JP4219804B2 - 太陽熱造水装置 - Google Patents

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Description

本発明は、海上や湖沼、河川その他の水面上で太陽熱を利用して凝縮水を製造する装置に関する。
従来から、陸上において、地面に吸水性シートを設置し、太陽熱で真水を製造する装置は知られている。すなわち、吸水性シートに海水を浸透させ、それを太陽熱で蒸発させて、その凝縮水を回収する方法であり、地上に設置する蒸留器としては既に種々発案されている。
一方、図1のように海上に浮遊させて使用する海水蒸留器も提案されている。太陽エネルギー利用ハンドブックによれば、米国海軍が海難救助用の蒸留器を開発した報告がある。海上でボートで曳航して使用するもので、プラスチックカバーフィルム1から成るドーム状容器2を浮遊させ、その室内には、海水を含浸させた黒色の多孔質パッド3を支持具4を用いて水平に広げて張ってあり、カバーフィルム1を透過した太陽熱でパッド3中の海水を蒸発させる。蒸発した水蒸気は対流とともに上昇するが、カバーフィルム1の内面で凝縮して流下し、ドーム下部の漏斗状部5中に貯留される。この凝縮水Wを取り出して、飲料水などに利用する。
日本太陽エネルギー学会太陽エネルギー利用ハンドブック編集委員会編「太陽エネルギー利用ハンドブック」日本太陽エネルギー学会(東京)1985年出版.pp.862−863
しかし、前記のように陸上で吸水性シート中の海水を蒸留する手法は、吸水性シートに海水を連続的に適量供給するための特殊な装置が不可欠であり、その結果、高価な装置となる。
一方、ドーム状の蒸留器は、蒸留処理のたびに、蒸留処理に先立って、前回の蒸留で濃縮された、パッド3中の海水を洗い流したりして、新しい海水に替えるための前処理作業が必要であるが、パッド3がドーム状容器2の内側に有るため、この前処理作業が困難である。さらに、カバーフィルム内面で凝縮した水が滴下しないように、カバーフィルム1を高くして、より急な傾斜を設ける必要があるため、ドーム形状が高くなる。その結果、風や波などを受けて、容易に横転したり、揺動によって、カバーフィルム内面の凝縮水がパッド3上に落下するなどの問題がある。また、太陽熱が透過するカバーフィルム1の内面で凝縮させるので、凝縮滴により太陽光透過率が低下し、効果的に凝縮できない。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、海面その他の水面上で、偏平状の低い装置でも効果的に凝縮水を製造でき、しかも前処理が簡単な装置を実現することにある。
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、水面に浮かべた状態で、周囲の水から凝縮水を製造する装置において、浮上体で形成した枠状体の内側に底シートを一体化した浅底容器を形成すると共に、該浅底容器上にスペーサを介して被せた浸透膜の端部を周囲の水中に浸しておき、該浸透膜の上面に、太陽光照射を受け、水蒸気を通さないカバーフィルムを積層して覆った構造とすることを特徴とする太陽熱造水装置である。シートとは、フィルムや膜などをも含む薄材を総称するものとする。
このように、浮上体で形成した枠状体の内側に底シートを一体化した浅底容器を形成すると共に、浅底容器上にスペーサを介して被せた浸透膜の端部を周囲の水中に浸しておくため、周囲の水中の水を浅底容器の上側全面まで毛管現象で浸透させて誘導することができる。こうして被蒸留水が浸透している該浸透膜の上面は、太陽光照射を受け、水蒸気を通さないカバーフィルムで覆われているため、太陽熱で加熱されて該浸透膜から発生した浅底容器内の水蒸気は、底シートに接して海水等で冷却され、効率的に凝縮する。
しかも、スペーサを介して被蒸留水浸透膜と底シートとが接近しているので、太陽熱で該浸透膜から発生した水蒸気の冷却凝縮が効果的に行われる。また、被蒸留水の浸透膜とその上のカバーフィルムが積層状態になっているので、カバーフィルムと被蒸留水浸透膜の間の伝熱が良くなり、蒸発が効果的に行われるとともに、取り扱いも簡便になる。
請求項2は、前記の浮上体の高さと最大幅の比(アスペクト比)が1/10以下であり、該浮上体、スペーサ、底シートおよびカバーフィルムは、合成樹脂製の柔軟な材料から成り、前記浮上体およびスペーサは、中空になっていて、内部の空気を抜いて折り畳み可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱造水装置である。被蒸留水の浸透膜は、合成繊維ないし動植物の繊維製でもよい。このように、全体の厚さのアスペクト比が1/10以下程度であり極めて低いので、風や波による横転の可能性が大幅に低減する。しかも、全て柔軟な材質で製作されているため、また、浮きの働きをする浮上体やスペーサーは中空のチューブになっているので、内部の空気を抜いて折り畳むことにより、非常にコンパクトにすることができる。その結果、取り扱いや運搬、保管なども便利で、普及が期待できる。
請求項3は、前記の底シートの上に、浅底容器内に発生した水蒸気を凝縮させかつ吸水するための吸水性シートを敷いてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽熱造水装置である。このように、底シートの上に吸水性シートを敷いてあるので、浅底容器内に発生した水蒸気が海水等で冷却状態の底シートで冷却されて凝縮して生じた凝縮水が、効果的に吸水性シートに付着して、吸水性シートと上側の被蒸留水浸透膜との部分的接触があった場合でも、凝縮水と被蒸留水の混合を防止または低減できるとともに、底シートの一部に貯水部を形成した場合には、凝縮水を円滑に貯水部へ誘導できる。
請求項4は、前記の底シートの一部に凝縮水の貯水部を形成して、凝縮水の回収を容易にしたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の太陽熱造水装置である。このように、底シートの一部に凝縮水の貯水部を形成してあるため、凝縮水を集めて溜めておき、随時取り出して使用することができる。
請求項5は、非透水性シートの上面に吸水性シートを有し、下面に被蒸留水の浸透膜を有する天地兼用シートを、スペーサを介して複数段重ね、各段の被蒸留水浸透膜の端部を周囲の水中に浸すと共に、各段の天地兼用シート上の凝縮水を集めて溜める貯水部を設けた複数段構造を、請求項1に記載の浸透膜と底シートとの間にスペーサを介して配設したことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の太陽熱造水装置である。
このように、非透水性シートの上面に吸水性シートを有し、下面に被蒸留水の浸透膜を有する天地兼用シートを、スペーサを介して複数段重ねてある。さらに、各段の被蒸留水浸透膜の端部を周囲の水中に浸してあり、また各段の天地兼用シート上の凝縮水を集めて溜める貯水部を設けてある。したがって、複数段で同時に水蒸気の発生と凝縮が行われるため、凝縮水の量産が可能となる。各段の被蒸留水浸透膜の端部を周囲の水中に浸すと共に、各段の天地兼用シート上の凝縮水を集めて溜める貯水部を設けてあるので、被蒸留水の誘導と凝縮水の回収も円滑に行われる。
そして、このような複数段構造を、請求項1に記載の浸透膜と底シートとの間にスペーサを介して配設してあるため、天地兼用シートの上面で凝縮した際の熱が下面の海水浸透膜の海水に伝わって蒸発が生ずる。これを複数回繰り返し、最後の熱は、最下段の底シートから海中へと放出される。
請求項6は、前記のカバーフィルムの上に、密閉式の空気層空間を形成する外カバーを設けてなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの項に記載の太陽熱造水装置である。
このように、前記のカバーフィルムの上に、密閉式の空気層空間を形成してあるため、カバーフィルムの上部に常時、伝熱性の悪い空気層を形成し上方の周囲空気への熱損失を低減して、カバーフィルムと被蒸留水浸透膜を常に高温で加熱することができる。その結果、水蒸気の発生が常時効果的に行われる。
請求項7は、カバーフィルムの下面に積層された被蒸留水の浸透膜の端部を周囲の水中に浸しておき、前記の浸透膜と水面上の底シートとの間に不透液性の透気膜を介在させて、該不透液性透気膜と該底シートとの間に凝縮水を溜める袋状部を形成した蒸留ユニットを単体で又は複数段重ねて用いる構造としたことを特徴とする太陽熱造水装置である。このように、カバーフィルム下面の被蒸留水浸透膜と水面上の底シートとの間に不透液性の透気膜を介在させてあるので、気化した水蒸気は不透液性透気膜を透過して、底シートとの間に形成された袋状部中で凝縮して溜まる。したがって、図2から図4のような、被蒸留水浸透膜と底シートとが接するのを防止するスペーサ手段が不必要となり、蒸留器が薄型化されると共に構成や取り扱いが簡素化される。不透液性透気膜と底シートから成る袋の内部で水蒸気を凝縮させて貯水できるので、海水の凝縮水への混入や凝縮水の損失が防止できる。このような蒸留ユニットを複数段重ねた構成にすると量産にも適している。
請求項1のように、浮上体で形成した枠状体の内側に底シートを一体化した浅底容器を形成すると共に、浅底容器上にスペーサを介して被せた浸透膜の端部を周囲の水中に浸しておくため、周囲の水中の水を浅底容器の上側全面まで毛管現象で浸透させて誘導することができる。こうして被蒸留水が浸透している該浸透膜の上面は、太陽光照射を受け、水蒸気を通さないカバーフィルムで覆われているため、太陽熱で加熱されて該浸透膜から発生した浅底容器内の水蒸気は、底シートに接して海水等で冷却され、効率的に凝縮する。
しかも、スペーサを介して被蒸留水浸透膜と底シートとが接近しているので、太陽熱で該浸透膜から発生した水蒸気の冷却凝縮が効果的に行われる。また、被蒸留水の浸透膜とその上のカバーフィルムが積層状態になっているので、カバーフィルムと被蒸留水浸透膜の間の伝熱が良くなり、蒸発が効果的に行われるとともに、取り扱いも簡便になる。
請求項2のように、全体の厚さのアスペクト比が1/10以下程度であり極めて低いので、風や波による横転の可能性が大幅に低減する。しかも、全て柔軟な材質で製作されているため、また、浮きの働きをする浮上体やスペーサーは中空のチューブになっているので、内部の空気を抜いて折り畳むことにより、非常にコンパクトにすることができる。その結果、取り扱いや運搬、保管なども便利で、普及が期待できる。
請求項3のように、底シートの上に吸水性シートを敷いてあるので、浅底容器内に発生した水蒸気が海水等で冷却状態の底シートで冷却されて凝縮して生じた凝縮水が、効果的に吸水性シートに付着して、吸水性シートと上側の被蒸留水浸透膜との部分的接触があった場合でも、凝縮水と被蒸留水の混合を防止または低減できるとともに、底シートの一部に貯水部を形成した場合には、凝縮水を円滑に貯水部へ誘導できる。
請求項4のように、底シートの一部に凝縮水の貯水部を形成してあるため、凝縮水を集めて溜めておき、随時取り出して使用することができる。
請求項5のように、非透水性シートの上面に吸水性シートを有し、下面に被蒸留水の浸透膜を有する天地兼用シートを、スペーサを介して複数段重ねると共に、各段の被蒸留水浸透膜の端部を周囲の水中に浸してあり、また各段の天地兼用シート上の凝縮水を集めて溜める貯水部を設けてある。したがって、複数段で同時に水蒸気の発生と凝縮が行われるため、凝縮水の量産が可能となる。
そして、このような複数段構造を、請求項1に記載の浸透膜と底シートとの間にスペーサを介して配設してあるため、天地兼用シートの上面で凝縮した際の熱が下面の海水浸透膜の海水に伝わって蒸発が生ずる。これを複数回繰り返し、最後の熱は、最下段の底シートから海中へと放出される。
請求項6のように、前記のカバーフィルムの上に、密閉式の空気層空間を形成してあるため、カバーフィルムの上部に常時、伝熱性の悪い空気層を形成し上方の周囲空気への熱損失を低減して、カバーフィルムと被蒸留水浸透膜を常に高温で加熱することができる。その結果、水蒸気の発生が常時効果的に行われる。
請求項7のように、カバーフィルム下面の被蒸留水浸透膜と水面上の底シートとの間に不透液性の透気膜を介在させてあるので、気化した水蒸気は不透液性透気膜を透過して、底シートとの間に形成された袋状部中で凝縮して溜まる。したがって、被蒸留水浸透膜と底シートが接するのを防止するスペーサが不要となり、蒸留器が薄型化されると共に構成や取り扱いが簡素化される。不透液性透気膜と底シートから成る袋状部の内部で水蒸気を凝縮させて貯水できるので、海水の凝縮水への混入や凝縮水の損失も防止できる。このような蒸留ユニットを複数段重ねた構成にすると量産にも適している。
次に本発明による太陽熱造水装置が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図2は、本発明による太陽熱造水装置の基本構造を説明する縦断面図である。図示の造水装置は、海面S上において、浮上体(フロート)からなる枠状体fを浮かべておき、このフロート枠fの内側には、合成樹脂のフィルムやシートなどから成る底シート6を敷いて一体化し、全体として、底の浅い容器ないし皿状に形成されている。そして、水漏れしない底シート6の上において、凝縮した後の水を吸着保持する吸水性シート7を敷き、その上側のスペーサ8を介して、天井シート9を被せておく。
この天井シート9は、2層構造になっていて、上側は合成樹脂などからなるフィルムないしシートからなるカバーフィルム91であり、その下面に吸水性のシートからなる浸透膜92を貼り合わせてある。この浸透膜92は、海水等の被蒸留水が浸透できる膜であり、例えば布などでもよい。そして、この浸透膜92は、毛管現象によって周囲の海水を吸収して、各スペーサ8の上側全面まで浸透して供水できるように、海水中に漬け込んである。カバーフィルム91は、フロート枠fの内側の上側空間において、海水浸透膜92をカバーできればよいが、海面S上においても浸透膜92をカバーして、浸透膜92中の海水の大気中への蒸発乾燥を抑制するのがよい。
このような構造において、太陽熱で天井シート9が加熱されると、内面の浸透膜92中に浸透している海水中の水分が蒸発して、天井シート9と底シート6との間の空間G中に拡散し充満する。ところが、海水によって、底シート6と吸水性シート7は冷却されているため、この吸水性シート7に接している水蒸気は効率的に凝縮して吸水保持される。その結果、この吸水性シート7には、徐々に凝縮水が溜まっていく。
浸透膜92と吸水性シート7は、狭い隙間(例えば、5mm)を介して向かい合っており、適当な数のスペーサー8により、互いの接触が防止されている。したがって、海水浸透膜92で発生した水蒸気は、底シート6及び吸水性シート7で冷却凝縮されて、短時間に凝縮水となる。また、カバーフィルム91または海水浸透膜92は、太陽熱を吸収しやすいように黒色にしてある。または、太陽熱選択吸収膜を有している。したがって、太陽熱はカバーフィルム91に吸収され又は透過して、その下面の浸透膜92中の海水を効果的に蒸発させる。発生した水蒸気は、海水浸透膜92と吸水性シート7間の空間G中に拡散し、海水で冷却状態の吸水性シート7で冷却されて凝縮し、凝縮水(真水)となる。
このように、海水浸透膜92は太陽熱で加熱され、吸水性シート7は海水で冷却され、両者の温度差によって水蒸気の分圧の差が生じ、これが蒸留を駆動させる。一方、吸水性シート7は凝縮水を吸着保持するので、海面Sの波の作用により、吸水性シート7と海水浸透膜92が部分的に接触した場合でも、凝縮水と海水の混合を防止または低減できる。1日あるいは一定時間の後、凝縮水は浅底容器の内部から回収して、飲用その他に利用する。なお、浸透膜92中の海水が蒸発すると、浸透膜92の中央部に塩が析出するが、新規の浸透膜92と交換して稼働している間に、析出した塩は洗い流しておけばよい。
図3の実施形態は、底シート6に、凝縮水を溜めるための貯水部6aを形成してある。この貯水部6aは、図示のような袋状でもよい。底シート6上に生じた凝縮水は、この貯水部6aに流れ込んで溜まるので、以後の回収使用が容易になる。貯水袋6aにチューブなどを連結しておけば、それを通して凝縮水Wを容易に吸い出して使用できる。また、貯水部6を設けることにより、長時間の連続蒸留も可能となる。なお、吸水性シート7の一部を貯水部6a中に導いておくと、吸水性シート7に吸水された凝縮水が円滑に貯水部6aに導入される。
図4は、カバーフィルム91上に断熱層10を設けた実施形態である。すなわち、カバーフィルム91の上側に、断熱層10を介して透明の外カバー11を被せ、断熱層10中の空気が外部に容易に逃げ出さないように閉じ込めている。なお、外カバー11が垂れ下がって、カバーフィルム91上に重ならないように、支え用のスペーサ8を設けるのがよい。
このように、カバーフィルム91の上に外カバー11を設けることによって断熱層10を形成すると、断熱層10内の空気の流れが抑制されて、外カバー11を透過した太陽光や、太陽熱を吸収したカバーフィルム91の熱が断熱層10を通過して外部へ逃げる損失が抑制される。その結果、海水浸透膜92が常時高温状態に維持されて、浅底容器中における海水の蒸発が促進され、凝縮水の製造がより効果的に行われる。すなわち、海水浸透膜92と吸水性シート7間の温度差が大きくなり、蒸留量がより促進される。
以上のような浅底容器において、カバーフィルム91や海水浸透膜92、吸水性シート7、底シート6などは薄いシート状であるから、浮上体fの高さを例えば20mm以下にすると、全体的にもほぼ20mm以下となる。断熱層10を設けた構造でも、30mm以下程度である。その結果、風や波による影響を受けて横転する可能性が格段と低減する。しかも、全て柔軟な材質で製作すると共に、フロートの働きをする浮上枠fやスペーサー8はチューブ状にしておけば、それらの内部の空気を抜いて折り畳むことにより、非常にコンパクトにすることができる。また、取り扱いや運搬、保管なども便利になる。柔軟性が有るため、使用時に波面に円滑に追従でき、無理な力が作用して損傷したりする恐れも無い。なお、面方向のサイズは、例えば左右を約1m程度、前後方向を約3〜5m程度にできる。ただし、一例であって、これより大きくても小さくてもよい。高さ方向も、30mm以上でもよい。要は、安定性確保のため、アスペクト比が1/10以下程度であればよい。浮上体の枠fは、浅底容器の左右だけに設けてもよいし、前後のみに設けてもよい。あるいは、底シート6の外周を囲うように環状に設けてもよい。
図5は、前記の浅底容器を多段状にした実施形態であり、(1)は正面から見た縦断面図、(2)は側面から見た縦断面図である。前記のような単一の蒸留器では、吸水性シート7で発生する凝縮熱は、その底面から海水へと放出している。これに対し、図示のような多重効用蒸留器では、その凝縮熱を、下段の空気層G2中の海水浸透膜92からの蒸発に再利用する。そのため、(1)図のように、各空気層G1、G2、G3の天井部の海水浸透膜92の端部は海水中に浸してある。また、(2)図のように、各空気層G1、G2、G3の底部の吸水性シート7の端部は、貯水部6a中に浸して、各空気層G1、G2、G3中で発生した水蒸気の凝縮水を回収する構造になっている。
このように、多段構造にする場合は、図2の底シート6の上面に吸水性シート7を重ね、下面に海水浸透膜92を重ねた3層シートとする。したがって、多段構造におけるシート916を天地兼用シートと呼ぶ。また、図示の3つの段は、図2のような浅底容器を単に3段重ねた構造も可能ではあるが、図示のように最下段G1の左右以外の浮上体枠fを省いて、スペーサ8のみ残した多段構造でもよい。したがって、天地兼用シート916の上面で凝縮した際の熱が下面の海水浸透膜92の海水に伝わって蒸発が生ずる。これを多数回繰り返し、最後の熱は、最下段G1の底シート6から海水へと放出される。
図6、図7は、スペーサ8に代えて不透液性の透気膜を用いた実施形態である。図6は、図2の実施形態において、浅底容器中のスペーサ8を省き、代わりに不透液性透気膜12を敷設してある。不透液性透気膜は「微多孔質膜」とも呼ばれ、蒸気は透過させるが、液体は透過させない膜をいう。本発明の蒸留器では、被蒸留水の浸透膜92と底シート6の間に不透液性透気膜12を挟むように配置する。その結果、太陽熱で浸透膜92から発生した水蒸気のみが不透液性透気膜12を通過し、底シート6で冷却されて凝縮する。そして凝縮水は、底シート6と不透液性透気膜12で形成される袋状部13中に溜まる。
このように、不透液性透気膜12を用いる場合は、浸透膜92が底シート6と直接重なった構造でも問題なく、不透液性透気膜12を透気した水蒸気が不透液性透気膜12の下側で凝縮して、凝縮水を製造することが可能となる。したがって、図2の空気層Gが不要になり、蒸留器を薄型化できる。また、不透液性透気膜12と底シート6から成る袋を形成し、その内部13で水蒸気を凝縮させて、凝縮水を溜めておくことができる。その結果、海水浸透膜92が底シート6側と接して浸透膜92の海水が底シート6側の凝縮水に混入するのを防止でき、逆に凝縮水が海水側に混入し損失するのも防止できるので、図2のスペーサ8を確保する必要性も無い。なお、不透液性の透気膜の一例としては、ゴアテックス製の「ポリテトラフロロエチレン(ePTFE)膜」が知られている。
図7は、図4と同様にカバーフィルム91の上に断熱層10を形成するための外カバー11を被せてある。そして、この断熱層10を形成する袋がフロートの作用をするので、浮上体枠fは不要となる。また、底シート6と不透液性透気膜12の外周を接合して袋を形成し、その内部13に凝縮水を溜めるので、図3のように特別な貯水袋6aを形成する必要もない。なお、海水浸透膜92と不透液性透気膜12との間は、空気層が発生しないように接していることが望ましい。
不透液性の透気膜を用いた蒸留器の場合も、図5のように多段構造も可能である。すなわち、図6の蒸留器ユニットを2段以上重ね、浮上体枠fは最下段のみに設けて、水面に浮かべる。このとき、各段の海水浸透膜92は、図5(1)のように周囲の海水中に垂らすだけでよい。図5(2)の吸水性シート7に代えて、各段の袋状部13にパイプを連結すれば、別置きの貯水袋6aに容易に集水できる。なお、図7の外カバー11は、最上段の蒸留器の上のみに設ける。なお、図5以下の蒸留器の場合も、アスペクト比を1/10以下とすることは言うまでもない。
以上のように、本発明の太陽熱造水装置によると、海面に浮かべた状態で、吸水性の海水浸透膜92の端部を海水に浸すだけで、吸水性材の毛管力のみで自然に海水を吸い上げ、全体に浸透させることができる。したがって、何らの動力や装置も必要なく、簡易型の装置となる。しかも、多段構造にすれば、太陽熱吸収面の単位面積当たりの蒸留量が数倍に増加する。
以上のことから、本発明による太陽熱造水装置は、海難時などの救命用の造水装置として最適であるが、この用途に限られるものではない。通常時の飲料水などの製造装置としても有効である。また、海水を用いて凝縮水を製造する場合は、海水浸透膜92に残った高濃度の海水や塩の結晶を洗い出したりして加熱すれば、食塩製造も可能となる。なお、実施形態では海上で使用する場合を例示したが、本発明装置は、河川や湖沼などに浮かべて、飲料水や灌漑用水を製造することもできる。この場合は、「海水」浸透膜92は、「被蒸留水」浸透膜と読み換えるものとする。
従来のドーム状の海水蒸留器の縦断面図である。 本発明による太陽熱造水装置の基本構造を示す縦断面図である。 貯水部を有する実施形態の縦断面図である。 断熱層を有する実施形態の縦断面図である。 多段構造の実施形態であり、(1)は正面から見た縦断面図、(2)は側面から見た縦断面図である。 スペーサに代えて不透液性の透気膜を用いた実施形態の縦断面図である。 浮上枠を省いた実施形態の縦断面図である。
符号の説明
S 海面
f 浮上体(フロート)枠
6 底シート
6a 貯水部(貯水袋)
W 凝縮水
7 吸水性シート
8 スペーサ
9 天井シート
91 カバーフィルム
92 海水浸透膜
916 天地兼用シート
G 浅底容器中の空間
G1・G2・G3 空気層
10 断熱層
11 外カバー
12 不透液性透気膜
13 袋状部

Claims (7)

  1. 水面に浮かべた状態で、周囲の水から凝縮水を製造する装置において、浮上体で形成した枠状体の内側に底シートを一体化した浅底容器を形成すると共に、該浅底容器上にスペーサを介して被せた浸透膜の端部を周囲の水中に浸しておき、該浸透膜の上面に、太陽光照射を受け、水蒸気を通さないカバーフィルムを積層して覆った構造とすることを特徴とする太陽熱造水装置。
  2. 前記の浮上体の高さと最大幅の比(アスペクト比)が1/10以下であり、該浮上体、スペーサ、底シートおよびカバーフィルムは、合成樹脂製の柔軟な材料から成り、前記浮上体およびスペーサは、中空になっていて、内部の空気を抜いて折り畳み可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱造水装置。
  3. 前記の底シートの上に、浅底容器内に発生した水蒸気を凝縮させかつ吸水するための吸水性シートを敷いてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽熱造水装置。
  4. 前記の底シートの一部に凝縮水の貯水部を形成して、凝縮水の回収を容易にしたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の太陽熱造水装置。
  5. 非透水性シートの上面に吸水性シートを有し、下面に被蒸留水の浸透膜を有する天地兼用シートを、スペーサを介して複数段重ね、各段の被蒸留水浸透膜の端部を周囲の水中に浸すと共に、各段の天地兼用シート上の凝縮水を集めて溜める貯水部を設けた複数段構造を、前記浸透膜と前記底シートとの間にスペーサを介して配設したことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の太陽熱造水装置。
  6. 前記のカバーフィルムの上に、密閉式の空気層空間を形成する外カバーを設けてなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの項に記載の太陽熱造水装置。
  7. カバーフィルムの下面に積層された被蒸留水の浸透膜の端部を周囲の水中に浸しておき、前記の浸透膜と水面上の底シートとの間に不透液性の透気膜を介在させて、該不透液性透気膜と該底シートとの間に凝縮水を溜める袋状部を形成した蒸留ユニットを単体で又は複数段重ねて使用する構造となっていることを特徴とする太陽熱造水装置。
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