JP4216680B2 - 腫瘍・ケロイド等治療剤 - Google Patents

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Description

この発明は、腫瘍・ケロイド等治療剤に関し、特に例えば、神経線維腫症(例えばフォン レックリングハウゼン病)、ケロイド、肥厚性瘢痕等に用いられる腫瘍・ケロイド等治療剤に関する。
中枢神経内に奇形性腫瘍や過誤腫をもち、外表(皮膚)に特定の母斑状病変を呈する5つの疾患群があり、皮膚神経症候群といわれている。
このうちのひとつに、厚生労働省の(難病)特定指定疾患であるvon Recklinghauzen(フォン レックリングハウゼン)病、またの名前をneurofibromatosis(以下「NF」という)・神経線維腫症と呼ばれるものがある。残念なことに、現在に至るまで、内科的薬物療法は存在しない。
NFは、思春期前より発生し、外表皮面に大小さまざまな比較的柔らかい半球状結節が無数にできるものであり、一人の患者に200ないし300個の神経線維腫が発生し、醜状を呈するので、精神的に耐え難いものである。
抗癌剤であるブレオマイシンが悪性の扁平上皮癌に有効であることから、NFに少量のブレオマイシンを長期間局所注入する治療が試みられたこともあったが、その効果は判然としたものではなく(たとえば、非特許文献1参照)、確立された治療法ではない。
従って、この神経線維腫症の治療法としては、現在も、外科的切除のみが唯一確実な腫瘍摘除・腫瘍縮小の方法である。
また、ケロイド、肥厚性瘢痕は外傷や手術後あるいは特発性に発生するものである。皮膚損傷後の創面がでこぼこに隆起し、ときに蟹足状突起を生ずる結合組織の肥大増殖症であるケロイドや、肥厚性瘢痕にあっては、スポンジによる圧迫固定や、副腎皮質ステロイド剤の局部注射等が行なわれているが、機能障害等を伴うものでは、切除後Z形成術ないし植皮術が施術されている状況である(たとえば、非特許文献2参照)。手術後同様症状の再発が起こりやすく、外科的治療でも確実な治療法とは言い難い。かかるケロイドや肥厚性瘢痕は、疼痛および掻痒感をともなうことから、患者としては大変な苦痛となる。
皮膚(0018-1390)Vol.41,No.4,499-500(1999.8) 標準皮膚科学(第6版) 株式会社 医学書院 2001年2月15日発行
しかしながら、抗癌剤であるブレオマイシンを用いた神経線維腫症の治療においては、腫瘍が縮小ないし消滅しないばかりか、多数回の局所注入が必要で、数ヶ月〜数年の治療期間をかけている。その後広範囲に色素沈着が生じ、長期間広範囲に硬結が発生し、抗癌剤を使用する故に全身的副作用、たとえば、発熱や吐き気を催す等の問題があった。
また、ケロイド、肥厚性瘢痕における副腎皮質ステロイド剤による治療においては、副腎皮質ステロイド剤の局部注射は痛みを伴うものであり、また、注射により感染症の誘発もあった。特に、ステロイドを長期間使用すれば、月経異常が必ず生じ、長期間治療後の治療効果も、必ずしもケロイド等の縮小が得られるとは限られず、その効果は不特定である。
一方、神経線維腫を外科的に切除するためには入院が必要であり、長時間の拘束、患部切除等、患者に苦痛を与えることとなる。特に多くの神経線維腫を切除しなければならない場合には、その手術の都度精神的に患者に与えるプレッシャー・ストレスは著しく、二度と外科的切除を望まないことも数多くあった。
ケロイドにおいても切除手術を伴う場合には、同様の問題があった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、患者にプレッシャーとストレスを与えることなく、神経線維腫・ケロイド等を消滅・褪縮しうる治療剤を提供することにある。
また、簡便に使用でき、安価な腫瘍・ケロイド等治療剤を提供することにある。
さらに、入院することなく、通院によりこれら症状の治療を、従来方法とは異なり短期間内に行なえるようにすることである。
以上のことから、全体としての医療費の削減を行なえるようにすることも目的である。
本発明は、外科手術時の皮膚内マーキング、乳幼児の口内炎治療、殺菌、関節内注入によるマーキングなどに使用されている塩化メチルロザリニンが、生体内に一定濃度・量を注入すると、注入部位の組織が壊死する事実から、この組織壊死作用を利用すれば、神経線維腫の壊死、腫瘍消失が生じると推論し、なされたものである。
この請求項1の発明にかかる腫瘍・ケロイド等治療剤は、塩化メチルロザニリンを有効成分とする神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤である。
この請求項2の発明にかかる腫瘍・ケロイド等治療剤は、注射剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤である。
この請求項3の発明にかかる腫瘍・ケロイド等治療剤は、注入剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤である。
この請求項4の発明にかかる腫瘍・ケロイド等治療剤は、軟膏剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤である。
この請求項5の発明にかかる腫瘍・ケロイド等治療剤は、貼付剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤である。
この発明の腫瘍・ケロイド等治療剤によれば、腫瘍・ケロイド等を縮小し、或は消滅させることができる。
また、本発明の腫瘍・ケロイド等治療剤によれば、腫瘍・ケロイド等の消滅・縮退に外科的方法をとらなくてすむことから、患者に苦痛を与えることがない。特に、フォン レックリングハウゼン病においては、一個体の外表に無数に発生する神経繊維腫を切除手術する必要ある場合やケロイド等の患部が大きい場合における、長年月にわたるステロイド局所注射療法が、精神的に患者へ与えるプレッシャーやストレスの増強を大幅に抑制する点で効果は多大なものである。特に、治療効果が必ずあること、患者に大きな精神的負担を強いることがないという点で、患者に大きな希望を与えるものである。
そして、抗癌剤やステロイド剤を用いるわけではないので、不要にして不愉快、かつ、QOL(クオーリティ オブ ライフ)低下の原因となる副作用を患者に与えることもない。
さらに、入院が必要でなく、安価な薬剤を使用しうることから、医療費を軽減できるという効果は大きい。特に、入院を必要とせず、通院により腫瘍・ケロイド等を消滅させうることから、時間的・費用的にも患者の負担を軽減できる効果は国民医療費の膨張しつづける現在、その意義は大きいと考えられる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
この発明にかかる腫瘍・ケロイド等治療剤は、特には、フォン レックリングハウゼン病、さらにはケロイド等を治療しうる安価な治療剤の提供等を、塩化メチルロザニリンを用いることによって実現した。
本発明にかかる塩化メチルロザニリンを有効成分とする腫瘍・ケロイド等治療剤について、以下に説明する。
塩基性色素とは、色素イオンがカチオンである色素をいい、ジアリールメタン系(たとえば、オーラミン)、トリアリールメタン系(たとえば、クリスタルヴァイオレット、メチルヴァイオレット、マラカイトグリーン)、キサンテン系(たとえば、ローダミンB)、チアジン系(たとえば、メチレンブルー)、アジン系(たとえば、サフラニンT)、アゾ系(たとえば、クリソイジン、ビスマルクブラウン)等の色素が該当する。
なお、塩基性色素の一つである塩化メチルロザニリンは、クリスタルバイオレット、ピオクタニンブルー、ゲンチアナバイオレット等とも称されるCAS No.:548−62−9の化学物質である。
塩化メチルロザニリンは、一般に2%水溶液を皮膚消毒に用いる。グラム陽性菌、特にブドウ球菌、ジフテリア菌および緑膿菌に対して殺菌作用があり、抗真菌作用も有し、粘膜に対し刺激性がないことから、1%水溶液が鵞口瘡に適用される。
また、整形外科、形成外科、外科の手術野、乳腺外科の切開線のマーキング、瘻孔の確認、褥瘡等に、日常当然のように頻用される。
本発明においては、塩化メチルロザニリンの使用量はその使用態様にもよるが、0.01%以上、15%以下、好ましくは、0.1%以上であり、10%以下である。0.01%以下においては本発明の目的を達成することができず、15%を超えると、壊死性物質である塩化メチルロザニリンの作用が強く働き、腫瘍・ケロイド等周囲の正常細胞にも影響を与えるおそれがあるからである。
腫瘍・ケロイド等治療剤には、有効成分たる塩基性色素、例えば塩化メチルロザリニンのみならず、麻酔作用を有する薬剤や、炎症を防止する薬剤等が添加されていてもよい。
麻酔作用を有する薬剤としては、コカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、リドカイン、メピバカイン、プロピトカイン、ブピバカイン、ジプカイン、エチルアルコール、キシロカイン等が挙げられる。
また、炎症を防止する薬剤としてはステロイド性抗炎症剤(たとえば、ヒドロコルチゾン)、非ステロイド性抗炎症剤(たとえば、アセチルサリチル酸)等がある。
麻酔剤や抗炎症剤とともに、又は単独で、細菌感染を防止するために、抗生物質等が添加されていてもよい。抗生物質等としては、たとえば、ペニシリン系薬剤、セフェム系薬剤、カルバペネム系薬剤、テトラサイクリン系薬剤、アミノグリコシド系薬剤等が挙げられる。
また、本薬剤の使用にあたっては、その使用態様により、上記以外の薬剤等が添加されていてもよい。
たとえば、溶解補助剤(たとえば、安息香酸ナトリウム)、酸化防止剤(たとえば、ピロ亜硫酸ナトリウム)、キレート剤(たとえば、EDTA)、緩衝剤(たとえば、クエン酸塩)、保存剤(たとえば、パラオキシ安息香酸エステル類)、無痛化剤(たとえば、塩酸キシロカイン)等が添加されていてもよい。
腫瘍・ケロイド等治療剤は、注射剤、注入剤、軟膏剤(含クリーム剤、ゲル剤)、貼付剤等として、神経線維症やケロイド等に適用される。
「注射剤」とは、皮膚内又は皮膚若しくは粘膜を通して体内に直接適用する医薬品の溶液、懸濁液、乳濁液または用時溶剤に溶解もしくは懸濁して用いる製剤であり、局所に適量の当該薬剤を付与することができる。適所に適量投与しうることから、たとえば、組織壊死作用を有する薬剤を含む場合であっても、組織壊死作用を最小限とすることができる。
注射部位は腫瘍・ケロイド等部位に直接、或は腫瘍・ケロイド等の基底部等に注射することができる。なお、腫瘍基底部とは、腫瘍部と正常細胞部の境界領域を、ケロイド等の基底部とは、ケロイド等と正常細胞部の境界領域をいう。
注射剤を使用する場合にあっては、腫瘍部位への局所注射回数は、3から5日に1回の割合で、同一部位に多くても5回までであり、炎症を防ぐためにステロイド性抗炎症剤が添加されていても、使用回数がすくないことから、ステロイド剤を主たる薬剤としたものに比べて、その副作用は少ない。
また、1回当たりの局所注射剤量は0.5〜2ml、好ましくは1ml程度までであり、複数の該部位へ局所注射を行なっても、患者に与える負担はすくない。
なお、該部位へ直接局所注射するにあたっては、該部位が柔らかいため、局所注射は容易になしうる。特に、フォン レックリングハウゼン病にあっては、半球状結節は最大でも3cm程度であり、一個の半球状結節に一度の注射で薬剤を投与することができる。
また、薬剤全投与完了後(最終局所注射終了後)に半球状結節の基底部を結紮することにより、半球状結節の消滅を促進することができる。
フォン レックリングハウゼン病にあっては、思春期ごろから半球状結節が発生するが、このころの半球状結節の発生は孤発であり、半球状結節が発生するごとに本薬剤を局所注射してゆけば、局所注射により半球状結節を消滅させることができることから、その後、多数の半球状結節が集簇した醜状状態とはならず、患者の精神衛生上大変好ましいことである。
ケロイド、肥厚性瘢痕等への局所注射回数にあっては、基本的には腫瘍部位への局所注射の場合と同様であるが、ケロイド、肥厚性瘢痕等にあっては、該部分はフォン レックリングハウゼン病と異なり、硬いため、注射はむつかしく、また、一度の注射では、全体をカバーすることはできにくい。従って、ケロイド等の全体を褪縮させるためには、ケロイド等自身の硬度が強いため、1回当たりの注射量を少なくし、複数箇所に局所注射を行なうことが好ましい。
「注入剤」とは、皮膚内に直接適用する医薬品の溶液、懸濁液、乳濁液又は用時溶剤に溶解もしくは懸濁して用いる製剤であり、局所に当該薬剤を適切に投与しうることから、たとえば、組織壊死作用を有する薬剤を含む場合であっても、組織壊死作用を最小限とすることができる。
腫瘍・ケロイド等治療剤を注入剤の形で、注入部位は腫瘍・ケロイド等部位に直接、或は腫瘍の基底部に注入することができる。
「軟膏剤」とは、適当な稠度の全質均等な半固形状の外用剤をいい、注入剤とは異なり、患部全体を覆い得ることから、患部の大小に係わらず対応することができる。
脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、ろう、樹脂、プラスティック、グリコール類、高級アルコール、グリセリン、水、乳化剤、懸濁化剤、または他の適当な添加剤を原料とし、またはこれらを基材とし、医薬品を加え、混和して全質を均等にしたものである。
なお、保存剤、酸化防止剤、湿潤剤等が添加されていてもよい。
また、軟膏の調剤法としては練合法、溶融法等があるが、そのいずれを用いるかは、基材により適合した方法が採られる。
軟膏は、基材により油脂性、乳剤性、水溶性、懸濁性軟膏に分類されるが、これらのいずれであってもよい。
なお、乳剤性基剤を用いた、水中油滴型(バニシングクリーム)・油中水滴型(コールドクリーム)はクリーム剤と称されるが、軟膏剤に含まれる。
また、懸濁性基剤にはヒドロゲル基剤・リオゲル基剤があり、ゲル剤と称されるが、軟膏剤に含まれる。
軟膏剤にあっては、有効成分たる、例えば、塩化メチルロザニリン以外にも、経皮吸収を促進させうる薬剤を添加してもよい。経皮吸収を促進させる薬剤としては、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンエーテル等の界面活性剤、オレイルアルコール等のアルコール類、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタンエステル類等が挙げられるが、これらに制限されるものではなく、公知の経皮吸収促進剤が用いられる。
また、麻酔剤や抗炎症剤、抗菌剤等が添加されていてもよい。
また、軟膏剤の使用方法は、単純に擦りこむ塗布法、ガーゼ又はリント布などに厚めにのばして貼り付ける貼付法、2種類以上の軟膏を重ねる重層法、病巣に軟膏を塗りその上をやや広めのプラスティックで覆い、周囲を絆創膏などで固定する密封包帯法などがあり、患部の状態に応じて使い分けられる。
貼付剤には、パップ剤やプラスター剤があり、簡便に使用することができる。
また、貼付剤に用いられる薬剤としては、軟膏剤と同様の薬剤が使用される。
本発明の腫瘍・ケロイド等治療剤が用いられる腫瘍としては、神経繊維腫(例えば、フォン レックリングハウゼン病)を始めとして、疣贅、胼胝、鶏眼等が挙げられる。
また、本発明の腫瘍・ケロイド等治療剤はケロイド等にも適用される。
なお、ケロイド等とは、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕をいう。
フォン レックリングハウゼン病は、優性遺伝する遺伝性疾患で、中枢および末梢神経系の支持組織に肥大や腫瘍性変化をきたすものである。
疣贅は、表面粗▲そう▼で、触れて凹凸不平のある小結節ないし結節であり、有棘細胞の乳頭状増殖と角質増生が認められる。
胼胝は、結合組織の線維成分や基礎物質が増加して硬く緻密となった組織であり、皮膚にできる胼胝は、「タコ」ともよばれ、角層が肥厚したものである。
鶏眼は、後天性角化症の一つで、足底、趾側部などの摩擦や圧迫の加わる場所に生じる円錐形の角化病変であり、円錐形の角化性丘疹が尖端部を真皮側に向けて存在するものである。
ケロイドは、皮膚損傷後の創面がでこぼこに隆起し、ときに蟹足状突起を生ずる結合組織の肥大増殖症をいい、その程度により、肥厚性瘢痕、瘢痕ケロイド、真正ケロイドとされる。
肥厚性瘢痕は、創面に一致して隆起する紅色調の硬い瘢痕であり、増大時には掻痒や圧痛が強いものである。
瘢痕ケロイドは、難治性であり、自然消退が容易に期待できないものである。
真正ケロイドは、もとの創部の範囲を越えて拡大し、腫瘤状にるいるいと盛り上がったものである。
肥厚性瘢痕同様、瘢痕ケロイド、真正ケロイドともに、掻痒、自発痛は強大なものである。
本発明による腫瘍・ケロイド等治療剤を適用するに、これらのケロイドの区別なく適用されうる。
上記腫瘍は、いわゆる良性腫瘍と称されるものであるが、悪性腫瘍であっても、塩化メチルロザニリンが壊死性物質であることにかわりないと考えられることから、悪性腫瘍、たとえば、基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫、エイズのカポジ肉腫等においても適用されうるであろう。また、準悪性腫瘍(前癌状態)たるボーエン腫瘍等の皮膚新生悪性物においても適用されるであろう。
以下、実施例において更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
フォン レックリングハウゼン病患者の直径約3cmの半球状結節そのものに、塩化メチルロザニリンの1%水溶液0.7mlを(表1、No.1)、注射器により、注入した。本治療剤を注入していない患部、及び注入した患部の状態を図1に示す。
なお、治療剤の注入直後において、半球状結節の周囲に遊出・拡散した場合であっても、時間の経過とともに、図1に示されるように、塩化メチルロザニリンは半球状結節部に収斂した。これは、病理的には周辺組織に拡散した異物として認識され、大喰細胞により食細胞活動(phagocytosis)がおこるものと推量される。
本結節には、計3回の局所注射を行なった。3回注射後には図2に示されるように、結節部に塩化メチルロザニリンが収斂していること、結節の表面が乾燥状態を示していることが認められる。
注射剤の組成につき表1に示す。
Figure 0004216680
その後は、患者自らが患部を消毒した。初回局所注射後より32日経過した半球状結節の状態を図3に示す。
図3に示すように、半球状結節は消失しており、本治療剤の効果が認められる。
このように、大きい(約3cm)半球状結節であっても、約1月で消失し、入院することもなく、通院あるいは自宅での治療が行なえることから、患者の精神的・肉体的・費用的プレッシャーやストレスは、摘除手術を行なう場合よりも各段に少ないであろうことが推測される。
なお、本治療剤を患部に注入した際に、痛みや発赤が認められた。発赤は、ステロイドクリームの塗布により緩解した。
図1は、フォン レックリングハウゼン病患者の腹部の状態であり、無数の半球状結節12が認められる。半球状結節のうち、半球状結節14は直径約3cmであり、そこに治療剤を注射したものである。また、この注射により、一部に発赤16が認められる。
なお、治療する半球状結節の位置を特定するために、半球状結節18を示す。
図2は、治療中の半球状結節14の拡大図である。半球状結節14の表面が乾燥状態にあることが認められる。
図3は、半球状結節14がとれた状態を示す図であり、約3cmの半球状結節14は消失していることが認められる。
なお、治療する半球状結節の位置を特定するために、半球状結節20を示す。
図4は、半球状結節14が完全に消失し、その後、該当部分の皮膚の創面も治癒した状態を示すものである。
なお、治療した半球状結節の位置を特定するために、半球状結節18、20を示す。
図5に、半球状結節の従断面30を示す。これは1回目注射後3日目のものであり、腫瘍の病理学的所見を得るために、半球状結節を切片としたものである。
神経線維腫組織42は主として周辺で少し残存しているものの、組織は主に退行性変化と壊死、細胞核の断片等が多数見られるところが特徴である。
広範囲に組織壊死40が生じており、空泡変性34、36を呈するところも認められ、組織破壊性変化が進んだ結果と考えられる。
ごく一部に炎症部位38が認められる。
なお、塩化メチルロザニリンによる組織、細胞の染色は認められず、これの集積、貯留も見られない。
(実施例2)
表1のNo.2の注射剤を用いたところ、発赤は認められたが、患者は痛感が著しく軽減したことを認め、実施例1と同様、半球状結節は消失が認められた。
なお、本実施例においては、注射剤を4回にわたり、患部に局所注射を行なった。
局所注射後の血液検査結果を表2に示す。
表2より白血球数が増加しているが、これは、注射剤の腫瘍内への注入により炎症が生じ、その結果増加したものであろう。
また、肝機能に関係するALP、LDH、LAPの値が減少傾向を示しており、興味のある現象であるが、その理由については明らかでない。
好中球はやや増加傾向示しているが、これは好中球が塩化メチルロザニリンを異物として認識し、遊走、粘着、貧食、消化といった過程をへて、生体防御機能の主役を演じる白血球であることから、組織破壊による破砕片等に対応するために、このような傾向を示したものであろう。
Figure 0004216680
WBC:白血球数
CRP:C反応性蛋白質試験
GOT:グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ
GPT:グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ
ALP:アルカリフォスファターゼ
LDH:乳酸デヒドロゲナーゼ
LAP:白血球アルカリフォスファターゼ
(実施例3)
表1のNo.3の注射剤を用いたところ、患者は痛感を訴えたが、図1に認められるような発赤は見られず、半球状結節の消失が認められた。
(実施例4)
表1のNo.4の注射剤を用いたところ、患者は痛感が著しく軽減したことを認め、図1に認められるような発赤は見られず、半球状結節の消失が認められた。
(実施例5)
表1のNo.4注射剤を真性ケロイドに用いたところ、図8に認められるように、ケロイドの縮小が認められた。注射剤使用前後のケロイドの状況を図6ないし図8に示す。
真性ケロイドは、フォン レックリングハウゼン病の半球状結節のように柔らかくはないため、注射剤の注入は一部にとどまったが、全体的にケロイドの褪縮が認められる。
図6は、約3.7cm×2.5cmの赤く隆起した、肩部に発生したケロイドである。ケロイドでは、隆起部に張り・つやが認められる。
図7は、本治療剤を注入21日後経過の状態であり、ケロイドは硬いことから、複数箇所に注射することを要し、注射部位近辺が陥没状態にあるが、真性ケロイドが紫色に変色していることから、本治療剤がケロイド全体に拡散していることがわかる。また、隆起した全体の表面に張り・つやがなく、縮小傾向を示していることが認められる。
図8は、隆起した全体が赤みも薄くなり、表面の張り・つやもなく全体的に褪縮していることが認められる。
この発明にかかる腫瘍・ケロイド治療剤は、たとえば、フォン レックリングハウゼン病やケロイド及び肥厚性瘢痕の治療に適用できることから、製薬産業において利用可能である。
半球状結節への治療剤の使用前・使用中の状態を示す図である。 半球状結節への使用中の状態を示す図である。 半球状結節の消失の状態を示す図である。 半球状結節部の治癒状態を示す図である。 半球状結節部の従断面を示す図である。 真性ケロイドの状態を示す図である。 真性ケロイドへの治療剤の使用中の状態を示す図である。 真性ケロイドが褪縮した状態を示す図である。
符号の説明
10 フォン レックリングハウゼン病患者の腹部
12 半球状結節
14 治療剤を注射した半球状結節
16 発赤部
18 特定の半球状結節
20 特定の半球状結節
30 半球状結節部の従断面(病理組織像)
32 腫瘍の表皮(組織破壊のため剥がれている)
34 壊死に伴う空疱変性
36 壊死に伴う空疱変性
38 炎症反応が盛んな部位
40 広範囲組織壊死に陥っている部分
42 神経線維腫組織
50 真性ケロイド部
52 真性ケロイド
54 治療剤注射部

Claims (5)

  1. 塩化メチルロザニリンを有効成分とする神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤。
  2. 注射剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤。
  3. 注入剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤。
  4. 軟膏剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤。
  5. 貼付剤である請求項1に記載の神経線維腫、真正ケロイド、瘢痕ケロイド、肥厚性瘢痕用治療剤。
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