JP4219032B2 - 磁気共鳴画像診断装置 - Google Patents

磁気共鳴画像診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4219032B2
JP4219032B2 JP03792099A JP3792099A JP4219032B2 JP 4219032 B2 JP4219032 B2 JP 4219032B2 JP 03792099 A JP03792099 A JP 03792099A JP 3792099 A JP3792099 A JP 3792099A JP 4219032 B2 JP4219032 B2 JP 4219032B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
temperature
magnetic field
magnetic resonance
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03792099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000237160A (ja
JP2000237160A5 (ja
Inventor
博道 清水
哲彦 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Medical Corp
Priority to JP03792099A priority Critical patent/JP4219032B2/ja
Publication of JP2000237160A publication Critical patent/JP2000237160A/ja
Publication of JP2000237160A5 publication Critical patent/JP2000237160A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4219032B2 publication Critical patent/JP4219032B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴診断装置(MRI)に関し、特に温度分布を計測する医療用磁気共鳴診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年MRIは組織描出能に優れた画像診断装置として、X線CTと並んで疾病の重要な診断手段となっている。さらに最近では、MRIを診断ばかりでなく、低侵襲治療の際にカテーテルやレーザーファイバーのガイドに応用する技術(Interventional MR:IVMR)が発展している。その応用の一つとして組織の温度分布の検出があり、腫瘍やヘルニア等のレーザーアブレーション、収束超音波アブレーションの際、患部の治療状態をリアルタイムでモニターするための手段として注目されている。
【0003】
MRI信号を規定するパラメータの中で、温度依存性を示すパラメータにはスピン密度ρ、縦緩和時間T1、横緩和時間T2、水の拡散係数、水プロトンのケミカルシフトδ(J.C.Hindman,J.Chem.Phys.44.4582,1966)等がある。これらの中で、温度以外のファクターへの依存性が少ない点で、水プロトンのケミカルシフトの信頼性が高いとされている。
ケミカルシフトを利用した温度計測法としては、空間分解能が高く計測時間が短い点から、位相マップを用いる方法が有効である(特開平04-055257号、「水プロトンのケミカルシフトを利用した高精度且つ高速温度マッピング (A precise and Fast Temperature Mapping Method Using Water proton Chemical Shift)」、Y.Ishihara, A. Calderon et al., Abstracts of the Society of Magnetic Resonance Medicine, 11th annual Meeting, Berlin, p.4803(1992))。
【0004】
この方法は、グラディエントエコー(GrE)法などのケミカルシフト感受性を持ったシーケンスを用いて、温度変化の前後でのケミカルシフトの変化を、MR信号の位相差として検出する。温度による水プロトンの周波数シフトは0.01ppm/℃であり,位相差Δφは次式(1)で表される。
【数1】
Figure 0004219032
ここでΔφは注目画素における位相差、Δδは当該画素における水プロトンのケミカルシフトの変化、γは核磁気回転比,Boは静磁場強度、TEはエコー時間である。この方法による温度の計測精度は、信号のS/N比とハードウエアの安定性に依存するが、±1℃程度である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
位相マップから温度分布を得る手法では、視野内で位相が2πラジアン以上回転した時、位相値のジャンプが生じる(エリアジング)ため、エリアジングを除去しなければならない。しかし、IVRのアブレーションを例にとると、1cm〜数cmの領域が50℃〜200℃程度の温度に加熱されるため温度勾配が大きく、位相マップでは複雑なエリアジングが発生し、エリアジング除去が困難になる。
【0006】
また、エリアジング除去は、通常隣り合う画素の位相は滑らかに変化し、2πラジアン以上の急激な変化はないとの仮定の下で、順次隣接する画素の位相を比較していき、その変化が2πラジアン以上の場合に2πを加減することにより行われる。このようなアルゴリズムでは、位相が不確定になる低信号領域があった場合に、それを横断して正確な位相の接続を行うことは困難である。
更にエリアジング除去の基本的な問題として、位相が2πの整数倍変化している場合は、真の位相を知ることができないという問題がある。これは治療部位と周辺組織との温度差が大きい場合に発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の一実施例では、位相マップと共に、温度を計測しようとする領域内で水プロトンのスペクトルを合わせて計測し、水プロトンのケミカルシフトΔδから式1により位相Δφを求め、これをエリアジング除去処理の基準値に用いる。ここで、Δδは基準温度(被写体の術前の温度)における水プロトンのピーク位置と、計測時のピーク位置との差であり、基準温度における水プロトンのピーク位置は予め計測しておいた値を用いることができる。
【0008】
即ち本発明のMRI装置は、静磁場、傾斜磁場および高周波磁場をそれぞれ発生する磁場発生手段と、前記各磁場の印加により被検体に生じる磁気共鳴信号を検出する検出手段と、前記磁場発生手段および前記検出手段を制御する制御手段と、検出された磁気共鳴信号をもとに画像を再構成する手段と、再構成された画像を表示する表示手段とを備え、前記制御手段は、前記被検体の撮像領域の温度変化を、該撮像領域の画像の位相マップに基づいて検出する温度検出手段を備え、前記温度検出手段は、前記撮像領域内の部分領域から検出された基準温度における水プロトンスペクトルを用いて前記位相マップを位相アンラップ処理する
【0009】
位相マップに加えて、水プロトンのスペクトルを計測し、水スペクトルのケミカルシフト差Δδから式1により求めた位相Δφを位相マップのエリアジング除去処理の基準値に用いるため、位相の2nπ(nは整数)の不定さを除去でき、真の温度を得ることができる。
【0010】
ここで水プロトンを計測する小領域(例えばボクセル)は、一つであっても複数であってもよく、少なくとも1つは温度を計測しようとする領域に含まれる。温度を計測しようとする領域における温度変化が比較的単調な場合には、小領域の数は少数でよい。この場合、水プロトンのスペクトルを計測する方法としては、1つのボクセルを選択してスペクトルを測定するシングルボクセル法を用いるのが有利である。シングルボクセル法は短い計測時間で空間分解能が高い計測を行える。
【0011】
一方、温度分布が複雑であったり、或いは信号強度が低く位相が不定な領域が存在する場合には、多数の基準点を必要とする。この場合は、スペクトル計測法として、一度に多数のボクセルの計測が可能なスペクトロスコピックイメージング法が有効である。
【0012】
スペクトロスコピックイメージングは通常は計測に長時間を要するが、リードアウト方向に連続反転する傾斜磁場を印加するエコープラナー型のスペクトロスコピックイメージング法(以下EPSIと略記。P.Mansfieldによる論文"High-Speed Spatially Resolved High-Resolution NMR Spectroscopy", J.Am. Chem. Soc., 107, 2817-2818,(1985)を参照)を用いれば、計測時間を短縮できる。ここでは通常のEPSIとは異なり、代謝物ではなく組織に大量に存在する水を計測するので、励起RFパルスのフリップ角を小さくとり、短TR(磁化励起の周期)で連続励起しても十分な信号強度を得ることができる。
【0013】
水プロトンの計測手段としてEPSIを用いれば多数の位相基準点を得ることができ、位相が不定の低信号領域を横断して正確な位相接続ができる。さらにEPSIを用いて、励起RFパルスのフリップ角を小さくとり、短TR(磁化励起の周期)で連続励起すれば短時間で多数の位相基準点を得ることができる。
【0014】
また本発明のMRI装置は、シングルボクセル法によるスペクトル計測において、その計測領域(以下ROIと記す)を設定する手段として、対話的な設定手段とすることができる。この場合、第1工程において位相マップを計測し表示し、第2工程として、この表示された位相マップを参照して位相変化の大きい領域の中へ、対話的に計測領域を設定する。これにより、手術部位の中に正確に位相基準点を指定できる。
ROIの設定手段は、位相マップの変化が大きい領域を自動的に抽出することもできる。位相マップの勾配に基づいてROIを設定すれば、正確な温度マップを得る工程を自動化できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を用いて本発明のMRI装置を詳細に説明する。図4は本発明が適応されるMRI装置の概略構成図である。このMRI装置は、磁場発生手段として被検体401内部に一様な静磁場Boを発生させるための電磁石または永久磁石402と、高周波磁場を発生する送信コイル414aと、直交するx,yおよびzの3方向に強度が線形に変化する傾斜磁場Gx,Gy,Gzを発生する傾斜磁場コイル409とを備えている。傾斜磁場コイル409は電流を供給する電源410に接続されている。また検出手段として被検体401から生じる核磁気共鳴信号を検出するための検出コイル414bと、核磁気共鳴信号に画像再構成のための種々の計算を行うコンピュータ408と、計算結果を記憶する記憶装置や表示するディスプレイ428を備えた信号処理系406と、コンピュータ408へ入力等を行うための操作部421を備えている。コイル414a,414bは図示するように送受信別々でもよいが、両用のコイルでもよい。
【0016】
コンピュータ408は、各磁場発生手段や検出手段を制御する制御手段でもあり、シーケンサ407を介して傾斜磁場発生系403、送信系404および検出系405の動作を制御する。
次に本装置の動作の概要を説明する。シンセサイザ411により発生させた高周波を、シーケンサ407によって制御されたタイミングで変調器412で変調し電力増幅器413で増幅し、送信コイル414aに供給する。これにより被検体401の内部に高周波磁場を発生させ、核スピンを励起させる。対象とする原子核は、1Hの他、31P、12C等であるが、本発明の温度計測においては水プロトンを対象とする。
【0017】
一方、傾斜磁場電源410を介して傾斜磁場コイル409を駆動し、スライス方向、位相エンコード方向、周波数エンコード方向の各傾斜磁場を印加し、核スピンを励起する領域を選択し、また発生する核磁気共鳴信号を位相エンコード及び/又は周波数エンコードする。
【0018】
被検体401から放出される核磁気共鳴信号はコイル414bにより受信され、増幅器415を通った後、検波器416で直交位相検波され、A/D変換器417を経てコンピュータ408へ入力される。コンピュータ408は信号処理後、核スピンの密度分布、緩和でコントラストを付与した密度分布、スペクトル分布等に対応する画像等をCRTディスプレイ428に表示する。本発明においては、核スピンの密度分布である組織画像に加え、組織の温度分布を示す情報を例えばカラー表示によって表示する。計算途中のデータあるいは最終データはメモリ424,425に収納される。
【0019】
上述した傾斜磁場発生系403、送信系404、検出系405は、計測の目的に応じたパルスシーケンスに従いシーケンサ407によって制御され、このシーケンサ407はコンピュータ408によって制御される。本発明においてコンピュータ408は、位相分布計測、所望の領域について周波数スペクトル計測、周波数スペクトルから求めた水プロトンの共鳴周波数を基準とする位相分布の補正を行う。
このような装置における温度計測の実施例を以下詳細に説明する。ここではIVRとして腫瘍のレーザーアブレーションを行い、患部の温度をモニターする場合を想定する。
【0020】
図1(a)は本発明の一実施例による温度計測のフローを示す図で、この実施例では温度変化後(温度上昇後)に、位相マップ(位相分布)の作成(工程11)から位相アンラップ処理(工程14)までの工程をそれぞれ実施し、補正後の位相差マップを求め(工程15)、位相差マップから温度差マップを作成する(工程16)。この場合の温度差とは、温度上昇前の温度を基準温度とした場合の温度差である。
【0021】
位相マップは、例えば図3に示すような高速GrE法のシーケンスを実行することによって作成することができる(工程l1)。即ち、まず温度計測の対象とするスライスを選択するスライス選択傾斜磁場32と同時に励起パルス31を印加し、次いで位相エンコード傾斜磁場パルス34及びリードアウト傾斜磁場パルス34を印加し、さらに極性の異なるリードアウト傾斜磁場パルス37を印加しながらエコー信号39を計測する。エコー信号計測の後、位相方向にリワインドの傾斜磁場パルス35およびリードアウト方向のスポイラー傾斜磁場38を印加する。
【0022】
このようなシーケンスを位相エンコード傾斜磁場パルス34の大きさを変化させながら繰り返し時間TRで繰り返す。収集した各々のエコー信号39を順次直交検波し、それを実部と虚部へ割当ててk空間の格子点上へ配置し、2次元フーリエ変換を施し、得られた複素画素値のarctanを計算する。これにより位相の空間分布、即ち位相マップが得られる。尚、位相マップ計測シーケンスにおいて温度依存性がない脂肪組織は必要に応じて予め飽和させておくことが好ましい。
【0023】
このように得られた位相マップをディスプレイ428に表示する。この位相画像は、例えば図2に模式的に示すような画像となり、温度上昇した領域27では例えば静磁場1.5T,TE=80msとすれば、温度上昇50℃に対して920度の位相差が生じる。温度変化上昇がない組織と温度が上昇した組織との間に2〜3本の位相不連続線26(図2には3本の位相不連続線が記載されている)が生じる。
【0024】
このような領域では、既に述べたように通常の位相アンラップ処理(位相エリアジング除去の処理)では正確な位相補正ができない。従って本発明では、この領域内に基準点を設定し、この基準点の位相を水プロトンのスペクトルから求める。
このため次の工程12では、まず、温度が上昇した領域27の内部にROI(関心領域)29を設定し(この中心を(x0,y0)とする)、シングルボクセルのプロトンスペクトル21を計測する(工程13)。
【0025】
ROIの設定は、第1工程11でディスプレイモニターに表示された位相マップ28から、温度変化が生じた部位27を操作者が識別し、カーソル等で入力することにより行う。ROIの大きさは通常1cm×1cm程度とする。
シングルボクセルのスペクトル計測法としては、STEAM法、PRESS法等の公知の技術を用いることができる。このスペクトルの水ピーク値δ1(x0,y0)23から、式(2)によりROIにおける位相Δφ(x0,y0)を計算する。必要に応じて信号を加算する。
【0026】
【数2】
Figure 0004219032
ここで、δ022は基準温度(治療前の温度)における水のケミカルシフトであり、予め計測しておいた値を用いることができる。
スペクトル中の水プロトンのピーク位置24は計算機により自動検出する。ピーク検出方法としては、ローレンツ曲線をあてはめ、その位置、幅、高さを調整する方法がある。また、必要に応じて位相補正を併用する。
【0027】
このようにシングルボクセルの中心点(x0,y0)の位相を求めた後、その位相を基準として画像全体のエリアジング除去(位相アンラップ)を行う(工程14)。アンラップの方法としては、まず、位相マップの基準点(x0,y0)における位相がΔφ(x0,y0)に一致するようにオフセットを除去する。次に、位相基準点から処理を開始し、隣接しあう画素で2π以上の変化があった場合に2πを加減して変化を縮小してゆく。このようにして得られた位相マップΔφ(x,y)は正確に位相アンラップがなされている。式(3)により温度マップΔT(x,y)を得る。
【0028】
【数3】
Figure 0004219032
ここでαは水プロトンのケミカルシフトの温度依存性[0.0lppm/℃]である。ΔT(x,y)は基準温度からの組織の温度変化を表す。
【0029】
このように求めた温度差は、予め取得した組織画像或いは位相マップを求めるシーケンスの実行によって得られた信号から再構成した組織画像に重畳して表示される。温度表示の方法としては、例えば任意の温度幅で作成したカラーバーを用意し、ある画素の温度をこのカラーバーの温度に対応する色で表示する。即ち、例えば青−緑−黄色−橙色−赤と色相が順次変化するカラーバーに10℃きざみで30℃〜200℃の温度を割り当て、ある画素の温度が100℃の場合には、その温度に対応するカラーバーの色(例えば橙色)を画素の輝度に重ねて表示する。
【0030】
本実施例の温度計測では、ROIの入力以外は計算機により自動的に実行でき、しかもROIは操作者がモニターを確認しながら、温度変化の生じている領域に確実に設定することができる。
尚、この実施例では、ROIの設定を対話的に行う場合を説明したが、位相マップの勾配が最大となる領域に27を自動設定することも可能である。この場合には、式(4)により位相の勾配をピクセル毎に計算し、勾配が最大になる部位を求め、この部位内にシングルボクセルスペクトルのROIを設定する。
【0031】
【数4】
Figure 0004219032
【0032】
これにより、操作者の介入を無くして、自動的に温度分布計測を実行することができる。この場合には、図2に示す位相画像は必ずしもモニターに表示する必要はなく、結果である温度分布(組織画像に重ねて表示した画像)のみを表示するようにしてもよい。
尚、位相アンラップ処理における位相の基準点は1つであっても2以上であってもよく、基準点が複数の場合には上述したシングルボクセルのスペクトル計測法を複数実施すればよい。但し温度上昇の領域の温度変化が複雑であったり、温度依存性が低い領域、即ち位相が不定の低信号領域が含まれている場合には、スペクトルスコピックイメージングによりマルチボクセルスペクトルを得ることが好適である。これにより多数の基準点について水プロトンのスペクトルを求めることができる。
【0033】
本発明の温度計測の第2の実施例として、EPSIを用いたスペクトロスコピックイメージング法によりマルチボクセルスペクトルを得る場合を説明する。この実施例では、マルチボクセルスペクトルからボクセル毎に水プロトンのピークまたは重心のシフトを求め、これから位相変化を計算する。
【0034】
この実施例でも図1に示す第1の工程11は、前述の実施例と同様であるが、ここでは次の工程13において、図5または図7に示すようなEPSIのシーケンスを実行する。図5と図7は、前者が反転パルス52を用いたSE型であるのに対し、後者が反転パルスを用いないGrE型である点で異なる他は同様であり、51(71)(括弧内の数字は図7の符号を示す)はスライス選択傾斜磁場53(72)とともに印加される励起パルス、52は反転パルス、54(73)は位相エンコード傾斜磁場パルス、56,57(75,76)はリードアウト傾斜磁場パルスである。リードアウト傾斜磁場パルス57(76)はその極性を複数回反転させながら印加し、反転毎にエコー信号59(78)を計測する。エコー信号計測後、残留横磁化のコヒーレンスを除去するため、位相方向にはリワインド55(74)を、またリードアウト方向にはスポイラー58(77)を付加する。
【0035】
このようなシーケンスを位相エンコード傾斜磁場パルスの大きさを変えながらTR毎に繰り返す。例えばマトリクスが32×32の場合、繰り返し回数32回、リードアウト傾斜磁場パルス57(76)の反転32回で、マルチボクセルスペクトルを得るための計測データを収集する。
【0036】
収集した計測データにkx,ky,kδについての3次元FFTを施し、図6に示すようなピクセル毎のプロトンスペクトル61を得る。このスペクトル61から水プロトンのピーク値63を計算機により自動検出する。尚、図6において66は位相不連続線、67は温度上昇領域、68はマルチボクセルのマトリクス、69は位相画像である。ピーク検出方法としては、標準となる水の位置64を中心としてローレンツ曲線をあてはめ、その位置、幅、高さを微調整する方法がある。また、必要に応じて位相補正を併用する。この場合、EPSI法を図7に示すGrE型にすれば低周波領域の信号が犠牲になるので、スペクトルのべースラインのうねりが生じるが、水ピークの検出には大きな障害にはならない。EPSI法を図5に示したSE型にすれば、エコー中心のデータが取得できるので、ベースラインのうねりを防止できるが、計測時間はGrE型よりも長くなる。
【0037】
このように各ピクセル毎に求めた水プロトンのピーク値63から式(2)により、各ピクセル毎に位相を求めることができる。第1の工程11で作成した位相マップについて、これら各基準点の位相をもとに補正を行う(位相アンラップ:工程14)。これにより低信号で位相が不定の領域があっても、これを飛び越えてエリアジング除去を正確に行うことができる。
【0038】
このように補正した位相差マップから式(3)により温度差を求めること、温度差マップを表示することは前述の実施例と同じである。
尚、図5或いは図7に示すシーケンスにおいて、EPSIの励起パルス(図5の51)のフリップ角は一例として90°/n(nは励起の反復回数)とすることができる。前掲の例ではn=32である。小フリップ角による励起、即ち縦磁化の部分的な励起は、信号強度の低下を招くが、ここでは通常のEPSIとは異なり、生体内に大量に存在する水の検出が目的であるため、障害にはならない。
【0039】
一例として、フリップ角10°、TR=160msとすると、撮影時間は160ms×32=5.12s、スペクトル分解能はデータ取り込み時間を100msとすると、その逆数から10Hzとなる。これは1.5Tでは0.16ppmに相当し、温度分解能は約16℃となる。
その他、フリップ角のとり方については、励起順に増加させて発生する横磁化成分を一定にする等の工夫を行ってもよい。
【0040】
また以上の実施例ではスペクトロスコピックイメージング法としてEPSI法を例示したが、本発明はこれに限らず3D-CSI法やEBI法(P.M.Jakob, A.Ziegler et. al, "Echo-Time-Encoded Burst Imaging (EBI): A Novel Technique for Spectroscopic Imaging", Magn. Reso. Med., 33, 573, 1995)などの公知の様々な方法等を使用してもよい。但し、3D-CSI法はスペクトル分解能は高いが、計測時間が長いため、IVRでの温度計測には高速なEPSIやEBIが好適である。
【0041】
スペクトルの計測法によっては計測帯域の制限から、スペクトル軸の折り返しが生じる場合がある。例えばEPSIにおいてエコー間隔(時間軸方向のサンプリング間隔)を4.0msとすると計測帯域は1/4.0ms=250Hzとなり、1.5Tでは3.9ppmとなる。一方生体内の水や代謝物は5ppm程度の範囲に存在するので、温度の変化に伴い水ピークが一端から一端へジャンプする可能性がある。この場合、予め水を計測帯域の中心に配置し、温度による水の周波数ジャンプを防ぐことができる。
また、位相マップを得る方法も、図3以外の公知の様々な方法を用いることができる。
【0042】
以上説明したように本発明の温度計測では、小領域(ボクセル)における水プロトンのケミカルシフトからその点の位相を求め、それを基準として位相マップのエリアジング補正を行うようにしているので、温度変化前後での位相マップの差を求めることなく(図1(a)に示すフロー11〜16)、温度計測を行うことができる。
【0043】
従って、従来法では温度変化前後で、体動等により被写体がずれた場合には温度変化を計算することができなかったのに対し、被写体がずれた場合でも温度を計算できる。また画像中に、温度の変化がなく従って位相基準点にできる画素がない場合でも真の温度を得ることができる。
また本発明の温度計測は、治療中に温度が大きく変化し、位相が2π以上変化した場合に特に有効である。このような場合、従来の差分位相マップのみでは絶対温度の分布を得ることはできない。特に拡大撮影などを行い、視野全体で温度が変化し、画像中に基準となる温度領域が得られない場合に問題となるが、本発明ではこのような場合にも温度計測が可能となる。
【0044】
ところでこれまでケミカルシフトは、温度以外のファクターへの依存度が低いことを前提に説明したが、実際には他の因子によって影響を受ける。例えば実際には磁石や被写体の磁気感受率分布に起因する静磁場不均一が存在し、このような静磁場の不均一性もケミカルシフトに影響を与え得る。しかしシミングが高精度になされ、温度上昇が大きい場合には近似的に温度のみを位相変化の原因とみなすことができる。例えば、静磁場不均一が0.3ppmであったとすると、温度上昇が30℃以上であれば、周波数変化の中で温度依存項が優勢になる。この他の因子として、脂肪のケミカルシフトに起因する位相変化が位相マップに混入する場合もあるが、脂肪の横緩和T2は20ms〜50ms程度と短いため、TEを長くとればその影響を除去できる。
【0045】
しかし温度に起因する位相変化に加えて、静磁場不均一等による位相変化が位相マップに含まれる場合には、温度変化の前後で位相マップを求め、その差から温度差マップを求めることも有効である。これにより温度による位相変化のみを抽出することができる。
【0046】
このような実施例を図1(b)に示す。この実施例では、以上説明した各実施例のいずれかを温度変化の前後で2回実施し(工程17〜19、101を付加)、両計測によって求めらた補正後の位相マップの差を求め(位相差マップの作成、工程15)、この位相差マップから式(3)により温度差を求め、表示する(工程16)。
この場合にも温度分布を高精度で表示することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば治療部位の温度分布を正確に得ることができ、MRIモニター下のIVR手術の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMRI装置が実行する温度分布計測手順を示す図。
【図2】スペクトルと位相マップの併用による温度分布計測を説明する図。
【図3】位相マップ計測のためのシーケンスの一例を示す図。
【図4】本発明が適用されるMRI装置の全体の構成を示す図。
【図5】 SE型の高速MRSI法のシーケンスを示す図。
【図6】マルチボクセルスペクトルと位相マップの併用による温度分布計測を説明する図。
【図7】 GrE型の高速MRSI法のシーケンスを示す図。
【符号の説明】
401 被写体
402 静磁場発生磁気回路(磁場発生手段)
408 コンピュータ(画像再構成手段、制御手段)
409 傾斜磁場コイル(磁場発生手段)
414a 送信RFコイル(磁場発生手段)
414b 検出RFコイル(検出手段)
428 ディスプレイ(表示手段)

Claims (4)

  1. 静磁場、傾斜磁場および高周波磁場をそれぞれ発生する磁場発生手段と、前記各磁場の印加により被検体に生じる核磁気共鳴信号を検出する検出手段と、前記磁場発生手段および前記検出手段を制御する制御手段と、検出された磁気共鳴信号をもとに画像を再構成する手段と、再構成された画像を表示する表示手段とを備え、
    前記制御手段は、前記被検体の撮像領域の温度変化を、該撮像領域の画像の位相マップに基づいて検出する温度検出手段を備えた磁気共鳴画像診断装置において、
    前記温度検出手段は、前記撮像領域内の部分領域から検出された基準温度における水プロトンスペクトルを用いて前記位相マップ位相アンラップ処理することを特徴とする磁気共鳴画像診断装置。
  2. 請求項1に記載の磁気共鳴画像診断装置において、
    前記温度検出手段は、前記水プロトンスペクトルの前記基準温度からの温度変化量に相当する位相変化量を、前記位相マップの位相アンラップ処理における基準値として用いることを特徴とする磁気共鳴画像診断装置。
  3. 請求項1又は2いずれか一項に記載の磁気共鳴画像診断装置において、
    前記制御手段は、前記位相マップの勾配が最大になる領域を前記部分領域として選択することを特徴とする磁気共鳴画像診断装置。
  4. 請求項2に記載の磁気共鳴画像診断装置において、
    前記部分領域は、複数のボクセルを含み、
    前記温度検出手段は、ボクセル毎に該ボクセルの水プロトンスペクトルに基づく基準値を設定し、該ボクセル毎の基準値に基づいて前記位相マップの位相アンラップ処理を行うことを特徴とする磁気共鳴画像診断装置。
JP03792099A 1999-02-16 1999-02-16 磁気共鳴画像診断装置 Expired - Fee Related JP4219032B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03792099A JP4219032B2 (ja) 1999-02-16 1999-02-16 磁気共鳴画像診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03792099A JP4219032B2 (ja) 1999-02-16 1999-02-16 磁気共鳴画像診断装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000237160A JP2000237160A (ja) 2000-09-05
JP2000237160A5 JP2000237160A5 (ja) 2006-03-09
JP4219032B2 true JP4219032B2 (ja) 2009-02-04

Family

ID=12510996

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03792099A Expired - Fee Related JP4219032B2 (ja) 1999-02-16 1999-02-16 磁気共鳴画像診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4219032B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3976515B2 (ja) 2001-04-11 2007-09-19 株式会社日立メディコ 磁気共鳴イメージング装置及び画像処理方法
CN1897874A (zh) * 2004-11-10 2007-01-17 株式会社东芝 相位展开演化方法和利用该方法的磁共振成像设备
JP5015568B2 (ja) * 2006-12-12 2012-08-29 ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー 位相変化融合画像表示方法および装置
CN102488497B (zh) * 2011-12-12 2014-07-02 中国科学院深圳先进技术研究院 磁共振温度测量方法及系统
CN106796275B (zh) * 2014-09-26 2021-01-26 皇家飞利浦有限公司 用于单体素波谱分析的成像系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000237160A (ja) 2000-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Odéen et al. Magnetic resonance thermometry and its biological applications–Physical principles and practical considerations
US6377834B1 (en) Real time in vivo measurement of temperature changes with contrast enhanced NMR imaging
JP4318774B2 (ja) 磁気共鳴画像診断装置
JP4526648B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
US7542793B2 (en) MR-guided breast tumor ablation and temperature imaging system
Brookes et al. Accuracy of T1 measurement in dynamic contrast‐enhanced breast MRI using two‐and three‐dimensional variable flip angle fast low‐angle shot
US7508205B2 (en) Magnetic resonance imaging system, a method of magnetic resonance imaging and a computer program
US8478380B2 (en) Magnetic resonance thermometry in the presence of water and fat
US20050065429A1 (en) Method for three plane interleaved acquisition for three dimensional temperature monitoring with MRI
US20110288402A1 (en) Mr imaging with cest contrast enhancement
JP3847512B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
US6807441B2 (en) Evaluation of tumor angiogenesis using magnetic resonance imaging
JP2004526491A (ja) 拡散強調された磁気共鳴画像化データの取得方法および装置
US20170018080A1 (en) Medical image diagnosis assistance device, magnetic resonance imaging apparatus and medical image diagnosis assistance method
US20060064002A1 (en) Method for monitoring thermal heating during magnetic resonance imaging
JP3964110B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3386864B2 (ja) 核磁気共鳴撮影方法及び装置
JP4219032B2 (ja) 磁気共鳴画像診断装置
WO2016170863A1 (ja) 磁気共鳴イメージング装置および磁気共鳴イメージング方法
JP3501182B2 (ja) 流速画像を算出できる磁気共鳴イメージング装置
JP4250255B2 (ja) 温度計測方法及び磁気共鳴イメージング装置
JP2001276016A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4462781B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2002200056A (ja) 磁気共鳴イメージング方法及び装置
JP4371510B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060113

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080609

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080726

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081105

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131121

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees