JP4228324B2 - 流体分離素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体分離素子に関する。詳しくは、逆浸透装置や限外濾過装置、精密濾過装置、さらには気体分離装置等に用いるのに好適な流体分離素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、海水淡水化や半導体分野における超純水用途、さらには、一般かん水用途や有機物分離、排水再利用などを始めとする膜の透過液を利用する様々な流体分離分野において、分離膜を用いた流体分離素子の使用が急速に増加してきている。
【0003】
分離膜を用いた流体分離素子としては、特公昭52−5431号公報や特公昭44−14216号公報に記載されているスパイラル型流体分離素子がある。このような流体分離素子は、通常、表面に集水孔を有する集水管の周りに、原液を分離するための膜ユニットを巻回して構成し、膜ユニットで分離された透過液を集水管内に集めるようにしている。そして、実際に流体分離を行う際には、たとえば、複数本の流体分離素子を接続して圧力容器に収納し分離膜モジュールとして使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の流体分離素子においては、膜ユニットが直接集水管に接着されていたため、たとえば膜ユニットが寿命に至った場合、流体分離素子全体を廃棄処分しなければならず、集水管自身は使用可能な状態にあっても、その再利用やリサイクルは困難であった。
【0005】
そこで本発明の課題は、基本的に膜ユニットと集水管との直接接着を廃止できるようにし、集水管の再利用やリサイクルを可能にした流体分離素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る流体分離素子は、集水孔を有する集水管の周りに分離膜、透過液流路材および原液流路材を含む膜ユニットを形成し、その膜ユニットの外側に外装体を形成してなる流体分離素子であって、集水管と膜ユニットの間に、筒状体に形成されていたセパレータが、膜ユニットに対しては接着され、集水管に対してはその外周面に単に密着されるように装着されることにより、集水管を、膜ユニットおよびセパレータから引き抜いて分離できるように、介在されていることを特徴とするものからなる。
【0007】
上記セパレータは、集水管の実質的に全長にわたって設け、集水管の集水孔に連通する孔を設けた構造とすることも可能であるが、集水管の集水孔の配置位置を避け、集水管の長手方向に部分的に配置する方が好ましい。たとえば、集水管の長手方向における両側に配置することができる。
【0008】
このセパレータは、膜ユニットに対しては接着し、集水管に対してはその外周面に単に密着するように装着しておくことで、集水管を、膜ユニットおよびセパレータから容易に引き抜いて分解することができるようになる。原液が流体分離素子内を通過する際の圧力損失によって、膜ユニットが下流側に移動するのを防ぐために、集水管の端部を中央部より外径を小さく形成しておき、その端部にセパレータを設けたり、また、集水管の外周面上に長手方向に外径がテーパ状に変化するテーパ部を形成しておき、そのテーパ部上にセパレータを設けるようにすることが好ましい。テーパ部は、原液流れ方向上流側から下流側にかけて外径が大きくなるように設けることが好ましい。
【0009】
また、セパレータの材質はセパレータと集水管とのシール性を考慮すると(あるいは集水管上への装着を考慮すると)、可撓性または弾性を有する材料が好ましく、弾性チューブ、たとえばゴムチューブを使用できる。この弾性チューブが膜ユニットに対しては接着され、集水管に対しては単に装着される。また、集水管とセパレータとの間に原液混入防止部材を設けることも好ましい。こうすることで、金属、プラスチック、FRPなどの高剛性材料のセパレータを用いても、高いシール性が得られる。使用中の錆などの腐食と強度を考慮すると、ステンレススチール、ノリル、ポリカーボネイト、硬質塩化ビニールなどで、曲げ強度が50MPa以上のものが好ましい。
【0010】
本発明に係る流体分離素子モジュールは、圧力容器内に、上記のような流体分離素子を少なくとも1個収容したものからなる。複数個の流体分離素子間の接続には、適当な接続手段を用いればよい。
【0011】
このような本発明に係る流体分離素子においては、集水管と膜ユニットとの間にセパレータが介在されるので、膜ユニットと集水管を容易に分離でき、膜ユニットが寿命に至った場合にも、流体分離素子全体を廃棄処分する必要はなく、集水管を引き抜いて再利用やリサイクルに供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る流体分離素子を用いた流体分離素子組立体を示している。集水孔2を有する集水管3の周りに、分離膜4と透過液流路材5と原液流路材6とを含む膜ユニット7がスパイラル状に巻回されており、その膜ユニット7の外側に外装体8が形成されて流体分離素子9が構成されている。この流体分離素子9の端面が露出され、その少なくとも一方の端部に、流体分離素子9がテレスコープ状に変形することを防止するために、テレスコープ防止板10が装着されて、流体分離素子組立体1に構成されている。そして流体分離素子9とテレスコープ防止板10は、必要に応じて交換ができるように、テレスコープ防止板10が流体分離素子9の端部に着脱自在に装着されている。テレスコープ防止板10が着脱自在に装着されていることで、分離膜性能の低下などによって流体分離を十分に行えなくなった場合にも膜ユニット7だけを取り替え、テレスコープ防止板10や集水管3は再利用することが可能となる。
【0013】
図2に示すように、圧力容器15内に、上記のような流体分離素子組立体1が複数個収容されて、流体分離膜モジュール30に構成される。テレスコープ防止板10には原液流路11が設けられ、原液流路11から流入した原液20(図1)が、膜ユニット7の分離膜4で分離され、透過液21(図1)が集水孔2を通して集水管3内に集められる。集水管3は、次の流体分離素子9の集水管3に、内挿された接続管12を介して接続されており、次の集水管13内へと送られる。接続管12と集水管3の内面との間は、Oリング等からなるシール材13によってシールされている。また、テレスコープ防止板10の外周面上に形成された凹部14内には、圧力容器15の内周面に密着される原液シール部材16が嵌着されており、この間をシールしている。なお、本実施態様では、テレスコープ防止板10と接続管12とを別体に構成したが、一体構成とすることも可能である。一体構成とする場合には、膜ユニット7の端面からの集水管3の突き出し量を減らせばよい。
【0014】
図2および図3に示すように、流体分離素子9における集水管3と膜ユニット7の間には、セパレータ40が介在されている。セパレータ40は、本実施態様ではゴムチューブからなり、集水管3の長手方向における両側2箇所に、そして丁度膜ユニット7の長手方向両端部に相当する位置に、部分的に設けられている。各セパレータ40a、40bは、集水孔2を覆わないように、膜ユニット7の端面位置から集水孔2の設置位置までの間に設けられている。セパレータ40a、40bは、集水管3に対しては、その外周面に密着するように被せられており、膜ユニット7に対しては接着されている(接着部41a、41b)。したがって、セパレータ40a、40bは、膜ユニット7と一体的に交換や廃棄処分可能であるが、集水管3とは分離可能となっている。なお、セパレータ40を膜ユニット7と実質的に同じ長さとし、セパレータ40の集水孔2に連通する孔を設けておくことも可能である。
【0015】
本実施態様では、原液が流体分離素子9内を通過する際の圧力損失によって膜ユニット7が下流側へ移動するのを防ぐために、一方のセパレータ40a設置部の集水管3の外周面に、長手方向に径がテーパ状に変化するテーパ部3aが形成されており、このテーパ部3aとその両側にわたってセパレータ40aが被せられている。このようなテーパ部3aを設けることにより、膜ユニット7に接着されたセパレータ40aから、集水管3を下流側に向けて容易に引き抜くことができる。本実施態様ではセパレータ40b側にはこのようなテーパ部は形成されていないが、テーパ部をセパレータ40b側に設けてもよく、両側にテーパ部を設けてもよい。セパレータ40をゴムなどの弾性チューブで形成すれば、集水管3に対する良好な密着性を確保しつつ集水管3を容易に引き抜くことができる。
【0016】
また、図4に示すように、集水管3端部の外径を他の部分より小さくし、その端部にセパレータ42を嵌入することでも、セパレータ42の位置を固定でき、膜ユニットが圧力損失によって下流側に移動することを防ぐことができる。
【0017】
そして、本発明において図4に示すようにセパレータ42と集水管3との間にシール部材13を設けることも好ましい。こうすると、セパレータ42に弾性部材を用いなくても原液が透過水に混入することを防ぐことができる。
【0018】
さらに、図3における上流側のセパレータ40aや図4における上流側セパレータ42は、流体分離素子9の圧力損失によって生じるスラスト荷重をその断面で受けるため、そのスラスト荷重に容易に耐えうる断面積を有していることが好ましい。
【0019】
なお、集水管3の引き抜きの際には、一端部の外径が他の部分より小さい場合は、他の部分の方から集水管を引き出し、図4に示すように両端部の外径が他の部分より小さい場合は、膜ユニット7の中央部を切断する。
【0020】
上記のように構成された流体分離素子9においては、膜ユニット7と集水管3との間にセパレータ40を介装することにより、集水管3を膜ユニット7から引き抜いて分離することが可能となる。したがって、膜ユニット7の性能低下や寿命の際に、膜ユニット7のみを廃棄したり交換したりできるようになり、集水管3は再利用、場合によってはリサイクルすることが可能になる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の流体分離素子によれば、膜ユニットと集水管との間にセパレータを介在させたので、その膜ユニットの使用が不可能になった場合でも、欠点のある部材のみを廃棄処分し、流体分離素子組立体の他の部材、特に集水管を再利用やリサイクルに供することができる。また、膜ユニットの交換も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る流体分離素子を用いた流体分離素子組立体の部分分解斜視図である。
【図2】図1の流体分離素子組立体を用いた流体分離膜モジュールの部分縦断面図である。
【図3】図2の流体分離素子の拡大縦断面図である。
【図4】本発明の別の実施態様に係る流体分離素子の縦断面図である。
【符号の説明】
1 流体分離素子組立体
2 集水孔
3 集水管
3a テーパ部
4 分離膜
5 透過液流路材
6 原液流路材
7 膜ユニット
8 外装体
9 流体分離素子
10 テレスコープ防止板
11 原液流路
12 接続管
13 シール材
14 凹部
15 圧力容器
16 原液シール部材
20 原液
21 透過液
30 流体分離膜モジュール
40、40a、40b、42 セパレータ
41a、41b 接着部
Claims (7)
- 集水孔を有する集水管の周りに分離膜、透過液流路材および原液流路材を含む膜ユニットを形成し、その膜ユニットの外側に外装体を形成してなる流体分離素子であって、集水管と膜ユニットの間に、筒状体に形成されていたセパレータが、膜ユニットに対しては接着され、集水管に対してはその外周面に単に密着されるように装着されることにより、集水管を、膜ユニットおよびセパレータから引き抜いて分離できるように、介在されていることを特徴とする流体分離素子。
- 前記セパレータが集水管の集水孔の配置位置を避け集水管の長手方向に部分的に設けられている、請求項1の流体分離素子。
- 集水管が、中央部よりも外径の小さな端部を有し、その端部にセパレータが設けられている、請求項1または2に記載の流体分離素子。
- 集水管が、長手方向に外径がテーパ状に変化するテーパ部を有し、該テーパ部上に前記セパレータが設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の流体分離素子。
- 前記セパレータが、集水管の長手方向における両側に設けられている、請求項1ないし4のいずれかに記載の流体分離素子。
- 前記セパレータと集水管の間に原液混入防止部材が設けられている、請求項1ないし5のいずれかに記載の流体分離素子。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の流体分離素子の端部の少なくとも一方に、テレスコープ防止板が着脱自在に装着されていることを特徴とする流体分離素子組立体。
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