JP4203596B2 - 薄膜熱物性測定方法及び測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜の熱容量、比熱容量、熱拡散率、熱伝導率を測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
実用的で装置が普及している熱容量測定装置としては、DSCがある。投入した熱流と温度上昇から熱容量を測定する。また、示差方式レーザーフラッシュ法においては、熱容量が既知の円板状試料と、熱容量が未知の円板状試料とを同時にパルス加熱し、温度変化の比から未知試料の熱容量を測定する。いずれもバルク材料を対象としており、通常試料の大きさは直径5mm程度で厚さ1mm程度の大きさである。しかし、厚さ1mm程度の基板上に成膜された厚さ100ナノメートルオーダーの薄膜の場合、薄膜の熱容量は基板の熱容量の10-2から10-5程度であるので、従来の方法では殆ど測定が不可能である。レーザーフラッシュ法と同一原理のピコ秒サーモリフレクタンス法によれば薄膜の熱容量に依存する信号を観測することが可能であるが、熱容量の絶対値を求めるためには、薄膜の反射率や反射率の温度係数、吸収率、照射領域の強度分布を正確に知る必要があり、多様な薄膜に対して個別に別途計測する必要があるので、実用上困難が伴う。
【0003】
ピコ秒サーモリフレクタンス法は、厚さ1マイクロメートル以下の薄膜の熱拡散率を測定する方法である。図1に既に本発明者等が提案している一般的なピコ秒サーモリフレクタンス信号測定装置のブロック図を示す。光源1からのパルス幅が2ピコ秒程度のパルス光が、frep(76MHz程度)の繰り返しで発振され、ビームスプリッタ2によって試料加熱光と測温光に分離される。試料加熱光は音響光変調素子3を通過する際に周波数fmod(1MHz程度)の強度変調を受ける。変調用の信号は周波数発生器4によって作られる。強度変調を受けた加熱光は基板に対して薄膜が積層された薄膜試料6の界面7に照射され、測温パルス光は加熱光照射領域の薄膜表面8に照射される。図2に示すように、同一周波数frepで繰り返し発振されている測温パルス光が加熱パルス光に対して時間差tpp秒だけ遅れて試料表面に到達すると、反射後の測温パルス光の強度変化はパルス加熱からtpp秒後の温度変化に比例する。加熱光は周波数fmodで強度変調されているので測温光の反射光強度も周波数fmodで変調される。
【0004】
試料反射後の測温光の強度変化は図1に示される検知器9によって電気的信号に変換される。温度変化に比例した反射率の変化(サーモリフレクタンス)は1Kの温度上昇に対し、10-4〜10-5と小さいので、検出された信号のうち変調周波数fmodに同期した成分がロックインアンプによって検出される。ピコ秒サーモリフレクタンス法によって得られるパルス加熱に対する反射光強度変化は温度上昇に比例しているので、バルク材料の熱拡散率測定法であるレーザーフラッシュ法と本質的に同一の原理により薄膜の熱拡散率を算出することができる。
【0005】
なお、ピコ秒サーモリフレクタンス法に関連した技術として、下記特許文献1(特開2000−121586号公報)、特許文献2(特開2001−116711号公報)、特許文献3(特開2001−83113号公報)、特許文献4(特開2002−122559号公報)等が公知技術として存在し、また、微小信号測定方法について特願2001−339582号が存在する。
【0006】
次の加熱パルス光が到達するまでに前のパルス加熱光による温度上昇が初期温度レベルに戻らない場合、薄膜内部に熱が蓄積される(図3)。このため、図4に示すように自発的に生成された変調周波数fmodの信号が生成される。このとき変調周波数fmodに同期した信号成分は、1パルス加熱による温度上昇に比例した信号と自発的に生成された変調周波数fmodの信号の重ね合わせで表される。変調周波数fmodに同期した位相成分の遅延時間tppに対する変化は、自発的に生成された信号振幅に対するパルス加熱による温度上昇の比として表されるので、位相成分を用いる微小信号検出方法では、従来用いられてきた振幅成分に比べて、ドリフトのような加熱光強度のゆらぎに影響されない。この微小信号測定方法とピコ秒サーモリフレクタンス法を組み合わせることで、厚さ100ナノメートルオーダーの薄膜に対して定量的な熱拡散率の測定が可能となってきた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−121586号公報
【特許文献2】
特開2001−116711号公報
【特許文献3】
特開2001−83113号公報
【特許文献4】
特開2002−122559号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
半導体素子や光ディスク、ハードディスク、光磁気ディスクなどの大容量記憶媒体の熱設計、積層複合材料など先端的な多層膜内の熱エネルギー移動を把握するためには、各層の熱拡散率や層間の界面熱抵抗の値のみならず、薄膜の比熱容量を知ることが必要である。従来熱設計においては、バルクの比熱容量とバルクの密度から算出していたが、比熱容量そのものが薄膜とバルクで同一かは自明ではなく、しかも薄膜の比熱容量と密度は成膜条件によって異なる可能性があるので、対象となる薄膜の熱容量を実測することが求められる。しかし、厚さ1mm程度の基板上に成膜された厚さ100ナノメートル程度の薄膜の場合、薄膜の熱容量は基板の熱容量の10-2から10-5程度であるので、従来の方法では殆ど測定が不可能である。
【0009】
したがって本発明は、これまで測定が困難であった基板に成膜された厚さ1マイクロメートル以下の薄膜の単位面積あたりの熱容量測定を実現するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、基板上に形成された薄膜において、薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比を測定し、基板の熱浸透率を既知として、薄膜の単位面積あたりの熱容量を算出する。
【0011】
また、薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比は、薄膜試料表面を周波数fmodで周期加熱し、試料表面の周波数fmodの温度変化における位相成分から算出する。
【0012】
あるいは、周波数fmodの強度変調を施した繰り返し周波数frep (>fmod)のパルス加熱を行い、周波数fmodの温度応答の振幅と次の加熱パルスが試料に到達するまでのパルス加熱による温度上昇の比から、薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比を算出する。
【0013】
また、周波数fmodの温度応答の振幅と連続した加熱パルス間の温度上昇の比を、変調周波数fmodに同期した表面温度の位相変化から測定することを特徴とする。
【0014】
また、薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比を測定するために、加熱源として光を用いる。
【0015】
また、測定された単位面積あたりの薄膜熱容量から、薄膜の厚さを既知として薄膜の単位体積あたりの熱容量を測定する。
【0016】
また、薄膜の密度を既知として薄膜の比熱容量を測定する。
【0017】
更に、検出された位相成分の信号変化から薄膜の単位体積あたりの熱容量を測定すると同時に薄膜の膜厚方向の熱拡散率を測定し、両者の測定結果から薄膜の膜厚方向の熱伝導率を同時に測定する、等の種々の手段を採用する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明を具体化する装置のブロック図を示しており、前記のように本発明者等によって提案しているピコ秒サーモリフレクタンス信号測定装置と同様のものが用いられる。図示の装置は、周波数frep(76MHz)で発振するパルス幅2psのチタンサファイアレーザーを光源1とし、ビームスプリッタ2により、加熱パルス光と測温パルス光に分離される。
【0019】
この繰り返し発振する加熱パルス光は音響光変調素子3を通過する際に、周波数1MHzで強度変調される。周波数1MHzの強度変調用の信号は周波数発生器4によって供給される。強度変調用の信号はロックインアンプ5に参照信号の入力としても用いられる。変調の方法は、ここでは、音響光変調素子3を用いたが、例えば他に機械式のチョッパや電気光学結晶素子を用いても良い。また変調周波数fmodは、ここでは、1MHzを用いたが、パルスの繰り返し周波数より遅い周波数であることが必要で、例えばパルス光の繰返し周波数frepが76MHz場合に対しては変調周波数fmodとして500kHzから10MHzが適当である。
【0020】
変調された加熱光は、薄膜試料6の薄膜と基板の界面7に集光される。一方、測温光は、加熱された領域の正反対側の薄膜表面8上に集光される。
【0021】
薄膜試料6の表面で反射した測温光は、シリコンフォトダイオードによって構成することのできる検知器9によって検出される。検出された信号はロックインアンプ5の信号入力端子へ送られる。試料表面の温度は加熱光の強度変調により1msで変化する成分があるので、試料で反射した測温光も微小ながら1MHzの周波数的成分を含む。この強度変調周波数1MHzに同期した測温光の交流成分が、ロックインアンプによって検出される。
【0022】
ここでは加熱に周波数frepが76MHzのピコ秒チタンサファイアレーザーを用いたが、一定時間隔で発振するパルスレーザーで、加熱光に対してはその発振間隔より長い周波数の強度変調がかけられれば良い。例えばパルス光の発振周波数frepが10kHzのパルスYAGレーザーを光源に用いる場合、強度変調周波数fmodとして500Hz程度にして用いても良い。
【0023】
また検知器9は、必ずシリコンフォトダイオードである必要はなく、検知器の素子に入射した光の強度に比例した電気信号を発生できる素子ならば良くて、例えばフォトマルチプライヤーのようなものでも良い。
【0024】
温度変化に比例した反射率変化(サーモリフレクタンス)の時間変化は、加熱パルス光に対する測温パルス光の試料到達時間の遅れを折り返しミラーの位置を変化させることで記録される。
【0025】
ここでは、遅延ラインを用いた加熱パルス光に対する測温パルス光の照射タイミングの制御を行ったが、加熱パルス光と測温パルス光を別々の光源とし、パルス光の発振時における両光のタイミングを電気的な信号で制御しても良い。
【0026】
参照信号の振幅δT に対するパルス加熱による温度上昇ΔT(tpp) がある程度1より小さい場合、ある遅延時間tppにおける位相の参照信号の位相に対する遅れ、 φ, はパルス加熱後tppにおけるパルス加熱に対する温度上昇に比例し、以下の式(1)で表される。(微小信号測定方法については特願2001-339582号に詳述)
【数1】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
ここで、 θは参照信号の強度変調に対する位相である。式(2)で示されるように参照信号に対する位相変化はパルス加熱による温度上昇に対する参照信号の温度振幅に比例する。
【0027】
測定によって得られた加熱パルスに対する位相の時間変化から、もし、薄膜が基板側の界面と薄膜表面で断熱であるとするとパルス加熱による最大温度上昇、ΔTmax、は次のように表される。
【数2】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【0028】
ここで、Qは単位面積単位加熱パルス当たり薄膜に吸収されたエネルギー、ρfは薄膜の密度、 cf は薄膜の比熱容量、 df は薄膜の厚さ、 bs 基板の熱浸透率、Cff cf df は単位面積あたりの薄膜の熱容量である。一方参照信号の温度振幅、 δT、は変調周波数fmodに対するものである。単位面積単位時間当たり供給される熱量、 q, は単位面積単位加熱パルス当たり薄膜に吸収されたエネルギー、 Q, と繰り返し周波数, frep,を通して次の関係がある。
【数3】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【0029】
膜を横切る熱の特性時間τf, と 薄膜に対する基板の熱浸透率比 β. がそれぞれ ωmod τf<<1, β<<1,であるとき、 参照信号の温度振幅と加熱光の変調に対する位相遅れ、 d, は以下の式で表すことができる。
【数4】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【数5】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【数6】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【0030】
式 (2)、 (3)、 (4)、 (5)、 (6) を式(1)に代入して、参照信号の振幅に対する位相変化の最大値の比は以下の式で表される(図4)。
【数7】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【0031】
(7)式右辺第1項を左辺に移項し、補正された位相変化量Xを下記のように定義する。
【数8】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【数9】
Figure 0004203596
Figure 0004203596
【0032】
(8)式から、 補正された最大位相変化は(9)式で示されるように単位面積あたりの薄膜比熱容量に反比例する。この式で最も特徴的な点は関係式に薄膜の光学的性質(反射率、反射率の温度係数、吸収される光のエネルギー密度の絶対値)が含まれていないことである。これに対し、信号振幅の変化量から比熱容量を算出する場合、各薄膜の光学的性質を知ることが不可欠となり、薄膜熱容量の算出手順が複雑化し実用上困難である。
【0033】
(9)式が示すようにfmodとfrepは実験条件で決まる量であり、補正された最大位相変化は観測される量であるから、基板の熱浸透率が既知であれば、薄膜の単位面積あたりの熱容量が算出される。
【0034】
【実施例】
従来の計測技術より長い遅延時間が実現可能であることを検証するために、図6に示すようなガラス基板上にスパッタにより成膜された厚さ150ナノメートル,200ナノメートルモリブデン薄膜を用意し、ピコ秒サーモリフレクタンス法による位相成分の測定を行い、図5に示したようなサーモリフレクタンス信号を検出することができた。
【0035】
検出された信号を基に、ガラス基板の熱浸透率の値としてバルクの値1330 Jm-2s-0.5 を用い、モリブデン薄膜について、薄膜の単位体積当りの熱容量等を導出した式に基づいて計算したところ、表1のようになった。薄膜の単位体積当たりの熱容量はバルクのモリブデンに対する値2.53Jm-3K-1に近い値が得られた。同様にスパッタで成膜されたタングステン薄膜に対しても単位面積当りの熱容量を測定したところ、バルクのタングステンが持つ単位体積当りの熱容量2.57Jm-3K-1に近い値が得られた。また、密度を既知とし、薄膜の比熱も算出した。さらに、単位体積当たりの熱容量と熱拡散率から膜厚方向の熱伝導率が算出された。
【表1】
Figure 0004203596
【0036】
【発明の効果】
本発明により、ピコ秒サーモリフレクタンス法を用いて厚さ1マイクロメール以下の薄膜に対して薄膜試料の光学的性質を精密に決める必要なしに、単位面積あたりの薄膜熱容量が測定できるようになった。膜厚、密度を既知とすることで、薄膜の比熱容量の測定も可能であり、薄膜を使ったデバイスの熱設計に必要な比熱容量、熱拡散率、熱伝導率全てを測定することができる。これにより薄膜熱物性のデータ整備が飛躍的に進み、信頼性の高い熱設計によりデバイス開発が加速度的に進むことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施した測定装置のブロック図である。
【図2】ピコ秒サーモリフレクタンス法による信号検出の原理を示した図である。
【図3】繰り返し周波数frepでパルス発振し、周波数fmodで強度変調される加熱パルス光とその加熱による試料表面の温度変化を定性的に表した図である。
【図4】算出方法の模式図である。
【図5】試料の模式図と厚さ150nm、200nmのモリブデン薄膜を測定した結果である。
【図6】薄膜試料の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光源
2 ビームスプリッタ
3 音響光変調素子
4 周波数発生器
5 ロックインアンプ
6 薄膜試料
7 薄膜と基板の界面
8 薄膜表面
9 検知器

Claims (22)

  1. 薄膜試料表面または薄膜の基板側との接着面を、周波数f mod で周期的に加熱し、
    前記周波数に同期した薄膜表面の温度変化を測定し、
    前記温度変化から、薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比を算出し、
    前記比と既知の基板の熱浸透率から薄膜の単位面積当たりの熱容量を測定することを特徴とする薄膜熱物性測定方法。
  2. 薄膜試料表面または薄膜の基板側との接着面を、周波数fmodで周期的に加熱し、
    前記周波数に同期した薄膜表面の温度変化を測定し、
    前記温度変化から周期加熱光に対する薄膜試料表面の温度変化の位相差を測定し、
    前記位相差から薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比を算出し、
    前記比と既知の基板の熱浸透率から薄膜の単位面積当たりの熱容量を測定することを特徴とする薄膜熱物性測定方法。
  3. 薄膜試料表面または薄膜の基板側との接着面に、周波数fmodの変調を施した繰り返し周波数frep(>fmod)のパルス加熱を行い、
    前記パルス加熱時に生じる薄膜表面の温度変化を周波数f rep の繰り返しで検出し、
    前記パルス加熱に対する検出の時期を変化させながら、f mod に同期した薄膜表面の温度変化を記録し、
    前記記録した信号から、周波数fmod で連続的な周期加熱を実施した時の温度振幅と、パルス加熱後次のパルス加熱までに生じる温度上昇との比を算出し、
    前記算出した比から薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率との比を算出し、
    前記比と既知の基板の熱浸透率から薄膜の単位面積当たりの熱容量を測定することを特徴とする薄膜熱物性測定方法。
  4. 前記記録した信号の位相成分の変化から、周波数fmodの温度応答の振幅と、パルス加熱の後次のパルスにより加熱されるまでに生じる温度上昇との比を、変調周波数fmodに同期した表面温度の位相変化から測定することを特徴とする請求項3に記載の薄膜熱物性測定方法。
  5. 加熱源として光を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定方法。
  6. 透明基板上に形成された薄膜の片面を光加熱し、薄膜の正対する面の温度応答を、試料からの熱放射により検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定方法。
  7. 透明基板上に形成された薄膜の片面を光加熱し、薄膜の正対する面の温度応答を、測温光の反射光強度変化により検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定方法。
  8. 温度応答検出用の測温光としてパルス光を用い、加熱パルス光との時間差の制御により温度応答を測定することを特徴とする請求項7に記載の薄膜熱物性測定方法。
  9. 薄膜の厚さを既知として薄膜の単位体積あたりの熱容量を測定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定方法。
  10. 薄膜の密度を既知として薄膜の比熱容量を測定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定方法。
  11. 検出された位相成分の信号変化から薄膜の単位面積あたりの熱容量を測定すると同時に、パルス加熱後の温度応答と薄膜の膜厚から、薄膜の膜厚方向の熱伝導率を測定することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定方法。
  12. 薄膜試料表面または薄膜の基板側との接着面を、周波数mod で周期的に加熱する手段と、
    前記周波数に同期した薄膜表面の温度変化を測定する手段と、
    前記温度変化から、薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比を算出する手段と
    前記比と既知の基板の熱浸透率から薄膜の単位面積当たりの熱容量を測定する手段を備えたことを特徴とする薄膜熱物性測定装置。
  13. 薄膜試料表面または薄膜の基板側との接着面を、周波数fmodで周期的に加熱する手段と、
    前記周波数に同期した薄膜表面の温度変化を測定する手段と、
    前記温度変化から周期加熱光に対する薄膜試料表面の温度変化の位相差を測定する手段と、
    前記位相差から薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率の比を算出する手段と
    前記比と既知の基板の熱浸透率から薄膜の単位面積当たりの熱容量を測定する手段を備えたことを特徴とする薄膜熱物性測定装置。
  14. 薄膜試料表面または薄膜の基板側との接着面に、周波数fmodの変調を施した繰り返し周波数frep(>fmod)のパルス加熱を行う手段と、
    前記パルス加熱時に生じる薄膜表面の温度変化を周波数rep の繰り返しで検出する手段と、
    前記パルス加熱に対する検出の時期を変化させながら、mod に同期した薄膜表面の温度変化を記録する手段と、
    前記記録した信号から、周波数fmod連続的な周期加熱を実施した時の温度振幅と、パルス加熱後次のパルス加熱があるまでに生じる温度上昇との比を算出する手段と、
    前記算出した比から薄膜の単位面積あたりの熱容量と基板の熱浸透率との比を算出する手段と
    前記比と既知の基板の熱浸透率から薄膜の単位面積当たりの熱容量を測定する手段を備えることを特徴とする薄膜熱物性測定装置。
  15. 周波数fmodの温度応答の振幅と、パルス加熱の後次のパルスにより加熱されるまでに生じる温度上昇との比を、変調周波数fmodに同期した表面温度の位相変化から測定する手段を備えたことを特徴とする請求項14に記載の薄膜熱物性測定装置。
  16. 加熱源として光を用いることを特徴とする請求項12〜15のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定装置。
  17. 透明基板上に形成された薄膜の片面を光加熱する手段と、薄膜の正対する面の温度応答を、試料からの熱放射により検出する手段とを備えたことを特徴とする請求項12〜16のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定装置。
  18. 透明基板上に形成された薄膜の片面を光加熱し、薄膜の正対する面の温度応答を、測温光の反射光強度変化により検出することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定装置。
  19. 温度応答検出用の測温光としてパルス光を用い、加熱パルス光との時間差の制御により温度応答を測定することを特徴とする請求項18に記載の薄膜熱物性測定装置。
  20. 薄膜の厚さを既知として薄膜の単位体積あたりの熱容量を測定する手段を備えたことを特徴とする請求項12〜19のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定装置。
  21. 薄膜の密度を既知として薄膜の比熱容量を測定する手段を備えたことを特徴とする請求項12〜20のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定装置。
  22. 検出された位相成分の信号変化から薄膜の単位面積あたりの熱容量を測定すると同時に、パルス加熱後の温度応答と薄膜の膜厚から、薄膜の膜厚方向の熱伝導率を測定する手段を備えたことを特徴とする請求項12〜21のいずれか一つに記載の薄膜熱物性測定装置。
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