JP4222602B2 - 順次走査変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、字幕の消え際の画質劣化を抑えるとともに、垂直解像度の向上を図る動き補償型の順次走査変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の動き補償型の順次走査変換装置は、動きベクトルが正確に検出されたかどうかを現フィールドの画像信号と動きベクトルによるフィールド間補間信号を比較して判定し、不正確なベクトルによって間違った画像信号の補間を防ぐことが行われている。(例えば、特許文献1)
【0003】
【特許文献1】
特許第2762794号公報(第2〜3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特許文献1の技術では、入力映像信号が映画のように字幕を含む映像信号の場合、字幕が主となる映像の上に重ねて表示されることが多いので、ブロック単位に正確な動きベクトルを得たとしても、字幕の消え際に、字幕の一部分がゴミのように残って、画質を損なうことがある。
【0005】
その原因としては以下のようなことが考えられる。ブロック内のほとんどが字幕で占められるブロックでは、字幕が消えることにより、妥当な動きベクトルが見つからないため、既に字幕の存在しない現フィールドの画像信号のみでフィールド内補間が行われる。一方、ブロック内のほとんどが主となる映像で占められ、かつ、字幕の一部分のみが含まれるブロックでは、主となる映像に対し正確な動きベクトルを検出して、まだ字幕の存在する前フィールドの画像信号から動きベクトルによるフィールド間補間が行われる。このように、正確に動きベクトルを検出しているにもかかわらず、上記したような画質劣化が生じる。字幕は白文字の場合が多く、画質劣化は視覚的に目立ちやすい。
【0006】
また、直高域成分の多い入力画像信号の場合、現フィールドの画像信号と動きベクトルによるフィールド間補間信号との差が大きくなりやすいため、動きベクトルが無効と判定されやすく、動き補償の効果である垂直解像度の向上が十分に得られない、という問題があった。
【0007】
上記した課題を解決するために、この発明の順次走査変換装置は、画像信号からフィールドの画像を補間するための動きベクトル補間信号とフィールド内補間信号とを生成する生成手段と、入力画像信号の字幕領域を検出する検出手段と、前記字幕領域を構成する画素単位で、前記動きベクトル補間信号を中心にして上下ライン左右画素にあたる現フィールド上ライン信号および下ライン信号の合計画素の最大値に任意の値を加えた加算値と前記動きベクトル補間信号の輝度とを比較して、前記加算値が前記動きベクトル補間信号の輝度より高い場合は前記動きベクトル補間信号を採用することを決定し、前記加算値が前記動きベクトル補間信号の輝度より低い場合は前記フィールド内補間信号を採用することを決定する判定手段と、前記判定手段で決定した動きベクトル補間信号又はフィールド内補間信号のいずれか一方と前記画像信号とを混合して前記字幕領域の画像を補間する動き適応処理手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、この発明の順次走査変換装置は、前後および現フィールドの画像信号の任意の組み合わせでフレーム間またはフィールド間もしくはその両方の動きベクトルを検出し、検出された該動きベクトルに基づき現フィールドの走査線間の補間信号を生成する生成手段と、入力画像信号における字幕領域を検出する検出手段と、前記動きベクトルによる補間信号と現フィールドにおけるその周囲の画像信号とを用いて前記動きベクトルによる補間信号を採用するか否かを画素単位に判定する判定手段と、を具備し、前記検出手段により字幕領域とされた領域は、前記判定手段の結果に基づき、採用の場合には前記動きベクトルによる補間信号を、不採用の場合には現フィールドの画像信号によるフィールド内補間信号を選択し、前記字幕領域以外の領域は、前記判定手段の結果を用いずに前記動きベクトルによる補間信号の採用可否を判定して現フィールドのフィールド内補間信号に切り換えて出力することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、図2は、この発明の一実施の形態について説明するためのもので、図1は回路構成図であり、図2は画素補間の概念図である。
図1において、先ず、入力画像信号aが、フィールド遅延器11で1フィールド遅延されて現フィールド信号bとなり、現フィールド信号bがさらにフィールド遅延器12で1フィールド遅延されて前フィールド信号cとなる。以後、入力画像信号aは後フィールド信号aと呼ぶ。
【0010】
現フィールド信号bはフィールド内補間回路13に入力され、現フィールド信号bの走査線間に位置する、すなわち、図2の白丸で示す画素Pn(y±2i)(iは整数)の位置にあたるフィールド内補間信号dが生成される。
【0011】
一方、前フィールド信号c、現フィールド信号b、後フィールド信号aが動きベクトル補間回路14に入力され、ブロック単位で求められた最も相関度の高い動きベクトルによる動きベクトル補間信号eがフィールド内補間信号dと同じく図2の画素Pn(y±2i)の位置に生成される。その時、その動きベクトルの相関度信号fも同時に出力される。
【0012】
フィールド内補間信号dと動きベクトル補間信号eを選択的に切り換える選択器15は、通常、ブロック単位の動きベクトル相関度信号fにより、相関度が高い場合には動きベクトル補間信号eを、相関度が低い場合にはフィールド内補間信号dを選択して出力する。
【0013】
しかし、前フィールド信号c、現フィールド信号b、後フィールド信号aから字幕領域検出回路16により生成された字幕領域検出信号gが字幕領域であることを示した場合、たとえそのブロックの動きベクトルの相関度が高くても、画素単位動きベクトル採用判定回路17の出力である動きベクトル採用判定信号hが不採用を示したならば、その画素については、フィールド内補間信号dを選択出力する。
【0014】
ここで、画素単位動きベクトル採用判定回路17では、動きベクトル補間信号eとその周囲の現フィールド信号bとを用いて画素単位に動きベクトル補間信号eを採用するか否かを判定している。
【0015】
動き検出信号iは後フィールド信号aと前フィールド信号cから動き検出回路18により生成される。混合回路19ではこの動き検出信号iに基づき、動きが大きい時ほど選択切替回路15の出力の比率を高く、動きが少ない時ほど前フィールド信号cの比率を高くして、両者を混合出力し、動き適応処理が行われる。
【0016】
最後に、現フィールド信号bとその走査線間に位置する混合回路19の出力jが倍速変換・選択器20に入力され、ここで現フィールド信号bと混合信号jからノンインターレースを生成し、順次走査信号出力kとして出力される。
【0017】
上記によれば、動きベクトルを求める際の単位であるブロック内のほとんどが主となる映像で占められ、かつ、字幕の一部分のみが含まれるブロックにおいて、主となる映像に対する正確な動きベクトルによって、字幕の消え際にその字幕の一部分も一緒に残留する動きベクトル補間がなされたとしても、字幕領域においては現フィールドの周囲画素から画素単位に動きベクトル補間信号の採用可否をさらに判定するため、字幕の残留を抑えて画質劣化を防ぐことができる。
【0018】
ここで、図3を用い字幕の残留を抑えて画質劣化を防止することについて説明する。
図3において、前フィールドには主画像の上に字幕文字「幕」が存在し、現フィールドでは字幕文字「幕」が消え、主画像のみとなったとする。ブロックeのように前フィールドにおいてブロック内のほとんどが字幕文字で占められたブロックでは、相関度が高い動きベクトルが見つからずに、現フィールド内だけでフィールド内補間が行われることになる。これにより得られた順次走査信号には字幕の残留を防止することができる。
【0019】
しかし、ブロックcのように前フィールドにおいてブロック内のほとんどが主画像であり、字幕文字の一部分のみが含まれたブロックでは、相関度が高い動きベクトルが見つかり、動きベクトルにより、前フィールドの画像からフィールド間補間が行われるため、前フィールドに存在していた字幕文字の一部分がゴミのように残留する。
【0020】
しかし、この実施の形態においては、字幕文字の一部分が残留した画素に対し、現フィールドの周囲画素との比較で、動きベクトルによるフィールド間補間を行わないと判定するので、ブロックとしては動きベクトルによるフィールド間補間を行っているものの、残留する字幕文字の一部分を取り除くことができる。
【0021】
また、字幕領域以外の領域においては、現フィールドの周囲画素による動きベクトル補間信号の採用可否判定を行わないため、動き補償の効果である垂直解像度の向上が十分に得られる。
【0022】
図4は、図1の画素単位動きベクトル採用判定部のより具体的に説明するための構成図である。動きベクトル補間信号eを中心にして上下ライン左右±n画素(nは任意の整数)にあたる現フィールド上ライン信号b1および下ライン信号b2の合計(4n+2)画素の最大値が、最大値検出回路21により求められる。次に、その値に任意の値lを加算器22で加えた値と中心となる動きベクトル補間信号eとを比較判定回路23で比較する。動きベクトル補間信号eの方が大きい場合には、動きベクトル補間信号eを採用しないとする動きベクトル採用判定信号hを比較判定回路23の出力を、動きベクトル採用判定信号hとして出力する。
【0023】
このように、字幕の輝度が高いことを利用することにより、効率よく字幕の残留を抑えることができ、解像度の向上に寄与する。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の順次走査変換装置によれば、字幕の消え際に字幕の一部分がゴミのように残ることを防ぐとともに、字幕領域以外の領域での垂直解像度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態について説明するための回路構成図。
【図2】 図1の動作について説明するための説明図。
【図3】 この発明の字幕の残留を抑えて画質劣化防止することについて説明するための説明図。
【図4】 図1の画素単位動きベクトル採用判定部の構成図。
【符号の説明】
11,12…フィールド遅延器
13…フィールド内補間回路
14…動きベクトル補間回路
15…選択器
16…字幕領域検出回路
17…画素単位動きベクトル採用判定回路
18…動き検出回路
19…混合回路
20…倍速変換・選択器
21…最大値検出回路
22…加算器
23…比較判定回路
Claims (2)
- 画像信号からフィールドの画像を補間するための動きベクトル補間信号とフィールド内補間信号とを生成する生成手段と、
入力画像信号の字幕領域を検出する検出手段と、
前記字幕領域を構成する画素単位で、前記動きベクトル補間信号を中心にして上下ライン左右画素にあたる現フィールド上ライン信号および下ライン信号の合計画素の最大値に任意の値を加えた加算値と前記動きベクトル補間信号の輝度とを比較して、前記加算値が前記動きベクトル補間信号の輝度より高い場合は前記動きベクトル補間信号を採用することを決定し、前記加算値が前記動きベクトル補間信号の輝度より低い場合は前記フィールド内補間信号を採用することを決定する判定手段と、
前記判定手段で決定した動きベクトル補間信号又はフィールド内補間信号のいずれか一方と前記画像信号とを混合して前記字幕領域の画像を補間する動き適応処理手段と
を具備することを特徴とする順次走査変換装置。 - フレーム内の差分信号から動き検出信号の検出を行い、当該動き検出信号に基づいて動き補償型補間を行う機能を備えた請求項1記載の順次走査変換装置。
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