JP4206897B2 - 排水ポンプ車 - Google Patents
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Description
また従来の排水ポンプ車は、車両に水中ポンプを含む排水機材一式が積載されていて、河川の氾濫による洪水が発生した場合、排水ポンプ車を洪水発生現場まで移動して排水作業を行っており、車両に水中ポンプ等を積載した排水ポンプ車としては、例えば特許文献1に記載されたものが公知である。
また有効な排水作業を行うためには、水中ポンプの排水量を大容量化する必要があるが、水中ポンプの排水量を大容量化すると、ポンプ自体も大型かつ大重量化するため、人力による水中への投入は困難となる。
このため大容量の水中ポンプを積載した排水ポンプ車では、排水現場に車両が到着したら、クレーン等の作業機を使用して水中ポンプを水中に投入する作業を行っているが、この方法では、水中ポンプの投入を開始してから排水を開始するまでに長時間を必要とするため、洪水等における排水作業の場合、被害が拡大する等の問題がある。
さらに車両に搭載した複数基の水中ポンプを水中に投入して排水作業を行う排水ポンプ車では、各水中ポンプ毎に排水管を接続して排水を行うため多量の排水管を必要とするが、車両には積載制限があることから多量の排水管を積載できない場合、使用できる水中ポンプの台数に制限を受けたり、排水距離に制限を受ける等の問題もある。
また車両の両側に開口する吸込み口と、車両の両側に開口する吐出口を設けたことから、車両の向きに関係なく排水作業が行えるため、堤防等の狭い道路上で車両の向きを変える等の作業を必要とせずに排水作業が行えるようになる。
また車両の両側に開口する吸込み口と、車両の両側に開口する吐出口を設けたことから、車両の向きに関係なく排水作業が行えるため、堤防等の狭い道路上で車両の向きを変える等の作業を必要とせずに排水作業が行えるようになる。
図1は排水ポンプ車の斜視図、図2は排水ポンプ車に搭載された排水ポンプの断面図、図3及び図4は排水ポンプの作用説明図、図5は排水ポンプの吸込み深さと吐出量の関係を示す線図である。
図1に示す排水ポンプ車は、前部に運転室2を有する車両1よりなり、運転室2の下部に設置されたエンジン(図示せず)により自走自在となっている。
運転室2の後方には荷台3が設けられていて、この荷台3の運転室2側端部には、前記エンジンより動力を取り出す動力取り出し手段(PTO)4が設置されており、動力取り出し手段4の出力軸4aに継手5を介して減速機6の入力軸6aが接続されている。
減速機6の出力軸6bには、動力反転手段7を介して排水ポンプ8の回転軸9が接続されている。
第1回転軸9aの一端は動力反転手段7のギヤケース7a内に突出されていて、ギヤケース7a内に設けられた複数のベベルギヤよりなる反転ギヤ列7b,7c,7dを介して第2回転軸9bに接続されており、減速機6により減速されて第2回転軸9bに伝達されたエンジンの回転は、反転ギヤ列7b,7c,7dにより反転されて第1回転軸9aに伝達されるようになっていると共に、反転ギヤ列7b,7c,7dは、ギヤケース7a内に封入された潤滑油により潤滑されるようになっている。
排水ポンプ8はケーシング8aの軸心が荷台3の中心とほぼ平行するように荷台3上に水平に固定されていて、ケーシング8aの中心部に回転軸9が設けられており、第1回転軸9aの一端側は、吸込み管10に設けられた軸受け14に回転自在に支承されていると共に、軸受け14の外側には軸封手段15が設けられていて、吸込み管10内の水が軸受け14より漏洩しないようシールしている。
エンジン発電機20は、操作盤21を介して真空ポンプや図示しない照明装置等に接続されていて、発電した電力により真空ポンプ22を駆動したり、夜間の作業の際に照明装置を点灯するようになっている。
真空ポンプ22は、吸込み管10に接続されていて、排水ポンプ8の運転開始時、吸込み管10内の空気を吸引して内部を負圧にすることにより、吸込み管10の吸込み口10aまたは10bに接続された吸水管23を介して出水領域より水を吸込み管10内に吸水するようになっており、これによって排水ポンプ8の迅速な運転を可能にしている。
吸水管23は、洪水予想される河川30の堤防31等に予め設置された鋼管よりなり、吸水管23の一端側は出水領域32に延出されていて、先端部には水とともにゴミ等が吸込まれるのを防止するカゴ状のフィルタ24が取り付けられている。
吸水管23の他端側は、堤防31等の上部に形成された道路33の路肩に立設されていて、立ち上がり部23aの先端部には道路33方向に向かって接続口23bが開口されていると共に、立ち上がり部23aの周囲には柵25が設置されていて、平時道路33を走行する車両等により吸水管23の立ち上がり部23aが破損されるのを防止している。
多量の降雨により洪水が予想される出水領域32あるいは水害などにより緊急な排水を必要とする場所に予め吸水管23が設置されているため、排水ポンプ車が出動する際には、多量の吸水管を車両1に予め積載する必要がない。
いま洪水等の災害が発生したため排水ポンプ車の出動の要請があった場合、出水領域32へと出動し、出水領域32予め設置された吸水管23の接続口23bまたは吸水管23立ち上がり部23aを囲んだ柵25付近に車両1停車させて、排水作業を実施する。
排水作業の開始に当たっては、車両1の停車方向に応じて吸込み管10の吸込み口10aまたは10bを選択して盲板12を取り外したら、車両1に予め積載してある接続管27を使用して吸込み管10の吸込み口10aまたは10bと吸水管23の接続口23bとを接続する。
以上のようにして排水の準備作業が完了したら真空ポンプ27で吸込み管10内の空気を吸引して、吸込み管10内を出水領域32の水で満水にし、その後動力取り出し手段4より取り出したエンジンの動力により排水ポンプ8の回転軸9を駆動して排水ポンプ8の運転を開始する。
排水ポンプ8の回転軸9は、第1回転軸9aと第2回転軸9bの2重構造となっていて、動力反転手段7により逆方向に同じ回転速度で回転するようになっているため、第1回転軸9aに取り付けられた第1段軸流羽根車16と第2回転軸9bに取り付けられた第2段軸流羽根車17は、ケーシング8a内において同じ回転速度で、逆方向に回転される。
2重反転軸流ポンプよりなる排水ポンプ8は、第1段軸流羽根車16と第2段軸流羽根車17が図3に示すように逆回転すると、羽根車出入口の速度三角形は図4に示す形状となり、第2段軸流羽根車17の出口では残留旋回成分がないような速度C4で羽根車より出ていくことになる。
また単段の軸流ポンプよりも羽根車にかかる負荷が小さくなるので、低流量域においても羽根車の羽根部分での剥離や失速が生じにくくなる。
これによって図5に示すように揚程曲線は不安定部のない右下がりの曲線となることから、キャビテーションの発生を抑制できるようになり、単段の軸流ポンプに比べて2重反転軸流ポンプを使用した排水ポンプ8では、2倍以上の吸込み可能深さが得られるため、堤防31の高さが高い場合でも、堤防31上に停止した排水ポンプ車により効率のよい排水作業が行えるようになる。
4 動力取り出し手段
6 減速機
7 動力反転手段
8 排水ポンプ
10 吸込み管
10a 吸込み口
10b 吸込み口
11 吐出ヘッド
11a 吐出口
11b 吐出口
20 エンジン発電機
22 真空ポンプ
23 吸水管
29 排水管
30 河川
31 堤防
32 出水領域
Claims (4)
- エンジンにより自走自在な車両1に排水ポンプ8を搭載した排水ポンプ車であって、前記排水ポンプ8を、ケーシング8a内に第1段軸流羽根車16と第2段軸流羽根車17が設けられ、かつ前記第1、第2段軸流羽根車16,17が逆方向へ回転される2重反転軸流ポンプにより構成すると共に、前記排水ポンプ8の吸込み側に接続された吸込み管10に、前記車両1の両側に開口する吸込み口10a,10bを、また吐出側に接続されたヘッダ11に、前記車両1の両側に開口する吐出口11a,11bを設けたことを特徴とする排水ポンプ車。
- 前記排水ポンプ8の吸込み側に接続する吸水管23を、洪水が予測される河川の堤防等に予め設置し、かつ前記吸水管23の一端側を出水領域に延設すると共に、他端側を前記堤防等に停車した前記車両1の排水ポンプ8に接続可能としてなる請求項1に記載の排水ポンプ車。
- 動力取り出し手段4により前記車両1のエンジンより取り出した動力を、減速機6及び動力反転手段7を介して前記排水ポンプ8の前記第1、第2段軸流羽根車へ16,17伝達することにより、前記第1、第2段軸流羽根車16,17を同一回転速度で反対方向へ回転駆動してなる請求項1に記載の排水ポンプ車。
- 前記車両1にエンジン発電機20と真空ポンプ22を搭載し、かつ前記エンジン発電機20により発電した電力により前記真空ポンプ22を駆動して、前記排水ポンプ8の吸込み側に水を充満することにより、前記排水ポンプ8の始動を行うようにしてなる請求項1ないし3の何れかに記載の排水ポンプ車。
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