JP4212973B2 - 二重リングネットワークの無瞬断伝送方式およびノード装置 - Google Patents

二重リングネットワークの無瞬断伝送方式およびノード装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パケット交換技術を用いた二重リングネットワークにおいて伝送路等での障害発生時にパケットを無瞬断で切り替えて伝送する無瞬断伝送方式およびノード装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図19は、パケット交換技術を用いた従来の二重リングネットワークでの伝送方法を説明する図である。なお、図19(a)は、通常時の伝送方法を説明する図であり、図19(b)は、障害発生時の伝送方法を説明する図である。図19において、二重リングネットワークは、相反する方向性を持つ一次リング57と二次リング58とからなる二重リング59と、二重リング59を伝送媒体または回線として相互間が接続される複数のノード60−1(ノードA)〜60−5(ノードG)とで構成される。この二重リングネットワークでは、任意のノード間で、一次リング57または二次リング58を介して、データパケットの送受信が行えるようになっている。なお、ここでは、ノードは、単に、ノードA〜ノードGと称する。
【0003】
ところで、非特許文献1では、パケット交換技術を用いた二重リングネットワークでの伝送方法として、Steerと呼ばれる伝送方法が開示されている。すなわち、送信ノードであるノードAから、宛先ノードであるノードFにデータパケットを送信する場合、通常時には、図19(a)に示すように、送信ノードAは、ノードGを通る最短経路のリング(二次リング58)を選択し、データパケットを宛先ノードノードFに向けて送信する。
【0004】
そして、選択した最短経路のリング(二次リング58)に障害が発生すると、障害検出ノードは、制御パケットを用いて、全ノードに障害発生位置を通知する。送信ノードノードAは、通知された情報に基づき障害箇所を通らないリングを選択し、データパケットを宛先ノードFに向けて送信する。このとき、リングを切り替えるか否かは障害箇所に応じて決定される。
【0005】
今の例では、図19(b)に示すように、選択したノードGを通る最短経路のリング(二次リング58)において、ノードGとノードFとの間で伝送路断の障害が発生したので、送信ノードAでは、二次リング58から一次リング57への切り替えが行われる。すなわち、データパケットは、ノードB、ノードC、ノードD、ノードEを通って宛先モードノードFに送信される。宛先ノードFは、障害の有無に関わらず、到着したデータパケットを取り込む。
【0006】
次に、図20は、図19に示す各ノード装置の構成を示すブロック図である。非特許文献2では、上記したパケット交換技術を用いた二重リングネットワークにおけるノードの構成が開示されている。図20では、非特許文献2にて開示された内容が整理して示されている。
【0007】
図20に示すノード60は、右回りリング(図19に示す一次リング57に対応する)上のパケットが入力される回線インタフェース部(回線I/F部)61と、回線I/F部61の出力を2分岐する分岐処理部62と、分岐処理部62の一方の分岐出力を受ける中継バッファ部63と、中継バッファ部63の出力を一方の入力とする挿入処理部64と、挿入処理部64の出力を右回りリング上に送出する回線I/F部65とを備えている。
【0008】
また、ノード60は、左回りリング(図19に示す一次リング58に対応する)上のパケットが入力される回線I/F部71と、回線I/F部71の出力を2分岐する分岐処理部72と、分岐処理部72の一方の分岐出力を受ける中継バッファ部73と、中継バッファ部73の出力を一方の入力とする挿入処理部74と、挿入処理部74の出力を左回りリング上に送出する回線I/F部75とを備えている。
【0009】
そして、ノード60は、分岐処理部62および分岐処理部72の他方の分岐出力が入力される受信バッファ部(dropバッファ部)76と、dropバッファ部76の出力を受けるMACクライアント部77と、MACクライアント部77の出力を受けて挿入処理部64および挿入処理部74の他方の入力を出力する送信バッファ部(addバッファ部)78とを備えている。
【0010】
MACクライアント部77は、下位のブロックに対し、データパケットの送受を依頼する。dropバッファ部76と中継バッファ部63,73は、到着したデータパケットを一時的に待たせる。addバッファ部78は、到着したデータパケットを一時的に待たせると共に、送信するパケットの宛先識別子を見てリングを選択する。
【0011】
分岐処理部62,72は、上流ノードから入力したデータパケットの宛先識別子を見て、自ノード宛の場合はdropバッファ部76に与え、他ノード宛の場合は中継バッファ部63,73に与え、同報の場合はdropバッファ部76と中継バッファ部63,73の双方に与える。
【0012】
挿入処理部64,74は、送信するパケットと中継するパケットとを選択し、下流ノードに出力する。回線I/F部61,65,71,75は、伝送媒体の特性に応じて、符号/復号化、電気レベル変換、電気/光変換、伝送クロック抽出などを行う。
【0013】
次に、図21は、回線交換技術を用いた従来の二重リングネットワークでの無瞬断伝送方法を説明する図である。図21では、非特許文献3に紹介されているUPSR(Unidirectional Path Switched Ring)と呼ばれる二重リングネットワークのリング切替方式が示されている。
【0014】
図21において、二重リング79は、相反する方向性を持つ現用系リング80と予備系リング81とに区別されている。二重リング79上には、4つのノード82−1(ノードA)〜82−4(ノードD)が配置されている。なお、ここでは、ノードは、単に、ノードA〜ノードDと称する。
【0015】
この回線交換技術を用いた従来の二重リングネットワークでは、送信元ノードから宛先ノードに向けて、現用系リング80にSDH(Synchronous Digital Hierarchy)またはSONET(Synchronous Optical Network)のタイムスロットを用いた現用パスを設定し、予備系リング81に予備パスを設定する。そして、送信元ノードは、二つのパスに同一のデータを送信するようになっている。
【0016】
今、ノードAからノードCに向けてデータを送信する場合、正常時では、図21(a)に示すように、宛先ノードAは、現用系リング80によるノードBを通る現用パスを設定し、予備系リング81によるノードDを通る予備パスを設定し双方のパスに同一のデータを送信する。宛先ノードCは、現用パスからのデータを取り込み、予備パスからデータを廃棄する。
【0017】
現用パスに障害が発生すると、障害検出ノードは、SDHまたはSONETの制御用タイムスロットを用いて宛先ノードBに障害発生を通知するので、宛先ノードBは、図21(b)に示すように、予備系リング81によるノードDを通る予備パスに切り替えて受信する。以上は、相手ノードが単数の場合であるが、相手ノードが複数ある場合、相手ノード毎にパスを設け、パス毎に上記の動作を実行する。
【0018】
ここでは、回線交換技術を用いているので、現用パスと予備パスの各々の遅延時間を調整し、宛先ノードで、現用パスが格納されるタイムスロットの位相と予備パスが格納されるタイムスロットの位相とを一致させることにより、パス切り替えの際に、宛先ノードでデータの欠落を防ぐことが可能である。
【0019】
【非特許文献1】
Resilient Packet Ring Alliance「Outline of the IEEE 802.17 RPR Draft Standard」(http//www.rpralliance.org/article/ACF18.pdf)
【非特許文献2】
日経コミュニケーションの記事「イーサネット(登録商標)新天地に挑む」(BP社、2001年11月5日号)
【非特許文献3】
「わかりやすいSDH/SONET伝送方式」(オーム社、平成13年4月25日発行、111頁)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のパケット交換技術を用いた二重リングネットワークに、従来の回線交換技術を用いた二重リングネットワークで行われている無瞬断伝送方式を適用し、無瞬断伝送を実現する場合、以下の問題がある。
【0021】
まず、基本的に、パケット交換技術には、回線交換技術におけるパスの概念がないため、パスの位相を一致させ無瞬断伝送を実現する方法が適用できない。
【0022】
また、仮に、無瞬断伝送が実現できても、回線交換技術では、パケット交換技術に比較し伝送帯域を2倍使用するので、効率が悪い。
【0023】
さらに、仮に、無瞬断伝送が実現できても、回線交換技術には、同報の概念がないので、パケット交換技術の同報データパケットに適用できない。
【0024】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、パケットの伝送効率に影響を与えることなく回線交換技術と同等の無瞬断伝送が行える二重リングネットワークの無瞬断伝送方式およびノード装置を得ることを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明にかかる二重リングネットワークの無瞬断伝送方式は、相反する伝送方向性を持つ一次リングと二次リングの二重リングを介して複数のノード装置が接続され、各ノード装置が、障害の有無を相互に通知し合い、ユニキャストデータパケットを送信するときは、障害を認識していない場合は一次リングと二次リングのうち宛先ノードに向けて最短経路のリングを選択し、障害を認識した場合は一次リングと二次リングのうち宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングを選択する二重リングネットワークにおいて、ユニキャストデータパケットを送信するノード装置は、障害を認識していない場合は、宛先ノードに向けて最短経路のリングを選択して送信するのと並行に、全てのユニキャストデータパケットを一定時間蓄積した後廃棄する動作を行い、障害を認識した場合は、その障害を認識した時点で前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替えて障害発生前のリングを変更した宛先ノードに対して送信し、蓄積したユニキャストデータパケットがなくなり次第、前記蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積した後破棄する動作に戻し、各宛先ノードに対して前記障害箇所を通らないリングを選択して送信する手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、ユニキャストデータパケットを送信するノード装置は、障害発生前の正常時において全てのノード向けのユニキャストデータパケットを蓄積しておき、障害を認識して障害箇所を通らないリングを選択する際に、宛先ノードが最短経路のリングと異なる場合に、蓄積しているユニキャストデータパケットを障害箇所を通らないリングに送信する。これによって、ユニキャストデータパケットの無瞬断伝送が行える。
【0027】
また、この発明にかかる二重リングネットワークの無瞬断伝送方式は、相反する伝送方向性を持つ一次リングと二次リングの二重リングを介して複数のノード装置が接続され、各ノード装置が、障害の有無を相互に通知し合い、同報データパケットを送信するときは、障害を認識していない場合では、自送信ノード装置から最も離れた位置で隣り合う二つのノード装置を終端ノードとして選択し、障害を認識した場合では、障害箇所を挟む二つのノード装置を終端ノードとして選択し、それぞれ、各終端ノードに向けて両リングに送信する二重リングネットワークにおいて、同報データパケットを送信するノード装置は、障害を認識していない場合は、自送信ノード装置から最も離れた位置で隣り合う二つのノード装置を終端ノードとして選択して送信するのと並行に、同報データパケットを一定時間蓄積した後廃棄する動作を行い、障害を認識した場合は、終端ノードを障害箇所を挟む二つのノード装置に変更して対応するリングに送信する際に、経由ノード数が減った終端ノードに対してはそのまま引き続いて送信する一方、経由ノード数が増えた終端ノードに対しては前記一定時間蓄積した後の同報データパケットを送信する手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、同報データパケットを送信するノード装置は、障害発生前の正常時において全ての同報データパケットを蓄積しておき、障害を認識して終端ノードを変更して送信するとき、経由ノード数が増えた終端ノードに対しては一定時間蓄積した後の同報データパケットを送信する。これによって、ユニキャストデータパケットの無瞬断伝送が行える。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる二重リングネットワークの無瞬断伝送方式およびノード装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である二重リングネットワークの構成および無瞬断伝送方式を説明する図である。なお、図1(a)は、正常時の伝送方法を説明する図であり、図1(b)は、障害発生時の伝送方法を説明する図である。図1に示す二重リングネットワークは、相反する伝送方向性を持つ一次リング(右回りリング)1と二次リング(左回りリング)2とからなる二重リング3と、二重リング3を伝送媒体または回線として相互間が接続される複数のノード装置4−1(ノードA)〜4−5(ノードG)とで構成される。この二重リングネットワークでは、この実施の形態1では、任意のノード間で、右回りリング1または左回りリング2を介して、宛先が1つのノードであるユニキャストデータパケットの送受信が行えるようになっている。なお、ここでは、ノード装置は、単に、ノードA〜ノードGと称する。
【0031】
次に、図1に示す二重リングネットワークにおいて実施されるユニキャストデータパケットについての無瞬断伝送方式について説明する。図1において、各ノードは、制御パケットを両隣のノードに一定周期で送信し、隣接ノードの状態や隣接ノード間の伝送路の状態を監視している。そして、障害が発生した場合は、障害を検出したノードが制御パケットを用いて全ノードに障害発生と障害個所を通知するようになっている。
【0032】
今、ノードAがノードB,C,D,E,F,Gにユニキャストデータパケットを送信する場合、最短経路のリングは、ノードB,C,Dに対しては右回りリング1であり、ノードE,F,Gに対しては左回りリング2である。したがって、送信元ノードAは、宛先ノードFに対しては、障害を認識していない場合は、図1(a)に示すように、ノードGを通る最短経路のリング(左回りリング2)を選択して送信する。
【0033】
そして、送信元ノードAは、選択した最短経路のリングに障害が発生したことを認識している場合は、障害箇所を通らないリングを選択する。すなわち、図1(b)に示すように、ノードF,G間に伝送路断5が発生した場合は、ノードAからノードGに至る左回りリング2と、ノードAからノードB,C,D,E,Fに至る右回りリング1とを選択する。
【0034】
この場合、ノードB,C,Dに対しては障害発生前と同じ最短経路のリング(右回りリング1)であり、変更はないので、無瞬断で伝送できる。ノードGに対しても同様である。しかし、ノードE,Fに対しては障害発生前(左回りリング2)とは異なるリング(右回りリング1)となり、リング切り替えが発生するので、無瞬断伝送ができない。
【0035】
そこで、送信元ノードAは、障害発生前の正常時において各ノード向けのユニキャストデータパケットを一定時間蓄積して廃棄することを繰り返す方法で蓄積しておき、障害発生を受けて障害箇所を通らないリングを選択する際に、宛先ノードが最短経路のリングと異なるリングとなる場合に、蓄積しているユニキャストデータパケットを障害箇所を通らないリングに送信するようにしている。これによって、図1(b)に示すように、宛先ノードF向けのユニキャストデータパケットをノードB,C,D,Eを通って無瞬断で送信できるようになる。
【0036】
なお、いずれの場合も、送信元ノードは、各宛先ノード毎に管理するシーケンスナンバーをインクリメントし、ユニキャストデータパケットに記す。また、宛先ノードでは、自ノード宛のユニキャストデータパケットのシーケンスナンバーを検査し、シーケンスナンバーの順に取り込む。二重到着や順序逆転到着したユニキャストデータパケットを廃棄する。
【0037】
以下、各ノード装置の構成および動作について具体的に説明する。図2は、図1に示す各ノード装置の構成を示すブロック図である。図2に示すように、各ノード装置4は、右回りリング上のパケットが入力される回線インタフェース部(回線I/F部)10と、回線I/F部10の出力を2分岐する分岐処理部11と、分岐処理部11の一方の分岐出力を受ける中継バッファ部12と、中継バッファ部12の出力を一方の入力とする挿入処理部13と、挿入処理部13の出力を右回りリング上に送出する回線I/F部14とを備えている。
【0038】
また、ノード装置4は、左回りリング上のパケットが入力される回線I/F部20と、回線I/F部20の出力を2分岐する分岐処理部21と、分岐処理部21の一方の分岐出力を受ける中継バッファ部22と、中継バッファ部22の出力を一方の入力とする挿入処理部23と、挿入処理部23の出力を左回りリング上に送出する回線I/F部24とを備えている。
【0039】
そして、ノード装置4は、分岐処理部11および分岐処理部21の他方の分岐出力が入力される受信バッファ部(dropバッファ部)25と、dropバッファ部25の出力を受けるMACクライアント部26と、MACクライアント部26の出力を受けるバッファ選択部27と、バッファ選択部27の出力を受ける蓄積バッファ部28と、バッファ選択部27の出力と蓄積バッファ部28の出力とを受けて挿入処理部23の他方の入力に出力する左回り送信バッファ部(West addバッファ部)29と、バッファ選択部27の出力と蓄積バッファ部28の出力とを受けて挿入処理部13の他方の入力に出力する右回り送信バッファ部(East addバッファ部)30とを備えている。
【0040】
回線I/F部10,14,20,23は、伝送媒体の特性に応じて、符号/復号化、電気レベル変換、電気/光変換、伝送クロック抽出などを行う機能を有している。
【0041】
分岐処理部11,21は、回線I/F部10,20が対応するリングから取り込んだ上流ノード発のユニキャストデータパケットの宛先識別子を見て、自ノード宛の場合はdropバッファ部25に与え、他ノード宛の場合は中継バッファ部12,22に与える。中継バッファ部12,22は、分岐処理部11,21から受け取ったユニキャストデータパケットを一次的に待たせた後、挿入処理部13,23に与える。
【0042】
dropバッファ部25は、分岐処理部11,21から受け取ったユニキャストデータパケットを一次的に待たせた後、MACクライアント部26に与える。MACクライアント部26は、送信すべきユニキャストデータパケットをバッファ選択部27に与える。バッファ選択部27は、MACクライアント部26から受け取ったユニキャストデータパケットを蓄積バッファ部28とWest add部29とEast add部30とに振り分けて出力する。
【0043】
蓄積バッファ部28は、バッファ選択部27から受け取ったユニキャストデータパケットを一定時間蓄積する。そして、蓄積バッファ部28は、一定時間経過したユニキャストデータパケットを、正常時は破棄し、障害発生時にWest add部29とEast add部30とのいずれか一方に与える。なお、一定時間の長さは、障害発生から全ノードが障害発生を認識するまでの時間よりも長い時間である。
【0044】
West add部29は、バッファ選択部27または蓄積バッファ部28から受け取ったユニキャストデータパケットを一次的に待たせ後、挿入処理部23に与える。また、East add部30は、バッファ選択部27または蓄積バッファ部28から受け取ったユニキャストデータパケットを一次的に待たせ後、挿入処理部13に与える。挿入処理部13,23は、送信するパケットと中継するパケットとを選択し、回線I/F部14,24を介して対応するリングの下流ノードに出力する。
【0045】
次に、図1〜図5を参照して、ユニキャストデータパケットについて無瞬断伝送を実施する送信元ノードの動作について説明する。なお、図3は、図1に示す二重リングネットワークにおいてユニキャストデータパケットを伝送する場合の送信元ノードの動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識していない場合)。図4は、図1に示す二重リングネットワークにおいてユニキャストデータパケットを伝送する場合の送信元ノードの動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。図5は、図1に示す送信側ノード装置でのユニキャストデータパケットの流れを説明する図である。
【0046】
図3において、送信元ノードでは、障害発生を認識していない場合は、バッファ選択部27は、MACクライアント部26からユニキャストデータパケットを受け取ると、宛先ノードに応じた最短経路のリングを選択する(ステップST1)。そして、MACクライアント部26から受け取ったユニキャストデータパケットを選択したリングに振り分け、対応した送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡すとともに、全てを蓄積バッファ部28に渡す(ステップST2)。
【0047】
蓄積バッファ部28は、バッファ選択部27から受け取ったユニキャストデータパケットを一定時間蓄積した後順に廃棄する(ステップST3)。一方、送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30の双方)は、バッファ選択部27から受け取ったユニキャストデータパケットを対応するリングに送信する(ステップST4)。これによって、図1(a)に示したように、最短経路のリングを用いたユニキャストデータパケットの伝送が行われる。
【0048】
図4において、送信元ノードでは、障害発生を認識した場合は、バッファ選択部27は、MACクライアント部26からユニキャストデータパケットを受け取ると、宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングを選択する(ステップST6)。そして、バッファ選択部27は、MACクライアント部26から受け取ったユニキャストデータパケットを、全て蓄積バッファ部28に渡すとともに、選択したリングが障害発生前に選択した最短経路のリングと同じである場合にその選択した障害箇所を通らないリング(最短経路のリング)に対応した送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡す(ステップST7)。このとき、バッファ選択部27は、蓄積バッファ部28に対して、選択した障害箇所を通らないリングが最短経路のリングと同じであるか否かの情報を与えるようになっている。
【0049】
蓄積バッファ部28は、バッファ選択部27から受け取ったユニキャストデータパケットを、選択された障害箇所を通らないリングが最短経路のリングと同じである場合は一定時間蓄積した後に順に廃棄する一方、異なる場合はその選択した障害箇所を通らないリング(最短経路のリングではない迂回リング)に対応した送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡す(ステップST8)。
【0050】
West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方の送信バッファ部は、バッファ選択部27から受け取ったユニキャストデータパケットを最短経路のリングに送信する。また、West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか方の送信バッファ部は、蓄積バッファ部27から受け取ったユニキャストデータパケットを最短経路とは異なる迂回リングに送信する(ステップST9)。これによって、図1(b)に示したように、各ノード向けのユニキャストデータパケットが障害箇所を回避したリングを用いて伝送される。
【0051】
したがって、障害発生の前後における送信元ノード内でのユニキャストデータパケットの流れは、図5に示すようになる。図5中に示すA〜Gは、図1に示すノードである。つまり、図5は、図1に示す送信元ノードAでの遷移状態を示している。
【0052】
図5において、▲1▼障害が発生していない場合は、バッファ選択部27は、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードE,F,Gであるときは、最短経路として左回りリング2を選択し、West addバッファ部29に対してノードE,F,G向けのユニキャストデータパケットを渡す。また、バッファ選択部27は、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードB,C,Dであるときは、最短経路として右回りリング1を選択し、East addバッファ部30に対してノードB,C,D向けのユニキャストデータパケットを渡す。一方、バッファ選択部27は、蓄積バッファ部28に対しては、全てのノードB,C,D,E,F,G向けのユニキャストデータパケットを渡す。蓄積バッファ部28では、一定時間蓄積した後に順に廃棄し、West addバッファ部29とEast addバッファ部30に対してユニキャストデータパケットを渡さない。
【0053】
そして、▲2▼ノードE,F間に障害が発生すると、バッファ選択部27は、宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングを選択する。すなわち、ノードAからノードGに至る左回りリング2とノードAからノードB,C,D,E,Fに至る右回りリング1とを選択する。そして、障害発生前に選択した最短経路のリングと同じであるか否かを比較する。ノードAからノードGに至る左回りリング2は同じである。また、ノードB,C,D,E,Fに至る右回りリング1のうち、ノードB,C,Dに至るリングは障害発生前に選択した最短経路のリングと同じであるが、ノードDから先のノードE,Fに至るリングは、異なっている。
【0054】
そこで、バッファ選択部27は、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードGであるときは、障害発生前と同様にWest addバッファ部29に渡し、またノードB,C,Dであるときも障害発生前と同様にEast addバッファ部30に渡す。一方、蓄積バッファ部28に対し、全てのノードB,C,D,E,F,G向けのユニキャストデータパケットを渡す。
【0055】
蓄積バッファ部28では、ノードB,C,D向けのユニキャストデータパケットを破棄し、ノードE,F向けのユニキャストデータパケットをEast addバッファ部30に渡す。West addバッファ部29には何も渡さない。これによって、障害発生により最短経路のリング2が使用できなくなったノードE,F向けのユニキャストデータパケットが障害箇所5を迂回した右回りリング1から送信される。
【0056】
このように、▲1▼障害が発生していない場合にWest addバッファ部29を通して送信されたノードE,F宛ユニキャストデータパケットは、▲2▼ノードE,F間に障害が発生した場合に、障害発生から一定時間経過した後、East addバッファ部30を通して再び送信されるので、無瞬断伝送が実現される。
【0057】
以上のように、この実施の形態1によれば、パケット交換技術を用いた二重リングネットワークにおいて、パケット交換技術の利点である伝送効率を損なうことなく、ユニキャストデータパケット伝送について回線交換技術と同等の無瞬断伝送が実現できる。
【0058】
したがって、二重リングネットワークの性能と信頼性とを同時に向上させることができる。また、これらの処理は、単純であり、ハードウェア処理にて容易に実現できるので、ノードを安価に製造することができる。
【0059】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2である二重リングネットワークにおける各ノード装置の構成を示すブロック図である。なお、図6では、図2に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には、同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
【0060】
図2に示すように、実施の形態2による二重リングネットワークにおける各ノード装置35は、図2に示した構成において、バッファ選択部27に代えてバッファ選択部36が設けられ、蓄積バッファ部28に代えて蓄積バッファ部37が設けられている。
【0061】
実施の形態2では、ユニキャストデータパケットを伝送する図1に示した二重リングネットワークにおいて、障害が発生すると、実施の形態1にて説明した手順で障害回避措置を採るが、さらに障害が解消すると、その時点で障害発生前に使用していた最短経路に戻す動作が行われる。そのため、バッファ選択部36および蓄積バッファ部37は、それぞれ若干の機能変更・追加がなされている。
【0062】
次に、図1、図6〜図9を参照して、ユニキャストデータパケットについて無瞬断伝送を実施する送信元ノードの動作について説明する。なお、図7は、実施の形態2においてユニキャストデータパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。図8は、実施の形態2においてユニキャストデータパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害回復を認識した場合)。図9は、実施の形態2において送信側ノード装置でのユニキャストデータパケットの流れを説明する図である。
【0063】
図7において、送信元ノードでは、障害発生を認識した場合は、バッファ選択部36は、MACクライアント部26からユニキャストデータパケットを受け取ると、宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングを選択する(ステップST11)。そして、バッファ選択部36は、選択した障害箇所を通らないリングが障害発生前に選択した最短経路のリングと同じであるか否かを判断する(ステップST12)。このとき、バッファ選択部36は、蓄積バッファ部37に対して、選択した障害箇所を通らないリングが最短経路のリングと同じであるか否かの情報を与えるようになっている。
【0064】
バッファ選択部36は、同じである場合(ステップST12:Yes)は、MACクライアント部26から受け取ったユニキャストデータパケットをその選択した障害箇所を通らないリング(最短経路のリング)に対応した送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡す(ステップST13)。一方、バッファ選択部36は、同じでない場合(ステップST12:No)は、MACクライアント部26から受け取ったユニキャストデータパケットを蓄積バッファ部37に渡す(ステップST14)。
【0065】
蓄積バッファ部37は、障害発生前では、実施の形態1にて説明したように一定時間の蓄積動作を行っていたが、障害発生を受けてその蓄積方法を一定時間の蓄積動作から先入れ先出しのFIFO動作に変更し、バッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを順に取り出し、その選択した障害箇所を通らないリング(最短経路のリングではない迂回リング)に対応した送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡す(ステップST15)。
【0066】
West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方の送信バッファ部は、バッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを最短経路のリングに送信する。また、West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか方の送信バッファ部は、蓄積バッファ部37から受け取ったユニキャストデータパケットを最短経路とは異なる迂回リングに送信する(ステップST16)。
【0067】
バッファ選択部36は、FIFO動作をしている蓄積バッファ部37の格納状態を監視し(ステップST17)、空になると(ステップST17:Yes)、MACクライアント部26からユニキャストデータパケットを受け取り、障害解消の通知が来ないので、障害箇所を通らないリングを選択し(ステップST18)、全てのユニキャストデータパケットを蓄積バッファ部37に渡すとともに、選択したリングに対応する送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡す(ステップST19)。
【0068】
蓄積バッファ部37は、一旦空になったので、蓄積方法を先入れ先出しから一定時間蓄積に変更し、バッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを一定時間蓄積した後順に破棄する(ステップST20)。West addバッファ部29とEast addバッファ部30は、それぞれバッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを障害箇所を通らないリングに送信する(ステップST21)。障害解消の通知があるまで、ステップST17〜ステップST21の手順で障害箇所を回避したリングを使用してユニキャストデータパケットの送信が行われる。
【0069】
次に、図8において、送信元ノードでは、障害回復を認識した場合は、バッファ選択部36は、MACクライアント部26からユニキャストデータパケットを受け取ると、障害発生前に使用していた最短経路のリングを選択する(ステップST25)。そして、バッファ選択部36は、選択した最短経路のリングが障害回復前に使用していたリングと同じであるか否かを判断する(ステップST26)。このとき、バッファ選択部36は、蓄積バッファ部37に対して、選択した最短経路のリングが障害回復前に使用していたリングと同じであるか否かの情報を与えるようになっている。
【0070】
バッファ選択部36は、同じである場合(ステップST26:Yes)は、MACクライアント部26から受け取ったユニキャストデータパケットをその選択した最短経路のリングに対応した送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡す(ステップST27)。一方、バッファ選択部36は、同じでない場合(ステップST26:No)は、MACクライアント部26から受け取ったユニキャストデータパケットを蓄積バッファ部37に渡す(ステップST28)。
【0071】
蓄積バッファ部37は、障害回復前では、上記のように一定時間の蓄積動作を行っていたが、障害回復通知を受けてその蓄積方法を一定時間の蓄積動作から先入れ先出しのFIFO動作に変更し、バッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを順に取り出し、最短経路のリングではないリング対応した送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方)に渡す(ステップST29)。
【0072】
West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか一方の送信バッファ部は、バッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを最短経路のリングを含むリングに送信する。また、West addバッファ部29とEast addバッファ部30のいずれか方の送信バッファ部は、蓄積バッファ部37から受け取ったユニキャストデータパケットを最短経路のリングではないリングに送信する(ステップST30)。これによって、図1(b)に示したように、障害箇所を回避したリングを用いたユニキャストデータパケットの伝送が行われる。
【0073】
バッファ選択部36は、FIFO動作をしている蓄積バッファ部37の格納状態を監視し(ステップST31)、空になると(ステップST31:Yes)、MACクライアント部26からユニキャストデータパケットを受け取り、最短経路のリングを選択し(ステップST32)、全てのユニキャストデータパケットを蓄積バッファ部37に渡すとともに、選択したリングに対応する送信バッファ部(West addバッファ部29とEast addバッファ部30の双方)に渡す(ステップST33)。
【0074】
蓄積バッファ部37は、一旦空になったので、蓄積方法を先入れ先出しから一定時間蓄積に変更し、バッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを一定時間蓄積した後順に破棄する(ステップST34)。West addバッファ部29とEast addバッファ部30は、それぞれバッファ選択部36から受け取ったユニキャストデータパケットを最短経路のリングに送信する。以降、ステップST31〜ステップST35の手順で最短経路のリングを使用してユニキャストデータパケットの送信が行われる。
【0075】
したがって、障害発生の前後および障害解消の前後における送信元ノード内でのユニキャストデータパケットの流れは、図9に示すようになる。図9中に示すA〜Gは、図1に示すノードである。つまり、図9は、図1に示す送信元ノードAでの遷移状態を示している。
【0076】
図9において、▲1▼障害が発生していない場合は、実施の形態1(図5)と同じである。▲2▼ノードE,F間に障害が発生した場合は、バッファ選択部36は、宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングを選択する。すなわち、ノードAからノードGに至る左回りリング2とノードAからノードB,C,D,E,Fに至る右回りリング1とを選択する。そして、障害発生前に選択した最短経路のリングと同じであるか否かを比較する。ノードAからノードGに至る左回りリング2は同じである。また、ノードB,C,D,E,Fに至る右回りリング1のうち、ノードB,C,Dに至るリングは障害発生前に選択した最短経路のリングと同じであるが、ノードDから先のノードE,Fに至るリングは、異なっている。
【0077】
そこで、バッファ選択部36は、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードGであるときは、障害発生前と同様にWest addバッファ部29に渡し、またノードB,C,Dであるときも障害発生前と同様にEast addバッファ部30に渡す。一方、バッファ選択部27は、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードE,Fであるときは、迂回リングに送信させるため蓄積バッファ部37を介してEast addバッファ部30に渡す。
【0078】
ノードE,F間に障害が発生している状態で、▲3▼蓄積バッファ部37が一旦空になると、バッファ選択部36は、同じように障害箇所を通らないリングを選択する。すなわち、ノードAからノードGに至る左回りリング2とノードAからノードB,C,D,E,Fに至る右回りリング1とを選択する。そして、バッファ選択部36は、ユニキャストデータパケットをMACクライアント部26から受け取り、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードGであるときは、West addバッファ部29に渡し、ノードB,C,D、E,Fであるときは、East addバッファ部30に渡す。一方、蓄積バッファ部37に対しては、全てのノードB,C,D,E,F,G向けのユニキャストデータパケットを渡す。
【0079】
蓄積バッファ部37は、全てのノードB,C,D,E,F,G向けのユニキャストデータパケットを一定時間蓄積した後順に破棄し、West addバッファ部29とEast addバッファ部30には何も渡さない。これによって、障害発生により最短経路の左回りリング2が使用できなくなったノードE,F向けのユニキャストデータパケットは、継続して障害箇所5を迂回した右回りリング1から送信される。
【0080】
その後、▲4▼ノードE,F間に障害が解消すると、バッファ選択部36は、最短経路のリングを選択する。すなわち、ノードAからノードB,C,Dを至る右回りリング1とノードAからノードG、F,Eに至る左回りリング2とを選択する。そして、選択した最短経路のリングが障害回復前に使用したリングと同じであるか否かを比較する。
【0081】
バッファ選択部27は、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードGであるときは、障害回復前に使用した左回りリング2に送出させるべくWest addバッファ部29に渡し、またノードB,C,Dであるときも障害回復前に使用した右回りリング1に送出させるべくEast addバッファ部30に渡す。一方、ユニキャストデータパケットの宛先ノードがノードE,Fであるときは、選択した最短経路のリングが障害回復前に使用したリングと異なるので、蓄積バッファ部37を介してWest addバッファ部29に渡す。
【0082】
これによって、障害発生により最短経路の左回りリング2が使用できなくなったノードE,F向けのユニキャストデータパケットは、障害回復によって最短経路の左回りリング2の使用に切り替えられる。
【0083】
ノードE,F間の障害が解消し最短経路のリングが選択できた状態で、▲5▼蓄積バッファ部37が一旦空になると、バッファ選択部36は、同じく最短経路のリングを選択する。そして、バッファ選択部36は、ユニキャストデータパケットをMACクライアント部26から受け取り、ユニキャストデータパケットの宛先ノードが、ノードE,F,Gであるときは、West addバッファ部29に渡し、ノードB,C,Dであるときは、East addバッファ部30に渡す。
【0084】
一方、蓄積バッファ部37に対しては、全てのノードB,C,D,E,F,G向けのユニキャストデータパケットを渡す。蓄積バッファ部37は、全てのノードB,C,D,E,F,G向けのユニキャストデータパケットを一定時間蓄積した後順に破棄し、West addバッファ部29とEast addバッファ部30には何も渡さない。これによって、全てのユニキャストデータパケットは、継続して障害発生前と同様の最短経路のリングを使用して送信される。
【0085】
このように、▲1▼障害が発生していない場合にWest addバッファ部29を通して送信されたノードE,F宛ユニキャストデータパケットは、▲2▼ノードE,F間に障害が発生した場合に、障害発生から一定時間経過した後、East addバッファ部30を通して再び送信されるので、無瞬断伝送が実現される。さらに、▲3▼蓄積バッファ部37が一旦空になった後、East addバッファ部30を通して送信されたノードE,F宛ユニキャストデータパケットは、▲4▼ノードE,F間の障害が解消すると、障害解消から一定時間経過した後、Westaddバッファ部29を通して再び送信されるので、たとえ順序逆転到着があっても、無瞬断伝送が実現される。
【0086】
以上のように、この実施の形態2によれば、実施の形態1と同様な効果が得られるのに加え、障害解消時においても、信頼性を向上できる効果が得られる。
【0087】
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3である二重リングネットワークの構成および無瞬断伝送方式を説明する図である。なお、図10(a)は、正常時の伝送方法を説明する図であり、図10(b)は、障害発生時の伝送方法を説明する図である。
【0088】
図10に示す二重リングネットワークは、相反する方向性を持つ一次リング(右回りリング)1と二次リング(左回りリング)2とからなる二重リング3と、二重リング3を伝送媒体または回線として相互間が接続される複数のノード装置40−1(ノードA)〜40−5(ノードG)とで構成される。この二重リングネットワークでは、この実施の形態3では、任意のノード間で、右回りリング1または左回りリング2を介して、全ノードを宛先とする同報データパケットの送受信が行えるようになっている。なお、ここでは、ノード装置は、単に、ノードA〜ノードGと称する。
【0089】
次に、図10に示す二重リングネットワークにおいて実施される同報データパケットについての無瞬断伝送方式について説明する。図10において、各ノードは、制御パケットを両隣のノードに一定周期で送信し、隣接ノードの状態や隣接ノード間の伝送路の状態を監視している。そして、障害が発生した場合は、障害を検出したノードが制御パケットを用いて全ノードに障害発生と障害個所を通知するようになっている。
【0090】
今、送信ノードであるノードAから、全ノード向けの同報データパケットを送信する場合、送信元ノードAは、障害を認識していない場合は、図1(a)に示すように、終端ノードとして、自ノード(送信元ノードA)から最も離れた位置で隣り合う二つのノードD、Eを選択し、その選択した終端ノードを記した同報データパケットを両リングに送信する。
【0091】
また、送信元ノードAは、選択した最短経路のリングに障害が発生したことを認識している場合は、終端ノードとして、障害箇所を挟む二つのノードを選択し、その選択した終端ノードを記した同報データパケットを両リングに送信する。今の例では、図10(b)に示すように、ノードGとノードFとの間で伝送路断41の障害が発生したので、送信ノードAは、ノードGとノードFを終端ノードとして選択する。
【0092】
この場合、終端ノードの変更によって、経路ノード数が減るリングと増えるリングとが発生し、増えるリングに関しては、リング切り替えが発生するので、無瞬断伝送ができない。そこで、送信元ノードAは、障害発生前の正常時において全てのノード向けの同報データパケットを一定時間蓄積して廃棄することを繰り返す方法で蓄積しておき、障害発生を受けて障害箇所を通らないリングを選択する際に、経路ノード数が増えるリング向けでは、蓄積している同報データパケットを送信するようにしている。
【0093】
これによって、図1(b)に示すように、ノードGとノードFとの間で伝送路断41の障害が発生したので、送信ノードAは、ノードGとノードFを終端ノードとして選択し、その選択した終端ノード向けに送信する場合に、ノードE,Fに対しては蓄積している同報データパケットを送信する。これによって、図1(b)に示すように、ノードE,Fに対して同報データパケットを無瞬断で送信できるようになる。
【0094】
なお、いずれの場合も、送信元ノードは、シーケンスナンバーをインクリメントし、同報データデータパケットに記す。また、途中ノードでは、同報データパケットのシーケンスナンバーを検査し、シーケンスナンバーの順に取り込み、中継する。二重到着や順序逆転到着した同報データパケットを廃棄する。
【0095】
下、各ノード装置の構成および動作について具体的に説明する。図11は、図10に示す各ノード装置の構成を示すブロック図である。なお、図11では、図2に示した構成要素と同一ないしは同等である要素には、同一の符号が付されている。ここでは、実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
【0096】
図11に示すように、実施の形態3による二重リングネットワークにおける各ノード装置40は、図2に示した構成において、バッファ選択部27に代えてバッファ選択部41が設けられ、蓄積バッファ部28に代えて蓄積バッファ部42が設けられ、West addバッファ部29に代えてWest addバッファ部43が設けられ、East addバッファ部30に代えてEast addバッファ部44が設けられている。
【0097】
この実施の形態3では、データパケットの種類として、上記のように同報データパケットを対象とするので、バッファ選択部41、蓄積バッファ部42、West addバッファ部43およびEast addバッファ部44は、実施の形態1(図2)にて説明した機能に若干の変更・追加がなされている。
【0098】
次に、図10〜図14を参照して、同報データパケットについて無瞬断伝送を実施する送信元ノードの動作について説明する。なお、図12は、図9に示す二重リングネットワークにおいて同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識していない場合)。図13は、図9に示す二重リングネットワークにおいて同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。図14は、図9に示す送信側ノード装置が同報データパケットに記す終端ノードを説明する図である。
【0099】
図12において、送信元ノードでは、障害発生を認識していない場合は、バッファ選択部41は、MACクライアント部26から同報データパケットを受け取ると、その全てを送信バッファ部(West addバッファ部43とEastaddバッファ部44の双方)と蓄積バッファ部42に渡す(ステップST41)。
【0100】
蓄積バッファ部42は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットを一定時間蓄積した後、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)に渡す(ステップST42)。
【0101】
送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、送信元ノードである自ノードから最も離れた位置で隣り合う二つノードを終端ノードして選択し、その終端ノードをバッファ選択部41から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。一方、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、蓄積バッファ部42から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST43)。これによって、図10(a)に示したように、最短経路のリングを用いた同報データパケットの伝送が行われる。
【0102】
次に、図13において、送信元ノードでは、障害発生を認識した場合は、バッファ選択部41は、MACクライアント部26から同報データパケットを受け取ると、その全てを送信バッファ部(West addバッファ部43とEastaddバッファ部44の双方)と蓄積バッファ部42に渡す(ステップST45)。
【0103】
蓄積バッファ部42は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットを一定時間蓄積した後、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)に渡す(ステップST46)。
【0104】
送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、障害箇所を挟む二つノードを終端ノードして選択し(ステップST47)、その終端ノードまでの経由ノード数が障害発生前よりも減ったか否かを判断する(ステップST48)。
【0105】
そして、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、終端ノードまでの経由ノード数が障害発生前よりも減った場合は(ステップST48:Yes)、その終端ノードをバッファ選択部41から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。蓄積バッファ部42から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST49)。
【0106】
一方、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、終端ノードまでの経由ノード数が障害発生前よりも増えた場合は(ステップST48:No)、その終端ノードを蓄積バッファ部42から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。バッファ選択部41から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST50)。これによって、図10(b)に示したように、障害箇所を回避したリングを用いた同報データパケットの伝送が行われる。
【0107】
ここで、障害発生前後において同報データパケットに記す終端ノードの変化は図14に示すようになる。図14中に示すA〜Gは、図10に示すノードである。つまり、図14は、図10に示す送信元ノードAでの遷移状態を示している。
【0108】
図14において、▲1▼障害が発生していない場合は、West addバッファ部43は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードEを記す。また、East addバッファ部44は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードDを記す。蓄積バッファ部42は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに対し終端ノードを記すことはしない。
【0109】
そして、▲2▼ノードE,F間に障害が発生すると、West addバッファ部43は、経由ノード数が減ったので、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードGを記し、蓄積バッファ部42から受け取った同報データパケットを廃棄する。一方、East addバッファ部44は、経由ノード数が増えたので、蓄積バッファ部42から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードFを記し、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットを廃棄する。
【0110】
このように、▲1▼障害が発生していない場合にWest addバッファ部43を通して送信された同報データパケットは、▲2▼ノードE,F間に障害が発生すると、障害発生から一定時間経過した後、West addバッファ部43を通して再び送信されるので、無瞬断伝送が実現される。
【0111】
以上のように、この実施の形態3によれば、パケット交換技術を用いた二重リングネットワークにおいて、パケット交換技術の利点である同報伝送について回線交換技術と同等の無瞬断伝送が実現でき、二重リングネットワークの性能と信頼性を同時に向上させることができる。また、これらの処理は、単純であり、ハードウェア処理にて容易に実現できるので、ノードを安価に製造することができる。
【0112】
実施の形態4.
図15は、この発明の実施の形態4である二重リングネットワークにおける各ノード装置の構成を示すブロック図である。なお、図15では、図11に示した構成と同一ないしは同等である構成要素には、同一の符号が付されている。ここでは、この実施の形態4に関わる部分を中心に説明する。
【0113】
図15に示すように、実施の形態4による二重リングネットワークにおける各ノード装置45は、図11に示した構成において、蓄積バッファ部42に代えて蓄積バッファ部46が設けられている。
【0114】
実施の形態4では、同報データパケットを伝送する図10に示した二重リングネットワークにおいて、障害が発生すると、実施の形態3にて説明した手順で障害回避措置を採るが、さらに障害が解消すると、終端ノードをその時点で障害発生前に使用していた終端ノードに戻す動作が行われる。そのため、蓄積バッファ部46は、若干の機能変更・追加がなされている。
【0115】
次に、図10、図15〜図18を参照して、同報データパケットについて無瞬断伝送を実施する送信元ノードの動作について説明する。なお、図16は、実施の形態4において同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。図17は、実施の形態4において同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害回復を認識した場合)。図18は、実施の形態4において送信側ノード装置が同報データパケットに記す終端ノードを説明する図である。
【0116】
図16において、送信元ノードでは、障害発生を認識した場合は、バッファ選択部41は、MACクライアント部26から同報データパケットを受け取ると、その全てを送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)と蓄積バッファ部46に渡す(ステップST55)。
【0117】
蓄積バッファ部46は、障害発生前では、実施の形態3にて説明したように一定時間の蓄積動作をしていたが、障害発生通知を受けてその蓄積方法を先入れ先出しのFIFO動作に変更し、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットを順に取り出し、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)に渡す(ステップST56)。
【0118】
送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、障害箇所を挟む二つのノードを終端ノードして選択し(ステップST57)、その終端ノードまでの経由ノード数が障害発生前よりも減ったか否かを判断する(ステップST58)。
【0119】
そして、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、終端ノードまでの経由ノード数が障害発生前よりも減った場合は(ステップST58:Yes)、その終端ノードをバッファ選択部41から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST59)。
【0120】
一方、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、終端ノードまでの経由ノード数が障害発生前よりも増えた場合は(ステップST58:No)、その終端ノードを蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。バッファ選択部41から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST60)。これによって、図10(b)に示したように、障害箇所を回避したリングを用いた同報データパケットの伝送が行われる。
【0121】
バッファ選択部41は、FIFO動作をしている蓄積バッファ部46の格納状態を監視し(ステップST61)、空になると(ステップST61:Yes)、MACクライアント部26から同報データパケットを受け取り、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)と蓄積バッファ部46に渡す(ステップST62)。
【0122】
このとき、蓄積バッファ部46は、空になると(ステップST61:Yes)、蓄積方法を先入れ先出しから一定時間蓄積に変更し、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットを一定時間蓄積した後、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)に渡す(ステップST63)。
【0123】
送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、障害箇所を挟む二つノードを終端ノードして選択し、その終端ノードをバッファ選択部41から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST64)。これによって、図10(b)に示したように、障害箇所を回避したリングを用いた同報データパケットの伝送が引き続いて行われる。
【0124】
次に、図17において、送信元ノードでは、障害回復を認識した場合は、バッファ選択部41は、MACクライアント部26から同報データパケットを受け取ると、その全てを送信バッファ部(West addバッファ部43とEastaddバッファ部44の双方)と蓄積バッファ部46に渡す(ステップST65)。
【0125】
蓄積バッファ部46は、障害回復前では、上記のように一定時間の蓄積動作をしていたが、障害回復通知を受けてその蓄積方法を先入れ先出しのFIFO動作に変更し、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットを順に取り出し、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)に渡す(ステップST66)。
【0126】
送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、送信元ノードである自ノードから最も離れた位置で隣り合う二つノードを終端ノードして選択し(ステップST67)、その終端ノードまでの経由ノード数が障害回復前よりも減ったか否かを判断する(ステップST68)。
【0127】
そして、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、終端ノードまでの経由ノード数が障害回復前よりも減った場合は(ステップST68:Yes)、その終端ノードをバッファ選択部41から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST69)。
【0128】
一方、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、終端ノードまでの経由ノード数が障害回復前よりも増えた場合は(ステップST68:No)、その終端ノードを蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。バッファ選択部41から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST70)。これによって、図10(a)に示したように、送信ノードから最も離れた位置で隣り合う二つのノードを終端ノードとした両リングを用いた同報データパケットの伝送が行われる。
【0129】
バッファ選択部41は、FIFO動作をしている蓄積バッファ部46の格納状態を監視し(ステップST71)、空になると(ステップST71:Yes)、MACクライアント部26から同報データパケットを受け取り、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)と蓄積バッファ部46に渡す(ステップST72)。
【0130】
このとき、蓄積バッファ部46は、空になると(ステップST71:Yes)、蓄積方法を先入れ先出しから一定時間蓄積に変更し、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットを一定時間蓄積した後、送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)に渡す(ステップST73)。
【0131】
送信バッファ部(West addバッファ部43とEast addバッファ部44の双方)は、送信元ノードである自ノードから最も離れた位置で隣り合う二つノードを終端ノードして選択し、その終端ノードをバッファ選択部41から受け取った同報データパケットに記して対応するリングに送信する。蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットは、破棄する(ステップST74)。これによって、図10(a)に示したように、送信ノードから最も離れた位置で隣り合う二つのノードを終端ノードとした両リングを用いた同報データパケットの伝送が維持される。
【0132】
ここで、障害発生前後および障害回復前後において同報データパケットに記す終端ノードの変化は図18に示すようになる。図18中に示すA〜Gは、図10に示すノードである。つまり、図18は、図10に示す送信元ノードAでの遷移状態を示している。
【0133】
図18において、▲1▼障害が発生していない場合と、▲2▼ノードE,F間に障害が発生した場合とは、実施の形態3(図14)と同様である。ノードE,F間に障害が発生している状態で、▲3▼蓄積バッファ部46が一旦空になると、West addバッファ部43は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードGを記し、East addバッファ部44は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードFを記し、共に蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットを廃棄する。
【0134】
その後、▲4▼ノードE,F間の障害が解消すると、West addバッファ部43は、経由ノード数が増えたので、蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードEを記す。一方、East addバッファ部44は、経由ノード数が減ったので、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードDを記す。
【0135】
そして、ノードE,F間の障害が解消し送信ノードから最も離れた位置で隣り合う二つのノードを終端ノードとすることが選択できた状態で、▲5▼蓄積バッファ部46が一旦空になると、West addバッファ部43は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードEを記し、East addバッファ部44は、バッファ選択部41から受け取った同報データパケットに終端ノードとしてノードDを記し、共に蓄積バッファ部46から受け取った同報データパケットを廃棄する。
【0136】
このように、▲1▼障害が発生していない場合にWest addバッファ部44を通して送信された同報データパケットは、▲2▼ノードE,F間に障害が発生した場合に、障害発生から一定時間経過した後、East addバッファ部44を通して再び送信されるので、無瞬断伝送が実現される。さらに、▲3▼蓄積バッファ部46が一旦空になった後、East addバッファ部44を通して送信された同報データパケットは、▲4▼ノードE,F間の障害が解消すると、障害解消から一定時間経過した後、West addバッファ部43を通して再び送信されるので、たとえ順序逆転到着があっても、無瞬断伝送が実現される。
【0137】
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態3と同様な効果が得られるのに加えて、障害解消時においても、信頼性を向上できる効果が得られる。
【0138】
なお、実施の形態3,4では、同報データパケットの伝送のみを扱う場合を示したが、一つのノード装置が、この実施の形態3または実施の形態4による無瞬断伝送方式と実施の形態1または実施の形態2によるユニキャストデータパケットについての無瞬断伝送方式とを同時に実施するように構成することができる。
【0139】
また、実施の形態1〜4にて説明した二重リングネットワークの無瞬断伝送方式は、非特許文献1に示されたWrap方式の障害迂回からSteer方式の障害迂回に動的に切り替える場合にも適用できることは言うまでもない。
【0140】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ユニキャストデータパケットを送信する場合は、障害発生前の正常時において全てのノード向けのユニキャストデータパケットを蓄積しておき、障害を認識して障害箇所を通らないリングを選択する際に、宛先ノードが最短経路のリングと異なる場合に、蓄積しているユニキャストデータパケットを障害箇所を通らないリングに送信する。また、同報データパケットを送信する場合は、障害発生前の正常時において全ての同報データパケットを蓄積しておき、障害を認識して終端ノードを変更して送信するとき、経由ノード数が増えた終端ノードに対しては一定時間蓄積した後の同報データパケットを送信する。したがって、パケットの伝送効率に影響を与えることなく回線交換技術と同等の無瞬断伝送が行える二重リングネットワークを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である二重リングネットワークの構成および無瞬断伝送方式を説明する図である。
【図2】 図1に示す各ノード装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 図1に示す二重リングネットワークにおいてユニキャストデータパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識していない場合)。
【図4】 図1に示す二重リングネットワークにおいてユニキャストデータパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。
【図5】 図1に示す送信側ノード装置でのユニキャストデータパケットの流れを説明する図である。
【図6】 この発明の実施の形態2である二重リングネットワークにおける各ノード装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 実施の形態2においてユニキャストデータパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。
【図8】 実施の形態2においてユニキャストデータパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害回復を認識した場合)。
【図9】 実施の形態2において送信側ノード装置でのユニキャストデータパケットの流れを説明する図である。
【図10】 この発明の実施の形態3である二重リングネットワークの構成および無瞬断伝送方式を説明する図である。
【図11】 図9に示す各ノード装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 図9に示す二重リングネットワークにおいて同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識していない場合)。
【図13】 図9に示す二重リングネットワークにおいて同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。
【図14】 図9に示す送信側ノード装置が同報データパケットに記す終端ノードを説明する図である。
【図15】 この発明の実施の形態4である二重リングネットワークにおける各ノード装置の構成を示すブロック図である。
【図16】 実施の形態4において同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害発生を認識した場合)。
【図17】 実施の形態4において同報データパケットを伝送する場合の動作手順を説明するフローチャートである(障害回復を認識した場合)。
【図18】 実施の形態4において送信側ノード装置が同報データパケットに記す終端ノードを説明する図である。
【図19】 パケット交換技術を用いた従来の二重リングネットワークでの伝送方法を説明する図である。
【図20】 図17に示す各ノード装置の構成を示すブロック図である。
【図21】 回線交換技術を用いた従来の二重リングネットワークでの無瞬断伝送方式を説明する図である。
【符号の説明】
1 一次リング(右回りリング)、2 二次リング(左回りリング)、3 二重リング、4,4−1〜4−7,35,40,40−1〜40−7,45 ノード装置、10,14,20,24 回線インタフェース部(回線I/F部)、11, 分岐処理部、12,23 中継バッファ部、13,23 挿入処理部、25 受信バッファ部(dropバッファ部)、26 MACクライアント部、27,36,41 バッファ選択部、28,37,42,46 蓄積バッファ部、29,43 左回り送信バッファ部(West addバッファ部)、30,44 右回り送信バッファ部(East addバッファ部)。

Claims (11)

  1. 相反する伝送方向性を持つ一次リングと二次リングの二重リングを介して複数のノード装置が接続され、各ノード装置が、障害の有無を相互に通知し合い、ユニキャストデータパケットを送信するときは、障害を認識していない場合は一次リングと二次リングのうち宛先ノードに向けて最短経路のリングを選択し、障害を認識した場合は一次リングと二次リングのうち宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングを選択する二重リングネットワークにおいて、
    ユニキャストデータパケットを送信するノード装置は、
    障害を認識していない場合は、宛先ノードに向けて最短経路のリングを選択して送信するのと並行に、全てのユニキャストデータパケットを一定時間蓄積した後廃棄する動作を行い、
    障害を認識した場合は、その障害を認識した時点で前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替えて障害発生前のリングを変更した宛先ノードに対して送信し、蓄積したユニキャストデータパケットがなくなり次第、前記蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積した後破棄する動作に戻し、各宛先ノードに対して前記障害箇所を通らないリングを選択して送信する手段、
    を備えたことを特徴とする二重リングネットワークの無瞬断伝送方式。
  2. 前記ユニキャストデータパケットを送信するノード装置は、
    障害の回復を認識した場合に、再度最短経路のリングを選択するとともに、その障害の回復を認識した時点で前記蓄積動作を前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替えて障害回復前のリングを変更する宛先ノードに対して送信し、蓄積したユニキャストデータパケットがなくなり次第、前記蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積した後破棄する動作に戻し、各宛先ノードに対して再度選択した最短経路のリングを用いて送信することを特徴とする請求項に記載の二重リングネットワークの無瞬断伝送方式。
  3. 相反する伝送方向性を持つ一次リングと二次リングの二重リングを介して複数のノード装置が接続され、各ノード装置が、障害の有無を相互に通知し合い、同報データパケットを送信するときは、障害を認識していない場合では、自送信ノード装置から最も離れた位置で隣り合う二つのノード装置を終端ノードとして選択し、障害を認識した場合では、障害箇所を挟む二つのノード装置を終端ノードとして選択し、それぞれ、各終端ノードに向けて両リングに送信する二重リングネットワークにおいて、
    同報データパケットを送信するノード装置は、
    障害を認識していない場合は、自送信ノード装置から最も離れた位置で隣り合う二つのノード装置を終端ノードとして選択して送信するのと並行に、同報データパケットを一定時間蓄積した後廃棄する動作を行い、
    障害を認識した場合は、終端ノードを障害箇所を挟む二つのノード装置に変更して対応するリングに送信する際に、経由ノード数が減った終端ノードに対してはそのまま引き続いて送信する一方、経由ノード数が増えた終端ノードに対しては前記一定時間蓄積した後の同報データパケットを送信する手段、
    を備えたことを特徴とする二重リングネットワークの無瞬断伝送方式。
  4. 前記同報データパケットを送信するノード装置は、
    障害を認識した場合に、終端ノードを変更した時点で前記蓄積動作を前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替え、経由ノード数が増えた終端ノードに対して送信し、蓄積した同報データパケットがなくなり次第、前記蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積の後に破棄する動作に戻し、変更した両終端ノードに対し対応するリングを用いて送信することを特徴とする請求項に記載の二重リングネットワークの無瞬断伝送方式。
  5. 前記同報データパケットを送信するノード装置は、
    障害の回復を認識した場合に、終端ノードを障害発生前の状態に戻し、経由ノード数が減った終端ノードに対してはそのまま引き続いて送信するとともに、終端ノードを変更した時点で前記蓄積動作を前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替えて経由ノード数が増えた終端ノードに対して送信し、蓄積した同報データパケットがなくなり次第、前記蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積の後に破棄する動作に戻し、終端ノードに対し対応するリングを用いて送信することを特徴とする請求項に記載の二重リングネットワークの無瞬断伝送方式。
  6. 前記同報データパケットを送信するノード装置は、同報データパケット毎にシーケンスナンバーを記して送信し、
    同報データパケットを受信するノード装置は、同報データパケットをシーケンスナンバーの順に取り込む、
    ことを特徴とする請求項のいずれか一つに記載の二重リングネットワークの無瞬断伝送方式。
  7. 相反する伝送方向性を持つ一次リングと二次リングの二重リングを介して接続される複数のノード装置であって、各ノード装置が、障害の有無を相互に通知し合い、ユニキャストデータパケットを送信するときは、障害を認識していない場合は一次リングと二次リングのうち宛先ノードに向けて最短経路のリングを選択し、障害を認識した場合は一次リングと二次リングのうち宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングを選択する場合において、
    各ノード装置は、
    ユニキャストデータパケットを前記一次リングに直接送信するための第1経路と、
    ユニキャストデータパケットを前記二次リングに直接送信するための第2経路と、
    ユニキャストデータパケットを一定時間蓄積し、障害を認識していない場合は破棄し、障害を認識した場合は前記一次リングと二次リングのうち指示されたリングに送信するための第3経路と、
    ユニキャストデータパケットにシーケンスナンバーを記し、障害を認識していない場合は、前記第1経路と前記第2経路とにおける最短経路のリングに向けて送信させ、障害を認識した場合は、その障害を認識した時点で前記第3経路での蓄積動作を前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替え、宛先ノードに向けて障害箇所を通らないリングのうち、障害発生前のリングを変更しない宛先ノードに対しては前記第1経路と前記第2経いずれか方に送信させ、障害発生前のリングを変更した宛先ノードに対しては前記第3経路に送信させ、蓄積したユニキャストデータパケットがなくなり次第、前記第3経路の蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積の蓄積動作に戻し、一定時間の蓄積後に破棄させ、宛先ノードに対しては前記第1経路と前記第2経路に送信させ、宛先ノードであるとき、ユニキャストデータパケットをシーケンスナンバーの順に取り込む制御手段と、
    を備えたことを特徴とするノード装置。
  8. 前記制御手段は、
    障害の回復を認識した場合に、最短経路のリングが障害回復前のリングを変更しない宛先ノードに対しては前記第1経路と前記第2経路に送信させるとともに、障害の回復を認識した時点で前記第3経路での蓄積動作を前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替え、最短経路のリングが障害回復前のリングを変更する宛先ノードに対して前記第3経路に送信させ、蓄積したユニキャストデータパケットがなくなり次第、前記第3経路の蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積の蓄積動作に戻し、一定時間の蓄積後に破棄させ、宛先ノードに対しては前記第1経路と前記第2経路に送信させることを特徴とする請求項に記載のノード装置。
  9. 相反する伝送方向性を持つ一次リングと二次リングの二重リングを介して接続される複数のノード装置であって、各ノード装置が、障害の有無を相互に通知し合い、同報データパケットを送信するときは、障害を認識していない場合では、自送信ノード装置から最も離れた位置で隣り合う二つのノード装置を終端ノードとして選択し、障害を認識した場合では、障害箇所を挟む二つのノード装置を終端ノードとして選択し、それぞれ、各終端ノードに向けて両リングに送信する場合において、
    各ノード装置は、
    同報データパケットを前記一次リングに直接送信するための第1経路と、
    同報データパケットを前記二次リングに直接送信するための第2経路と、
    同報データパケットを一定時間蓄積し、障害を認識していない場合は破棄し、障害を認識した場合に前記一次リングと二次リングのうち指示されたリングに送信するための第3経路と、
    同報データパケットにシーケンスナンバーを記し、障害を認識していない場合は、前記第1経路と前記第2経路とに送信させ、障害を認識した場合は、経由ノード数が減った終端ノードに対しては前記第1経路と前記第2経路のいずれか方に送信させ、経由ノード数が増えた終端ノードに対しては前記第3経路に送信させ、受信ノードであるとき、同報データパケットをシーケンスナンバーの順に取り込む制御手段と、
    を備えたことを特徴とするノード装置。
  10. 前記制御手段は、
    障害を認識した場合に、終端ノードを変更した時点で前記第3経路での蓄積動作を前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替え、経由ノード数が増えた終端ノードに対して前記第3経路に送信させ、蓄積した同報データパケットがなくなり次第、前記第3経路の蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間の蓄積動作に戻し、一定時間の蓄積後に破棄させ、終端ノードに対しては前記第1経路と前記第2経路に送信させることを特徴とする請求項に記載のノード装置。
  11. 前記制御手段は、
    障害の回復を認識した場合に、経由ノード数が減った終端ノードに対して前記第1経路と前記第2経路の一方または双方に送信させるとともに、終端ノードを変更した時点で前記第3経路での蓄積動作を前記一定時間蓄積の蓄積動作から先入れ先出しの蓄積動作に切り替え、経由ノード数が増えた終端ノードに対して前記第3経路に送信させ、蓄積した同報データパケットがなくなり次第、前記第3経路の蓄積動作を先入れ先出しの蓄積動作から一定時間蓄積の蓄積動作に戻し、一定時間の蓄積後に破棄させ、終端ノードに対しては前記第1経路と前記第2経路に送信させることを特徴とする請求項10に記載のノード装置。
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