRAM(Magnetic RAM)やRRAM(Resistance RAM)が注目を集めている。殊に、不揮発メモリの多値化によるアプローチは、微細化技術のみに頼らず、不揮発メモリ(素子)の大容量化を可能にするためコストの点からも重要な技術となってきている。
多値化を実現するには、多値に対応した書き込み信号により情報が記憶され、読み出し時に各情報の判別が十分に可能なマージンが確保されること、すなわち抵抗の変化量が判別するのに十分な大きさであることが必要である。それゆえ、半導体などでは到底得られない巨大な抵抗変化を高速に得られる新規材料の開発が強く求められている。
その一つの例として、マンガン(Mn)を含む酸化物ペロブスカイト単結晶材料が挙げられる(特許文献1〜特許文献3参照)。これらマンガン(Mn)を含んでなる酸化物ペロブスカイト単結晶材料は、外場が印加されることにより、数桁にも及ぶ巨大な抵抗変化を示す。すなわち、Mn3+イオンとMn4+イオンとが整列した反強磁性電荷整列絶縁相に、磁場や電圧を印加すること、あるいは光を照射することによって、スイッチング現象(数%に及ぶ格子変化を伴う)が起こる。ここで、スイッチング現象とは、反強磁性電荷整列絶縁相が崩壊し、反強磁性絶縁体(電荷整列状態)から強磁性金属へと転移することをいう。これが、酸化物ペロブスカイト単結晶材料の抵抗が変化する原理である。
上記特許文献1〜特許文献3に挙げられている殆どのマンガン(Mn)を含んでなる酸化物ペロブスカイト単結晶材料の電荷整列相への転移温度自体は、室温より低い。このため、上記酸化物ペロブスカイト単結晶材料においては、電荷整列相のスイッチングに基づく巨大抵抗変化が原理的に電荷整列転移温度以上では得られないことになる。よって、酸化物ペロブスカイトマンガン単結晶材料における電荷整列相のスイッチング現象を室温で利用するには、少なくとも室温より高い電荷整列相への転移温度を示す材料が必要となる。
このような、室温より高い温度で電荷整列相を示す候補材料として、Bi0.5Sr0.5MnO3が、非特許文献2や非特許文献3に報告されている。これら文献においては、放射光を用いたX線や中性子線による解析により、超格子反射のピークが室温以上で観察されていること、および電子顕微鏡による電子線回折の実験においても超格子反射が観測されることから、室温以上での電荷整列相の存在が指摘されている。
ごく最近になり、Bi0.5Sr0.5MnO3の単結晶作製に成功したグループによって、このBi0.5Sr0.5MnO3の単結晶は、構造転移温度が535K、電荷整列転移温度が450Kを示すことが非特許文献4に報告された。Bi0.5Sr0.5MnO3の単結晶が、室温より100K以上も高い電荷整列転移温度を示すのは、Biの6s軌道の孤立電子対が大きな役割を果たしていることが理由であると考えられており、電荷の局在化の機構としては、ツェナーポーラロンの存在が提唱されているが、現在のところ明らかにはなっていない。
デバイス(素子)化に必要な薄膜での電荷整列状態に関しての報告は、本発明者らによる非特許文献5が唯一存在するのみである。この非特許文献5には、NdGaO3(001)基板上にBi0.5Sr0.5MnO3を形成してラマン散乱を測定したところ、室温で「電荷軌道整列に起因すると思われるピークが得られた」と記載されている。しかしながら、後に、共鳴X線散乱の実験によって、実はこのBi0.5Sr0.5MnO3膜が示すX線回折のピークはペロブスカイトマンガン酸化物によるものではないことが明らかとなり、Bi0.5Sr0.5MnO3膜自体が形成されていないことが判明した。
特許第2685721号(公開日:1997年12月3日) 特許第3030333号(公開日:2000年4月10日) 特許第3012902号(公開日:2000年2月28日) 日経マイクロデバイス2003年1月号pp.72−83 Phys. Rev. B vol.63, 064415(2001) Chem. Mater. vol.13, 1356 (2001) J. Appl. Phys. vol.93, p.7370(2003) 日本物理学会講演概要集、第3分冊、25pXW−1、p.554(2001)
すなわち、デバイス化に必須の薄膜形態(膜状態)において室温以上での電荷整列相はいまだ実現していないという問題があり、電荷整列によるスイッチングを利用した不揮発性メモリを実現するうえで大きな障害となっていた。
さらに、電荷整列を示すペロブスカイトマンガン酸化物薄膜においては、単結晶膜を製造すると、基板歪による軌道秩序を介して、電荷や磁気の秩序パターンが変調されるといった問題点がある。また、単結晶膜を製造すると、当該単結晶膜を構成する結晶格子が基板に固定されて格子変形が抑制される結果、電荷整列相のスイッチングが抑制されるといった問題点がある。
一方、多結晶膜を製造すると、その多結晶性により主として配向方向が一致していないために、電荷整列相の発達が抑制されるという問題が生じ、特に欠陥量が多い場合には電荷整列相自体が崩壊してしまうという問題点もある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、メモリ素子等に適用可能な巨大抵抗変化の原理となる電荷整列相を室温以上において示すペロブスカイトマンガン酸化物膜、及びその製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、膜の格子定数と基板歪みの関係に着目し、特に薄膜形態での電荷整列相について深く検討した結果、以下に示すペロブスカイトマンガン酸化物膜及びその製造方法の発明に至った。
すなわち、本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物膜は、上記課題を解決するために、ビスマス及びストロンチウムを含んでいるペロブスカイトマンガン酸化物膜であって、ビスマスとストロンチウムの比が略0.5〜2.0の範囲にあることを特徴としている。具体的にはBi1-xSrMnO(0.33≦x≦0.66)の範囲を指し示す。
上記ペロブスカイトマンガン酸化物膜はペロブスカイト構造のAサイトに位置するイオンの配置がランダムであっても、上記のビスマスとストロンチウムの組成比において巨大抵抗変化の原理となる電荷整列相を室温以上において発現することに加えて、結晶系が単斜結晶系から正方晶系になることから、基板上に薄膜を作製しやすくなるという効果を奏する。

また本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物膜は、上記特徴に加えさらに基板表面に形成されており、ペロブスカイトマンガン酸化物膜の上記基板表面側の基板接面に平行な方向の格子定数が、当該基板接面に垂直な方向の格子定数よりも大きいことを特徴としている。
このように、電荷整列相での格子定数に整合した基板からの歪みを用いること、すなわち、ペロブスカイトマンガン酸化物膜の基板接面に平行な方向の格子定数が、基板表面に平行な方向の基板の格子定数と整合することを利用して、軌道秩序を介して電荷整列相を安定化することができる。これによって、ペロブスカイトマンガン酸化物膜の電荷整列転移温度を、バルク形状(膜形状以外の形状)のペロブスカイトマンガン酸化物よりも高することができるという効果を奏する。なお、ここで、軌道秩序とは、電荷整列状態においては秩序化した電荷の軌道が秩序化することをいう。
また本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物膜は、上記課題を解決するためにさらに上記基板接面に平行な方向のペロブスカイトマンガン酸化物膜の格子定数が、上記基板接面に平行な方向の基板の格子定数と異なることを特徴としている。
それゆえ、上記基板接面に平行な方向のペロブスカイトマンガン酸化物膜の格子が、上記基板接面に平行な方向の基板の格子によって固定されるといった影響を受けにくくなる。したがって、電荷整列相への転移に際して、すなわち、ペロブスカイトマンガン酸化物膜が電荷整列相を発現する際に、薄膜の格子が基板に固定されず、自由に変形可能となる。この結果、電荷整列相が基板によって抑制されなくなるから、電荷整列相のスイッチング容易になるという効果を奏する。
また本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物膜は、上記課題を解決するためにさらに上記ペロブスカイトマンガン酸化物膜が、上記基板接面に垂直な方向に配向していることを特徴としている。
それゆえ、ペロブスカイトマンガン酸化物膜の欠陥による、電荷整列層に対する影響を少なくすることができる。この結果、ペロブスカイトマンガン酸化物膜の電荷整列相が、膜全体にわたり発達できるという効果を奏する。すなわち、ペロブスカイトマンガン酸化物膜が基板接面に垂直な方向に配向することにより、当該膜中に欠陥が存在する場合であっても、その欠陥が電荷整列相に対して影響することを低減することができる。
一方、本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物膜の製造方法は、上記課題を解決するために、ビスマス及びストロンチウムを含んでいるペロブスカイトマンガン酸化物膜を基板表面に形成するペロブスカイトマンガン酸化物膜の製造方法において、上記基板表面にペロブスカイトマンガン酸化物膜を成長させるときの基板の温度が450℃以上600℃以下の範囲内であることを特徴としている。
それゆえ、ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の二次元成長が可能となり、表面が平坦なペロブスカイトマンガン酸化物薄膜が得られる。さらに、本発明のペロブスカイトマンガン酸化物膜の製造方法は、ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜を形成する際の基板温度が、(La,Sr)MnO3等のペロブスカイトマンガン酸化物と比べて、250℃〜400℃以上も低いから、半導体プロセスにおける基板温度とも整合している(温度範囲が重複している)。このため、本発明の製造方法によれば、半導体の製造プロセスにおいて、シリコンや化合物半導体基板上に、ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜を形成することが可能になるという効果を奏する。
また本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物膜の製造方法は、上記課題を解決するために、上記特徴に加えさらに上記基板表面にペロブスカイトマンガン酸化物膜を成長させるときの雰囲気中の酸素圧が、1.3Pa以上2.7Pa以下の範囲内であることを特徴としている。
上記基板表面にペロブスカイトマンガン酸化物膜を成長させるときの雰囲気中の酸素圧を上記範囲内とすることにより、ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜における揮発性の高いビスマス(Bi)量の組成を制御することができる。より具体的には、本発明の製造方法によれば、±2%以内の範囲でビスマス(Bi)とストロンチウム(Sr)の化学量論比を達成できるという効果を奏する。
また本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法は、上記課題を解決するために、上記特徴に加えさらに上記ペロブスカイトマンガン酸化物膜と接触する基板表面に平行な方向の基板の格子定数が、ペロブスカイトマンガン酸化物のバルクでの単位胞体積の三乗根として求められる平均格子定数よりも小さいことを特徴としている。
上記基板表面にペロブスカイトマンガン酸化物膜を成長させることにより、電荷整列相が膜全体にわたり発達することになるから、電荷整列相への転移に際して薄膜の格子が自由に変形可能となる。したがって、本発明の製造方法によれば、電荷整列相のスイッチングが容易であり、巨大抵抗変化の原理となる電荷整列相を室温以上において示す、メモリ素子等のデバイス化に好適なペロブスカイトマンガン酸化物薄膜を提供できるという効果を奏する。
また本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法は、上記課題を解決するために、上記特徴に加えさらに上記基板表面にペロブスカイトマンガン酸化物膜をレーザーアブレーション法によって成長させるときのターゲットとして、製造すべきペロブスカイトマンガン酸化物膜組成中の割合よりも、過剰な割合でビスマスを含むペロブスカイトマンガン酸化物を用いることを特徴としている。
それゆえ、レーザーアブレーション法によって薄膜を成長させる際のビスマス抜けを補償することができ、高い電荷整列転移温度をもつペロブスカイトマンガン酸化物膜を製造することができるという効果を奏する。
本発明によれば、巨大抵抗変化の原理となる電荷整列相を室温以上において発現する、メモリ素子等のデバイス化に好適なペロブスカイトマンガン酸化物膜を提供することができる。
〔実施の形態1:ビスマス(Bi)・ストロンチウム(Sr)を含むペロブスカイト薄膜の製造条件の検討〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態によって本発明の趣旨が何ら制限を受けるものではない。
バルクにおいて室温より高い温度で電荷整列相を示すと報告されているBi0.5Sr0.5MnO3の膜自体が現在まで得られていないことから、本実施の形態においては、ビスマス(Bi)・ストロンチウム(Sr)を含むペロブスカイトマンガン酸化物膜の製造条件の根本的見直しを行なったことについて記載する。
ここで、本発明においてペロブスカイトマンガン酸化物膜とは、基板等の表面を被う膜形状に形成されたペロブスカイト構造を持つマンガン酸化物のことである。
また上記基板とは、ペロブスカイトマンガン酸化物膜が形成されることにより覆われるる物質をいう。基板の材料は特に限定されるものではないが、例えば、シリコン、化合物半導体、石英ガラス等が挙げられ、より具体的には、SrTiO3等のペロブスカイト単結晶、砒化ガリウム、窒化ガリウム、等が挙げられる。なお本実施の形態においては、基板としてSrTiO3基板を用いた場合について説明する。また、本発明において基板とは、単独の素材により構成されたものに限られない。例えば、シリコンや化合物半導体基板上に、さらにSrTiO3やその他素材からなるバッファ膜や電極膜が形成された構造物をも基板に含む意味である。すなわち、基板上にペロブスカイトマンガン酸化物膜が形成されているには、基板上にバッファ膜や、電極などを形成し、その上にペロブスカイトマンガン酸化物膜が形成されている場合も含まれる。バッファ膜としては、CeO2、電極膜としては、白金(Pt)やイリジウム(Ir)等の貴金属や二酸化イリジウム(IrO2)あるいはSrRuO3のようなペロブスカイト酸化物導電体などが挙げられる。
ところで、代表的なペロブスカイトマンガン酸化物薄膜である(La,Sr)MnO3や、低温で電荷整列相を示す(Pr,Ca)MnO3薄膜などは、基板温度として700〜850℃、酸素圧として1mTorr(0.13Pa)の製造条件においてSrTiO3等のペロブスカイト単結晶基板にlayer-by-layerモードで二次元成長をさせることが可能である。またこの条件下において原子層レベルで制御し、平坦な薄膜を製造することができる。一方、揮発性の高いビスマス(Bi)を含むペロブスカイトマンガン酸化物薄膜を上記のような高温、低酸素圧条件下で製造すると、薄膜中からビスマス(Bi)が失われてしまい、電荷整列相が転移する温度を高くすることに重要な役割を果たすビスマス(Bi)の組成がずれるという問題が生じると考えた。
そこで本発明者等は、Bi0.5Sr0.5MnO3のペロブスカイトマンガン酸化物薄膜(以下適宜単に「薄膜」と称する)製造時、特に基板表面に薄膜を成長させるときの温度条件および基板表面に薄膜を成長させるときの雰囲気中の酸素圧条件を検討することした。
(1.温度条件の検討)
薄膜を形成する基板には、格子定数が3.905Åの立方晶ペロブスカイトであるSrTiO3(100)単結晶基板を用いて製造条件を検討した。これは、SrTiO3の格子定数がバルクのBi0.5Sr0.5MnO3の電荷整列相での二軸の格子定数に近く(3.917Å、3.910Å:擬正方晶)、また室温でのバルクでの単位胞体積(58.11Å)の三乗根として求められる平均の格子定数(3.873Å)と基板とのミスマッチは0.8%と小さくエピタキシャル成長に適しているためである。尚、バルクのBi0.5Sr0.5MnO3の結晶系は正方晶(ここでは擬正方晶として取り扱う)であるが、正方晶系は双晶などが発生しないためドメインなどができず、また、上記SrTiO3(100)単結晶基板上でも高品質な薄膜形成が得やすい。これは薄膜形成を容易にするという産業上の観点からは重要となる。
ターゲットは固相反応法で作製した多結晶材料を20mmφの円筒形に成形したものを用いており、組成は薄膜製造中のビスマス(Bi)抜けを考慮して10%過剰にビスマス(Bi)を仕込み、Bi0.6Sr0.5MnO3としている。ビスマス(Bi)は揮発性が高いため、製造時の高温条件下で揮発し薄膜中のビスマス(Bi)の組成が目標とするビスマス(Bi)の組成からずれる場合がある。よって上記のごとくターゲットとして過剰な割合でビスマス(Bi)を含むペロブスカイトマンガン酸化物を用いることにより、薄膜を製造する際のビスマス抜けを補償することができる。このときペロブスカイトマンガン酸化物に含まれるビスマス(Bi)の割合は、製造するペロブスカイトマンガン酸化物膜のビスマス(Bi)の割合よりも高ければよいが、製造するペロブスカイトマンガン酸化物膜のビスマス(Bi)の割合の1.1倍以上1.3倍以下程度とすることが好ましく、1.2倍程度に設定することがより好ましい。なお、本実施の形態における製造条件検討には、マンガンを10%クロムで置換したBi0.6Sr0.5Mn0.9Cr0.13ターゲットを用いているが、製造条件検討には影響はない。またターゲット作製中の最高温度を1000℃以下にした結果、ターゲット製造プロセスによるビスマス(Bi)抜けは1%以下であることを確かめている。
薄膜の製造方法としては、レーザーアブレーション法を用いている。SrTiO3(100)単結晶基板を真空チャンバー内に取り付けた後、1×10-8Torr(1.3×10-6Pa)以下に真空排気した後に、高純度の酸素ガスを1mTorr(0.13Pa)導入し、830℃にSrTiO3(100)単結晶基板を加熱し、表面に吸着したカーボンや水和物などを除去した後、薄膜製造時の基板温度に設定する。なお本実施の形態においては、薄膜製造時の基板温度とは、基板表面に薄膜を成長させるときの温度のことを意味する。上記基板温度は、440〜630℃の範囲で検討を行なった。波長248nmのKrFエキシマレーザーを用い、チャンバーのレーザー光導入ポートにて100mJのパワーでターゲットにレーザーを照射し薄膜を製造する。なお本検討には、上記レーザーアブレーション法を用いているが、薄膜の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のスパッタ法、蒸着法、分子線エピタキシー法(MBE法)、や有機金属化学気相成長法(MOCVD法)、ゾルゲル法や金属有機化合物堆積法(MOD法)等を用いて行なうことができる。
反射高速電子線回折により薄膜製造時の様子を観察するため、酸素圧を1mTorr(0.13Pa)に固定し基板温度を検討したところ、440℃では結晶化せずにアモルファスになることがわかった。一方450℃以上では結晶化することを、反射高速電子線回折によるピークが観察されたことによって確認した。よって薄膜製造時の基板温度の下限は、450℃以上が好ましいといえる。さらに結晶成長温度は高い方がより結晶性の良好な薄膜が得られることから470℃以上がより好ましい。
図2は基板温度500℃での製造時に、反射高速電子線回折により観察したスペキュラースポット(基板あるいは薄膜最表面からの鏡面反射によるスポット)反射強度の時間変化の一例を示すグラフである。レーザーパルスの漏れ光ノイズがのっているものの、反射強度の振動が観察された。この反射強度の振動周期は、ペロブスカイト単位胞毎のlayer-by-layerモードでの二次元成長に対応している可能性を示唆している。
なお図2では、レーザーを照射し、基板に薄膜が付着し始めた初期においては電子線回折のスペキュラースポットの強度が振動せずに単調減少している。その後再度スペキュラースポットの強度が増大し、原子層レベルで平坦な場合に得られるラウエ回折スポットが観察されている。これは通常(La,Sr)MnO3の場合によく観察される振動とは異なる特異的な様相である。この現象は、初期成長層で再構成など何らかの変化が起こっていることを示唆している。
次に、このような電子線回折のスペキュラースポットの反射強度が振動する条件で製造した薄膜の高速反射電子線回折像を図3に示す。ラウエ回折スポットとストリークパターンが観察されることから表面は原子層レベルで平坦であると予想される。
次に、このようにして作製した薄膜の構造を調べるため、X線回折を行なった。図4に2θ−θ回折により得られたプロファイルを示す。強度の高い3つのピークは基板からのものであり、各ピークの右側(高角側)に薄膜からのピークが観察される。この結果から、当該薄膜は、基板と薄膜が接する面であって薄膜側の面(基板接面)に垂直な方向に配向していることがわかった。このとき、上記基板接面に垂直な方向の(c軸の)格子定数は3.83Åであった。またこのとき薄膜の上記基板接面に平行な方向の格子定数を調べると3.91Åであり、該格子定数が、上記基板接面に垂直な方向の格子定数(3.83Å)よりも大きいことがわかる。さらにこのときの基板接面に平行な方向のSrTiO3基板の格子定数は3.905Åであり、上記基板接面に平行な方向の薄膜の格子定数とほぼ一致しており、コヒーレントに成長した単結晶薄膜が得られることがわかった。このように格子定数の適当な基板を選択すると基板歪みにより薄膜面内の二軸を制御することが可能になり、本実施の形態においては、電荷整列相に適した二軸が長く一軸が短い格子が得られている。
さらに、上記で得られた電子線回折のスペキュラースポットの強度振動が、二次元成長に対応しているかどうかを調べるために原子間力顕微鏡により薄膜表面を調べている。図5が5μmの範囲で観察した結果しており、斜めに走るテラス(平坦部分)とステップ(段差)が観察され、このステップの高さは、ほぼペロブスカイトの単位胞に対応していることから二次元成長をしていることは明らかとなった。
また、薄膜製造時の基板温度を610℃とすると、図6に示すように高速反射電子線回折像はスポット状になった。これは薄膜表面の凹凸を反映するものであり、二次元成長ではなく三次元成長となり薄膜表面に大きな凹凸が形成されていた。それゆえ上記基板温度で薄膜を製造すると、デバイス化に必要な平坦性が損なわれることがわかった。従って、薄膜製造時の基板温度の上限は、600℃以下が好ましいといえる。さらに平坦性の観点からは温度が低いほうがより平坦であることから、580℃以下がより好ましい。
以上の検討から、薄膜製造時の基板温度としては、450℃以上600℃以下が好ましく、470℃以上580℃以下がより好ましい。上記好ましい基板温度条件の範囲で薄膜の製造を行なうことによって、平坦で結晶性のよい薄膜が得られる。
(2.酸素圧条件の検討)
次に本発明者等は、薄膜製造時における酸素圧の影響を調べるためにBi0.6Sr0.5MnO3ターゲットを用いて検討を行なった。なお上記「薄膜製造時における酸素圧」とは、基板表面に薄膜を成長させるときの雰囲気中の酸素圧を意味する。また本検討においては、上記温度条件の検討に用いたターゲットとは異なるBi0.6Sr0.5MnO3を用いた。そこでBi0.6Sr0.5MnO3ターゲットにおいても、上記で得られた薄膜製造時の基板温度条件が適用可能であることを確認すべく、460℃にて薄膜を製造した際に得られた電子線回折のスペキュラースポットの強度振動を検討した。図7にその結果を示す。図7によれば明瞭な強度振動が得られており、二次元成長していることが確認できる。従ってBi0.6Sr0.5MnO3ターゲットにおいても、上記で得られた薄膜製造時の基板温度条件を適用することができるものといえる。
本検討においては、薄膜と元素が異なるLaAlO3基板上に薄膜を製造し、測定試料とした。これは薄膜の組成をICP(Inductively Coupled Plasma)と呼ばれる溶液試料組成分析法で行なうため、薄膜と基板の元素組成を異ならせる必要があるからである。また検討時の基板温度は460〜470℃とした。
図8は酸素圧とビスマス(Bi)のストイキオメトリ(化学量論比)との関係を示している。なお図8中の縦軸は、ビスマス(Bi)/(ビスマス(Bi)+ストロンチウム(Sr))、すなわちペロブスカイト構造のAサイトにおけるビスマス(Bi)とストロンチウム(Sr)の比を示し、横軸に薄膜製造時の酸素圧を示している。
図8の結果によれば、1mTorr(0.13Pa)ではビスマス(Bi)がストイキオメトリに対して約4%不足していた。また10mTorr(1.3Pa)ではストイキオメトリに対してマイナス2%、20mTorr(2.7Pa)ではストイキオメトリに対してプラス2%となることがわかった。すなわち、製造時の酸素圧として10mTorr(1.3Pa)以上、20mTorr(2.7Pa)以下の範囲にすることにより、薄膜中のビスマス(Bi)の組成ずれを±2%以内に制御することが可能であることを見いだした。上記条件下で薄膜を製造すれば、電荷整列転移温度を高める役割を果たすビスマス(Bi)の組成のずれを回避することができる。
従って、上述の製造時の基板温度条件を合わせると、ビスマス(Bi)を10%過剰に仕込んだBi0.6Sr0.5MnO3ターゲットとし、製造時の基板温度を450℃以上600℃以下、酸素圧を10mTorr(1.3Pa)以上、20mTorr(2.7Pa)以下とすることで表面平坦、かつストイキオメトリックな組成のペロブスカイトマンガン酸化物薄膜が得られることがわかった。このように高品質な薄膜を作製できたことには、Bi0.5Sr0.5MnO3の結晶系が(擬)正方晶であることも大きな要因であり、ビスマスとストロンチウムの組成比が0.5〜2.0の範囲内にあれば正方晶が得られることから同様に高品質な薄膜が得られる。
(3.Bi0.5Sr0.5MnO3薄膜の電荷整列相の検討)
次に本発明者等は、上記条件下(温度条件・酸素圧条件)でSrTiO3基板上に製造したBi0.5Sr0.5MnO3薄膜における電荷整列相を調べた。なお、この試料はビスマス(Bi)を5%過剰に仕込んだターゲットを用いているため、ビスマス(Bi)の欠損量は2%よりも多い可能性があることを付記しておく。電荷整列相を調べる手段としては、ラマン散乱法を用いていた。ラマン散乱法は結晶格子の対称性などを検出するに適した手段であり、中性子散乱などとは異なり薄膜でも簡便に適用可能な測定手法である。
図9にBi0.5Sr0.5MnO3薄膜の結晶方位とラマン散乱測定の偏光配置との関係を示している。xとyの座標軸で[100]、[010]と表される方向はマンガン−酸素−マンガンを結ぶ方位であり、細線で表される正方形の一辺が立方晶あるいは正方晶での格子定数に対応している。一方、x’(=x+y)、y’(=x−y)の軸で表される方位は、図中太線で囲んだ電荷軌道整列層が発生した場合における単位胞を表す。すなわち、(x、y)と(x’y’)の軸は、互いに45度回転した関係にある。なお、図中の黒点は3価のマンガンイオンを表し、付随する長細楕円は3x2−r2あるいは3y2−r2と表される電子軌道を表している。また、白ぬきの丸点は4価のマンガンイオンを表している。以下、(ab)の記号はaが入射光の偏光配置を、bが検出光の偏光配置を示すこととする。ラマン散乱は(xx)・(x’y’)・(x’x’)・(xy)の4種類の配置で行なっている。また光源には波長532nmのレーザーを用いた。
図1に(xx)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。(xx)配置では、全てのモードを観測することが可能な配置であるため、散乱強度は各配置のなかで最も強くなると考えられる。縦軸はラマン散乱強度を示し、横軸はラマンシフト量を示す。図中RTとは室温(ここでは300K)を示す。室温では470cm-1、630cm-1での2つのピークが明瞭に観察される。このピークはそれぞれヤーンテラーモードとブリージングモード呼ばれる結晶格子の変位パターンに対応していると考えられる。これは図9で示しているような電荷軌道整列が発生していることを表しており、室温でもBi0.5Sr0.5MnO3薄膜において電荷整列相が存在することを示す初めての結果である。
更に温度を上げながら測定を続けると次第に2つのピークの強度は低下するが、単結晶で報告されている電荷整列転移温度である450K以上でもピークは認められる。すなわち、基板接面に平行な方向の薄膜の格子定数が、当該基板接面に垂直な方向の格子定数よりも大きい薄膜においては、バルクよりも電荷整列転移温度が高くなることを意味している。このことは、上記のようにSrTiO3基板が、電荷整列相に適した格子配置を基板歪みにより薄膜に与えているためと考えることもできる。
図10は(x’y’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。この配置でのヤーンテラーモードは、図9において太線で囲まれた2つの3価のマンガンイオンにおける電子軌道が一方は軌道方向に伸び一方は軌道方向に縮む変形パターンに対応している。この(x’x’)配置でもバルクでの電荷整列転移温度(450K)以上でもピークが認められている。
図11は(x’x’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。この配置ではラマンテンソルの対角成分であるαxx 2が観測されるが、(xx)配置よりは散乱強度は弱い。ヤーンテラーモードは、図9において太線で囲まれた2つの3価のマンガンイオンにおける電子軌道が同位相で軌道方向に伸縮する変形パターンに対応している。この(x’x’)配置では散乱強度は更に弱くなりバルクの転移温度以上でのピークは検出できていない。
図12に(xy)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。この配置ではラマンテンソルの対角成分の差に対応した(αxx−αyy2が観測されるが、これは面内の格子の異方性を反映しており、異方性が小さい場合は散乱強度が弱くなる。室温では僅かにピークが認められるがそれより高温ではピークが消失する。
最後に図13に(xx)配置で測定したヤーンテラーモードに対応する470cm-1のピーク強度の温度依存性を示すグラフを示す。昇温時と降温時とで強度に差があるがいずれにしても低温に向かってピーク強度が増加する傾向が認められる。これは相転移温度以下で出現した電荷軌道整列相が発達する様子を示していると考えられる。
以上説明したように、表面平坦かつ組成ずれの少ないBi0.5Sr0.5MnO3薄膜の製造条件を明らかにし、その製造条件に基づいてSrTiO3基板上に作製したBi0.5Sr0.5MnO3薄膜において室温以上で電荷整列相を得ることに成功した。これは本発明者らの知る限り、初めての結果であり、電荷整列によるスイッチングを利用した不揮発性メモリを実現するうえで大きな進歩と考えられる。さらに、基板歪みを利用してバルクよりも高い電荷整列転移温度も得られている。
なお、本実施の形態のおいては、ビスマス(Bi)とストロンチウム(Sr)の組成比1:1である態様について説明しているが、該組成比に限られるものでなく室温以上で電荷整列相が得られる組成範囲としてビスマスとストロンチウムの組成比が0.5〜2.0の範囲であれば勿論構わない。また、ストロンチウムとともにカルシウム(Ca)を用いても、ビスマスに対するストロンチウム及びカルシウムの和の組成比が上記範囲内であり室温以上で電荷整列相が得られるならばこれを用いても構わない。
〔実施の形態2:ペロブスカイト薄膜が形成される基板材料の検討〕
本発明の実施の一形態について、図14ないし図24に基づいて以下の通り説明する。なお、本実施例の形態によって本発明の趣旨が何ら制限を受けるものではない。
実施の形態1で示したように電荷整列相での格子に適した基板を用いることにより基板歪みを利用して電荷整列相を安定化させることが可能になる。しかし「発明が解決しようとする課題」の項でも述べたように、基板によって薄膜の格子が固定されてしまった場合には、電荷整列相での絶縁相(高抵抗状態)から金属相(低抵抗状態)へのスイッチングの妨げになることが懸念される。
一方、多結晶膜を製造するとその多結晶性により、主として配向方向が一致していないために電荷整列相の発達が抑制されるという問題があり、欠陥量が多い場合には電荷整列相自体が崩壊してしまうという問題もある。
これまでに発明者らは(Pr,Ca)MnO3薄膜の配向膜をMgO(100)基板上に形成することに成功しているが、Bi0.5Sr0.5MnO3薄膜は上記のように成膜条件を最適化した場合においてもMgO(100)基板上に結晶化させることができなかった。本発明者等は、この原因としては薄膜と接触する基板表面に平行な方向の基板の格子定数(以下適宜基板面内の格子定数と称する)とペロブスカイトマンガン酸化物のバルクでの平均格子定数とのミスマッチが大きいこと、およびMgOがペロブスカイト構造でないことがその要因の1つではないかと考えた。そこで本発明者等は、新たに基板に固定されず、かつ欠陥量を減らすべく基板接面に垂直方向に配向した配向膜(薄膜)作製条件の検討を行なうこととした。
検討に用いる基板としては、基板面内の格子定数が、ペロブスカイトマンガン酸化物のバルクでの単位胞体積の三乗根として求められる平均の格子定数よりも小さいLaAlO3(100)基板を用いている。LaAlO3の基板面内の格子定数は3.79Åであり、ミスマッチは2%を越えるために高品質な薄膜の作製は一般には難しいとされている。
ターゲットには同じくBi0.6Sr0.5MnO3ターゲットを用いた。基板温度は460℃、酸素圧は10mTorr(1.3Pa)としている。得られた薄膜の室温での高速反射電子線回折像を図14に示す。ラウエ回折スポットは伸びてしまい、ストリークパターンのみが得られるが、メモリ素子等へのデバイスへの適用といった観点からは十分な平坦性といえる。試料の断面を電子顕微鏡により観察した結果、このときの膜厚は300nmであった。
このようにして作製した薄膜の構造を調べるためにX線回折を行なった。図15に2θ−θ回折により得られたプロファイルを示している。強度の強い3つのピークが基板からのものであり、各ピークの左側(低角側)に薄膜からのピークが観察される。この結果から、薄膜は基板接面に垂直方向に配向していることがわかる。このときの基板接面に垂直な(c軸)方向の薄膜の格子定数(以下適宜、薄膜のc軸格子定数と称する)は3.85Åであった。これは薄膜を基板接面の垂直方向に配向させることに成功したことを示す結果である。
さらに基板接面に平行な方向の薄膜の格子定数(以下適宜薄膜面内の格子定数と称する)内の格子定数を調べるために(114)ピークに関する逆格子マッピング測定を行なった。図16の横軸は薄膜面内の格子定数を表しており、縦軸は薄膜のc軸格子定数を表している。図16より薄膜面内の格子定数は、基板面内の格子定数と異なり3.89Åであることがわかる。すなわち、これは基板歪みをほぼ完全に緩和した薄膜を作製することに成功していることを示す結果である。このように基板面内の格子定数が、ペロブスカイトマンガン酸化物のバルクの平均格子定数よりも小さく圧縮歪みが作用する基板を用いることによって、薄膜面内の格子定数が、薄膜のc軸格子定数よりも大きい薄膜を実現することができる。
次にこのように基板歪みが緩和し、配向したBi0.5Sr0.5MnO3薄膜の抵抗率の温度依存性を図17に示す。抵抗は標準的な四端子法を用いて行ない、電極には金とパラジウムの合金をスパッタにより形成している。測定電流は10μAとした。縦軸に抵抗率を対数でとり、横軸に温度をとっている。なお、測定装置の制限から測定温度の上限は380Kまでとした。全温度域で抵抗率は低温に向かって増加している。
室温での電荷整列相の発現に対応した抵抗率の変化を見るために、図18に200〜380Kの抵抗率と活性化エネルギーの温度依存性を示した。左の縦軸が抵抗率を右の縦軸が活性化エネルギーを表し横軸に温度をとっている。また、黒丸が抵抗率を白抜きの四角が活性化エネルギーを表している。なお、活性化エネルギーは抵抗率の対数を温度の逆数で微分することにより求めている。
抵抗率は380〜300Kにかけて単調ではない増加を示しており、この変化は活性化エネルギーの320Kと360Kでの2つの大きなピークからも確認される。また、200Kから380Kにかけて全体的に活性化エネルギーは増加しており、バルクでの電荷整列転移温度である450Kではより大きな活性化エネルギーの変化が得られるものと予想される。
次にSQUID(超電導量子干渉素子)により測定した磁化及び逆帯磁率の温度依存性を図19に示す。図19は左の縦軸にMnあたりのボーア磁子単位で規格化した磁化(M(μ/Mn))を表し、右の縦軸に逆帯磁率(H/M(103Oe/μ/Mn))として磁場を磁化で割った値を示している。横軸は温度である。なお、白抜き三角が、一旦零磁場中で5Kまで冷却した後1T(=10000 Oe)の磁場をかけ380Kまで温度を上げながら磁化を測定した結果を示し、黒三角は380Kから磁場中で5Kまで再び冷却した際の結果を示す。また、白抜き丸が逆帯磁率を示している。この結果からは、バルクで報告されている150Kでの反強磁性転移が観測されていない。
そこで、室温以上で観察された上記の活性化エネルギーの変化を伴う抵抗率変化に対応する磁気的変化の有無を調べるために、VSM(振動試料型磁力計)により室温以上での強磁界磁化率の変化を調べた結果を図20に示す。測定は293K、318K、338K、358K、378K、398K、418Kで±2Tの磁場をかけ得られた磁気ヒステリシスの2Tでの磁化から強磁界磁化率を求めた。温度を横軸に、強磁界磁化率(M/H)を縦軸に示している。この結果からは378K近傍で相転移による磁化率の異常が得られていることがわかる。
室温付近での抵抗率、活性化エネルギーの変化が見られたことから実施の形態1で示したようにラマン散乱による電荷整列相の検証を行なった。
図21に(xx)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。縦軸はラマン散乱強度を示し、横軸はラマンシフト量を示す。実施の形態1で示したのと同様に、LaAlO3基板上の薄膜においても300Kで470cm-1、630cm-1での2つのピークが明瞭に観察される。これらのピークは420Kまでは共に確認できるものの、それより高温では不明瞭であり、特に630cm-1のピークは認められない。
図22は(x’y’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。室温では2つのピークは存在しているものの、460K以上ではピークが消失する。
図23は(x’x’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。全体的に散乱強度は弱いが、少なくとも300Kではピークが存在することはわかる。
図24に(xy)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示す。この配置では300Kにおいても殆どピークはないといえる。これは実施の形態1でも記述したように、面内の格子の異方性が小さい場合、散乱強度は弱くなることから、SrTiO3基板上の試料と比較して面内の異方性が小さいことを意味している。この原因としてはLaAlO3基板が擬立方晶であるためにマルチドメインが存在することが考えられる。マルチドメインがラマン測定の測定領域においてランダムに存在している場合には、各ドメイン内での異方性が打ち消される可能性がある。
いずれにしても420K以下ではラマン散乱ピークが観測され、さらに室温へ温度を下げるにつれてその強度が発達していることから、ほぼバルクと同等の相転移温度以下で出現した電荷軌道整列相が発達する様子がうかがえる。
以上説明したように、製造に用いる基板面内の格子定数が、ペロブスカイトマンガン酸化物のバルクでの単位胞体積の三乗根として求められる平均の格子定数よりも小さいLaAlO3を基板として用いることで、薄膜面内の格子定数が基板面内の格子定数とは異なり、歪みを完全に緩和し、かつ基板接面に垂直方向には結晶が配向したペロブスカイトマンガン酸化物薄膜が得られる。さらに、上記ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜においてはバルクとほぼ同等の電荷整列転移温度を示し、室温以上で電荷整列相が実現される。
なお、本実施の形態においては、ペロブスカイトマンガン酸化物のバルクでの単位胞体積の三乗根として求められる平均の格子定数よりも小さい格子定数を持つ基板材料の一例としてLaAlO3基板を用いているが、上記格子定数の条件を満たす基板材料であれば好適に用いることが可能である。例えば、NdGaO、YAlO、NdAlOが挙げられる。
また本実施の形態においては、また本発明において基板とは、シリコンや化合物半導体基板上にさらにSrTiO3やその他素材からなるバッファ膜が形成された構造物をも含む意味であるため、上記バッファ膜表面にペロブスカイトマンガン酸化物膜を形成する場合も含まれる。すなわちバッファ膜面内(基板面内)の格子定数が、ペロブスカイトマンガン酸化物の平均格子定数よりも小さい場合であれば適用可能である。
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明によれば、磁場、電場、光を用いた電荷整列のスイッチングを原理とした不揮発メモリ素子としてノートパソコンやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、さらにはウエアラブルパソコン等のコンピューター産業に利用可能である。また偏光変化を利用した光素子としても利用可能であり、家電をはじめとする電気・機械産業全般への利用が可能である。
本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜をSrTiO3基板上に製造し、(xx)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜をSrTiO3基板上に製造する際に反射高速電子線回折により観察したスペキュラースポット反射強度の時間変化を示すグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜を製造後に観察した反射高速電子線回折図である。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜のX線回折のグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜を原子間力顕微鏡により観察した表面図である。 基板温度610℃で作製したペロブスカイトマンガン酸化物薄膜を製造後に観察した反射高速電子線回折図である。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜をSrTiO3基板上に製造する際に反射高速電子線回折により観察したスペキュラースポット反射強度の時間変化を示すグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の製造方法において、製造中の酸素圧と上記ペロブスカイトマンガン酸化物薄膜中のビスマス(Bi)/(ビスマス(Bi)+ストロンチウム(Sr))組成比の関係を示すグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の結晶方位とラマン散乱測定の偏光配置との関係を示す図である。 SrTiO3基板上に製造した本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(x’y’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示すグラフである。 SrTiO3基板上に製造した本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(x’x’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示すグラフである。 SrTiO3基板上に製造した本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(xy)配置で測定したラマン散乱の強度温度依存性を示すグラフである。 SrTiO3基板上に製造した本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の〈xx〉配置で測定した470cm-1のピーク強度の温度依存性を示すグラフである。 本発明におけるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜をLaAlO3基板上に製造後に観察した反射高速電子線回折図である。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜のX線回折のグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(114)ピークに関する逆格子マッピング測定図である。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の抵抗率の温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の抵抗率の200〜380Kにおける抵抗率と活性化エネルギーの温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の磁化と逆帯磁率の温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかるペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の強磁界磁化率を示すグラフである。 本発明にかかるLaAlO3基板上に製造したペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(xx)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかるLaAlO3基板上に製造したペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(x’y’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかるLaAlO3基板上に製造したペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(x’x’)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示すグラフである。 本発明にかかるLaAlO3基板上に製造したペロブスカイトマンガン酸化物薄膜の(xy)配置で測定したラマン散乱強度の温度依存性を示すグラフである。

Claims (4)

  1. ビスマス及びストロンチウムを含んでいるペロブスカイトマンガン酸化物膜であって、
    基板表面に形成されており、
    上記基板表面側の基板接面に平行な方向のペロブスカイトマンガン酸化物膜の格子定数が、当該基板接面に垂直な方向のペロブスカイトマンガン酸化物膜の格子定数よりも大きく、
    ビスマスとストロンチウムの比が1:1であることを特徴とするペロブスカイトマンガン酸化物膜。
  2. 上記基板接面に平行な方向のペロブスカイトマンガン酸化物膜の格子定数が、上記基板接面に平行な方向の基板の格子定数と異なることを特徴とする請求項に記載のペロブスカイトマンガン酸化物膜。
  3. 上記ペロブスカイトマンガン酸化物膜が、上記基板接面に垂直な方向に配向していることを特徴とする請求項に記載のペロブスカイトマンガン酸化物膜。
  4. ビスマス及びストロンチウムを含んでいるペロブスカイトマンガン酸化物膜を、レーザーアブレーション法により基板表面に形成するペロブスカイトマンガン酸化物膜の製造方法において、
    上記基板表面にペロブスカイトマンガン酸化物膜を成長させるときのダーゲットとして、製造すべきペロブスカイトマンガン酸化物膜組成中の割合よりも、過剰な割合でビスマスを含むペロブスカイトマンガン酸化物を用いており、
    上記基板表面に上記ペロブスカイトマンガン酸化物膜を成長させるときの基板の温度が450°C以上600°C以下の範囲内であり、且つ、雰囲気中の酸素圧が1.3Pa以上2.7Pa以下の範囲内であり、
    上記ペロブスカイトマンガン酸化物膜と接触する基板表面に平行な方向の基板の格子定数が、ペロブスカイトマンガン酸化物のバルクでの単位胞体積の三乗根として求められる平均格子定数よりも小さいことを特徴とするペロブスカイトマンガン酸化物膜の製造方法。
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