JP4214279B2 - 4元組成比傾斜膜の作成方法及び2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法 - Google Patents

4元組成比傾斜膜の作成方法及び2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法 Download PDF

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Description

この発明は、4元組成比傾斜膜を作成する方法及び2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法関する。
近年、複数の物質から成る新規なセラミックス材料の開発は目覚しく、新しい材料をいかに効率良く発見するかが極めて重要になってきている。新しいセラミックス材料を探索するには、構成物質の組成比が異なる試料を多数作成し、その特性を評価して最適組成比を求めるのが一般的であるが、トライアンドエラーで一つ一つ探すことは非常に効率が悪い。このため近年では、コンビナトリアルテクノロジーと呼ばれる効率的な試料作製方法が普及し、例えば、二元系や三元系の物質に関しては、全ての構成物質の組成比が0%から100%まで変化した試料を一基板上に作成し評価する方法が行われるようになってきている。
図8は従来の2元組成比傾斜膜の作成方法を示す図である。図に示すように、基板とターゲットとの間に可動式マスクが設置してあり、図8(a)に示すように、物質Aのターゲットを使って蒸着を行いながらマスク開口を右から開けていき、次に、図8(b)に示すように、物質Bのターゲットを使って蒸着を行いながら左からマスク開口を開けていき、これらの工程を数百から数千回繰り返すことで、A物質とB物質の組成比が0%から100%変化する組成比傾斜膜(A1−x,0≦x≦1)を作成することができる。なお、1回に蒸着する量は数原子層オーダーなので、交互に蒸着した段階で互いに拡散し化合物になる。このようにして形成した一枚の2元組成比傾斜を分析すれば、A物質とB物質の全組成比範囲における特性は、一度の試料作製で評価することが可能になる。
3つの物質の組成比を変化させた3元相図が必要になる場合もしばしばあり、これを一括して作成する方法もすでに考案されている(特願2002−084318参照)。
図9は、上記参考文献の3元組成比傾斜膜作成装置の構成を示している。図は、物質A,B,Cの3元組成比傾斜膜(A1−x−y,0≦x,y≦1)を作成するための装置の模式図であり、この装置は図8に示した2元組成比傾斜膜を実現するためのマスクに加えて、基板を回転する機構がついている。レーザーアブレーション法により、ターゲットAをアブレーションすると共に、マスクを走査し、A物質から成る膜厚傾斜膜を基板上に作成する。次に、基板を120°回転し、B物質について同様に膜厚傾斜膜を作成する。次に、基板をさらに120°回転し、C物質について同様に膜厚傾斜膜を作成する。上記工程を複数回繰り返して、3種類の膜厚傾斜膜が重なった三角形状の領域に3元相図に対応する3元組成比傾斜膜を作成できる。
図10は、図9の装置を用いた3元組成比傾斜膜の作成の原理を模式的に示すものである。図の黒色の濃淡は基板上に蒸着された膜の膜厚に対応し、黒いほど膜厚が厚いものとする。ステップ1に示すように、図9の装置を用い、マスクの開口を移動させながら基板に蒸着することで、物質Aの膜厚傾斜膜を作成する。次にステップ2に示すように、基板を120°回転した後、物質Bを同様の方法で蒸着する。そして、ステップ3に示すように、基板をさらに120°回転した後、物質Cを同様な方法で蒸着する。このように蒸着を行うことで、3元組成比傾斜膜(A1−x−y)を作成することができる。このように作られた試料を測定すれば、3元物質の全ての組成比範囲(A1−x−y)にわたって、一枚の基板で評価することが可能である。
上記の説明は、3元以下の組成比傾斜膜の作製方法に関する従来方法の説明であった。しかしながら、物質探索においては4元組成比傾斜膜を必要とする場合がある。例えば、ペロブスカイト型酸化物ABOに関して、AサイトとBサイトの両方の原子を変化させた物質探索を行いたい場合がある。
図11は、ペロブスカイト型酸化物(ABO型)である(Sr、Ba1−x)(TiFe1−y)Oの相図である。(SrBa1−x)(TiFe1−y)Oは、構成物質がSrTiO、BaTiO、SrFeO、BaFeOの4種類の構成物質から成る4元系複合酸化物であり、横軸方向は、Aサイトの原子をSrからBaに置換する置換比を示し、縦軸は、Bサイトの原子をTiからFeに置換する置換比を示している。このような4元組成比傾斜膜を作成できれば、4元系物質探査に要する時間は飛躍的に短縮できる。
しかしながら、従来技術では、完全な4元組成比傾斜膜を作成することができないと言う課題がある。例えば、図10に示した方法を適用すれば、基板の回転角を90°とすることによって、4元組成比傾斜膜が得られる。しかしながら各組成比がそれぞれ、0から100%まで変化した4元組成比膜を作成することはできない。このことを図12を用いて説明する。
図12は、図10の方法を拡張し、基板を90°毎回転して作成した4元組成比傾斜膜を示す図である。図において、4元の物質をそれぞれA,B,C,Dとしている。図からわかるように、この組成比傾斜膜においては4元の物質A,B,C,Dの各々についての組成比が100%の点を見いだすことができない。これは、3元系においては、各組成比の濃度勾配軸方向が互いに一致することがないので各組成比が100%である領域(図10参照)が現れるが、4元系の場合には図12に示すように、2つの物質の濃度勾配軸方向が一致してしまうため、組成比が100%である領域が生じ得ないためである。
このように、従来技術では4元物質全ての組成比が0から100%まで変化した組成比傾斜膜を作成することができないという課題がある。
また、物質探査においては、2元組成比傾斜膜であって、かつ、各組成比毎に膜厚傾斜も有している膜、すなわち、各組成比において、その組成比を維持しながらその膜厚が変化した2元組成比傾斜膜・膜厚傾斜膜が必要な場合がある。例えば、バルク単結晶成長技術において低温度で結晶成長する技術としてフラックス法が知られているが、このフラックス法を蒸着等の気相からの膜形成技術に取り入れ、結晶欠陥の少ない膜を作成する技術、すなわちトライフェーズエピタキシー技術が最近注目されている(参考文献:日本金属学会誌 第66巻 第4号(2002)284−288)。トライフェーズエピタキシーを行うには、フラックス物質の組成比と、基板に形成するフラックス層の厚さが極めて重要である。例えば、強磁性体材料YFe12(YIG)の結晶薄膜を作りたい場合、BaOとBを混合したフラックスが用いられるが、BaOとBの組成比と、このフラックス層の厚さは、成長するYIG膜の結晶欠陥密度に対して極めて大きな相関がある。従来このような、組成比とフラックス層の厚さの探査においては、組成比毎に膜厚を変えた複数の2元組成比傾斜膜を作成しなければならず、時間とコストを要していた。このような物質探査を一枚の試料膜でできるようになれば、物質探査に要する時間とコストを飛躍的に削減できる。
しかしながら、従来技術では2元組成比・膜厚傾斜膜を作成すること困難であるという課題がある。
また、4元物質よりもさらに多元な組成物質は、従来あまり探査されてこなかったが、将来の物質探査の中心となる物質系である。しかしながら、組成数が大きくなるに従って、これらの組成比傾斜膜を作る装置は複雑、且つ大型化し、低コストで物質探査を行うことが困難になる。従ってこの場合、組成比が連続して変化した組成比傾斜膜を作るよりも、組成比をサンプリングした複数の多元組成膜を作成して特性を評価する方法が低コストで物質探査を行う上でより有効である。ところが、組成数が大きくなるに従って、各組成比の組み合わせ数は膨大なものになり、これらの組成比の組み合わせ数の全てを作製し、特性を評価する方法では、短時間に低コストで物質探査を完了することが困難であるという課題がある。
上記課題に鑑み、本発明の第1の目的は、4元物質全ての組成比が0から100%まで変化した4元組成比傾斜膜の作成方法を提供することを目的とする。
本発明の第2の目的は、2元組成比傾斜であり、かつ、膜厚傾斜も有する2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法を提供することを目的とする
本発明の第1の目的を達成するために、本発明の4元組成比傾斜膜の作成方法は、矩形状の4元組成比傾斜膜を作成する際に、矩形の直交する二辺方向の座標をx、yとし、4元物質をそれぞれA,B,C,Dとし、物質A,B,C,D各々のモル数をzとしたときに、物質A,B,C,Dの各々のモル数分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を積層することを特徴とする。
この方法によれば、4元物質全ての組成比が0から100%まで変化した4元組成比傾斜膜を作成することができる。
上記したように、モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層するには、三角形の開口を有するマスクを矩形の一辺に平行な−x方向に一定速度で走査すると共に、4元物質の内の第1の物質Aを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、モル数分布がz=xyの第1の膜を形成し、次に、マスクをx方向に一定速度で走査すると共に、4元物質の内の第2の物質Bを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、モル数分布がz=x(1−y)の第2の膜を積層し、次に、x軸に関して反転した形状を有するマスクを−x方向に一定速度で走査すると共に、4元物質の内の第3の物質Cを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、モル数分布がz=(1−x)(1−y)の第3の膜を積層し、次に、x軸に関して反転した形状を有するマスクをx方向に一定速度で走査すると共に4元物質の内の第4の物質Dを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給し、モル数分布がz=y(1−x)の第4の膜を積層することを特徴とする。
さらに、モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層するには、三角形の開口を有するマスクを矩形の一辺に平行な前記−x方向に一定加速度で走査すると共に、4元物質の内の第1の物質Aを、供給速度を一定で基板に供給して、モル数分布がz=xyの第1の膜を形成し、次に、マスクをx方向に一定加速度で走査すると共に、4元物質の内の第2の物質Bを、供給速度を一定で基板に供給して、モル数分布がz=x(1−y)の第2の膜を積層し、次に、x軸に関して反転した形状を有するマスクを−x方向に一定加速度で走査すると共に、4元物質の内の第3の物質Cを、供給速度一定で基板に供給して、モル数分布がz=(1−x)(1−y)の第3の膜を積層し、次に、x軸に関して反転した形状を有するマスクをx方向に一定加速度で走査すると共に、4元物質の内の第4の物質Dを、供給速度一定で基板に供給し、モル数分布がz=y(1−x)の第4の膜を積層しても良い。
ここで、上記気相成長法は、レーザーアブレーション法、スパッタ法、真空蒸着法、化学気相成長法のいずれでも良い。レーザーアブレーション法を用いて、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給する場合は、レーザーのパルスエネルギーまたは周波数を増加させて行っても良い。スパッタリング法を用いて、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給する場合は、スパッタリングの電力を増加させて行っても良い。化学気相成長法を用いて、供給速度を一定速度で増加させて供給する場合は、化学気相成長法の反応速度を制御して行っても良い。
本発明の第2の目的を達成するため、本発明の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法は、2元組成比傾斜膜であり、かつ、2元組成比傾斜膜の各組成比において膜厚が傾斜した矩形状の膜を作成するに当たって、矩形の直交する二辺方向の座標をx,yとし、2元組成物質をそれぞれA,Bとし、物質A,Bの各々のモル数をzとしたときに、物質A,Bの各々のモル数の分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表されるモル数分布の内、z=xyとz=(1−x)(1−y)との組み合わせを除いた、互いに異なる任意の2つの分布の膜を組み合わせて積層することを特徴とする。
この方法によれば、2元組成比傾斜を有し、かつ、xまたはy方向に線形に膜厚が変化した膜厚傾斜も有する2元組成比傾斜・膜厚傾斜膜が作成できる。
また、モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層するには、三角形の開口を有するマスクを矩形の一辺に平行な−x方向に一定速度で走査すると共に、2元物質の内のA又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して形成する。z=x(1−y)の膜を形成する場合には、x方向に一定速度で走査すると共に、A又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して形成する。z=(1−x)(1−y)の膜を形成する場合には、x軸に関して反転した形状を有するマスクを−x方向に一定速度で走査すると共に、A又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して形成する。z=y(1−x)の膜を形成する場合には、x軸に関して反転した形状を有するマスクをx方向に一定速度で走査すると共に、A又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して形成する。
また、モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層するには、z=xyの膜を形成する場合には、三角形の開口を有するマスクを矩形の一辺に平行な−x方向に一定加速度で走査すると共に、2元物質の内のA又はBの物質を、供給速度一定で基板に供給して形成し、z=x(1−y)の膜を形成する場合には、マスクをx方向に一定加速度で走査すると共に、A又はBの物質を、供給速度一定で基板に供給して形成し、z=(1−x)(1−y)の膜を形成する場合には、x軸に関して反転した形状を有するマスクを−x方向に一定加速度で走査すると共に、A又はBの物質を、供給速度一定で基板に供給して形成し、z=y(1−x)の膜を形成する場合には、x軸に関して反転した形状を有するマスクをx方向に一定加速度で走査すると共に、A又はBの物質を、供給速度一定で基板に供給して形成しても良い。
ここで、上記気相成長法は、レーザーアブレーション法、スパッタ法、真空蒸着法、または化学気相成長法のいずれでも良い。レーザーアブレーション法を用いて、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給する場合は、レーザーのパルスエネルギーまたは周波数を増加させて行っても良い。スパッタリング法を用いて、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給する場合は、スパッタリングの電力を増加させて行っても良い。化学気相成長法を用いて、供給速度を一定速度で増加させて供給する場合は、反応速度を制御して行っても良い
上記説明から理解されるように本発明の4元組成比傾斜膜の作成方法によれば、4元物質全ての組成比が0から100%まで変化した4元組成比傾斜膜が作成できる。また、本発明の2元組成比傾斜・膜厚傾斜の作製方法によれば、組成比傾斜と膜厚傾斜を兼ね備えた2元組成比・膜厚傾斜膜を作成できる。従って、4元系の物質探査に使用すれば、極めて短時間に探査することができる。また、2元物質の最適組成比及びその膜厚を探査することが必要な物質探査に用いれば、極めて短時間に探査することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、実質的に同一又は同等の部材には同一の符号を用いて説明する。
初めに、第1の本発明である4元組成比傾斜膜の作成方法を説明する。
図1は本発明の4元組成比傾斜膜の作成方法を説明する図である。図1(a)は作成する4元組成比傾斜膜の平面形状及び組成比傾斜方向を示す図であり、同図(b)は、本発明の方法により形成するモル数分布を示す図である。図1(a)に示すように、本発明の4元組成比傾斜膜1は矩形状を有し、矩形1のそれぞれの頂点を2,3,4,5とする。頂点2,3,4,5のそれぞれに対応して、物質A,B,C,Dの組成比が1(100%)であるとする。
図1(b)に示すように、A物質を、A物質のモル数zが頂点2を最大としてz=xyで与えられるように蒸着する。同様に、B物質を、B物質のモル数zが頂点3を最大としてz=x(1−y)で与えられるように蒸着する。同様に、C物質を、C物質のモル数zが頂点4を最大としてz=(1−x)(1−y)で与えられるように蒸着する。同様に、D物質を、D物質のモル数zが頂点5を最大としてz=y(1−x)で与えられるように蒸着する。このように、各々の物質が上記の各々のモル数分布を有して積層されているので、任意の点(x,y)において、この積層膜は、Axyx(1−y)(1−x)(1−y)(1−x)yの組成比を持つことは明かである。従って、座標x,yが定まれば、その点の組成比を一義的に求めることができる。
また、図1(b)の点線の矢印の右に示したように、上記4つの物質のモル数分布を全て加えれば、モル数zが4元組成比傾斜膜1上の座標x、yによらずに1となるから、4元組成比傾斜膜1上の全ての点において膜厚が一定であることがわかる。
従って、上記工程を基本単位として、複数回蒸着することにより、膜厚がxy面内で一定であり、且つ、x,y座標に対応して組成比がAxyx(1−y)(1−x)(1−y)(1−x)yで与えられる4元組成比傾斜膜が形成できる。またこの方法によれば、4元物質各々の組成比が0〜100%まで変化した完全な4元組成比傾斜膜を形成することができる。
次に、A物質のモル数分布がz=xy、B物質のモル数分布がz=x(1−y)、C物質のモル数分布がz=(1−x)(1−y)、及びD物質の物質のモル数分布がz=y(1−x)となる膜の形成方法について説明する。
図2は本発明のモル数分布膜の形成方法を示す図である。図2(a)は、D物質のモル数分布がz=y(1−x)になる膜の形成方法を示している。図において、6は直角三角形の開口を有するマスクであり、黒の濃淡はD物質のモル数分布を示している。
基板上の4元組成比傾斜膜を作成する領域、すなわち矩形1の頂点2に直角三角形のマスク6の頂点6cを一致させ、かつ、直角三角形のマスク6の辺6aが矩形1の辺1aの方向に一致するように配置する。マスク6を−x方向に向かって一定速度で走査すると共に、D物質を、蒸着速度を一定速度で上昇させながら蒸着する。
この方法によれば、直角三角形のマスク6の開口形状によって、−y方向に減少するモル数分布が形成され、一方、蒸着速度の変化によって、−x方向に増加するモル数分布が形成される。その結果、図の黒の濃淡で示したように、D物質のモル数分布が、z=y(1−x)になる膜が形成できる。
図2(b)は、A物質のモル数分布がz=xyになる膜の形成方法を示している。図2(a)に示した方法と比べると、マスク6の走査方向がx方向である点が異なる。この方法によれば、直角三角形のマスク6の開口形状によって、−y方向に減少するモル数分布が形成され、一方、蒸着速度の変化によって、x方向に増加するモル数分布が形成される。その結果、図の黒の濃淡で示したように、A物質のモル数分布が、z=xyになる膜が形成できる。
図2(c)は、C物質のモル数分布がz=(1−x)(1−y)になる膜の形成方法を示している。この図におけるマスク6は、図2(a)におけるマスク6を、矩形1の辺1aに関して反転し、かつ、矩形1の辺1bの長さだけ−y方向に平行移動した配置になっている。もちろん、マスク6をこのように配置し直しても良く、また、この配置を有する他のマスクを使用しても良い。
マスク6を−x方向に一定速度で走査すると共に、C物質を、蒸着速度を一定速度で上昇させながら蒸着する。この方法によれば、直角三角形のマスク6の開口形状によってy方向に減少するモル数分布が形成され、一方、蒸着速度の変化によって、−x方向に増加するモル数分布が形成される。その結果、図の黒の濃淡で示したように、C物質のモル数分布が、z=(1−x)(1−y)になる膜が形成できる。
図2(d)は、B物質のモル数分布がz=x(1−y)になる膜の形成方法を示している。図2(c)に示した方法と比べると、マスク6の走査方向がx方向である点が異なる。この方法によれば、直角三角形のマスク6の開口形状によって、y方向に減少するモル数分布が形成され、一方、蒸着速度の変化によって、x方向に増加するモル数分布が形成される。その結果、図の黒の濃淡で示したように、B物質のモル数分布が、z=x(1−y)になる膜が形成できる。
また、蒸着速度を変化させる方法は、レーザーアブレーション法を用いる場合には、レーザーアブレーション用のレーザーパルスの生成速度、すなわちパルス周波数を変化させることによって可能である。レーザーパルスのエネルギーを変化させても良い。また、蒸着速度を一定として、マスクの走査を一定加速度で走査しても良い。スパッタリング法を用いる場合は、スパッタ電力を変化させればよい。さらに、化学気相成長法を用いる場合は、反応ガス流量や基板温度等を制御して反応速度を変化させてやればよい。
次に実施例を示す。この実施例は、図2の(b)に説明した方法を用いて、z=xyのモル数分布が形成できることを確認したものである。
レーザーアブレーション法により、図2の(b)に説明した方法を用いて、モル数分布z=xyを有するYFe12膜を形成した。頂角が40.2°の直角三角形の開口を有するマスクを用いた。作成した膜の形状は15mm×15mmの正方形であり、マスクは1.5mm/秒で走査した。レーザーパルスの周波数は、1Hzから10Hzまで連続的に変化させた。
図4は、YFe12膜の膜厚分布を示す図である。図4(a)は使用したマスクの形状と走査方向と、作成したYFe12膜の形状を示し、(b)は(a)のYFe12膜上に記載した点線xに沿った膜厚分布を示し、(c)は(a)のYFe12膜上に記載した点線yに沿った膜厚分布を示す。図から、組成比傾斜膜を形成する矩形範囲において、z=xyの良好な膜厚分布が形成されていることがわかる。
次に、第2の発明に係る2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法を説明する。
本発明の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法は、図2に示した、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表されるモル数分布の作成方法の内、z=xyの作製方法とz=(1−x)(1−y)の作製方法との組み合わせを除いた、互いに異なる任意の2つの分布の作製方法を組み合わせて作成する。
図3は、2元組成比・膜厚傾斜膜の構造を示す図である。2元組成比・膜厚傾斜膜20は、図2(b)に示した、A物質のモル数z=xyの膜と、D物質のモル数z=y(1−x)の膜を積層して形成した場合を示している。
A物質とD物質のモル数の和は膜厚に対応する。A物質のモル数はz=xyであり、D物質のモル数はz=y(1−x)であるので、モル数の和はyとなり、膜厚分布は図に示すように、x軸上で0となり、y軸方向に線形に増加する形状となる。2元組成比・膜厚傾斜膜20は、頂点21でA物質の組成比が100%、頂点22でB物質の組成比が100%となる全組成比領域をカバーする組成比分布を形成している。23はxy=K(一定)の曲線を示し、24はこの曲線23上の膜厚を示している。xy=Kの曲線は、A物質のモル数が一定の曲線であり、Kの各々の値、すなわち、A物質の各々のモル数に対して膜厚24が連続的に変化するから、この2元組成比・膜厚傾斜膜20は、全ての組成比と各々の組成比に対応した全ての膜厚の組み合わせをカバーしている。従って、2元組成比・膜厚傾斜膜を作成することができる。例えば、この2元組成比・膜厚傾斜膜上に他の物質を一定膜厚で積層した膜を形成し、この膜の特性を測定すれば、最適な2元組成比と最適な膜厚がこの一枚の膜から知ることができる。
次に、第3の発明に係る多元組成比物質の組成比のサンプリング方法を説明する。従来の成分傾斜薄膜法による物質探査法は、装置コストの限界から、3成分までしか行われていないのが現状である。3成分を越える多元組成比の物質探査を従来方法を踏襲して行ったのでは、高コスト、且つ多大の時間を要することになる。しかしながら、特性値は、特定の多元組成比にのみ生ずるものではなく、ある多元組成比範囲にわたって出現するものである。このことを実例を用いて説明する。
図5は3成分蛍光体の組成比による蛍光強度分布を示す図である。この3成分蛍光体は、希土類カルシウム・オキシボレート蛍光体TbCaO(BO、PrCaO(BO、ScCaO(BOを3成分とする蛍光体である。この蛍光体はプラズマディスプレイ用の蛍光材料として用いられる。図において、Tb、Pr、Scは、それぞれ、TbCaO(BO、PrCaO(BO、ScCaO(BOを表す。従来の組成比傾斜膜法により、透明基板上に3組成比傾斜膜を形成し、透明基板の裏から紫外線を照射し、緑色蛍光を測定したものであり、また、図の右側に示したバーグラフは、色の濃淡による相対的蛍光強度を表し、白い部分ほど蛍光強度が大きいことを示している。また、正三角形の隣り合う頂点間の座標は、頂点に記した蛍光体物質間の組成比を表す。以下、説明を簡明にするため、それぞれの蛍光体の共通部分、CaO(BOをCOBと略記する。図から明らかなように、PrCOBの組成比範囲が0〜0.2程度、ScCOBの組成比範囲が0.2〜0.6程度、及びTbCOBの組成比範囲が0.85〜1.0程度において蛍光強度が高いことがわかる。このように、たいていの場合、特性値のピークが生ずる組成比はある程度の範囲を持っている。従って、全ての組成比の膨大な数の試料を作製する必要はなく、ある程度の個数のサンプルによって、ピークがあるかないかを判定することができる。このことは、統計学の分野で証明されているように、母集団が巨大すぎて全てを調査するのが困難な場合に、その母集団からサンプル点を選び、そのサンプル点に対して調査することで全体を調査することができることに対応する。本発明の方法は、上に説明したように、特性値が分布幅を有することを利用して、サンプルの個数を減らすことを特徴とする。
次に、本発明の多元組成比物質の組成比のサンプリング方法を具体的に説明する。本発明の多元組成比物質の探査方法は、初めに、特性値の組成比に対する分布の分布幅を前もって推定する。分布幅の推定は、高度に発達した物性理論からある程度予測できる。または、類似の物質の類似の特性値の過去の測定データを使用しても良い。
次に、分布幅の正の整数倍、且つ1以下の組成比の試料を作製する。この組成比の決定方法を2成分の場合を例に取り、具体的に説明する。
図6は本発明の多元組成比物質のサンプリング方法を説明する模式図である。図は2成分の場合を示しており、横軸は組成比、縦軸は特性値の強度を示し、曲線1は、組成比を変数とした特性値の関数を示す曲線であり、曲線31のピーク32の半値幅33は0.33であるとし、半値幅33を分布幅とする。分布幅が0.33、すなわち約1/3であるので、分布幅の正の整数倍、且つ1以下の組成比の試料は、図に●で示すように、1/3,2/3及び1の組成比の3個になる。これらの組成比の試料を作製して特性を測定し、特性値がピークをなす試料を見つけ、大まかな組成比範囲を見いだす。
n元成分からなる物質の場合には、n成分の任意の2成分の全ての組み合わせにおいて、図6と同様な方法により組成比を決定し、これらの組成比の全ての組み合わせの試料を作製して特性を測定し、特性値がピークをなす試料を見つけ、大まかな組成比範囲を見いだす。n成分の任意の2成分の全ての組み合わせにおいて、分布幅が同じ0.33である場合の必要な試料数は(1/0.33)n−1となり、n=3,4,5,6の場合の必要な試料個数を図7に示す。図から明らかなように、5元物質の場合にも、わずか81個の試料数で済むことがわかり、本発明の方法によれば極めて少ない試料数で物質探査ができることがわかる。
そして、上記の方法で特性値がピークをなす大まかな組成比範囲を見いだした後、このおおまかな組成比範囲で、組成比を所望の精度に応じて変化させた試料を作製し、特性を測定することによって最適組成比を求めればよい。
次に、本発明のサンプリング方法の作用を説明する。
Shannon−染谷の標本化定理(Sampling Theorem)は、関数F(x)の成分周波数がf以下に制限されているならば、1/2f刻み毎の変数xの値におけるF(x)値によって関数F(x)が完全に再現できるというものである。
本発明の方法は、多元組成物質の組成比を変数xに、組成比に対する特性値の分布をF(x)に対応させる。また、分布幅が狭ければF(x)は急峻な形状となって成分周波数fが大きくなり、分布幅が広ければF(x)はなだらかな形状となって成分周波数が小さくなることから、分布幅を成分周波数fの逆数、すなわち周期Tに対応させる。また、Shannon−染谷の標本化定理に基づいた、1/2f刻み毎のサンプリング、すなわち分布幅の正の整数倍、且つ1以下の組成比の試料を作製するから、これらの試料の特性値を測定すれば、特性値のピークを見逃すことなく、且つ必要最低限の試料個数で、特性値がピークをなす大まかな組成比範囲を見つけることができる。厳密には、本発明の方法によるサンプリングは1/2f毎ではなく、1/f毎であるが、本発明の目的は、特性値のピークの有無、または、大まかな存在位置を検出することにあり、F(x)の形状そのものを忠実に再現する必要はないので、この程度のサンプリング個数で十分である。
さらに、この大まかな組成比範囲を詳しく探索することによって最適組成比範囲を求めるので、低コスト、且つ短時間で多元物質系の物質探査を完了することができる。
以上説明したように、多元組成物質の組成比のサンプリング方法は、組成比をサンプリングした複数の多元素成膜を作成して特性を評価し、特定の特性値が最適になる組成比を求める物質探査において、特性値の組成比に対する分布の分布幅を前もって推定し、この分布幅の正の整数倍、且つ1以下の組成比の試料を作製する。
分布幅は、対象とする多元組成比系の種類及び特性値の種類に基づき理論的に推定することにより求めても良く、または、既に測定された類似の多元組成比系及び類似の特性値の測定データにより推定して求めても良い。
4元より大きな多元組成の物質探査においては、組成比の組み合わせは膨大な数に上り、これらの組み合わせ試料を逐一作製し、特性値の測定をしていたのでは、低コスト且つ短時間で物質探査を完了することができない。低コスト且つ短時間で物質探査を完了するには、まず最初に、特性値がピークをなす大まかな組成比範囲を見つけることが早道である。大まかな組成比範囲が見つかれば、組成比の組み合わせ全てを探査することなく、その範囲内のみを詳しく探索することによって最適組成比範囲を求めることができ、低コスト、且つ短時間で最適組成比範囲が求まる。特性値がピークをなす大まかな組成比範囲を見つけるためには、組成比をサンプリングすることになる。このサンプリング方法が細かすぎれば低コスト且つ短時間で物質探査を完了することができず、またこのサンプリングが荒すぎれば特性値がピークをなす組成比範囲を見逃してしまう。
多元組成物質の組成比のサンプリング方法は、前記したように、特性値の組成比に対する分布の分布幅を前もって推定し、分布幅の正の整数倍、且つ1以下の組成比の試料を作製し、これらの試料の特性値の測定から特性値がピークをなす大まかな組成比範囲を見いだし、この組成比範囲を詳しく探索することによって最適組成比の範囲を求めるものである。
この方法は、大まかな組成比範囲を見つけるときの、組成比のサンプリングにShannon−染谷の標本化定理(非特許文献1参照)を適用している。Shannon−染谷の標本化定理は、関数F(x)の成分周波数がf以下に制限されているならば、1/2f刻み毎の変数xの値におけるF(x)値によって関数F(x)が完全に再現できるというものである。
本発明の方法は、組成比を変数xに、組成比に対する特性値の分布をF(x)に対応させる。また、分布幅が狭ければF(x)は急峻な形状となって成分周波数fが大きくなり、分布幅が広ければF(x)はなだらかな形状となって成分周波数fが小さくなることから、分布幅を成分周波数fの逆数、すなわち周期Tに対応させる。また、Shannon−染谷の標本化定理に基づいた、1/2f刻み毎のサンプリング、すなわち分布幅の正の整数倍、且つ1以下の組成比の試料を作製するから、これらの試料の特性値を測定すれば、特性値のピークを見逃すことなく、且つ必要最低限の試料個数で、特性値がピークをなす大まかな組成比範囲を見つけることができる。さらに、この大まかな組成比範囲を詳しく探索することによって最適組成比範囲を求めれば、低コスト、且つ短時間で多元物質系の物質探査を完了することができる。
このサンプリング方法において、特性値の組成比に対する分布の分布幅を前もって推定するには、対象とする多元組成比系の種類、及び得ようとする特性値の種類に基づき、理論的に推定するか、または、既に測定された類似の物質系及び特性値の測定データから推定することができる。最近の物性理論によれば、多元2元組成比傾斜であり、かつ、膜厚傾組成物質の特性値のピークは、特定の組成比においてのみ生ずるのではなく、ある組成比範囲にわたって生じ、また、特性値の分布の幅は、対象とする多元組成比系の種類及び特性値の種類によってある程度理論的に推定できるので、理論推定値を用いれば良い。または、既に測定したことのある類似物質、及び類似特性値の測定データから推定しても良い。このようにして、本発明の方法によれば多元組成物質の探査を低コストで、かつ短時間で完了させることができる。
よって、この多元組成物質の組成比のサンプリング方法によれば、Shannon−染谷の標本化定理に基づいたサンプリングであるので、特性値のピークを見逃すことなく、且つ必要最低限の試料個数で、特性値がピークをなす大まかな成分比範囲を見つけることがでる。このようにして見つけた大まかな成分比範囲を詳しく探索することによって最適成分比範囲を求めれば、低コスト、且つ短時間で多元物質系の物質探査を完了することができる。
本発明は実施例記載のものに限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。例えば、膜の形成を気相成長法によらず、液相又は固相成長法を用いて形成するようにしてもよいことは明らかである。
本発明の4元組成比傾斜膜の作成方法を説明する図である。 本発明のモル数分布膜の形成方法を示す図である。 2元組成比・膜厚傾斜膜の構造を示す図である。 Fe12膜の膜厚分布を示す図である。 3元組成蛍光体の組成比による蛍光強度分布を示す図である。 本発明の多元組成物質の組成比のサンプリング方法を説明する模式図である。 本発明の多元組成物質の組成比のサンプリング方法によって求めた、試料の必要最低個数を示す図である。 従来の2元組成比傾斜膜の作成方法を示す図である。 従来の3元組成比傾斜膜作成装置を示す図である。 図9の装置を用いて膜を作成する方法の原理を模式的に示す図である。 ペロブスカイト型酸化物ABOのAサイトとBサイトの原子を置換した相図の例を示す図である。 従来法を用いて作成した4元組成比傾斜膜を示す図である。

Claims (14)

  1. 矩形状の4元組成比傾斜膜を作成する方法において、この矩形の直交する二辺方向の座標をx、yとし、上記4元物質をそれぞれA,B,C,Dとし、物質A,B,C,Dの各々のモル数をzとしたときに、物質A,B,C,Dの各々のモル数zの分布が、
    z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)、で表される各々の膜を積層することを特徴とする、4元組成比傾斜膜の作成方法。
  2. 前記モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層する際、
    三角形の開口を有するマスクを前記矩形の一辺に平行な前記−x方向に一定速度で走査すると共に、前記4元物質の内の第1の物質Aを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、モル数分布がz=xyの第1の膜を形成し、
    上記マスクを前記x方向に一定速度で走査すると共に、上記4元物質の内の第2の物質Bを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、モル数分布がz=x(1−y)の第2の膜を積層し、
    x軸に関して反転した形状を有するマスクを上記−x方向に一定速度で走査すると共に、上記4元物質の内の第3の物質Cを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給してモル数分布がz=(1−x)(1−y)の第3の膜を積層し、
    次に、上記x軸に関して反転した形状を有するマスクを上記x方向に一定速度で走査すると共に、上記4元物質の内の第4の物質Dを、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、モル数分布がz=y(1−x)の第4の膜を積層することを特徴とする、請求項1に記載の4元組成比傾斜膜の作成方法。
  3. 前記モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層する際、
    三角形の開口を有するマスクを前記矩形の一辺に平行な前記−x方向に一定加速度で走査すると共に、前記4元物質の内の第1の物質Aを、供給速度一定で基板に供給して、モル数分布がz=xyの第1の膜を形成し、
    上記マスクを前記x方向に一定加速度で走査すると共に、上記4元物質の内の第2の物質Bを、供給速度一定で基板に供給して、モル数分布がz=x(1−y)の第2の膜を積層し、
    x軸に関して反転した形状を有するマスクを前記−x方向に一定加速度で走査すると共に、上記4元物質の内の第3の物質Cを、供給速度一定で基板に供給して、モル数分布がz=(1−x)(1−y)の第3の膜を積層し、
    次に、上記x軸に関して反転した形状を有するマスクを上記x方向に一定加速度で走査すると共に、上記4元物質の内の第4の物質Dを、供給速度一定で基板に供給して、モル数分布がz=y(1−x)の第4の膜を積層することを特徴とする、請求項1に記載の4元組成比傾斜膜の作成方法。
  4. 前記気相成長法は、レーザーアブレーション法、スパッタ法、真空蒸着法または化学気相成長法であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の4元組成比傾斜膜の作成方法。
  5. 前記気相成長を、レーザーアブレーション法を用いてレーザーのパルスエネルギーまたは周波数を増加させることによって、前記供給速度を一定速度で増加させて基板に供給することを特徴とする、請求項2に記載の4元組成比傾斜膜の作成方法。
  6. 前記気相成長を、スパッタリング法を用いてその電力を増加させることによって、前記供給速度を一定速度で増加させて基板に供給することを特徴とする、請求項2に記載の4元組成比傾斜膜の作成方法。
  7. 前記気相成長を、化学気相成長法を用いて反応速度を制御することによって、前記供給速度を一定速度で増加させて供給することを特徴とする、請求項2に記載の4元組成比傾斜膜の作成方法。
  8. 2元組成比傾斜膜であり、かつ、この2元組成比傾斜膜の各組成比において膜厚が傾斜した矩形状の膜を作成する方法において、
    この矩形の直交する二辺方向の座標をx、yとし、上記2元組成物質をそれぞれA,Bとし、物質A,Bの各々のモル数をzとしたときに、物質A,Bの各々のモル数の分布が、
    z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)のいずれかで表されるモル数分布のうち、z=xyとz=(1−x)(1−y)との組み合わせを除いた、互いに異なる任意の2つの分布の膜を組み合わせて積層することを特徴とする、2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法。
  9. 前記モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層する際、
    三角形の開口を有するマスクを前記矩形の一辺に平行な前記−x方向に一定速度で走査すると共に、前記2元物質の内のA又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、z=xyの膜を形成し、
    上記マスクを前記x方向に一定速度で走査すると共に、上記A又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、z=x(1−y)の膜を形成し、
    x軸に関して反転した形状を有するマスクを上記−x方向に一定速度で走査すると共に、上記A又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、z=(1−x)(1−y)の膜を形成し、
    さらに、上記x軸に関して反転した形状を有するマスクを上記x方向に一定速度で走査すると共に、上記A又はBの物質を、供給速度を一定速度で増加させて基板に供給して、z=y(1−x)の膜を形成することを特徴とする、請求項8に記載の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法。
  10. 前記モル数zの分布が、z=xy、z=x(1−y)、z=(1−x)(1−y)、及びz=y(1−x)で表される各々の膜を、マスク走査法を用いた気相成長によって積層する際、
    三角形の開口を有するマスクを前記矩形の一辺に平行な前記−x方向に一定加速度で走査すると共に、前記2元物質の内のA又はBの物質を供給速度一定で基板に供給して、z=xyの膜を形成し、
    上記マスクを前記x方向に一定加速度で走査すると共に、上記A又はBの物質を供給速度一定で基板に供給して、z=x(1−y)の膜を形成し、
    x軸に関して反転した形状を有するマスクを前記−x方向に一定加速度で走査すると共に、上記A又はBの物質を供給速度一定で基板に供給して、z=(1−x)(1−y)の膜を形成し、
    さらに、上記x軸に関して反転した形状を有するマスクを上記x方向に一定加速度で走査すると共に、上記A又はBの物質を供給速度一定で基板に供給して、z=y(1−x)の膜を形成することを特徴とする、請求項8に記載の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法。
  11. 前記気相成長法は、レーザーアブレーション法、スパッタ法、真空蒸着法または化学気相成長法であることを特徴とする、請求項9または10に記載の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法。
  12. 前記気相成長を、レーザーアブレーション法を用いてレーザーのパルスエネルギーまたはパルス周波数を増加させることによって、前記供給速度を一定速度で増加させて基板に供給することを特徴とする、請求項9に記載の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法。
  13. 前記気相成長を、スパッタリング法を用いてこの電力を増加させることにより、前記供給速度を一定速度で増加させて基板に供給することを特徴とする、請求項9に記載の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法。
  14. 前記気相成長を、化学気相成長法を用いてその反応速度を制御することによって、前記供給速度を一定速度で増加させて供給することを特徴とする、請求項9に記載の2元組成比・膜厚傾斜膜の作成方法。
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