JP4218782B2 - 電力ケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む絶縁材料を被覆した電力ケーブルに関し、より詳細には、機械的強度、耐摩耗性、熱安定性、架橋特性等の物性に優れた絶縁材料を被覆した電力ケーブルに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来電力ケーブルの絶縁材料としてポリエチレンが多用され、その優れた電気絶縁性が評価されてきた。しかし、そのポリエチレンも、水分の多い環境下で使用されると、絶縁層中に水トリーが発生して、電気絶縁性の低下が起こると言われているなど、絶縁材料としてはさらに改良が求められている。
【0003】
最近メタロセン触媒を用いて製造された新しいポリエチレンが出現し、それを絶縁材料へと応用する検討が進められている。特表平6−509905号公報および特開平7−312118号公報によると、その新しいポリエチレンは、水トリーの発生を大幅に抑制でき、電気絶縁性を改良できると記載されている。
【0004】
ところが、前記の新しいポリエチレンは分子量分布が狭いことから、実際に肉厚の被覆層を形成する電力ケーブルの製造に適用すると、押出加工性が良好でなく、形成された被覆層表面に肌荒れを生じることがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、エチレン系重合体が本来的に具備している電気絶縁性、機械的強度、耐摩耗性、架橋特性を保持しつつ、外観の良好な被覆層を有する電力ケーブルを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、導体または導体遮蔽層がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を含む絶縁材料によって被覆された電力ケーブルであって、そのエチレン・α−オレフィン共重合体が次に示す条件(A)〜(E)
(A)密度(d)が0.880〜0.950(g/cm3)
(B)メルトフローレート(MFR)が0.01〜20(g/10分)
(C)190℃における溶融張力(MT(g))とメルトフローレート(MF R(g/10分))との関係が
MT≦2.2×MFR-0.84
【0007】
(D)23℃におけるデカン可溶成分量率(W(重量%))と密度(d)との関係が
MFR≦10(g/10分)のとき:
W<80×exp{−100(d−0.88)}+0.1
MFR>10(g/10分)のとき:
W<80×(MFR−9)0.26×exp{−100(d−0.88)}+0.1
【0008】
(E)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の
温度(Tm(℃))と密度(d)との関係が
Tm<400×d−244
を満たした電力ケーブルに関し、その被覆層は機械的強度や耐摩耗性に優れている。
【0009】
絶縁材料は、前記したエチレン・α−オレフィン共重合体に高圧法低密度ポリエチレンや他のエチレン・α−オレフィン共重合体を配合した組成物であってもよく、組成物にすることによって押出成形性が改良される。
【0010】
また、前記の絶縁材料中には架橋剤が配合され、押出被覆後、被覆層に架橋処理が施されることが好ましく、それによって絶縁材料は架橋構造へと変わり、被覆層は機械的強度、耐摩耗性、耐熱性等がより一層優れたものになる。特に被覆層が次の物性
(1)引張強さが15MPa以上であり、
(2)引張伸びが400%以上であり、
(3)テーバー摩耗試験法により測定される摩耗量が15mg以下
を有していると、電力ケーブルに好適な物性を備えた被覆層になるので好ましい。
【0011】
【発明の具体的説明】
本発明は、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む絶縁材料を導体または半導電層のような導体遮蔽層上に押出被覆した電力ケーブルに関するもので、次にその構成について具体的に説明する。
【0012】
エチレン・α−オレフィン共重合体
絶縁材料層は、主にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体から形成されており、炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
【0013】
共重合体中のエチレン含量は、通常94〜99モル%、好ましくは96〜98モル%であり、コモノマーであるα−オレフィン含量は、通常1〜6モル%、好ましくは2〜4モル%であって、エチレンとα−オレフィンとがランダム共重合している。ここで、エチレンおよびα−オレフィン含量は、13C−NMRを用いて測定することができる。
【0014】
すなわち、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料について、その13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz 、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の条件下で測定して求められる。
【0015】
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、その密度が0.880〜0.950(g/cm3)、好ましくは0.890〜0.935(g/
cm3)の範囲にある。密度がこの範囲にあると、電線被覆層に柔軟性が付与されることから好都合である。なお、密度は、メルトフローレート測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、その後1時間かけて室温まで徐冷してから密度勾配管を用いて測定される。
【0016】
また共重合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定した値が、0.01〜20(g/10分)、好ましくは0.3〜10(g/10分)である。MFRがこの範囲にあると、速い成形スピードでかつ外観の良好な被覆層が得られるので好ましい。
【0017】
さらに、この共重合体の190℃における溶融張力(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))とは、次の関係にある。
MT≦2.2×MFR-0.84
【0018】
MTとMFRとの関係が前記の式を満たすと、溶融張力が押出成形に適した値になり、溶融ダレの発生を防ぐことができるので好ましい。なお、溶融張力は、溶融重合体を一定速度で延伸した時の応力を測定することによって求められる。すなわち、樹脂ペレットをMT測定機(東洋精機製作所製)へと供給し、樹脂温度190℃、押出速度15mm/分、巻取り速度10〜20m/分、ノズル径2.09mmφ、ノズル長8mmの条件で測定される。
【0019】
一方、この共重合体は、23℃におけるデカン可溶成分量率(W(重量%))と密度(d)とが次の関係を満たしている。
MFR≦10(g/10分)のとき:
W<80×exp{−100(d−0.88)}+0.1
好ましくは、
W<60×exp{−100(d−0.88)}+0.1
より好ましくは、
W<40×exp{−100(d−0.88)}+0.1
MFR>10(g/10分)のとき:
W<80×(MFR−9)0.26×exp{−100(d−0.88)}+0.1
エチレン・α−オレフィン共重合体がこの様な関係にあると、その中には低分子量成分の含有量が少ないので、被覆層表面へのブリードアウトによる白化現象を防止することができる。
【0020】
デカン可溶成分率(W)は、共重合体約3gをn−デカン450mlに加え、145℃で溶解後、23℃まで冷却し、ろ過によりn−デカン不溶部を除き、ろ液よりn−デカン可溶部を回収する操作によって、可溶成分量および不溶成分量の各々を測定し、次式でW値を求めた。
W={n−デカン可溶成分量/(n−デカン可溶成分量+不溶成分量)}×100 (重量%)
【0021】
さらに、示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と密度(d)とが次の関係にある。
Tm<400×d−244
前記の関係にあると、エチレン・α−オレフィン共重合体は、その組成分布が狭いことを示し、耐摩耗性等の機械的強度に優れた被覆層を形成する。
【0022】
ここで、DSCによる最大ピーク温度の測定は、パーキンエルマー社製DSC−7型機を用いて行った。すなわち、共重合体試料約5mgをアルミパンに詰め、10℃/分の速度で200℃まで昇温してからそこで5分間保持し、その後、20℃/分の速度で室温まで降温し、再び10℃/分で昇温して吸熱曲線を測定し、その際の吸熱曲線から最大ピークを示す温度を求めた。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体は、DSCによって測定したその吸熱曲線に、最大ピークの他に少なくとも1個以上のピークを有する共重合体であってもよい。
【0023】
前記した条件(A)〜(E)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体は、機械的強度や耐摩耗性に優れた絶縁材料であり、電力ケーブル用被覆層として好適に使用することができる。
【0024】
またこの共重合体は、昇温溶出試験(TREF)において、100℃未満では溶出しない成分が存在し、かつその量は10重量%以下、好ましくは8重量%以下であることが望ましい。この不溶成分量を有する共重合体は、架橋効率や引張特性に優れている。
【0025】
ここで昇温溶出試験は、Journal of Applied Polymer Science, Vol.26, 4217-4231 (1981) に記載の方法で行うことができる。この方法は、試料溶液を不活性担体表面に接触させて、担体表面上に薄いポリマー層を形成させ、次に温度を連続的にまたは段階的に上昇させて、ポリマーを徐々に溶媒であるo−ジクロロベンゼンに溶解させる方法である。
【0026】
またこの共重合体は、その重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.0〜8.0、好ましくは2.5〜7.0であることが望ましい。この範囲にあると、低分子量ポリマー成分が少ないので、被覆層表面のベトツキが少なく、押出特性も良好になる。
【0027】
なお、Mw/Mnの値は、GPCを用いて共重合体のMwおよびMnをそれぞれ測定し、算出した。GPC測定条件は、ウオーターズ社製GPCモデルALC−GPC−150Cを用い、カラムとして東ソー製PSK−GMH−HTを用い、o−ジクロロゼンゼン溶媒によって140℃で行った。
【0028】
また、この共重合体は、一般式
B=P0E/(2P0・PE)
で表されるB値が、1.00≦B
好ましくは、1.01≦B≦1.50
より好ましくは、1.01≦B≦1.30
の範囲にあることが望ましい。
ここで、PEは共重合体中のエチレン成分の含有モル分率を示し、POはα−オレフィン成分の含有モル分率を示し、P0Eは全dyad連鎖のα−オレフィン・エチレン連鎖のモル分率を示す。
【0029】
このB値は、共重合体鎖中における各モノマー成分の分布状態を表す指標であって、G.J.Ray (Macromolecules,10,773(1977)、
J.C.Randall (Macromolecules,15,353,(1982)、
J.Polymer Science,Polymer Physics Ed.,11,275(1973))、
K.Kimura(Polymer,25,441(1984))
らの報告に基づいて、PE、PO、およびPOEを求めることによって算出される。B値が大きい程、ブロック的な連鎖が少なく、エチレンおよびα−オレフィンの分布が一様であり、組成分布が狭い共重合体であることを示している。
【0030】
なお、B値は、10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRのスペクトルを、通常、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz、スペクトル幅1500Hz、フィルター幅1500Hz、パルス繰り返し時間4.2秒、パルス幅7μ秒、積算回数2000〜5000回の条件の下で測定し、このスペクトルから
PE、PO、POEを求めることにより算出した。
【0031】
さらに、この共重合体は、190℃におけるずり応力が2.4×106dyne/cm2に到達する時のずり速度で定義される流動性インデックス(FI)と、メルトフローレート(MFR)とが、次の関係にあることが好ましい。
FI<75×MFR
共重合体がこの二つのファクターの関係式を満たしていると、樹脂の溶融時の流動性がよく押出成形性を良好にする。
【0032】
ここで、流動性インデックス(FI)は、ずり速度を変えながら共重合体をキャピラリーから押出し、その時の応力を測定することによって求められる。その時の条件としては、毛細管式流れ特性試験機(東洋精機製作所製)に樹脂ペレットを入れ、樹脂温度を190℃とし、ずり応力範囲は5×104〜3×106(
dyne/cm2)程度である。この時の樹脂のMFR値によって、ノズル径を次のように変更して測定する。
【0033】
エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法
前述した物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体は、次に説明するオレフィン重合触媒成分(a)〜(e)を用い、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを重合系に供給することによって製造することができる。
(a)シクロぺンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属
化合物
(b)有機アルミニウムオキシ化合物
(c)担体
(d)必要に応じて、有機アルミニウム化合物
【0034】
まずオレフィン重合触媒について説明する。
[(a)遷移金属化合物]
触媒系の中心になるこの化合物は、シクロぺンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期律表第IV族の遷移金属化合物であって、次の一般式で表される。
ML(x) ・・・・・・・(I)
【0035】
(式中、Mは周期律表第IV族から選ばれる遷移金属を示し、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムであって、
Lは遷移金属原子に配位する配位子を示し、
これらのうち少なくとも2個の配位子Lは、シクロペンタジエニル基、あるいは炭素数1〜10の炭化水素基から選ばれる置換基を1種以上有する置換シクロペンタジエニル基であり、
それ以外の配位子Lは、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子で
あって、
各配位子および各置換基は同一でも異なっていてもよい。
xは遷移金属原子Mの原子価を示す。)
【0036】
このような一般式で表わされる遷移金属化合物の例としては、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチル-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチル-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
【0037】
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムハイドライドクロリド、
【0038】
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムブトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジエトキシド、
【0039】
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムベンジルクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムフェニルクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムハイドライドクロリド
などが挙げられる。
【0040】
なお、前記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。前記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0041】
これらの、一般式で表わされる遷移金属化合物のうちでは、特に次の化合物が好ましい。
ビス(n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
ビス(1-メチル-3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
ビス(1-メチル-3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
ビス(1,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
ビス(1-メチル-3-エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
【0042】
用いられる遷移金属化合物は、前記一般式で表される遷移金属化合物の2種以上の混合物であってもよい。
具体的には、ビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとの組み合わせ、ビス(1,3-n-プロピルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとの組み合わせ、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドとの組み合わせが挙げられる。
【0043】
[(b)有機アルミニウムオキシ化合物]
有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のベンゼン可溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。有機アルミニウムオキシ化合物は、単独であるいは2種以上を組合せて用いることもできる。
【0044】
そのような有機アルミニウムオキシ化合物は、例えば次に記す方法によって調製することができる。
(1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させ、炭化水素溶液として回収する方法。
【0045】
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷、あるいは水蒸気を作用させて炭化水素の溶液として回収する方法。
【0046】
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0047】
アルミノオキシ化合物を調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的に次の化合物を例示することができ、それらは単独で、また2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert- ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム
【0048】
(2)トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム
(3)ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド
(4)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド
【0049】
(5)ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド
(6)ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシド
これらの内でも、特にトリアルキルアルミニウムの使用が好ましい。
【0050】
また、この有機アルミニウム化合物として、一般式
(i-C4H9)xAly(C5H10)z
(x、y、zは正の数であり、z≧2xである)
で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0051】
アルミノオキシ化合物の調製の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは前記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0052】
また前記ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下であり、ベンゼンに対して不溶性あるいは難溶性である。
【0053】
[(c)担体]
使用される担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機担体としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、Sb2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等またはこれらの混合物、例えばSiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgO等を例示することができる。これらの中でSiO2およびAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0054】
このような担体はその種類および製法により性状は異なるが、好ましく用いられる担体は、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3/gであることが望ましい。この担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いてもよい。
【0055】
この他に使用可能な担体としては、粒径が10〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜14のα−オレフィンを主成分とする(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分とする重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0056】
[(d)有機アルミニウム化合物]
必要に応じて加えられる有機アルミニウム化合物は、次の一般式で表される化合物を例示することができる。
R1(n)AlX(3-n) ・・・・・・・(II)
(式中、R1は炭素数1〜12の炭化水素基を示し、
Xはハロゲン原子または水素原子を示し、
nは1〜3である。)
【0057】
R1としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基あるいはアリ−ル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0058】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には以下のような化合物が挙げられる。
(1)トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム
(2)イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム
(3)ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド
【0059】
(4)メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド
(5)メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド
(6)ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど
【0060】
また有機アルミニウム化合物(d)として、次の一般式で表される化合物
R1(n)AlY(3-n) ・・・・・(III)
を用いることもできる。
【0061】
(式中、R1は前記一般式(II)中のR1と同様の炭化水素基を示し、
Yは−OR2基、−OSi(R3)3基、−OAl(R4)2基、−N
(R5)2基、−Si(R6)3基または−N(R7)Al(R8)2基を示し、
nは1〜2であり、
R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、
R5は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、
R6およびR7はメチル基、エチル基などである。)
【0062】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、次のような化合物が用いられる。
(1)R1(n)Al(OR2)(3-n) で表される化合物、
例えば ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど;
【0063】
(2)R1(n)Al(OSi(R3)3)(3-n) で表される化合物、
例えば Et2Al(OSi Me3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3)など;
(3)R1(n)Al(OAl(R4)2)(3-n) で表される化合物、
例えば Et2AlOAlEt2 、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など;
(4) R1(n)Al(N(R5)2)(3-n) で表される化合物、
例えば Me2AlNEt2 、Et2AlNHMe 、Me2AlNHEt 、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN(SiMe3)2など;
【0064】
(5)R1(n)Al(Si(R6)3)(3-n)で表される化合物、
例えば (iso-Bu)2AlSi Me3 など;
(6)R1(n)Al(N(R7)Al(R8)2)(3-n)で表される化合物、
例えば Et2AlN(Me)AlEt2、(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2など。
【0065】
前記一般式(II)および(III)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式(R1)3Al、(R1)nAl(OR2)(3-n)、(R1)nAl(OAl(R4)2)(3-n)で表わされる化合物が好ましく、特にR1がイソアルキル基であり、n=2である化合物が好ましい。
【0066】
[触媒調製法]
オレフィン重合触媒は、成分(a)、成分(b)、および担体(c)、必要に応じて成分(d)を接触させることにより調製される。この時の各成分の接触順序は、任意に選ばれるが、好ましくは担体(c)と成分(b)とを混合接触させ、次いで成分(a)を混合接触させ、さらに必要に応じて成分(d)を混合接触させる。
【0067】
各成分の接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができ、触媒の調製に用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0068】
成分(a)、成分(b)、担体(c)、および必要に応じて成分(d)を混合接触するに際して、成分(a)は担体(c)1g当り、通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いられ、成分(a)の濃度は、約10-4〜2×10-2モル/リットル、好ましくは2×10-4〜10-2モル/リットルの範囲である。成分(b)のアルミニウムと成分(a)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(d)のアルミニウム原子(Al-d)と成分(b)のアルミニウム原子(Al-b)の原子比(Al-d/Al-b)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。成分(a)、成分(b)、担体(c)および必要に応じて成分(d)を混合接触する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1分〜50時間、好ましくは10分〜25時間である。
【0069】
このようにして得られたオレフィン重合触媒は、担体(c)1g当り成分(a)に由来する遷移金属原子が5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、また担体(c)1g当り成分(b)および成分(d)に由来するアルミニウム原子が10-3〜5×10-2グラム原子、好ましくは2×10-3〜2×10-2グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0070】
オレフィン重合触媒は、また成分(a)、成分(b)、担体(c)、および必要に応じて成分(d)の存在下にオレフィンを予備重合させて得られる予備重合触媒であってもよい。予備重合は、成分(a)、成分(b)、担体(c)および必要に応じて成分(d)の存在下、不活性炭化水素溶媒中にオレフィンを導入することにより行うことができる。
【0071】
予備重合の際に用いられるオレフィンとしては、炭素数が2〜20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、11−テトラデセンなどを例示することができる。これらの中では、重合の際に用いられるエチレン、あるいはエチレンとα−オレフィンとの組合せが特に好ましい。
【0072】
予備重合する際には、成分(a)は、通常10-6〜2×10-2モル/リットル、好ましくは5×10-5〜10-2モル/リットルの量で用いられ、成分(a)は担体(c)1g当り、通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いらる。成分(b)のアルミニウムと成分(a)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(d)のアルミニウム原子(Al-d)と成分(b)のアルミニウム原子(Al-b)の原子比(Al-d/Al-b)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。予備重合温度は−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、また予備重合時間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。
【0073】
予備重合触媒は、例えば次の方法で調製される。すなわち、担体(c)を不活性炭化水素中で懸濁状にする。次いで、この懸濁液に有機アルミニウムオキシ化合物(成分(b))を加え、所定の時間反応させる。その後上澄液を除去し、得られた固体成分を不活性炭化水素中で再懸濁化する。この系内へ遷移金属化合物(成分(a))を加え、所定時間反応させた後、上澄液を除去し固体触媒成分を得る。続いて有機アルミニウム化合物(成分(d))を含有する不活性炭化水素中に、前記で得られた固体触媒成分を加え、そこへオレフィンを導入することにより、予備重合触媒が得られる。
【0074】
予備重合で生成するオレフィン共重合体は、担体(c)1g当り0.1〜500g、好ましくは0.2〜300g、より好ましくは0.5〜200gの量であることが望ましい。また、予備重合触媒には、担体(c)1g当り成分(a)は遷移金属原子として約5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、成分(b)および成分(d)に由来するアルミニウム原子(Al)は、成分(a)に由来する遷移金属原子(M)に対するモル比(Al/M)で、5〜200、好ましくは10〜150の範囲の量で担持されていることが望ましい。
【0075】
予備重合は、回分式あるいは連続式のいずれでも行うことができ、また減圧、常圧あるいは加圧下のいずれでも行うことができる。予備重合においては、水素を共存させて、少なくとも135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.2〜7(dl/g)の範囲、好ましくは0.5〜5(dl/g)であるような予備重合体を製造することが望ましい。
【0076】
[重合方法]
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、前記のようなオレフィン重合触媒または予備重合触媒の存在下に、エチレンと炭素数が3〜20のα−オレフィンとを共重合することによって得られる。
【0077】
エチレンとα−オレフィンとの共重合は、気相であるいはスラリー状の液相で行われる。スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン自体を溶媒にすることもできる。
【0078】
スラリー重合において用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
【0079】
スラリー重合法または気相重合法で実施する際には、前記のようなオレフィン重合触媒または予備重合触媒は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
【0080】
また、重合に際して成分(b)と同様の有機アルミニウムオキシ化合物および/または有機アルミニウム化合物(d)を添加してもよい。この際、有機アルミニウムオキシ化合物および有機アルミニウム化合物に由来するアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物(a)に由来する遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150の範囲である。
【0081】
スラリー重合法を実施する際には、重合温度は、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の範囲にあり、気相重合法を実施する際には、重合温度は、通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の範囲である。
【0082】
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行うことが可能であり、さらに2段重合等の多段で重合を行うこともできる。
さらに重合は、1個または複数の重合器を用いて、共重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0083】
絶縁材料および被覆層
本発明に係わる絶縁材料は、これまでに説明したエチレン・α−オレフィン共重合体を含む樹脂であって、エチレン・α−オレフィン共重合体のみから構成されていてもよいし、あるいはそれに他のエチレン系重合体を配合した樹脂組成物にしてもよい。エチレン・α−オレフィン共重合体は前述したように、機械的物性、耐摩耗性、熱安定性の良好な被覆層を得ることができる。
【0084】
絶縁材料として樹脂組成物を使用する場合の一態様として、高圧法低密度ポリエチレンとの組成物がある。その場合には、エチレン・α−オレフィン共重合体が70〜97重量%、より好ましくは80〜95重量%、高圧法低密度ポリエチレンが3〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%から構成される組成物であることが望ましい。使用可能な高圧法低密度ポリエチレンは、密度が0.917〜0.928(g/cm3)、MFR0.1〜5(g/10分)であることが望ましい。このように高圧法低密度ポリエチレンが配合されると、一層流動性および成形性が改良され、高吐出量で溶融ダレのない成形加工が可能になる。
【0085】
また他のエチレン・α−オレフィン共重合体を配合した樹脂組成物の例として、前述したと同様のメタロセン触媒を用いて製造されるが、物性の異なる別のエチレン・α−オレフィン共重合体(2)が使用される。すなわち、
(1)前記したエチレン・α−オレフィン共重合体10〜90重量%、および
(2)エチレンと炭素数3−20のα−オレフィンとの共重合体10〜90重量%とから構成されている。この様な組成物を用いると、溶融張力が向上するために成形性よく被覆層を形成することができる。
【0086】
そのエチレン・α−オレフィン共重合体(2)は、次に示す条件(i)〜(v)を満たしている。
(i) 密度(d)が0.880〜0.940(g/cm3)
(ii) メルトフローレート(MFR)が3〜60(g/10分)
(iii) 190℃における溶融張力(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))との関係が
MT>2.2×MFR-0.84
【0087】
(iv) 23℃におけるデカン可溶成分量率(W(重量%))と密度(d)との関係が
MFR≦10(g/10分)のとき:
W<80×exp{−100(d−0.88)}+0.1
MFR>10(g/10分)のとき:
W<80×(MFR−9)0.26×exp{−100(d−0.88)}+0.1
(v) 示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と密度(d)との関係が
Tm<400×d−248
【0088】
またこの絶縁材料には架橋剤を配合することができ、架橋剤としては過酸化物が使用できるが、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のシラン化合物の使用が好適である。その配合量は、絶縁材料100重量部に対して0.3〜5、好ましくは0.5〜3重量部が望ましい。シラン化合物を用いると、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む絶縁材料を速い架橋速度で、かつ適度な架橋密度に架橋させることができ、その結果機械的強度および耐摩耗性の良好な被覆層を形成することができる。
【0089】
前記のシラン化合物を用いる時には、シラン化合物をエチレン・α−オレフィン共重合体、あるいはそれに他のエチレン系重合体を配合した樹脂組成物へのグラフト化反応を促すために過酸化物が同時に配合される。使用できる過酸化物としては、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)−4−イソプロピルベンゼン、1−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)−3−イソプロピルベンゼン等を例示することができる。これらの過酸化物は、絶縁材料100重量部に対して0.03〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部配合される。またこの際、架橋触媒を併用することができ、例えば、ジ−n−ブチルスズジラウレートやジ−n−オクチルスズジラウレート等を挙げることができる。
【0090】
架橋剤としてのシラン化合物を配合した場合には、水との反応によって架橋反応が起こる。また、本発明に係わるエチレン・α−オレフィン共重合体は、電子線等の電離性放射線の照射によっても架橋させることができる。そして、最終的に架橋度が25%以上、好ましくは40%以上となるように、架橋方法、架橋剤の種類および配合量、架橋条件を選べばよい。
【0091】
また、絶縁材料には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐候性安定剤、光安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、染料、核剤、塩酸吸収剤、可塑剤などの添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0092】
電力ケーブル
押出被覆用の成形機中で溶融された絶縁材料は、押出機の先端方向へと送られる。一方、押出機先端に設置されたクロスヘッドダイには導体が供給され、その導体の周囲に前記の溶融された絶縁材料が押出され、導体は被覆され、被覆ケーブルが製造される。
【0093】
架橋剤としてのシラン化合物を配合した絶縁材料を使用した場合には、前記の方法で被覆層を形成した後、被覆成形物を水中に浸漬するか、あるいは空気中に放置することで、絶縁材料は水の作用によって架橋される。
【0094】
被覆ケーブルの一製造方法としては、まずエチレン・α−オレフィン共重合体、もしくはエチレン・α−オレフィン共重合体と他のエチレン系重合体との組成物を押出機のホッパーに導入する。一方シラン化合物、過酸化物、および架橋触媒(以降、3成分の混合物を架橋配合剤と呼ぶ)をホッパーと押出機の間、あるいは押出機のバレル部に連続的に注入し、それによってシラン化合物がグラフト共重合された絶縁材料が押出機中でつくられると共に導体は被覆される。その後被覆された導体を温水中に浸漬するか、あるいは空気中に放置することで、架橋された絶縁材料を導体周囲に被覆した電力ケーブルを製造することができる。
【0095】
あるいは別の方法として、まずエチレン・α−オレフィン共重合体、もしくはエチレン・α−オレフィン共重合体と他のエチレン系重合体との組成物にシラン化合物および過酸化物を配合して予めグラフト化物を製造し、これに架橋触媒マスターバッチを加えて押出機に導入し、導体周囲を被覆する。その後被覆導体を温水中に浸漬するか、あるいは空気中に放置することで、絶縁材料は架橋され、被覆ケーブルが製造される。
【0096】
絶縁材料中に架橋剤が配合され、かつ押出成形後に架橋処理された場合には、導体または導体遮蔽層上に被覆された絶縁材料層は架橋構造へと変り、耐熱性やヒートサイクル性が向上する。特にその架橋された絶縁材料は、次の特性を有していると、電力ケーブル被覆層として好適である。
(1)引張強さが15MPa以上
(2)引張伸びが400%以上
(3)テーバー摩耗試験法により測定される摩耗量が15mg以下
【0097】
【実施例】
次に本発明を実施例を通して説明するが、本発明はそれら実施例によってなんら限定されるものではない。
まず、使用したエチレン・α−オレフィン共重合体は、次に記す方法によって製造した。
【0098】
[触媒の調製]
250℃で10時間乾燥したシリカ6.3kgを100リットルのトルエンで懸濁状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアミノオキサンのトルエン溶液(Al=0.96モル/リットル)41リットルを1時間かけて滴下した。この際、系内の温度を0℃に保った。引続き0℃で30分間反応させ、次いで1.5時間かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し上澄液をデカンテーション法により除去した。
【0099】
このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン125リットルで再懸濁化した。この系内へビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr=42.7ミリモル/リットル)15リットルを30℃で30分間かけて滴下し、更に30℃で2時間反応させた。その後、上澄液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1g当り
6.2mgのジルコニウムを含有する固体触媒を得た。
【0100】
[予備重合触媒の調製]
14モルのトリイソブチルアルミニウムを含有する300リットルのヘキサンに、上記で得られた固体触媒8.5kgを加え、35℃で7時間エチレンの予備重合を行うことにより、固体触媒1g当り3gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0101】
[重 合]
連続式流動床気相重合装置を用い、全圧18kg/cm2-G、重合温度80℃でエチレンと1−ヘキセンとの共重合を行った。先に調製した予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.15ミリモル/h、トリイソブチルアルミニウムを10ミリモル/hの割合で連続的に供給し、重合の間一定のガス組成を維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素、窒素を連続的に供給した(ガス組成;1−ヘキセン/エチレン=0.020、水素/エチレン=6.6×10-4、エチレン濃度=10%)。
【0102】
得られたエチレン・α−オレフィン共重合体の性状を表1に記載した。なお、この共重合体中のα−オレフィンの分布状態を示すB値は、1.02であった。
実施例2〜3、比較例1では、重合条件を変えて同様にしてエチレン・α−オレフィン共重合体を製造し、その性状を表1に記載した。
【0103】
(実施例1)
エチレン・α−オレフィン共重合体を100mmφの一軸押出機に供給し、一方クロスヘッドダイに16mmφの導体を供給し、吐出量150kg/h、樹脂温度235℃の成形条件で連続的に導体上に被覆操作を行い、厚さ2.5mmの被覆層を形成させた。
得られた被覆電力ケーブルの被覆層の物性を測定し、その結果を表1に記載した。
【0104】
なお、物性は、次の方法によって測定した。
(1)破断点強度および破断点伸度:JIS C3005に準拠して行った。
(2)テーパー摩耗:JIS K7204に準拠し、荷重1kg、摩耗輪CS−17、60rpm、1000回の条件で行った。
【0105】
(実施例2〜3)
表1に性状を記したエチレン・α−オレフィン共重合体100重量部にシラン化合物を含む架橋配合剤1.1重量部を混合し、実施例1と同様の成形条件で導体上に被覆し、その後80℃の温水に24時間浸漬した。なお、ここで使用した架橋配合剤は、ビニルメトキシシラン、ジクミルパーオキシド、およびジブチルスズジラウレートの混合物(配合比;100:10:4.1(重量比))であった。
得られた電力ケーブルの被覆層の物性を測定し、その結果を表1に併せて記載した。なお、ゲル分率は、JIS C3005に準拠して測定した。
【0106】
(実施例4〜5)
絶縁材料として、実施例2および3で使用したエチレン・α−オレフィン共重合体それぞれ85重量部に、高圧法低密度ポリエチレン(密度0.920g/
cm3、MFR0.15g/10分)15重量部を配合した以外は実施例2と同様の操作を行った。組成物の物性(架橋前)、および得られた電力ケーブルの被覆層の物性を各々測定し、その結果を表1に併せて記載した。
【0107】
(比較例1)
表1記載の物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返し、得られた電力ケーブルの被覆層の物性を測定し、その結果を表1に併せて記載した。
【0108】
(比較例2)
特公昭63−54289号公報記載のチタン系触媒(チーグラー系触媒)およびトリエチルアルミニウムを用い、エチレン・α−オレフィン共重合体を実施例1と同様にして製造した。エチレン含量は3.0モル%で、その他の性状を表1に記載した。この共重合体を用い、実施例1と同様の操作を行って電力ケーブルを得た。得られた電力ケーブルの被覆層の物性を測定し、その結果を表1に併せて記載した。
【0109】
(比較例3)
比較例2で製造したエチレン・α−オレフィン共重合体85重量部に、高圧法低密度ポリエチレン15重量部、および実施例2で使用したと同じ架橋配合剤1.1重量部を混合した以外は実施例4と同様の操作を繰り返した。組成物の物性、および得られた電力ケーブルの被覆層の物性を測定し、その結果を表1に併せて記載した。
【0110】
なお、表1において
式(1)は、2.2×MFR-0.84
式(2)は、80×exp{−100(d−0.88)}+0.1
式(3)は、400×d−244
を各々示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【発明の効果】
本発明に係わる電力ケーブルは、組成分布が狭いエチレン・α−オレフィン共重合体を含む絶縁材料を使用したので、エチレン系重合体が本来的に有している優れた電気絶縁性を保持した上に、機械的強度および耐摩耗性に優れた被覆層を形成することができ、また水トリーの発生を抑制することができた。
さらに、この架橋された被覆層を有する電力ケーブルは、一層、耐摩耗性、引張強度に優れており、またその被覆層表面には肌荒れがなく、良好な外観を有していた。
Claims (10)
- 導体または導体遮蔽層がエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を含む絶縁材料によって被覆された電力ケーブルであって、そのエチレン・α−オレフィン共重合体が次に示す条件(A)〜(E)
(A)密度(d)が0.880〜0.950(g/cm3)
(B)メルトフローレート(MFR)が0.01〜20(g/10分)
(C)190℃における溶融張力(MT(g))とメルトフローレート(MF R(g/10分))との関係が
MT≦2.2×MFR-0.84
(D)23℃におけるデカン可溶成分量率(W(重量%))と密度(d)との関係が
MFR≦10(g/10分)のとき:
W<80×exp{−100(d−0.88)}+0.1
MFR>10(g/10分)のとき:
W<80×(MFR−9)0.26×exp{−100(d−0.88)}+0.1
(E)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と密度(d)との関係が
Tm<400×d−244
を満たすことを特徴とする電力ケーブル。 - 前記のエチレン・α−オレフィン共重合体が、その重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.0〜8.0であることを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル。
- 前記のエチレン・α−オレフィン共重合体が、昇温溶出試験(TREF)において100℃未満では溶出しない成分が存在し、かつその量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電力ケーブル。
- 前記のエチレン・α−オレフィン共重合体が、DSCによって測定した吸熱曲線に前記の最大ピークとは別にさらに他のピークが少なくとも1個以上有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力ケーブル。
- 前記の絶縁材料が、エチレン・α−オレフィン共重合体70〜97重量%および高圧法低密度ポリエチレン3〜30重量%とからなる組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力ケーブル。
- 前記の絶縁材料が、
(1)請求項1記載のエチレン・α−オレフィン共重合体10〜90重量%、
および
(2)エチレンと炭素数3−20のα−オレフィンとの共重合体10〜90重量%とからなる組成物であって、
そのエチレン・α−オレフィン共重合体(2)が、次に示す条件(i)〜(v)
(i) 密度(d)が0.880〜0.940(g/cm3)
(ii) メルトフローレート(MFR)が3〜60(g/10分)
(iii)190℃における溶融張力(MT(g))とメルトフローレート(MFR(g/10分))との関係が
MT>2.2×MFR-0.84
(iv) 23℃におけるデカン可溶成分量率(W(重量%))と密度(d)との関係が
MFR≦10(g/10分)のとき:
W<80×exp{−100(d−0.88)}+0.1
MFR>10(g/10分)のとき:
W<80×(MFR−9)0.26×exp{−100(d−0.88)}+0.1
(v)示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と密度(d)との関係が
Tm<400×d−248
を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電力ケーブル。 - 前記の絶縁材料中に架橋剤が配合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電力ケーブル。
- 前記の架橋剤が、シラン化合物であることを特徴とする請求項7に記載の電力ケーブル。
- 前記の絶縁材料が、架橋されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電力ケーブル。
- 前記の架橋された絶縁材料の被覆層が、
(1)引張強さが15MPa以上であり、
(2)引張伸びが400%以上であり、
(3)テーバー摩耗試験法により測定される摩耗量が15mg以下
であることを特徴とする請求項9に記載の電力ケーブル。
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