JP4213747B2 - 複雑度を低減したスライディングウィンドウベースの等化器 - Google Patents

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Description

本発明は、主に無線通信システムに関する。より詳細には、本発明は、そのようなシステムにおけるデータ検出に関する。
受信機の性能向上の要求の高まりから、多くの先進的な受信機が、ゼロフォーシング(ZF)ブロック線形等化器や最小平均自乗誤差(MMSE)等化器を用いている。
これらのいずれの方式でも、一般に、受信信号は式1によってモデル化される。
r=Hd+n 式1
rは、受信ベクトルであって、受信信号のサンプルを含む。Hは、チャネル応答行列である。dは、推定されるデータベクトルである。符号分割多重アクセス(CDMA)システムなどの拡散スペクトラムシステムでは、dを、データシンボルまたは合成拡散データベクトル(composite spread data vector)として表すことが可能である。合成拡散データベクトルの場合、個々の符号のそれぞれに対するデータシンボルは、推定データベクトルdをその符号で逆拡散することによって生成される。nはノイズベクトルである。
ZFブロック線形等化器の場合、データベクトルは、例えば式2によって推定される。
d=(HH)−1r 式2
(・)は、複素共役転置(エルミート)演算である。MMSEブロック線形等化器の場合、データベクトルは、例えば式3によって推定される。
d=(HH+σI)−1r 式3
マルチパス伝搬となる無線チャネルにおいて、これらの方式を用いてデータを正確に検出するためには、無限の個数の受信サンプルを用いることが必要になるが、それは非現実的である。そこで、近似手法を用いることが望ましい。そうした方式の1つが、スライディングウィンドウ方式である。スライディングウィンドウ方式では、あらかじめ決められたウィンドウの受信サンプルおよびチャネル応答をデータ検出に用いる。最初の検出の後、次のウィンドウのサンプルにウィンドウをスライドさせる。この処理を、通信が終了するまで続ける。
用いるサンプルの個数が無限でないことによって、式1に示したシンボルモデルに誤差が入り込み、それによって、データ検出が不正確になる。この誤差は、ウィンドウの先頭および末尾において最も顕著である。これらの場所では、無限シーケンスの事実上切り捨てられた部分の影響が最も大きいからである。こうした誤差を低減する方式の1つは、ウィンドウのサイズを大きくした上でウィンドウの先頭および末尾における結果を切り捨てる方式である。ウィンドウの切り捨てられた部分は、先行ウィンドウと後続ウィンドウとにおいて決定される。この方式はかなり複雑である。特に、チャネルの遅延拡散が大きい場合は複雑である。ウィンドウサイズを大きくすると、データ評価に用いる行列およびベクトルの次元が大きくなる。さらに、この方式は、ウィンドウの先頭と末尾とでデータを検出し、そのデータを破棄するので、計算効率がよくない。
したがって、別の方式でデータを検出することが望ましい。
本発明には多くの態様がある。本発明の一態様は、スライディングウィンドウ方式を用いて等化を実行する。第2の態様は、後続のウィンドウで用いるために各ウィンドウに関して導出された情報を再利用する。第3の態様は、離散フーリエ変換をベースとする方式を等化に利用する。第4の態様は、受信信号およびチャネル応答のオーバーサンプリングの扱いに関する。第5の態様は、複数の受信アンテナの扱いに関する。第6の実施形態は、オーバーサンプリングと複数の受信アンテナの両方の扱いに関する。
以下では、特定の組合せの好ましい実施形態について本発明の機能および要素を説明するが、各機能または要素は、(好ましい実施形態の他の機能および要素との併用ではない)単独の形で用いることも、本発明の他の機能および要素を含むか含まない様々な組合せの形で用いることも可能である。
本明細書では、無線送信/受信装置(WTRU)は、ユーザ端末、移動局、固定または移動加入者装置、ページャ、または他の任意のタイプの、無線環境で動作可能な機器を含むが、これらに限定されない。本明細書に関する限り、基地局は、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント、または他の任意の、無線環境におけるインターフェース機器を含むが、これらに限定されない。
複雑度を低減させたスライディングウィンドウ等化器について、好ましい無線符号分割多重アクセス通信システム(CDMA2000および欧州次世代移動体通信システム(universal mobile terrestrial system)(UMTS)周波数分割デュプレックス(FDD)、時分割デュプレックス(TDD)モード、および時分割同期CDMA(TD−SCDMA)など)とともに説明するが、このスライディングウィンドウ等化器は、様々な通信システム、特に、様々な無線通信システムに適用可能である。無線通信システムにおいては、複雑度を低減させたスライディングウィンドウ等化器を、WTRUで受信される、基地局からの送信、基地局で受信される、1つまたは複数のWTRUからの送信、または(アドホックモード動作などにおいて)1つのWTRUで受信される、別のWTRUからの送信などに適用することが可能である。
以下では、好ましいMMSEアルゴリズムを用いる、複雑度を低減させたスライディングウィンドウベースの等化器の実施態様を説明する。しかしながら、ゼロフォーシングアルゴリズムなどの他のアルゴリズムも用いることが可能である。h(・)は、チャネルのインパルス応答である。d(k)は、拡散符号を用いてシンボルを拡散することによって生成された、k番目の送信済みサンプルである。これは、符号(直交符号など)の集合を用いてシンボルの集合を拡散することによって生成されたチップの合計であってもよい。r(・)は受信信号である。このシステムのモデルは、式4で表すことが可能である。
Figure 0004213747
n(t)は、加法ノイズと干渉(イントラセルとインターセル)の合計である。簡単のために、以下の説明では、受信機においてチップレートサンプリングを用いるものと仮定する(ただし、複数倍のチップレートなど、他のサンプリングレートも用いることが可能である)。サンプリングされた受信信号は、式5で表すことが可能である。
Figure 0004213747
表記を簡単にするためにTを割愛した
h(・)は、サポートが有限であり、時間変動しないものと仮定する。これは、離散時間領域において、i<0かつi≧Lなるiに対してh(i)=0となるようなインデックスLが存在することを意味する。結果として、式5を式6に書き直すことが可能である。
Figure 0004213747
受信信号がM個の受信信号r(0),...,r(M−1)を有するとすると、式7が成り立つ。
Figure 0004213747
式7において、Cは、すべてのM次元複素ベクトルの空間を表す。
ベクトルdの一部を、近似式で決定することが可能である。M>Lであると仮定し、N=M−L+1と定義すると、ベクトルdは式8のとおりである。
Figure 0004213747
式7のH行列は、帯状行列であって、図1の略図のように表すことが可能である。図1の影を付けた領域の各行が、式7に示されたベクトル[h(L−1),h(L−2),...,h(1),h(0)]を表す。
dのすべての要素を推定するのではなく、dの中央のN個の要素だけを推定する。
Figure 0004213747
は、式9で表される、中央のN個の要素である。
Figure 0004213747
rに関して同様に注目すると、rと
Figure 0004213747
との近似的な線形関係が式10で表される。
Figure 0004213747
行列
Figure 0004213747
は、図2の略図または式11で表すことが可能である。
Figure 0004213747
上述のように、rの最初のL−1個の要素と最後のL−1個の要素は、式10の右辺と等しくはない。結果として、ベクトル
Figure 0004213747
の2つの端部にある要素は、中央付近の要素より推定精度が低くなる。この特性のために、スライディングウィンドウ方式は、後述のように、送信済みサンプル(チップなど)の評価に用いられることが好ましい。
スライディングウィンドウ方式のk番目のステップのそれぞれでは、特定の数の受信サンプルを、N+L−1次元のr[k]の形で保持する。これらを用いて、N次元の送信済みデータ
Figure 0004213747
の集合を、式10によって推定する。ベクトル
Figure 0004213747
を推定した後、推定ベクトル
Figure 0004213747
の「中央」部分だけを、さらなるデータ処理(逆拡散によるデータ処理など)に用いる。スライディングウィンドウ方式の次のステップで、
Figure 0004213747
の「下位」部分(時間的に遅い部分)を再度推定する。このステップでは、r[k+1]が、r[k]のいくつかの要素と、いくつかの新しく受信したサンプルとを有する。すなわち、r[k+1]は、r[k]をシフト(スライド)したものである。
ウィンドウサイズNおよびスライディングステップサイズは、(チャネル(L)の遅延拡散、データ評価の精度要件、および実装に関わる複雑度の制限に基づく)設計パラメータであることが好ましいが、以下では、例示を目的として、式12のウィンドウサイズを用いている。
N=4N×SF 式12
SFは、拡散係数である。一般的なウィンドウサイズはチャネルインパルス応答の5〜20倍の大きさであるが、他のサイズを用いることも可能である。
式12のウィンドウサイズに基づくスライディングステップサイズは、2N×SFであることが好ましい。N∈{1,2,...}は、設計パラメータとして残されることが好ましい。さらに、各スライディングステップにおいて、逆拡散子(despreader)に送られた推定チップが、推定
Figure 0004213747
の中央の2N×SF個の要素である。この手順を図3に示す。
上述のスライディングウィンドウ方式では、システムモデルを、モデル内のいくつかの項を捨て去ることによって近似する。以下では、以前のスライディングステップで推定された情報を用いるか、項をモデル内のノイズとして特徴づけることによって項を保持する手法を説明する。この保持された/特徴づけられた項を用いてシステムモデルを補正する。
モデル誤差補正を含むMMSEアルゴリズムを用いるデータ検出アルゴリズムの1つは、スライディングウィンドウベースの方式と式10のシステムモデルとを用いる。
近似であることから、チップなどのデータの評価は誤差を含む。特に、各スライディングステップにおけるデータベクトルの2つの端部(先頭と末尾)に誤差を含む。この誤差を補正するために、式13(ステップ50)に示すように、式7のH行列を、ブロック行行列に分割する。
Figure 0004213747
添え字「p」は「過去(past)」を表し、「f」は「未来(future)」を表す。
Figure 0004213747
は式10のとおりである。Hは式14のとおりである。
Figure 0004213747
は式15のとおりである。
Figure 0004213747
ベクトルdも、式16に示すように、ブロックに分割される。
Figure 0004213747
Figure 0004213747
は、式8で示したものと同じであり、dは式17のとおりである。
=[d(−L+1) d(−L+2)...d(−1)]∈CL−1
式17
は式18のとおりである。
=[d(N) d(N+1)...d(N+L−2)]∈CL−1
式18
したがって、オリジナルのシステムモデルは式19で表され、図4で表される。
Figure 0004213747
式19をモデル化する方法の1つは、式20に従う。
Figure 0004213747
MMSEアルゴリズムを用いると、評価データベクトル
Figure 0004213747
は式21のようになる。
Figure 0004213747
式21では、gは、式22で表されるチップエネルギーである。
E{d(i)d(j)}=gδij
式22
Figure 0004213747
式23のとおりである。
Figure 0004213747
Figure 0004213747
は、前のスライディングウィンドウステップでの
Figure 0004213747
の推定の一部である。Σは、
Figure 0004213747
の自己相関行列である。Hとnとが無相関であると仮定すれば、式24が成り立つ。
Figure 0004213747
Figure 0004213747
の信頼性は、(チャネル遅延スパンLに対する)スライディングウィンドウサイズとスライディングステップサイズとに依存する。
この方式を、図5のフロー図および図6の好ましい受信機要素(これはWTRUや基地局に実装可能)とともに、さらに説明する。図6の回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような単一の集積回路(IC)に実装したり、複雑のICに実装したり、ディスクリート部品に実装したり、ICとディスクリート部品との組合せとして実装したりすることが可能である。
チャネル推定装置20が、受信ベクトルrを処理して、チャネル推定行列部分H
Figure 0004213747
およびHを生成する(ステップ50)。未来ノイズ自己相関装置24が、未来ノイズ自己相関係数
Figure 0004213747
を算出する(ステップ52)。ノイズ自己相関装置22が、ノイズ自己相関係数E{nn}を算出する(ステップ54)。加算器26が、その2つの係数を加算してΣを生成する(ステップ56)。
過去入力補正装置28が、チャネル応答行列Hの過去部分と、データベクトル
Figure 0004213747
の過去に決定された部分とを取得して過去補正係数(past correction factor)
Figure 0004213747
を生成する(ステップ58)。減算器30が、受信ベクトルから過去補正係数を減じて、修正受信ベクトル
Figure 0004213747
を生成する(ステップ60)。MMSE装置34が、Σ
Figure 0004213747
および
Figure 0004213747
を用い、式21に従うなどして、受信データベクトルの中央部分
Figure 0004213747
を算出する(ステップ62)。同じ方法で、
Figure 0004213747
の一部を、次のウィンドウを決定する場合の
Figure 0004213747
として用い、次のウィンドウを決定する(ステップ64)。この方式において示されるように、必要性の高い部分のデータ
Figure 0004213747
だけを算出することによって、データ検出に関わる複雑度を低減し、データベクトルの不要な部分を切り捨てる。
別の方式のデータ検出では、ノイズ項だけを補正する。この方式では、システムモデルは式25で表される。
Figure 0004213747
MMSEアルゴリズムを用いると、評価データベクトル
Figure 0004213747
は式26のようになる。
Figure 0004213747
、H、およびnが無相関であると仮定すると、式27が成り立つ。
Figure 0004213747
式27を用いて式26を解く際の複雑度を低減するために、
Figure 0004213747
Figure 0004213747
の行列乗算を全部行う必要はない。これは、一般に、Hの上コーナーとHの下コーナーだけが非ゼロであるからである。
この方式を、図7のフロー図および図8の好ましい受信機要素(これはWTRUや基地局に実装可能)とともに、さらに説明する。図8の回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような単一の集積回路(IC)に実装したり、複雑のICに実装したり、ディスクリート部品に実装したり、ICとディスクリート部品との組合せとして実装したりすることが可能である。
チャネル推定装置36が、受信ベクトルを処理して、チャネル推定行列部分H
Figure 0004213747
およびHを生成する(ステップ70)。ノイズ自己相関補正装置38が、チャネル応答行列の未来部分と過去部分とを用いてノイズ自己相関補正係数
Figure 0004213747
を算出する(ステップ72)。ノイズ自己相関装置40が、ノイズ自己相関係数E{nn}を算出する(ステップ74)。加算器42が、ノイズ自己相関係数にノイズ自己相関補正係数を加算してΣを生成する(ステップ76)。MMSE装置44が、チャネル応答行列の中央部分
Figure 0004213747
、受信ベクトルr、およびΣ2を用いて、データベクトルの中央部分
Figure 0004213747
を推定する(ステップ78)。この方式の1つの利点は、検出したデータを用いるフィードバックループが不要なことである。それによって、異なるスライディングウィンドウを、順次的にではなく並行して決定することが可能である。
離散フーリエ変換ベースの等化
前述のスライディングウィンドウ方式は、行列の逆変換が必要であるが、これは複雑な処理である。スライディングウィンドウを実装する一実施形態では、以下のように、離散フーリエ変換(DFT)を利用する。DFTベースの方式の好ましい実施態様は、MMSEアルゴリズムを用いる方式であるが、ゼロフォーシング(ZF)ベースのアルゴリズムなど、他のアルゴリズムにも適用可能である。
ある整数Nについて行列Acir∈CN×Nが、式28に示す形式である場合、この行列は巡回行列である。
Figure 0004213747
この種の行列は、式29のように、DFT演算子とIDFT演算子とを用いて表される。
Figure 0004213747
第1列以外の列は、適切に並べ替えれば用いることが可能である。Fは、任意のx∈Cに対して式30のように定義されるN点DFT行列である。
Figure 0004213747
Figure 0004213747
は、任意のx∈Cに対して式31のように定義されるN点逆DFT行列である。
Figure 0004213747
Λ(・)は、任意のx∈Cに対して式32のように定義される対角行列である。
Λ(x)=diag(Fx) 式32
行列Acirの逆変換は、式33のように表される。
Figure 0004213747
以下は、スライディングウィンドウベースのチップレベル等化器を用いる、データ推定処理へのDFTベースの方式の適用である。第1の実施形態では、単一の受信アンテナを用いる。その後の実施形態では、複数の受信アンテナを用いる。
受信機システムは、式34のようにモデル化される。
Figure 0004213747
h(・)は、チャネルのインパルス応答である。d(k)は、拡散符号を用いてシンボルを拡散することによって生成された、k番目の送信済みチップサンプルである。r(・)は受信信号である。n(・)は、加法ノイズと干渉(イントラセルとインターセル)の合計である。
チップレートサンプリングを行い、h(・)のサポートが有限の場合、すなわち、離散時間領域において、i<0かつi≧Lなるiに対してh(i)=0となる整数Lが存在する場合は、サンプリングされた受信信号を式35で表すことが可能である(表記を簡単にするためにTを割愛した)。
Figure 0004213747
M個(M>L)の受信信号r(0),...,r(M−1)に基づき、式36が成り立つ。
Figure 0004213747
式36に示すように、H行列はテプリッツ行列である。複数倍チップレートサンプリングおよび/または複数の受信アンテナへの応用において後述するように、H行列はブロックテプリッツ行列である。ブロックテプリッツ特性を用いることにより、離散フーリエ変換手法が適用可能になる。テプリッツ/ブロックテプリッツ特性は、1チャネルの畳み込み、または入力信号と有限個数の有効並列チャネルとの畳み込みの結果として生成される。有効並列チャネルは、オーバーサンプリングまたは複数の受信アンテナの結果として発生する。1チャネルの場合は、単一行が本質的に右下にスライドしていき、テプリッツ行列が生成される。
ノイズベクトルの統計情報は、式37のように、自己相関特性を有するものとして扱われる。
E{nn}=σI 式37
式(5)の左辺は、連続的な入力信号ストリームの「ウィンドウ」として見ることが可能である。そのデータを推定するために、近似モデルを用いる。この近似モデルでは、ベクトルdの最初のL−1個の要素と最後のL−1個の要素とをゼロと見なしてからMMSEアルゴリズムを適用し、dのM−L+1個の要素をリセットして新しいベクトル
Figure 0004213747
を形成する。この近似モデルは、式38によって明示的に表すことが可能である。
Figure 0004213747
ベクトル
Figure 0004213747
を推定した後、その中央部分だけを逆拡散のために抜き出す。その後、観察ウィンドウ(すなわち、受信信号)を(M−L+1)/2個の要素分だけスライドし、処理を繰り返す。図9は、前述のスライディングウィンドウ処理のグラフィカル表現である。
MMSEアルゴリズムを用いると、推定データは式39で表される。
Figure 0004213747
式39では、DFT実装を容易にするために、行列Rも行列
Figure 0004213747
も巡回行列ではない。DFT実装を容易にするために、スライディングステップごとに、式40の近似システムモデルを用いる。
Figure 0004213747
式40では、式36の最初のL−1個の要素(式)だけを近似している。
行列
Figure 0004213747
は、式41に示すような巡回行列に置き換えられる。
Figure 0004213747
システムモデルは、スライディングステップごとに、式42に従う。
r=Hcird+n
ただし、d=[d(0),...,d(M−1)]∈CM×1 式42
新しいモデルなので、式42のベクトルdは、式36のベクトルdとは異なる、式2は、式39の最初のL−1個の要素にさらなる歪みを追加する。この歪みによって、推定ベクトルdの2つの端部の精度が低下する。図10は、モデル構築処理のグラフィカル表現である。
式42による近似モデルを用いると、MMSEアルゴリズムは、式43に従って推定データを生成する。
Figure 0004213747
Figure 0004213747
もRcirも巡回行列であり、Rcirは、式44で表される型式である。
Figure 0004213747
巡回行列の特性を適用すると、推定データは式45のようになる。
Figure 0004213747
図11は、式45に従ってデータを推定する回路を示す図である。図11の回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような単一の集積回路(IC)に実装したり、複雑のICに実装したり、ディスクリート部品に実装したり、ICとディスクリート部品との組合せとして実装したりすることが可能である。
Figure 0004213747
算出装置80が、推定チャネル応答
Figure 0004213747
を処理してテプリッツ行列
Figure 0004213747
を算出する。巡回近似(circulant approximation)装置82が、
Figure 0004213747
を処理して巡回行列Hcirを生成する。エルミート装置84が、Hcirのエルミート行列
Figure 0004213747
を生成する。Rcir算出装置86が、Hcir
Figure 0004213747
およびノイズ分散σを用いてRcirを算出する。
Figure 0004213747
算出装置88が、
Figure 0004213747
の第1列を用いて対角行列を算出する。
Figure 0004213747
算出装置90が、Rcirの第1列を用いて逆対角行列を算出する。離散フーリエ変換装置92が、受信ベクトルrの変換を実行する。乗算器96が、対角変換、逆対角変換、およびフーリエ変換の結果を掛け合わせる。逆フーリエ変換装置94が、乗算結果の逆変換を算出してデータベクトル
Figure 0004213747
を生成する。
スライディングウィンドウ方式は、各スライディングウィンドウ内においてチャネルが変化しないという前提に基づいている。各スライディングステップにおいて、スライディングウィンドウの先頭付近のチャネルインパルス応答を用いることが可能である。
ウィンドウステップサイズNSSおよびウィンドウサイズMを算出する、好ましい一方式は式46で表される方式であるが、他の方式を用いることも可能である。
SS=2Nsymbol×SFおよびM=4Nsymbol×SF 式46
symbol∈{1,2,...}は、シンボルの個数であり、M>Lであるように選択しなければならない設計パラメータである。Mは、FFTアルゴリズムを用いて実装可能なDFTのパラメータでもあるからである。Mは、基数2のFFTや素因数アルゴリズム(PFA)FFTに適用できるほどに大きくすることが可能である。データを推定した後、2Nsymbol×SF個のサンプルを抜き出して、Nsymbol×SF番目のサンプルから始まる逆拡散を処理する。図11は、逆拡散に用いるサンプルを抜き出す方法を示している。
複数の受信アンテナの等化
以下は、複数の受信アンテナ(例えば、K個の受信アンテナ)を用いる実施形態である。受信ベクトルのサンプルおよびチャネルインパルス応答の推定は、アンテナごとに独立に取得される。単一アンテナの実施形態の場合と同様の処理の後に、各アンテナ入力rを、式47に従って近似する。
=Hcir,kd+n (k=1,...,K) 式47
または、式48のようなブロック行列形式で近似する。
Figure 0004213747
式49および50は、ノイズ項の自己相関特性および相互相関特性の推定である。
Figure 0004213747
および
Figure 0004213747
MMSEアルゴリズムを適用すると、推定データは式51のように表されることが可能である。
Figure 0004213747
cirは依然として巡回行列であり、推定データは式52によって算出可能である。
Figure 0004213747
受信アンテナが互いに近接して配置されている場合、ノイズ項は時間および空間の両面で相関を有する可能性がある。結果として、何らかの性能低下が生じる可能性がある。
複数倍チップレートサンプリング(オーバーサンプリング)の等化
以下では、複数倍チップレートサンプリングにおいてスライディングウィンドウベースの等化方式を用いる実施形態を説明する。複数倍チップレートサンプリングとは、チップレートの整数倍(2倍、3倍、...など)のサンプリングレートでチャネルをサンプリングすることである。以下では、チップ当たり2倍のサンプリングについて取り上げるが、この方式は、他の複数倍にも適用可能である。
Nチップ分の幅のスライディングウィンドウと2倍のチップレートサンプリングを用い、受信ベクトルをr=[r,r,...,r2N−1とする。このベクトルを並べ替えて、偶数受信ベクトルr=[r,r,...,r2N−2と奇数受信ベクトルr=[r,r,...,r2N−1とに分割し、r=[r,rとすることが可能である。一般性を失うことなく、データ伝送モデルは式53で表される。
Figure 0004213747
式53は、実際のチップ当たり2サンプルの離散時間チャネルを、2つのチップレート離散時間チャネルに分割している。
式53の行列HおよびHは、それぞれ、奇数チャネル応答行列および偶数チャネル応答行列である。これらの行列は、奇数チャネル応答ベクトルhおよび偶数チャネルベクトルhから構築される。これらのベクトルは、チャネル応答をチップ当たり2サンプルでサンプリングし、結果を奇数チャネル応答ベクトルと偶数チャネル応答ベクトルとに分割することによって得られる。
チャネルノイズは、式54のように、分散σのホワイトノイズとしてモデル化される。
E[n ]=E[n ]=σI 式54
チャネルが加法ホワイトガウスノイズ(AWGN)チャネルであって、サンプリングされたチャネルから受信データが直接得られる場合は、式55が成り立つ。
E[n ]=0 式55
結果として、当該の問題は、前述の、無相関ノイズを伴う2つの受信アンテナに対するチップレート等化器の場合と数学的に同等である。しかしながら、多くの実装における受信アンテナ信号は、受信側ルート累乗コサイン(RRC)フィルタによって処理されてから、さらなる処理のためにデジタル受信機ロジックに渡される。そのような処理の後では、受信ノイズベクトルは、もはやホワイトではなく、累乗コサイン(RC)自己相関関数を有する。RCは、周波数領域での、RRC応答の二乗である。RCパルスはナイキストパルスなので、式54は成り立つが、式55は成り立たない。行列
Figure 0004213747
のi行j列の要素は、式56に従う。
Figure 0004213747
RCは、1シンボル時間で正規化されたRCパルス形状である。
Λcrossの特性は、実数であり、対称であり、テプリッツであって、帯状ではなく、ゼロエントリがなく、そのエントリは、主対角要素から離れるほど小さくなってゼロに近づく傾向がある。
Σは、ノイズベクトル全体の相互相関行列を表し、式57に従う。
Figure 0004213747
厳密な解法
dの線形最小平均二乗推定の問題に対する厳密な解法は、rの観察から、式58のとおりである。
Figure 0004213747
Figure 0004213747
Figure 0004213747
もテプリッツ行列ではなく、いずれも単一ユニタリ演算(例えば、行/列の並べ替え)でテプリッツにすることができない。これは、Σの構造によるものである。したがって、テプリッツ行列の巡回近似に基づくDFTベースの方法は、ここでは適用不可能であり、厳密な解法は非常に複雑である。
この問題を解く効率的なアルゴリズムを導出する2つの実施形態を説明する。その第1の実施形態では単純な近似を用い、第2の実施形態ではほぼ厳密な解法を用いる。
単純な近似
単純な近似では、nとnの間の相関を無視する(すなわち、Σcross=0とする)。結果として、複数のチップレート受信アンテナの場合と同じ方式を用いることになる。
この単純な近似の方式の複数度は、以下のとおりである。Nチップのデータブロックが対象である。大まかな近似として、毎秒NlogN回の演算(NlogNops)で与えられる、N点DFTの複雑度を仮定する。さらに、Nopsを要するN点ベクトル乗算を仮定し、ベクトル加算を無視する。
DFTベースの方式の複雑度は、大まかに2つの構成要素に分割することが可能である。1つは、すべての受信データセットに対して実行しなければならない処理であり、もう一方は、チャネル推定が更新された場合に実行する処理である。後者は、前者の処理より1桁から2桁少ない頻度で行われるのが一般的である。
各受信データセットに対して実行する処理では、以下の演算を実行する。まず、2N点DFTを行い、受信ベクトルを周波数領域に変換する。次に、2N点ベクトル乗算を行う(各受信ベクトルに適切な「状態」ベクトルを乗じる)。そして、もう一度DFTを行って、結果を時間領域に戻す。したがって、複雑度はおおむね式59のとおりである。
1,r=3NlogN+2N 式59
チャネル応答が更新された場合に実行する処理では、以下の演算を実行する。DFT演算を2回行い、6N点ベクトル乗算を行い、ベクトル除算を行う。ベクトル除算は、1回のベクトル乗算に対して10回行う必要がある。したがって、このステップの複雑度は、大まかに式60で与えられる。
1,r=2NlogN+16N 式60
ほぼ厳密な解法
ブロックテプリッツ解法を用いる、ほぼ厳密な解法の場合は、ベクトルrがr=[r,r,...,r2N−1で与えられるように、ベクトルと行列とをそれらの自然律(natural order)に沿って並べ替える。式61は、自然律モデルである。
Figure 0004213747
e,iはHのi番目の行であり、ho,iはHのi番目の行である。Gは2×N行列であり、その第1行がhe,iであり、第2行がho,iである。Gのx行y列の要素をG[x,y]とすると、HbTは、式62で表されるブロックテプリッツ行列である。
[x,y]=G[x,y+(i−j)]
1≦y+(i−j)≦Nの場合 式62
bTのブロックテプリッツ構造は、HおよびHのテプリッツ構造と行の並べ替えの直後に続く。IおよびΣcrossのテプリッツ構造から、再定義された問題におけるノイズの自己相関行列もブロックテプリッツ行列である。この行列も対称なので、式63のように書き直すことが可能である。
Figure 0004213747
その後、ブロックテプリッツ行列のブロック巡回近似を生成する。HbT行列も帯状なので、HbTのブロック巡回近似を直接取得する。しかしながら、ΣbTは帯状ではないので、ΣbTからブロック巡回近似を直接生成することはできない。ΛbTの要素は主対角要素から離れるほど0に近づく傾向があるので、ΣbTの帯状近似は式64のとおりである。
Figure 0004213747
ノイズ共分散帯域幅Bは、選択されている設計パラメータである。RCパルス形状の減衰特性から、RCパルスは数チップしかない可能性がある。この時点で、
Figure 0004213747
は帯状ブロックテプリッツ行列であり、その巡回近似が生成される。
bTおよび
Figure 0004213747
の巡回近似は、それぞれ、HbCおよびΣbCである。Wは、n点DFT行列を表す。すなわち、xがnベクトルであれば、x=WxはxのDFTである。ブロック巡回行列Cは、式65の形式の行列である。
Figure 0004213747
Cは、式66のように書くことも可能である。
Figure 0004213747
ΛMXN(C)は、Cに依存するブロック対角行列であって、式67で与えられる。
Figure 0004213747
Λ(C)は、N×N行列である。Λ(C)を完全に指定するために、λi,(k,l)は、Λ(C)のk行l列の要素を表し、
Figure 0004213747
として定義される。ci,(k,l)は、Cのk行l列の要素を表し、
Figure 0004213747
として定義される。λ(k,l)は、c(k,l)のM点DFTであり、式68で表される。
λ(k,l)=W(k,l) 式68
式66〜68は、正方ブロック巡回行列のブロックDFT表現を指定する。NDFTは、ΛM×N(C)の計算のために必要である。
MMSE推定量は、式69のように書き直される。
Figure 0004213747
式68で表されるMMSE推定量の形式は、いくつかの利点を有する。この形式は、単一の逆行列計算だけが必要であり、したがって、DFT領域では単一のベクトル除算だけが必要である。除算は非常に複雑なので、これはかなりの節約となる可能性がある。
この、ほぼ厳密な解法は、最も好ましい実施形態において2つのステップを有するが、他の方式を用いることも可能である。新しいチャネル推定が得られるたびに、チャネルフィルタを更新する(H(Σ+HH−1を算出する)。すべてのデータブロックについて、このフィルタを受信データブロックに適用する。このような分割を利用するのは、チャネルの更新の頻度が受信データブロックの処理にくらべて非常に低く、したがって、処理全体をこれら2つのステップに分割すると複雑度を大幅に低減することが可能だからである。
ΣのDFTは、パルス整形フィルタのDFTにノイズ分散σを乗じたものである。一般にパルス整形フィルタはシステムの固定機能なので、そのDFTをあらかじめ計算し、メモリに保存しておいて、値σだけを更新することが可能である。パルス整形フィルタは、「理想の」(IIR)パルス形状の近くにあると考えられるので、理想パルス形状のDFTをΣに用いて複雑度を低減することが可能であり、また、搬送波からは離れている。
チャネル更新ステップでは、以下を実行する。
1.Hの「ブロックDFT」を計算する必要がある。ブロックの幅が2なので、2回のDFTが必要である。結果は、行がhおよびhのDFTであるN×2行列である。
2.要素ごとの自己相関と、hおよびhの相互相関とを求めて、HHの「ブロックDFT」を計算する。これには6N回の複雑な乗算と2N回の複雑な加算が必要であったが、N個の2×2行列の積を、それ自身のエルミート転置行列を用いて計算する。
3.ΣのブロックDFTを加算する。これには、2つの行列のブロックDFTを加算するために、3N回の乗算(保存されている、RRCフィルタのブロックDFTをσ倍する)と3N回の加算が必要である。
4.Σ+HHの逆変換をブロックDFTドメインにおいて取得する。これを行うために、N個の2×2行列のそれぞれの逆変換をブロックDFT領域において取得する。総演算数を推定するために、エルミート行列
Figure 0004213747
を考える。この行列の逆変換は、式70で与えられる。
Figure 0004213747
したがって、各逆変換を計算する複雑度は、3回の実数乗算と1回の実数減算(大まかには1回の複雑な乗算)と1回の実数除算とを含む。
5.その結果に、HのブロックDFTをブロック乗算する。これには、全部で8N回の乗算と4N回の加算が必要である(Hはエルミート行列ではないので)。
まとめると、以下の計算が必要である。すなわち、2回のN点DFT、18N回の複雑な乗算(17回のN点ベクトル乗算+N回の単独乗算)、11N回の複雑な加算(11回のN点ベクトル加算)、および1N回の実数除算が必要である。
2N個の値(Nチップ分の長さ)のデータブロックrを処理する複雑度は、2回のN点DFT、N点ブロックDFT(フィルタおよびデータ)の1つの積(これは8N回の複雑な乗算と4N回の複雑な加算が必要であった)、および1回のN点逆DFTを含む。
まとめると、以下が必要である。すなわち、3回のN点DFT、8N回の複雑な乗算(8回のN点ベクトル乗算)、および4N回の複雑な加算(4回のN点ベクトル加算)が必要である。
複数倍チップレートサンプリングと複数の受信アンテナの等化
以下は、複数倍チップレートサンプリングと複数の受信アンテナとを用いる実施形態である。L個の受信アンテナの場合は、2L個のチャネル行列(アンテナごとに1個の「偶数」行列と1個の「奇数」行列)が与えられる。l番目のアンテナのチャネル行列をHl,eおよびHl,oで表し、hl,e,nとhl,o,nは、そのような行列の第n行を表す。各チャネル行列はテプリッツ行列であり、行を適切に並べ替えると、結合チャネル行列は、式71のようなブロックテプリッツ行列になる。
Figure 0004213747
行列Gは、HbTのテプリッツブロックである。各Gは、2L×N行列である。
rの受信および観察からのベクトルdの推定は、式72のようにモデル化することが可能である。
r=HbTd+n 式72
MMSE推定の公式は、式73のとおりである。
Figure 0004213747
Σは、ノイズベクトルnの共分散である。式73の解の形式は、Σについて行われる仮定に依存する。複数の受信アンテナを導入すると、追加空間次元が導入される。時間的相関と空間的相関との相互作用は極端に複雑になる可能性があるが、ノイズの空間的相関特性と時間的相関特性との相互作用は、式74に示すように、両者の直接積としての相互作用以外はないと仮定することが可能である。
Figure 0004213747
Σn,1 antは、単一アンテナにおいて観察されるノイズのノイズ共分散行列であって、式57で与えられる。Σn,1 antは、2N×2Nの次元を有する。Σspは、正規化された同期空間共分散行列である。すなわち、Σspは、同時にL個のアンテナにおいて観察されたL個のノイズサンプルの間の共分散行列を、主対角要素の値が1となるように正規化したものである。
Figure 0004213747
は、クロネッカ積を表す。
Σは、2LN×2LNエルミート非負定値行列であって、これは、2L×2Lブロックを有するブロックテプリッツ行列である。データを推定するための、4つの好ましい実施形態を説明した。それらは、厳密な解法、L個の受信アンテナが無相関ノイズを有すると仮定する単純化、同じアンテナからの奇数ストリームと偶数ストリームにおけるノイズの時間的相関を無視する単純化、および2L個のチップレートノイズストリームがすべて無相関であると仮定する単純化である。
巡回近似を用いるDFTベースの処理の複雑度は、2つの構成要素、すなわち、すべての新しいデータブロックについて行う必要のないチャネル推定の処理と、すべてのデータブロックについて行う、データ自体の処理とに分けることが可能である。4つの実施形態のすべてにおいて、データを処理することの複雑度は、2L回の順方向N点DFTと、2LN回の複雑な乗算と、1回の逆方向N点DFTとを含む。チャネル推定を処理することの複雑度は、実施形態ごとに異なる。
厳密なMMSE解法の場合、チャネル推定から「MMSEフィルタ」を計算することの複雑度は、2L回のN点DFTと、(Σ+HbTbT )を計算するためのN回の2L×2L行列の乗算およびN回の2L×2L行列の加算と、(Σ+HbTbT )の逆変換を計算するためのN回の2L×2L行列の逆変換と、実際のフィルタを生成するためのN回の2L×2L行列の乗算とを含む。
この処理の全体の複雑度の主因の1つは、2L×2L行列の逆変換を行わなくてはならない、行列の逆変換ステップである。まさにこの複雑度が、以下に示すように、ノイズの無相関特性を様々に仮定することによって低減可能な複雑度である。
1.ノイズが時間的にも(奇数/偶数サンプル間で)空間的にも(アンテナ間で)無相関であると仮定すると、Σが対角行列にまで低減され、問題は、空間的に無相関であるノイズを有する2L個のアンテナによる、チップ当たり1サンプルのサンプリングの問題と同じになる。結果として、関与するすべての行列がテプリッツ行列なので、行列の逆変換の演算は、単純に除算にまで低減される。
2.ノイズが空間的に無相関であると仮定すると、関与する、行列の逆変換は、2×2行列の逆変換になる。
3.奇数ストリームと偶数ストリームとが時間的に無相関であるが、空間的ノイズ相関はあると仮定すると、関与する、行列の逆変換は、L×L行列の逆変換である。
帯状チャネル応答行列を示す図である。 帯状チャネル応答行列の中央部分を示す図である。 1つの可能な分割を有するデータベクトルウィンドウを示す図である。 分割された信号モデルを示す図である。 過去補正係数(past correction factor)を用いるスライディングウィンドウデータ検出のフロー図である。 過去補正係数を用いるスライディングウィンドウデータ検出を用いる受信機を示す図である。 ノイズ自己相関補正係数を用いるスライディングウィンドウデータ検出のフロー図である。 ノイズ自己相関補正係数を用いるスライディングウィンドウデータ検出を用いる受信機を示す図である。 スライディングウィンドウ処理のグラフィカル表現である。 巡回近似(circulant approximation)を用いるスライディングウィンドウ処理のグラフィカル表現である。 離散フーリエ変換(DFT)を用いるデータ検出の一実施形態の回路を示す図である。

Claims (14)

  1. 無線通信におけるデータ推定方法であって、
    データ信号のチップレートの複数倍のレートのサンプリングによって受信ベクトルを生成し、
    複数のチップレートサンプルのそれぞれに関連するノイズの間の相関を無視するスライディングウィンドウベースの方式であって、各ウィンドウについて、非テプリッツチャネル応答行列をテプリッツ行列に変換し、前記テプリッツ行列を巡回チャネル応答行列に変換し、離散フーリエ変換ベースの方式において前記巡回チャネル応答行列を用いて、そのウィンドウに対応するデータベクトルを推定する方式、を用いて前記受信ベクトルを処理し、
    各ウィンドウにおいて推定された前記データベクトルを結合して、結合データベクトルを形成することを含むことを特徴とする方法。
  2. 前記受信ベクトルは、前記スライディングウィンドウベースの方式を用いて前記受信ベクトルを処理する前に、ルート累乗コサインフィルタによって処理されることを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 前記スライディングウィンドウベースの方式を用いて前記受信ベクトルを処理することは、自然律で並べられた受信ベクトルとチャネル応答行列とを用い、前記並べられたチャネル応答行列はブロックテプリッツ行列であり、前記自然律は、前記受信ベクトルおよびチャネル応答行列の要素が実際に受信された順序であることを特徴とする請求項に記載の方法。
  4. 受信ベクトルの連続に対して、チャネルフィルタリングより頻繁に適用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記スライディングウィンドウ方式を用いる前記受信ベクトルの処理にノイズベクトルの相互相関が用いられ、受信信号の処理にパルス整形フィルタが用いられ、前記パルス整形フィルタの離散フーリエ変換があらかじめ算出され、これに測定されたノイズ分散が乗ぜられて、前記ノイズベクトル相互相関の離散フーリエ変換が算出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 無線送信/受信装置によって実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 無線環境において動作可能なデバイスであって、
    データ信号のチップレートの複数倍のレートのサンプリングによって受信ベクトルを生成する手段と、
    複数のチップレートサンプルのそれぞれに関連するノイズの間の相関を無視するスライディングウィンドウベースの方式を用いて前記受信ベクトルを処理する手段であって、ウィンドウ毎に、非テプリッツチャネル応答行列をテプリッツ行列に変換し、前記テプリッツ行列を巡回チャネル応答行列に変換し、離散フーリエ変換ベースの方式において前記巡回チャネル応答行列を用いて、そのウィンドウに対応するデータベクトルを推定する、手段と
    各ウィンドウにおいて推定された前記データベクトルを結合して、結合データベクトルを形成する手段とを備えたことを特徴とするデバイス
  8. 前記スライディングウィンドウベースの処理の前に前記受信ベクトルを処理するように構成されたルート累乗コサインフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項に記載のデバイス
  9. 前記スライディングウィンドウベースの方式を用いて前記受信ベクトルを処理する手段は、自然律で並べられた受信ベクトルとチャネル応答行列とを用いるように構成され、前記並べられたチャネル応答行列はブロックテプリッツ行列であり、前記自然律は、前記受信ベクトルおよびチャネル応答行列の要素が実際に受信された順序であることを特徴とする請求項に記載のデバイス
  10. チャネルフィルタリングより頻繁に受信ベクトルを処理することを特徴とする請求項に記載のデバイス
  11. 前記デバイスは、複数の受信アンテナを備え前記チップレートの複数倍のレートで受信信号をサンプリングする手段が前記アンテナの構成要素であり、前記受信ベクトルを生成する手段へ前記受信ベクトルを供給することを特徴とする請求項に記載のデバイス
  12. 前記スライディングウィンドウベースの方式を用いて前記受信ベクトルを処理する手段は、ノイズベクトルの相互相関、受信信号の処理にパルス整形フィルタとを用い、前記パルス整形フィルタの予め決定された離散フーリエ変換測定されたノイズ分散が乗ぜられて、前記ノイズベクトル相互相関の離散フーリエ変換が算出されるように構成されたことを特徴とする請求項に記載のデバイス
  13. 無線送信/受信装置(WTRU)として構成されたことを特徴とする請求項7乃至12のいずれかに記載のデバイス
  14. 基地局として構成されたことを特徴とする請求項7乃至12のいずれかに記載のデバイス
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