JP4200989B2 - 音響設計支援装置および音響設計支援プログラム - Google Patents
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アレイスピーカを構成する複数のスピーカユニットのそれぞれの設置角度の最適値を計算する音響設計支援装置であって、
前記各スピーカユニットの設置角度の組み合わせを設置角度パターンとして複数パターン設定するパターン設定手段と、
前記設定した各設置角度パターンについて、各スピーカユニットの所定の設置角度におけるスピーカユニットの軸線と受音面との交点である軸点の位置を計算する軸点位置計算処理、前記軸点での音圧レベルの周波数特性について前記軸点間のばらつき具合が最小となるように各スピーカユニットのイコライザパラメータを決定するイコライザパラメータ計算処理、決定したイコライザパラメータと各スピーカユニットの周波数特性に基づき、受音面に予め設定した複数の点における音圧レベルのばらつき具合を求める音圧レベルばらつき具合算出処理を行う音圧レベルばらつき具合算出手段と、
音圧レベルばらつき具合算出手段で求めた音圧レベルのばらつき具合が最も小さい設置角度パターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択するパターン選択手段と、
を備えたことを特徴とする。
アレイスピーカを構成する複数のスピーカユニットのそれぞれの設置角度の最適値を計算する音響設計支援プログラムであって、コンピュータに、以下のステップを実行させることを特徴とする。
(1)前記スピーカユニットの設置角度の組み合わせを設置角度パターンとして複数パターンを設定するパターン設定ステップと、
前記設定した各パターンについて、
(2−1)前記設定した各設定角度パターンについて、各スピーカユニットの所定の設置角度におけるスピーカユニットの軸線と受音面との交点である軸点の位置を計算する軸点位置計算ステップ、
(2−2)前記軸点での音圧レベルの周波数特性について前記軸点間のばらつき具合が最小となるように、各スピーカユニットのイコライザパラメータを決定するイコライザパラメータ計算処理ステップ、
(2−3)決定したイコライザパラメータと各スピーカユニットの周波数特性に基づき、受音面に予め設定した複数の点における音圧レベルのばらつき具合を求める音圧ばらつき具合算出処理を行う音圧レベルばらつき具合算出ステップと、
(3)前記音圧レベルばらつき具合算出ステップで求めた音圧レベルのばらつき具合が最も小さいパターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択するパターン選択ステップ。
(a)の構成のパターン設定手段、音圧レベルばらつき具合算出手段、および、パターン選択手段により実行される処理をループ状に繰り返し実行する音響設計支援装置であって、
前記パターン設定手段は、初回のループで粗い角度刻みで複数の設置角度パターンを設定する手段、および、前回のループで設定した設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さい1または複数の設置角度パターンの近傍で更に細かい角度刻みで複数の設置角度パターンを再設定する手段を含み、
前記パターン選択手段は、前記パターン設定手段が設定した複数の設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さいものを1または複数選択する手段、および、最終ループで、前記細かい角度刻みの複数の設置角度パターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択する手段を含むことを特徴とする。
(b)の構成のパターン設定ステップ、音圧レベルばらつき具合算出ステップ、および、パターン選択ステップをループ状に繰り返し実行する音響設計支援プログラムであって、
前記パターン設定ステップは、初回のループで粗い角度刻みで複数の設置角度パターンを設定するステップ、および、前回のループで設定した設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さい1または複数の設置角度パターンの近傍で更に細かい角度刻みで複数の設置角度パターンを再設定するステップを含み、
前記パターン選択ステップは、前記パターン設定手段が設定した複数の設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さいものを1または複数選択するステップ、および、最終ループで、前記細かい角度刻みの複数の設置角度パターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択するステップを含むことを特徴とする。
前記イコライザパラメータ計算処理は、
各スピーカユニットに供給する音声信号の周波数特性を制御するイコライザの各チャンネルの周波数ごとに、当該チャンネルの周波数における各スピーカユニットのゲイン設定レベルを組み合わせたパターンを設定し、
当該パターンの中から、前記設定したパターンについての前記チャンネルの周波数における前記スピーカユニットそれぞれの前記軸点でのゲインについて、前記軸点間のばらつき具合が最小となるパターンを、前記各チャンネルの周波数ごとに独立に選出することにより、各スピーカユニットごとのイコライザパラメータを算出することを特徴とする。
前記イコライザパラメータ計算処理ステップは、
各スピーカユニットに供給する音声信号の周波数特性を制御するイコライザの各チャンネルの周波数ごとに、当該チャンネルの周波数における各スピーカユニットのゲイン設定レベルを組み合わせたパターンを設定し、
当該パターンの中から、前記設定したパターンについての前記チャンネルの周波数における前記スピーカユニットそれぞれの前記軸点でのゲインについて、前記軸点間のばらつき具合が最小となるパターンを、前記各チャンネルの周波数ごとに独立に選出することにより、各スピーカユニットごとのイコライザパラメータを算出することを特徴とする。
図1の操作部102は、各種の設定条件の入力、音場のシミュレーションの指示入力、スピーカ配置の最適化の指示入力、およびシミュレーション結果の表示形式の選択を受付ける。
図1のCPU103は、後述の外部記憶装置104に格納したプログラム10を実行するものであり、操作部102の指示を受けて、音響設計支援装置1の他のハードウェア資源と協働してこのプログラムを実行する。
図1の外部記憶装置104は、例えばハードディスクなどで構成され、プログラム10と、スピーカの周囲のインパルス応答などをFFT化したSPデータ107と、このスピーカに適するイコライザのデータであるイコライザデータ108と、スピーカ選択テーブル109(後述図6参照。)と、集会施設基本形状データ110を格納している(詳細は後述する。)。
また、図1のメモリ105は、外部記憶装置104に格納したデータを読み出したデータを一時的に記憶して、CPU103とデータを交換する。
図1の音声出力装置106は、音響設計支援装置1のシミュレーションの結果として、受音面の所定の位置での音場を、図示しないヘッドホンやスピーカ等を通して音声で確認する場合に用いる。音声出力装置106は、図示しないDSPと、D/A変換器とを備えており、外部記憶装置104に格納されている図示しない音源のデータに、前述のSPデータ107を周波数領域で畳み込んで、D/A変換器を通して、このヘッドホンから出力を行なう。
なお、後述図2のST3においてヘッドホンでの音場確認の際にはディレイの大きさによってFFTの長さを変える必要がある。
ST1では、シミュレーションの条件を設定する条件設定を行なう。
ST2では、この条件設定に基づきシミュレーション結果を表示するための特性を表したデータであるパラメータデータを計算する。この計算においては、以下のデータを用いる。
即ち、前述のとおり、音響設計に使用する各種スピーカについて、その方向ごとのインパルス応答の実測値データがそれぞれ予めフーリエ変換されたスピーカの特性データである全方向別SPデータ107Aを予め格納している。
そして、前述のとおり、スピーカの周波数領域の特性を調整するためのイコライザ用フィルタをフーリエ変換したイコライザデータ108(メモリ105内)がユニットごとに
シミュレーションの過程で、ユーザが設定、または自動計算される。
また、フーリエ変換済み時間遅れの位相補正フィルタ107C、
およびフーリエ変換済み距離減衰補正フィルタ107Dと、
がシミュレーションの過程で、図9に示すような格子点設定時に作成される。
これらから分かるように、107A、107B、107C、107Dのデータは、すべてFFT変換された周波数領域のデータとして持っている。特に位相補正フィルタ107C、距離減衰補正フィルタ107Dを周波数領域で持っているので、スピーカが複数であっても、位相をそろえるため逆FFT変換して時間軸上で加算する必要がなく、すべて周波数領域で計算するので、高速で音響パラメータを算出できる。
ST3では、この音響支援装置のシミュレーション結果を、図1の表示器101に出力する。
条件設定ST1では、このシミュレーションに必要な、さまざまな条件を設定する。ST11からST14までの条件を設定する。以下、説明する。
ST11では、スピーカが置かれる空間、例えば集会施設等の形状の情報(以下、単に「空間の形状」という。)を設定する。具体的には、空間の概略形状を選択すると共に、形状の詳細を数値入力する(後述の図3、図4の説明で詳述する。)。
ST12ではスピーカの選択を行い、それを空間のどこに配置するかを設定する。
ST13では、その設置されたそれぞれのスピーカの設置条件を設定する。例えばアレイスピーカのユニット間の角度などである。
ST14ではこのユニット間の干渉の条件を考慮するのか否か、受音面の格子点(後述、図9参照。)をどれだけ細かく取るかなどのシミュレーションの条件を設定する。
ST17では、設置されたアレイスピーカの角度(水平方向、垂直方向)およびユニット間の角度の最適な角度の組み合わせパターンを自動的に算出する。ここで、アレイスピーカの角度とは、スピーカ全体の指向軸の代表値となるもので、基準とする任意のユニットの指向軸の水平方向、垂直方向の角度のことであり、ユニット間の角度とは、隣接するユニット間の開き角度のことである。
図5に示すような用途選択表示12Aでは、音響施設等の使用目的を選択できるようにし、「音楽」、「スピーチ」にチェックマークを入れて、そのいずれか、またはその両方を選択できるようにする。ここで、「音楽」を選択した場合には、例えば、音圧レベルの周波数特性等の音質に関する音響性能を重視した音響設計であり、「スピーチ」を選択した場合には、例えば、音声の明瞭度に関する音響性能を重視した設計であるため、音響設計の目的の違いによりそれぞれ最適な設計内容とすることができる。
図5に示すようなスピーカの設置位置12Cでは、スピーカを設置する概略の設置位置を選択できるようにする。例えば、図5のスピーカの設置位置12Cのように舞台の中央側の「センタ」、舞台の下手側の「レフト」、舞台の上手側の「ライト」を選択できるようにする。
図5に示すような用途選択表示12A、スピーカの設置位置12Cの設定項目それぞれを、音響の設計者が前述のマウス等でチェックマークを入れて選択した場合には、本実施形態の装置では、最適なスピーカの候補を具体的に提示するようになっている。この候補の選択は、図2のST16に対応しており、音響設計支援装置1により自動的に行なわれる。
このスピーカの最適なスピーカの候補の選択は、図1のスピーカ選択テーブル109から、最適な候補を選択するようにする。この図1のスピーカ選択テーブル109のデータ構造は、図6のようなデータテーブルとなっている。図6は、スピーカ選択テーブル109のデータ構造を表す図である。スピーカ選択テーブル109は、図3、図4で設定した空間の形状の情報に基づいて適切なスピーカを選択するのに適したデータ構造となっており、スピーカタイプ名称109A、面積規模109B、用途109C、設置場所109D、縦横比率109Eを備えている。例えば、形状データ12Bに示す面積(受音面の面積)は450m2であり、スピーカの設置位置12Cで「センタ」にチェックしているから、図スピーカ選択テーブル109で選択できるのは、図5の最適なスピーカの候補16に示すように、スピーカD、スピーカJとなる。
ここで、設定角度(θint、θ、φ)のパターン数について例を挙げて説明する。たとえば、この刻み幅は、30度と設定することができる。図7(A)に示すように、図6に示す最適なスピーカの候補16からスピーカタイプ名称109AとしてスピーカDを選択した場合には、アレイスピーカの角度を−180度<θ≦180度、−90度≦φ≦90度の範囲で、30度毎に変化させる。更に各アレイスピーカユニットについてユニット間角度を30度から60度の範囲で、2.5度毎に変動させることができる。即ち、θとして180度、φとして90度を、またθintとして60度を選択して、図7(A)のように(θint、θ、φ)の設定17Aを行なう。この場合、θは、−180度から180度の範囲で30度ごとなので12通り、φは、−90度から90度の範囲で30度毎なので7通りある。また、θintは図6に示すように、スピーカタイプDは、前記の当初の設定可能範囲幅が30度(30度から60度)で、刻み幅は2.5度刻みなので13通り((60−30)/2.5+1=13)となる。かつ、θintは、θint1とθint2について2回掛け合わせることになる。したがって、合計は12×7×(13×13)=1092通りとなる。なお、通常各スピーカは、対称に組み合わせるので、θint1=θint2として計算することができ、上記合計は12×7×13=1092通りとなる。
図7(C)のS172において、基準周波数帯域のゲインを調整するイコライザのパターン(G1、G2、G3) fiHz をユニット16B、16C、16Dそれぞれについて設定する。
図7(C)のS173において、このパターンについて、前述の軸点17B、17C、17Dにおける音圧レベルの周波数特性を計算して、各基準周波数帯域での軸点17B、17C、17Dのばらつきが小さくなるパターンを選出する。具体的には、軸点17B、17C、17D間の分散を各基準周波数帯域ごとに計算し、さらに、この値の絶対値の平方根をとり、各基準周波数帯域ごとの標準偏差を計算する。なお、この標準偏差は、特定の周波数のゲインのばらつき度合いを示すものであり、この値が小さいほうがばらつき具合が小さいことになる。したがって、標準偏差が小さいパターンほど、適切なパターンとなる。
これらの段階により、S174で、ユニット16B、16C、16Dのイコライザを決定する。
また、図7(C)のようにして算出したイコライザのパラメータは、FFT化して図1の外部記憶装置104にイコライザデータ108として保存する。このようにすれば、図2に示したシミュレーションパラメータ計算S2で、周波数領域の畳み込み演算のみで、このシミュレーションパラメータを計算でき、迅速に計算結果を出力できる。前述のとおり、音響設計支援装置においては、何度も条件を変更して、繰り返しシミュレーションを行なって最適設計を行なうが多く、このような装置に対し、イコライザのパラメータをFFT化することが効果的である。
即ち、スピーカユニットごとに
(フーリエ変換済み時間遅れの位相補正フィルタ107Cと、およびフーリエ変換済み距離減衰補正フィルタ107Dのデータと、
FFT変換したイコライザデータ108と、
対応する方向のSPデータ107B)これらすべて畳み込んで周波数領域で計算する。
ここで、前述のとおり、対応する方向のSPデータ107Bは、スピーカから見た角度別のインパルス応答のデータを予めFFT化して、周波数特性のパラメータとして格納したものである全方向のSPデータ107Aから読み込んだものであり、符号107C、107D、108は、シミュレーション過程で、手動または自動的に設定したものである。
したがって、ユニット16B、16C、16Dから伝達され、格子点17Jそれぞれの位置で受ける音声の音圧レベル、周波数特性を算出できる。この音圧レベルの算出は、本実施形態の装置では、基準周波数を定め、前述の周波数特性から算出される、この基準周波数におけるゲインの2乗を当該基準周波数ごとにすべて足し算する値を用いることで代用する。この基準周波数のゲインは、図7(C)でもとめたユニット16B、16C、16Dのイコライザパラメータと、上記補正したSPデータ107をユニット16B、16C、16Dごとに周波数領域で畳み込み演算し、これらのユニット16B、16C、16Dの出力を重ね合わせることにより行なう。そして、格子点17Jそれぞれの位置での周波数特性を、基準周波数ごとのデータを2乗して、足し算、または重み付きで足し算したデータを、前述のとおり音圧レベルを表す値として蓄積する。この基準周波数帯域は、前述した図7(C)の基準周波数帯域と必ずしも同じにする必要はないが、例えば、63Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、8kHzのいずれかに設定することができる。
図8(A)のS171において、3つのユニット16B、16C、16Dの周波数ゲインの指標として基準周波数帯域fiを8帯域(63〜8kHz)に順次設定する。基準周波数帯域は、パラメトリックイコライザの各チャンネルの中心周波数であり、例えば、図8(B)に示すように、63Hz、125Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、8kHzのいずれかに設定する。
図8(A)のS172において、図7(C)で説明したゲイン設定のパターン(G1、G2、G3)fHzは、G1、G2、G3を1dB刻みで0dB〜−10dBとする。したがって基本周波数1つ(例えば63Hz)につき、113通りのパターンを設定するから、全体として8×113通りのパターンを設定する。また、パターンそれぞれについて、ユニットごとにイコライザのデータをまとめて、FFT変換したデータとしてイコライザデータ108として保存する。
図8(A)のS173において、各パターンで軸点でのゲイン計算を行い、その中から最適パターンの選択を行なう。この段階は、さらにS1731〜S1733に分けることができる。
図8(A)のS1731において、軸点でのゲイン計算は、図7(B)で示したように、アレイスピーカ16Aから伝達され、軸点17B,17C、17Dそれぞれで受ける音声の周波数特性を図1のSPデータ内の107A〜Dに基づいて算出し、基準周波数帯域fiごとにその周波数ゲインのデータを蓄積する。
この計算は、スピーカユニットごとに
(フーリエ変換済み時間遅れの位相補正フィルタ107Cと、およびフーリエ変換済み距離減衰補正フィルタ107Dのデータと、
FFT変換したイコライザデータ108と、
対応する方向のSPデータ107B)これらすべて畳み込んで周波数領域で計算する。
なお、このデータ数は、ユニット数3つとなるから、本実施形態の装置では、集積するデータ数は合計すると、3つ×8帯域=24個である。
S1732において、基準周波数帯域fiごとに、この3点の周波数ゲインのデータについて標準偏差を求める。
S1733において、S172で設定したパターン113通りすべてについて、S1731〜S1732の段階を繰り返し計算して、S1732の標準偏差の標準偏差が最小となるものを求める。
以上、図8(A)のS1731〜S1733の段階により、基準周波数帯域ごとに、軸点17B,17C、17D間の音圧レベルの標準偏差が最小となるイコライザゲイン(図8(B)に示す点に相当。)を求めることができる。これらを上述の8つの基準周波数帯域すべて繰り返して、図8(A)のS174において、イコライザゲインのパターンを決定できる。このパターンは、前述の図7(C)の説明のとおり、ユニットごとにまとめ直して、外部記憶装置104に保存する。そして図8(A)のフローは終了する。
図10のS21において、図7(A)で設定した角度を、水平方向、垂直方向とも30度ごとに設定したアレイスピーカの角度パターン(θ、φ)を設定し、次にそれぞれのアレイスピーカの角度についてユニット間の角度θintを設定する(図7(A)の説明参照。)。このときユニット間の角度の選出では、前述のように、アレイスピーカ16Aには図6のようなそれぞれ予め設定できる固有の角度の範囲とピッチがあり、その範囲から選択してパターンを用意する。ここで、θは、−180度<θ≦180度、φは、−90度≦φ≦90度の範囲で、30度毎に設定する。
そして、S22において、格子点(例えば図9の17J参照。)間の音圧レベル(図7(D)で説明した、基準周波数ごとのゲインの2乗和で代用する。以下同じ。)の標準偏差が小さいもののベスト5となる角度パターン(θ、φ)を選出する。その選出に当たっては、ユニット間角度θintを複数設定して、その中から最適なθintを選出する必要があり、S27のサブルーチンをパターンごとに実行する。
S272において、S22、S271で設定した角度(θint、θ、φ)について、
それぞれ、S28のエリア内標準偏差計算フローを実行する。ここでは、(θ、φ)は固定であり、θintのみ変動させて、それぞれ、S28の段階を実行する。
このS28の各段階S281〜S283はそれぞれ図7(B)〜(D)の段階に相当している。そこで、前述した説明を代用してここでは説明を省略する。
S273において、S272で計算した中から標準偏差が最小値となるユニット間角度θintを選択する。その後、S27のサブルーチンは一旦終了するが、(θ、φ)の組を変えて、更にS27のフローは繰り返し行なわれることになる。
そして、S23では、(θ、φ)の組を変えて、S27のサブルーチンで計算した最小値のうち、最も小さいベスト5を選出する。
そして、図10のS24において、新たに設定したパターンについて、S22と同様に、パターン探索を行い、候補を5つ選択する。
図10のS25では、S23〜S24と同様であるが、角度を15度ピッチでなく、5度として、設定する。例えば、選出したベスト5の角度パターンのうちの1パターンの最適値が、θについて45度であったとすると、40度、45度、50度についてパターンを新たに設定する。
図10のS26では、S25で設定した角度について、S22、S24と同様、それぞれS27のサブルーチンを用いて、(θint、θ、φ)を決定する。このS26では、S22、24と異なり、ベスト5でなく最適値を1つ選択して、θint、θ、φ)を最終的に決定する。
図11のS111において、図3で示した形状選択11Cにより、扇型であるか箱型であるかの選択がなされたか否か判断する。扇型であればS111の判断はYとなり、図11のS112において、図3に示すような形状選択11Dにおいて、扇型の形状例を複数表示する。
扇型でなければS111の判断はNとなり、S113に進み、図3に示すような形状選択11Dと同様、箱型の形状例を複数表示する。
図11のS114において、S112の扇型の形状選択11D、またはS113の箱型の形状選択の中から形状の選択がなされたか否か判断する。選択がない場合にはNとなり待機する。選択がない場合には、表示器101の画面を切り替えて、次のS115に進む。
図11のS115において、空間の形状を特定するための数値の入力がなされたか否か判断する。この数値がすべて入力されなければNとなり、入力されるまで待機する。
図11のS116において、空間の形状を特定するための数値の入力(S115)からその空間の平面的な面積規模と形状の平面的な縦と横の比率を計算する。
図11のS117において、図3の決定ボタンが押されたか否か判断する。当該決定ボタンが押された場合には、フローは終了するが、押されない限り、S115に戻って、数値入力した数値の変更を受け付ける。
以上、図11のようなフローの段階により、CADデータを入力することなく、本実施形態の音響設計支援装置のみで、容易に空間の形状を設定できる。また、上述のS111において、音響施設の典型的な形状は、おのずと決まっているから、本実施形態の装置では、CADデータを入力するまでもなく、空間の形状を特定できる。
S161、S162では、図5で示したような用途選択表示12A、スピーカの設置位置12Cが選択されたかどうか判断し、選択されない場合はS161、S162の判断はNとなり待機する。S161、S162のいずれもが選択された場合は、S163へ進む。
図12のS163では、図1の外部記憶装置104またはメモリ105から、図6で示したようなスピーカ選択テーブル109を参照する。そのとき、S161、S162で入力したデータと、図6のような用途109C、設置場所109Dと比較して条件を満たすか判断する。また、図11のフローの段階のS116で計算した面積規模、縦横比率と図6のような面積規模109Bと縦横比率109Eのデータとを比較して条件を満たすか判断する。
S164において、スピーカ選択テーブル109の条件を満たすものを選択し、図5に示すように、最適なスピーカの候補16を表示器101に表示出力する。
以上、図12の説明のとおり、図11で説明したような空間の形状について設定したデータと、スピーカ選択テーブル109とを比較参照して、最適なスピーカの候補を選択できる。
10−プログラム
101−表示器
102−操作部
103−CPU
104−外部記憶装置
105−メモリ
106−音声出力装置
107A−全方向のSPデータ
107B−対応する方向のSPデータ
107C−フーリエ変換済み時間遅れの位相補正フィルタ
107D−フーリエ変換済み距離減衰補正フィルタ
108−イコライザデータ
109−スピーカ選択テーブル
109A−スピーカタイプ名称
109B−面積規模
109C−用途
109D−設置場所
109E−縦横比率
109F−ユニット間の角度
110−集会施設基本形状データ
11A−空間形状設定画面
11B−空間形状設定画面
11C−形状選択
11D−形状選択
11E−空間形状表示
11F−空間の形状
11G−形状設定入力
11H−決定ボタン
12−スピーカの選択&配置設定画面
12A−用途選択表示
12B−形状データ
12C−スピーカの設置位置
16−最適なスピーカの候補
16A−アレイスピーカ
16B−ユニット
16C−ユニット
16D−ユニット
16E−守備範囲の設定
17A−θi、φiの設定
17B−軸点
17C−軸点
17D−軸点
17E−軸線
17F−軸線
17G−軸線
17H−アレイスピーカの角度の設定
17J−格子点
Claims (6)
- アレイスピーカを構成する複数のスピーカユニットのそれぞれの設置角度の最適値を計算する音響設計支援装置であって、
前記各スピーカユニットの設置角度の組み合わせを設置角度パターンとして複数パターン設定するパターン設定手段と、
前記設定した各設置角度パターンについて、各スピーカユニットの所定の設置角度におけるスピーカユニットの軸線と受音面との交点である軸点の位置を計算する軸点位置計算処理、前記軸点での音圧レベルの周波数特性について前記軸点間のばらつき具合が最小となるように各スピーカユニットのイコライザパラメータを決定するイコライザパラメータ計算処理、決定したイコライザパラメータと各スピーカユニットの周波数特性に基づき、受音面に予め設定した複数の点における音圧レベルのばらつき具合を求める音圧レベルばらつき具合算出処理を行う音圧レベルばらつき具合算出手段と、
音圧レベルばらつき具合算出手段で求めた音圧レベルのばらつき具合が最も小さい設置角度パターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択するパターン選択手段と、
を備えた音響設計支援装置。 - アレイスピーカを構成する複数のスピーカユニットのそれぞれの設置角度の最適値を計算する音響設計支援プログラムであって、コンピュータに、以下のステップを実行させることを特徴とする音響設計支援プログラム。
(1)前記スピーカユニットの設置角度の組み合わせを設置角度パターンとして複数パターンを設定するパターン設定ステップと、
前記設定した各パターンについて、
(2−1)前記設定した各設定角度パターンについて、各スピーカユニットの所定の設置角度におけるスピーカユニットの軸線と受音面との交点である軸点の位置を計算する軸点位置計算ステップ、
(2−2)前記軸点での音圧レベルの周波数特性について前記軸点間のばらつき具合が最小となるように、各スピーカユニットのイコライザパラメータを決定するイコライザパラメータ計算処理ステップ、
(2−3)決定したイコライザパラメータと各スピーカユニットの周波数特性に基づき、受音面に予め設定した複数の点における音圧レベルのばらつき具合を求める音圧ばらつき具合算出処理を行う音圧レベルばらつき具合算出ステップと、
(3)前記音圧レベルばらつき具合算出ステップで求めた音圧レベルのばらつき具合が最も小さいパターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択するパターン選択ステップ。 - 請求項1のパターン設定手段、音圧レベルばらつき具合算出手段、および、パターン選択手段により実行される処理をループ状に繰り返し実行する音響設計支援装置であって、
前記パターン設定手段は、初回のループで粗い角度刻みで複数の設置角度パターンを設定する手段、および、前回のループで設定した設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さい1または複数の設置角度パターンの近傍で更に細かい角度刻みで複数の設置角度パターンを再設定する手段を含み、
前記パターン選択手段は、前記パターン設定手段が設定した複数の設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さいものを1または複数選択する手段、および、最終ループで、前記細かい角度刻みの複数の設置角度パターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択する手段を含む音響設計支援装置。 - 請求項2のパターン設定ステップ、音圧レベルばらつき具合算出ステップ、および、パターン選択ステップをループ状に繰り返し実行する音響設計支援プログラムであって、
前記パターン設定ステップは、初回のループで粗い角度刻みで複数の設置角度パターンを設定するステップ、および、前回のループで設定した設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さい1または複数の設置角度パターンの近傍で更に細かい角度刻みで複数の設置角度パターンを再設定するステップを含み、
前記パターン選択ステップは、前記パターン設定手段が設定した複数の設置角度パターンのうち、音圧レベルのばらつき具合の小さいものを1または複数選択するステップ、および、最終ループで、前記細かい角度刻みの複数の設置角度パターンを、各スピーカユニットの設置角度の最適パターンであるとして選択するステップを含む音響設計支援プログラム。 - 前記イコライザパラメータ計算処理は、
各スピーカユニットに供給する音声信号の周波数特性を制御するイコライザの各チャンネルの周波数ごとに、当該チャンネルの周波数における各スピーカユニットのゲイン設定レベルを組み合わせたパターンを設定し、
当該パターンの中から、前記設定したパターンについての前記チャンネルの周波数における前記スピーカユニットそれぞれの前記軸点でのゲインについて、前記軸点間のばらつき具合が最小となるパターンを、前記各チャンネルの周波数ごとに独立に選出することにより、各スピーカユニットごとのイコライザパラメータを算出する請求項1、3のいずれかに記載の音響設計支援装置。 - 前記イコライザパラメータ計算処理ステップは、
各スピーカユニットに供給する音声信号の周波数特性を制御するイコライザの各チャンネルの周波数ごとに、当該チャンネルの周波数における各スピーカユニットのゲイン設定レベルを組み合わせたパターンを設定し、
当該パターンの中から、前記設定したパターンについての前記チャンネルの周波数における前記スピーカユニットそれぞれの前記軸点でのゲインについて、前記軸点間のばらつき具合が最小となるパターンを、前記各チャンネルの周波数ごとに独立に選出することにより、各スピーカユニットごとのイコライザパラメータを算出する請求項2、4のいずれかに記載の音響設計支援プログラム。
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