JP4213952B2 - メタノール水溶液改質用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタノール水溶液の改質反応に使用するメタノール水溶液改質用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリーンなエネルギー源であるメタノールは、その分解反応がガスタービン発電のカロリーアップ用燃料添加の用途として注目されており、また、その改質反応が大量の水素供給源として注目されている。
【0003】
特に、上記水素供給源の用途としては、今後普及が予想される燃料電池が挙げられ、当該燃料電池の実用化の観点から、高純度の水素の製造方法が必要とされる。
【0004】
メタノールの改質は、一般的には気相接触の水蒸気改質法が知られている(例えば、特許文献1参照)。水蒸気改質法には、銅触媒もしくは銅に亜鉛等の第二金属を添加した複合触媒が使用される。
【0005】
しかし、上記水蒸気改質法は吸熱反応であるため、工業的に反応を促進させるためには、比較的高い反応温度(例えば、250℃以上)が必要となり、省エネルギーの観点からは好ましいものではない。また、反応温度が高くなると、化学平衡上、COの生成量が多くなる。水素を使用する燃料電池においては、供給される水素中にCOが混入すると、これが電極に対して触媒毒となってしまう。従って、COを除去する工程を新たに設ける必要が生じてしまう。
【0006】
一方で、メタノール水溶液から200℃程度の加熱でH2とCO2だけを取り出すことができれば、生産性の面で点で有意であり、また、COの副生がなければ直接型メタノール電池等への適用も可能となる。
【0007】
しかし、水溶液改質反応に既述の銅系触媒を状態で使用しても高い転化率は得られず、また、COの副生も十分に抑制することが不可能であるため、未だ実用に供されていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−79101号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、メタノール水溶液改質反応(特に、過熱液膜型脱水素反応)に使用される触媒であって、水蒸気改質反応に使用されている銅系触媒よりも低温での転化率が高く、CO生成を抑制して高いCO2選択性を発揮し得るメタノール水溶液改質用触媒を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明者は、銅触媒にマンガンを混合したCu−Mn触媒が、メタノール水溶液改質反応に高活性を示し、さらに、高いCO2選択性を発揮することを見出して本発明に想到した。
【0011】
すなわち、本発明は、メタノール水溶液の改質反応(特に、過熱液膜型脱水素反応)に使用するメタノール水溶液改質用触媒であって、銅とマンガンとを含有することを特徴とする。
【0012】
銅触媒にマンガンを混合することで、銅およびマンガンが複合化する。この複合効果により、改質反応の転化率を向上させながらCOの副生を抑えてCO2選択性を向上させることができる。
【0013】
本発明のメタノール水溶液改質用触媒は、COの生成がほとんどないため、特に、メタノールを使用する燃料電池用の水素ガス生成装置や燃料電池の電極材料にも適用することができる。
【0014】
本発明のメタノール水溶液改質用触媒が使用される改質反応としては、過熱液膜型脱水素反応であることが好ましい。過熱液膜状態を維持しながら、本発明のメタノール水溶液改質用触媒の表面上で脱水素反応を行うと、メタノールと水から一挙に水素と二酸化炭素を得ることができる。その結果、一般的な気相接触反応を行うよりも反応速度を向上させることが可能となり、高い二酸化炭素選択率を得ることができる。
【0015】
本発明のメタノール水溶液改質用触媒は、前記銅および前記マンガンが担体上に担持されていることが好ましい。担体上に担持することで銅およびマンガンが高分散な状態で存在するため、接触面積を大きくすることが可能となる。その結果、改質反応の反応速度をより向上させることができる。
【0016】
本発明のメタノール水溶液改質用触媒は、前記銅と前記マンガンとのモル比(Cu/Mn)が、4/1〜16/1であることが必要である。マンガンを混合することで、改質反応の転化率およびCO2選択率を向上させることが可能であるが、特に上記範囲とすることで、転化率およびCO2選択率を実用上問題ない程度にまで向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
【0018】
〔メタノール水溶液改質用触媒〕
本発明のメタノール水溶液改質用触媒(以下、「改質触媒」ということがある)は、銅とマンガンとを含有する。
【0019】
メタノール水溶液の改質反応において、本発明の改質触媒を使用した場合の反応機構を、図1に示す。図1(a)に示すように、改質触媒表面にメタノールおよび水が接触すると、図1(b)に示すように、メトキシド解離吸着が起こる。その後、一部のC−H基がヒドリド解離(図1(c))を起こしてH-が改質触媒表面に移動し、水溶液中のプロトンと反応しH2となって脱離(脱水素)し、炭素に結合していた2つの水素原子も同じくH-とH3O+からH2に変化して脱離し、図1(d)に示すように、改質触媒表面は、COがカルボニル吸着した状態となる。ここで、カルボニル吸着したCOがそのまま脱離すると、一酸化炭素ガスが生成する。
【0020】
しかし、銅およびマンガンを含有する本発明の改質触媒では、カルボニル吸着したCOは、改質触媒表面から脱離せずに水と反応して、図1(e)に示すように、OH-の求核付加を起す。その後、ヒドリドの引き抜きが起こり、図1(f)に示すような吸着状態となる。二酸化炭素吸着種は不安定であるため、容易にそのまま二酸化炭素分子(CO2)として脱離する。さらに、図1(g)に示すようにして、ヒドリド・プロトンの中和脱離により水素が発生する。
【0021】
以上のような反応機構により、COの生成が抑制されてCO2の選択性が高くなると考えられる。
【0022】
銅とマンガンとの複合効果については、必ずしも明らかではないが、含有される銅およびマンガンの全部もしくは一部が合金もしくは固溶体を形成して既述のような吸着状態の反応性に変化をもたらし、転化率およびCO2選択率が向上するものと推察される。かかる効果は、マンガン自体に触媒活性がないことからも推察される。
【0023】
改質触媒の形態としては、銅とマンガンとが合金の微粒子となっている形態;銅とマンガンとが複合酸化物を形成している形態;銅とマンガンとが担体上に混在している形態(担持触媒);等のいずれでもよいが、接触面積を大きくする観点から、担体上に銅とマンガンが担持された担持触媒の形態であることが好ましい。また、改質触媒は、球状、ペレット状、粉末状、織布状等種々の形状として使用することができる。
【0024】
上記担持触媒とする場合の担体としては、特に限定されず、活性炭、シリカ、アルミナ、酸化鉄、ジルコニア、カルシア、マグネシア、チタニア、スピネル(CaAl2O4、MgAl2O4、ZnAl2O4)等が挙げられる。高い表面積と多くのミクロ細孔を有しているという観点から、活性炭が好ましい。また、MnO2等のマンガン系酸化物を担体として、これに銅を担持してもよく、逆に、銅系の酸化物を担体としてマンガンを担持してもよい。
【0025】
活性炭を担体とする場合は、前処理として、pH12〜14のアルカリ溶液で表面ミクロ細孔処理(表面処理)を施しておくことが好ましい。ミクロ細孔内のみ塩基性を高める表面処理を施すことで、金属イオン種の配位子をOH-で置換し細孔内表面含酸素官能基に固定した上で、室温もしくは加熱されたNaBH4水溶液で金属イオン種を速やかに還元し、多数の金属微粒子核を生成させ、加熱処理を行ってもナノサイズにとどまる微粒金属触媒を得ることができる。
【0026】
担持触媒とする場合、銅およびマンガンの合計の金属担持量は、1質量%以上であることが好ましく、1〜50質量%であることがより好ましい。1質量%未満では、メタノールとの接触量が減少して高い転化率(特に転化率)が得られないことがある。
【0027】
銅とマンガンとのモル比(Cu/Mn)は、1/1〜20/1であることが好ましく、本発明では4/1〜16/1であることが必要である。1/1未満であると、銅に起因する良好な活性が得られないことがあり、20/1を超えると、マンガンの添加効果が充分に得られないことがある。
【0028】
なお、銅とマンガンとの複合効果を阻害しない範囲で、その他の元素を1以上添加してもよい。例えば、Cr、Ba、Zn、Al、アルカリ金属等の金属、または、前記金属を1以上含有する酸化物(Cr2O3、BaO、ZnO、Al2O3等)等が挙げられる。
【0029】
〔メタノール水溶液改質用触媒の製造方法〕
本発明の改質触媒は、従来の公知の方法で作製することができる。
例えば、担持触媒を作製する場合は、共沈法、含浸法等の方法を適用することができる。
【0030】
銅の前駆体としては、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅等を使用することが可能で、なかでも酢酸銅が好ましい。マンガンの前駆体としては、塩化マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等を使用することが可能で、なかでも酢酸マンガンが好ましい。
【0031】
それぞれの前駆体を含有する水溶液を混合し、これを担体上に添加して24時間程度含浸吸着させる。その後、水素化ホウ素ナトリウム等を使用して還元し、真空中60〜90℃の温度で10時間程度乾燥して、銅およびマンガンを含有する担持触媒が作製される。
【0032】
また、特に、銅およびマンガンの少なくとも一部が固溶または合金化された担持触媒を調製するには、例えば、乾式拡散法を適用することが好ましい。当該乾式拡散法は、銅の前駆体を所定温度とした水溶液に、担体を添加し、12時間程度攪拌しながら含浸する。次いで、NaBH4水溶液を滴下し還元反応を行う。その後、担体を洗浄し、60〜90℃の温度で10時間程度真空乾燥し、銅を担持した触媒を作製する。作製した銅触媒をN2流通下で、単核のマンガン錯体または、複核のマンガン錯体と共に、100〜120℃で攪拌し、さらに水素流通下において180〜240℃で3時間程度攪拌して、銅およびマンガンの少なくとも一部が固溶体もしくは合金を形成した担持触媒が作製される。
【0033】
単核のマンガン錯体としては、HMn(CO)5、CH3Mn(CO)5、C2H5Mn(CO)5、CH3COMn(CO)5、CH3COCOMn(CO)5、C6H5COMn(CO)5、C5H5Mn(CO)2、(C5H5)2Mn、(C5H5)(C6H6)Mn、(C5H5)Mn(CO)2(C4H8O)、[C5(CH3)5]2Mn、[C5(CH3)5]Mn(CO)2(C4H8O)等が挙げられる。
【0034】
複核のマンガン錯体としては、H3Mn3(CO)12、(C5H5)[Mn(CO)3]2、(C5H5)2CO[Mn(CO)3]2、(C5H5)2CHOH[Mn(CO)3]2、(C5H5)2CH2[Mn(CO)3]2、(C5H5)2CH2CH2[Mn(CO)3]2、(C5H5−C5H5)[Mn(CO)3]2、[C5(CH3)5]2Mn2(CO)3等が挙げられる。
【0035】
〔メタノール水溶液の改質反応〕
メタノール水溶液改質反応は、本発明のメタノール水溶液改質用触媒を用いたものであれば特に限定されない。
【0036】
例えば、メタノール水溶液改質用触媒を所定の粒径に揃えて、これをガラス製還元管に充填し、水素/窒素混合ガスを流通させながら、常圧下で前処理としての還元処理を行う。還元後の触媒と所定濃度のメタノール水溶液をオートクレーブに充填して、系内を常圧の窒素ガスに置換してから200℃程度に加熱して反応させることができる。
【0037】
また、特に、当該メタノール水溶液の改質反応として、過熱液膜状態を利用した過熱液膜型脱水素反応を適用してもよい。
【0038】
ここで、「過熱液膜状態」とは、過熱状態(メタノールの沸点を越える温度での加熱)で、かつ、触媒表面がメタノール水溶液によって僅かに湿潤した状態をいう。この過熱液膜状態を利用した過熱液膜型脱水素反応によれば、脱水素反応のとき水素ガス生成量をより大きくすることができる。これは、メタノール水溶液の沸騰蒸発速度が、基質(メタノール水溶液)の液量を少なくする程小さくなり、蒸発速度が小さくかつ高温の沸騰状態で脱水素反応させることにより転化率が向上するからである。すなわち、沸騰蒸発速度は液量・伝熱面積・加熱源と沸点との温度差の各々に比例するので、メタノール水溶液の量が少なければ沸騰蒸発速度は小さくなる。連続供給されるメタノール水溶液は、加熱触媒上(例えば、200〜500℃)でも液膜状態で存在するので、触媒活性サイトは液相からのメタノールの速やかな吸着により充分に高い被覆度で常時補填されつつ、触媒表面上で液膜状態で脱水素反応が進行し、過熱された触媒表面から生成物吸着種が気泡内に気体として脱離し、空いた活性サイトを多数作り出すうえ、気体は沸騰する液体に溶解しないため気相生成物の再吸着がなく、固体触媒として優れた反応性が得られる。
【0039】
具体的には、以下のようにして当該反応(過熱液膜型脱水素反応)を行う。
まず、水溶液改質反応を行う直前に、200〜250℃で、真空脱気30〜60分間、水素還元30〜60分間、真空脱気30〜60分間の前処理を順次行う。その後、沸騰還流下(例えば、加熱温度:200℃、冷却器温度:5℃)、過熱液膜状態で反応を行う。
液膜状態とするには、改質触媒が湿潤状態となる程度まで基質を添加すればよい。
【0040】
メタノール水溶液改質反応におけるメタノールと水とのモル比(メタノール/水)は、0.9/1〜1.1/1とすることが好ましく、0.95/1〜1.05/1とすることがより好ましい。モル比が1.1/1を超えると、COの生成量が多くなることがあり、0.9/1未満であると、メタノールの転化率が低くなることがある。
【0041】
なお、メタノール水溶液改質反応においては、メタノールおよび水の他に、改質反応を阻害せず本発明の改質触媒の触媒毒とならなければ、種々の公知の添加剤を添加してもよい。
【0042】
また、本発明のメタノール水溶液改質用触媒は、既述のようなメタノール水溶液の改質反応だけでなく、例えば、ジメチルエーテルの改質反応のように、反応途中でメタノールの生成および改質を伴う反応にも適用することができる。
【0043】
【実施例】
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
〔実施例1〜5〕
KOH賦活高表面積活性炭(比表面積3110m2/g、全細孔容積1.62ml/g、灰分0.3%、粒度(d50)13μm、関西熱化学(株)製)を160℃で1時間真空脱気し、NaOH水溶液(pH14)で24時間の塩基前処理を行った。
【0045】
酢酸銅(II)および酢酸マンガン(II)を銅およびマンガンの前駆体とし、これらを水に溶解して前駆体水溶液を調製した。塩基前処理を施した活性炭に、調製した前駆体水溶液を添加して、24時間含浸吸着させた。その後、水素化ホウ素ナトリウム還元し、真空中70℃で10時間乾燥させて活性炭を担体とし、銅およびマンガンを担持した担持金属触媒(金属担持量(Cu+Mn):10質量%)を作製した。
【0046】
銅とマンガンとのモル比(Cu/Mn)を2/1、4/1、8/1、12/1、16/1とした担持金属触媒を、それぞれ、実施例1、2、3、4、5とした。
【0047】
〔比較例1〕
酢酸マンガン(II)を使用せずに酢酸銅(II)だけを水に溶解して前駆体水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、銅を担持した担持金属触媒(金属(Cu)担持量:10質量%)を作製した。
【0048】
〔比較例2〕
酢酸銅(II)を使用せずに酢酸マンガン(II)だけを水に溶解して前駆体水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、マンガンを担持した担持金属触媒(金属(Mn)担持量:10質量%)を作製した。
【0049】
〔比較例3〕
酢酸マンガン(II)の代わりに塩化ルテニウム(III)を使用して前駆体水溶液を調製した以外は、実施例1と同様にして、銅およびルテニウムを担持した担持金属触媒(金属担持量(Cu+Ru):10質量%)を作製した。なお、Cu/Ru(モル比)は、2/1とした。
【0050】
(メタノール水溶液の改質反応)
実施例1〜5および比較例1〜3で作製した担持金属触媒を使用してメタノール水溶液の改質反応(過熱液膜型脱水素反応)を行い、転化率およびCO2選択率を調査した。
【0051】
具体的には、水溶液改質反応を行う直前に、200℃で、真空脱気30分間、水素還元30分間、真空脱気30分間の前処理を順次行い、沸騰還流下(200℃加熱、冷却器温度5℃)、改質触媒0.5gと基質0.5mlの過熱液膜状態で改質反応を行った。メタノールと水とのモル比(メタノール/水)は1とした。
【0052】
生成気体量としてはガスビュレットにより15分ごとに2時間にわたり容量追跡することで、メタノールの転化率を求めた。ガス組成はガスクロマトグラフィー分析(カーボンカラム:GC−8APT(島津製作所製)、キャリアガス:ヘリウム)により15分ごとに調べ、CO/CO2選択性を経時追跡した。
【0053】
CO2選択率の算出方法は、xをCO生成量(mmol)、yをCO2生成量(mmol)として下記式により算出した。
式:CO2選択率[%]=y/(x+y)×100
【0054】
(結果)
図2(A)に示すように、実施例1〜5で作製した改質触媒によるメタノール水溶液改質反応では、いずれも、気体生成量は銅単独触媒(比較例1)を上回っていた。これは、メトキシド吸着されやすい銅表面サイトに隣接する金属原子種がs軌道を広げる銅ではなく、d軌道を伸ばすマンガンであるためC−H基のσ*軌道に電子を非局在化させてヒドリド解離を容易にするため、複合効果が生じ転化率が向上したと考えられる。また、Cu/Mn=12/1(実施例4)のとき気体生成量は、最大であった。なお、マンガン単独触媒(比較例2)では気体生成は認められなかった。
【0055】
実施例1〜5の改質触媒では、反応速度は反応開始時点からほぼ一定であった。すなわち、実施例1〜5の改質触媒の場合は、反応開始直後からメタノール基質に擬零次で、しかも生成物阻害を示さないという、沸騰還流条件下の過熱液膜状態の特徴が現れた。
【0056】
ガスクロ分析の結果から、それぞれの改質触媒におけるCO2選択率を求めたところ、反応初期は銅単独触媒と同様、100%に近かった(図2(B))。マンガンの割合が少なくなると、反応の経過とともに、CO生成はやや多くなる傾向を示した。ただし、CO2選択率が少しだけ下がるとはいえ、気体生成速度は大きい。銅触媒の持つ高い選択性がかなりよく生かされているので、銅−マンガン複合触媒はCO2選択性の高い、穏和な加熱条件で進行する、優れたメタノール水溶液改質触媒であることが確認された。
【0057】
一方、銅−ルテニウム複合触媒(比較例3)を用いたメタノール水溶液改質反応(図3)では、銅−マンガン複合触媒よりもさらに高い転化率が示された。反応の進行が速いため、2時間以上経過すると、回分式反応器内の液層基質があらかた消費され液膜状態を保てなくなって、反応速度は低下した。これは、いわゆる砂皿状態(基質量が触媒に比べて少なすぎる状態)になったためである。
【0058】
また、ガスクロ分析より銅−ルテニウム複合触媒でのCO2選択率を求めたところ、多くのCOを併発的に生成し60%程度にとどまることがわかった。これはルテニウムの複合効果によって、触媒表面にメトキシ基が吸着しカルボニル基にまで脱水素したあとCO2になる前に、COのまま脱離してしまうため、と考えられる。
【0059】
このような結果に対し実施例4の改質触媒と比較すると、転化率は比較例3の改質触媒の方が高かったが、実施例4の改質触媒の方が、CO2選択率が高かった。CO2収率で両者を比較しても、実施例4の改質触媒の方が高い結果となっており、COの副生がほとんどないため、後にCOシフト反応器を設置しなくてもよいことを考慮すると、実施例4の改質触媒の方が実用上優れていることが確認された。
【0060】
【発明の効果】
以上から、本発明のメタノール水溶液改質用触媒によれば、従来の水蒸気改質反応に使用されている銅系触媒よりも、低温において、メタノール水溶液改質反応の転化率を高くすることが可能で、かつ、ワンポット(一つの反応器)でCO生成を抑制しつつ、一挙に高いCO2選択率を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 メタノール水溶液改質反応の反応機構模式図である。
【図2】 (A)は、銅−マンガン触媒によるメタノール水溶液改質反応の転化率と反応時間との関係を示し、(B)は、CO2選択率と反応時間との関係を示す図である。
【図3】 (A)は、銅単独触媒、銅−マンガン触媒、銅−ルテニウム触媒によるメタノール水溶液改質反応の転化率と反応時間との関係を示し、(B)は、CO2選択率と反応時間との関係を示す図である。
Claims (5)
- メタノール水溶液の改質反応に使用するメタノール水溶液改質用触媒であって、
銅とマンガンとを含有し、
前記銅と前記マンガンとのモル比(Cu/Mn)が、4/1〜16/1であることを特徴とするメタノール水溶液改質用触媒。 - 前記銅と前記マンガンとのモル比(Cu/Mn)が、8/1〜16/1であることを特徴とする請求項1に記載のメタノール水溶液改質用触媒。
- 亜鉛、クロム、及びアルカリ土類金属化合物を含まないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメタノール水溶液改質用触媒。
- 前記改質反応が、過熱液膜型脱水素反応であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のメタノール水溶液改質用触媒。
- 前記銅および前記マンガンが担体上に担持されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のメタノール水溶液改質用触媒。
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