JP4216942B2 - 複層ガラス用ゲル化剤及び複層ガラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複層ガラス用ゲル化剤及び複層ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
複層ガラスは、通常2枚の板ガラスを金属スペーサーで一定間隔を保ち、その間に乾燥剤を封入した後、その周囲をシーラントで密封して内部空間を乾燥状態にしたガラス製品であり、断熱性が良いため、寒冷地等の室内用窓ガラスとして使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記シーラントの施工によっては密封が完璧でなく、複層ガラス内部に結露が発生し、ガラスの透明性を悪くする。又、断熱性は良いものの、一旦、室内の温調を切ると、外部の温度の影響を受けるなど保温性が悪いことが指摘されている。更に、単板ガラスと同様に複層ガラスでも遮音性が不足するなど問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を改善すべく鋭意検討した結果、複層ガラス内部の空気層を排除し、複層ガラス内部を水系ゲルで満たすことで、シーラントの施工精度を上げなくても結露の発生を防止し、更に水系ゲルが比熱の高い水を多量に含有するため、保温性に優れ、かつ遮音性を有するシステムを見出した。
更に発明を進めた結果、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物とゼラチンとを組み合わせることで、透明性が高くかつ流動性のない水系ゲルとなることを見出し、複層ガラスに応用すると透明性、保温性及び遮音性に優れた複層ガラスとなることを見いだした。
即ち本発明は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物からなる複層ガラス用ゲル化剤、および複層ガラス用ゲル化剤又はゲル化物が挿入された複層ガラスである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明においてエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体を作成した後にアンモニアと反応させたものでもよいし、無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をエチレン性不飽和化合物と共重合したものでもよい。前者はエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒中で共重合して得られる共重合体にアンモニアを反応させることによって得られるものであり、後者は溶剤の存在下または不存在下に無水マレイン酸とアンモニアを反応させたものをエチレン性不飽和化合物と共重合して得られる。好ましくは前者である。
ここで使用されるエチレン性不飽和化合物は無水マレイン酸と共重合しうる不飽和化合物なら特に限定はないが、分子中に1個の不飽和基をもつものが好ましい。具体的には例えば、次のものが挙げられる。
【0006】
(1)オレフィン系不飽和化合物
▲1▼直鎖状または分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類[エチレン、プロピレン、ブテン−1,ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキサン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−エチル−1− ブテン、ジイソブチレン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2 −メチル−4−ジメチル−2−ペンテン、ドデセン、テトラデセン、ヘキ サデセン、オクタデセン、ビニリデン(塩化ビニリデン、フッ化ビニリデ ン等)];
▲2▼芳香族系オレフィン(スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンスルホン酸等);
▲3▼ハロゲン含有オレフィン(塩化ビニル、フッ化ビニル、四フッ化エチレン等);
▲4▼窒素含有オレフィン(ニトロエチレン、アクリロニトリル等);
▲5▼その他オレフィン(アリルアミン、ビニルスルホン酸等);
【0007】
(2)非オレフィン系不飽和化合物
▲1▼ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ポリオキシアルキレン(n=2〜200)モノアリルモノアルキル(炭素数1〜24)エーテル等];
▲2▼アルキル基、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ベヘニル等);
▲3▼カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸グリコールモノエーテル等];
▲4▼スルホン酸基含有不飽和化合物[3−スルホプロピル(メタ)アクリレート等];
▲5▼燐酸基含有不飽和化合物[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート 等];
【0008】
▲6▼アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等];
▲7▼3級アミン又は第4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、その4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等]:
▲8▼エポキシ基含有不飽和化合物[グリシジル(メタ)アクリレート等];
▲9▼その他(N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルをケン化して得られるビニルアルコール等);
等である。これらの単量体を単独で用いても良いし、また2種類以上を組み合わせても良い。
これらの内好ましくは、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類及びビニルエーテルであり、好ましくはイソブチレン、メチルビニルエーテル及びポリオキシアルキレンモノアリルモノアルキルエーテルであり、特に好ましくはイソブチレン及びメチルビニルエーテルである。
【0009】
重合は上記エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒の存在下又は不存在下熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合出来る。温度は例えば0〜200℃で常圧下または加圧下にて行われる。熱ラジカル重合の場合はアゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート等)等の重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテル等)、増感剤(アントラキノン等)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が併用される。得られた共重合物は溶媒を脱溶剤して使用してもよいし溶媒が存在したままでも使用しても良い。好ましくは脱溶媒したものである。
重合体中におけるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との組成比は、生成した共重合体のアンモニア反応物が水に溶解するものであればどの程度であっても差し支えない。無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との組成比はモル比で通常100:1〜1:100であり、好ましくは10:1〜1:10であり、特に好ましくは5:1〜1:5である。また生成した共重合体の重量平均分子量は、通常2,000〜5,000,000であり、好ましくは3,000〜3,000,000である。
【0010】
共重合体とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、共重合体の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法若しくは共重合体粉末をアンモニア水に溶解する方法等が好ましく採用される。共重合体とアンモニアとの反応比は共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対してアンモニア0.5〜2モル、好ましくは0.8〜2モルである。反応生成物の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における粘度は、通常5〜100,000cpsであり、好ましくは10〜10,000cpsであり、特に好ましくは15〜5,000cpsである。
【0011】
本発明においてゼラチン(B)としては、アルカリ処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、またゼラチン加水分解物も用いることができ、少なくとも1個の遊離のアミノ基を持っていればよい。例えば、牛骨の無機物をとり除いてオセインとした後、消石灰の懸濁液中に漬けておき、牛皮は適当な大きさに切断し、水洗してから石灰液中に通常2〜3ケ月間漬ける。このような石灰液による前処理を行って得られるゼラチンをアルカリ処理ゼラチンという。これに対して豚皮を希塩酸又は希硫酸に数十時間漬けて処理して得られるゼラチンを酸処理ゼラチンという。ゼラチンの形状としては、粒状、粉末、シート状のものが使用でき、重量平均分子量としては3,000〜30,000が好ましく、特に透明性かつ流動性のない水系ゲルを得るためには、分子量5,000〜20,000が好ましい。
【0012】
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応において、使用比率はゼラチンの遊離アミノ基の数により一概に特定できないが、透明性かつ流動性のない水系ゲルを得るには(B)100質量部に対して(A)を通常3〜50質量部、好ましくは5〜40質量部で反応させるのがよい。
(A)と(B)の反応方法としては、例えば(i)(A)と(B)を直接混合する方法、(ii)(A)の水溶液に(B)を混合する方法、(iii)(B)の水溶液に(A)を混合する方法、(iv)(A)(B)それぞれの水溶液を予め調整した後両者を混合する方法があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は(iv)である。
【0013】
(A)と(B)との反応が進むと系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化し、流動性がなくなる。反応の終点はゲル強度によって確認出来、ゲル強度の測定法は下記に記載する。(A)と(B)とを反応する際の温度は特に限定はないが、例えば40〜60℃で行う場合には数時間で反応が完結し、室温で反応する場合には1昼夜を要する。(A)と(B)との反応物のゲル強度は、通常3〜1,000gであり、好ましくは5〜600gであり、特に好ましくは10〜500gである。
(ゲル強度測定法)ゲルを25℃に温調した後、直径15.7mmの金属球を取り付けた棒を島津オートグラフ(島津製作所社製、AGS−500B)に接続した。金属球を5cm/分の速度でゲル中に押し込み、金属球がゲル中に完全に入った直後の応力(g)を測定した。これがゲル強度(g)である。
(A)と(B)とが反応した後、透明性の高い水系ゲルが得られる。透明性は透過率(%)で測定が出来る。水系ゲルの透過率(%)は通常70〜100、好ましくは80〜100、特に好ましくは90〜100である。
(透過率の測定方法)10mm厚のガラス製セル中に室温で1日放置してゲルを作成し25℃に温調した後、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)にて可視光(700nm)の透過率を測定した。
【0014】
また、ここで用いられる水溶液としては(A)、(B)の他に他の添加剤等を混合することが出来る。混合出来るものとしては水溶性又は水不溶性であれ特に制限はないが、例えば溶剤(アルコール、アセトンなど)、顔料、染料、香料、消臭剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、脱酸素剤、酸化防止剤、充填剤、増量剤等が挙げられる。目的に応じこれらの配合物の任意の濃度のものが使用出来る。しかし、水不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので、本発明の物品の特徴である透明性を出すためには複層ガラスの目的によって異なるが水不溶性のものは、通常透過率が70%以上、好ましくは80%以上になる様に少なく配合する必要がある。予めこれらの水溶液を作成しておき(A)、(B)の水溶液と混合してもよいし、最初から(A)、(B)と共存させておき混合してもよい。(A)、(B)を混合する際には必要な添加物は混合されていないといけない。
【0015】
本発明で使用されるガラスとしては特に制限はないが、建築用で使用されるものが好適に利用される。例えば、フロート板ガラス、型板ガラス、熱線吸収ガrス、熱線反射ガラス、強化ガラス、倍強度ガラス等が挙げられる。ガラスの厚さは特に制限はないが、通常1〜30mm、好ましくは2〜22mm、特に好ましくは3〜10mmである。
また、複層ガラスは通常2枚の板ガラスが用いられるが、板ガラスの間隔は通常3〜20mmであり、好ましくは6〜12mmである。
【0016】
水系ゲルを投入した複層ガラスの製造法としては、例えば幅2〜6mm、深さ10mmのレール状の溝を2つもち、それぞれが6mmの間隔を有するアルミサッシを外側にレール状の凸部分がくるようにU字型に組み立てた後、レールの溝にきっちり合う大きさのガラス板2枚をはめ込み、外側のガラス面とアルミサッシに接する部分に耐水性シーリング材でシールし、上部一端が開放している複層ガラスを作成した。次に予め(A)、(B)の水溶液を作成後、(A)、(B)の水溶液を均一に混合し、複層ガラス上部より混合液をガラス上部いっぱいまで泡の入らない様に注意深くゆっくりと注入し、そのままの状態で1日間、25#Cで放置し弾力のある水系ゲルを作成した。さらに、ガラス上部にきっちり合う上記の溝付きアルミサッシを組み込み、上記と同様のシーリング材でシールし、複層ガラスを製造する。または、1枚のガラス板を横にしてゲル化剤の入った水性液を均一に塗布し、その上から別のガラス板を泡が入らない様に重ね1昼夜置き複層ガラスを製造する方法もある。
本発明の複層ガラス用ゲル化剤の用途は、特に制限されないが、透明性が高く、結露の発生がなく、保温性かつ遮音性に優れることから一戸建て住宅、集合住宅、オフィス等の窓ガラスに有効に利用される。
【0017】
【実施例】
以下製造例及び使用例を示す実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下部は質量部を表す。
【0018】
実施例1
(1)溶液Aの調整
ゼラチンSE−1(45部)と砂糖(5部)にイオン交換水(750部)を加え60〜70℃に加温して均一に溶解した。
注)ゼラチンSE−1:アルカリ処理ゼラチン、ニッピゼラチン工業社製
(2)溶液Bの調整
GanterzAN119(10部)にイオン交換水(84部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(6部)とを加え室温下で攪拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解したGanterzAN119の水溶液を得た。
注)Ganterz AN119:メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、重量平均分子量2.13×106、アイエスピー・ジャパン社製
(3)水系ゲルの調整
溶液A(40部)に溶液B(2部)とイオン交換水(58部)とを加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0019】
実施例2
(1)溶液Cの調整
GanterzAN119(10部)にイオン交換水(82.5部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(7.5部)とを加え室温下で攪拌すると30分で均一に溶解した。アンモニア中和率100%の均一に溶解したGanterzAN119の水溶液を得た。
(2)水系ゲルの調整
実施例1で作成した溶液A(79部)に溶液C(12部)とイオン交換水(9部)とを加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0020】
実施例3
(1)溶液Dの調整
イソバン−04(10部)にイオン交換水(84部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(6部)とを加え室温下で攪拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解したイソバン−04の水溶液を得た。
注)イソバン−04:イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、分子量6×104、クラレ社製
(2)水系ゲルの調整
実施例1で作成した溶液A(79部)に溶液D(8部)とイオン交換水(13部)とを加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0021】
実施例4
(1)溶液Eの調整
イソバン−04(10部)にイオン交換水(82.5部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(7.5部)とを加え室温下で攪拌すると30分で均一に溶解した。アンモニア中和率100%の均一に溶解したイソバン−04の水溶液を得た。
(2)水系ゲルの調整
実施例1で作成した溶液A(40部)に溶液E(6部)とイオン交換水(54部)を加えて均一で透明な水性液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、均一で透明な水系ゲルを得た。
【0022】
比較例1
(1)水系ゲルの調整
イオン交換水(98.3部)に寒天(1.7部)を加え90〜100℃で加熱溶解し、透明な水溶液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、均一な水系ゲルを得た。
注)寒天:寒天(粉末)、和光純薬工業社製
【0023】
比較例2
(1)水系ゲルの調整
イオン交換水(96.5部)にソアギーナMV101(3.5部)を加え60〜70℃で加熱溶解し、透明な水溶液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、均一な水系ゲルを得た。
注)ソアギーナMV101:カラギーナン、三菱アセテート社製
実施例1〜4及び比較例1,2の評価結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
評価方法は、以下の通りである。
(1)ゲルの外観(1)
室温で1日放置して作成したゲルの外観を目視判定し、次のように評価した。
○…透明
△…わずかに白濁
×…白濁
(2)ゲルの外観(2)
ゲルの外観(1)で使用したゲルを−20℃で16時間凍結させたものを常温で8時間放置することによって解凍し、復元させたときのゲルの外観を目視判定し、次のように評価した。
○…変化なし
△…わずかに変化する
×…変化する
【0026】
(3)透過率
上記に記載した評価方法に準じて行った。
(4)低温安定性
ゲルの外観(1)で使用したゲルを0℃恒温槽中に24時間放置して分離物の有無を調べた。
○…変化なし
△…わずかに離水する
×…離水する
(5)高温安定性
ゲルの外観(1)で使用したゲルを70℃恒温槽中に24時間放置して、ゲルが破壊されて液状になるかどうかを調べた。
○…変化なし
△…わずかに破壊され、液状になる
×…液状になる
【0027】
(6)ゲル強度
上記に記載した測定法に準じて行った。
次に上記のゲル化を使用して複層ガラスを作成し評価した。その結果を表2に示す。
厚さ3mmで30cm四方のフロート板ガラス2枚、アルミサッシと同じ材質のアルミ棒(幅6mm、厚さ6mmで長さ30cmのものを2本、28.8cmのものを2本)を用意する。
【0028】
比較例3
上記2枚の板ガラスの間に空間を作る様にして、ガラス板の端に4本のアルミ棒をさしこみ、中を密封する様にして市販の変性シリコーン系シーラントでシールして3日間室温にて放置した。この複層ガラスをGR−3とする。
比較例4
比較例3と同様にして複層ガラスを作成するが、間の空間部に100℃で3時間乾燥したシリカゲル5gを密封する前に入れておいた。この複層ガラスをGR−4とする。
実施例5
2枚の板ガラスの間に3本の上記のアルミ棒を、一方が開き三方が閉じた形の空間になる様にしてガラス板の端にはさみ比較例3と同様にしてシールして、比較例3の複層ガラスの1方が開いた形の複層ガラスを作成した。次に開いた部分を上にして複層ガラスを立て、上から実施例1の(3)で調整した水性液を空気が入り込まないようにしてゆっくりと入れ、液が上部まできた時残った1本のアルミ棒を端にセットし四方がアルミ棒で囲まれた形になる様にしてシールし3日間室温においた。この複層ガラスをG−5とする。
【0029】
実施例6
実施例5において、実施例1の(3)で調整した水性液に代えて、実施例2の(2)を用いた以外は同様にして複層ガラスを作成した。この複層ガラスをG−6とする。
実施例7
実施例5において、実施例1の(3)で調整した水性液に代えて、実施例3の(2)を用いた以外は同様にして複層ガラスを作成した。この複層ガラスをG−7とする。
実施例8
実施例5において、実施例1の(3)で調整した水性液に代えて、実施例4の(2)を用いた以外は同様にして複層ガラスを作成した。この複層ガラスをG−8とする。
【0030】
【表2】
【0031】
表2における評価方法は次の通りである。
(7)透明性
作成した複層ガラスを室温(25℃)に1日放置しておいた後、冷蔵庫(0〜−5℃)に入れておいた。1晩(10時間)置いた後冷蔵庫から取り出し、すぐガラスの両面を布で拭き、ガラス板を通して透明性を肉眼で観察した。
ゲルの外観(1)で使用したゲルを70℃恒温槽中に24時間放置して、ゲルが破壊されて液状になるかどうかを調べた。
○…透明性良好
○〜△…僅かにかすみがみられる程度
△…かすみがはっきりと観察される程度
×…かすみがひどい
【0032】
(8)保温性
各複層ガラスを6部準備し、複層ガラス6部で六面体(サイコロ状)を作成し隅をガムテープで貼り合わせ密封にした。0℃の部屋に1晩(10時間)放置しておいた後取り出し、中の温度を測定するために中に温度センサーを差込んだ。実施例、比較例とも最初は0℃であったが、室温(25℃)に放置すると徐々に中の温度が上がってきた。取り出し後1時間後の温度を測定し、この温度で保温性を評価した。
○…15℃以下
△…15℃を超え20℃未満
×…20℃以上
【0033】
(9)遮音性
(8)と同様にしてで六面体(サイコロ状)を作成した。この中に水を500mlを入れておいたものの隅をガムテープで貼り合わせ密封にした。その水が入った複層ガラス六面体を両手で持ち横に10秒間大きく振り、その際に発生する音を耳で判定した。各実施例、比較例とも同じ程度の振りを行い発生する音を確認した。
○…液の音が聞こえない
△…液の音が聞こえるが弱い
×…液の音がよく聞こえる
【0034】
【発明の効果】
本発明の複層ガラス用ゲル化剤及び水系ゲルは、次のような特長がある。
▲1▼本発明の水系ゲルは流動性がないため、複層ガラスを移動したり倒した場合、変形したりこぼれることがなく、取り扱いやすい。
▲2▼本発明の水系ゲルは透明性があるので、美観に優れる。
▲3▼複層ガラスを使用中に破損しても、ガラスの破片が周囲に飛散せず安全である。
▲4▼複層ガラスの内部に水系ゲルの状態で比熱の高い水を包含しているので、保温性に優れる。
▲5▼本発明の複層ガラス用水系ゲルが投入された複層ガラスは、遮音性に優れるので住宅用の窓ガラス等に有効に利用できる。
以上のことから、本発明のゲル化剤及び水系ゲルは、複層ガラス用ゲル化剤として有用である。
Claims (5)
- エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物からなる複層ガラス用ゲル化剤。
- (A)がエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体とアンモニアとの反応による反応生成物である請求項1記載の複層ガラス用ゲル化剤。
- (A)のエチレン性不飽和化合物がイソブチレン又はメチルビニルエーテルである請求項1又は2記載の複層ガラス用ゲル化剤。
- 請求項1〜3の何れか記載の複層ガラス用ゲル化剤でゲル化したゲル化物。
- 請求項1〜3の何れか記載の複層ガラス用ゲル化剤又は請求項4記載のゲル化物が挿入されてなる複層ガラス。
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PL354376A1 (en) * | 2002-06-10 | 2003-12-15 | CNT Spółka z o.o.CNT Spółka z o.o. | Thermal insulations, particularly combined window panels |
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1999
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