JP4221843B2 - Rotary pump and brake device equipped with rotary pump - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を吸入・吐出する回転式ポンプ及び回転式ポンプを用いたブレーキ装置に関し、特にトロコイドポンプ等の内接歯車ポンプに適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】
トロコイドポンプ等の内接歯車型の回転式ポンプは、外周に外歯部を備えたインナーロータ、内周に内歯部を備えたアウターロータ、及びこれらアウターロータとインナーロータを収納するケーシング等から構成されている。インナーロータ及びアウターロータは、内歯部と外歯部とが互いに噛み合わさり、これら互いの歯によって複数の空隙部を形成した状態でケーシング内に配置されている。
【0003】
インナーロータとアウターロータの両中心軸を通る線をポンプの中心線とすると、この中心線を挟んだ両側には、上記複数の空隙部と連通する吸入口や吐出口が備えられている。ポンプ駆動時には、インナーロータの中心軸を駆動軸として、この駆動軸を介してインナーロータが回転運動し、それに伴って外歯部と内歯部の噛合によりアウターロータも同方向へ回転する。このときに、それぞれの空隙部の容積がアウターロータ及びインナーロータが1回転する間に大小に変化して吸入口からオイルを吸入し、吐出口でオイルを吐き出すようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インナーロータとアウターロータとは、回転方向に噛み合わさっていても、駆動軸の軸方向に対しては相互に移動できるように構成されているため、インナーロータとアウターロータが駆動軸の軸方向に相互にずれた状態でポンプ駆動がなされ、良好なポンプ性能が得られなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みて成され、アウターロータとインナーロータとが駆動軸の軸方向に相互にずれてしまうことを防止し、良好なポンプ性能が得られる回転式ポンプを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ところで、従来より、回転式ポンプでは、高圧な吐出口側と低圧な吸入口側との間に圧力差が生じるため、高圧な吐出口側から低圧な吸入口側へのオイル洩れという問題がある。
【0007】
このため、本発明者らは、例えば、図6に示すように、インナーロータ52及びアウターロータ51の軸方向端面とケーシング50との間の間隙部において、駆動軸54に対して偏心させた円環状のシール部材200(図中の二点鎖線)を配置することにより、シール部材200が吐出口61と駆動軸54との間を通るようにして、高圧な吐出口61側と低圧な吸入口60側とを分離させることを考え出した。
【0008】
このようなシール部材200を備えた場合、シール部材200が吐出口61と吸入口60との間に位置する閉じ込み部53a、53bにおいて、インナーロータ52とアウターロータ51とを押さえるように作用させることができるため、インナーロータ52とアウターロータ51のずれを抑制することができると考えられる。
【0009】
しかしながら、シール部材200のうち閉じ込み部53a、53bを覆っている部分は、閉じ込み部53a、53bが吐出口61と連通して高圧化したときに、低圧な吸入口60側にオイル洩れしないためのシールとしての役割を果たさなければならず、この部分でインナーロータ52及びアウターロータ51を押さえ込んでインナーロータ52とアウターロータ51のずれを防止する役割も果たさせると、インナーロータ52及びアウターロータ51を押さえ込むために生じる磨耗により、シール部材200の耐久性が悪くなる。
【0010】
そこで、上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0011】
請求項1乃至7に記載の発明においては、インナーロータ(52)及びアウターロータ(51)の軸方向端面と、ケーシング(50)との間の間隙部において、吐出口と駆動軸との間を通ると共に第1、第2の閉じ込み部(53a、53b)を通ってアウターロータの外周まで至り、かつ第1、第2の閉じ込み部を通過する部位とは異なる部位において、駆動軸の軸方向におけるインナーロータ及びアウターロータの位置を一致させる調整部(100A、101A、100B、101B)を有するシール手段(100、101)を備えていることを特徴としている。
【0012】
このように、吐出口と駆動軸との間を通ると共に第1、第2の閉じ込み部を通ってアウターロータの外周まで至るシール手段を備えることにより、高圧側と低圧側とをシールすることができる。そして、シールが必要とされる第1、第2の閉じ込み部とは異なる部位において、駆動軸の軸方向におけるインナーロータ及びアウターロータの位置を一致させる調整部を設けることにより、シール手段のうち第1、第2の閉じ込み部をシールする部位のシールとしての耐久性を向上させることができる。
【0013】
具体的には、請求項2に示すように、回転部を収容する孔を有する中央プレート(73)と、中央プレートを挟み込む第1、第2のサイドプレート(71、72)とを備えたケーシングのうち、第1、第2のサイドプレートに、吐出口と駆動軸との間を通ると共に、第1、第2の閉じ込み部を通過してアウターロータの外周まで至り、第1、第2の閉じ込み部を通過する部位とは異なる部位において、インナーロータからアウターロータまで延設された溝部(71b、72b)を形成し、該溝部内にシール手段を配置するようにできる。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、シール手段は、弾性体で構成されていると共に溝部の底側に配置された第1のシール部材(100a、101a)と、該第1のシール部材よりも溝部の開孔側に配置された第2のシール部材(100b、101b)とを有しており、第1のシール部材の弾性力によって第2のシール部材がインナーロータ及びアウターロータに接するようになっていることを特徴としている。
【0015】
このように、弾性体で構成された第1のシール部材にて、第2のシール部材を押圧することによって、第2のシール部材がインナーロータ及びアウターロータに接して、シール機能を果たすようにできる。
【0016】
なお、請求項4に示すように、調整部は、吐出口又は吸入口と連通している空隙部とオーバラップするように延設することで構成できる。
【0017】
具体的には、請求項5に示すように、シール部材のうち、略円環状を成す円環部が駆動軸に対して偏心した配置となるようにし、円環部を部分的に幅広にすることで吐出口又は吸入口と連通している空隙部とオーバラップする調整部を構成することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明においては、調整部には、開口部が形成されており、この開口部を通じて空隙部が該調整部の外部と連通するようになっていることを特徴としている。
【0019】
このように調整部に開口部を形成することにより、空隙部が完全に覆われないようにできるため、調整部が形成されていても、空隙部が大小変化する際にブレーキ液の吸入・吐出を行えるようにできる。
【0020】
なお、本発明における回転式ポンプは、請求項8に示すように、ブレーキ液圧発生手段(1〜3)が発生させるブレーキ液圧を制動力発生手段(4、5)に伝達する主管路(A)と、制動力発生手段が発生させる制動力を高めるために、主管路側にブレーキ液を供給する補助管路(D)と、を有するブレーキ装置において、吸入口が補助管路を通じてブレーキ液圧発生手段側のブレーキ液を吸入でき、吐出口が主管路を通じて制動力発生手段に向けてブレーキ液を吐出できるように配置される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態について説明する。
【0022】
図1に、回転式ポンプとしてトロコイドポンプを適用したブレーキ装置のブレーキ配管概略図を示す。以下、ブレーキ装置の基本構成を、図1に基づいて説明する。本例では前輪駆動の4輪車において、右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に本発明によるブレーキ装置を適用した例について説明する。
【0023】
図1に示すように、ブレーキペダル1は倍力装置2と接続されており、この倍力装置2によりブレーキ踏力等が倍力される。
【0024】
そして、倍力装置2は、倍力された踏力をマスタシリンダ3に伝達するブッシュロッド等を有しており、このブッシュロッドがマスタシリンダ3に配設されたマスタピストンを押圧することによりマスタシリンダ圧が発生する。なお、これらブレーキペダル1、倍力装置2及びマスタシリンダ3がブレーキ液圧発生手段に相当する。
【0025】
また、このマスタシリンダ3には、マスタシリンダ3内にブレーキ液を供給したり、マスタシリンダ3内の余剰ブレーキ液を貯留するマスタリザーバ3aが接続されている。
【0026】
そして、マスタシリンダ圧は、アンチロックブレーキ装置(以下、ABSという)を介して右前輪FR用のホイールシリンダ4及び左後輪RL用のホイールシリンダ5へ伝達されている。以下の説明は、右前輪FR及び左後輪RL側について説明するが、第2の配管系統である左前輪FL及び右後輪RR側についても全く同様であるため、説明は省略する。
【0027】
そして、このブレーキ装置はマスタシリンダ3に接続する管路(主管路)Aを備えており、この管路Aには比例制御弁(PV:プロポーショニングバルブ)22が備えられている。そして、この比例制御弁22によって管路Aは2部位に分けられている。すなわち管路Aは、マスタシリンダ3から比例制御弁22までの間においてマスタシリンダ圧を受ける管路A1と、比例制御弁22から各ホイールシリンダ4、5までの間の管路A2に分けられる。
【0028】
この比例制御弁22は、通常、正方向にブレーキ液が流動する際には、ブレーキ液の基準圧を所定の減衰比率をもって下流側に伝達する作用を有している。そして、図1に示すように、比例制御弁22を逆接続することにより、管路A2側が基準圧となる。
【0029】
また、管路A2において、管路Aは2つに分岐しており、一方にはホイールシリンダ4へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁30が備えられ、他方にはホイールシリンダ5へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁31が備えられている。
【0030】
これら増圧制御弁30、31は、ABS用の電子制御装置(以下、ECUという)により連通・遮断状態を制御できる2位置弁として構成されている。そして、この2位置弁が連通状態に制御されているときには、マスタシリンダ圧あるいはポンプのブレーキ液の吐出によるブレーキ液圧を各ホイールシリンダ4、5に加えることができる。
【0031】
なお、ABS制御が実行されていないノーマルブレーキ時には、これら第1、第2の増圧制御弁30、31は常時連通状態に制御されている。なお、増圧制御弁30、31には、それぞれ安全弁30a、31aが並列に設けられており、ブレーキ踏み込みを止めてABS制御が終了したときにおいてホイールシリンダ4、5側からブレーキ液を排除するようになっている。
【0032】
また、第1、第2の増圧制御弁30、31と各ホイールシリンダ4、5との間における管路Aとリザーバ20のリザーバ孔20aとを結ぶ管路Bには、ABS用のECUにより連通・遮断状態を制御できる減圧制御弁32、33がそれぞれ配設されている。これらの減圧制御弁32、33はノーマルブレーキ状態(ABS非作動時)では、常時遮断状態とされている。
【0033】
管路Aの比例制御弁22と増圧制御弁30、31とリザーバ20のリザーバ孔20aとを結ぶ管路Cには回転式ポンプ10が安全弁10a、10bに挟まれて配設されている。また、この回転式ポンプ10にはモータ11が接続されており、このモータ11によって回転式ポンプ10は駆動される。なお、この回転式ポンプ10についての詳細な説明は後述する。
【0034】
また、回転式ポンプ10が吐出したブレーキ液の脈動を緩和するために、管路Cのうち回転式ポンプ10の吐出側にはダンパ12が配設されている。そして、リザーバ20と回転式ポンプ10の間と、マスタシリンダ3とを接続するように管路(補助管路)Dが設けられており、回転式ポンプ10はこの管路Dを介して管路A1のブレーキ液を汲み取り、管路A2へ吐出することによってホイールシリンダ4、5におけるホイールシリンダ圧をマスタシリンダ圧よりも高くして車輪制動力を高める。なお、比例制御弁22はこの際のマスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧を保持する。
【0035】
この管路Dには制御弁34が設けられており、この制御弁34はノーマルブレーキ時には常時遮断状態とされている。
【0036】
なお、このときの管路Dから伝えられる液圧により、管路Cからリザーバ20へ逆流しないように管路C及び管路Dの接続部とリザーバ20の間には逆止弁21が配設されている。
【0037】
なお、制御弁40は通常は連通状態にされている2位置弁であり、マスタシリンダ圧が所定圧よりも低いときにホイールシリンダ4、5に急ブレーキをかける時、或いはTRC時に遮断されマスタシリンダ側とホイールシリンダ側との差圧を保つようになっている。
【0038】
次に、図2(a)に回転式ポンプ10の模式図を示し、また図2(b)に図2(a)のA−A矢視断面図を示す。まず、図2(a)、(b)に基づき回転式ポンプ10の構造について説明する。
【0039】
この回転式ポンプ10におけるケーシング50のロータ室50a内には、アウターロータ51及びインナーロータ52がそれぞれの中心軸(図中の点Xと点Y)が偏心した状態で組付けられて収納されている。アウターロータ51は内周に内歯部51aを備えており、インナーロータ52は外周に外歯部52aを備えている。そして、これらアウターロータ51とインナーロータ52とが互いの歯部51a、52aによって複数の空隙部53を形成して噛み合わさっている。なお、図2(a)からも判るように、本実施形態の回転式ポンプ10は、アウターロータ51の内歯部51aとインナーロータ52の外歯部52aとで空隙部53を形成する、仕切り板(クレセント)なしの多数歯トロコイドタイプのポンプである。また、インナーロータ52の回転トルクを伝えるために、インナーロータ52とアウターロータ51とは複数の接触点を有している。
【0040】
図2(b)に示されるように、ケーシング50は、両ロータ51、52を両側から挟むように配置される第1のサイドプレート部71及び第2のサイドプレート部72と、これら第1、第2のサイドプレート部71、72間に配設され、アウターロータ51及びインナーロータ52を収容する孔が設けられた中央プレート部73とから構成されており、これらによってロータ室50aが形成される。
【0041】
また、第1、第2のサイドプレート71、72の中心部には、ロータ室50a内と連通する中心孔71a、72aが形成されており、これら中心孔71a、72aにはインナーロータ52に配設された駆動軸54が嵌入されている。そして、アウターロータ51及びインナーロータ52は、中央プレート部73の孔内において回転自在に配設される。つまり、アウターロータ51及びインナーロータ52で構成される回転部は、ケーシング50のロータ室50a内を回転自在に組み込まれ、アウターロータ51は点Xを軸として回転し、インナーロータ52は点Yを軸として回転することになる。
【0042】
さらに、アウターロータ51及びインナーロータ52のそれぞれの回転軸となる点Xと点Yを通る線を回転式ポンプ10の中心線Zとすると、第1のサイドプレート部71のうち中心線Zを挟んだ左右には、ロータ室50aへ連通する吸入口60と吐出口61が形成されている。この吸入口60及び吐出口61は、複数の空隙部53に連通する位置に配設されている。そして、吸入口60を介して外部からのブレーキ液を空隙部53内に吸入して、吐出口61を介して空隙部53内のブレーキ液を外部へ吐出することができるようになっている。
【0043】
複数の空隙部53のうち、体積が最大となる閉じ込み部53a、及び体積が最小となる閉じ込み部53bは、吸入口60及び吐出口61のいずれにも連通しないようになっており、この閉じ込み部53a、53bによって吸入口60における吸入圧と吐出口61における吐出圧との差圧を保持している。
【0044】
第1のサイドプレート部71には、アウターロータ51の外周と吸引口60とを連通する導通経路73a、さらにアウターロータ51の外周と吐出口61とを連通する導通経路73b、73cが設けられている。導通経路73aは、アウターロータ51の回転軸となる点Xを中心として中心線Zから吸引口60方向へ約90度の位置に配設されている。また、導通経路73bは、吐出口61と連通する複数の空隙部53のうち、最も閉じ込み部53aに近い空隙部53とアウターロータ51の外周とを連通するように形成されており、また、導通経路73cは、吐出口61と連通する複数の空隙部53のうち、最も閉じ込み部53bに近い空隙部53とアウターロータ51の外周とを連通するように形成されている。そして、これら導通経路73bと導通経路73cは、それぞれ点Xを中心として中心線Zから吐出口61方向へ約22.5度の位置に配設されている。
【0045】
また、中央プレート73の孔を形成する中央プレート73の壁面であって、アウターロータ51の回転軸となる点Xを中心として中心線Zから吸引口60方向へ約45度の位置には、それぞれ凹部73dと凹部73eが形成されており、これら凹部73、73e内にアウターロータ51の外周におけるブレーキ液の流動を抑制するためのシール部材80、81が備えられている。具体的には、シール部材80、81は、導通経路71bと導通経路71dの間に配設されており、アウターロータ51の外周において、ブレーキ液圧が低圧になる部分と高圧になる部分をシールするようになっている。
【0046】
シール部材80は、略円筒状をしたゴム部材80aと、直方体形状をしたテフロン製の樹脂部材80bとから構成されている。そして、樹脂部材80bはゴム部材80aによって押されて、アウターロータ51に接するようになっている。すなわち、製造誤差等によってアウターロータ51の大きさに若干の誤差分が生じるため、この誤差分を弾性力を有するゴム部材80aによって吸収できるようにしている。
【0047】
樹脂部材80bの幅は、凹部73d内に樹脂部材80bを配置したときに、ある程度隙間が空く程度になっている。つまり、樹脂部材80bの幅を凹部73dの幅と同等に形成すると、ポンプ駆動時におけるブレーキ液圧の流動によって樹脂部材80bが凹部73d内に入り込んだときに出てきにくくなるため、多少隙間が空く程度の大きさで樹脂部材80bを形成することで樹脂部材80bの上部にブレーキ液が入り込むようにして、このブレーキ液の圧力によって樹脂部材80bが凹部73d内から出てき易いようにしている。なお、シール部材81の構成はシール部材80と同様であるため説明は省略する。
【0048】
さらに、図2(b)に示されるように、第1、第2のサイドプレート部71、72には溝部71b、72bが形成されている。この溝部71b、72bは、図2(a)の二点鎖線で示されるように、駆動軸54を囲む円環状で構成されていると共に、所定領域において溝幅が広げられた構成となっている。具体的には、溝部71b、72bの中心は、駆動軸54の軸中心に対して吸入口60側(紙面左側)に偏心した状態となっている。
【0049】
これにより、溝部71b、72bは、吐出口61と駆動軸54の間を通って、閉じ込み部53a、53b、シール部材80、81がアウターロータ51をシールしている部分を通過するような配置となる。
【0050】
そして、駆動軸54の軸と溝部71b、72bの中心とを結んだ線を想定した時に、その線が吸入口60又は吐出口61と交差する位置において溝部71b、72bはインナーロータ51とアウターロータ52の両方とオーバラップするように溝幅が大きくされている。また、閉じ込み部53a、53bとオーバラップする部分においても溝部71b、72bの溝幅が大きくされている。
【0051】
このような構成の溝部71b、72bの中には、それぞれ溝部71b、72bの形状と同様の形状を成すシール部材100、101が配置されている。これらシール部材100、101の模式図を図3に示す。図3に示されるように、シール部材100、101は、円環状の部材の所定領域が幅広に形成されて構成されている。
【0052】
幅広に形成された幅広部100A、101Aは、吐出口61が形成されている位置においてアウターロータ51及びインナーロータ52と重なるように構成されており、幅広部100B、101Bは、吸入口60が形成されている位置においてアウターロータ51及びインナーロータ52と重なるように構成されている。これら幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bがアウターロータ51とインナーロータ52の軸方向のずれを抑制する役割を果たしている。なお、これら幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bが配置されている領域、つまり吐出口61と吸入口60が形成されている領域は、シールする必要がない領域であり、これら幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bはアウターロータ51とインナーロータ52の軸方向のずれを抑制する役割のみのために配置されている。
【0053】
また、幅広部100C、101Cと幅広部100D、101Dは、それぞれ閉じ込み部53aと閉じ込み部53bを全面的に覆えるような幅で構成されており、主として閉じ込み部53a、53b内のブレーキ液の洩れを防止するシールとしての役割を果たす。なお、これら幅広部100C、101C及び幅広部100D、101Dもアウターロータ51及びインナーロータ52の軸方向のずれをなくす役割も果たすが、幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bがその役割を担ってくれるため、ずれ防止のために幅広部100C、101C及び幅広部100D、101Dでアウターロータ51及びインナーロータ52を押さえ込む必要はない。
【0054】
これらシール部材100、101は、ゴム等の弾性体からなる弾性部材100a、101aと、樹脂からなる樹脂部材100b、101bとによって構成されている。樹脂部材100b、101bは、インナーロータ52、アウターロータ51及び中央プレート73に接するように配置され、樹脂部材100b、101bよりも溝部71b、72bの底側に配置された弾性部材100a、101aによって押圧されてシール機能を果たすように構成されている。
【0055】
このように配置されたシール部材100、101によって、インナーロータ52及びアウターロータ51の軸方向端面と第1、第2のサイドプレート部71、72の間における隙間において、高圧な吐出口61と、低圧な駆動軸54とインナーロータ52との間の間隙部及び吸入口60とをシールすることができる。
【0056】
また、インナーロータ52及びアウターロータ51の軸方向端面と第1、第2のサイドプレート部71、72の間における隙間において、高圧な部分と低圧な部分とをシールするためには、シール部材100、101が、吐出口61と駆動軸54との間及び吐出口61と吸入口60との間を通過し、アウターロータ51の外周まで達していることが必要とされる。これに対して、本実施形態においては、シール部材100、101のうち、シール部材80から駆動軸54と吐出口61との間を通過してシール部材81に至るまでの領域が、高圧な部分と低圧な部分とをシールするために必要とされる領域になり、シールが必要とされないその他の領域でインナーロータ52及びアウターロータ51に接している部分は無視できる程度に少ない。このため、シール部材100、101による接触抵抗を少なくすることができ、機械損失を低減することができる。
【0057】
さらに、上述したように、幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bによってアウターロータ51及びインナーロータ52の軸方向のずれをなくすことができる。そして、このように、シールとしての役割を果たす必要がない幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bによって、アウターロータ51及びインナーロータ52の軸方向のずれをなくす役割を果たさせているため、幅広部100C、101C及び幅広部100D、101Dの磨耗を低減することができる。これにより、幅広部100C、101C及び幅広部100D、101Dのシール機能の低下を抑制することができる。
【0058】
なお、幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bには開口部が形成されており、幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bが複数の空隙部53のいずれも覆い尽くしてしまわないようになっている。これは、空隙部53は大小変化によってブレーキ液の吸入・吐出を行っていることから、空隙部53は吸入口60又は吐出口61を連通させておくのが好ましいからであり、開口部を通じて空隙部53におけるブレーキ液の吸入・吐出が可能な構成となっている。
【0059】
次に、このように構成されたブレーキ装置及び回転式ポンプ10の作動について説明する。
【0060】
ブレーキ装置に備えられた制御弁34は、大きな制動力を必要とする場合、例えばブレーキ踏力に対応した制動力が得られない場合やブレーキペダル1の操作量が大きいとき等に適宜連通状態にされる。そして、管路Dを通じてブレーキペダル1の踏み込みによって発生している高圧なマスタシリンダ圧が回転式ポンプ10にかかる。
【0061】
一方、回転式ポンプ10は、モータ11の駆動により駆動軸54の回転に応じてインナーロータ52が回転運動し、それに伴って内歯部51aと外歯部52aの噛合によりアウターロータ51も同方向へ回転する。このとき、アウターロータ51及びインナーロータ52が1回転する間にそれぞれの空隙部53の容積が大小に変化するため、吸入口60からブレーキ液を吸入し、吐出口61から管路A2に向けてブレーキ液を吐き出す。この吐出されたブレーキ液によってホイールシリンダ圧を増圧する。
【0062】
このように、本回転式ポンプ10はロータ51、52が回転することによって吸入口60からブレーキ液を吸入し、吐出口61からブレーキ液を吐出するという基本的なポンプ動作を行うことができる。
【0063】
このポンプ動作中において、アウターロータ51の外周のうち吸入口60側は導通経路73aを通じて吸入されるブレーキ液によって吸入圧とされ、アウターロータ51の外周のうち吐出口61側は導通経路73b、73cを通じて吸入されるブレーキ液によって吐出圧とされる。このため、アウターロータ51の外周において低圧な部分と高圧な部分が生じる。そして、インナーロータ52及びアウターロータ51の軸方向端面と第1、第2のサイドプレート部71、72との間の隙間においても、低圧な吐出口60及び駆動軸54とインナーロータ52との間の間隙と、高圧な吐出口61とによって、低圧な部分と高圧な部分が生じる。
【0064】
しかしながら、上述したように、シール部材80、81によって、アウターロータ51の外周の低圧な部分と高圧な部分をシールして分離しているため、アウターロータ51の外周を通じて吐出口61側の高圧部分から吸入口50側の低圧部分に向けてオイル洩れが発生しない。また、シール部材100、101によって、インナーロータ52及びアウターロータ51の軸方向端面と第1、第2のサイドプレート部71、72との間の隙間の低圧な部分と高圧な部分とをシールしているため、高圧な部分から低圧な部分に向けてオイル洩れが発生しない。なお、図2ではシール部材100、101はアウターロータ51及びインナーロータ52と接しないように図示してあるが、吐出口61が高圧になるにつれてシール部材100、101がたわみ、アウターロータ51及びインナーロータ52に完全に接してシール機能を果たす。
【0065】
また、幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bによってアウターロータ51及びインナーロータ52の軸方向のずれが揃えられるため、良好なポンプ性能が得られる。そして、シールとしての役割が必要でない幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bによってアウターロータ51及びインナーロータ52の軸方向のずれをなくせるため、閉じ込み部53a、53bを覆う幅広部100C、101C及び幅広部100D、101Dの磨耗を低減することができる。
【0066】
なお、シール部材100、101がシール部材80、81を通過するように形成されているため、シール部材100、101とシール部材80、81との間において隙間が生じないため、この間からもオイル洩れが発生することはない。
【0067】
さらに、シール部材80、81により、アウターロータ51の外周のうちの吸入口60側は低圧となって、吸入口60と連通する空隙部53と同様の圧力となり、アウターロータ51の外周のうちの吐出口61側は高圧となって、吐出口61と連通する空隙部53と同様の圧力となる。このため、アウターロータ51の内外における圧力バランスが保持され、ポンプ駆動を安定して行うようにすることができる。
【0068】
このように、シール機能の役割を果たす幅広部100C、101C及び幅広部100D、101Dだけでなく、シール機能の役割を果たす必要のない幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bによってアウターロータ51及びインナーロータ52の軸方向のずれをなくす役割を果たさせることにより、幅広部100C、101C及び幅広部100D、101Dのシールとしての耐久性を向上させることができる。
【0069】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対してシール部材100、101の構成を変更したものである。本実施形態におけるシール部材100の断面拡大図を図4に示す。なお、シール部材101については、シール部材100と同様の構成であるため省略する。
【0070】
本実施形態では、図4に示すように、第1実施形態におけるシール部材100(図2参照)に対して、弾性部材100aの大きさを小さくすると共に、弾性部材100aの内周側に樹脂部材100cを配置している。
【0071】
これにより、弾性部材100aによって樹脂部材100bが押圧される面積を小さくすることができる。このため、樹脂部材100bがインナーロータ52及びアウターロータ51を押圧する領域が少なくなり、シール部材100による接触抵抗を小さくすることができ、機械損失をより少なくできる。
【0072】
また、この樹脂部材100cと樹脂部材100aとの間隔S1は、第1、第2のサイドプレート71、72とアウターロータ51又はインナーロータ52との間隔S2よりも狭くなっている。
【0073】
ところで、弾性部材100a、101aや樹脂部材100b、101bの製造交差や、アウターロータ51及びインナーロータ52に加わる軸方向の力によって、アウターロータ51及びインナーロータ52は共に軸方向に移動する場合がある。
【0074】
このような場合、弾性部材100a、101aが伸縮することからアウターロータ51及びインナーロータ52の軸方向の移動を完全に抑制できず、アウターロータ51及びインナーロータ52が共に軸方向に移動して、第1、第2のサイドプレート71、72に接触してしまい、大きな接触抵抗を発生させるということが発生しうる。
【0075】
このため、本実施形態では、樹脂部材100c、101cによって、樹脂部材100b、101bが第1、第2のサイドプレート71、72とアウターロータ51又はインナーロータ52との間隔S1以上移動できないように規制することで、アウターロータ51及びインナーロータ52が第1、第2のサイドプレート71、72と接触しないようにしている。これにより、アウターロータ51及びインナーロータ52が第1、第2のサイドプレート71、72と接触することによる接触抵抗を増大を防止でき、機械損失の低減が図れる。
【0076】
なお、同様の構成を有するシール部材101についても、シール部材101による接触抵抗を小さくすることができる。これにより、機械損失をより少なくすることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、樹脂部材100cを単独の部材として構成しているが、樹脂部材100bと一体で構成してもよく、また第1、第2のサイドプレート部71、72と一体で構成してもよい。
【0078】
(第3実施形態)
第1、第2実施形態に対して、本実施形態のようにシール部材100、101の構成を変更してもよい。
【0079】
第1、第2実施形態では、幅広部100A、101Aがアウターロータ51の外周よりも内側までしか届かない幅となっているが、さらに幅を広げて中央プレート73まで届くようにしてもよい。このようにすれば、中央プレート73によってシール部材100、101が架設された構成となるため、シール部材100、101のたわみを少なくすることができる。
【0080】
(他の実施形態)
第2実施形態では、樹脂部材100c、101cによって、弾性部材100a、101aによる押圧力を小さくすることを示したが、樹脂部材100c、101c及び弾性部材100a、101aの形状を調整することにより、強くシールされる位置を調整することも可能である。すなわち、弾性部材100a、101aが配置される位置において、ブレーキ液圧が樹脂部材100c、101cを強く押し、シールが行われるようになっているため、調整された弾性部材100a、101aの形状に合わせて樹脂部材100c、101cの形状を調整することにより、強くシールされる位置の調整が行える。
【0081】
ここで、閉じ込み部53aの内部のブレーキ液圧について考えてみる。空隙部53は、吸入口60側から移動してきて閉じ込み部53aとなる。このとき、閉じ込み部53aの内部のブレーキ液圧は低圧になっている。その後、空隙部53がさらに移動すると空隙部53が吐出口61と連通するため、空隙部53の内部のブレーキ液は瞬時に高圧化する。
【0082】
このため、閉じ込み部53aについては、高圧側になる瞬間の位置が高圧側と低圧側とを区別する位置として、その位置を通過するように弾性部材100a、101aを配置するようにしてもよい。
【0083】
但し、回転式ポンプ10の回転挙動の変化や製造交差が生じるため、閉じ込み部53aについての高圧側と低圧側との区別は必ずしも容易ではない。このため、回転式ポンプ10の回転中におけるブレーキ液圧の平均値を求め、この平均値に基づいて最適な位置をシールするようにしてもよい。例えば、上記平均値が高圧と低圧の中間値と一致する位置をシールするようにしてもよい。
【0084】
なお、幅広部100A、101A及び幅広部100B、101Bは、シールとしての役割が必要でない位置であれば上記実施形態の位置に限らず、他の位置に形成されていてもよい。
【0085】
また、図5に示す如く、第1のサイドプレート71側の片面側のみにシール部材100を配置するようにしてもよい。この際にはこのシール部材100のOリング100aの弾性により、インナロータ52とアウタロータ51とにシール部材100bが接触するように樹脂部材100bにてシール部材80bを押し、これにより、インナロータ52およびアウタロータ51を第2のサイドプレート72側に移動することにより、インナロータ52およびアウタロータ51と第2のサイドプレート72との間の隙間は極力減少される。よって、シール部材100が存在しない側の第2のサイドプレート72の方でも、インナロータ52およびアウタロータ51と第2のサイドプレート72との間の間隙は数ミクロン程度になり、上述の実施形態(例えば、図2)において説明したシール部材101が存在する場合と略同様に実質的にシール性能を有するとともにインナロータ52とアウタロータ51の軸方向のずれも実質的になくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における回転式ポンプを備えたブレーキ装置の管路構成図である。
【図2】図1における回転式ポンプの具体的構成を示す図である。
【図3】図2に示すシール部材100(101)の模式図である。
【図4】第2実施形態におけるシール部材の拡大図である。
【図5】他の実施形態における回転式ポンプの断面構成を示す図である。
【図6】本発明者らの検討による回転式ポンプの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
51…アウターロータ、51a…内歯部、52…インナーロータ、
52a…外歯部、53…空隙部、53a、53b…閉じ込み部、
54…駆動軸、60…吸入口、61…吐出口、71…第1のサイドプレート、
72…第2のサイドプレート、71a、72a…中心孔、
71b、72b…溝部、73…中央プレート、
73a、73b、73c…連通通路、80、81…シール部材、
100、101…シール部材、100a、101a…弾性部材、
100b、101b…樹脂部材、100c、101c…樹脂部材。
100A、101A…幅広部、100B、101B…幅広部。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a rotary pump that sucks and discharges fluid and a brake device using the rotary pump, and is particularly suitable for application to an internal gear pump such as a trochoid pump.
[0002]
[Prior art]
An internal gear type rotary pump such as a trochoid pump is composed of an inner rotor having outer teeth on the outer periphery, an outer rotor having inner teeth on the inner periphery, a casing for housing these outer rotors and inner rotors, and the like. It is configured. The inner rotor and the outer rotor are arranged in the casing in a state where the inner teeth and the outer teeth are engaged with each other and a plurality of gaps are formed by these teeth.
[0003]
If the line passing through the central axes of the inner rotor and the outer rotor is the center line of the pump, suction ports and discharge ports communicating with the plurality of gaps are provided on both sides of the center line. When the pump is driven, the central axis of the inner rotor is used as a drive shaft, and the inner rotor rotates through the drive shaft, and the outer rotor is also rotated in the same direction due to the meshing of the outer teeth and the inner teeth. At this time, the volume of each gap portion changes in size while the outer rotor and the inner rotor make one rotation, and the oil is sucked from the suction port, and the oil is discharged from the discharge port.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, even if the inner rotor and the outer rotor are meshed in the rotational direction, the inner rotor and the outer rotor are configured so that they can move relative to each other in the axial direction of the drive shaft. There is a problem that the pump is driven in a state where the directions deviate from each other, and good pump performance cannot be obtained.
[0005]
The present invention has been made in view of the above problems, and an object of the present invention is to provide a rotary pump that can prevent the outer rotor and the inner rotor from being displaced from each other in the axial direction of the drive shaft and obtain good pump performance. And
[0006]
[Means for Solving the Problems]
By the way, conventionally, a rotary pump has a problem of oil leakage from the high-pressure outlet side to the low-pressure inlet side because a pressure difference is generated between the high-pressure outlet side and the low-pressure inlet side. .
[0007]
For this reason, for example, as shown in FIG. 6, the present inventors have a circle eccentric with respect to the
[0008]
When such a
[0009]
However, portions of the
[0010]
Therefore, in order to achieve the above object, the following technical means are adopted.
[0011]
In the invention according to claims 1 to 7, the gap between the axial end surfaces of the inner rotor (52) and the outer rotor (51) and the casing (50) is provided between the discharge port and the drive shaft. The shaft of the drive shaft passes through the first and second closed portions (53a, 53b) and reaches the outer periphery of the outer rotor and is different from the portion passing through the first and second closed portions. It is characterized by comprising sealing means (100, 101) having adjusting portions (100A, 101A, 100B, 101B) for matching the positions of the inner rotor and outer rotor in the direction.
[0012]
In this way, the high pressure side and the low pressure side are sealed by providing the sealing means that passes between the discharge port and the drive shaft and extends to the outer periphery of the outer rotor through the first and second confinement portions. Can do. And, by providing an adjustment portion that matches the positions of the inner rotor and the outer rotor in the axial direction of the drive shaft in a portion different from the first and second confinement portions where sealing is required, It is possible to improve durability as a seal of a portion that seals the first and second confinement portions.
[0013]
Specifically, as shown in claim 2, a casing including a central plate (73) having a hole for accommodating the rotating portion, and first and second side plates (71, 72) sandwiching the central plate. Of these, the first and second side plates pass between the discharge port and the drive shaft, pass through the first and second confinement portions, reach the outer periphery of the outer rotor, and the first and second side plates. Grooves (71b, 72b) extending from the inner rotor to the outer rotor may be formed at a part different from the part that passes through the confinement part, and the sealing means may be disposed in the groove part.
[0014]
In the invention according to
[0015]
In this way, by pressing the second seal member with the first seal member made of an elastic body, the second seal member comes into contact with the inner rotor and the outer rotor and performs a sealing function. it can.
[0016]
According to a fourth aspect of the present invention, the adjustment portion can be configured to extend so as to overlap with the gap portion communicating with the discharge port or the suction port.
[0017]
Specifically, as shown in claim 5, in the sealing member, the annular portion that forms a substantially annular shape is arranged to be eccentric with respect to the drive shaft, and the annular portion is partially widened. Thereby, the adjustment part which overlaps with the space | gap part connected with the discharge port or the suction port can be comprised.
[0018]
The invention according to
[0019]
By forming the opening in the adjustment part in this way, the gap can be prevented from being completely covered. Therefore, even when the adjustment part is formed, the suction and discharge of the brake fluid is performed when the gap changes in size. Can be done.
[0020]
In the rotary pump according to the present invention, as shown in claim 8, the main pipe line (for transmitting the brake fluid pressure generated by the brake fluid pressure generating means (1 to 3) to the braking force generating means (4, 5) ( A) and an auxiliary pipe (D) for supplying brake fluid to the main pipeline side in order to increase the braking force generated by the braking force generation means, the suction port is connected to the brake fluid pressure through the auxiliary pipeline. The brake fluid on the generating means side can be sucked, and the discharge port is arranged so as to discharge the brake fluid toward the braking force generating means through the main pipeline.
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments shown in the drawings will be described.
[0022]
In FIG. 1, the brake piping schematic of the brake device which applied the trochoid pump as a rotary pump is shown. Hereinafter, the basic configuration of the brake device will be described with reference to FIG. In this example, in a front-wheel drive four-wheeled vehicle, an example in which the brake device according to the present invention is applied to a vehicle that constitutes a hydraulic circuit of X piping having piping systems of right front wheel-left rear wheel and left front wheel-right rear wheel. explain.
[0023]
As shown in FIG. 1, the brake pedal 1 is connected to a booster device 2, and the brake pedal force and the like are boosted by the booster device 2.
[0024]
The booster 2 includes a bush rod that transmits the boosted pedaling force to the
[0025]
The
[0026]
The master cylinder pressure is transmitted to the wheel cylinder 4 for the right front wheel FR and the wheel cylinder 5 for the left rear wheel RL via an antilock brake device (hereinafter referred to as ABS). In the following description, the right front wheel FR and the left rear wheel RL side will be described. However, since the same applies to the left front wheel FL and the right rear wheel RR side which are the second piping system, the description will be omitted.
[0027]
The brake device is provided with a pipe line (main pipe line) A connected to the
[0028]
The
[0029]
Further, in the pipeline A2, the pipeline A is branched into two, one of which is provided with a pressure
[0030]
These pressure-increasing
[0031]
Note that the first and second pressure-increasing
[0032]
Further, an ABS ECU is provided in a pipeline B connecting the pipeline A between the first and second pressure
[0033]
A
[0034]
In addition, a
[0035]
A
[0036]
In addition, a
[0037]
Note that the
[0038]
Next, FIG. 2A shows a schematic view of the
[0039]
In the
[0040]
As shown in FIG. 2 (b), the
[0041]
In addition,
[0042]
Furthermore, when a line passing through the point X and the point Y serving as the respective rotation axes of the
[0043]
Among the plurality of
[0044]
The first
[0045]
Further, the wall surface of the
[0046]
The
[0047]
The width of the
[0048]
Further, as shown in FIG. 2B,
[0049]
Accordingly, the
[0050]
Assuming a line connecting the shaft of the
[0051]
[0052]
The
[0053]
Further, the
[0054]
These
[0055]
In the gap between the axial end surfaces of the
[0056]
In order to seal the high pressure portion and the low pressure portion in the gap between the axial end surfaces of the
[0057]
Furthermore, as described above, the
[0058]
The
[0059]
Next, the operation of the brake device and the
[0060]
The
[0061]
On the other hand, in the
[0062]
As described above, the
[0063]
During the pump operation, the
[0064]
However, as described above, since the low pressure portion and the high pressure portion of the outer periphery of the
[0065]
Further, since the axial displacements of the
[0066]
Since the
[0067]
Further, due to the
[0068]
As described above, the
[0069]
(Second Embodiment)
In the present embodiment, the configuration of the
[0070]
In the present embodiment, as shown in FIG. 4, the size of the
[0071]
Thereby, the area where the
[0072]
The interval S1 between the
[0073]
By the way, the
[0074]
In such a case, since the
[0075]
For this reason, in the present embodiment, the
[0076]
Note that the contact resistance of the sealing
[0077]
In this embodiment, the
[0078]
(Third embodiment)
In contrast to the first and second embodiments, the configuration of the
[0079]
In the first and second embodiments, the
[0080]
(Other embodiments)
In the second embodiment, it is shown that the pressing force by the
[0081]
Here, consider the brake fluid pressure inside the
[0082]
For this reason, with respect to the
[0083]
However, since a change in the rotational behavior of the
[0084]
Note that the
[0085]
Further, as shown in FIG. 5, the
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a pipe configuration diagram of a brake device including a rotary pump according to an embodiment of the present invention.
2 is a diagram showing a specific configuration of the rotary pump in FIG. 1. FIG.
FIG. 3 is a schematic view of a seal member 100 (101) shown in FIG.
FIG. 4 is an enlarged view of a seal member in the second embodiment.
FIG. 5 is a diagram showing a cross-sectional configuration of a rotary pump according to another embodiment.
FIG. 6 is a diagram for explaining a configuration of a rotary pump studied by the present inventors.
[Explanation of symbols]
51 ... Outer rotor, 51a ... Internal tooth part, 52 ... Inner rotor,
52a ... external tooth part, 53 ... gap part, 53a, 53b ... confinement part,
54 ... Drive shaft, 60 ... Suction port, 61 ... Discharge port, 71 ... First side plate,
72 ... second side plate, 71a, 72a ... center hole,
71b, 72b ... groove, 73 ... center plate,
73a, 73b, 73c ... communication passage, 80, 81 ... sealing member,
100, 101 ... sealing member, 100a, 101a ... elastic member,
100b, 101b ... resin member, 100c, 101c ... resin member.
100A, 101A ... wide portion, 100B, 101B ... wide portion.
Claims (8)
前記駆動軸を嵌入する開口部(71a、72a)を有すると共に、前記回転部に流体を吸入する吸入口(60)及び前記回転部から前記流体を吐出する吐出口(61)とを有し、前記回転部を覆うケーシング(50)と、
前記複数の空隙部のうち、体積が最大となる第1の閉じ込み部(53a)と体積が最小となる第2の閉じ込み部(53b)にて前記吸入口と前記吐出口との圧力差を保持しつつ、前記回転部の回転運動によって前記吸入口から前記流体を吸入し、前記吐出口を通じて前記流体を吐出する回転式ポンプにおいて、
前記インナーロータ及び前記アウターロータの軸方向端面と、前記ケーシングとの間の間隙部において、前記吐出口と前記駆動軸との間を通ると共に前記第1、第2の閉じ込み部を通って前記アウターロータの外周まで至り、かつ前記第1、第2の閉じ込み部を通過する部位とは異なる部位において、駆動軸の軸方向における前記インナーロータ及び前記アウターロータの位置を一致させる調整部(100A、101A、100B、101B)を有するシール手段(100、101)を備え、
前記シール手段は、前記間隙部を通じて、前記吐出口側に位置する前記アウターロータの外周と前記吐出口に連通する前記空隙部とが連通され、前記駆動軸と前記インナーロータとの間と前記吸入口に連通する前記空隙部とが連通される形状で構成されていることを特徴とする回転式ポンプ。An outer rotor (51) having an inner tooth portion (51a) on an inner periphery, and an inner rotor (52) having an outer tooth portion (52a) and rotating around a drive shaft (54), the inner teeth a rotation unit which is constructed with pairs seen to form a plurality of gap portions (53) by engaging a part and the outer teeth,
Having openings (71a, 72a) into which the drive shaft is fitted, and having a suction port (60) for sucking fluid into the rotating part and a discharge port (61) for discharging the fluid from the rotating part, A casing (50) covering the rotating part;
Among the plurality of gaps, the pressure difference between the suction port and the discharge port at the first confinement portion (53a) having the maximum volume and the second confinement portion (53b) having the minimum volume. In the rotary pump that sucks the fluid from the suction port by the rotational movement of the rotating part and discharges the fluid through the discharge port,
In the gap between the axial end surfaces of the inner rotor and the outer rotor and the casing, it passes between the discharge port and the drive shaft and passes through the first and second confinement portions. An adjustment portion (100A) that matches the positions of the inner rotor and the outer rotor in the axial direction of the drive shaft at a portion that reaches the outer periphery of the outer rotor and is different from a portion that passes through the first and second confinement portions. , 101A, 100B, 101B) with sealing means (100, 101),
In the sealing means, the outer periphery of the outer rotor located on the discharge port side and the gap portion communicating with the discharge port communicate with each other through the gap portion, and the suction shaft is connected between the drive shaft and the inner rotor. A rotary pump characterized in that it is configured to communicate with the gap that communicates with the mouth.
前記回転部を収容する孔を有する中央プレート(73)と、
前記駆動軸が嵌入される孔(71a、72a)を有し、前記中央プレートを挟み込む第1、第2のサイドプレート(71、72)とを備えており、
前記第1、第2のサイドプレートには、前記吐出口と前記駆動軸との間を通ると共に、前記第1、第2の閉じ込み部を通過して前記アウターロータの外周まで至り、前記第1、第2の閉じ込み部を通過する部位とは異なる部位において、前記インナーロータから前記アウターロータ又は前記中央プレートまで延設された溝部(71b、72b)が形成されており、該溝部内に前記シール手段が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式ポンプ。The casing is
A central plate (73) having a hole for accommodating the rotating part;
The first and second side plates (71, 72) having holes (71a, 72a) into which the drive shafts are inserted and sandwiching the central plate;
The first and second side plates pass between the discharge port and the drive shaft, pass through the first and second confinement portions, reach the outer periphery of the outer rotor, and 1. Groove portions (71b, 72b) extending from the inner rotor to the outer rotor or the central plate are formed in a portion different from the portion that passes through the second confinement portion, and the groove portions are formed in the groove portions. 2. The rotary pump according to claim 1, wherein the sealing means is disposed.
弾性体で構成されていると共に前記溝部の底側に配置された第1のシール部材(100a、101a)と、該第1のシール部材よりも前記溝部の開孔側に配置された第2のシール部材(100b、101b)とを有しており、前記第1のシール部材の弾性力によって前記第2のシール部材が前記インナーロータ及び前記アウターロータに接するようになっていることを特徴とする請求項2に記載の回転式ポンプ。The sealing means includes
A first seal member (100a, 101a) made of an elastic body and disposed on the bottom side of the groove portion, and a second seal member disposed on the opening side of the groove portion with respect to the first seal member And a seal member (100b, 101b), wherein the second seal member is in contact with the inner rotor and the outer rotor by the elastic force of the first seal member. The rotary pump according to claim 2.
前記調整部は、前記吐出口又は前記吸入口と連通している前記空隙部とオーバラップするように、前記円環部を部分的に幅広にすることで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の回転式ポンプ。The seal member has an annular portion having a substantially annular shape, and the annular portion is arranged eccentric with respect to the drive shaft,
The adjustment part is configured by partially widening the annular part so as to overlap with the gap part communicating with the discharge port or the suction port. Item 4. The rotary pump according to any one of Items 1 to 3.
前記ブレーキ液圧に基づいて車輪に制動力を発生させる制動力発生手段(4、5)と、
前記ブレーキ液圧発生手段に接続され、前記制動力発生手段に前記ブレーキ液圧を伝達する主管路(A)と、
前記ブレーキ液圧発生手段に接続され、前記制動力発生手段が発生させる制動力を高めるために、前記主管路側にブレーキ液を供給する補助管路と、を有するブレーキ装置において、
請求項1乃至7に記載の回転式ポンプは、前記吸入口が前記補助管路を通じて前記ブレーキ液圧発生手段側のブレーキ液を吸入でき、前記吐出口が前記主管路を通じて前記制動力発生手段に向けてブレーキ液を吐出できるように配置されていることを特徴とする回転式ポンプを備えたブレーキ装置。Brake fluid pressure generating means (1-3) for generating brake fluid pressure based on the pedal effort;
Braking force generating means (4, 5) for generating a braking force on the wheel based on the brake fluid pressure;
A main line (A) connected to the brake fluid pressure generating means and transmitting the brake fluid pressure to the braking force generating means;
A brake device connected to the brake fluid pressure generating means and having an auxiliary pipeline for supplying brake fluid to the main pipeline side in order to increase the braking force generated by the braking force generating means;
The rotary pump according to any one of claims 1 to 7, wherein the suction port can suck the brake fluid on the brake fluid pressure generating means side through the auxiliary conduit, and the discharge port is connected to the braking force generating means through the main conduit. A brake device comprising a rotary pump, wherein the brake device is arranged so that the brake fluid can be discharged toward the vehicle.
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