JP4204911B2 - リストバンド用クリップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリストバンド用クリップに係り、特に病院で患者の手首や足首などに巻き付けて使用されるリストバンドを環状に巻き止めるリストバンド用クリップに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、病院では患者の取り違えミスを防止するために、患者の名前や年齢、血液型といった患者固有の識別データを表示したリストバンドを患者の手首や足首に取り付けることが行われている。
【0003】
一般にリストバンドは帯状に形成されており、これを手首等に巻き付けて両端部をクリップで止めるようにされている。クリップは、オスクリップとメスクリップとで構成されており、オスクリップに形成されたボスをリストバンドの両端部に形成された穴に挿入し、これにメスクリップに形成された止穴を嵌め合わせてリストバンドを環状に巻き止める。
【0004】
なお、リストバンドには、患者や新生児に取り付けるという理由から、肌に対する密着性が比較的良好なビニールで作製されたもの、患者固有の識別データを印字でき、かつ、安価に作製できるポリエチレンの不織布などの布帛や合成紙で作製されたものが存在するが、いずれの材質とも手で切れるものではなく、切断時には鋏などの切断用具でリストバンドを切り離している。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−15527号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のクリップは、リストバンドに形成された穴にボスを通して止めるだけの構成のため、大人から新生児、また、手首や足首などの巻き止め条件がさまざまであり、どのような条件にも対応可能なように余裕のある長さのリストバンドであり、クリップで巻き止めた後に生じた余分なリストバンドは邪魔であることから鋏などの切断用具で切断する必要があった。
【0007】
鋏などの切断用具を用いることは、患者や新生児の肌を傷つける心配もあり、また、鋏などの切断用具を用意することが、切り離し作業を煩わしいものにしてしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、手首や足首などに巻き止めた後に生じた余分なリストバンドを鋏などの切断用具を用いることなく切断可能なリストバンド用クリップを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、オスクリップとメスクリップとがヒンジ部で連結され、一端にセット穴が形成されるとともに、他端にバンド穴が一定の間隔をもって複数形成されたリストバンドを環状に巻き止めるリストバンド用クリップにおいて、前記リストバンドを環状に巻き止めると同時に、該リストバンドのバンド穴形成部の側端部に切込みを入れるカット手段を設けたことを特徴とするリストバンド用クリップを提供する。
【0010】
本発明によれば、リストバンドを環状に巻き止めて、余ったバンド穴形成部の側端部に切込みを入れることで、鋏などの切断用具を使用せずに切り離しが可能となる。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記カット手段は、
メスクリップの外周部近傍に形成され、先端が鋭角となった突起ピンと、オスクリップに形成され、前記突起ピンが嵌入されるピン穴とからなることを特徴とする請求項1に記載のリストバンド用クリップを提供する。
【0012】
本発明によれば、リストバンドのバンド穴形成部の側端部に突起ピンとピン穴とで切込みを入れることで、余ったバンド穴形成部を引くことで容易に切り離すことが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るリストバンド用クリップの好ましい実施の形態について詳説する。
【0014】
図1、図2、図3は、それぞれ本発明に係るリストバンド用クリップの一実施形態を示す斜視図、正面図、平面図である。
【0015】
同図に示すように、本実施の形態のリストバンド用クリップ10は、オスクリップ12とメスクリップ14とで構成されている。オスクリップ12とメスクリップ14は、共に合成樹脂材によって扁平な楕円形状に形成されており、ヒンジ部16で連結されて一体的に成形されている。そして、ヒンジ部16で折り畳むことにより、オスクリップ12の上面をメスクリップ14で閉じるように構成されている。
【0016】
オスクリップ12の上面には、リストバンド30に形成されたセット穴38とバンド穴40に通される一対のボス20A、20Bが突出して形成されている。このボス20A、20Bは、セット穴38とバンド穴40の形成間隔Pと同じ間隔で形成されており、その先端部に断面半円形状の爪部20a、20bが形成されている。
【0017】
一方、メスクリップ14には、凸部22が形成されて一対のボス収容穴24A、24Bが形成されており、オスクリップ12にメスクリップ14が嵌合されると、この一対のボス収容穴24A、24Bにオスクリップ12に形成された一対のボス20A、20Bが収容される。
【0018】
また、メスクリップ14にはロック用のロックピン26が形成されており、オスクリップ12には、このロックピン26が嵌合されるロック穴28が形成されている。リストバンド用クリップ10は、ヒンジ部16で折り畳むと、メスクリップ14に形成されたロックピン26が、オスクリップ12に形成されたロック穴28に嵌合されて、折り畳まれた状態で繋ぎ止められる。
【0019】
このメスクリップ14に形成されたロックピン26は、角柱状に形成された軸部26Aと、その軸部26Aの先端に一体的に成形された断面半円形状の拡径部26Bとで構成されている。
【0020】
一方、オスクリップ12に形成されたロック穴28は矩形の貫通穴として形成されており、その入口部28aには、板状に形成された一対の逆止片28A、28Aが内側に張り出して形成されている。この一対の逆止片28A、28Aは、互いに対向するように配置されており、入口部28aから出口部に向けて所定の傾斜をもって配置されている。
【0021】
上述したように、オスクリップ12はヒンジ部16で折り畳むと、メスクリップ14に形成されたロックピン26がオスクリップ12に形成されたロック穴28に嵌入されて、両者が繋ぎ止められる。この際、ロックピン26はロック穴28の内側に張り出された逆止片28A、28Aを拡径部26Bで押し広げながら嵌入され、逆止片28A、28Aは拡径部26Bが通過すると、その弾性復元力で縮径し、拡径部26Bの上側に嵌まり込む。この結果、ロックピン26をロック穴28から抜こうとすると、拡径部26Bが逆止片28A、28Aに引っ掛かり、抜けが防止される。また、この状態でロックピン26を無理に引き抜こうとすると、逆止片28A、28Aの先端が拡径部26Bに押されて縮径し、この縮径した逆止片28A、28Aにロックピン26の軸部26Aが両側から締め付けられて、より強固に抜けが防止される。
【0022】
また、メスクリップ14には、先端が鋭角となった突起ピン17が形成されており、オスクリップ12には、この突起ピン17が嵌入されるピン穴18が形成されている。
【0023】
図4は、本実施の形態のリストバンド用クリップ10によって巻き止められるリストバンド30の斜視図である。同図に示すように、リストバンド30はセット穴形成部31とバンド穴形成部33と幅広に形成された表示部32とからなり、この幅広に形成された表示部32に所定の情報(ここでは、患者名、科名、病棟名、血液型、バーコード及び二次元コード)が印字できるようにされている。また、セット穴形成部31に長穴状のセット穴38、38が2つ、バンド穴形成部33に長穴状のバンド穴40、40…が複数、一定の間隔Pをもって形成されており、このセット穴38とバンド穴40をリストバンド用クリップ10で留めることにより環状に巻き止められる。
【0024】
また、リストバンド30は、バンド穴形成部33の幅Dと、セット穴形成部31の幅Wとに形成されており、バンド穴形成部33の幅Dはセット穴形成部31の幅Wよりも広く形成されている。すなわち、図5に示すように、セット穴形成部31の幅Wは、このリストバンド30のセット穴形成部31をオスクリップ12に取り付けたときには、オスクリップ12に設けたピン穴にかからない程度の寸法とし、バンド穴形成部33の幅Dは、このリストバンド30のバンド穴形成部33をオスクリップ12に取り付けたときには、バンド穴形成部33の側端部がオスクリップ12に設けたピン穴に覆いかぶさる寸法に形成されている。
【0025】
次に、本実施の形態のリストバンド用クリップ10を用いてリストバンド30を手首に巻き付ける方法について説明する。
【0026】
図5に示すように、まず、オスクリップ12に表示された矢印とリストバンド30に印刷された矢印の向きを合わせ、リストバンド30のセット穴形成部31に形成された2つのセット穴38、38にオスクリップ12に形成された一対のボス20A,20Bを通す。これにより、リストバンド用クリップ10がリストバンド30に取り付けられる。
【0027】
次に、リストバンド30を手首に巻き付け、リストバンド30のバンド穴形成部33に複数形成されたバンド穴40、40、…の2つに一対のボス20A、20Bを通す。これにより、リストバンド30が手首に巻きつけられる。
【0028】
すなわち、リストバンド30のセット穴形成部31の上部にバンド穴形成部33が重なりオスクリップ12に取り付けられ、オスクリップ12に設けたピン穴18はバンド穴形成部33で覆われている。
【0029】
次に、リストバンド用クリップ10を折り畳み、オスクリップ12の上面をメスクリップ14で閉じる。ここで、リストバンド用クリップ10を折り畳むと、オス
クリップ12に形成されたボス20A、20Bの先端がメスクリップ14の凸部22に形成されたボス収容穴24A、24Bに収容される。これにより、リストバンド30がオスクリップ12とメスクリップ14とで挟まれる。
【0030】
また、リストバンド用クリップ10を折り畳むと、メスクリップ14に形成されたロックピン26がオスクリップ12に形成されたロック穴28に嵌合する。これにより、リストバンド用クリップ10が折り畳まれた状態で固定される。
【0031】
また、リストバンド用クリップ10を折り畳むことで、オスクリップ12のピン穴18を覆ったリストバンド30のバンド穴形成部33の側端部は、メスクリップ14に設けた突起ピン17の押圧により切込みが生ずる。さらに、リストバンド用クリップ10で巻き止めた後の余分なバンド穴形成部33(リストバンド用クリップからはみ出た端部)を持って引くことで、バンド穴形成部33の側端部に生じた切込み部から引き裂かれ、余分なバンド穴形成部33を除去することが可能となる。
【0032】
以上により、リストバンド30が手首に巻き付けられ、折り畳まれたリストバンド用クリップ10から延出した長さ調整用として設けたリストバンド30の余分なバンド穴形成部33は、鋏などの切断用具を用いることなく除去が可能となる。
【0033】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0033】
また、本実施の形態では本発明を病院等で患者識別のために使用されるリストバンドに適用した例で説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではなく、遊園地等のアミューズメント施設で入場チケット等として使用されるリストバンドやスキー場等でリフト券等として使用されるリストバンドなど、あらゆる用途のリストバンドに適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リストバンド用クリップで環状に巻き止められたリストバンドは、オスクリップとメスクリップとに形成された突起ピンとピン穴とによって、バンド穴形成部の側端部に切り込みが入り、鋏などの切断用具を用いることなくリストバンドの余分なバンド穴形成部を手で引っ張ることで、切り離し除去することができ、患者や新生児の安全を確保できると共に、除去作業を簡便化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】リストバンド用クリップの一実施形態を示す斜視図
【図2】リストバンド用クリップの一実施形態を示す正面図
【図3】リストバンド用クリップの一実施形態を示す平面図
【図4】リストバンドの構成を示す斜視図
【図5】クリップの取り付け方法を示す平面図
【符号の説明】
10…リストバンド用クリップ、12…オスクリップ、14…メスクリップ、16…ヒンジ部、17…突起ピン、18…ピン穴、20A、20B…ボス、20a、20b…爪部、22…凸部、24A、24B…ボス収容穴、26…ロックピン、26A…軸部、26B…拡径部、28…ロック穴、28A…逆止片、30…リストバンド、31…セット穴形成部、32…表示部、33…バンド穴形成部、38…セット穴、40…バンド穴

Claims (2)

  1. オスクリップとメスクリップとがヒンジ部で連結され、一端にセット穴が形成されるとともに、他端にバンド穴が一定の間隔をもって複数形成されたリストバンドを環状に巻き止めるリストバンド用クリップにおいて、
    前記リストバンドを環状に巻き止めると同時に、該リストバンドのバンド穴形成部の側端部に切込みを入れるカット手段を設けたことを特徴とするリストバンド用クリップ。
  2. 前記カット手段は、
    メスクリップの外周部近傍に形成され、先端が鋭角となった突起ピンと、
    オスクリップに形成され、前記突起ピンが嵌入されるピン穴とからなることを特徴とする請求項1に記載のリストバンド用クリップ。
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