JP4207347B2 - ガス分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種以上のガス混合物から、ガス分離膜を用いて透過性の高いガスを分離する方法に関するものである。詳しくは、透過性の大きな第1のガスと透過性の小さい第2のガスとを含み高温に加熱されたガス混合物を、交叉配列に集束され膜充填率が30%以上のガス分離膜中空糸束を収納したガス分離膜モジュールの中空糸内へ5.0kg/cm2G(以下ゲージ圧)以下の供給圧力で供給し、キャリアーガスを中空糸束の略中心部へ供給し、中空糸の外部(透過側)を混合物と向流になるように流通させ、かつ、透過側を減圧状態として、ガス混合物から透過性の高いガスを選択的に分離するガス分離方法に関する。
【0002】
また、本発明は、水蒸気と有機物蒸気とを含む高温に加熱されたガス混合物を、交叉配列に集束され膜充填率が30%以上のガス分離膜中空糸束を収納したガス分離膜モジュールの中空糸内へ5.0kg/cm2G以下の供給圧力で供給し、キャリアーガスを中空糸束の略中心部へ供給し、中空糸の外部(透過側)を混合物と向流になるように流通させ、かつ、透過側を減圧状態として、水蒸気と有機物蒸気とを含むガス混合物から水蒸気を選択的に分離して水蒸気含有量が減少した有機物蒸気を得ることからなる水−有機物溶液の脱水方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
ガス混合物から特定のガス成分をガス分離膜によって選択的に透過・分離させるガス分離方法は効率がよく経済的な方法として多くの用途で用いられている。これらの多くの場合は、ガス混合物を高圧の状態で供給することによって高効率のガス分離を達成している。ガス分離膜を透過する透過成分ガスの透過量はガス分離膜の両側の透過成分ガスの分圧差に比例するので、ガス混合物をより高圧で供給することによって、容易にガス分離を効率化できる。このため、例えば水素分離の場合には100kg/cm2G程度の高圧で供給したり、空気から窒素ガスと酸素ガスを分離する場合には10kg/cm2G以上の高圧で供給することによって高効率のガス分離が達成されている。
【0004】
しかしながら、常温大気圧下において液状である溶液を加熱気化したガス混合物から特定成分をガス分離膜によって透過・分離するような場合に、ガス混合物を高圧で供給することによってガス分離効率を高めようとすると、(高圧のガス混合物の沸点は上昇するので)ガス混合物の温度は大気圧下のときに比べてより高温にする必要があり、ガス分離膜およびガス分離膜モジュールの耐熱性を越える温度になって実用的でなくなったり、あるいは、ガス混合物が高圧でより高温であるためにガス分離膜およびガス分離膜モジュールの耐久性に悪影響を与えて実用的に問題を生じる。また、前記のような高圧でより高温のガス混合物を得るためにはより多量のエネルギーを消費するので経済的にも問題が生じる。
【0005】
このような状況から、従来、有機物水溶液などの脱水方法として、特開昭63−267415号公報に記載されているように、有機物を含む水溶液を気化させて有機物蒸気と水蒸気とを含むガス混合物を生成させ、次いでこのガス混合物を70℃以上の温度にて芳香族ポリイミド製ガス分離膜の一方の側に接触させた状態で水蒸気を選択的に透過分離し、これにより水蒸気含有量が減少した有機物蒸気含有ガス混合物を得ることからなる有機物水溶液の脱水濃縮方法が提案されており、その場合に、分離膜の透過側を高いレベルの減圧状態に保持してガス混合物から水蒸気を選択的に透過・分離する方法が実施例などとして記載されており、そして、透過側を減圧状態に保持する代りに、乾燥状態のガスを透過側の膜表面に沿ってキャリアーガスとして流通させることのみにより、水蒸気を選択的に透過・分離する方法が実施例などとして記載されている。
【0006】
また、特許第2743346号公報には、水および有機物を含む溶液を気化させて水蒸気と有機物蒸気とを含む混合ガスを生成させ、次いで
a)水蒸気透過速度(P’H2O)が1×10-5cm3/cm2・sec・cmHg以上であり、
b)水蒸気透過速度(P’H2O)と有機物蒸気透過速度(P’org)との透過速度比(P’H2O/P’org)が100以上である芳香族ポリイミド製分離膜を内臓する分離膜モジュールへ、前記のガス混合物を70℃以上の温度で供給して、更に、前記分離膜モジュールにおいて、前記ガス混合物を前記分離膜の供給側と接触させ、一方、前記分離膜の透過側を50〜500mmHgの減圧状態とすると共に、不活性な乾燥ガス又は分離膜モジュールから排出される未透過蒸気の一部をキャリアーガスとして流通させながら、前記分離膜の供給側から透過側へ水蒸気を選択的に透過させて前記ガス混合物から水蒸気を分離し、これにより水蒸気含有率が減少した有機物蒸気を得ることを特徴とする水−有機物溶液の脱水方法が開示されている。また、実施例などとして、水および有機物を含む溶液を蒸発器で気化させたガス混合物をヒーターでスーパーヒートしたあと分離膜モジュールへ供給する方法が開示されている。
【0007】
前記の方法によって、水−有機物溶液の効率的な脱水が可能になったが、その効率をさらに高めたより高効率の水−有機物蒸気の脱水方法が求められている。さらに、水−有機物蒸気に限らず、ガス混合物からより高効率で膜透過性の高いガスを分離する方法が求められている。特に、ガス混合物の供給圧力が比較的低圧力(従って、供給温度が比較的低温度)でありながら、高効率のガス分離ができ、ガス分離膜およびガス分離膜モジュールの耐久性において悪影響の少ないガス分離方法が求められており、高沸点の有機化合物を含むガス混合物であっても、ガス分離膜およびガス分離膜モジュールの耐久性において悪影響の少ない高効率かつ経済的なガス分離方法が求められている。
【0008】
一方、分離膜モジュールの構造に関しては、特公平60−13722号公報に、流体に対して選択透過性を有する中空糸を芯管上に芯管の周方向に一周することなしに一方の端部から他方の端部に達するように配置し、端部に達した中空糸は端部で折り返して順次配置し、前記芯管上に交叉積層した中空糸層を形成せしめた分離膜装置が開示されている。しかしながら、前記公報で開示されている装置は、処理流体が中空糸の外部へ供給されるものであり、前記流体が中空糸の外部の空間を均一に流通するようにしたものであり、主に塩水から塩分を除くような液体の処理に用いられるものであり、中空糸の内部へガス混合物が供給される場合については全く言及されていない。
【0009】
また、特公平6−91932号公報に、原料ガス導入口、透過ガス排出口および未透過ガス排出口を有する筒状容器内に、種々のガス混合物に対して特定のガス成分(例えば水素ガス成分など)を選択的に透過させることができる性能を有する中空糸の糸束から形成されている特殊な糸束組立体が、適当な配置で内臓されており、その外周部をフィルム状物質で被覆されているガス分離膜モジュールが開示されている。しかしながら、前記公報のモジュールは、水素などの回収などに適用されるもので、分離膜の透過側は透過ガスを排出するだけの構造になっており、前記の水蒸気と有機物蒸気とを含むガス混合物から水蒸気を分離する場合のように、分離膜の透過側を減圧状態とする共にキャリアーガスを流すような場合には適用できない。
【0010】
更に、特公平7−79954号公報には、原料ガス導入口、透過ガス排出口および非透過ガス排出口を有する筒状容器内に、多数のガス分離性能を有する中空糸束を有するガス分離膜モジュールにおいて、中空糸束の略中央部に、連通孔が形成された非透過ガス排出口に通じる芯管を有し、中空糸束内に前記中空糸に沿って筒状の仕切り板が配置されている構造が開示されている。この発明の目的は、中空糸状分離膜の長さを維持したまま、ガスの流路を大きくし、原料ガスの供給線速度を大きくすることである。しかしながら、中空糸束の外部とモジュール容器との間に空間があるため、ガスがその空間をショートパスし、中空糸の間を有効に通過し難いという面や、中空糸内部のガスの流れ方向と外部の流れ方向が同一方向になる部分が存在するため、向流の場合に比べてガス分離効率を上げられないとうい面がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガス混合物を高圧状態で、従って、大気圧下に比べてより高温度のガスとして供給することは、より多量のエネルギーを消費して経済的でないという問題、また、ガス分離膜およびガス分離膜モジュールの耐久性に悪影響を与えて実用的に好ましくないという問題などを克服して、ガス混合物を比較的低圧状態、従って、高圧状態で供給する場合に比べて比較的低温度で供給しても、高効率でガス分離が可能であり、ガス分離膜およびガス分離膜モジュールの耐久性に悪影響が少ない高効率かつ経済的なガス分離方法を提供することを目的とする。特に、水および有機物を含む溶液を気化させて生成した水蒸気と有機物蒸気とを含むガス混合物から水蒸気を選択的に分離して水蒸気含有量が減少した有機物蒸気を得ることからなる、経済的でガス分離膜モジュールの耐久性に悪影響を与えることが少ない水−有機物溶液の脱水方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記のような状況に鑑みてなされたものであり、本発明者らは、ガス分離膜モジュールにおいて中空糸束全体をより有効に分離に活用する方法やガス分離条件について種々検討した結果、本発明を創生するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、ガス分離膜に対する透過速度比が50以上である透過性の大きな第1のガスと透過性の小さい第2のガスとを含み高温に加熱されたガス混合物を、次の(1)、(2)の特徴を有する中空糸束を筒状容器に収納した供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールの中空糸の内部へ5.0kg/cm2G(ゲージ圧)以下の供給圧力で供給し、
(1)中空糸束全体としては、モジュールの軸と略同一方向の軸を持つように集束されており、前記中空糸束を構成する中空糸は、各1〜100本毎に中空糸束の軸(モジュールの軸)方向に対して5〜30度の角度をもって交互に交叉配列するように集束されている
(2)中空糸束の膜充填率が30%以上である
更に、中空糸束の略中心部へキャリアーガスを導入して中空糸の外部(透過側)に沿って流通させながらかつ中空糸の外部(透過側)を1〜500mmHgの減圧状態として、前記ガス混合物から少なくとも第1のガスを選択的に膜を透過させ、これにより第1のガスが減少した第2のガスを得ることを特徴とするガス分離方法に関する。
【0014】
また、供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールの中空糸束の外周部が、フィルム状物質で被覆されていることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0015】
また、供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールの中空糸束の略中心部に、キャリアーガスを導入するための連通孔を有する芯管を配置していることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0016】
また、加熱装置付蒸発装置によって処理された高温に加熱されたガス混合物が、保温されたまま供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールに供給されることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0017】
また、デミスター(ミストセパレーター)によって処理された高温に加熱されたガス混合物が、保温されたまま供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールに供給されることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0018】
また、第1のガスが水蒸気であり、第2のガスが大気圧における沸点が30〜200℃の有機物の蒸気であり、供給するガス混合物の温度が70℃以上であることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0019】
また、前記有機物の蒸気がアセトン、メチルエチルケトン、エタノール、ブタノール、プロパノールの群から選ばれた少なくとも1種の有機物の蒸気であることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0020】
また、第1のガスを分離した未透過ガスの一部を、キャリアーガスの供給口へ循環しキャリアーガスとして使用することを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0021】
さらに、キャリアーガスが窒素ガスであることを特徴とする前記のガス分離方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のガス分離方法について詳しく説明する。
本発明のガス分離方法において使用されるガス分離膜モジュールは、供給されたガス混合物が中空糸の内部を膜に接触しながら流通し、同時にキャリアーガスが中空糸の外部に沿って流れる供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールであり、次の(1)、(2)の特徴を有する中空糸束を円筒容器に収納したものである。
(1)中空糸束は、束としてはモジュールの軸方向と略同一方向に集束されているが、各1〜100本の中空糸毎に中空糸束の軸(モジュールの軸)方向に対して5〜30度の角度をもって交互に交叉配列するように集束されている
(2)中空糸束の膜充填率が30%以上である
【0023】
図1に前記の中空糸を交互に交叉配列するように集束する方法の概略の模式図を示す。1〜100本の中空糸(図1では1本線で示す)1は、芯になる管状物(芯管)2の軸方向に一定の速度で往復する配糸ガイド3によって芯管2に配糸されるが、同時に芯管2が一定の速度で回転する。このため、中空糸1は軸に平行に配糸されないで、軸方向に対して芯管が回転しただけ角度を持って配糸される。配糸が一方の端部までくると、そこで中空糸1は固定され、配糸ガイド3は逆方向へ引き返して更に配糸をおこなう。芯管2は同方向へ回転し続けるので、こんどは軸方向に対して前回とは角度が同じで丁度反対の方向となる角度をもって配糸される。これを繰り返していくと、配糸される中空糸1は反対の角度で配糸されている中空糸1の上に交互に交叉して配列されて中空糸束に集束される。
【0024】
このように集束された中空糸束は、芯管を取り外すか或いは芯管2をそのまま束の略中心部に有したまま、束の両端部をエポキシ樹脂などの硬化性樹脂で固着すると同時に中空糸の両端部の折り返し部分を切断して、両端部で中空糸が開口状態を保持して管板4で固着された中空糸束とされる。このようにして製作された中空糸束組立体の一例の概略を図2に示す。
【0025】
本発明で用いられるガス分離膜モジュールの中空糸束は、前記のような方法で交互に交叉配列するように集束されたものである。交叉配列せず例えば軸方向に平行に配列した場合には、中空糸の外側の表面が相互に接触し易くなり、有効な膜面積が減少することになる。さらに、使用中に中空糸の偏在が起こり不必要に大きな空隙を生じてキャリアーガスのショートパスを生じ易く、キャリアーガスの効果が充分に発揮できなくなる。一方、前記のように交叉配列すれば、隣接する中空糸同士が小さな接触点でのみ接触して有効な膜面積を減少させることが少なく、かつ、中空糸がお互いに保持しあうので中空糸間に均一な空間が配置され使用中もそれが維持されるのでキャリアーガスを中空糸束全体に均一に流通させてキャリアーガスの効果をより効果的に発揮させることが可能になる。本発明においては、中空糸束の軸(モジュールの軸)方向に対して5〜30度の角度をもって、特に好ましくは10〜25度の角度をもって、交互に交叉配列するように集束されている。軸方向に対する角度が5度未満では実際的には平行に配糸したものと差異はなくなる。一方、軸方向に対する角度が30度を超えると接触点が増えて膜充填率が低下するし、キャリアーガスが向流ではなくなってキャリアーガスの効果を充分発揮させることができなくなる。また、配糸するときの中空糸が1〜100本(好ましくは1〜50本、特に好ましくは1〜30本)であるのは、比較的大型の中空糸束を配糸する場合には中空糸をまとめてそれら同士を交互に交叉配列しても前記の効果が十分得られるし、また製造効率が良いためである。
【0026】
また、本発明のガス分離方法において使用されるガス分離膜モジュールは、中空糸束の膜充填率が30%以上(好ましくは35%以上)である。前記中空糸束の有功膜面積とは、中空糸束の断面積に占める中空糸断面積の総和のパーセンテージである。中空糸束の略中心部に芯管が配置されかつ中空糸束の外周部がフィルム状物質で被覆されている場合には、中空糸束の断面積とはフィルム状物質で被覆された内側で芯管を除いた断面積である。有効膜面積が多いほどモジュールのガス分離効率が高くなるので、膜充填率は高いものが好ましい。30%未満になるとモジュールのガス分離効率を高くすることは困難になる。また、膜充填率が30%未満では中空糸間に大きな空間ができるので、中空糸束を交叉配列にしても交叉配列にしなくても差異がなくなる。
【0027】
本発明のガス分離方法では、ガス混合物は、ガス混合物がガス分離膜モジュールへ供給され中空糸内部を流通して未透過ガス排出口から排出されるまでの間で凝縮しない程度以上に高温に加熱されたガス混合物としてガス分離膜モジュールに供給される。具体的には、溶液混合物を加熱装置付蒸発装置などによって気化し同時に加熱処理して、ガス分離膜モジュールを流通する間に凝縮しない程度以上に高温に加熱されたガス混合物とし、その温度を保持してガス分離膜モジュールへ供給される、あるいは、気化したガス混合物をその温度を保持しながら圧力を低下させる処理をおこなった後ガス分離膜モジュールへ供給される。圧力を低下させる処理方法は、通常の減圧弁等によってもよいし、気化したガス混合物をデミスター(ミストセパレーター)などで処理してミストを除去すると同時に圧損を発生させて圧力を低下させてもよい。前記の溶液混合物を加熱装置付蒸発装置などによって気化し同時に加熱処理および圧力を低下させる処理は併用しておこなわれても構わない。前記処理後のガス混合物はその温度での飽和蒸気圧未満の圧力を有するガス混合物になっており、その状態を保持したまま(具体的には、保温されて)ガス分離膜モジュールへ供給されるので、中空糸内部を流通して未透過ガス排出口から排出されるまでの間で凝縮しない。前記処理されないガス混合物は中空糸内を流通して未透過ガス排出口から排出されるまでの間で凝縮が起こり易く、もし凝縮するとガス分離効率は低下しかつガス分離膜の耐久性に悪影響を与える。
【0028】
また、本発明において、ガス分離膜モジュールへ供給されるガス混合物の供給圧力は5kg/cm2G以下であり、好ましくは3kg/cm2G以下であり、特に好ましくは2kg/cm2G以下である。供給するガス混合物の供給圧力を前記のように比較的低圧力とすることで、供給するガス混合物の温度を比較的低温とすることが可能になる。ガス混合物をこのような比較的低圧状態で供給しても本発明の方法では高効率で透過成分ガスを分離できる。
【0029】
図3は、本発明のガス分離方法で使用されるガス分離膜モジュールの一例である中空糸束13の略中心部にキャリアーガスを導入するための連通孔5を有する芯管6を有し、中空糸束13の外周部をフィルム状物質7で被覆されているガス分離膜モジュールの概略を示す断面図である。この分離膜モジュールにおいては、その外枠が供給ガス導入口8、キャリアーガス導入口9、透過ガス排出口10及び未透過ガス排出口11を有する筒状容器からなり、前記筒状容器内に、略中心部にキャリアーガスを導入するための連通孔5を有する芯管6を有し、外周部をフィルム状物質7で被覆されている多数の中空糸からなる中空糸束13が収納されている。前記中空糸束13は、既に説明したように中空糸が交互に交叉配列して集束されており、透過ガス排出口側の一端部で硬化性樹脂からなる第二管板15により、また未透過ガス排出口側の他端部で同じく硬化性樹脂からなる第一管板14によりそれぞれ固着され、全体として中空糸束組立体を形成している。この中空糸束組立体において、糸束13を構成する各中空糸は、前記管板14,15を貫通して開口した状態で固着されている。また、中空糸束13の外周部には、キャリアーガスが導入され排出されるまでの位置に、フィルム状物質が被覆されている。また、供給ガスとキャリアーガスのモジュール内での流れは分離膜を挟んで向流になるように構成されている。
【0030】
また、図3の例では、キャリアーガス導入口9側の第一管板14を貫通して、かつ中空糸束の略中心部に中空糸の軸方向に配せられた芯管6を設け、前記芯管には前記第一管板14の近傍に位置する芯管内と中空糸束内とを連通する連通孔5が形成されている。また、この場合、芯管6の先端は閉じて第二管板15内に埋設されているが、必ずしも管板に固着される必要はなく、熱膨張による中空糸のずれなどを吸収する程度の隙間があることが好ましい。また、ここでいう中空糸束の略中心部とは、キャリアーガスが中空糸束全体に広がることを目的とするもので、その目的を達成できる程度であればよく、厳密な中心部に限定されるものではない。
【0031】
前記の例では、芯管の先端が透過ガス排出口10側の第二管板15に埋設されている例を示したが、本発明のガス分離方法で使用されるガス分離膜モジュールはこれに限るものではなく、例えば、図4のようにキャリアーガス導入口9側の第一管板14を貫通する程度の長さであってもよい。
【0032】
本発明のガス分離方法では、中空糸の外部(透過側)を1〜500mmHg(好ましくは1〜300mmHg、特に好ましくは1〜200mmHg)の減圧状態とする。膜を透過する透過ガス量は膜を挟む透過ガスの分圧差に比例しているから、中空糸の外部(透過側)を減圧状態にすることはガス透過を促進する。本発明のガス分離方法では供給ガスの供給圧力が比較的低いので、中空糸の外側(透過側)を減圧状態にしてガス透過を促進している。減圧状態が500mmHg以上では促進効果が小さくなる。1mmHg以下の減圧状態を生成することは特殊な手段が必要になるので実用的ではない。
【0033】
また、前記ガス分離膜モジュールの中空糸膜としては、分離性能が高く、耐溶剤性、耐熱性などの点が優れているので、芳香族ポリイミド製中空糸膜が最適である。
【0034】
分離されるガスとしては、分離膜に対する透過速度の比が50以上である透過性の大きな第1のガスと透過性の小さい第2のガスとを含んだガス混合物であれば特に制限されるものではない。第1のガスが水蒸気であり、第2のガスが有機物の蒸気の場合には、本発明は有機物蒸気の脱水方法になる。前記第2のガスがが大気圧における沸点が30〜200℃である有機物のガスの場合には、本発明の方法は、蒸留などの他の脱水方法に比べて効率良くおこなえるので有用である。特に、前記第2のガスが、大気圧における沸点が30〜150℃である場合、具体的には、前記第2のガスがアセトン、メチルエチルケトン、エタノール、ブタノール、プロパノールなどからなる群から選ばれた少なくとも1種の有機蒸気である場合には、本発明の方法は、比較的低圧状態、従って高圧状態で供給する場合に比べて比較的低温度でありながら高効率であり、さらに(ガス分離膜モジュールの耐久性に悪影響が少ないので)安定性が高く経済的な水−有機物溶液の脱水方法を提供するので、極めて有用である。
【0035】
また、分離されるガスの特定の2成分の膜に対する透過速度の比が大きいほど分離効率の向上効果が大きいので好ましく、50未満では分離効率が高くならないので実用的ではない。
【0036】
キャリアーガスは、前記の第1のガス成分を実質的に含まないか、或いは、使用状態で膜を挟んで透過側の第1のガスの分圧が未透過側の第1のガスの分圧よりも小さい濃度の第1のガスを含むガスであれば、特に制限はない。例えば、窒素、空気などが使用できる。窒素は、不活性(副反応がない)であり、安全性が高く、膜の透過側から供給側への逆浸透が起こり難いので好適である。また、第1のガスを分離した未透過ガスの一部をキャリアーガスの供給口へ循環しキャリアーガスとして使用することも好適である。更に、予め分離膜で空気から水分を除いた乾燥空気や酸素を除去した窒素富化空気を用いることも好適である。
【0037】
本発明のガス分離方法で使用されるガス分離膜モジュールについて、更に詳述する。筒状容器および芯管は、所定の気密性及び耐圧性を備えたものであれば、材料は特に限定されず、金属、強化プラスチック、プラスチック、セラミックス等により形成できる。
【0038】
中空糸膜は、透過速度の大きい第1のガスと透過速度の小さい第2のガスとの透過速度比が50以上となる分離膜であり、透過速度比が200以上となる分離膜が好ましく、透過速度比が500以上となる分離膜が特に好ましい。水蒸気−有機物蒸気の分離の場合には、中空糸膜の水蒸気透過速度(P’H2O)が、その使用温度において、1×10-5cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上、好ましくは5×10-1〜1×10-4cm3(STP)/cm2・sec・cmHg程度、さらに好ましくは0.5〜5.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg程度で、水蒸気透過速度(P’H2O)と有機蒸気透過速度(P’org)との透過速度比(P’H2O/P’org)が50以上、好ましくは200以上、特に好ましくは500以上の芳香族ポリイミド製中空糸膜であることが好ましい。また、中空糸膜は非対称性膜または複合分離膜を好適にあげることができる。透過速度の大きい第1のガスと透過速度の小さい第2のガスとの透過速度比が50未満の分離膜は、分離効率が落ちるので実用的ではない。
【0039】
また、前記樹脂製管板を構成する硬化性樹脂としては、耐熱性、耐有機溶剤性が要求されるが、例えばポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を好ましく挙げることができる。
【0040】
また、前記フィルム状物質は、供給されたガス混合物を実質的に透過しない材料か、または難透過性の材料であれば如何なるもので形成してもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド等のプラスチックフィルムあるいはアルミニウムやステンレスのフィルムを用いることができるが、特に耐熱性、耐溶剤性、加工性の点でポリイミドフィルムが好適である。また、フィルム状物質の厚さは特に制限されないが、数10μm〜数mm程度までが好ましい範囲である。更に、このフィルム状物質は、中空糸束の両端部を除いた両管板に挟まれた部分の外周部の面積に対して70%以上被覆していることが好ましい。
【0041】
略中心部に芯管を有し外周部がフィルム状物質で被覆した中空糸束からなる組立体は、例えば次のようにして作製することができる。先ず、芯管を中心にして既に説明したような方法で中空糸が交互に交叉配列するように集束して中空糸束となし、その周囲に例えばポリイミドフィルムを巻き付け、その重なり部分を糊付けする。次いで、前記束状物の両端部を例えばエポキシ樹脂で固着し、管板相当部を形成する。その際、キャリアーガス導入口側の第一管板側に対応する端部では前記ポリイミドフィルムも一緒に固着し、透過ガス排出出口側の第二管板に対応する端部では前記ポリイミドフィルムを管板に固着せず、透過ガスおよびキャリアーガスが中空糸束から透過ガス排出口に流出するよう隙間を確保する。その後、前記束状物の両端部の固着樹脂を切断し、その両端切断面(外側端面)で中空糸分離膜の末端を開口させることにより前記組立体が作製される。
【0042】
図5は、本発明のガス分離方法を用いた水−有機物溶液の脱水方法の一例を示す概略図である。水−有機物溶液はタンク17からポンプ18によって加熱装置付蒸発装置19へ供給される。前記加熱装置付蒸発装置19には、例えば所定温度の熱媒体が供給される熱交換器が配置されており、供給された前記水−有機物溶液は水蒸気と有機物蒸気に気化し同時に加熱処理されて高温に加熱されたガス混合物になる。次に前記ガス混合物は温度を保持されながらデミスター20で処理されて、前記ガス混合物に含まれる可能性があるミストを除去される。このときデミスター20を通過することによってガス混合物の圧力が低下する。前記高温に加熱されたガス混合物は、5kg/cm2G以下(好ましくは3kg/cm2G以下、特に好ましくは2kg/cm2G以下)の圧力でガス分離膜モジュールの供給ガス導入口8からガス分離膜モジュール21へ供給され中空糸内部を流通させられる。中空糸内部を流通させられる間に、前記ガス混合物中の水蒸気は中空糸膜を選択的に透過して中空糸膜の外部(透過側)を流れる。同時に、キャリアーガスはヒーター22で必要に応じて所定温度まで加温されてガス分離膜モジュールのキャリアーガス導入口9に導入され、芯管を通って芯管の連通孔5から中空糸の外部(透過側)へ放出され、前記の中空糸膜を透過した水蒸気のキャリアーガスとして水蒸気を希釈し除去を促進する。前記キャリアーガスと前記ガス混合物の中空糸膜を挟んでの流れ方向は向流である。透過した水蒸気とキャリアーガスは透過ガス排出口10からガス分離膜モジュールの外へ排出されクーラー23で冷却されて水蒸気は水に凝縮され、キャリアーガスは水蒸気と分離される。凝縮した水はタンク24に貯えられバルブ25を通じて排出される。分離されたキャリアーガスはタンク24、バルブ26、減圧器(エジェクター)27を通って回収される。また、減圧器(エジェクター)27によって、ガス分離膜モジュールの中空糸の外部(透過側)は減圧状態にされている。ガス分離膜モジュールにおいて、未透過ガスはほとんどの水蒸気が除かれた有機物蒸気になり、モジュールの未透過ガス排出口11を通ってクーラー28へ送られ凝縮される。凝縮された有機物液はタンク29に貯えられバルブ30を通じて回収される。
【0043】
次に、図3の例に基づいてさらに具体的に説明する。前記高温に加熱されたガス混合物は5kg/cm2G以下の圧力(例えば水−イソプロピルアルコールの場合115〜120℃、1.5kg/cm2G)で、ガス分離膜モジュールの供給ガス導入口8より供給され、筒状容器に収納されている中空糸束の中空糸内部を膜に接触しながら未透過ガス排出口11の方向へ流動する。ガス混合物の前記の膜との接触によって水蒸気が中空糸膜を選択的に透過し、透過ガス排出口10から排出される。残った有機物蒸気を主成分とする未透過ガスは、未透過ガス排出口11から取り出される。一方、キャリアーガスは、キャリアーガス導入口9から芯管6に導入され、芯管6の連通孔5から中空糸束内の略中心部に放出される。前記の放出されたキャリアーガスは、中空糸束13が交叉配列されているために均一に形成された中空糸間の空隙を均一に流れ、かつ、中空糸束13の外周部のフィルム状物質7によって中空糸束13の途中で中空糸束13の外へショートパスして流出しないようにされて、中空糸束13を均一に中空糸に沿って流れ、第二管板15付近のフィルム状物質で被覆されていない隙間を通って透過ガス排出口10に到着する。この間、中空糸外部に透過してくる水蒸気はキャリアーガスに希釈されキャリアーガスと一緒になって透過ガス排出口10から排出される。更に、本発明においては、透過ガス排出口10を通して、中空糸の外側(透過側)は減圧状態にされており、前記の水蒸気とキャリアーガスの混合物が透過ガス排出口10から排出されることを更に促進している。以上のことから、中空糸膜を透過した水蒸気は極めて効率よく取り除かれるので、透過側の水蒸気の分圧は供給ガス導入口8から未透過ガス排出口11まで中空糸束13の全域に渡って常供給側より低くい状態に保たれ膜の供給側から透過側への水蒸気の透過を促進している。この結果、本発明のガス分離方法は分離効率(水を除去する場合は脱水効率)が極めて高くなる。
【0044】
この方法において、気化されてガス分離膜モジュールへ供給される水蒸気と有機物蒸気とからなるガス混合物は、好ましくは70℃以上の温度でガス分離膜モジュールへ供給される。
【0045】
また、この方法において、図5では示していないが、水−有機物溶液は、気化される前に、例えば、イオン交換樹脂処理、蒸留、ろ過などの少なくとも一つの前処理によって、前記溶液に含まれる固体粒子や高沸点成分や金属イオンなどを取り除いても良い。更に、未透過ガスとして回収された有機物蒸気はクーラーで凝縮液化された後で、例えば、イオン交換樹脂処理、蒸留、ろ過などの少なくとも一つの後処理によって、前記溶液に含まれる固体粒子や高沸点成分や金属イオンなどを取り除いても良い。
【0046】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
【0047】
実施例1
水−イソプロピルアルコール溶液を加熱装置付蒸発装置に供給しガス混合物を発生させ更にデミスター処理することによって、温度125℃、圧力2kg/cm2Gの水蒸気5重量%とイソプロピルアルコール95重量%のガス混合物とした。このガス混合物を、図3に概略で示すような構造を持ち、芳香族ポリイミドからなる非対称性構造の中空糸(温度120℃で10重量%水蒸気と90重量%のイソプロピルアルコール蒸気とからなるガス混合物を2kg/cm2Gの供給圧力で供給し透過側の圧力を4mmHgとして測定したときの水蒸気の透過速度(P’H2O)が1.2×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg、イソプロピルアルコールの透過速度(P’IPA)が8.5×10-7cm3(STP)/cm2・sec・cmHg)を有効膜面積が5.8m2、膜充填率が38%、軸に対し20度の交叉配列で集束された中空糸束を筒状容器に収納したフランジ外径125mm、胴部外径89mm、全長1050mmのガス分離膜モジュールの供給ガス導入口へ流量8.72kg/hで導入し、125℃に加熱した窒素ガスをキャリアーガスとしてキャリアーガス導入口に0.43kg/hで供給し、中空糸の外部(透過側)をエジェクターによって40mmHgの減圧状態とした。透過ガス排出口から水蒸気を約45重量%含むガスが流量0.97kg/hで排出し、未透過ガス排出口から未透過ガスが流量8.18kg/hで得られた。この未透過ガスはクーラーによって20℃まで冷却され凝縮させて凝縮液タンクに溜められた。この凝縮液はイソプロピルアルコール純度99.99重量%、水分含有量0.01重量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0048】
比較例2
中空糸束が中空糸を軸方向に対して平行に配列したこと以外は実施例1と同様にしてガス分離をおこなった。結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
キャリアーガスを導入しないこと以外は実施例1と同様にしてガス分離をおこなった。結果を表1に示す。
【0050】
比較例3
中空糸束が中空糸を軸方向に対して平行に配列したことかつキャリアーガスを導入しないこと以外は実施例1と同様にしてガス分離をおこなった。結果を表1に示す。
【0051】
実施例2
水−イソプロピルアルコール溶液を加熱装置付蒸発装置に供給しガス混合物を発生させ更にデミスター処理することによって、温度110℃、圧力0.8kg/cm2Gの水蒸気5重量%とイソプロピルアルコール95重量%のガス混合物とした。このガス混合物を、図3に概略で示すような構造を持ち、芳香族ポリイミドからなる非対称性構造の中空糸(温度120℃で10重量%水蒸気と90重量%のイソプロピルアルコール蒸気とからなるガス混合物を2kg/cm2Gの供給圧力で供給し透過側の圧力を4mmHgとして測定したときの水蒸気の透過速度(P’H2O)が1.2×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg、イソプロピルアルコールの透過速度(P’IPA)が8.5×10-7cm3(STP)/cm2・sec・cmHg)を有効膜面積が5.8m2、膜充填率が38%、軸に対し20度の交叉配列で集束された中空糸束を筒状容器に収納したフランジ外径125mm、胴部外径89mm、全長1050mmのガス分離膜モジュールの供給ガス導入口へ流量8.72kg/hで導入し、110℃に加熱した窒素ガスをキャリアーガスとしてキャリアーガス導入口に0.43kg/hで供給し、中空糸の外部(透過側)をエジェクターによって40mmHgの減圧状態とした。透過ガス排出口から水蒸気を約48重量%含むガスが流量0.89kg/hで排出し、未透過ガス排出口から未透過ガスが流量8.26kg/hで得られた。この未透過ガスはクーラーによって20℃まで冷却され凝縮させて凝縮液タンクに溜められた。この凝縮液はイソプロピルアルコール純度99.93重量%、水分含有量0.07重量%であった。これらの結果を表1に示す。
【0052】
比較例4
中空糸束が中空糸を軸方向に対して平行に配列したこと以外は実施例2と同様にしてガス分離をおこなった。結果を表1に示す。
【0053】
比較例5
キャリアーガスを導入しないこと以外は実施例2と同様にしてガス分離をおこなった。結果を表1に示す。
【0054】
比較例6
中空糸束が中空糸を軸方向に対して平行に配列したことかつキャリアーガスを導入しないこと以外は実施例2と同様にしてガス分離をおこなった。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明の方法は、2種類以上のガス混合物を比較的低圧力の状態でガス分離膜モジュールへ供給して高効率で特定成分を分離・除去することが出来るものであり、極めて経済的なガス分離方法である。特に、水蒸気と大気圧における沸点が30〜200℃の有機物を含むガス混合物である場合には、高効率でかつガス分離膜モジュールの耐久性に悪影響を与えることが少ない経済的な水−有機物溶液の脱水方法を提供するものであり、高いレベルの乾燥度(極めて低い水分含有量)の乾燥有機物を容易に得ることができる。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられるガス分離膜モジュールの中空糸束の集束方法である交叉配列の集束方法を示す概略の模式図である。
【図2】本発明で用いられるガス分離膜モジュールの中空糸束組立体の一例を示す概略図である。
【図3】本発明で用いられるガス分離膜モジュールの一例を示す概略の断面図である。
【図4】本発明で用いられるガス分離膜モジュールの別の一例を示す概略の断面図である。
【図5】本発明のガス分離方法を用いた水−有機物溶液の脱水方法の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 中空糸
2 芯になる管状物(芯管)
3 配糸ガイド
4 管板
5 連通孔
6 芯管
7 フィルム状物質
8 供給ガス導入口
9 キャリアーガス導入口
10 透過ガス排出口
11 未透過ガス排出口
12 筒状容器
13 交互に交叉配列するように集束された中空糸束
14 第一管板
15 第二管板
16 水−有機物溶液
17 タンク
18 ポンプ
19 加熱装置付蒸発装置
20 デミスター
21 ガス分離膜モジュール
22 ヒーター
23 クーラー
24 タンク
25 バルブ
26 バルブ
27 減圧器(エジェクター)
28 クーラー
29 タンク
30 バルブ
Claims (8)
- 水蒸気と大気圧における沸点が30〜200℃の有機物の蒸気とを含み70℃以上の高温に加熱されたガス混合物を、次の(1)、(2)の特徴を有する中空糸束を筒状容器に収納した供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールの中空糸の内部へ5.0kg/cm2G(ゲージ圧)以下の供給圧力で供給し、
(1)中空糸束全体としては、モジュールの軸と略同一方向の軸を持つように集束されており、前記中空糸束を構成する中空糸は、各1〜100本毎に中空糸束の軸(モジュールの軸)方向に対して10〜25度の角度をもって交互に交叉配列するように集束されている
(2)中空糸束の膜充填率が30%以上である
更に、中空糸束の略中心部へキャリアーガスを導入して中空糸の外部(透過側)に沿って流通させながらかつ中空糸の外部(透過側)を1〜500mmHgの減圧状態として、前記ガス混合物から少なくとも水蒸気を選択的に膜を透過させ、これにより水蒸気が減少した大気圧における沸点が30〜200℃の有機物の蒸気を脱水効率を高くして得ることを特徴とするガス分離方法。 - 供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールの中空糸束の外周部が、フィルム状物質で被覆されていることを特徴とする前記請求項1に記載のガス分離方法。
- 供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールの中空糸束の略中心部に、キャリアーガスを導入するための連通孔を有する芯管を配置していることを特徴とする前記請求項1〜2に記載のガス分離方法。
- 加熱装置付蒸発装置によって処理された高温に加熱されたガス混合物が、保温されたまま供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールに供給されることを特徴とする前記請求項1〜3に記載のガス分離方法。
- デミスター(ミストセパレーター)によって処理された高温に加熱されたガス混合物が、保温されたまま供給ガス/キャリアーガス向流式中空糸ガス分離膜モジュールに供給されることを特徴とする前記請求項1〜4に記載のガス分離方法。
- 前記有機物の蒸気がアセトン、メチルエチルケトン、エタノール、プロパノール、ブタノールの群から選ばれた少なくとも一種の有機物の蒸気であることを特徴とする前記請求項1〜5に記載のガス分離方法。
- 水蒸気を分離した未透過ガスの一部を、キャリアーガスの供給口へ循環しキャリアーガスとして使用することを特徴とする前記請求項1〜5記載のガス分離方法。
- キャリアーガスが窒素ガスであることを特徴とする前記請求項1〜5記載のガス分離方法。
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