JP4221646B2 - 共有キャッシュサーバ - Google Patents
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- H04L69/329—Intralayer communication protocols among peer entities or protocol data unit [PDU] definitions in the application layer [OSI layer 7]
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は共有キャッシュサーバに関し、特に、複数の仮想ネットワーク間でキャッシュサーバを共有する共有キャッシュサーバに関する。
【０００２】
【従来の技術】
キャッシュサーバは、コンテンツを蓄積するサーバであり、コンテンツの配信を要求したクライアントにコンテンツを送信する。キャッシュサーバには、クライアントから要求されたコンテンツを一時的に蓄積するキャッシュサーバと、コンテンツ管理者が指定したコンテンツを指定した期間だけ蓄積するミラーキャッシュサーバの２つの種類があるが、以下、特に区別せず両者をキャッシュサーバと呼ぶ。
【０００３】
ところで、近年、アクセスネットワークのブロードバンド化に伴い、コンテンツを効率的に配信することを目的としたネットワーク(ＣＤＮ：Content Delivery Network)が注目されている。ＣＤＮでは、同じコンテンツを記憶するキャッシュサーバを、ネットワーク上の複数の位置に配置する。クライアントがコンテンツへアクセスする際には、複数のキャッシュサーバの中からクライアントに対してネットワーク的に最も近い位置に配置されたキャッシュサーバが選択され、コンテンツは、選択されたキャッシュサーバから配信される。このため、クライアントへの応答が高速に行なわれる。
【０００４】
一方、共通に使用されるネットワーク上にＭＰＬＳ（Multi Protocol Label Switch）やＩＥＥＥ８０２．１Ｑ（ＶＬＡＮｔａｇ形式）などを使用し、複数の仮想的なネットワーク（ＶＰＮ：Virtual Private Network）を構築する技術が注目されている。この技術では、各グループは、分散されたネットワークの構成部分を、共通ネットワークを介して接続するため、広域なネットワークを低コストで実現できる。共通ネットワーク上では、各グループのトラフィックなどは仮想的に分離されており、各グループは、グループ毎に閉じたネットワークを構築できるため、あたかも専用線でネットワークを構築しているかのようにネットワークを使用することができる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような共通ネットワーク上にＶＰＮを構成するネットワークにおいて、各グループがＣＤＮを構築する場合には、各グループは、自身の設備として、共通ネットワーク外の各グループのネットワークの構成部分に、キャッシュサーバを配設する必要がある。このため、各グループは、キャッシュサーバの配設にかかるコストが増加する、或いは、キャッシュサーバの設置スペースが必要になるといった問題があった。
【０００６】
各グループがキャッシュサーバを持つのに代えて、共通ネットワークの提供者が、共通ネットワーク上にキャッシュサーバを配設することができる。しかし、この場合においても、共通ネットワーク上では、各グループのネットワークは仮想的に分離されているため、共通ネットワークの提供者は、キャッシュサーバをグループ毎に配設する必要がある。従来、共通ネットワーク上に仮想的に分離された複数のネットワークを構成した場合に、同じキャッシュサーバで、複数のグループに対応したコンテンツを蓄積できるキャッシュサーバは知られていなかった。
【０００７】
本発明は、仮想的に分離された複数のネットワークが構築されている共通ネットワーク上に配設され、複数のグループ間で共有することができる共有キャッシュサーバを提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の共有キャッシュサーバは、仮想的に分離された複数の仮想ネットワークが複数のグループに対応して構築された共通ネットワーク上に配設される共有キャッシュサーバであって、前記複数のグループに対応する複数の記憶領域の夫々でコンテンツを記憶する記憶装置と、前記複数の仮想ネットワークに対応して配設される複数の仮想インタフェースと、前記仮想インタフェースの１つを介し、ＵＲＬを指定してコンテンツを要求するパケットを受信すると、該パケット中のＩＰアドレスの一部を、前記パケットを受信した仮想インタフェースに対応する内部アドレスに変換するアドレス変換機能と、前記アドレス変換機能で変換された内部アドレスに基づいて、前記記憶装置の記憶領域からコンテンツを読み出すキャッシュ機能とを備えることを特徴とする。
【０００９】
本発明の共有キャッシュサーバでは、クライアントから送信されたコンテンツの送信を要求するパケット（要求パケット）は、複数のグループが構築するネットワークに対応して配設された仮想インタフェースを介して受信される。要求パケットに含まれる送信元（クライアント）のＩＰアドレスは、要求パケットを受信した仮想インタフェースに対応して、グループ毎に範囲が異なる内部アドレスに変換される。記憶装置は、複数のグループに対応して仮想的に記憶領域が分割されており、それぞれの記憶領域でコンテンツを記憶する。キャッシュ機能は、内部アドレスによってクライアントが属するグループを識別し、対応するグループの記憶領域を検索してコンテンツを抽出する、或いは、コンテンツを記憶する。このため、複数のグループが構築するネットワークが仮想的に分離されている場合であっても、グループ毎にキャッシュサーバを用意することなく、同じキャッシュサーバを共有して使用することができる。
【００１０】
本発明の共有キャッシュサーバは、使用するＩＰアドレスの範囲が相互に異なる複数のグループに接続される共通ネットワーク上に配設される共有キャッシュサーバであって、前記複数のグループに対応する複数の記憶領域の夫々でコンテンツを記憶する記憶装置と、ＵＲＬを指定してコンテンツを要求するパケットを受信すると、該パケット中のＩＰアドレスの一部を、前記グループに対応するタグに変換し、該タグを前記ＵＲＬ中に挿入し、該タグを挿入したＵＲＬに基づいて前記記憶装置の記憶領域からコンテンツを読み出すキャッシュ機能とを備えることを特徴とする。
【００１１】
本発明の共有キャッシュサーバでは、クライアントから送信されたコンテンツの送信を要求するパケット（要求パケット）を受信すると、ＩＰアドレスの範囲によって、クライアントが属するグループを識別する。タグ挿入機能は、クライアントが属するグループに対応するタグを、コンテンツを指定するＵＲＬ中に挿入する。キャッシュ機能は、タグが挿入されたＵＲＬを用いて、記憶装置に記憶された、或いは、記憶するコンテンツを管理する。記憶装置では、同じＵＲＬのコンテンツであっても、グループが異なれば、異なるＵＲＬのコンテンツとして管理されるため、記憶装置は、複数のグループに対応して記憶領域が分割されたのと同等となる。キャッシュ機能は、グループに対応する記憶装置の記憶領域から抽出したコンテンツをクライアントに送信するため、グループ毎にキャッシュサーバを用意することなく、同じキャッシュサーバを共有して使用することができる。
【００１２】
本発明の共有キャッシュサーバは、前記内部アドレスを前記グループに対応するタグに変換し、該タグを前記ＵＲＬ中に挿入するタグ挿入機能を更に有し、前記キャッシュ機能は、前記タグが挿入されたＵＲＬに基づいてコンテンツを指定することが好ましい。この場合、キャッシュ機能は、記憶装置に記憶された、或いは、記憶するコンテンツを、グループに対応したタグが挿入されたＵＲＬを用いて管理する。このため、同じＵＲＬのコンテンツであっても、グループが異なれば、異なるＵＲＬのコンテンツとして管理され、コンテンツをグループ毎に分離することができる。
【００１３】
また、本発明の共有キャッシュサーバでは、前記タグ挿入機能は、特定のＵＲＬを指定するパケットについては、前記内部アドレスを、前記グループに共通に使用される特定のタグに変換することが好ましい。この場合、タグ挿入機能は、タグを挿入すべきＵＲＬが、グループ間で共有すると定められたコンテンツのＵＲＬである場合には、クライアントが属するグループに対応するタグを挿入するのに代えて、グループ間に共通に使用されるタグを挿入する。これにより、特定のコンテンツについて、グループ間で共有することができる。
【００１４】
本発明の共有キャッシュサーバは、前記各グループ毎の記憶領域の記憶容量を管理する記憶容量管理機能を更に有することが好ましい。この場合、記憶容量管理機能は、各グループが記憶装置に記憶できるコンテンツの最大容量などを管理し、各グループが使用する記憶装置の記憶容量を制限することができる。
【００１５】
本発明の共有キャッシュサーバでは、前記記憶容量管理機能は、前記グループ毎の記憶領域を動的に管理することが好ましい。この場合、記憶装置を効率的に運用することができる。
【００１６】
本発明の共有キャッシュサーバは、前記パケットが指定するコンテンツが前記記憶装置内に記憶されていないと、コンテンツを記憶するサーバを指定するＤＮＳプロキシ機能を更に有することが好ましい。この場合、グループに対応したＤＮＳサーバを選択することで、コンテンツを配信するサーバへ適切にアクセスすることができる。
【００１７】
本発明の共有キャッシュサーバでは、前記仮想的に分離された複数の仮想ネットワークは、ＩＥＥＥ８０２．１Ｑに準拠して構成されてもよく、或いは、ＭＰＬＳに準拠して構成されてもよい。これらの技術を用いて、共通に使用されるネットワーク上に、仮想的に分離された複数のネットワークを構成することができる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。図１は、本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバが使用される共通ネットワークの接続をブロック図として示している。共通ネットワーク５０は、共有キャッシュサーバ１００を有し、グループＧｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２に対して、仮想的なネットワーク（ＶＰＮ：Virtual Private Network）を提供する。
【００１９】
共通ネットワーク５０は、ＭＰＬＳ（Multi Protocol Label Switch）やＩＥＥＥ８０２．１Ｑ（ＶＬＡＮｔａｇ型式)によって構成され、Ｇｒｐ＃１が構成するネットワークと、Ｇｒｐ＃２が構成するネットワークとが仮想的に分離されている。共有キャッシュサーバ１００は、Ｇｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２のそれぞれに対応するコンテンツを蓄積（キャッシュ）する。
【００２０】
図２は、本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバの構成をブロック図として示している。共有キャッシュサーバ１００は、キャッシュ機能１１０と、記憶装置１２０と、グループ対応機能１３０と、ネットワークインタフェースカード(Network Interface Card ：ＮＩＣ)１４０とを有する。グループ対応機能１３０は、アドレス変換機能１３１、アドレス変換テーブル１３２、ＤＮＳプロキシ（ｐｒｏｘｙ）機能１３３、記憶容量管理機能１３４、及び、タグ挿抜機能１３５を備える。ＮＩＣ（１４０）は、仮想インタフェース（ＶＩＦ）１（１５０）、及び、ＶＩＦ２（１６０）を備える。
【００２１】
ＮＩＣ（１４０）は、共通ネットワーク５０に接続する。キャッシュサーバ１００は、ＶＩＦ（１５０）を介してＧｒｐ＃１からのパケットを受信し、ＶＩＦ（１６０）を介してＧｒｐ＃２からのパケットを受信する。グループ対応機能１３０は、各グループに対応した処理を行なう。記憶装置１２０は、全記憶容量が各グループに対応して仮想的に分割され、各グループに対応したコンテンツを分割された記憶容量内に記憶する。記憶装置１２０には、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、ＣＤ−Ｒなどの光記録媒体が使用される。キャッシュ機能１１０は、タグの挿入されたＵＲＬに基づいて、記憶装置１２０内を検索し、記憶装置１２０からコンテンツを抽出する、或いは、コンテンツを記憶装置１２０に記憶する。
【００２２】
アドレス変換機能１３１は、ＮＡＴ(Network Address Translator)を拡張した機能を有し、共通ネットワーク５０側で使用するＩＰアドレスと、キャッシュ機能１１０が使用するグループに対応したＩＰアドレスとを相互に変換する。ＩＰアドレスの変換は、グループと、キャッシュ機能１１０が使用するＩＰアドレスの上位ｎビットとの対応に基づいて行われる。
【００２３】
アドレス変換テーブル１３２は、アドレス変換機能１３１における変換の前後のＩＰアドレスの対応等を記憶する。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、各グループに対応したＤＮＳサーバ(Domain Name Server)を選択する。記憶容量管理機能１３４は、記憶装置１２０における各グループに割り当てられた全容量と、各グループの使用中の容量とをテーブルとして管理する。タグ挿抜機能１３５は、ＵＲＬへグループに対応したタグを挿入する、或いは、ＵＲＬからタグを削除する。
【００２４】
図３は、図２の共有キャッシュサーバの動作例をフローチャートとして示している。図４は、アドレス変換機能１３１が変換するＩＰアドレスの割り当てを示している。以下、Ｇｒｐ＃１のクライアントが、コンテンツの配信を要求した例に基づいて、共有キャッシュサーバ１００の動作を説明する。
【００２５】
Ｇｒｐ＃１のクライアント（送信元ＩＰアドレス：ＳＡ 20.1.1.1）は、ＵＲＬ（http://www.aaa.com/index.hitml）を指定して、共有キャッシュサーバ１００（送信先ＩＰアドレス：ＤＡ 20.254.1.1）へコンテンツの配信を要求する（ステップＳ１）。クライアントからの要求パケットは、ＮＩＣ（１４０）におけるＧｒｐ＃１に対応したＶＩＦ（１５０）を介して、アドレス変換機能１３１で受信される。
【００２６】
アドレス変換機能１３１は、要求パケットに含まれる送信元ＩＰアドレス及び送信先ＩＰアドレス等を、キャッシュ機能１１０で使用するＩＰアドレスに変換する（ステップＳ２）。アドレス変換機能１３１におけるＩＰアドレスの変換は、グループと、変換後のＩＰアドレスの上位ｎビット、及び、現在使用中のシーケンス番号を管理する使用中ＳｅｑＮｏ．とを関連付ける以下に示すテーブルに基づいて行なわれる。
【表１】
つまり、アドレス変換機能１３１は、図４に示すように、ＩＰアドレス(ＩＰｖ４では３２ビット、ＩＰｖ６では１２８ビット)の上位ｎビットをグループＩＤで示される値に変換し、残りの下位の（ｘ−ｎ）ビットを、表１の使用中ＳｅｑＮｏ．で示される値と重複がない未使用のシーケンス番号に変換する。
【００２７】
アドレス変換機能１３１が変換する前後のＩＰアドレスは、以下に示す情報を有するテーブルとして、共通ネットワーク側で使用されるＩＰアドレス（変換前）と、キャッシュ機能が使用するＩＰアドレス（変換後）とを対応付けて、アドレス変換テーブル１３２に記憶される（ステップＳ３）。
【表２】
ここで、ＳＰ及びＤＰは、それぞれポート番号を示している。また、表２の例では、共有キャッシュサーバ１００のＩＰアドレスであるＤＡ（20.254.1.1）は、共有キャッシュサーバ１００が有するローカルインタフェースのアドレス（127.0.0.1）に変換される。
【００２８】
キャッシュ機能１１０は、アドレス変換機能１３１によってＩＰアドレス等が変換された要求パケットを受信する（ステップＳ４）。キャッシュ機能１１０は、タグ挿抜機能１３５に、要求パケットに含まれるＵＲＬ(www.aaa.com/index.html)及び変換されたＳＡ（10.1.0.1）を送信し、タグ挿抜機能１３５は、以下のテーブルに従って、ＵＲＬにグループタグを挿入する（ステップＳ５）。
【表３】
図３の例では、タグ挿抜機能１３５は、変換されたＳＡ（10.1.0.1）の上位１６ビット（10.1）を参照し、対応するグループタグ（ｇｒｐ−１）を挿入したＵＲＬ(www.aaa.com.grp-1/index.html）を生成する。
【００２９】
キャッシュ機能１１０は、グループタグが挿入されたＵＲＬを基に、記憶装置１２０内を検索し（ステップＳ６）、クライアントから要求されたコンテンツが、グループタグに対応するグループのコンテンツとして記憶装置１２０に記憶されているか否かを判定する（ステップＳ７）。コンテンツが記憶されていると判定された場合（以下、キャッシュがヒットした場合）には、ステップＳ２２へ進み、記憶装置１２０から抽出されたコンテンツをクライアントへ送信する。ステップＳ７でコンテンツが記憶されていないと判定された場合（以下、キャッシュがミスヒットした場合）には、コンテンツが記憶されているオリジンサーバからコンテンツを取得する処理へと移行する。
【００３０】
キャッシュがミスヒットした場合には、ＤＮＳプロキシ機能１３３は、名前解決要求として、キャッシュ機能１３１からグループタグが挿入されたＵＲＬを受信する（ステップＳ８）。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、以下に示すテーブルを有し、絶対ドメイン名（ＦＱＤＮ：Fully Qualified Domain Name)(www.aaa.com.grp-1.)に含まれるグループタグを基に、ＵＲＬ（オリジンサーバ名）と、オリジンサーバのＩＰアドレスとを関連付けて記憶するＤＮＳサーバを選択する（ステップＳ９）。
【表４】
【００３１】
ＤＮＳサーバが選択されると、選択されたＤＮＳサーバへ、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ１（１５０）を介して、ＦＱＤＮ(www.aaa.com.)の名前解決要求を送信する（ステップＳ１０)。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、ＤＮＳサーバから送信される、オリジンサーバのＩＰアドレス（20.100.1.1）を取得する（ステップＳ１１）。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、表１に示すテーブルを参照してグループＩＤと、未使用のシーケンス番号とを取得し、オリジンサーバのＩＰアドレスを、キャッシュ機能１１０が使用するグループに対応したＩＰアドレスに変換するための、表２に示すようなテーブルをアドレス変換テーブル１３２に追加する。（ステップＳ１２）。変換後のオリジンサーバのＩＰアドレスは、名前解決応答としてキャッシュ機能１１０に送信される（ステップＳ１３）。
【００３２】
キャッシュ機能１１０は、タグ挿抜機能１３５へ、タグが挿入されたＵＲＬを送信して、タグが削除されたＵＲＬを受信し、（ステップＳ１４）、オリジンサーバからコンテンツを取得するために、変換されたオリジンサーバのＩＰアドレス（ＤＡ 10.1.0.2）や、タグが削除されたＵＲＬ（www.aaa.com/index.html）を指定して、HTTP Requestを送信する（ステップＳ１５）。アドレス変換機能１３１は、アドレス変換テーブル１３２を参照して（ステップＳ１６）、オリジンサーバへ向けて送信されるパケットのＩＰアドレス等を変換する（ステップＳ１７）。ＩＰアドレス等が変換されたパケットは、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ１（１５０）を介してオリジンサーバへ送信される（ステップＳ１８）。
【００３３】
オリジンサーバは、ＵＲＬで示されたコンテンツを含む応答を、HTTP Response Dataとして共有キャッシュサーバ１００へと送信する（ステップＳ１９）。オリジンサーバから送信されたパケットは、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ１（１５０）を介してアドレス変換機能１３１へ送信される。アドレス変換機能１３１は、受信したパケットに含まれるＩＰアドレス等を、アドレス変換テーブル１３２を参照して（ステップＳ２０）、ステップＳ１７とは逆の方向で変換する（ステップＳ２１）。アドレス変換機能１３１によってＩＰアドレス等が変換されたパケットは、キャッシュ機能１１０へ送信される（ステップＳ２２）。
【００３４】
キャッシュ機能１１０は、オリジンサーバから受信するコンテンツを、記憶装置１２０に記憶可能か否かを、記憶容量管理機能１３４へ問い合わせる（ステップＳ２３）。記憶容量管理機能１３４は、オリジンサーバから受信するコンテンツの容量と、記憶装置１２０における対応するグループに残された記憶容量とを比較する。キャッシュ機能１１０は、記憶装置１２０に空きがあるか否かを受信し、コンテンツを記憶するか否かを決定する（ステップＳ２４）。記憶容量に空きがある場合には、受信したコンテンツを記憶装置１２０に記憶する（ステップＳ２５）。記憶容量に空きがない場合には、コンテンツを記憶することなく、クライアントへのコンテンツの配信処理へと進む。
【００３５】
コンテンツの配信処理では、ステップＳ６で記憶装置１２０から抽出されたコンテンツ、又は、ステップＳ２２でキャッシュ機能１１０が受信したコンテンツは、クライアントのＩＰアドレス（ＤＡ 10.1.0.1）を指定して、キャッシュ機能１１０から送信される（ステップＳ２６）。アドレス変換機能１３１は、アドレス変換テーブル１３２を参照し（ステップＳ２７）、クライアントのＩＰアドレス等を、共通ネットワークで使用されるＩＰアドレス等に変換する（ステップＳ２８）。クライアントが配信を要求したコンテンツは、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ（１５０）を介して、クライアントに送信される（ステップＳ２９）。
【００３６】
本実施形態例では、クライアントから送信されたコンテンツ要求のパケットが、ＶＩＦ１（１５０）を介して受信されたか、或いは、ＶＩＦ２（１６０）を介して受信されたかによって、そのクライアントの属するグループを判断する。キャッシュ機能１１０は、グループを識別するためのタグが挿入されたＵＲＬを用いてコンテンツを管理し、クライアントが属するグループに対応して仮想的に分割された記憶装置１２０からコンテンツを抽出する、或いは、記憶装置１２０にコンテンツを追加する。
【００３７】
記憶装置１２０は、ＵＲＬで指定されるコンテンツと、タグが挿入されたＵＲＬと関連付けて記憶することで、グループに対応して仮想的に分割される。このため、例えば、同じＵＲＬを指定してＧｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２のクライアントからコンテンツの配信要求があった場合でも、キャッシュ機能１１０は、タグが挿入された異なるＵＲＬのコンテンツとして管理し、異なるグループ用に記憶されたコンテンツを記憶装置１２０から抽出しない。従って、共通ネットワーク上に、仮想的に分離された複数のネットワークが構築されている場合であっても、グループ毎にキャッシュサーバを配設することなく、仮想的に複数のキャッシュサーバが配設された共有キャッシュサーバによって、複数のグループに対応したコンテンツを蓄積することができる。また、共有キャッシュサーバ１００は、ＵＲＬにタグを挿入することでキャッシュを管理するため、既存のキャッシュサーバに加える変更が少なく、配設にかかるコストが抑制される。
【００３８】
なお、上記実施形態例では、共有キャッシュサーバ１００が使用されるネットワークとして、共通ネットワーク５０がグループ毎に仮想的に分離されている例について説明したが、これに代えて、又は、加えて、共通ネットワーク５０は、各グループが使用するＩＰアドレスを、互いに識別可能な範囲で使用することによってグループを識別するネットワークであってもよい。この場合、例えば、Ｇｒｐ＃１は、上位１６ビットが１３３．１０で始まるＩＰアドレスを使用し、Ｇｒｐ＃２は、上位１６ビットが１３３．２０で始まるＩＰアドレスを使用する。
【００３９】
上記の場合、共有キャッシュサーバ１００は、コンテンツの配信を要求したクライアントが何れのグループに属するかを、クライアントのＩＰアドレスの上位１６ビットによって識別する。タグ挿抜機能１３５は、アドレス変換機能１３１によって変換されたＩＰアドレスに基づいてグループタグを挿入するのに代えて、クライアントから受信したＩＰアドレスの上位ｎビットに基づいて、対応するグループタグを挿入する。これにより、何れのグループに属するクライアントからの要求であるかを適切に判別でき、コンテンツの検索やコンテンツを記憶すべき、仮想的に分割された記憶装置１２０を選択することができる。
【００４０】
また、上記実施形態例では、キャッシュサーバがグループ毎に仮想的に配設され、あるグループのクライアントが要求したコンテンツが、そのグループ用として記憶されていない場合には、記憶装置１２０から抽出されない例を説明したが、共有キャッシュサーバ１００は、更に、各グループに共通して使用されるキャッシュサーバを仮想的に備えることができる。この場合、記憶装置１２０は、グループ毎の記憶装置１２０と、各グループに共通して使用される記憶装置１２０とに、仮想的に分割される。
【００４１】
各グループは、あらかじめ、コンテンツの共有についての条件や契約などを定め、共有するコンテンツのＵＲＬを共有キャッシュサーバ１００に設定する。タグ挿抜機能１３５は、タグを挿入すべきＵＲＬがコンテンツを共有すると設定されているＵＲＬである場合には、グループタグに代えて、共有用のタグを挿入する。共有用のタグが挿入されたＵＲＬのコンテンツは、各グループに共通して使用される記憶装置１２０に記憶される。このようにすることで、コンテンツをグループ間で共有することもできる。
【００４２】
グループ間でコンテンツを共有する場合には、コンテンツを共有するグループを制限することもできる。例えば、コンテンツＡについてはＧｒｐ＃１とＧｒｐ＃２とで共有し、コンテンツＢについては、Ｇｒｐ＃１とＧｒｐ＃３とで共有したい場合には、共有するコンテンツのＵＲＬと、そのコンテンツを共有するグループの情報とを共有キャッシュサーバ１００に設定する。タグ挿抜機能１３５は、タグを挿入すべきＵＲＬが、コンテンツを共有すると設定されているＵＲＬであり、かつ、コンテンツを要求したクライアントがそのコンテンツを共有すると設定されているグループに属する場合には、グループタグに代えて、共有用のタグを挿入する。このようにすることで、コンテンツを共有するグループを制限することもできる。
【００４３】
共有キャッシュサーバ１００は、機能を分割し、グループ対応機能１３０とキャッシュ機能１１０とを、別の装置として構成することもできる。記憶装置１２０は、グループ毎に固定的に記憶容量を割り当ててもよく、動的に記憶容量を割り当ててもよい。動的に記憶容量を割り当てた場合には、記憶装置１２０の記憶容量を有効的に使用することができる。例えば、記憶装置１２０の全記憶容量が１０Ｇ（ギガバイト）であった場合、Ｇｒｐ＃１、及び、Ｇｒｐ＃２には、最小の確保容量をとして５Ｇを設定し、Ｇｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２は、５Ｇまでは優先的にコンテンツを記憶する。この場合、Ｇｒｐ＃２が使用する容量が５Ｇに満たないときは、Ｇｒｐ＃１は、５Ｇを超えてコンテンツを記憶することができる。Ｇｒｐ＃２が新たなコンテンツを記憶する際には、５Ｇを超える分のＧｒｐ＃１のコンテンツを削除し、Ｇｒｐ＃２が使用する容量を確保する。
【００４４】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の共有キャッシュサーバは、上記実施形態例にのみ限定されるものでなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した共有キャッシュサーバも、本発明の範囲に含まれる。例えば、共有キャッシュサーバがキャッシュの対象とするプロトコルはＨＴＴＰに限られず、ストリームのプロトコルであってもよい。
【００４５】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の共有キャッシュサーバは、複数のグループが仮想的に分離された共通ネットワークにおいて、クライアントから送信されたコンテンツ要求のパケットが受信された仮想インタフェースによって、グループを判断する。このため、一つのキャッシュサーバを共有して使用することができ、グループ毎にキャッシュサーバを配設する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバが使用されるネットワークの構成を示すブロック図。
【図２】本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバの構成を示すブロック図。
【図３】図２の共有キャッシュサーバの動作例を示すフローチャート。
【図４】変換後のＩＰアドレスの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
５０：共通ネットワーク
１００：共有キャッシュサーバ
１１０：キャッシュ機能
１２０：記憶装置
１３０：グループ対応機能
１３１：アドレス変換機能
１３２：アドレス変換テーブル
１３３：ＤＮＳプロキシ機能
１３４：記憶容量管理機能
１３５：タグ挿抜機能
１４０：ネットワークインタフェースカード（ＮＩＣ）
１５０：仮想インタフェース（ＶＩＦ）１
１６０：仮想インタフェース（ＶＩＦ）２
【発明の属する技術分野】
本発明は共有キャッシュサーバに関し、特に、複数の仮想ネットワーク間でキャッシュサーバを共有する共有キャッシュサーバに関する。
【０００２】
【従来の技術】
キャッシュサーバは、コンテンツを蓄積するサーバであり、コンテンツの配信を要求したクライアントにコンテンツを送信する。キャッシュサーバには、クライアントから要求されたコンテンツを一時的に蓄積するキャッシュサーバと、コンテンツ管理者が指定したコンテンツを指定した期間だけ蓄積するミラーキャッシュサーバの２つの種類があるが、以下、特に区別せず両者をキャッシュサーバと呼ぶ。
【０００３】
ところで、近年、アクセスネットワークのブロードバンド化に伴い、コンテンツを効率的に配信することを目的としたネットワーク(ＣＤＮ：Content Delivery Network)が注目されている。ＣＤＮでは、同じコンテンツを記憶するキャッシュサーバを、ネットワーク上の複数の位置に配置する。クライアントがコンテンツへアクセスする際には、複数のキャッシュサーバの中からクライアントに対してネットワーク的に最も近い位置に配置されたキャッシュサーバが選択され、コンテンツは、選択されたキャッシュサーバから配信される。このため、クライアントへの応答が高速に行なわれる。
【０００４】
一方、共通に使用されるネットワーク上にＭＰＬＳ（Multi Protocol Label Switch）やＩＥＥＥ８０２．１Ｑ（ＶＬＡＮｔａｇ形式）などを使用し、複数の仮想的なネットワーク（ＶＰＮ：Virtual Private Network）を構築する技術が注目されている。この技術では、各グループは、分散されたネットワークの構成部分を、共通ネットワークを介して接続するため、広域なネットワークを低コストで実現できる。共通ネットワーク上では、各グループのトラフィックなどは仮想的に分離されており、各グループは、グループ毎に閉じたネットワークを構築できるため、あたかも専用線でネットワークを構築しているかのようにネットワークを使用することができる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような共通ネットワーク上にＶＰＮを構成するネットワークにおいて、各グループがＣＤＮを構築する場合には、各グループは、自身の設備として、共通ネットワーク外の各グループのネットワークの構成部分に、キャッシュサーバを配設する必要がある。このため、各グループは、キャッシュサーバの配設にかかるコストが増加する、或いは、キャッシュサーバの設置スペースが必要になるといった問題があった。
【０００６】
各グループがキャッシュサーバを持つのに代えて、共通ネットワークの提供者が、共通ネットワーク上にキャッシュサーバを配設することができる。しかし、この場合においても、共通ネットワーク上では、各グループのネットワークは仮想的に分離されているため、共通ネットワークの提供者は、キャッシュサーバをグループ毎に配設する必要がある。従来、共通ネットワーク上に仮想的に分離された複数のネットワークを構成した場合に、同じキャッシュサーバで、複数のグループに対応したコンテンツを蓄積できるキャッシュサーバは知られていなかった。
【０００７】
本発明は、仮想的に分離された複数のネットワークが構築されている共通ネットワーク上に配設され、複数のグループ間で共有することができる共有キャッシュサーバを提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の共有キャッシュサーバは、仮想的に分離された複数の仮想ネットワークが複数のグループに対応して構築された共通ネットワーク上に配設される共有キャッシュサーバであって、前記複数のグループに対応する複数の記憶領域の夫々でコンテンツを記憶する記憶装置と、前記複数の仮想ネットワークに対応して配設される複数の仮想インタフェースと、前記仮想インタフェースの１つを介し、ＵＲＬを指定してコンテンツを要求するパケットを受信すると、該パケット中のＩＰアドレスの一部を、前記パケットを受信した仮想インタフェースに対応する内部アドレスに変換するアドレス変換機能と、前記アドレス変換機能で変換された内部アドレスに基づいて、前記記憶装置の記憶領域からコンテンツを読み出すキャッシュ機能とを備えることを特徴とする。
【０００９】
本発明の共有キャッシュサーバでは、クライアントから送信されたコンテンツの送信を要求するパケット（要求パケット）は、複数のグループが構築するネットワークに対応して配設された仮想インタフェースを介して受信される。要求パケットに含まれる送信元（クライアント）のＩＰアドレスは、要求パケットを受信した仮想インタフェースに対応して、グループ毎に範囲が異なる内部アドレスに変換される。記憶装置は、複数のグループに対応して仮想的に記憶領域が分割されており、それぞれの記憶領域でコンテンツを記憶する。キャッシュ機能は、内部アドレスによってクライアントが属するグループを識別し、対応するグループの記憶領域を検索してコンテンツを抽出する、或いは、コンテンツを記憶する。このため、複数のグループが構築するネットワークが仮想的に分離されている場合であっても、グループ毎にキャッシュサーバを用意することなく、同じキャッシュサーバを共有して使用することができる。
【００１０】
本発明の共有キャッシュサーバは、使用するＩＰアドレスの範囲が相互に異なる複数のグループに接続される共通ネットワーク上に配設される共有キャッシュサーバであって、前記複数のグループに対応する複数の記憶領域の夫々でコンテンツを記憶する記憶装置と、ＵＲＬを指定してコンテンツを要求するパケットを受信すると、該パケット中のＩＰアドレスの一部を、前記グループに対応するタグに変換し、該タグを前記ＵＲＬ中に挿入し、該タグを挿入したＵＲＬに基づいて前記記憶装置の記憶領域からコンテンツを読み出すキャッシュ機能とを備えることを特徴とする。
【００１１】
本発明の共有キャッシュサーバでは、クライアントから送信されたコンテンツの送信を要求するパケット（要求パケット）を受信すると、ＩＰアドレスの範囲によって、クライアントが属するグループを識別する。タグ挿入機能は、クライアントが属するグループに対応するタグを、コンテンツを指定するＵＲＬ中に挿入する。キャッシュ機能は、タグが挿入されたＵＲＬを用いて、記憶装置に記憶された、或いは、記憶するコンテンツを管理する。記憶装置では、同じＵＲＬのコンテンツであっても、グループが異なれば、異なるＵＲＬのコンテンツとして管理されるため、記憶装置は、複数のグループに対応して記憶領域が分割されたのと同等となる。キャッシュ機能は、グループに対応する記憶装置の記憶領域から抽出したコンテンツをクライアントに送信するため、グループ毎にキャッシュサーバを用意することなく、同じキャッシュサーバを共有して使用することができる。
【００１２】
本発明の共有キャッシュサーバは、前記内部アドレスを前記グループに対応するタグに変換し、該タグを前記ＵＲＬ中に挿入するタグ挿入機能を更に有し、前記キャッシュ機能は、前記タグが挿入されたＵＲＬに基づいてコンテンツを指定することが好ましい。この場合、キャッシュ機能は、記憶装置に記憶された、或いは、記憶するコンテンツを、グループに対応したタグが挿入されたＵＲＬを用いて管理する。このため、同じＵＲＬのコンテンツであっても、グループが異なれば、異なるＵＲＬのコンテンツとして管理され、コンテンツをグループ毎に分離することができる。
【００１３】
また、本発明の共有キャッシュサーバでは、前記タグ挿入機能は、特定のＵＲＬを指定するパケットについては、前記内部アドレスを、前記グループに共通に使用される特定のタグに変換することが好ましい。この場合、タグ挿入機能は、タグを挿入すべきＵＲＬが、グループ間で共有すると定められたコンテンツのＵＲＬである場合には、クライアントが属するグループに対応するタグを挿入するのに代えて、グループ間に共通に使用されるタグを挿入する。これにより、特定のコンテンツについて、グループ間で共有することができる。
【００１４】
本発明の共有キャッシュサーバは、前記各グループ毎の記憶領域の記憶容量を管理する記憶容量管理機能を更に有することが好ましい。この場合、記憶容量管理機能は、各グループが記憶装置に記憶できるコンテンツの最大容量などを管理し、各グループが使用する記憶装置の記憶容量を制限することができる。
【００１５】
本発明の共有キャッシュサーバでは、前記記憶容量管理機能は、前記グループ毎の記憶領域を動的に管理することが好ましい。この場合、記憶装置を効率的に運用することができる。
【００１６】
本発明の共有キャッシュサーバは、前記パケットが指定するコンテンツが前記記憶装置内に記憶されていないと、コンテンツを記憶するサーバを指定するＤＮＳプロキシ機能を更に有することが好ましい。この場合、グループに対応したＤＮＳサーバを選択することで、コンテンツを配信するサーバへ適切にアクセスすることができる。
【００１７】
本発明の共有キャッシュサーバでは、前記仮想的に分離された複数の仮想ネットワークは、ＩＥＥＥ８０２．１Ｑに準拠して構成されてもよく、或いは、ＭＰＬＳに準拠して構成されてもよい。これらの技術を用いて、共通に使用されるネットワーク上に、仮想的に分離された複数のネットワークを構成することができる。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。図１は、本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバが使用される共通ネットワークの接続をブロック図として示している。共通ネットワーク５０は、共有キャッシュサーバ１００を有し、グループＧｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２に対して、仮想的なネットワーク（ＶＰＮ：Virtual Private Network）を提供する。
【００１９】
共通ネットワーク５０は、ＭＰＬＳ（Multi Protocol Label Switch）やＩＥＥＥ８０２．１Ｑ（ＶＬＡＮｔａｇ型式)によって構成され、Ｇｒｐ＃１が構成するネットワークと、Ｇｒｐ＃２が構成するネットワークとが仮想的に分離されている。共有キャッシュサーバ１００は、Ｇｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２のそれぞれに対応するコンテンツを蓄積（キャッシュ）する。
【００２０】
図２は、本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバの構成をブロック図として示している。共有キャッシュサーバ１００は、キャッシュ機能１１０と、記憶装置１２０と、グループ対応機能１３０と、ネットワークインタフェースカード(Network Interface Card ：ＮＩＣ)１４０とを有する。グループ対応機能１３０は、アドレス変換機能１３１、アドレス変換テーブル１３２、ＤＮＳプロキシ（ｐｒｏｘｙ）機能１３３、記憶容量管理機能１３４、及び、タグ挿抜機能１３５を備える。ＮＩＣ（１４０）は、仮想インタフェース（ＶＩＦ）１（１５０）、及び、ＶＩＦ２（１６０）を備える。
【００２１】
ＮＩＣ（１４０）は、共通ネットワーク５０に接続する。キャッシュサーバ１００は、ＶＩＦ（１５０）を介してＧｒｐ＃１からのパケットを受信し、ＶＩＦ（１６０）を介してＧｒｐ＃２からのパケットを受信する。グループ対応機能１３０は、各グループに対応した処理を行なう。記憶装置１２０は、全記憶容量が各グループに対応して仮想的に分割され、各グループに対応したコンテンツを分割された記憶容量内に記憶する。記憶装置１２０には、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、ＣＤ−Ｒなどの光記録媒体が使用される。キャッシュ機能１１０は、タグの挿入されたＵＲＬに基づいて、記憶装置１２０内を検索し、記憶装置１２０からコンテンツを抽出する、或いは、コンテンツを記憶装置１２０に記憶する。
【００２２】
アドレス変換機能１３１は、ＮＡＴ(Network Address Translator)を拡張した機能を有し、共通ネットワーク５０側で使用するＩＰアドレスと、キャッシュ機能１１０が使用するグループに対応したＩＰアドレスとを相互に変換する。ＩＰアドレスの変換は、グループと、キャッシュ機能１１０が使用するＩＰアドレスの上位ｎビットとの対応に基づいて行われる。
【００２３】
アドレス変換テーブル１３２は、アドレス変換機能１３１における変換の前後のＩＰアドレスの対応等を記憶する。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、各グループに対応したＤＮＳサーバ(Domain Name Server)を選択する。記憶容量管理機能１３４は、記憶装置１２０における各グループに割り当てられた全容量と、各グループの使用中の容量とをテーブルとして管理する。タグ挿抜機能１３５は、ＵＲＬへグループに対応したタグを挿入する、或いは、ＵＲＬからタグを削除する。
【００２４】
図３は、図２の共有キャッシュサーバの動作例をフローチャートとして示している。図４は、アドレス変換機能１３１が変換するＩＰアドレスの割り当てを示している。以下、Ｇｒｐ＃１のクライアントが、コンテンツの配信を要求した例に基づいて、共有キャッシュサーバ１００の動作を説明する。
【００２５】
Ｇｒｐ＃１のクライアント（送信元ＩＰアドレス：ＳＡ 20.1.1.1）は、ＵＲＬ（http://www.aaa.com/index.hitml）を指定して、共有キャッシュサーバ１００（送信先ＩＰアドレス：ＤＡ 20.254.1.1）へコンテンツの配信を要求する（ステップＳ１）。クライアントからの要求パケットは、ＮＩＣ（１４０）におけるＧｒｐ＃１に対応したＶＩＦ（１５０）を介して、アドレス変換機能１３１で受信される。
【００２６】
アドレス変換機能１３１は、要求パケットに含まれる送信元ＩＰアドレス及び送信先ＩＰアドレス等を、キャッシュ機能１１０で使用するＩＰアドレスに変換する（ステップＳ２）。アドレス変換機能１３１におけるＩＰアドレスの変換は、グループと、変換後のＩＰアドレスの上位ｎビット、及び、現在使用中のシーケンス番号を管理する使用中ＳｅｑＮｏ．とを関連付ける以下に示すテーブルに基づいて行なわれる。
【表１】
【００２７】
アドレス変換機能１３１が変換する前後のＩＰアドレスは、以下に示す情報を有するテーブルとして、共通ネットワーク側で使用されるＩＰアドレス（変換前）と、キャッシュ機能が使用するＩＰアドレス（変換後）とを対応付けて、アドレス変換テーブル１３２に記憶される（ステップＳ３）。
【表２】
【００２８】
キャッシュ機能１１０は、アドレス変換機能１３１によってＩＰアドレス等が変換された要求パケットを受信する（ステップＳ４）。キャッシュ機能１１０は、タグ挿抜機能１３５に、要求パケットに含まれるＵＲＬ(www.aaa.com/index.html)及び変換されたＳＡ（10.1.0.1）を送信し、タグ挿抜機能１３５は、以下のテーブルに従って、ＵＲＬにグループタグを挿入する（ステップＳ５）。
【表３】
【００２９】
キャッシュ機能１１０は、グループタグが挿入されたＵＲＬを基に、記憶装置１２０内を検索し（ステップＳ６）、クライアントから要求されたコンテンツが、グループタグに対応するグループのコンテンツとして記憶装置１２０に記憶されているか否かを判定する（ステップＳ７）。コンテンツが記憶されていると判定された場合（以下、キャッシュがヒットした場合）には、ステップＳ２２へ進み、記憶装置１２０から抽出されたコンテンツをクライアントへ送信する。ステップＳ７でコンテンツが記憶されていないと判定された場合（以下、キャッシュがミスヒットした場合）には、コンテンツが記憶されているオリジンサーバからコンテンツを取得する処理へと移行する。
【００３０】
キャッシュがミスヒットした場合には、ＤＮＳプロキシ機能１３３は、名前解決要求として、キャッシュ機能１３１からグループタグが挿入されたＵＲＬを受信する（ステップＳ８）。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、以下に示すテーブルを有し、絶対ドメイン名（ＦＱＤＮ：Fully Qualified Domain Name)(www.aaa.com.grp-1.)に含まれるグループタグを基に、ＵＲＬ（オリジンサーバ名）と、オリジンサーバのＩＰアドレスとを関連付けて記憶するＤＮＳサーバを選択する（ステップＳ９）。
【表４】
ＤＮＳサーバが選択されると、選択されたＤＮＳサーバへ、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ１（１５０）を介して、ＦＱＤＮ(www.aaa.com.)の名前解決要求を送信する（ステップＳ１０)。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、ＤＮＳサーバから送信される、オリジンサーバのＩＰアドレス（20.100.1.1）を取得する（ステップＳ１１）。ＤＮＳプロキシ機能１３３は、表１に示すテーブルを参照してグループＩＤと、未使用のシーケンス番号とを取得し、オリジンサーバのＩＰアドレスを、キャッシュ機能１１０が使用するグループに対応したＩＰアドレスに変換するための、表２に示すようなテーブルをアドレス変換テーブル１３２に追加する。（ステップＳ１２）。変換後のオリジンサーバのＩＰアドレスは、名前解決応答としてキャッシュ機能１１０に送信される（ステップＳ１３）。
【００３２】
キャッシュ機能１１０は、タグ挿抜機能１３５へ、タグが挿入されたＵＲＬを送信して、タグが削除されたＵＲＬを受信し、（ステップＳ１４）、オリジンサーバからコンテンツを取得するために、変換されたオリジンサーバのＩＰアドレス（ＤＡ 10.1.0.2）や、タグが削除されたＵＲＬ（www.aaa.com/index.html）を指定して、HTTP Requestを送信する（ステップＳ１５）。アドレス変換機能１３１は、アドレス変換テーブル１３２を参照して（ステップＳ１６）、オリジンサーバへ向けて送信されるパケットのＩＰアドレス等を変換する（ステップＳ１７）。ＩＰアドレス等が変換されたパケットは、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ１（１５０）を介してオリジンサーバへ送信される（ステップＳ１８）。
【００３３】
オリジンサーバは、ＵＲＬで示されたコンテンツを含む応答を、HTTP Response Dataとして共有キャッシュサーバ１００へと送信する（ステップＳ１９）。オリジンサーバから送信されたパケットは、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ１（１５０）を介してアドレス変換機能１３１へ送信される。アドレス変換機能１３１は、受信したパケットに含まれるＩＰアドレス等を、アドレス変換テーブル１３２を参照して（ステップＳ２０）、ステップＳ１７とは逆の方向で変換する（ステップＳ２１）。アドレス変換機能１３１によってＩＰアドレス等が変換されたパケットは、キャッシュ機能１１０へ送信される（ステップＳ２２）。
【００３４】
キャッシュ機能１１０は、オリジンサーバから受信するコンテンツを、記憶装置１２０に記憶可能か否かを、記憶容量管理機能１３４へ問い合わせる（ステップＳ２３）。記憶容量管理機能１３４は、オリジンサーバから受信するコンテンツの容量と、記憶装置１２０における対応するグループに残された記憶容量とを比較する。キャッシュ機能１１０は、記憶装置１２０に空きがあるか否かを受信し、コンテンツを記憶するか否かを決定する（ステップＳ２４）。記憶容量に空きがある場合には、受信したコンテンツを記憶装置１２０に記憶する（ステップＳ２５）。記憶容量に空きがない場合には、コンテンツを記憶することなく、クライアントへのコンテンツの配信処理へと進む。
【００３５】
コンテンツの配信処理では、ステップＳ６で記憶装置１２０から抽出されたコンテンツ、又は、ステップＳ２２でキャッシュ機能１１０が受信したコンテンツは、クライアントのＩＰアドレス（ＤＡ 10.1.0.1）を指定して、キャッシュ機能１１０から送信される（ステップＳ２６）。アドレス変換機能１３１は、アドレス変換テーブル１３２を参照し（ステップＳ２７）、クライアントのＩＰアドレス等を、共通ネットワークで使用されるＩＰアドレス等に変換する（ステップＳ２８）。クライアントが配信を要求したコンテンツは、Ｇｒｐ＃１に対応するＶＩＦ（１５０）を介して、クライアントに送信される（ステップＳ２９）。
【００３６】
本実施形態例では、クライアントから送信されたコンテンツ要求のパケットが、ＶＩＦ１（１５０）を介して受信されたか、或いは、ＶＩＦ２（１６０）を介して受信されたかによって、そのクライアントの属するグループを判断する。キャッシュ機能１１０は、グループを識別するためのタグが挿入されたＵＲＬを用いてコンテンツを管理し、クライアントが属するグループに対応して仮想的に分割された記憶装置１２０からコンテンツを抽出する、或いは、記憶装置１２０にコンテンツを追加する。
【００３７】
記憶装置１２０は、ＵＲＬで指定されるコンテンツと、タグが挿入されたＵＲＬと関連付けて記憶することで、グループに対応して仮想的に分割される。このため、例えば、同じＵＲＬを指定してＧｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２のクライアントからコンテンツの配信要求があった場合でも、キャッシュ機能１１０は、タグが挿入された異なるＵＲＬのコンテンツとして管理し、異なるグループ用に記憶されたコンテンツを記憶装置１２０から抽出しない。従って、共通ネットワーク上に、仮想的に分離された複数のネットワークが構築されている場合であっても、グループ毎にキャッシュサーバを配設することなく、仮想的に複数のキャッシュサーバが配設された共有キャッシュサーバによって、複数のグループに対応したコンテンツを蓄積することができる。また、共有キャッシュサーバ１００は、ＵＲＬにタグを挿入することでキャッシュを管理するため、既存のキャッシュサーバに加える変更が少なく、配設にかかるコストが抑制される。
【００３８】
なお、上記実施形態例では、共有キャッシュサーバ１００が使用されるネットワークとして、共通ネットワーク５０がグループ毎に仮想的に分離されている例について説明したが、これに代えて、又は、加えて、共通ネットワーク５０は、各グループが使用するＩＰアドレスを、互いに識別可能な範囲で使用することによってグループを識別するネットワークであってもよい。この場合、例えば、Ｇｒｐ＃１は、上位１６ビットが１３３．１０で始まるＩＰアドレスを使用し、Ｇｒｐ＃２は、上位１６ビットが１３３．２０で始まるＩＰアドレスを使用する。
【００３９】
上記の場合、共有キャッシュサーバ１００は、コンテンツの配信を要求したクライアントが何れのグループに属するかを、クライアントのＩＰアドレスの上位１６ビットによって識別する。タグ挿抜機能１３５は、アドレス変換機能１３１によって変換されたＩＰアドレスに基づいてグループタグを挿入するのに代えて、クライアントから受信したＩＰアドレスの上位ｎビットに基づいて、対応するグループタグを挿入する。これにより、何れのグループに属するクライアントからの要求であるかを適切に判別でき、コンテンツの検索やコンテンツを記憶すべき、仮想的に分割された記憶装置１２０を選択することができる。
【００４０】
また、上記実施形態例では、キャッシュサーバがグループ毎に仮想的に配設され、あるグループのクライアントが要求したコンテンツが、そのグループ用として記憶されていない場合には、記憶装置１２０から抽出されない例を説明したが、共有キャッシュサーバ１００は、更に、各グループに共通して使用されるキャッシュサーバを仮想的に備えることができる。この場合、記憶装置１２０は、グループ毎の記憶装置１２０と、各グループに共通して使用される記憶装置１２０とに、仮想的に分割される。
【００４１】
各グループは、あらかじめ、コンテンツの共有についての条件や契約などを定め、共有するコンテンツのＵＲＬを共有キャッシュサーバ１００に設定する。タグ挿抜機能１３５は、タグを挿入すべきＵＲＬがコンテンツを共有すると設定されているＵＲＬである場合には、グループタグに代えて、共有用のタグを挿入する。共有用のタグが挿入されたＵＲＬのコンテンツは、各グループに共通して使用される記憶装置１２０に記憶される。このようにすることで、コンテンツをグループ間で共有することもできる。
【００４２】
グループ間でコンテンツを共有する場合には、コンテンツを共有するグループを制限することもできる。例えば、コンテンツＡについてはＧｒｐ＃１とＧｒｐ＃２とで共有し、コンテンツＢについては、Ｇｒｐ＃１とＧｒｐ＃３とで共有したい場合には、共有するコンテンツのＵＲＬと、そのコンテンツを共有するグループの情報とを共有キャッシュサーバ１００に設定する。タグ挿抜機能１３５は、タグを挿入すべきＵＲＬが、コンテンツを共有すると設定されているＵＲＬであり、かつ、コンテンツを要求したクライアントがそのコンテンツを共有すると設定されているグループに属する場合には、グループタグに代えて、共有用のタグを挿入する。このようにすることで、コンテンツを共有するグループを制限することもできる。
【００４３】
共有キャッシュサーバ１００は、機能を分割し、グループ対応機能１３０とキャッシュ機能１１０とを、別の装置として構成することもできる。記憶装置１２０は、グループ毎に固定的に記憶容量を割り当ててもよく、動的に記憶容量を割り当ててもよい。動的に記憶容量を割り当てた場合には、記憶装置１２０の記憶容量を有効的に使用することができる。例えば、記憶装置１２０の全記憶容量が１０Ｇ（ギガバイト）であった場合、Ｇｒｐ＃１、及び、Ｇｒｐ＃２には、最小の確保容量をとして５Ｇを設定し、Ｇｒｐ＃１及びＧｒｐ＃２は、５Ｇまでは優先的にコンテンツを記憶する。この場合、Ｇｒｐ＃２が使用する容量が５Ｇに満たないときは、Ｇｒｐ＃１は、５Ｇを超えてコンテンツを記憶することができる。Ｇｒｐ＃２が新たなコンテンツを記憶する際には、５Ｇを超える分のＧｒｐ＃１のコンテンツを削除し、Ｇｒｐ＃２が使用する容量を確保する。
【００４４】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の共有キャッシュサーバは、上記実施形態例にのみ限定されるものでなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した共有キャッシュサーバも、本発明の範囲に含まれる。例えば、共有キャッシュサーバがキャッシュの対象とするプロトコルはＨＴＴＰに限られず、ストリームのプロトコルであってもよい。
【００４５】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の共有キャッシュサーバは、複数のグループが仮想的に分離された共通ネットワークにおいて、クライアントから送信されたコンテンツ要求のパケットが受信された仮想インタフェースによって、グループを判断する。このため、一つのキャッシュサーバを共有して使用することができ、グループ毎にキャッシュサーバを配設する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバが使用されるネットワークの構成を示すブロック図。
【図２】本発明の一実施形態例の共有キャッシュサーバの構成を示すブロック図。
【図３】図２の共有キャッシュサーバの動作例を示すフローチャート。
【図４】変換後のＩＰアドレスの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
５０：共通ネットワーク
１００：共有キャッシュサーバ
１１０：キャッシュ機能
１２０：記憶装置
１３０：グループ対応機能
１３１：アドレス変換機能
１３２：アドレス変換テーブル
１３３：ＤＮＳプロキシ機能
１３４：記憶容量管理機能
１３５：タグ挿抜機能
１４０：ネットワークインタフェースカード（ＮＩＣ）
１５０：仮想インタフェース（ＶＩＦ）１
１６０：仮想インタフェース（ＶＩＦ）２
Claims (8)
- 仮想的に分離された複数の仮想ネットワークが複数のグループに対応して構築された共通ネットワーク上に配設される共有キャッシュサーバであって、
ＵＲＬで指定されるコンテンツと、グループに対応したタグが挿入されたＵＲＬとを関連付けて記憶し、グループに対応して仮想的に分割された記憶装置と、
前記複数の仮想ネットワークに対応して配設される複数の仮想インタフェースと、
前記仮想インタフェースの１つを介し、ＵＲＬを指定してコンテンツを要求するパケットを受信すると、該パケット中のＩＰアドレスの一部を、前記パケットを受信した仮想インタフェースに対応する内部アドレスに変換するアドレス変換機能と、
前記内部アドレスの送信元ＩＰアドレスを前記グループに対応したタグに変換し、該タグを前記ＵＲＬ中に挿入するタグ挿入機能と、
前記タグが挿入されたＵＲＬに基づいてコンテンツを指定し、前記記憶装置の記憶領域からコンテンツを読み出すキャッシュ機能とを備えることを特徴とする共有キャッシュサーバ。 - 前記タグ挿入機能は、特定のＵＲＬを指定するパケットについては、前記内部アドレスを、前記グループに共通に使用される特定のタグに変換する、請求項１に記載の共有キャッシュサーバ。
- 前記各グループ毎の記憶領域の記憶容量を管理する記憶容量管理機能を更に有する、請求項１又は２に記載の共有キャッシュサーバ。
- 前記記憶容量管理機能は、前記グループ毎の記憶領域を動的に管理する、請求項３に記載の共有キャッシュサーバ。
- 前記パケットが指定するコンテンツが前記記憶装置内に記憶されていないと、コンテンツが記憶するサーバを指定するＤＮＳプロキシ機能を更に有する、請求項１〜４の何れかに記載の共有キャッシュサーバ。
- 前記仮想的に分離された複数の仮想ネットワークは、ＩＥＥＥ８０２．１Ｑに準拠する、請求項１〜５の何れかに記載の共有キャッシュサーバ。
- 前記仮想的に分離された複数の仮想ネットワークは、ＭＰＬＳに準拠する、請求項１〜５の何れかに記載の共有キャッシュサーバ。
- 使用するＩＰアドレスの範囲が相互に異なる複数のグループに接続される共通ネットワーク上に配設される共有キャッシュサーバであって、
ＵＲＬで指定されるコンテンツと、グループに対応したタグが挿入されたＵＲＬとを関連付けて記憶し、グループに対応して仮想的に分割された記憶装置と、
ＵＲＬを指定してコンテンツを要求するパケットを受信すると、該パケット中の送信元ＩＰアドレスの一部を、前記グループに対応するタグに変換し、該タグを前記ＵＲＬ中に挿入し、該タグを挿入したＵＲＬに基づいて前記記憶装置の記憶領域からコンテンツを読み出すキャッシュ機能とを備えることを特徴とする共有キャッシュサーバ。
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