JP4197595B2 - Interlocking mechanism of transmission and brake device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、田植機等の作業車両における走行の制御に関し、詳しくは、変速装置とブレーキ装置を連動させるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、変速装置として可変容量型油圧ポンプと油圧モータより構成される油圧式無段変速機構(HST)を備えた走行車両に、作業装置を搭載した田植機等の作業車両においては、油圧ポンプの斜板角度を制御することにより変速し、油圧ポンプの斜板角度を操作する変速操作部材の車速ゼロ操作位置を調整することによって、車速がゼロである状態から発進可能となるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、変速装置と変速操作部材とが連動状態としているので、例えば、油圧式無段変速機構の作動油の油温の上昇等によって変速操作部材が車速ゼロ操作位置にあっても、車両がゆっくりと動き出すという現象(所謂、クリープ現象が)が発生していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、油圧式無段変速機構(57)により変速装置を構成し、該油圧式無段変速機構(57)は操縦部に配置した変速ペダル(31)により斜板(107)を傾動し変速操作する走行車両において、該変速ペダル(31)と、ブレーキ装置(120)のブレーキペダル(30)とを連動し、該変速ペダル(31)が踏込操作されない上死点の、車速ゼロ操作位置にある状態で、ブレーキ装置(120)を制動し、車両がゆっくりと動き出すクリープ現象を制動すべく構成し、該変速ペダル(31)が踏込操作され増速操作されると、前記ブレーキ装置(120)の制動を解除すべく、前記変速ペダル(31 )の踏み込みにより回動する変速アーム(173)と、該ブレーキペダル(30)の踏み込みにより回動する連動アーム(30e)との間に、連動ロッド(157)を介装し、該変速ペダル(31)が踏込操作されない状態では、前記連動ロッド(157)に嵌装した当接部材(157b)と、前記ブレーキペダル(30)の連動アーム(30e)が当接する状態となるように配置し、該変速ペダル(31)を変速の為に踏込操作した時には、該連動ロッド(157)は前記連動アーム(30e)に穿設された孔内を移動するのみで、該連動アーム(30e)とは係合せず、該ブレーキ装置(120)による制動が解除されるように構成したものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載の変速装置とブレーキ装置(120)の連動機構において、前記ブレーキペダル(30)と変速ペダル(31)とを、操向ハンドル(14)に対して左右一側に近接配置したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本実施例に係る田植機の全体的な構造を示す平面図、図2は同じく側面図、図3は車体フレームを示す平面図である。図4は駆動部の説明側面図、図5は駆動部の説明平面図、図6はミッションケースの断面図、図7はミッションケースのスケルトン図、図8は主クラッチの説明図、図9はブレーキ装置の説明図、図10はPTO変速機構の説明図である。図11は変速装置及びブレーキ装置の操作機構を示す斜視図、図12は同じく平面図、図13は同じく右側面図、図14は変速ペダル操作機構を示す右側面図、図15は車体フレームにおける変速ペダル操作機構支持部を示す斜視図、図16は速度保持操作レバーを示す斜視図、図17はブレーキペダル操作機構を示す左側面図、図18は同じく斜視図である。図19は別実施例における変速ペダル操作機構を示す図、図20は同じくブレーキ装置の操作機構を示す図である。
【0008】
まず、本発明の実施例に係る乗用田植機の構造について説明する。但し、本発明に係るブレーキ装置と変速装置の連動機構は本実施例に限定されるものでなく、多種多様な作業車両に応用することができる。
【0009】
図1、図2及び図5に示す如く、前記乗用田植機では、走行車両1の車体フレーム3にエンジン2を搭載し、ミッションケース4の左右両側方でフロントアクスルケース5・5を介して、水田走行用前輪6・6を支持し、前記ミッションケース4(図4)後方のリヤアクスルケース7で水田走行用後輪8・8を支持している。前記エンジン2等を覆うボンネット9両側に、予備苗載台10・10を取り付け、作業者が搭乗する車体カバー11によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー11後側上方にシートフレーム12を介して運転席13を取り付け、その運転席13の前方で前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を設けている。
【0010】
前記操向ハンドル14位置近傍に、主変速レバー28、昇降・植付の入切・植付時の変速・線引きマーカ等の操作を行うシフトレバー29、アクセルレバー51、速度保持操作レバー54の各レバー28・29・51・54や、ブレーキペダル30、変速ペダル31及びデフロックペダル32の各ペダル30・31・32を配設すると共に、運転席13位置近傍に感度調節レバー33及びストップレバー34及びユニットクラッチレバー35の各レバー33・34・35を配設している。なお、前記ブレーキペダル30では、後述する主クラッチ47とブレーキ装置120を同一のペダル、すなわち、ブレーキペダル30で操作する構成としている。
【0011】
また、図中15は六条植え用の苗載台16並びに複数の苗植付爪17・17・・・などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台16を下部レール18及びガイドレール19を介して、植付ケース20に左右往復摺動自在に支持すると共に、前記植付ケース20で一方向に等速回転させるロータリケース21・21・・・を支持している。前記植付ケース20前側のヒッチブラケット23は、トップリンク24及びロワリンク25を含む昇降リンク機構26を介して走行車両1後側に連結し、前記昇降リンク機構26を介して植付部15を昇降する油圧昇降シリンダ27をロワリンク25に連結している。
【0012】
そして、前記ロータリケース21の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、該爪ケース22・22先端に苗植付爪17・17を取り付けて、前記前後輸6・6・8・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17・17によって取り出しながら、連続的に苗を植える田植作業を行うように構成している。
【0013】
なお、図中36はセンターフロート、37・37はサイドフロート、38は肥料ホッパ39内の肥料を送風機40の送風カでフレキシブル形搬送ホース41を介しフロート36・37・37の側条作溝器42に排出させる六条用側条施肥機である。
【0014】
次に、前記乗用田植機のフレーム構造について説明する。
【0015】
図3乃至図5に示す如く、前記車体フレーム3は前部フレーム43・43と中間フレーム44・44と後部フレーム45・45とに三分割し、左右一対の前部フレーム43・43にエンジン2を、左右一対の中間フレーム44・44にフロントアクスルケース5・5を、左右一対の後部フレーム45・45にリヤアクスルケース7及びエンジン2に燃料を供給する燃料タンク46を配設している。
【0016】
前記フロントアクスルケース5・5は、前部フレーム43・43後端と後部フレーム45・45前端を連結する左右中間フレーム44・44の下面に着脱自在に固定し、該左右フロントアクスルケース5・5間を前記ミッションケース4で連結している。
【0017】
また、リヤアクスルケース7は、後部フレーム45の後部を一体的に連結した門形フレーム53に固設している。前記ミッションケース4とリヤアクスルケース7は、パイプ製の連結フレーム62によって一体連結されている。
【0018】
ミッションケース4後方に突出したリヤ出力軸63に、リヤ伝達軸66を介してリヤアクスルケース7前方に突出しているリヤ入力軸65を連結してリヤ出力軸63から左右の後輪8・8に動力を伝達している。また、ミッションケース4後方に突出したPTO出力軸64に自在縦手軸69を介してリヤアクスルケース7上部の軸受67に設ける仲介軸68を連結し、該仲介軸68に自在縦手軸を介して植付ケース20の入力軸を連結して、PTO出力軸64から植付部15に動力を伝達している。
【0019】
次に、動力伝達構成及び変速装置について説明する。本実施例では、変速装置として油圧式無段変速機構57と遊星ギヤ機構83からなる油圧−機械式無段変速装置を採用している。
【0020】
図4乃至図7に示す如く、前記ミッションケース4は、本体胴部70と、前蓋部71と、後蓋部72を備え、前記胴部70の前後に各蓋部72を着脱自在にボルト固定し、密閉箱形に形成すると共に、前記胴部70の内部を前後に分割する仕切り壁部73を設けている。
【0021】
前記ミッションケース4の前蓋部71前面に、可変容量型の油圧ポンプ85及び固定容量型の油圧モータ86からなる油圧式無段変速機構57を配設し、該油圧ポンプ85に入力するための変速入力用ポンプ軸58を前方に突出している。該変速入力用ポンプ軸58は、伝達軸59及び伝達ベルト61を介してエンジン2の出力軸60に連結され、エンジン2から動力を取り出し可能としている。
【0022】
前述の如く、エンジン2から変速入力用ポンプ軸58に入力された動力は、油圧ポンプ85を駆動し、該油圧ポンプ85からの圧油を油圧モータ86に送油してモータ軸77を回転させて出力される。ミッションケース4内に突出したポンプ軸58は、前蓋部71にベアリング軸受した小径の伝達ギヤ74を係合軸支し、また、パイプ軸76を介して後蓋部72後面に固定したチャージポンプ75に伝達ギヤ74の動力を伝達している。
【0023】
一方、前記ミッションケース4内に突出した油圧式無段変速機構57のモータ軸77は、前蓋部71にベアリング軸受されたサンギヤ78を係合軸支している。さらに、該サンギヤ78のボス部に遊転軸支したキャリヤギヤ79に三枚のプラネタリギヤ80を軸81を介して回動自在に設け、該プラネタリギヤ80は、前記サンギヤ78と後蓋部72で前後を回動自在に軸支された合成出力軸84に外嵌したリングギヤ82に噛合した状態として、これら各ギヤ78・80・82によって遊星ギヤ機構83を形成している。
【0024】
そして、ポンプ軸58に外嵌された前記の小径の伝達ギヤ74に大径のキャリヤギヤ79を常時噛合させ、油圧式無段変速機構57の無段変速出力である正逆回転出力と、伝達ギヤ74及びキャリヤギヤ79の減速回転出力(一方向の一定回転)とを、遊星ギヤ機構83のデフ作用によって合成し、ゼロ乃至最大速の一方向の回転力として合成出力軸84に伝達している。
【0025】
なお、図8にも示す如く、リングギヤ82と合成出力軸84との間に、主クラッチ47が設けられている。リングギヤ82は、プラネタリギヤ80と噛合するギヤ部82aと、合成出力軸84にスプライン嵌合するスプラインカラー140に遊嵌するボス部82bで構成されており、クラッチ軸48に枢結されたクラッチアーム48aによってスプラインカラー140に遊嵌されたシフタ49を摺動することにより、ボス部82bとスプラインカラー140との間の鋼球を介して連結・連結解除、すなわち、主クラッチ47の入切を制御するボールクラッチ機構を構成している。前記クラッチ軸48はミッションケース4の外側へ延出され、該延出部に枢結されたクラッチ操作部材であるクラッチアーム48bは、ブレーキペダル30に連結されて、ブレーキペダル30を踏込操作することによって主クラッチ47の入切操作可能としている。
【0026】
また、ミッションケース4の仕切り壁部73と後蓋部72の間で、前記合成出力軸84の後部、フロント出力軸92、リヤ出力軸63及びカウンタ軸94の各軸をベアリング軸受している。
【0027】
前記合成出力軸84の後部では、前進ギヤ87と、後進ギヤ88を遊転軸支しており、合成出力軸84に各ギヤ87・88をスライダ89によって選択的に係合することによって、前進または中立または後進の出力に切り換える構成としている。
【0028】
前記フロント出力軸92では、入力ギヤ96によりフロント出力軸92に伝達された動力を、差動ギヤ90を介して左右の前車軸91に伝達可能としている。さらに、該フロント出力軸92上には、ブレーキ装置120が設けられており、図9にも示す如く、上端部をミッションケース4上部に延出するブレーキ操作軸121の回動によりブレーキ装置120の作動を制御可能とし、ブレーキ装置120が作動すればフロント出力軸92に制動力が働いて前輪6・6の回転を停止させる構成としている。また、後述する入力ギヤ95・96が常時噛合しているので、リヤ出力軸63を介して後輪の回転も停止させることができる。
【0029】
前記ブレーキ装置120は、主に押圧部材120a、そのボス部がフロント出力軸92に嵌合されているブレーキディスク120b・120b・・・、及び、制動パット120c・120c・・・で構成されており、また、ブレーキ操作軸121には、軸を断面半円状に切り欠いて非作動部121aと作動部121bが形成されている。ブレーキ操作軸121の非作動部121aが押圧部材120aと対峙しているときはブレーキ装置120が非作動であり、作動部121bが押圧部材120aと対峙しているときは、該ブレーキ操作軸121が押圧部材120aを押圧してブレーキディスク120b・120b・・が制動パット120c・120c・・に押し当てられてブレーキ装置120が作動し、フロント出力軸92の回転を制止させる。
【0030】
前記リヤ出力軸63では、移動ギヤ97及び植付ギヤ98を遊転軸支しており、副変速スライダ99によって各ギヤ97・98をリヤ出力軸63に選択的に係合させる構成としている。前記副変速スライダ99及び合成出力軸84上の前後進切換スライダ89は、同一のシフトフォーク106に係止されており、変速レバー28の位置切換によって前後進及び副変速(低高速)の切換を行うことができる。なお、PTO出力軸64の手動回転を可能にするため、移動ギヤ97と植付ギヤ98が共に遊転する状態を現出可能としている。
【0031】
前記カウンタ軸94では、伝達ギヤ141と高速用ギヤ100とPTO変速ギヤ93・93・・・を係合軸支している。PTO変速ギヤ93・93・・・は、図10にも示す如く、PTO変速軸116に設けられた径の異なる複数のギヤ56・56・・・に噛合しており、PTO変速装置115によって作動するギヤの組み合わせを選択することにより、該PTO変速ギヤ93の動力を変速してPTO出力軸64に伝え、株間変速自在に植付部15を駆動している。さらに、ミッションケース4に内設させるチェン113を介してPTO出力軸64に施肥出力軸114を連結させ、植付部15と同調させて施肥機38を駆動するようにしている。また、前記伝達ギヤ141は前進ギヤ87と、前記高速用ギヤ100は移動ギヤ97に噛合し、合成出力軸84からリヤ出力軸63の間に介在して動力を伝達している。
【0032】
上述の構成において、前後輪6・6・8・8を後進駆動するときには、前記リヤ出力軸63及びフロント出力軸92上の入力ギヤ95・96を介して、合成出力軸84上の後進ギヤ88の後進動力をリヤ出力軸63及びフロント出力軸92に伝達する。
【0033】
また、前後輪6・6・8・8を苗の植付作業速度で前進駆動するときには、前記伝達ギヤ141からカウンタ軸94上の低速用のPTO変速ギヤ93、植付ギヤ98を介して前進ギヤ87の動力を前記リヤ出力軸63及びフロント出力軸92に伝達する。なお、副変速スライダ99を摺動して変速し、前進ギヤ87の動力を高速用ギヤ100及び移動ギヤ97を介して各出力軸63・92に伝達し、圃場間の路上移動などの高速の移動速度で前後輸6・6・8・8を前進駆動することも可能に構成している。
【0034】
次に、変速装置の操作部材である変速ペダル31の操作機構について説明する。
【0035】
図7、図11乃至図14に示す如く、油圧式無段変速機構57の油圧ポンプ85の斜板107の角度を制御する変速制御軸108は伝動機構を介して変速操作カム109と連動連結されている。即ち、変速制御軸108に、変速アーム173及び変速操作ロッド172からなるリンク110を介して変速操作カム109と連結し、該変速操作カム109に変速ペダル31が連結されている。なお、変速アーム173には、後述するブレーキ装置120と変速装置とを連動させるための連動部材である連動ロッド157を、枢結するための枢結ピン158が固設されている。該枢結ピン158はL字状の部材であり変速アーム173の後方で連動ロッド157の下端を枢結している。
【0036】
前記変速操作カム109に、変速ペダル31及び変速操作カム109の回動軸であるペダル軸101の一端を挿入固定し、該ペダル軸101の他端で変速ペダル31のペダルアーム31aに固設したボス部31bを外嵌固定している。すなわち、変速ペダル31を踏込操作することにより、変速操作カム109がペダル軸101を中心として回動し、該変速操作カム109に連結されたリンク110を介して変速制御軸108が回動操作され、油圧ポンプ85の斜板107の角度を変更する。
【0037】
なお、前記ペダル軸101は、図15にも示す如く、前部フレーム43と中間フレーム44を連結するブラケット132を左右に貫通する筒状支持体103に遊嵌され、変速ペダル31のペダル部31cは、前部フレーム43と中間フレーム44を連結するブラケット132と中間フレーム44と後部フレーム45とを連結するブラケット131との間に架設されたステー139にボルト160・160によって固定されている。
【0038】
前記変速操作カム109は、側面視において、ペダル軸101の上方および下方に膨らませてロッド枢結部109cと、オイルダンパ枢結部109bとが形成され、さらに、ペダル軸101より前方へ大きく突出し、その先端に鋸刃状の歯を一体的に形成した速度保持操作用の係止部109aが形成されている。
【0039】
前記オイルダンパ枢結部109bでは、変速操作カム109にピン104を挿設し、ここで、定速作動部材であるオイルダンパ112の一端と、変速ペダル31の足踏み解除によって変速ペダル31を自動的に停止(車速ゼロ)操作位置に復帰動作させるバネ111の一端を枢支し、該オイルダンパ112とバネ111とを対向状に配置している。そして、前記変速操作カム109に一側を連結させるバネ111の他側を、中間フレーム44と後部フレーム45間に介設するブラケット131に連結し、変速操作カム109のバネ111とは対向状に連結したオイルダンパ112の他側をU字形金具133を介して前部フレーム43上の固定ピン134に係合連結している。このようにして、踏み込んでいた変速ペダル31から足を離したとき、オイルダンパ112の抵抗とバネ111の復動力により変速ペダル31が緩やかな略一定速度で戻って除々に低速になる動作を行うよう構成している。
【0040】
一方、前記ロッド枢結部109cでは、板状の変速操作カム109を、変速操作ロッド172の一端で挟み込んで、これらにピンを貫設して、変速操作ロッド172を枢支している。該変速操作ロッド172を回動してその全長を調節することにより、変速ペダル31の踏込み量や変速ペダル31による変速制御軸108の操作具合等の操作フィーリングを調整可能としている。
【0041】
なお、変速操作カム109には変速ペダル31の操作位置を検出するための被検出体である検出棒109dを固設し、該検出棒109dがセンサ105の検出アーム105aに当接することによって変速操作カム109の操作位置を検出可能に構成している。
【0042】
次に、主クラッチ47及びブレーキ装置120の操作部材であるブレーキペダル30の操作機構について説明する。
【0043】
図1、図11乃至図13に示す如く、ブレーキペダル30は前記変速ペダル31と並列且つ近接して配置され、ブレーキペダル30及び該ブレーキペダル30により操作される機構は、操向ハンドル14に対して一側(本実施例では車体の右側)に配設され、前記変速ペダル31と並列して配置されている。但し、ブレーキペダル30の回動軸であるペダル軸117と、変速ペダル31のペダル軸101は同一直線状に配設するが別体として構成している。図17及び図18に示す如く、ブレーキペダル30のペダル部30cに連続するペダルアーム30aの基部に固設されたボス部30bは、ミッションケース4上面に螺結されたブラケット122の筒部122aに貫装されたペダル軸117の一端に外嵌固定されて、ブレーキペダル30を踏込操作すればペダル軸117が回動する構成としている。さらに、該ボス部30bには、ペダルアーム30aの下方に連動アーム30eが、また、ペダルアーム30aとは反対側に連結アーム30dが固設されている。
【0044】
前記ブレーキペダル30のペダルアーム30aに挿設されたピン128に、変速ペダル31の操作位置を保持して車速を一定に保持するための走行速度保持機構の構成部材である速度保持操作カム102と、ブレーキペダル30とを連動させる連動板129の一端が枢結されている。また、前記ピン128はセンサ130の被検出体としても機能し、センサ130の検出アーム130aが該ピン128に当接することによってブレーキペダル30の踏込操作を検知してセンサをONとし、エンジン始動可能な状態とするように構成されている。
【0045】
前記速度保持操作カム102の回動軸であるカム軸136は前部フレーム43に支承されており、また、油圧ポンプ85の斜板107の角度を制御する変速制御軸108に、リンク110を介して連結した変速操作カム109は変速ペダル31と連結されている。そして、図16に示す如く、操向ハンドル14の近傍に配設された速度保持操作レバー54を手前側に引いて、該速度保持操作レバー54に連結された操作ロッド50を介して速度保持操作カム102を回動し、速度保持操作カム102の爪部102aが変速操作カム109の係止部109aに係合することによって、変速ペダル31の操作位置を保持できるよう構成されており、ブレーキペダル30を踏込操作すれば、連動板129によって連結された速度保持操作カム102が回動して変速操作カム109と速度保持操作カム102との係合を解除できる構成としている。
【0046】
前記連結アーム30dは断面L字状の部材であり、端部にブレーキペダル30を上方に付勢するための付勢部材123の一端を支持し、該連結アーム30dの中途部に、後述するブレーキ装置120の作動と主クラッチ47を切るタイミングを調整するブレーキペダル30の操作フィーリングの調整用ロッド124の一端を支持している。前記調整用ロッド124は、連結アーム30dを貫通し、その上端部に螺入したボルト位置を調節することにより調整用ロッド124の全長を微調整可能として、ブレーキペダル30の操作フィーリング(例えば、操作ストローク等)を調節することができる。
【0047】
前記調整用ロッド124及び付勢部材123の下端はいずれも、ミッションケース4内部より外部へ延出したクラッチ軸48上に、ミッションケース4外側において嵌装されたクラッチアーム48bに連結されている。前述の如く、ブレーキペダル30の踏込操作によってクラッチアーム48bが回動することにより、主クラッチ47を入切操作可能なシフタ49を摺動させる。従って、ブレーキペダル30を踏込操作によって、クラッチアーム48bを介してミッションケース4内においてクラッチ軸48に外嵌されたクラッチアーム48aを回転し、シフタ49を摺動させることによって主クラッチ47が「切」となり、合成出力軸84に回転動力が伝達されないため、前後輪6・6・8・8への回転動力が断絶される。反対にブレーキペダル30の足踏み解除すると、クラッチアーム48bが上述の踏込操作時とは反対方向に回転し、シフタ49を摺動させることによって主クラッチ47を「接」とすることができる。
【0048】
また、前記連動アーム30eはボス部30bより前方へ延出した平板状の部材であり、その前端部に穿設された長孔159に、ブレーキペダル30と変速ペダル31の連動部材である連動ロッド157の軸部157cの上部が挿入されている。連動ロッド157は、前述の如く、その下端に設けられた継手部157dが油圧ポンプ85の斜板107の角度を制御する変速制御軸108に連結された変速アーム173に固設され枢結ピン158に枢支されている。
【0049】
そして、連動ロッド157の軸部157cの上部において、連動アーム30eよりも上方に、該連動アーム30eに穿設された長孔159よりも大径の当接部材157b及び調節用のボルト157a・157aが外嵌されており、連動ロッド157と連動アーム30eを連動連結させるとともに、ボルト157a・157aの螺入具合を変更することにより枢結ピン158と連動アーム30eの距離を調節可能としている。
【0050】
一方、前記ペダル軸117のブレーキペダル30と左右反対側端部には、ブレーキカム126が固設されており、ペダル軸117とブレーキカム126とが一体となって回動するよう構成されている。
【0051】
前記ブレーキカム126は、平板状であって前部に鋸刃状の歯を形成した係止部126aが一体的に形成されている。該係止部126aは駐車ブレーキレバー135に設けられた係止爪135aに係止可能としている。ブレーキペダル30とブレーキカム126はペダル軸117によって連結されており、ブレーキペダル30が付勢部材123によって、足踏み解除される方向に付勢されているため、ブレーキカム126の係止部126aは上方へ回転するよう付勢されている。
【0052】
また、前記駐車ブレーキレバー135の係止爪135aは、ブレーキカム126の係止部126aとの係止部分に斜面が形成されており、係止爪135aとブレーキカム126の係止部126aが係合した状態では、前述の如く、上方へ回転するよう付勢されているブレーキカム126の係止部126aは下方へ回動可能であるが、上方へは回動不可能となり、ブレーキカム126の操作位置が保持される。このように、ブレーキカム126の操作位置を保持することで、すなわち、ブレーキペダル30の操作位置を保持するようにして、例えば、駐車する際に、駐車ブレーキレバー135を回動操作して、駐車ブレーキレバー135の係止爪135aをブレーキカム126の係止部126aに係止させて、ブレーキペダル30を踏み込んだ状態に保持できるようにしている。
【0053】
そして、前記ブレーキカム126には後方へ延出するブレーキロッド127の前端が枢結され、該ブレーキロッド127の後部はブレーキ操作軸121のミッションケース4からの延出部に固設されたブレーキ操作部材であるブレーキアーム156に挿通されている。そして、ブレーキロッド127の後端には、ブレーキアーム156より後方において、ブレーキバネ161、フランジ162、ボルト163の順に外嵌されている。
【0054】
従って、ブレーキペダル30を踏込操作すると、ペダル軸117を介してブレーキカム126が回転し、該ブレーキカム126に枢結されたブレーキロッド127が前方へ牽引される。このとき、ブレーキロッド127が前方へ牽引されると、フランジ162がブレーキバネ161を圧縮して該ブレーキバネ161に当接するブレーキアーム156が押圧されて回動し、該ブレーキアーム156に連結されたブレーキ操作軸121を回動する。
【0055】
ブレーキペダル30を踏込操作したとき、ブレーキ操作軸121が回転することにより、押圧部材120aとの接触部が、ブレーキ非作動部121aからブレーキ作動部121bに移行する。従って、ブレーキペダル30の踏込操作により、ブレーキディスク120b・120b・・・が制動パット120c・120c・・・に徐々に押圧されてブレーキ装置120がフロント出力軸92に作用し、前輪6・6の回動を停止させて車両1を制動する。
【0056】
なお、前記ブレーキペダル30のペダルアーム30aに挿設されたピン128に、速度保持操作カム102とブレーキペダル30とを連動させる連動板129の一端が枢結されている。前記ピン128はセンサ130の被検出体としても機能し、センサ130の検出アーム130aが該ピン128に当接することによってブレーキペダル30の踏込操作を検知してセンサ130がONとなり、エンジン始動可能な状態となるようにしている。
【0057】
ここで、ブレーキ装置120と変速装置の連動機構について説明する。
【0058】
前述の如く、ブレーキペダル30のボス部30bには連動アーム30eが一体的に形成されており、該連動アーム30eの前端に穿設された長孔159に、変速制御軸108に連動する変速アーム173とブレーキペダル30を連動連結するための連動ロッド157の上部が挿入されている。なお、変速ペダル31が踏込操作されない上死点にある状態で、すなわち、変速アーム173が、油圧式無段変速機構57の斜板107の斜板角が車速ゼロ(中立)となる変速制御軸108に対応する状態にあるとき、連動ロッド157に嵌装した当接部材157bの下端と、微量(ここで「微量」とはブレーキペダル30の回動によりクラッチアーム48bが回動しない程度とする)に踏込操作された状態にあるブレーキペダル30の連動アーム30eの上面が当接する状態となるよう前記連動ロッド157が調整されている。
【0059】
上述の如く構成したブレーキ装置120と変速装置の連動機構において、変速ペダル31が上死点にあるとき、変速装置は中立の状態であり、ブレーキペダル30は連動ロッド157によって、微量に回動した状態に保持されている。すなわち、変速ペダル31の踏込操作が解除されているときには、常に、ブレーキペダル30が踏込操作された状態でありブレーキ装置120が作動している状態となる。但し、ここでブレーキ装置120が「作動」している状態とは、クリープ速度で走行駆動されようとする車両を制動できる程度にブレーキ装置120が作動している状態とする。
【0060】
そして、変速ペダル31を踏込操作したときには、該変速ペダル31とともに変速操作カム109が回動することによって、変速操作ロッド172が後方へ牽引されて変速アーム173を回動し、変速制御軸108が操作される。このとき、変速アーム173の回動に伴って連動ロッド157が上方へ押し上げられるが、連動アーム30eに穿設された長孔159を貫通する、該連動ロッド157の軸部157cが上方へ移動するのみで、該連動アーム30eは操作されない。従って、変速ペダル31の踏込操作にブレーキペダル30が連動せず、すなわち、ブレーキ装置120は変速装置の増速動作に連動せず制動しない。
【0061】
なお、変速ペダル31を踏込操作した状態では、連動ロッド157が上方へ移動するため、当接部材157bによる連動アーム30eの押圧が解除されて、ブレーキペダル30は付勢されている方向、すなわち、ブレーキ装置120が非作動となる方向に回動する。このようにして、変速ペダル31を踏込操作しているときには、ブレーキ装置120が非作動となるため、変速ペダル31を踏込操作しているにも関わらずブレーキ装置120が作動することによる馬力ロスを回避することができる。
【0062】
また、踏み込まれた状態にある変速ペダル31の踏込を解除する際には、まず、連動ロッド157は、該連動ロッド157の軸部157cが連動アーム30eの長孔159内を下方へ移動する。そして、変速ペダル31が上死点に達する手前で、連動ロッド157の当接部材157bが連動アーム30eの上面に当接し、変速ペダル31が上死点に至るまで回動することにより当接部材157bが連動アーム30eを下方へ押圧し、ブレーキペダル30がブレーキ装置120が作動する方向に回動操作され、ブレーキ装置120が動作する。
【0063】
このとき、ブレーキペダル30が回動しても、クラッチアーム48bが回動操作されないように連結アーム30dとクラッチアーム48bに連結した調整用ロッド124との間にガタが設けられている。従って、変速ペダル31が上死点に至る直前にブレーキペダル30が回動操作されて、主クラッチ47は操作されず、ブレーキ装置120のみが作動するよう操作されることになる。
【0064】
そして、変速ペダル31が上死点にある状態で、ブレーキペダル30を踏込操作したときには、該ブレーキペダル30とともに連動アーム30eが下方へ回動するが、連動アーム30eの長孔159が連動ロッド157の軸部157cを通過するのみで、変速アーム173は操作されない。従って、変速ペダル31や変速装置はブレーキペダル30の踏込操作に連動しない。
【0065】
また、上述の如く変速ペダル31が上死点にある状態で、踏み込まれた状態にあるブレーキペダル30を踏込解除操作したときには、該ブレーキペダル30とともに連動アーム30eが上方へ回動し、連動アーム30eの長孔159が連動ロッド157の軸部157cを通過して、ブレーキペダル30が上死点に至る直前で連動アーム30eの上面が当接部材157bの下面に当接して、ブレーキペダル30の回動が規制される。すなわち、変速ペダル31が上死点にある状態では、ブレーキペダル30はブレーキ装置120が非作動となる上死点まで回動しないで、その直前で回動を停止し、ブレーキ装置120が作動している状態を保持する。
【0066】
このように、油圧式無段変速機構57と変速操作部材である変速ペダル31とブレーキ装置120が連動されているので、例えば、摩耗等により中立位置がズレたり、油温の上昇等によって変速ペダル31が車速ゼロ操作位置にあっても、機体が微動する、所謂、クリープ現象が生じても、変速ペダル31の踏込操作を解除した状態では、ブレーキペダル30はブレーキ装置120を作動し、クリープ現象の発生を阻止し、確実に車両を制動できるようにしているのである。
【0067】
また、変速ペダル31とブレーキペダル30の操作機構を、操向ハンドル14に対して左右一側に近接配置するとともに、これらの操作機構を連動部材である連動ロッド157よって連動連結したので、連動機構を簡易且つコンパクトに構成することができ、また、連動機構における伝達ロスを低減させることができる。
【0068】
次に、ブレーキ装置120と変速装置の連動機構の別実施例について説明する。
【0069】
図19に示す如く、前部フレーム43等の機体側にワイヤアウタ受け165を固設し、該ワイヤアウタ受け165にワイヤアウタ166の一端を固定し、該アウタワイヤ166にブレーキ連動ワイヤ169を挿通してその一端を、ワイヤエンド部材167を介して変速ペダル31に連結している。前記ワイヤエンド部材167はL字状の部材であって、ブレーキ連動ワイヤ169の一端に連結されており、該ワイヤエンド部材167は、変速ペダル31の操作により回動する変速操作カム109に、該変速ペダル31が上死点にある状態においてペダル軸101の下方に穿設された挿入孔168に挿入されて、変速操作カム109に回動可能に枢結されている。すなわち、ブレーキ連動ワイヤ169の一端は変速ペダル31の回動軸であるペダル軸101の近傍に枢結され、変速ペダル31の回動に伴って比較的短いストロークで弛緩操作されることとなる。
【0070】
前記ブレーキ連動ワイヤ169の他端は、図20に示す如く、ブレーキアーム156のブレーキロッド127を挿入している側の端部156aとブレーキ操作軸121に対して反対側の端部156bに連結されている。ワイヤアウタ受け170aはミッションケース4の上面に配設されたステップ受け170に一体的に形成されている。
【0071】
前記ワイヤアウタ受け170aとブレーキアーム156との間において、ブレーキ連動ワイヤ169には該ブレーキ連動ワイヤ169のガタを除去するためのバネ175が介装されている。なお、ブレーキ連動ワイヤ169に介装されたバネ175の弾性力はブレーキバネ161よりも弱く、ブレーキアーム156はブレーキバネ161等によりブレーキ装置120が作動する方向に付勢されている。
【0072】
そして、変速ペダル31が上死点にあり、ブレーキアーム156がブレーキ装置120が作動する方向に回動した状態で、該変速ペダル31のペダルアーム31aと、ブレーキアーム156とを連結するブレーキ連動ワイヤ169の遊びがゼロとなるように調整している。
【0073】
上述の如く配設された連動機構において、踏込操作された状態にある変速ペダル31の踏込操作が解除されて、該変速ペダル31が上死点に至ったとき、変速ペダル31の回動に伴い、ブレーキ連動ワイヤ169が牽引され、ブレーキアーム156のブレーキ連動ワイヤ169を連結した側の端部156bが前方へ回動して、ブレーキ装置120が作動し、車両を制動することによって、クリープ現象の発生を抑制することができる。
【0074】
また、変速ペダル31を踏込操作したときには、ブレーキ連動ワイヤ169が引っ張られ、ブレーキアーム156は、ブレーキ装置120の作動を解除する方向へ回動してブレーキ装置120が非作動となるように構成されている。
【0075】
このように、変速ペダル31の踏込操作解除時には、ブレーキ装置120が作動するようにして、確実に車両を停止させることができるとともに、変速ペダル31の踏込操作に連動してブレーキ装置120が非作動となるようにして、ブレーキディスク120bや制動パット120cの摩耗や、動力の損失等が発生することのないようにしている。
【0076】
上述の二実施例において説明したブレーキ装置120と変速装置の連動機構では、変速操作部材である変速ペダル31とブレーキ装置120とをワイヤやリンク等で連結して連動させることによって、変速装置を操作する変速操作部材である変速ペダル31が車速ゼロ(中立)位置にあるときに、ブレーキ装置120が動作するように構成し、また、変速ペダル31を車速ゼロ操作位置から増速方向に操作することによりブレーキ装置120の作動を解除するよう制御している。
【0077】
これにより、変速操作部材の車速ゼロ操作位置調整、機関の回転数、油温等のばらつき等に関係なく、クリープ現象を抑止し、確実に車両の走行を停止させることができる。また、ブレーキ装置120と変速装置を連動させるが、変速操作部材の操作によりブレーキ装置120の作動を解除して、ブレーキ装置120や変速装置のいずれにも負荷を与えることのないようにしている。
【0078】
なお、本実施例では、変速装置として、油圧式無段変機構57と遊星ギヤ機構83とを組み合わせた機械−油圧式無段変速機構を採用し、変速操作部材である変速ペダル31によって油圧式無段変速機構57の油圧ポンプ85の斜板107角を変更する構成としているが、変速装置は本実施例に限定されず、例えば、油圧式無段変速機構のみで構成された変速装置や、中立位置を有する摩擦円板式無段変速装置により構成された変速装置とすることもできる。また、変速装置を操作する変速操作部材は本実施例の変速ペダルに限定されず、変速操作部材を、例えば、変速ペダル、アクセルレバー、フートアクセルや変速レバー等とすることができる。
【0079】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0080】
請求項1に示す如く、油圧式無段変速機構(57)により変速装置を構成し、該油圧式無段変速機構(57)は操縦部に配置した変速ペダル(31)により斜板(107)を傾動し変速操作する走行車両において、該変速ペダル(31)と、ブレーキ装置(120)のブレーキペダル(30)とを連動し、該変速ペダル(31)が踏込操作されない上死点の、車速ゼロ操作位置にある状態で、ブレーキ装置(120)を制動し、車両がゆっくりと動き出すクリープ現象を制動すべく構成し、該変速ペダル(31)が踏込操作され増速操作されると、前記ブレーキ装置(120)の制動を解除すべく、前記変速ペダル(31)の踏み込みにより回動する変速アーム(173)と、該ブレーキペダル(30)の踏み込みにより回動する連動アーム(30e)との間に、連動ロッド(157)を介装し、該変速ペダル(31)が踏込操作されない状態では、前記連動ロッド(157)に嵌装した当接部材(157b)と、前記ブレーキペダル(30)の連動アーム(30e)が当接する状態となるように配置し、該変速ペダル(31)を変速の為に踏込操作した時には、該連動ロッド(157)は前記連動アーム(30e)に穿設された孔内を移動するのみで、該連動アーム(30e)とは係合せず、該ブレーキ装置(120)による制動が解除されるように構成したので、次のような効果を発揮するのである。
従来、変速装置として可変容量型油圧ポンプと油圧モータより構成される油圧式無段変速機構(HST)を備えた走行車両に、作業装置を搭載した田植機等の作業車両においては、油圧ポンプの斜板角度を制御することにより変速し、油圧ポンプの斜板角度を操作する変速操作部材の車速ゼロ操作位置を調整することによって、車速がゼロである状態から発進可能となるようにしている。
しかし、変速装置と変速操作部材とが連動状態としているので、例えば、油圧式無段変速機構の作動油の油温の上昇等によって変速操作部材が車速ゼロ操作位置にあっても、車両がゆっくりと動き出すという現象(所謂、クリープ現象が)が発生していた。
本発明はこのクリープ現象を抑制することが出来たのである。
また、変速操作部材の車速ゼロ操作位置にばらつきが発生しても、クリープ現象を抑止することができる。
【0081】
請求項2に示す如く、請求項1記載の変速装置とブレーキ装置(120)の連動機構において、前記ブレーキペダル(30)と変速ペダル(31)とを、操向ハンドル(14)に対して左右一側に近接配置したので、ブレーキ装置と変速装置との連動機構をコンパクトに配設することができ、これらの間での伝達ロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係る田植機の全体的な構造を示す平面図。
【図2】 同じく側面図。
【図3】 車体フレームを示す平面図。
【図4】 駆動部の説明側面図。
【図5】 駆動部の説明平面図。
【図6】 ミッションケースの断面図。
【図7】 ミッションケースのスケルトン図。
【図8】 主クラッチの説明図。
【図9】 ブレーキ装置の説明図。
【図10】 PTO変速機構の説明図。
【図11】 変速装置及びブレーキ装置の操作機構を示す斜視図。
【図12】 同じく平面図。
【図13】 同じく右側面図。
【図14】 変速ペダル操作機構を示す右側面図。
【図15】 車体フレームにおける変速ペダル操作機構支持部を示す斜視図。
【図16】 速度保持操作レバーを示す斜視図。
【図17】 ブレーキペダル操作機構を示す左側面図。
【図18】 同じく斜視図。
【図19】 別実施例における変速ペダル操作機構を示す図。
【図20】 同じくブレーキ装置の操作機構を示す図。
【符号の説明】
1 走行車両
30 ブレーキペダル
31 変速ペダル
57 油圧式無段変速機構
85 油圧ポンプ
86 油圧モータ
107 斜板
108 変速制御軸
120 ブレーキ装置
157 連動ロッド
173 変速アーム[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to travel control in a work vehicle such as a rice transplanter, and more particularly to a structure for interlocking a transmission and a brake device.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, a working vehicle such as a rice transplanter equipped with a working device on a traveling vehicle equipped with a hydraulic continuously variable transmission mechanism (HST) composed of a variable displacement hydraulic pump and a hydraulic motor as a transmission device has a hydraulic pump. The speed is changed by controlling the swash plate angle, and the vehicle speed can be started from a state where the vehicle speed is zero by adjusting the vehicle speed zero operation position of the speed change operation member for operating the swash plate angle of the hydraulic pump.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, since the speed change device and the speed change operation member are in an interlocking state, even if the speed change operation member is at the vehicle speed zero operation position due to, for example, an increase in the oil temperature of the hydraulic continuously variable transmission mechanism, the vehicle is slowly The phenomenon of starting to move (so-called creep phenomenon) occurred.
[0004]
[Means for Solving the Problems]
The problem to be solved by the present invention is as described above. Next, means for solving the problem will be described.
[0005]
According to the first aspect of the present invention, a transmission is constituted by a hydraulic continuously variable transmission mechanism (57), and the hydraulic continuously variable transmission mechanism (57) has a swash plate (107) by a transmission pedal (31) disposed in a control section. In a traveling vehicle that tilts and shifts, the shift pedal (31) and the brake pedal (30) of the brake device (120) are interlocked so that the shift pedal (31) is not depressed and the vehicle speed is zero. The brake device (120) is braked in the state of the operation position so as to brake a creep phenomenon in which the vehicle slowly moves, and when the shift pedal (31) is depressed and operated to increase the speed, the brake device A shift arm (173) that rotates when the shift pedal (31 ) is depressed to release the braking of (120) , and an interlocking arm that rotates when the brake pedal (30) is depressed. (30e), the interlocking rod (157) is interposed, and in a state where the shift pedal (31) is not depressed, the contact member (157b) fitted to the interlocking rod (157), When the interlocking arm (30e) of the brake pedal (30) is disposed so as to be in contact with the shift pedal (31) for shifting, the interlocking rod (157) is connected to the interlocking arm (30e). ) Is moved only in the hole drilled in, and is not engaged with the interlocking arm (30e), and the braking by the brake device (120) is released .
[0006]
According to a second aspect of the present invention, in the interlocking mechanism of the speed change device and the brake device (120) according to the first aspect, the brake pedal (30) and the speed change pedal (31) are arranged on the left and right sides of the steering handle (14). It is placed close to the side .
[0007]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, embodiments of the invention will be described. FIG. 1 is a plan view showing the overall structure of a rice transplanter according to the present embodiment, FIG. 2 is a side view of the same, and FIG. 3 is a plan view showing a body frame. 4 is an explanatory side view of the drive unit, FIG. 5 is an explanatory plan view of the drive unit, FIG. 6 is a cross-sectional view of the transmission case, FIG. 7 is a skeleton diagram of the transmission case, FIG. FIG. 10 is an explanatory diagram of the PTO transmission mechanism. 11 is a perspective view showing an operation mechanism of a transmission and a brake device, FIG. 12 is a plan view, FIG. 13 is a right side view, FIG. 14 is a right side view showing a shift pedal operation mechanism, and FIG. FIG. 16 is a perspective view showing the speed holding operation lever, FIG. 17 is a left side view showing the brake pedal operation mechanism, and FIG. 18 is a perspective view of the same. FIG. 19 is a view showing a shift pedal operating mechanism in another embodiment, and FIG. 20 is a view showing the operating mechanism of the brake device.
[0008]
First, the structure of the riding rice transplanter according to the embodiment of the present invention will be described. However, the interlocking mechanism of the brake device and the transmission according to the present invention is not limited to this embodiment, and can be applied to a wide variety of work vehicles.
[0009]
As shown in FIGS. 1, 2, and 5, in the riding rice transplanter, the
[0010]
In the vicinity of the
[0011]
In the figure,
[0012]
Then, a pair of
[0013]
In the figure, 36 is a center float, 37 and 37 are side floats, and 38 is a side grooving device for the
[0014]
Next, the frame structure of the riding rice transplanter will be described.
[0015]
As shown in FIGS. 3 to 5, the
[0016]
The
[0017]
The rear axle case 7 is fixed to a
[0018]
The
[0019]
Next, the power transmission configuration and the transmission will be described. In this embodiment, a hydraulic-mechanical continuously variable transmission comprising a hydraulic continuously
[0020]
As shown in FIGS. 4 to 7, the
[0021]
A hydraulic continuously
[0022]
As described above, the motive power input from the
[0023]
On the other hand, the
[0024]
Then, a large-
[0025]
As shown in FIG. 8, the main clutch 47 is provided between the
[0026]
Further, between the
[0027]
At the rear part of the
[0028]
In the
[0029]
The
[0030]
In the
[0031]
The
[0032]
In the above-described configuration, when the front and
[0033]
Further, when the front and
[0034]
Next, an operation mechanism of the
[0035]
As shown in FIGS. 7 and 11 to 14, the
[0036]
One end of a
[0037]
As shown in FIG. 15, the
[0038]
The
[0039]
In the
[0040]
On the other hand, in the
[0041]
Note that a
[0042]
Next, an operation mechanism of the
[0043]
As shown in FIGS. 1, 11 to 13, the
[0044]
A speed maintaining
[0045]
A
[0046]
The connecting
[0047]
The lower ends of the adjusting
[0048]
The interlocking
[0049]
In the upper part of the shaft portion 157c of the interlocking
[0050]
On the other hand, a
[0051]
The
[0052]
Further, the locking
[0053]
A front end of a
[0054]
Accordingly, when the
[0055]
When the
[0056]
One end of an interlocking
[0057]
Here, the interlocking mechanism of the
[0058]
As described above, the
[0059]
In the interlocking mechanism of the
[0060]
When the
[0061]
In the state where the
[0062]
Further, when releasing the depression of the
[0063]
At this time, a backlash is provided between the connecting
[0064]
Then, when the
[0065]
Further, when the
[0066]
Since the hydraulic stepless
[0067]
In addition, the operation mechanisms of the
[0068]
Next, another embodiment of the interlocking mechanism between the
[0069]
As shown in FIG. 19, a wire
[0070]
The other end of the
[0071]
Between the wire
[0072]
The brake interlock wire that connects the
[0073]
In the interlocking mechanism arranged as described above, when the stepping operation of the
[0074]
Further, when the
[0075]
As described above, when the stepping operation on the
[0076]
In the interlocking mechanism between the
[0077]
Thus, regardless of variations in the vehicle speed zero operation position of the speed change operation member, engine speed, oil temperature, etc., the creep phenomenon can be suppressed and the vehicle can be stopped reliably. Further, although the
[0078]
In this embodiment, a mechanical-hydraulic continuously variable transmission mechanism in which a hydraulic continuously
[0079]
【The invention's effect】
Since the present invention is configured as described above, the following effects can be obtained.
[0080]
According to another aspect of the present invention, a transmission is constituted by a hydraulic continuously variable transmission mechanism (57), and the hydraulic continuously variable transmission mechanism (57) is a swash plate (107) by a shift pedal (31) disposed in a control section. In a traveling vehicle that tilts and shifts, the shift pedal (31) and the brake pedal (30) of the brake device (120) are interlocked so that the shift pedal (31) is not depressed and the vehicle speed at the top dead center. The brake device (120) is braked in a state where the vehicle is in the zero operation position, so that the creep phenomenon in which the vehicle slowly moves is braked. When the speed change pedal (31) is depressed to increase the speed, A transmission arm (173) that rotates when the shift pedal (31) is depressed to release braking of the device (120), and an interlocking arm that rotates when the brake pedal (30) is depressed. 30e), an abutting member (157b) fitted to the interlocking rod (157) and the brake in a state in which the interlocking rod (157) is interposed and the shift pedal (31) is not depressed. When the interlocking arm (30e) of the pedal (30) is disposed so as to come into contact, and when the shift pedal (31) is depressed for shifting, the interlocking rod (157) is connected to the interlocking arm (30e). It is configured so that it can be moved only in the hole formed in it and not engaged with the interlocking arm (30e), and braking by the brake device (120) is released. To do.
2. Description of the Related Art Conventionally, a working vehicle such as a rice transplanter equipped with a working device on a traveling vehicle equipped with a hydraulic continuously variable transmission mechanism (HST) composed of a variable displacement hydraulic pump and a hydraulic motor as a transmission device has a hydraulic pump. The speed is changed by controlling the swash plate angle, and the vehicle speed can be started from a state where the vehicle speed is zero by adjusting the vehicle speed zero operation position of the speed change operation member for operating the swash plate angle of the hydraulic pump .
However, since the speed change device and the speed change operation member are in an interlocking state, even if the speed change operation member is at the vehicle speed zero operation position due to, for example, an increase in the oil temperature of the hydraulic continuously variable transmission mechanism, the vehicle is slowly The phenomenon of starting to move (so-called creep phenomenon) occurred.
The present invention has been able to suppress this creep phenomenon.
Further, even if the vehicle speed zero operation position of the speed change operation member varies, the creep phenomenon can be suppressed.
[0081]
According to a second aspect of the present invention, in the interlocking mechanism of the speed change device and the brake device (120) according to the first aspect, the brake pedal (30) and the speed change pedal (31) are moved to the left and right with respect to the steering handle (14). Since it is arranged close to one side, the interlocking mechanism between the brake device and the transmission can be arranged in a compact manner, and transmission loss between them can be reduced.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a plan view showing an overall structure of a rice transplanter according to the present embodiment.
FIG. 2 is a side view of the same.
FIG. 3 is a plan view showing a vehicle body frame.
FIG. 4 is an explanatory side view of a drive unit.
FIG. 5 is an explanatory plan view of a drive unit.
FIG. 6 is a sectional view of a mission case.
FIG. 7 is a skeleton diagram of a mission case.
FIG. 8 is an explanatory diagram of a main clutch.
FIG. 9 is an explanatory diagram of a brake device.
FIG. 10 is an explanatory diagram of a PTO transmission mechanism.
FIG. 11 is a perspective view showing an operation mechanism of a transmission and a brake device.
FIG. 12 is also a plan view.
FIG. 13 is a right side view of the same.
FIG. 14 is a right side view showing a shift pedal operation mechanism.
FIG. 15 is a perspective view showing a shift pedal operation mechanism support portion in a vehicle body frame.
FIG. 16 is a perspective view showing a speed holding operation lever.
FIG. 17 is a left side view showing a brake pedal operating mechanism.
FIG. 18 is a perspective view of the same.
FIG. 19 is a view showing a shift pedal operation mechanism in another embodiment.
FIG. 20 is a view similarly showing an operating mechanism of the brake device.
[Explanation of symbols]
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