JP4205076B2 - レーザ光発生装置および発生方法 - Google Patents
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Description
また、波長が互いに異なる2つのレーザ光を用い、和周波混合により波長変換したレーザ光を得る方法も知られている(例えば、下記非特許文献2)。
OSA TOPS Vol.10 Advanced Solid State Lasers,1997、p.77、「A Diode Pumped Solid State Yellow Laser at 564.5nm」、X.X.Zhang and W.L Zhou著 「キーワード解説 光技術総合事典」、オプトロニクス社、2004年12月12日発行、p.442
上記非特許文献2に記載の方法では、レーザ光源を2個使用するため、装置の価格が高くなるほか、光源の駆動電源の構成も複雑になり実用的でない。
本発明のレーザ光発生装置は、半導体レーザと、該半導体レーザから出射される基本光を波長変換する第二高調波発生素子を備えたレーザ光発生装置であって、前記半導体レーザは外部共振器構造を備え、横シングルモードレーザ光を出射する外部共振型半導体レーザであり、前記第二高調波発生素子はシングルモード導波路を備える導波路型第二高調波発生素子であることを特徴とする。
図中符号1は外部共振型半導体レーザ、2は導波路型第二高調波発生素子(以下、SHG素子ということがある)、3は第1の波長フィルタ、4は集光手段、5はコリメータ、6は第2の波長フィルタをそれぞれ示す。
本実施形態で用いられている半導体素子11は、同一端面(1つの出射面11a)から少なくとも互いに異なる2方向に光を出射するものであり、例えば、利得導波路型半導体レーザである。利得導波路型半導体レーザとは、レーザの活性層がp型半導体およびn型半導体との接合面に沿って50μm〜400μm程度の広い幅を持つものである。この利得導波路型半導体レーザは、駆動電流の増加に伴い活性層の両端部の屈折率が高くなるため、活性層自身が凹レンズとしての効果を持ち、出射光が異なる2方向に曲げられるという特性を持つ。
半導体素子11としては、ブロードエリア型半導体レーザ素子(BALD)が好ましく、特に本実施形態では発振波長域に1120nmを含むものが好ましい。例えば発振波長720〜1120nmのBALDが好適に用いられる。本発明において好ましいブロードエリア型半導体レーザ(BALD)は、利得導波路型半導体レーザであって、横(空間)モードがマルチモードであるレーザ光を発振する。
また、図示していないが、半導体素子11の出射面11a上には共振波長に対する反射防止膜を設けることが好ましい。本実施形態では波長1120nmの光の反射を防止する膜が設けられている。
他方の出射光19は、第1のビーム整形素子12および第2のビーム整形素子13を順に通過することによって半導体素子11の中心軸17に沿う平行ビームにコリメートされ、外部共振型半導体レーザ1からの出射光10aとなる。
このとき、一方の出射光18の光路を伝搬して帰還した光の大部分は、反射膜11bで反射された後、再び該一方の出射光18として出射されるが、一部は反射膜11bで反射される前後に他方の出射光19と結合し、該他方の出射光19の光路を伝搬して出射される。
すなわち他方の出射光19および外部共振型半導体レーザ1からの出射光10aは、反射手段14と反射膜11bとの間での共振によって発振されるレーザ光である。
該反射膜11bとしては、例えば誘電体多層膜フィルタや金属蒸着膜などを用いることができる。
ここで、半導体素子11から出射される2方向の出射光18,19の光軸の両方を含む面に垂直な方向を第一の方向(図1において紙面と垂直をなす方向)とし、半導体素子11の中心軸17方向を第三の方向とし、前記第一の方向と第三の方向に垂直な方向を第二の方向とする。
第1および第2のビーム整形素子12,13のうち、半導体素子11に近い方の第1のビーム整形素子12は、第一の方向に出射光を絞り込む作用を有するものであり、第2のビーム整形素子13は、第一の方向と第二の方向の両方向に出射光を絞り込む作用を有するものである。かかる構成とすることにより、半導体素子11から出射される2方向の出射光18,19を、共通の光学系(第1および第2のビーム整形素子12,13)で効率良くコリメートすることが可能となる。
たとえば、第1のビーム整形素子12として、円筒形レンズよりなる速軸用コリメータ(以下、「FAC」という場合がある。)を用い、第2のビーム整形素子13として、球レンズよりなる遅軸用コリメータ(以下、「SAC」という場合がある。)を用いることが好ましい。
かかる構成においては、反射面15の形成領域を調整することにより、ビーム形状を調整することも可能である。反射面15の形成領域の調整方法は、ダイシングにより非反射領域を削る方法でもよく、あるいは、反射面15以外の領域に光吸収膜や反射防止膜などを形成する方法でもよい。
ここで、本発明における「横(空間)シングルモードのレーザ光」とは、ニアフィールドパターンの測定により得られるビームプロファイルがシングルモードであるものをいう。
本実施形態では、波長1120nmの光が効率良く共振されるように構成されている。
第1の波長フィルタ3として、例えば支持体上にTiO2/SiO2、Ta2O5/SiO2等からなる誘電体多層膜が設けられた波長フィルタや、透過型ファブリ・ペロー型エタロン、グレーティング等を用いることができる。
第1の波長フィルタ3は、外部共振型半導体レーザ1側の入射面が、出射光10aの光軸に垂直な面に対して、傾きを有するように配置されることが好ましい。このようにすれば、第1の波長フィルタ3で反射された不要な波長の光が、出射光10aの光路を逆に戻って半導体素子11に帰還するのを防止することができる。
本実施形態において、第1の波長フィルタ3は、波長1120nmの光を選択的に透過するように構成されている。
SHG素子2は、シングルモード導波路を備えるものであり、好ましくは強誘電体材料からなる基板にシングルモード導波路が設けられており、該導波路の長さ方向において前記誘電体材料の分極方向が周期的に反転している分極反転型SHG素子が用いられる。具体的には、MgOドープLN(ニオブ酸リチウム)に、プロトン交換により周期的にドメイン反転させてなる導波路型PPLNが好適に用いられる。
SHG素子2に、前記透過出射光10bを基本光として入射させることにより、波長が変換された出射光10cが得られる。
SHG素子2における波長変換は、反転幅等のパラメータによって制御することができる。本実施形態では、基本光として波長1120nmの光が入射されたときに、SHG素子2から波長560nmの光(出射光10c)が出射されるように構成されている。
これにより、第2の波長フィルタ6からは、所望の特定波長の出射光(本実施形態では波長560nmの光)10dが出射される。
したがって、本実施形態のレーザ光発生装置は、欠損波長である560nmのレーザ光を出射する光源として使用することができる。
ただし、通常、入射される基本光がマルチモードであると導波路型SHG素子における発生は非常に不安定となる。その原因としては、(1)基本光が横マルチモードであると、導波路型SHG素子のシングルモード導波路との結合が不安定になること、および(2)基本光のスペクトル線幅が広いと、SHG素子2において、特定波長に好適となるように設定されている位相整合条件とのマッチングが不安定になることが考えられる。
これに対して、本実施形態では、外部共振器構造を有する半導体レーザ(外部共振型半導体レーザ1)を用いたことにより、ここからの出射光10aが横シングルモードとなるので、シングルモード導波路を備えるSHG素子2への結合が良好となる。
また外部共振型半導体レーザ1の出射光10aの光路上に第1の波長フィルタ3が設けられているので、これを透過した透過出射光10bはスペクトル線幅が低減(狭窄化)されるので、これにより、SHG素子2における位相整合条件とのマッチングが安定化し、出力強度が増大する。
ここで、SHG素子2に入射される透過出射光10b(基本光)の縦モード(スペクトル線幅)については、仮にSHG素子2における反転周期にゆらぎがない状態では、透過出射光10bが縦シングルモードレーザ光であることが最適であるが、通常、SHG素子2における反転周期には多少のゆらぎが生じており、このゆらぎに応じた適度なスペクトル線幅を有する基本光を入射させることが、出力強度を向上させるうえで好ましい。
また、SHG素子2を、その反転周期に所望のゆらぎが生じるように構成するとともに、透過出射光10bのスペクトル線幅が、該ゆらぎに応じた適度な大きさとなるように構成することも出力強度を向上させる点で好ましい。
または、図2に示すように、第2のビーム整形素子13と反射手段14との間の、一方の出射光18の光路上と、外部共振型半導体レーザ1からの出射光10aの光路上とに跨って、第1の波長フィルタ3と同様の作用を有する第3の波長フィルタ3’を設けてもよい。このようにすれば、外部共振型半導体レーザ1からの出射光10aのスペクトル幅(線幅)がより狭窄化される。
半導体素子11は、利得導波路型半導体レーザ素子からなる発振波長1115〜1125nmのBALDを用いた。
第1のビーム整形素子12としては、直径125μm、屈折率1.45、焦点距離0.08mmの円筒形レンズ(光ファイバ片)からなるFACを用いた。
第2のビーム整形素子13としては、焦点距離20mmの軸対象球面レンズからなるSACを用いた。
反射手段14としては、縦3mm×横3mmの領域を鏡面仕上げした反射ミラーを用いた。
半導体素子11と反射手段14との距離は、共振波長が1120nmとなるように設定した。
集光手段4としては、焦点距離が1.65の集光レンズを用いた。
SHG素子2としては、MgOドープLN(ニオブ酸リチウム)に、プロトン交換により周期的にドメイン反転させてなる導波路型PPLNを用いた。反転幅は7.2〜7.7μmとした。
コリメータ5としては焦点距離が1.65の集光レンズを用いた。
第2の波長フィルタ6としてはカット波長900〜2000nmのIRカットフィルタを用いた。
外部共振型半導体レーザ1からの出射光10aの出力強度は300mWであった。この出射光10aが横シングルモードであることをビームプロファイラ(製品名;Beamaster Fx−50、OPHIR社製)により確認した。
第2の波長フィルタ6からの出射光10dの中心波長は560nm、スペクトル線幅は0.03mmであり、出力強度は30mWであった。
2 導波路型第二高調波発生素子(SHG素子)
3 第1の波長フィルタ
3’第3の波長フィルタ
4 集光手段
5 コリメータ
6 第2の波長フィルタ
11 半導体素子
12 第1のビーム整形素子
13 第2のビーム整形素子
14 反射手段
Claims (4)
- 半導体レーザと、該半導体レーザから出射される基本光を波長変換する第二高調波発生素子を備えたレーザ光発生装置であって、
前記半導体レーザは、横モードがマルチモード発振し第1方向と第2方向に光を出射するブロードエリア型半導体レーザ素子と、前記第1方向へ出射された光と前記第2方向へ出射された光をそれぞれコリメートするビーム整形素子と、前記第1方向へ出射された光の一部を反射するよう反射領域が調整された部分反射ミラーと、を有する外部共振器構造を備え、前記部分反射ミラーによって反射された光を前記ブロードエリア型半導体レーザ素子に帰還させて前記第2方向から横シングルモードレーザ光を出射する外部共振型半導体レーザであり、
前記第二高調波発生素子はシングルモード導波路を備える導波路型第二高調波発生素子であることを特徴とするレーザ光発生装置。 - 前記外部共振型半導体レーザからの出射光が前記導波路型第二高調波発生素子に至るまでの光路上に波長フィルタが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光発生装置。
- 半導体レーザから出射される基本光を第二高調波発生素子に入射して波長変換することにより特定波長のレーザ光を発生させる方法であって、
前記半導体レーザは、横モードがマルチモード発振し第1方向と第2方向に光を出射するブロードエリア型半導体レーザ素子と、前記第1方向へ出射された光と前記第2方向へ出射された光をそれぞれコリメートするビーム整形素子と、前記第1方向へ出射された光の一部を反射するよう反射領域が調整された部分反射ミラーと、を有する外部共振器構造を備え、前記部分反射ミラーによって反射された光を前記ブロードエリア型半導体レーザ素子に帰還させて前記第2方向から横シングルモードレーザ光を出射する外部共振型半導体レーザであり、
前記第二高調波発生素子はシングルモード導波路を備える導波路型第二高調波発生素子であることを特徴とするレーザ光発生方法。 - 前記外部共振型半導体レーザから出射される横シングルモードレーザ光を前記第二高調波発生素子に入射する前に、前記横シングルモードレーザ光のスペクトル線幅を低減する工程を有することを特徴とする請求項3記載のレーザ光発生方法。
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