JP4217494B2 - 電子的撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影した画像をデジタルデータとして記録する電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影レンズ等の撮影光学系によって光学的に撮影された被写体像を撮像素子等の撮像手段によって光電変換し、この光電変換された電気信号としての画像信号を電子的に記録するようにした電子カメラ等の電子的撮像装置(以下、電子カメラという)が広く普及している。
【0003】
この結果、顕微鏡による観察像を記録するために、観察像を銀塩フィルムを使用したカメラにより撮影する方法が用いられていたが、最近では電子カメラの高性能化にともない、観察像を電子カメラにより撮像する方法が多く用いられるようになっている。
【0004】
この電子カメラにおいては、撮像手段としてCCD等の固体撮像素子が一般的に利用されている。また、電子カメラによって撮影され記録された画像を再生表示する表示装置として、CRT等のブラウン管を使用したものや液晶表示装置(LCD)等が一般に利用されている。
【0005】
電子カメラのCCDに入射する入射光量(入力)と出力信号との関係を示す光電変換特性、即ち階調特性であるγ(ガンマ)特性の傾きは、一般的には広い範囲にわたって一定であることが望ましい。しかし、上述の表示装置の電気−光変換特性(γ特性)は、非線形特性を有しているので、この表示装置を用いて電子カメラで撮影した画像を良好に再生表示するためには、電子カメラの入射光の強度と表示装置の発光強度とが比例するように、画像出力信号に対してγ補正処理を施す必要がある。
【0006】
このγ補正処理技術としては、画像データの出力先の種類に応じたガンマγ特性が用いられることを特徴とするものが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−113006号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、γ特性が変化するとそれに伴って、色再現及びエッジ強調感が変化し、エッジ強調によるS/Nが低下するという問題点がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、γ特性を変化させても色再現、エッジ強調感の変化が少なく、エッジ強調によるS/Nの低下が少ない電子的撮像装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するための、本発明の第1の局面に係る電子的撮像装置は、固体撮像素子と、固体撮像素子によって得られる画像信号に対して、複数種類の階調特性から選択された1つの階調特性に補正する可変階調特性補正手段と、固体撮像素子によって得られる画像信号に基づいて、被写体の照明光源の種類を認識する光源認識手段と、光源認識手段の認識結果と撮影動作時に選択された階調特性とに応じて色補正処理を切り換える可変色補正手段とを有し、可変色補正手段は、前記光源認識手段の認識結果に応じて色補正係数行列を選択し、この選択した色補正行列を、前記選択された階調特性に応じて選択されたマトリクス補正係数で補正する。
【0013】
この構成によれば、光源認識手段によって撮影時の照明光源の種類を認識するようにし、この認識結果に基いて色補正処理を行なうようにし、さらに階調特性に基いて色補正処理を切り換えるようにしたので、撮影時の被写体の照明条件および階調特性によらずに、最適な色再現性を確保することができ、撮影された画像信号をより良好な画像として表示装置に再生表示し得る電子的撮像装置を提供することができる。
【0014】
また本発明の他の局面に係る電子的撮像装置は、固体撮像素子と、固体撮像素子によって得られる画像信号に基づいて、画素値のヒストグラムを作成して被写体の輝度分布を認識する輝度分布認識手段と、固体撮像素子によって得られる画像信号に対して、複数種類の階調特性の内この輝度分布認識手段の認識結果に基づいて選択された1つの階調特性に補正する可変階調特性補正手段と、選択された階調特性に応じて色補正処理を切り換える可変色補正手段とを有する。
【0015】
この構成によれば、輝度分布認識手段によって撮影時の階調特性を切り換えるようにし、さらにこの階調特性に基いて色補正処理を切り換えるようにしたので、撮影時の被写体に合わせた階調および最適な色再現性を確保することができ、撮影された画像信号をより良好な画像として表示装置に再生表示し得る電子的撮像装置を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態に係る顕微鏡システムの構成を示す図である。図1において、顕微鏡本体1には、ステージ26上の試料3に対向する対物レンズ27が配置されている。また、この対物レンズ27を介した観察光軸上には、三眼鏡筒ユニット5を介して接眼レンズユニット6が配置されているとともに、結像レンズユニット100を介して電子カメラ36が配置されている。
【0023】
図2は、顕微鏡システムの詳細な構成を示す図である。図2では、透過明視野観察、暗視野観察、位相差観察、微分干渉観察、蛍光観察などの各種の検鏡法を適宜選択可能な構成を示している。
【0024】
図2に示す顕微鏡システムには、照明系として、透過照明光学系11及び落射照明光学系12が備えられている。透過照明光学系11には透過照明用光源13が備えられ、この透過照明用光源13から照射される透過照明光の光路上に、この透過照明光を集光するコレクタレンズ14、透過用フィルタユニット15、透過視野絞り16、透過シャッタ161、折曲げミラー17、透過開口絞り18、コンデンサ光学素子ユニット19、及びトップレンズユニット20が配置されている。また、落射照明光学系12には、落射照明用光源21が備えられ、この落射照明用光源21から照射される落射照明光の光路上に、落射用フィルタユニット22、落射シャッタ23、落射視野絞り24、及び落射開口絞り25が配置されている。
【0025】
透過照明光学系11と落射照明光学系12との各光軸が重なる観察光路S上には、観察の対象となる標本を載せる試料ステージ26、対物レンズ27が複数装着され、一つの対物レンズ27を回転動作で選択し観察光路S上に位置させるためのレボルバ28、対物レンズ側光学素子ユニット29、例えば透過明視野観察または蛍光観察などの各種検鏡法に応じて観察光路S上のダイクロイックミラーを切り替えるためのキューブユニット30、観察光路Sを観察光路S’と観察光路S”とに分岐するビームスプリッタ31が配置されている。このビームスプリッタ31は、三眼鏡筒ユニット5内に配置されている。
【0026】
ビームスプリッタ31で手前に折り曲げられた観察光路S’上には、接眼レンズ6aが配置されている。また、ビームスプリッタ31を透過した観察光路S”上には、中間変倍光学系(ズーム鏡筒)33、オートフォーカス(AF)ユニット371と写真接眼レンズユニット35からなる結像レンズユニット100、及び電子カメラ36が配置されている。
【0027】
中間変倍光学系(ズーム鏡筒)33は、電子カメラ36で撮像される像を変倍するための変倍ズームレンズ33aを内蔵している。なお、中間変倍が不要な場合は、この中間変倍光学系(ズーム鏡筒)33を取り外すことができる。電子カメラ36内には撮像素子42が配置されている。対物レンズ27からの光像は、写真接眼レンズユニット35内の写真接眼レンズ35aによって撮像素子42の撮像面に結像する。
【0028】
オートフォーカス(AF)ユニット371内には、ビームスプリッタ34が配置され、ここで観察光路S″から分岐された光路上には、AF用受光素子34aが配置されている。オートフォーカスユニット371は、この受光素子34aからの出力信号をもとに合焦検出を行なうもので、AF機能が不要な場合にはユニットごと取り外すことができる。
【0029】
透過照明光学系11における透過用フィルタユニット15、透過視野絞り16、透過シャッタ161、透過開口絞り18、コンデンサ光学素子ユニット19、及びトップレンズユニット20、落射照明光学系12における落射用フィルタユニット22、落射シャッタ23、落射視野絞り24、及び落射開口絞り25、レボルバ28、対物レンズ側光学素子ユニット29、キューブユニット30、ビームスプリッタ31、中間変倍光学系(ズーム鏡筒)33は、それぞれ、駆動回路部37からの各駆動信号によって図示しない各モータにより駆動される。
【0030】
一方、レボルバ28には、観察光路S上に位置される対物レンズ27の種類を検出する対物レンズ検出部38が配置され、対物レンズ側光学素子ユニット29には、リタデーション調整動作を検出するリタデーション調整動作検出部39が配置され、写真接眼レンズユニット35には、写真接眼レンズの種類を検出する写真接眼レンズ検出部40が配置されている。
【0031】
顕微鏡コントロール部41は、顕微鏡全体の動作を制御するもので、透過照明用光源13、落射照明用光源21、駆動回路部37、対物レンズ検出部38、リタデーション調整動作検出部39、写真接眼レンズ検出部40、及び電子カメラ36とが接続されている。
【0032】
顕微鏡コントロール部41は、検鏡者による図示しない操作部の操作に従って、透過照明用光源13及び落射照明用光源21の調光を行なうとともに、駆動回路部37に対して制御指示を行なう。さらに顕微鏡コントロール部41は、透過照明用光源13及び落射照明用光源21に対する制御状態、駆動回路部37に対する制御状態を始め、対物レンズ検出部38、リタデーション調整動作検出部39、写真接眼レンズ検出部40からの検出情報を電子カメラ36へ出力し、電子カメラ36での撮像条件を自動設定する。
【0033】
図3は、上記顕微鏡システムに用いられる電子カメラの構成を示すブロック図である。図3にて一点鎖線で囲まれる部分は、顕微鏡コントロール部41により撮像条件が設定される電子カメラ36の構成を示している。
【0034】
図3において、撮像素子42はカラー画像を撮像するものであり、上述した顕微鏡の写真接眼レンズユニット35とともに観察光路S”上に配置されている。CCD等の固体撮像素子(以下、単にCCDという)42は、顕微鏡により拡大される標本の観察像を撮像し光電変換する。
【0035】
電子カメラ36は、このCCD42の出力信号から画像信号成分を抽出するCDS回路(相関二重サンプリング回路;correlated double sampling)43と、このCDS回路43の出力信号レベルを所定のゲイン値に調整するためのAGC回路等を含むゲイン制御手段である増幅器(AMP)44と、このAMP44から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器45と、A/D変換器45から出力されるデジタル信号を記憶する第1のフレームメモリ46と、画像信号をRL信号,GL信号,BL信号の三原色の各色信号に分離する色分離回路47と、画像信号のホワイトバランス(WB)を調整するWB48と、色再現性を改善するための色補正を行う色補正回路49と、色信号のガンマ(γ)補正を行う色信号γ補正回路50と、R,G,Bの各色信号を輝度信号YLと二つの色差信号(R−Y信号及びB−Y信号)に変換して色相や色の飽和度等を調整する色差マトリクス回路51と、画像信号のγ補正を行うγ補正回路62と、このγ補正回路62によりγ補正された画像信号から輝度信号(Y信号)のみを抽出し生成するY信号生成部63と、このY信号から低周波成分を除去して輪郭信号(以下、エッジ信号という)を抽出するハイパスフイルタ(HPF)部64と、このHPF64により生成されたエッジ信号のノイズ成分を抑圧して、S/N比を改善させるコアリング処理を行うコアリング部65と、このコアリング部65によってコアリング処理が施されたY信号に所定の係数を掛け合わせる積算器を含み、エッジ強調処理を行うエッジ強調回路66と、このエッジ強調回路66から出力されるエッジ強調処理済みのY信号を上記色差マトリクス回路51から出力される色差信号用の輝度信号YLに加算して、輝度信号YHを出力する加算器52と、画像信号を表示可能な形態に処理する信号処理回路を含む表示手段である液晶ディスプレイ(LCD)59と、画像信号を一時的に記憶するメモリ等のカメラ内蔵記憶手段であるDRAM56と、画像信号の圧縮処理及び伸長処理を行う圧縮伸長回路57と、画像信号を保存するメモリカード等の記録媒体58と、撮影時にAF動作を開始させると共に、露光動作を開始させるトリガー信号を発生させ得るトリガースイッチ、シェーディング補正再撮り込みのトリガー信号、対物レンズ回転動作スイッチ、開口絞り開閉等の複数のスイッチからなる操作部61と、上記CCD42の駆動パルス等の同期信号を発生させるタイミングジェネレータ(TG)53及びシグナルジェネレータ(SG)54等によって構成されている。
【0036】
そして、上記各構成部材は、制御手段であるCPU60に電気的に接続されており、本実施形態の電子的撮像装置全体は、同CPU60によって統括的に制御されている。なお、上記CCD42は、電子シャッタ機能(手段)を有しており、これにより露光時間の制御を行なうことができるようになっている。
【0037】
図4は、電子カメラの内部構成のうちの一部を抜き出して示した要部ブロック構成図であって、電子カメラにおいて色補正処理を行うための色補正回路49等を詳細に図示するものである。
【0038】
図4に示すように、CPU60内には、CCD42によって得られた画像信号から撮影時の照明環境条件、即ち光源の種類を認識する光源認識手段70と、この光源認識手段70の認識結果に応じて、色補正回路49に供給する色補正係数行列を切り換える可変色補正手段である可変マトリクス色補正手段71とが配設されている。
【0039】
また、図5に示すような3種類のγカーブを選択するγカーブ選択手段72と、3種類のγカーブに合わせた3種類のマトリクス補正係数73と、γカーブ選択手段72とマトリクス補正係数73の選択操作をする操作部61と、可変マトリクス色補正手段71とマトリクス補正係数73を掛け合わせる乗算手段74とで構成される。
【0040】
このように構成された電子カメラの第1の実施の形態について、以下に説明する。
【0041】
図4に示すように、A/D変換器45から出力されたデジタルの画像信号は、上述したようにフレームメモリ46に記憶し読み出した後、色分離回路47に入力されて、同回路47においてr,g,bの各色信号に分離され、その後WB48に入力され、色補正回路49に入力される。
【0042】
一方、A/D変換器45の出力信号(デジタル画像信号)は、CPU60内の光源認識手段70に供給され、この光源認識手段70において撮影時の光源種類が識別される。例えば、被写体の輝度情報に基づいて光源の種類(太陽光、蛍光灯、電球等)を識別する。
【0043】
可変マトリクス色補正手段71は、光源認識手段70による光源の認識結果に基いて、予め複数の光源種類(本実施形態では4種類の光源)に対応して設定されている複数の色補正係数行列のうちから当該画像信号の撮影時の光源種類に応じた色補正係数行列を選択出力するように切り換えて、この選択した色補正係数行列を色補正回路49に供給する。
【0044】
色補正回路49では、WB48からの入力信号、即ちR,G,B信号の各色信号毎に所定の色補正処理が行われる。ここで行われる色補正処理としては、いわゆるマスキング処理等がある。このマスキング処理は、可変マトリクス色補正手段71からの色補正係数行列をそれぞれ掛け合わせる処理であり、その処理は式(1)で示される。
【0045】
【数1】
【0046】
この式で示される演算は積算器と加算器で実行され、その結果である色補正済みの各色信号(R1,G1,B1信号)を、色信号γ補正回路50に出力する。そして、この色信号γ補正回路50において色信号に対する色信号γ補正が施され、R2,G2,B2信号の各色信号として色差マトリクス回路51に出力される。
【0047】
光源種類によって忠実な色再現性が得られない場合があるため、光源認識手段70によって撮影時の照明光源の種類を認識し、この認識結果に基づいて可変マトリクス色補正手段71からの色補正係数行列による色補正処理を行う。これによって、撮影時の被写体の照明条件によらずに、最適な色再現性を確保することが期待できる。
【0048】
ところが、本実施の形態のように3種類のγ補正カーブを備えたシステムの場合、γ補正カーブを変えることによって、色再現性が変化する。
【0049】
図5に示すようなγカーブLowとNormalとHiの場合にマトリクス補正係数73を固定にすると、色再現は、図6のようになる。この図6は、R,G,B,Ye,Mg,Gを含んだカラーバーチャートを撮像した時の色再現ベクトル図である。ビデオ信号のR,G,B信号を色空間にし、縦軸をR−Y、横軸をB−Yとして表記したものである。中心点(0,0)からの距離を彩度、回転方向を色相として表記されるものである。
【0050】
図6の例えばYeに注目すると、3種類のγカーブの内、γカーブLowの彩度が小さい。また、Rに注目をすると、Nowmalの彩度が大きい。従って、この3種類のγカーブを使用して補正した画像では色再現が異なってしまうことがわかる。
【0051】
以上の欠点を補うために、本実施の形態では、γ補正カーブに対応したマトリクス補正係数73を複数種類(3種類)備えている。図7には、これらのマトリクス補正係数73を表として示している。
【0052】
図8は、マトリクス補正係数73によって処理した後の色再現ベクトル図である。γカーブが変化してもほとんど色再現が変化していないことがわかる。
【0053】
このようにして、3種類のγカーブ選択手段72に対応して、マトリクス補正係数73を切り換えることによって、同様の色再現画像を出力することが可能となる。
【0054】
また、マトリクス補正係数73と可変マトリックス色補正手段71の係数を乗算手段74によって掛け合わせた係数を色補正回路49に供給することにより、撮影時の照明光源の種類とγ補正カーブの種類に応じた色補正係数行列によるマスキング処理を行うこととなるので、より精度の高い色再現性を得ることができ、よって、より良好な画像を表示装置等に再生表示することができる。
【0055】
図9に上記方式を電子カメラに搭載した場合のフロー図を示す。
【0056】
電子カメラは、電源ONされると、撮像される。そして、操作部61についている静止画撮り込みトリガスイッチが押され、静止画がメモリに記憶される。そこで、光源認識手段70により、光源を認識し、可変マトリックス色補正手段71の切り換えをする。さらに、物体認識手段75が搭載されているかどうかを調べ、搭載している場合は、結果よりγカーブ選択手段72値を選び、そうでない場合は、操作スイッチにより選ばれたγカーブ選択手段72値を選び決定される。
【0057】
このγカーブ選択手段72値に対応したマトリックス補正係数73が決定され、乗算手段74を通して信号処理部49に転送され、画像処理を行ない、カードに記録され、撮像を再び開始させる。
【0058】
この物体認識手段75からγカーブ選択手段72値を選択する物体認識型γ補正について、図10と図11を参照して説明する。
【0059】
図10において、物体認識手段75に入力された画像データは、画像分布検出回路102において、図11の(1)に示すような、画像データの階調度数分布がとられる。ここで、図11の横軸に記載されている「A]及び「B]は、それぞれあるスレッシュレベルt以上の度数を与えるレベルの範囲の最小値と最大値を表わしている。
【0060】
画像分布検出回路102が処理した画像データの階調度数分布は、γ補正カーブ設定回路103に送られ、γ補正カーブ設定回路103は、この階調度数分布に基づいて選択すべきγ補正カーブを特定する。
【0061】
γ補正カーブ設定回路103は、図11の最小値Aから最大値Bまでの範囲cから画像データのコントラストを判断してγカーブを決定する。例えば、図11の(1)に示すように、範囲cが広いときはコントラストの低いγカーブLowを選び、図11の(2)に示すように、範囲cが狭いときはコントラストの高いγカーブHiを選定する。これによって、画像データのコントラストによらずγカーブを適正にすることができる。
【0062】
図12は、第1の実施の形態の変形例を示す図である。
【0063】
この変形例は、γマトリックス補正係数73を予め組み込んだ12通りの可変マトリクス色補正手段71を設けている点に特徴がある。この構成によれば、色補正係数行列による色補正処理時間を短縮することができる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0065】
図13は、本発明の第2の実施形態の電子カメラの内部構成を示し、色補正処理に係る主要部のみを抜き出して示す要部ブロック構成図である。なお、本実施形態は、上述の第1の実施形態と略同様の構成からなるものであって、色補正処理を行う色補正回路等の構成が若干異なるのみである。したがって、電子カメラ全体の構成についての図示は省略し、図3を参照するものとする。また、図13は、上述の第1の実施形態とにおける図4に相当する図である。したがって、同様の構成については同じ符号を付して、その説明を省略し、異なる部材のみについて、以下に説明する。
【0066】
この図13の装置においては、入力されたカラー映像信号のRGBの各信号は、6色分離回路49aに入力される。6色分離回路49aは、R信号を分離する抽出回路を例にして説明すると、元信号によるR−G信号とR−B信号のレベルの低いほうの信号を最小値検出回路49bで選択し、さらに、この選択した信号の負成分をクリップ回路49cで除き、R′信号として出力するものである。
【0067】
従って、この6色分離回路49aは、例えば図14に示すように、R、G、Bの各信号の比が0.4:0.5:0.1となっているカラー映像信号を、式(2)ように分離することに等しい。
【0068】
0.4R+0.5G+0.1B
=0.1(R+G+B)+0.3(R+G)+0.1G …(2)
ここで、(R+G+B)は白色を表わし、(R+G)はYe′を表わし、GはG′を表わす。
【0069】
そこで、式(2)で示される映像信号の色は、Ye′とG′が0.3:0.1の割合で混合されているものと判定する。
【0070】
そして、信号のレベルが各々0.0:0.1:0.0の比になっている色補正用原色信号R′、G′、B′と、信号レベルが各々0.3:0.3:0.0の比になっている色補正用補色信号Ye′、Cy′、Ma′を出力する。
【0071】
同様に、R、G、Bの各信号の比が0.4:0.3:0.3となっているカラー映像信号については、
0.4R+0.3G+0.3B=0.3(R+G+B)+0.1R
と判定し、色補正用原色信号R′の出力レベルだけが0.1で、その他の色補正用信号についてはレベルが0の信号を出力する。
【0072】
このようにして6色分離回路49aから出力された色補正用原色信号R′、G′、B′と、色補正用補色信号Ye′、Cy′、Ma′の各信号は、各々乗算回路に供給され、ここでCPU60から出力される補正用の係数が乗算された後、各々加減算回路により元のRGBの各信号に加減算されて、所定の補正が施されたRGB信号として出力されることになる。
【0073】
ここで、例えば、上記のYe′信号に係数K10を乗算した値をR信号に加算し、かつその値をG信号から減算することの意味について、図6の色再現ベクトル図により説明すると、これは、Ye色の位置を回転方向に動かし、係数K10分だけこのYe色の色相を変化させることを意味する。
【0074】
また、Ye′信号に係数K7を乗算した上で、その値をR信号とG信号に加算することは、図6において、Ye色の位置を中心と逆方向に動かし、係数K7分だけこのYe色の彩度を変化させることを意味する。
【0075】
同様に、色補正用原色信号R′、G′、B′と、色補正用補色信号Cy′、Ma′の各信号に、それぞれ係数K1〜K12を乗算した値をR信号とG信号に加減算することにより、R、G、B、Cy、Maの各色について、それぞれの色相と彩度とを調整することが出来る。この結果、図13に示す装置によれば、R、G、B、Cy、Ma、Yeの各色について、それぞれの色相と彩度とを、何れも独立に調整することが出来ることになる。
【0076】
第2の実施の形態に係る色補正方式(以下、「クロマ補正」と呼ぶ)を使用した場合においても、第1の実施の形態に係る色補正方式(以下、「マトリックス補正」と呼ぶ)と同様に、γカーブによって、色再現が変化してしまう。
【0077】
そこで、図13に示すように、3種類のγカーブ選択手段72それぞれに対応したクロマ補正係数73aを用意しておく。3種類のγカーブ選択手段72によって、クロマ補正係数73aを切り換えることで、同様の色再現画像を出力することが可能となる。
【0078】
さらに、撮影時の照明光源の種類を認識し、この光源認識手段70の認識結果に基いたクロマ補正係数73aを用意しておけば、照明光源とγカーブによらず一定した色再現を実現することが可能となる。
【0079】
本第2の実施の形態に係る補正動作のフロー図については、第1の実施の形態で示した図9と同様であるためその詳細の説明は省略する。
【0080】
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0081】
図15は、図3のエッジ信号処理部201およびそれを制御するCPU60を詳細に示した図である。図15では、主信号(色信号)成分のγ補正だけを変更しているため、主信号成分に加算するエッジ成分が一定である。
【0082】
図16は、γカーブを切り替えることによって出力信号が変化する理由を示す図である。同一振幅の入力信号について、γHiカーブを用いた場合は、出力信号の振幅が大きく、γLowカーブを用いた場合は、出力信号の振幅が小さくなる。
【0083】
図17は、γカーブに応じてエッジ補正を行った場合の出力信号を模式的に示す図である。図17の(1)と(2)は、図15に示す第3の実施の形態のγ補正を行った場合の補正結果を示している。
【0084】
γHiカーブを用いて適切なエッジ成分の加算をした場合には図17の(1)に示すように出力信号には問題ないが、γLowカーブを用いてこのエッジ成分を加算すると、図17の(2)に示すようにエッジ強調がかかりすぎた(高周波成分の多い)画像となり不自然な画像となってしまう。このことから、γカーブの特性に応じてエッジ強調度も変化させたほうがよいことがわかる。
【0085】
ここで、一般的な電子カメラにおけるコアリング部65によって施されるコアリング処理の入出力特性を図18に示す。
【0086】
図18の(a)に示されるように、通常のコアリング処理は、画像信号のY信号からHPF部64によって抽出されたエッジ信号の入力に対する出力に不感帯域Kを設け、これによりエッジ信号の出力のノイズ成分を抑圧するというものである。
【0087】
このようなコアリング処理においては、不感帯域Kを拡げて、抑圧すべきノイズレベルを上げる程、即ちコアリングレベルを上げる程、図18の(b)に示すようにS/N比は向上し、またコアリングレベルを低く設定すればS/N比も劣化するという傾向がある。
【0088】
更に、γカーブに応じてエッジ強調度も可変とした場合、図18の(c)に示すようにS/N比も変化する。従って、画像信号のS/N比を所定の一定レベルに保持するためには、画像信号のγカーブに応じてコアリングレベルを変化させるように制御すれば良い。そこで、第3の実施の形態においては、γカーブに応じてコアリング係数82、エッジ強調係数83を切り換えて、コアリング部65により施されるコアリング処理レベルを可変に制御するようにしている。
【0089】
図15のCPU60内には、γを変えるとエッジ強調係数83の切り換えスイッチが対応して切り替る構成図を示す。
【0090】
図19は、上記方式を電子カメラに搭載した場合のフロー図を示す。
【0091】
電子カメラは、電源ONされると、撮像される。そして、操作部61についている静止画撮り込みトリガスイッチが押され、静止画がメモリに記憶される。次に、ヒストグラム検出等の物体認識手段75が搭載されているかどうかを調べ、搭載している場合は、結果よりγ値を選び、そうでない場合は、操作スイッチにより選ばれたγ値を選び決定される。
【0092】
このγ値に応じたエッジ強調係数およびコアリング係数が決定され、信号処理部に転送され、画像処理を行ない、カードに記録され、撮像を再び開始させる。
【0093】
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0094】
図20は、エッジ用のγ補正62を設けていない場合のブロック図である。第4の実施の形態では、エッジ成分を加算した後にエッジ強調をかけている点を特徴としている。この場合、第3の実施の形態と異なり、図17の(3)、(4)に示すように、γ補正をHiにすると、コントラストと同時にエッジ強調がかかりすぎた画像となってしまうことがある。
【0095】
図20のCPU60内には、γの変更に対応してエッジ強調係数83の切り換えスイッチが動作する構成が示されている。
【0096】
この方式を電子カメラに搭載した場合のフロー図については、第3の実施の形態で示した図19と同様であるためその詳細の説明を省略する。
【0097】
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0098】
顕微鏡による観察像を記録する場合、対物レンズの倍率を切り換えて電子カメラに撮影することが一般的に用いられているが、一般に対物レンズの倍率を上げると、NA(開口数)が小さくなり、そこに映し出された画像の解像、コントラストが低くなってしまい、標本によっては画像の確認が十分に行いにくいという問題がある。一方、対物レンズの倍率を下げると、光学像の周辺光量低下により画像の周辺部が暗くなってしまう問題がある。
【0099】
従って本実施の形態では、対物レンズの倍率を下げた場合にはコントラストの低いγカーブ(Low)と選択し、対物レンズの倍率を上げた場合にはコントラストの高いγカーブ(Hi)を選択する。
【0100】
図21に上記方式を顕微鏡システムに搭載した場合のフロー図を示す。
【0101】
システム電源をONとし、標本をセットし、電子カメラの電源ONをすると、撮像される。そして、操作部に設けられている静止画撮り込みトリガスイッチが押され、静止画がメモリに記憶される。次に、対物レンズの切り換えがあるかどうかを調べ、切り換えのある場合は、対物レンズに合わせたγ値を選び信号処理部に転送され、そうでない場合は、γ値はそのままとする。最後に、画像処理を行ない、カードに記録され、撮像を再び開始させる。
【0102】
この実施の形態によれば、コントラスト感や周辺光量落ちに対応した電子カメラを提供することができる。
【0103】
次に本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0104】
本実施の形態では、対物レンズに応じてγカーブを自動的に決め、更にそのカーブに従って色マトリックス係数を決めている。
【0105】
図22に上記方式を顕微鏡システムに搭載した場合のフロー図を示す。
【0106】
システム電源をONとし、標本をセットし、電子カメラの電源ONをすると、撮像される。そして、操作部についている静止画撮り込みトリガスイッチが押され、静止画がメモリに記憶される。次に、対物レンズの切り換えがあるかどうかを調べ、切り換えのある場合は、対物レンズに合わせたγ値を選び、このγ値に応じたマトリックス係数が決定され、信号処理部に転送され、そうでない場合は、γ値はそのままとする。最後に、画像処理を行ない、カードに記録され、撮像を再び開始させる。
【0107】
次に本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0108】
第7の実施の形態では、対物レンズに応じてγカーブを自動的に決め、更にそのカーブに従ってエッジ強調係数およびコアリング係数を決めている。
【0109】
図23は、上記方式を顕微鏡システムに搭載した場合のフロー図である。
【0110】
システム電源をONとし、標本をセットし、電子カメラの電源ONをすると、撮像される。そして、操作部についている静止画撮り込みトリガスイッチが押され、静止画がメモリに記憶される。次に、対物レンズの切り換えがあるかどうかを調べ、切り換えのある場合は、対物レンズに合わせたγ値を選び、このγ値に応じたエッジ強調係数とコアリング係数が決定され、信号処理部に転送され、そうでない場合は、γ値はそのままとする。最後に、画像処理を行ない、カードに記録され、撮像を再び開始させる。
【0111】
尚、本発明は上記記載の各実施の形態の電子カメラに基づいて、当該電子カメラを用いた顕微鏡システムを、以下のように構成することができる。
【0112】
(1) 顕微鏡による観察像の撮像に、固体撮像素子を搭載した電子的撮像装置を使用した顕微鏡システムにおいて、
顕微鏡側の少なくとも対物レンズと写真接眼レンズの投影倍率に係る光学系を切り換える変換手段と、
前記固体撮像素子により得られる画像信号に対して、複数種類の階調特性の内この変換手段の切換動作に連動して選択された1つの階調特性に補正する可変階調特性補正手段と
を有することを特徴とする顕微鏡システム。
【0113】
(2) 上記記載の顕微鏡システムにおいて、
撮影動作時に選択された階調特性に応じて色補正処理を切り換える可変色補正手段を更に有する。
【0114】
(3) 上記記載の顕微鏡システムにおいて、
撮影動作時に選択された階調特性に応じて、前記画像信号に付加する輪郭信号の輪郭強調度を変更する輪郭強調手段を更に有する。
【0115】
以上のように構成された各実施の形態の顕微鏡システムでは、次のような効果を奏する。
【0116】
(1)の構成によれば、対物レンズを交換するなどして、明時信号レベルも変化する場合であっても、明時信号の変化に合わせて最適な階調特性に切り換えることにより、撮影された画像信号をより良好な画像として表示装置に再生表示し得る電子的撮像装置を使用した顕微鏡システムを提供することができる。
【0117】
(2)の構成によれば、対物レンズの交換によって撮影時の階調特性を切り換えるようにし、さらにこの階調特性に基いて色補正処理を切り換えるようにしたので、撮影時の被写体に合わせた階調および最適な色再現性を確保することができ、撮影された画像信号をより良好な画像として表示装置に再生表示し得る電子的撮像装置を使用した顕微鏡システムを提供することができる。
【0118】
(3)の構成によれば、対物レンズの交換によって撮影時の階調特性を切り換えるようにし、さらにこの階調特性に基いて輪郭強調度を切り換えるようにしたので、階調特性によらずに、最適な輪郭強調を確保することができ、撮影された画像信号をより良好な画像として表示装置に再生表示し得る電子的撮像装置を使用した顕微鏡システムを提供することができる。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電子的撮像装置によれば、γ特性を変化させても色再現、エッジ強調感の変化が少なく、さらにエッジ強調によるS/N低下が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る顕微鏡システムの構成を示す図。
【図2】 顕微鏡システムの詳細な構成を示す図。
【図3】 顕微鏡システムに用いられる電子カメラの構成を示すブロック図。
【図4】 電子カメラの内部構成のうちの一部を抜き出して示した要部ブロック構成図。
【図5】 3種類のγカーブを示す図。
【図6】 カラーバーチャートを撮像した時の色再現ベクトル図。
【図7】 マトリクス補正係数を表として示す図。
【図8】 マトリクス補正係数によって処理したときの色再現ベクトル図。
【図9】 第1の実施の形態の電子カメラの動作を示すフロー図。
【図10】 物体認識手段の構成を示す図。
【図11】 階調度数分布を示す図。
【図12】 第1の実施の形態の変形例を示す図。
【図13】 電子カメラの要部を示すブロック構成図。
【図14】 カラー映像信号のR、G、Bの各信号の比を示す図。
【図15】 エッジ信号処理部およびそれを制御するCPUを詳細に示した図。
【図16】 γカーブによって出力信号が変化する理由を示す図。
【図17】 γカーブに応じてエッジ補正を行った場合の出力信号を模式的に示す図。
【図18】 コアリング処理の入出力特性を示す図。
【図19】 他の実施の形態の電子カメラの動作を示すフロー図。
【図20】 エッジ信号処理部およびそれを制御するCPUを詳細に示した図。
【図21】 他の実施の形態の電子カメラの動作を示すフロー図。
【図22】 他の実施の形態の顕微鏡システムの動作を示すフロー図。
【図23】 他の実施の形態の顕微鏡システムの動作を示すフロー図。
【符号の説明】
1…顕微鏡本体、 3…試料、 27…対物レンズ、 36…電子カメラ、37…駆動回路部、 38…対物レンズ検出部、 39…リタデーション調整動作検出部、 40…写真接眼レンズ検出部、 41…顕微鏡コントロール部、42…CCD(固体撮像素子)、 49…色補正回路、49a…6色分離回路、 49b…最小値検出回路、49c…クリップ回路、 50…色信号γ補正回路、 60…CPU、 61……操作部、 62…γ補正回路、 65…コアリング部、 66…エッジ強調回路部、 70…光源認識手段、 71…可変マトリクス色補正手段、 72…γカーブ選択手段、73…マトリクス補正係数、 75…物体認識手段、 82…コアリング係数、 83…エッジ強調係数
Claims (2)
- 固体撮像素子と、
前記固体撮像素子によって得られる画像信号に対して、複数種類の階調特性から選択された1つの階調特性に補正する可変階調特性補正手段と、
前記固体撮像素子によって得られる画像信号に基づいて、被写体の照明光源の種類を認識する光源認識手段と、
前記光源認識手段の認識結果と撮影動作時に選択された階調特性とに応じて色補正処理を切り換える可変色補正手段と
を有し、
前記可変色補正手段は、前記光源認識手段の認識結果に応じて色補正係数行列を選択し、この選択した色補正行列を、前記選択された階調特性に応じて選択されたマトリクス補正係数で補正することを特徴とする電子的撮像装置。 - 固体撮像素子と、
前記固体撮像素子によって得られる画像信号に基づいて、画素値のヒストグラムを作成して被写体の輝度分布を認識する輝度分布認識手段と、
前記固体撮像素子によって得られる画像信号に対して、複数種類の階調特性の内この輝度分布認識手段の認識結果に基づいて選択された1つの階調特性に補正する可変階調特性補正手段と、
前記選択された階調特性に応じて色補正処理を切り換える可変色補正手段と
を有することを特徴とする電子的撮像装置。
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