JP4198521B2 - 現像剤量規制部材、当該規制部材の使用方法及び電子写真方式の現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置による現像に用いた場合、高画質の画像を得ることができる現像剤量規制部材、当該規制部材の使用方法及び電子写真方式の現像装置に関し、詳しくは、電子写真方式の複写機やプリンター等の画像形成装置による現像に用いた場合に、あらゆる環境下、特に高温高湿の環境下において、摩擦帯電性に優れ、画像形成装置内でトナー漏れが発生せず、カブリ等による画質低下を抑制して良好な画像を得ることができ、弾性特性にも優れる現像剤量規制部材、当該規制部材の使用方法及び電子写真方式の現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、即時性、画像の高品質性などの点から、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われている。
電子写真法に用いられる乾式現像方式としては、一般に、キャリアとトナーとを混合して用いる二成分現像方式と、キャリアを用いない一成分現像方式がある。このうち二成分現像方式は、トナーの消費に伴ってその必要量を補給する、いわゆるトナー濃度コントロール機構が必要であるため、装置の大型化及びコスト高の面で問題があった。このため、近年のパーソナルプリンタやフルカラープリンタの増加にともない、装置の小型化が可能である磁性一成分方式や非磁性一成分方式などの一成分現像方式を採用するものが多くなってきている。
【0003】
一方、近年におけるこれら画像形成装置の普及に伴い、画像品質への要求も益々高度化している。それに応えるべく、例えば、現像剤量規制部材の最外層をナイロンで構成する提案(例えば、特許文献1 参照)や、メチルメトキシ基含有ナイロン樹脂で構成する提案(例えば、特許文献2 参照)がなされている。これは、摩擦帯電系列においてナイロン、すなわちポリアミドは正帯電傾向が強い材料であるため、負帯電現像剤に対して強い負電荷を付与することができるので、充分な負電荷が付与されなかった、あるいは逆極性(正)の電荷が付与された現像剤に由来するカブリを抑制することができるためである。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−248769号公報。
【特許文献2】
特開2002−189344号公報。
【0005】
ところが本発明者の検討によると、そこに開示されるポリアミドは、それ自身が持つ水との親和性に起因して、負帯電現像剤への帯電付与能力が環境に応じて大きく変化し、特に高温高湿の環境下においてはその能力が著しく低下するため、現像剤に十分な負電荷を付与することができず、結果として、画像形成装置内でトナー漏れを引き起こしたり、カブリの多い画像しか得られないことが判明した。従って、従来は、温度や湿度などの環境変化があっても高い電気抵抗性を保ち、負帯電現像剤に対して強い負帯電性を付与し得るポリアミド系の現像剤量規制部材はなく、どのようにすればこれを達成できるかは明らかでなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたものであって、従って、本発明はあらゆる環境下、特に高温高湿の環境下において、画像形成装置内でトナー漏れが発生せず、カブリ等による画質低下を抑制して良好な画像を得ることができ、弾性特性に優れる現像剤量規制部材、当該規制部材の使用方法及び電子写真方式の現像装置を提供することを目的とする。
【0007】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、現像剤量規制部材の最外層が特定の構造を成分として有するポリアミド樹脂を含むことによって、あらゆる環境下、特に高温高湿の環境下で前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の要旨は、1)電子写真方式の現像装置に用いられる現像剤量規制部材において、少なくとも最外層に下記一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有するポリアミド樹脂を含み、当該一般式(I)式中AまたはBの少なくとも何れかが1以上のメチル基で置換されていることを特徴とする現像剤量規制部材。
2)帯電量が−90〜−10μC/gである負帯電性現像剤の現像に、上記1)の現像剤量規制部材を使用することを特徴とする現像剤量規制部材の使用方法。
3)非磁性一成分方式の現像装置の現像剤量規制部材として、上記1)の現像剤量規制部材を使用することを特徴とする現像剤量規制部材の使用方法。
4)少なくとも最外層に下記一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有するポリアミド樹脂を含み、当該一般式(I)式中AまたはBの少なくとも何れかが1以上のメチル基で置換されている現像剤量規制部材を用いることを特徴とする電子写真方式の現像装置、に存する。
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、A、Bはそれぞれ独立して、置換基を有しても良いシクロアルキレン環を表し、Rは直接結合または置換基を有していてもよいアルキレンを表す。)
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の現像剤量規制部材について詳述する。
本発明の現像剤量規制部材は、少なくとも最外層に下記一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有するポリアミド樹脂を含み、当該一般式(I)式中AまたはBの少なくとも何れかが1以上のメチル基で置換されているものであり、(I)式中、A、Bはそれぞれ独立して、置換基を有しても良いシクロアルキレン環を表し、Rは直接結合または置換基を有してもよいアルキレンを表す。
【0011】
【化4】
【0012】
シクロアルキレン環A、Bは脂肪族環であればその構成に限定はなく、それぞれ独立して、例えば、シクロペンチレン環、シクロヘキシレン環、シクロヘプチレン環、シクロオクチレン環、シクロノニレン環、シクロデシレン環、シクロドデシレン環などの飽和脂肪族環が挙げられる。また、ノルボルネニレン環、ノルピネニレン環、スピロビシクロヘキシレン環、パーヒドロナフタレンジエン環などの多環式の脂肪族環でもよく、さらには、シクロブテニレン環、シクロヘキセニレン環、シクロヘキサジエニレン環、シクロオクテニレン環、シクロオクタジエニレン環、シクロデセニレン環などの不飽和結合を含む脂肪族環であってもよい。これらの中でも、シクロペンチレン環、シクロヘキシレン環、シクロオクチレン環が好ましく、特にシクロヘキシレン環が好ましい。また、シクロアルキレン環が構造異性体をもつ場合には、その何れであってもよい。
【0013】
シクロアルキレン環A、Bに結合しているアミノ基の結合位置には限定はない。前記で特に好ましいとしたシクロヘキシレン環である場合におけるアミノ基の結合位置は、それぞれ独立して、オルト位すなわち1,2−位、メタ位すなわち1,3−位、パラ位すなわち1,4−位の何れの位置であってもよいが、A、Bのうち少なくとも一方のアミノ基がパラ位であることが好ましく、A、Bの双方のアミノ基がパラ位であることが特に好ましい。なお、該アミノ基は、通常、カルボン酸基またはその誘導体と反応することによりアミド結合を形成してポリアミド樹脂を構成するものである。
【0014】
Rは直接結合または置換基を有していてもよいアルキレンを表す。アルキレンを構成する炭素数は通常1〜12、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3、特に好ましくはメチレンである。置換基を有していてもよいアルキレンにおける置換基は限定されないが、炭素数が好ましくは1〜15、より好ましくは1〜6の基であることが望ましい。アルキレンに置換基を有することにより一般式(I)の化合物の疎水性が向上し、高温高湿下でのトナー漏れの発生や、カブリ等による画質低下を抑制する効果が向上する場合があるが、置換基の炭素数が前記範囲超過の場合は、相対的にアミド結合部分の重量比率が低下するため、現像剤の帯電性を維持する効果が低下する場合がある。置換基を有していてもよいアルキレンにおける置換基の具体例としてはアルキル基、アルコキシ基、アリール基が好ましく、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基など、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基など、アリール基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基などが挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。また、前記アルキレンおよび前記置換基は、1以上の水素がハロゲン元素に置換されたものであってもよい。これらの中でRは、無置換或いは1または2のメチル基で水素が置換されたメチレンであることが特に好ましい。
【0015】
また、Rを構成する炭素数は、通常0〜12、好ましくは0〜6、より好ましくは0〜3、特に好ましくは0または1である。
それぞれ独立して置換基を有しても良いシクロアルキレン環A、Bにおける置換基は限定されないが、例えば、前記Rにおいてアルキレンの水素を置換し得るものなどが挙げられ、中でも、シクロアルキレン環A、Bが何れも無置換のシクロアルキレン環であるか、シクロアルキレン環A、Bのうち少なくとも一方が1以上のメチル基で置換されている場合が好ましい。シクロアルキレン環がシクロヘキシレン環であり、該シクロヘキシレン環がメチル基で置換されている場合は、メタ位がメチル基で置換されたものである場合が特に好ましい。
【0016】
本発明の現像剤量規制部材は、前記一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有するポリアミド樹脂を少なくとも現像剤量規制部材の最外層に含むことにより、高温高湿の環境下においても負帯電現像剤に対して強い負電荷を付与することができ、これにより、充分な負電荷が付与されなかった、あるいは正電荷が付与された現像剤に由来するトナー漏れやカブリのない高画質の画像を得ることができるものである。このような効果を発現する作用機構としては、前記一般式(I)で示されるジアミン化合物におけるシクロアルキレン基が持つ疎水性あるいは嵩高さから来る立体障害によって、アミド結合部に対する水分子の吸着が阻害され、特に高温高湿環境下における電気抵抗の低下が抑制されるためと考えられる。前記一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有していないポリアミド樹脂の場合は、このような効果を発現することができない。
【0017】
本発明で用いられるポリアミド樹脂は、前記一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有するものであれば、その他の成分は限定されないが、例えば、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、γ−バレロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ヘプトラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム類、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,20−アイコサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン類、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や脂環式ジカルボン酸類、エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の1級ジアミン類、ピペラジン等の2級ジアミン類などが挙げられ、これらは複数を組合せることにより、二元、三元、四元等の共重合体であってもよい。なお、前記ジカルボン酸成分やジアミン成分は、重合原料の段階にあっては、アミド結合を形成し得る誘導体であってもよい。
【0018】
本発明で用いられるポリアミド樹脂は、前記成分等からなる多元系の共重合体である場合に、特に高温高湿環境下での帯電付与性等の性能が向上する場合がある。中でも、前記一般式(I)で示されるジアミン化合物以外は脂肪族化合物で構成されている共重合ポリアミド樹脂が好適であり、特に、前記一般式(I)で示されるジアミン化合物および、ラクタム類、脂肪族ジカルボン酸類、脂肪族ジアミン類で構成されている多元系共重合ポリアミド樹脂が好適である。
【0019】
さらには、本発明におけるポリアミド樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、2官能性以上のポリイソシアネート成分やポリオール成分、ポリアルキレンエーテルポリオール成分等が含まれていてもよく、ウレタン結合やウレア結合、エステル結合、エーテル結合等を含むものであってもよい。
また、酢酸や安息香酸等の一塩基酸、あるいは、ヘキシルアミン、アニリン等の一酸塩基を分子量調整剤として加えることも何ら差し支えない。さらには、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリカルボン酸成分やポリアミン成分、ポリアルコキシカルボン酸成分等の3官能以上の反応性基を有する多官能化合物が含まれていてもよい。
【0020】
前記ポリアミド樹脂中における一般式(I)で示されるジアミン化合物の含有量は、ポリアミド樹脂を構成する全モノマー単位中、通常1mol%以上、好ましくは5mol%以上、更に好ましくは10mol%以上、特に好ましくは20mol%以上であり、通常50mol%以下、好ましくは40mol%以下であることが望ましい。ここで、全モノマー単位とは、前記のジカルボン酸類、ジアミン類は各々を独立したモノマーとして算出することとする。一般式(I)で示されるジアミン化合物の含有量が前記範囲未満の場合は、高温高湿環境下での負帯電現像剤への帯電付与性が悪化する場合があり、前記範囲超過の場合は、溶液塗布によるポリアミド樹脂層の形成が困難となる場合がある。なお、前記ポリアミド樹脂の構成は、例えば、核磁気共鳴吸収スペクトル分析(NMR)等で確認することができる。
【0021】
本発明におけるポリアミド樹脂の数平均分子量は限定されないが、5000〜50000が好ましく、より好ましくは10000〜30000である。ポリアミド樹脂の数平均分子量が前記範囲未満である場合や前記範囲超過である場合は、溶液塗布によってポリアミド樹脂の層を現像剤量規制部材表面に形成する場合に均一な層を形成できない場合がある。ここで、前記ポリアミド樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値を用いることとする。
【0022】
本発明で用いられるポリアミド樹脂の製造方法は特に制限なく、ポリアミド樹脂を製造する公知の方法が適宜適用され、公知の重合触媒を用いるか無触媒での溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等が用いられる。また、亜リン酸ソーダ、次亜リン酸ソーダ、亜リン酸、次亜リン酸やヒンダードフェノールに代表される熱安定剤やその他の重合添加剤を加えることも可能である。
【0023】
本発明の現像剤量規制部材の形状は特に限定されず、板状、角柱状、棒状(円柱状)などが例示されるが、通常は板状のものであり、その厚さは、通常0.01mm〜10mm、好ましくは0.1mm〜2mmである。板状である場合においては、平板状であっても、円筒の側面のような曲率をもった面状であってもよいが、平板状であることが好ましい。また、該現像剤量規制部材は、現像装置等に支持するための構造部分と、現像剤量の規制に寄与する部分とで構成されていてもよいが、そのような場合には、現像剤量の規制に寄与する部分が前記の形状、厚みであればよい。
【0024】
本発明の現像剤量規制部材は、少なくとも最外層に前記の一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有するポリアミド樹脂を含むものであれば、その他の構成は限定されるものではなく、ポリアミド樹脂のみからなるものであってもよいが、金属板の表面に前記ポリアミド樹脂層が外層として形成されている構造であることが、現像剤量規制部材の剛性、耐久性等の点で特に好ましい。
【0025】
また、本発明の現像剤量規制部材は、その全表面について、最外層が前記ポリアミド樹脂を含んでいる必要は無く、少なくとも現像剤量規制部材が現像ローラと対面して現像剤量の規制に寄与し得る部分の表面層に前記ポリアミド樹脂を含んでいればよい。また、現像ローラと対面して現像剤量の規制に寄与し得る部分の表面層に前記ポリアミド樹脂が存在していない場合であっても、その他の部分の表面層に前記ポリアミド樹脂が存在することによって本願の効果を奏することが出来る場合は、これに代えてもよい。
【0026】
本発明の現像剤量規制部材に用いられる金属板の材質は限定されないが、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料が使用され、中でもステンレス鋼が好ましい。該金属板は複数の金属からなるものであってもよい。また、金属と同様の高剛性の材料、例えば、セラミックス、硬質ガラス、炭素繊維、全芳香族系ポリアミドなどのエンジニアリングプラスチックス、繊維強化プラスチックスなどを、前記の金属に代えて用いることもできる。
【0027】
また、本発明の現像剤量規制部材は、弾性層を有するような軟質の現像ローラとの組み合わせによる現像装置に用いる場合には、前記金属板の表面に直接、前記ポリアミド樹脂層が形成されていてもよいが、硬質の現像ローラとの組み合わせによる現像装置に用いる場合には、前記金属板の表面に弾性層を形成し、該弾性層の外層に前記のポリアミド樹脂層が形成されている構造であることが好ましい。このように、金属板とポリアミド樹脂層との間に弾性層が存在することにより、現像剤量規制部材の弾性特性が向上し、特に、非磁性一成分方式のような現像剤量規制部材と現像ローラとが常に接触した現像装置においては、現像ローラに対する機械的ダメージが少ないため望ましい。
【0028】
前記弾性体の材質は限定されないが、例えば、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタンゴム、シリコンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、イソプレンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、天然ゴム等の樹脂や架橋エラストマー、熱可塑性エラストマー等が使用され、これらは複数を混合して使用してもよい。さらに、該弾性層を構成する材料には、金属粉やカーボンブラック、グラファイト等の導電剤、シリカやアルミナ等の充填剤などを含有することもできる。また、前記弾性体の弾性率は限定されないが、23℃における引張り弾性率が、通常、400〜20000kgf/cm2、好ましくは1000〜15000kgf/cm2、より好ましくは2000〜10000kgf/cm2である。
【0029】
本発明の現像剤量規制部材における最外層としてのポリアミド樹脂層は、これと接する内層、すなわち、金属板あるいは弾性体等と密着していることが好ましく、従って、前記弾性体は前記ポリアミド樹脂との親和性の高いものより選択される。ポリアミド樹脂が内層と親和性が低い場合は、表面改質や接着剤の使用によって密着性を上げることが好ましい。
【0030】
また、該弾性層は積層構造であってもよい。積層構造とする場合には中心層よりも外層の方が弾性率が低くなるようにすることが望ましい。さらには、前記弾性体は発泡体や多孔体であってもよい。
前記弾性層の厚みは限定されないが、通常0.05〜9mm、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜2mmであり、前記現像剤量規制部材の厚さに含まれるものである。
【0031】
これら弾性層を金属表面に形成させる方法は限定されず、射出成型したものを金属板に接着させる方法、インサート射出成形による方法、押出成形等で得られたシート状の弾性体を金属板に貼り付け、必要に応じて融着または溶着させる方法、注入成形やプレス成形する方法、弾性層を形成する材料を溶剤等に溶解し、その溶液を金属板に塗布乾燥する方法等が挙げられる。
【0032】
本発明において現像剤量規制部材が前記弾性層を有する場合、該弾性層は前記金属板の全面を覆う必要は無いが、少なくとも現像剤量規制部材が現像ローラと対面して現像剤量の規制に寄与し得る部分に存在することが好ましい。
本発明においてポリアミド樹脂を現像剤量規制部材の最外層に形成させる方法は、現像剤量規制部材の表面均一性が確保できるものであれば限定されないが、該ポリアミド樹脂を溶剤等に溶解し、その溶液を塗布、乾燥する方法が最も容易で好ましい。その際に用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、水等が単独或いは混合して使用できるが、溶液安定性の面からアルコール類を用いることが好ましい。溶液を塗布する方法としてはディップ法、スプレー法、ノズル法、ロールコート法、ダイコート法、刷毛塗り等が挙げられ、塗布後の乾燥は、常温での放置乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げられる。
【0033】
また、塗布以外の方法としては、例えば、ポリアミド樹脂からなるシート等の成形体を現像剤量規制部材の最外層に貼り付けるか融着する方法、或いは、これを熱収縮チューブとしておき、前記金属板または弾性層の外面に収縮密着させる等の方法が挙げられる。
本発明において溶液塗布によりポリアミド樹脂を現像剤量規制部材の最外層に形成する場合は、該ポリアミド樹脂層の厚さは、通常0.5μm以上、好ましくは3μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは30μm以下であることが望ましい。ポリアミド層の厚さが前記範囲未満の場合は、現像剤に負電荷を付与する能力が小さくなる傾向にあり、前記範囲超過の場合は、薄層が均一にならない場合があり、その不均一さがベタ画像やハーフトーン画像の濃度ムラとなって現れる場合がある。該ポリアミド層の厚さは均一である程好ましいが、現像剤の現像に使用される部分における最も薄い部分と最も厚い部分との比が、通常、1:1〜1:2、好ましくは1:1〜1:1.5、より好ましくは1:1〜1:1.2であることが望ましい。前記ポリアミド樹脂層の厚さは、溶媒の種類、溶液濃度、塗布方法等により調節することができ、ディップ法による場合には、引き上げ速度によっても調節することができる。溶液塗布以外の方法によってポリアミド樹脂の最外層を形成する場合においても、前記と同様の厚みおよび厚み比とすることが好ましい。
【0034】
本発明の現像剤量規制部材の最外層は、通常、前記のポリアミド樹脂のみで形成されているが、現像剤の帯電性、あるいは画像形成条件によっては他の各種材料と混合して用いられていても良い。前記のポリアミド樹脂と混合して用いることの出来る他の材料は限定されないが、例えば、アルミニウム、銅、銀等の金属微粒子やカーボンブラック、グラファイト等の導電剤、6ナイロン、4,6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11ナイロン、12ナイロン等の前記のポリアミド樹脂以外のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂などの樹脂、さらには、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機微粒子の添加により現像剤量規制部材の帯電付与性を調整することができる。これらの他の材料を含む場合においても、前記のポリアミド樹脂は、現像剤量規制部材の最外層の通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上、より好ましくは90重量%以上で含むことが望ましい。
【0035】
本発明の現像剤量規制部材は、表面が平滑であることが望ましく、JIS B0601による表面粗さのRaが好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.005〜0.3μmであることが望ましい。Raが前記範囲である場合は、画像濃度のムラがなく、また現像ローラを傷付けることがないため好ましい。
本発明の現像剤量規制部材は、少なくとも最外層に前記の一般式(I)で示されるジアミン化合物を成分として有するポリアミド樹脂を含むものであれば、前記金属板および弾性体以外の材質のものを、層状、分散状、不定形など種々の状態で含むものであってもよい。
【0036】
本発明の現像剤量規制部材を用いた電子写真装置に使用する現像剤の材質は特に限定されるものではないが、通常、樹脂および着色剤を主成分とするものである。樹脂としてはポリエステル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂等を挙げることができるが、中でもスチレンアクリル系樹脂を主成分とする現像剤が好ましい。また、現像剤の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば溶融混練粉砕法、懸濁重合法、乳化重合凝集法等により製造された現像剤を挙げることができるが、中でも懸濁重合法または乳化重合凝集法によるものを用いた場合に、本発明の現像剤量規制部材を用いて現像ローラ上の現像剤量を均一にする上で好ましく、乳化重合凝集法によるものが特に好ましい。
【0037】
また、本発明の現像剤量規制部材を用いた電子写真装置に使用する現像剤は、黒色トナー、カラートナー、フルカラートナーの何れであってもよいが、カラートナーおよびフルカラートナーを用いる電子写真装置に用いた場合に、本発明の効果が顕著に発揮される。
本発明の現像剤量規制部材を用いた電子写真装置に使用するトナーの帯電性は限定されないが、負帯電性の現像剤であることが望ましく、23℃、相対湿度50%における帯電量が好ましくは−10μC/g以下、より好ましくは−20μC/g以下であり、好ましくは−90μC/g以上、より好ましくは−70μC/g以上であることが望ましい。前記範囲の帯電量を有する現像剤を本発明の現像剤量規制部材を有する現像装置を用いて現像した場合、高温高湿の環境下においてもトナー漏れやカブリのない高画質の画像を得ることができるので好ましい。尚、本発明において帯電量の測定は、先ず、ノンコートフェライトキャリア(パウダーテック社製F100)19.8gと測定する粒子0.2gとを秤量し、レシプロシェーカーで5分間攪拌(攪拌強度500rpm)した後、ブローオフ測定装置(東芝ケミカル社製)で測定するものとする。
【0038】
トナーの帯電量は、トナーの主成分となる樹脂、必要に応じて添加される帯電制御剤、トナー表面を被覆するために添加される外添剤などの選択および配合比、配合方法または添加方法によって調整することができる。中でも、トナー母粒子中への帯電制御剤添加、トナー母粒子表面への外添剤付着が現像剤の帯電量調整には効果的である。
【0039】
負帯電性の帯電制御剤としては、例えば、クロム、コバルト、アルミニウム、鉄等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸若しくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等の金属塩や金属錯体、ベンジル酸の金属塩や金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物等が挙げられ、これらを添加することによって現像剤に負帯電性を付与することができる。また、正帯電性の帯電制御剤、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン系樹脂等を併用することによって帯電量を調整することもできる。
【0040】
負帯電性の外添剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等の炭化物などの無機微粒子や、アクリル酸およびその誘導体を単量体の主成分とするアクリル酸系樹脂、メタクリル酸およびその誘導体を単量体の主成分とするメタクリル酸系樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、トリフロロエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアクリロニトリルなどの負帯電性の有機微粒子が挙げられる。無機微粒子としては、中でも、シリカ、チタニア、アルミナが好ましく、また、例えばシランカップリング剤やシリコーンオイル等で表面処理されたものがより好ましい。有機微粒子としては、中でも、ポリアクリル酸メチル等のアクリル酸系樹脂およびポリメタクリル酸メチル等のメタクリル酸系樹脂が好ましく、ポリメタクリル酸メチルが特に好ましい。これらをトナー母粒子表面に外添することによって現像剤に負帯電性を付与することができる。さらに、正帯電性の外添剤、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸イオンの一部が陰イオンによって置換された置換リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム系化合物およびその表面を脂肪酸等で疎水化処理されたもの、アミノシラン処理シリカなどの表面処理シリカ、アルミナ等を併用することによって帯電量を調整することもできる。
【0041】
本発明の現像剤量規制部材を用いた電子写真装置の現像方式には限定はなく、トナーを磁力により静電潜像部に搬送するためのキャリアとしての磁性粉を共存させた磁性二成分現像、または、それらの磁性粉をトナー中に含有させた磁性一成分現像、或いは、現像剤に磁性粉を用いない非磁性一成分現像の何れであってもよいが、中でも、非磁性一成分現像方式の電子写真装置に用いると、本願の効果が顕著に発揮される。さらに、現像剤として乳化重合凝集法で製造されたものを用い、非磁性一成分現像方式の電子写真装置を用いた場合に、本願の効果が特に顕著に発揮される。
【0042】
本発明の現像剤量規制部材を使用する電子写真装置における現像装置は、通常、本発明の現像剤量規制部材とともに、トナー供給ローラ、現像ローラ、トナー攪拌部材等から選択される部材および現像剤等から構成される。また、本発明の現像剤量規制部材は、カートリッジ式の現像装置における一部材であっても、カートリッジ式でない現像装置における一部材であってもよいが、カートリッジ式現像装置の部材として好適に使用できる。カートリッジ式現像装置の部材として用いる場合は、通常、該現像剤量規制部材は該カートリッジのフレーム(トナーホッパー)に支持された状態で存在する。
【0043】
非磁性一成分現像を行う際は、通常、現像剤量規制部材によって現像ローラ上の現像剤量を規制する。この際、現像剤量規制部材は、現像ローラを押圧するものであっても非接触のものであってもよいが、現像ローラを押圧するものである方が現像剤に対し効率的に帯電を付与する点で好ましい。
また、現像剤量規制部材が現像ローラを押圧する構造の現像装置に用いる場合において、現像剤量規制部材が現像ローラを押圧する部位は限定されないが、板状である場合は、その側面で現像ローラを押圧することが好ましい。
【0044】
本発明の現像剤量規制部材は、現像ローラと感光体とが非接触である現像方式の電子写真装置に用いても、現像ローラと感光体とが接触する現像方式の電子写真装置に用いてもよい。
前記のとおり、本発明の現像剤量規制部材は、負帯電現像剤に対して強い負電荷を付与することができ、高温高湿の環境下においてもその能力が低下することがないため、充分な負電荷が付与されない、あるいは正電荷が付与される現像剤を発生することがない。これにより、現像剤の飛散等による電子写真装置内の汚染を抑制することが可能となるばかりでなく、紙などの印字媒体へのカブリを抑制することができる。そして、これらの効果は、例えば印字速度が120mm/s以上といった比較的高速な印字速度の電子写真装置において特に顕著に発現することができる。また、本発明の現像剤量規制部材は、弾性体を有することによって弾性特性が良好であるので、非磁性一成分方式のような現像剤量規制部材と現像ローラとが常に接触した現像装置において、現像ローラに対する機械的ダメージを抑制することができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<トナーの製造>
乳化重合凝集法により製造した、スチレン−アクリル酸−n−ブチルアクリレート共重合体を主成分としたシアン色のベーストナー1000重量部と以下の外添剤とを、三井鉱山(株)製ヘンシェルミキサーにて混合し、現像剤としてのトナーを得た。得られたトナーの帯電量は−40μC/gであった。
シリカ1(ヘキサメチルジシラザン処理:1次粒径約30nm)20重量部
シリカ2(ジメチルポリシロキサン処理:1次粒径約 7nm) 5重量部
【0046】
<コート剤の作製>
コート剤A
ε−カプロラクタム127重量部、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン121重量部、1,12−ドデカンジカルボン酸138重量部、ヘキサメチレンジアミン80%水溶液13重量部、1,20−アイコサンジカルボン酸34重量部を撹拌機付きオートクレーブに仕込み、充分窒素置換した後昇温を開始した。内温が100℃に達した時点で撹拌を開始し、系内圧力が13kg/cm2 となる迄加熱昇温した。13kg/cm2 に到達後、系内圧力が13kg/cm2 になる様に水を留出させた。次にオートクレーブのバルブを閉じ、2時間反応させた後バルブを開け、常圧に戻した。その後、更に290℃で2時間反応させた後、生成した溶融ポリマーを抜出し、約10重量倍の沸騰水で5回洗浄を行った。これを減圧下、120℃で3日間乾燥させ、ポリアミド樹脂Aを得た。13C−NMRにより共重合組成を求めたところ下記式の組成であり、数平均分子量は2.0万であった。
【0047】
【化5】
【0048】
ポリアミド樹脂Aを混合溶媒(メタノール/n−プロパノール/トルエン=50/20/30(重量比))に溶解し、固形分濃度10%に調整し、コート剤Aを作製した。コート剤Aの粘度は、20℃において0.040Pa・sであった。
【0049】
コート剤B
原料の仕込み量を、ε−カプロラクタム164重量部、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン64重量部、1,12−ドデカンジカルボン酸73重量部、ヘキサメチレンジアミン80%水溶液13重量部、1,20−アイコサンジカルボン酸34重量部とした以外はポリアミド樹脂Aと同じ方法によりポリアミド樹脂Bを得た。13C−NMRにより共重合組成を求めたところ下記式の組成であり、数平均分子量は1.2万であった。
【0050】
【化6】
【0051】
ポリアミド樹脂Bを混合溶媒(メタノール/n−プロパノール/トルエン=70/10/20(重量比))に溶解し、固形分濃度10%に調整し、コート剤Bを作製した。コート剤Bの粘度は、20℃において0.014Pa・sであった。
コート剤C
共重合ポリアミドT−171(ダイセルヒュルス社製:6,6−ナイロン、6,12−ナイロン共重合体)を混合溶媒(メタノール/n−プロパノール/トルエン=50/20/30(重量比))に溶解し、固形分濃度8%に調整し、コート剤Cを作製した。得られた溶液の粘度は、20℃において0.002Pa・sであった。
【0052】
(実施例1)
厚さ0.1mmの金属板(ステンレス鋼製)の片側面にポリウレタン系の弾性体が厚さ1mmで形成されている市販の非磁性一成分方式のフルカラーレーザプリンター:P1用の現像剤量規制部材:B1(248mm×16mm×1.1mm、弾性体は、現像ロールに対向するように金属板片側面の端部に形成されている。)を基体とし、その基体を常温でコート剤Aに浸漬した後引き上げ、その後100℃で30分間乾燥することにより、現像剤量規制部材B1の最外層にポリアミドAの薄層を形成した。ポリアミドA層の厚さは10μm、表面粗さRaは0.10μmであった。該現像剤量規制部材を用いたトナー漏れ評価を下記の方法により行った結果について表1に示す。なお、ポリアミド層の厚さ、現像剤量規制部材の表面粗さRaは以下の方法により測定した。
【0053】
(1)現像剤量規制部材の表面粗さRa: 表面粗さ形状測定装置サ−フコム130A(東京精密社製)を用いて、JIS B601に準じて測定した。現像剤量規制部材の現像ローラに対面する面(弾性体の表面にポリアミド層が形成されている面)につき、ポリアミド層が形成されている部分の両端から約1.5cm内側の部分並びに中央部を各1箇所ずつ(計3箇所)測定し、その平均値として求めた。
【0054】
(2)ポリアミド層の厚さ: ポリアミド層の一部をエタノールで溶かして除去した。この際、ポリアミド樹脂の塗布前に最外層であったポリウレタン系樹脂の薄層は溶解しなかった。表面粗さ形状測定装置サ−フコム130A(東京精密社製)を用いて、ポリアミド層が途切れる部分(ポリアミド層を溶かしている部分と溶かしていない部分の境目)を含めるように、表面粗さRa測定時と同じ条件で走査し、得られた断面曲線の形状(段差の大きさ)から、ポリアミド層の厚さを測定した。現像剤量規制部材の現像ローラに対面する面(弾性体の表面にポリアミド層が形成されている面)につき、ポリアミド層が形成されている部分の両端から約1.5cm内側の部分並びに中央部を各1箇所ずつ(計3箇所)測定し、その平均値として求めた。
【0055】
<トナー漏れ評価>
ポリアミド樹脂を表面に塗布乾燥した現像剤量規制部材を、前記の市販の非磁性一成分方式のフルカラーレーザプリンター:P1(感光体は有機感光体であり、該感光体と現像ローラが接触する現像方式であり、中間転写方式であるプリンター。)のカートリッジ式現像装置(現像ローラは軟質の弾性層を有さない。現像剤量規制部材は、該現像ローラを押圧する。)に組み込み、その現像装置内にトナーを65g充填した上で、印字・トナー消費を行わずに間欠駆動(3秒駆動/3秒静止)させる間欠空転試験を実施した。駆動時の現像ローラ周速は、226mm/sとした。この速度は、プリンターP1の通常の印字速度(100mm/s)における現像ローラ周速の1.5倍に相当する。その際、現像装置からトナー漏れが発生する時間を観察し、以下の基準で評価した。
【0056】
現像量規制部材を組み込んだレーザプリンタ:P1を、23℃/相対湿度50%、または、28℃/相対湿度80%の2水準の環境下で12時間放置した後に、それぞれ評価を行った。
○:2時間超過でもトナー漏れなし。(使用に全く支障なし)
△:10分〜2時間の間でトナー漏れ発生。(装置内汚染による画像汚れが発生する可能性有り)
×:10分未満でトナー漏れ発生。
(漏れたトナーによる装置内汚染が著しく、使用不可)
【0057】
(実施例2)
コート剤としてコート剤Bを用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤量規制部材B1の最外層にポリアミドBの薄層を形成した。実施例1と同様の方法で測定したポリアミドB層の厚さは10μm、表面粗さRaは0.20μmであった。該現像剤量規制部材を用いたトナー漏れ評価を実施例1と同様に行った結果を、表1に示す。
(比較例1)
コート剤としてコート剤Cを用いた以外は実施例1と同様にして、現像剤量規制部材B1の最外層にポリアミドT−171の薄層を形成した。実施例1と同様の方法で測定したT−171層の厚さは4μm、表面粗さRaは0.12μmであった。該現像剤量規制部材を用いたトナー漏れ評価を実施例1と同様に行った結果を、表1に示す。
(比較例2)
ポリアミドのコーティングを行わずに、現像剤量規制部材B1(表面はポリウレタン系の弾性体)をそのまま使用した以外は実施例1と同様にして、トナー漏れ評価を行った結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
28℃/相対湿度80%でのトナー漏れ評価において、実施例1および実施例2はトナー漏れが見られなかったが、比較例1および比較例2ではトナー漏れが確認された。
(実施例3)
厚さ0.1mmのステンレス鋼製の金属板で形成されている市販の非磁性一成分方式のフルカラーレーザプリンター:P2用の現像剤量規制部材:B2(230mm×16mm×0.1mm)を基体とし、その基体を常温でコート剤Aに浸漬した後引き上げ、その後100℃で30分間乾燥することにより現像剤量規制部材:B2の最外層にポリアミドAの薄層を形成した。ポリアミドA層の厚さは10μm、表面粗さRaは0.10μmであった。該現像剤量規制部材を用いた印字特性評価を、下記の方法により行った結果について表2に示す。
【0060】
<印字特性評価>
ポリアミド樹脂を表面に塗布乾燥した現像量規制部材:B2を、前記の市販の非磁性一成分方式のフルカラーレーザプリンタ:P2(感光体は有機感光体であり、該感光体と現像ローラが接触する現像方式であり、タンデム方式であるプリンター。)のカートリッジ式現像装置(現像ローラはポリウレタンの弾性層を有する。現像剤量規制部材は、現像ローラを押圧する。)に組み込み、その現像装置内にトナーを30g充填した上で、白色の普通紙上に白地パターンを出力した。白地画像部分に印字されたカブリについて、以下の基準で目視により判定した。
【0061】
印字を行うに際し、現像量規制部材を組み込んだレーザプリンタ:P2を、23℃/相対湿度50%、または、28℃/相対湿度80%の2水準の環境下で12時間放置した後に、それぞれ評価を行った。
○:カブリなし (目視では印字画像上の汚れがほとんど確認できない)
△:僅かにカブリあり(目視で印字画像上の汚れが僅かに確認できる)
×:カブリが多い (一目で汚れが判断できる)
【0062】
(実施例4)
コート剤としてコート剤Bを用いた以外は実施例3と同様にして、現像剤量規制部材:B2の最外層にポリアミドBの薄層を形成した。実施例1と同様の方法で測定したポリアミドB層の厚さは10μm、表面粗さRaは0.20μmであった。該現像剤量規制部材を用いた印字特性評価を実施例3と同様に行った結果を、表2に示す。
(比較例3)
コート剤としてコート剤Cを用いた以外は実施例3と同様にして、現像剤量規制部材:B2の最外層にポリアミドT−171の薄層を形成した。実施例3と同様の方法で測定したT−171層の厚さは4μm、表面粗さRaは0.12μmであった。該現像剤量規制部材を用いた印字特性評価を実施例3と同様に行った結果を、表2に示す。
(比較例4)
ポリアミドのコーティングを行わずに、現像剤量規制部材:B2(ステンレス鋼製)をそのまま使用した以外は実施例3と同様にして、カブリ性評価の基準サンプルを得た。該現像剤量規制部材を用いた印字特性評価を実施例3と同様に行った結果を、表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
28℃/相対湿度80%での印字特性評価において、実施例3および実施例4は印字特性が良好(カブリがない)であったが、比較例3および比較例4はカブリが確認された。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、あらゆる環境下、特に高温高湿の環境下においても負帯電現像剤に対する帯電付与性を維持し、画像形成装置内でトナー漏れを発生させず、カブリ等による画質低下を抑制して良好な画像を得ることができ、弾性特性にも優れる現像剤量規制部材を提供することができる。
Claims (7)
- 一般式(I)中のRがメチレンであることを特徴とする請求項1に記載の現像剤量規制部材。
- 一般式(I)で示されるジアミン化合物の含有量が、ポリアミド樹脂を構成する全モノマー単位中1〜50mol%であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像剤量規制部材。
- ポリアミド樹脂を、現像剤量規制部材の最外層に厚さ0.5〜50μmで有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の現像剤量規制部材。
- 帯電量が−90〜−10μC/gである負帯電性現像剤の現像に、請求項1乃至4の何れかに記載の現像剤量規制部材を使用することを特徴とする現像剤量規制部材の使用方法。
- 非磁性一成分方式の現像装置の現像剤量規制部材として、請求項1乃至4の何れかに記載の現像剤量規制部材を使用することを特徴とする現像剤量規制部材の使用方法。
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