JP4194796B2 - 活性炭製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は活性炭製造装置に関し、特に炉内で発生した乾留ガスを同じ炉内にて燃焼させ、直接、活性炭原料の過熱に利用し、工程を単純化し熱効率を向上させた活性炭製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、活性炭製造装置には活性炭原料を収納する炉室と、この炉室内に水蒸気を供給する水蒸気供給手段とが設けられ、この水蒸気で活性炭原料を乾留することにより活性炭を製造している。乾留に際して発生する乾留ガスは可燃性のガスであり、発火させずに乾留を進めるために炉室外に取出し、この後、燃焼処理して大気中に放出されるが、この燃焼熱で加熱して得た水蒸気を活性炭原料の乾留に利用したり、この燃焼熱を帯びた排気で炉室の外側から活性炭原料を加熱したり(外燃加熱方式)することもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来活性炭製造装置によれば、ボイラで得られる水蒸気の温度は200〜250℃以下であるので、活性炭原料全体を乾留して良質の活性炭を製造するために要する時間が長く掛るという問題がある。特にオカラのように含有水分が多い活性炭原料の場合には、炉内で活性炭原料を乾燥させるので、良質の活性炭を製造するのに要する時間は一層長くなる。
【0004】
又、この種の外燃加熱方式では、熱効率が低いために、燃焼熱を帯びた排気を更に加熱するバーナを設けなければその効果が薄く、処理時間を大幅に短縮することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、この従来技術の課題を解消し、短時間で効率的に良質の活性炭が製造でき、しかも、構成が簡単な活性炭製造装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る活性炭製造装置(以下、本発明という。)は、この目的を達成するために、炉室内で活性炭原料を収用する炉内容器と、該炉内容器内に水蒸気を供給する水蒸気供給管と、前記炉室内に前記炉内容器から流出する乾留ガスに混合する燃焼用空気を供給するエアダクトとを備え、炉室内で乾留ガスを燃焼させて炉内容器内の活性炭原料を加熱することを特徴とするものである。
【0007】
これによれば、炉内容器内では、活性炭原料が水蒸気供給管から供給された水蒸気で加熱され、及び容器外部より炉内の燃焼により乾留ガスを生成するので、炉内容器内の雰囲気は乾留ガス雰囲気に保持される。これに対して炉内容器外の炉室内の空間にはエアダクトを介して燃焼用空気が供給されるので、乾留ガスが燃え易い酸化雰囲気になる。
【0008】
炉内容器内への酸化雰囲気の拡散は、炉内容器内の圧力を炉内容器外の炉室の内圧よりもわずかに高くすることにより防止され、これにより、活性炭原料は炉内容器内で発火することなく乾留されて活性炭になる。
【0009】
ここで、炉内容器外の炉室内の雰囲気は、エアダクトから空気が供給されているので、乾留ガスの燃焼を助長する酸化雰囲気に保持され、炉内容器から外に流出した乾留ガスをこの酸化雰囲気に接触させると、わずかな火種で活発な燃焼反応が起こる。
【0010】
そして、この燃焼は炉室の炉内容器外の空間全体に広がり、その燃焼熱で炉内容器及び炉内容器内の活性炭原料が加熱される。これにより、炉内容器内の活性炭原料を例えば1000℃という水蒸気のみでは得ることができない温度に加熱することができるという作用を得ることができる。
【0011】
ところで、本発明において、炉室内に乾留ガスの燃焼熱を蓄積して赤熱する蓄熱体が配置されると、炉室内の乾留ガスの燃焼熱を蓄積した蓄熱体から放散される熱で炉内容器及びその中に収納されている活性炭原料を加熱することができるという作用を得ることができる。
【0012】
この蓄熱体は、炉内容器から離隔して設けて、この蓄熱体の輻射熱により炉内容器及びその中の活性炭原料が加熱されるようにしてもよく、炉内容器に接して設けたり、炉内容器の周壁に一部が埋設されるように設けたりして、該蓄熱体からの輻射熱と伝導熱により炉内容器とその中の活性炭原料が加熱されるようにしてもよく、炉内容器の周壁に全部が埋設されるように設けて、該蓄熱体からの伝導熱により炉内容器とその中の活性炭原料が加熱されるようにしてもよい。
【0013】
この蓄熱体は、特別のものとして設けてもよいが、部品点数を削減し、炉構造を簡単にするために、炉室をその外部と区画する炉壁の内面に付着させるコーティング又はライニングと、炉室内に配置される炉内容器と、エアダクトと少なくとも1つがセラミックスで形成されることにより蓄熱体に兼用されることが好ましい。
【0014】
中でも、エアダクトを多孔質セラミックで構成して蓄熱体に兼用すると、多孔質セラミックにはその内外を連通する微細な無数の連通孔が形成されているので、これの内部に供給された空気を炉室内に平均的に供給して、炉室内での乾留ガスの燃焼を炉室内全体にわたって広がらせることがきるので好ましい。
【0015】
又、本発明においては、炉室から導出された排気路にボイラが配置され、このボイラで発生する水蒸気が前記水蒸気供給管を介して炉内容器内に供給されることが、排気熱を有効利用できるので好ましい。
【0016】
更に、本発明においては、炉室から導出された排気路に活性炭原料を投入する原料ホッパーが設けられ、この原料ホッパーから排気路に投入され、排気に乗って排気路の下流側に搬送された活性炭原料を排気から分離回収するサイクロンと、このサイクロンで回収した活性炭原料を蓄積し、前記炉内容器に投下するホッパータンクとを備えると、排気熱で原料ホッパー内の活性炭原料を乾燥させて原料粉粒間の結合力を弱くすると共に、結合力が弱くなった原料粉粒間に排気を流入させることにより原料ホッパー内に詰まっている活性炭原料を排気路内に投下できるようになり、又、排気路に投下された活性炭原料を排気路内で排気により加熱乾燥させながら下流側に風送することができ、更に、下流側に設けたサイクロンによって十分に乾燥され、かつ予熱された活性炭原料を回収することができ、このサイクロンで回収された活性炭原料をホッパータンクに貯留して炉内容器に投下することができるなどの作用が得られる。即ち、例えば含有水分が80〜90%と多いオカラのような活性炭原料を例えば含有水分が4〜5%程度になるまで十分に乾燥させて炉内容器に投下できると言う作用を得ることができる。
【0017】
加えて、本発明において、前記水蒸気供給管がその軸心周りに回転可能に設けられ、該水蒸気供給管と、炉内容器内でこの水蒸気供給管に固定された攪拌具と、前記水蒸気供給管を回転駆動する回転駆動手段とを備える攪拌手段が設けられると、前記水蒸気供給手段から水蒸気を炉内容器内に供給しながら、この攪拌手段で活性炭原料を攪拌することができ、製品の品質を均等にできる上、攪拌状態を制御することにより、乾留の進行を制御し、炉内容器内の温度を一定以下に抑制することができるという作用を得ることができる
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例に係る活性炭製造装置を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
【0019】
図1は本発明の一実施例に係る活性炭製造装置の構成図であり、この装置は耐火材で囲まれた炉室1と、この炉室1内の中央部に配置された縦軸筒状の炉内容器2と、炉頂壁を貫通してこの炉内容器2内に挿入された水蒸気供給管3及びこの水蒸気供給手段3と一体になって炉内容器2内の活性炭原料を攪拌する攪拌手段4とを備えている。
【0020】
この炉内容器2は、密封容器ではなく、この炉内容器2内で発生する乾留ガスを炉室1内の他の空間に供給するために、好ましくは水蒸気供給管3の先端から離れた位置、例えば上部で炉室1内に開放された形状に形成される。この実施例では、投入や攪拌に際して舞い上がる活性炭材料が炉内容器2外に飛散することを防止するために、炉内容器2はその上面の中央部で、前記水蒸気供給管3の周囲部のみが開放された形状にしている。
【0021】
なお、この開口部の開口面積は、炉内容器2内に周囲の酸化雰囲気が流入することを防止するために、水蒸気の供給により炉内容器2内の圧力が炉内容器2外の圧力よりも若干高くなるように絞り気味に設計することが好ましい。
【0022】
この炉内容器2の材質は、気密性を有することは必要ではないが、水蒸気供給管3から供給される水蒸気を炉内容器2内に収容された活性炭原料全部に確実に接触させると共に、炉内容器2外から炉内容器2内に酸化雰囲気が拡散することを確実に防止するために、気密性を有する材質、例えば耐熱性金属やセラミック材を採用することが好ましく、ここでは、耐熱性金属である鋼板を採用している。
【0023】
前記攪拌手段4は、水蒸気供給管3とは別に設けてもよいのであるが、ここでは部品点数を削減すると共に、構造を簡単にするために、前記水蒸気供給管3を縦軸心の周りに回転可能に設け、この水蒸気供給管3と、その周囲に固定したスパイラル羽根からなる第1の攪拌具5と、この水蒸気供給管3の下端部に固定した例えばコイルスプリングからなる第2の攪拌具6と、炉頂部外に設けられ、水蒸気供給管3を介して第1、第2両攪拌具5、6を一方向に回転駆動する回転駆動手段7とで攪拌手段4を構成している。
【0024】
なお、攪拌手段4は攪拌具5、6を回転させずに、炉内容器2を回転させることにより、炉内容器2内の活性炭原料19を攪拌するように構成することも可能であるが、この構成は構造が複雑になり、高価になるという難点があるので、ここではその詳細な説明を省略することにする。
【0025】
ところで、図2の横断平面図に示すように、前記炉室1内には前記炉内容器2の周囲に直管状の多孔質セラミックス管からなる多数の蓄熱体を兼ねるエアダクト(以下、単にエアダクトという。)8が炉内容器2から所定の間隔を置き、又、エアダクト8どうしが互いに等間隔を置くように配置され、大気中から空気ポンプ9によりこれらのエアダクト8を介して燃焼用空気が炉室1内に均等に分散して供給されるようにしている。
【0026】
各エアダクト8の形状は、直管に限ることはなく、異径管や蛇腹管のように断面積が変化する管、図3の側面図に示すように、例えば炉内容器2に巻付けた1条(又は複数条)の螺旋管、図4の側面図に示すように順に連通させた上下多段の環状管、図5の側面図に示すように炉内容器2の周囲で上下に蛇行する蛇行管などで構成してもよい。
【0027】
又、図6の横断平面図に示すように、炉内容器2の周囲に筒状空間8Aを隔てて多孔質板からなる外套板8Bを配置し、この外套板8Bと炉内容器2とで、いわば二重管からなるエアダクト8を構成してもよい。なお、ここでは、筒状空間8Aの径方向の寸法は必要に応じて配置された筒状金網からなるスペーサ8Cによって全周にわたって一定以上に、かつ略均等に保持され、又、外套板8Bは例えばセラミックス片を集積したセラミックス集積板からなり必要に応じてパンチングプレートからなる裏板8Dにより全面的に補強されている。もちろん、この裏板8Dは外套板8Dの全面にではなく、例えば外套板8Bの上端部、下端部、中間部などに部分的に設けてもよい。
【0028】
更に、図7の横断平面図に示すように、炉内容器2外周に設けたエアーダクト8により炉室1内へ燃焼用空気を導入し、乾留ガスを炉室1内で燃焼するような構成としてもよい。この他に、エアダクト8を炉壁の内面に接して設けたり、炉壁の内面にエアダクト8の一部又は全部を埋入するように設けたり、エアダクト8を炉壁と一体化するように設けてもよい。
【0029】
加えて、前記エアダクト8どうしを互いに等間隔を置いて配置することは、炉室1内の雰囲気を均等にするためには好ましいが、エアダクト8どうしの間隔は必ずしも均等にしなくてもよい。もちろん、エアダクト8の数は炉室1内の雰囲気を均等にするためには多数であることが好ましいが、1本以上であれば特に限定されない。しかし、構造を簡単にするためにはエアダクト8の数は少数であることが好ましいので、これら雰囲気の均質化とゆう課題と構成の簡単化と言う課題とが調和して解決されるように決定することが最も好ましい。
【0030】
前記エアダクト8の材質は多孔質セラミックスに限定されるものではなく、例えば軟化点が所定の温度、例えば1000℃以上の耐熱性を有する燒結合金などの他の多孔質材を用いることができる。更に、エアダクト8の材質は多孔質材に限らず、軟化点が所定の温度、例えば1000℃以上の耐熱性を有する無孔質の金属、ガラス等の無孔質セラミックスなどを用いてもよい。
【0031】
無孔質の素材に内外を連通させる多数の通気孔を分散して形成する方法は特に限定されず、ドリル加工や、パンチング、ピアシングなどの打抜き加工に代表される機械加工、プラズマビーム加工などを採用すればよい。
【0032】
エアダクト8は、素材繊維(例えばガラス繊維)からなる糸を織った織布、素材繊維からなる糸を編んだ編成布、素材繊維を互いに接着した不織布等を縫合、接着、融着などによりチューブ状に形成したものや、素材繊維からなる糸をチューブ状に編み上げたもの、素材をチューブ状フィルムに形成したものなど、柔軟に形成されているエアダクト8であってもよい。これら柔軟なエアダクト8の場合には、その内部に供給される空気の圧力で所定の形状が保持されるものや、組織によってその形状を自己保持できるものが含まれる。
【0033】
ところで、図1に示すように、炉室1の底部には立上時の加熱を急峻にし、又、定常運転時の温度制御を容易にするためにバーナ10を設ける。このバーナ10としては、例えば豆腐製造業において使用された廃天ぷら油などの廃油を燃料とする廃油バーナを用いている。もちろん、立上加熱に、ガスバーナや、電気加熱を採用知ることも可能である。
【0034】
炉室1の底(炉底)11には、乾留ガスを完全燃焼させるための2次炉室12を連通させてあり、この2次炉室12から導出される排気路13に介在させたボイラ14により生成される水蒸気をアキュムレータ15が介在する水蒸気導管16で前記水蒸気供給管3に導き、炉内容器2内に供給するようにしている。
【0035】
前記排気路13には、好ましくは前記ボイラ14の下流に、排気ファン17を設け、この排気ファン17から噴出する気流の一部を原料ホッパー18の底部に吹き込ませる。原料ホッパー18内の底部に詰まっていた活性炭原料19は、この排気の熱によって加熱乾燥されて原料粉粒間の結合力が低下すると共に、結合力が弱められた原料粉粒の間に排気が流入することにより流動性が高められるので、排気路13に落下する。
【0036】
排気路13には活性炭原料19が排気路13内を逆流することを防止するためにメッシュ状のゲート32を設けてあるので、排気路13に落下した活性炭原料19はこのゲート32の上で排気により更に加熱乾燥され、例えば原料ホッパー18への投入時の含有水分が80〜90%である含有水分4〜5%程度まで乾燥する。そして、この乾燥により比重が軽くなったものから排気の流れに乗って排気路13の下流側に流れ、炉室1の上方に配置されたサイクロン20で回収され、該サイクロン20の下部に連設されたホッパータンク21内に蓄積される。
【0037】
前記ホッパータンク21の底部にはシャッター22で開閉される原料ダクト23を連通させてあり、このシャッター22を開くとホッパータンク21内の活性炭原料が原料ダクト23に導かれて前記炉内容器2内に投下される。
【0038】
ところで、この活性炭製造装置は、原料ホッパー18に例えばオカラ(豆乳の絞り粕)を投入した後、バーナ10を点火することにより始動される。
【0039】
最初に原料ホッパー18に投入されたオカラは原料ホッパー18の排出口24でブリッジ現象を起こして排気路13には落下しないことが多いが、排気路13まで落下しても特に問題はなく、むしろ、排気路13に落下した活性炭原料19は、排気路13のゲート32の上に堆積して流路面積を絞ったり、排気路10を閉塞したりすることにより炉室1内の温度の立上を急峻にするという好都合な結果をもたらすことが少なくない。
【0040】
炉室1内の温度がある程度上昇すると、原料ホッパー18内の底部に留まっている活性炭原料19は、上述したように、排気に加熱されて乾燥することにより原料粉粒間の結合が弱くなり、又、排気ファン17により加圧された排気が結合力の弱くなった原料粉粒の間に圧入されることにより流動性を高められるので、排気路13に落下し、ゲート32上で更に排気により加熱乾燥されて比重が軽くなる。
【0041】
排気に加熱される前にゲート32上に落下した活性炭原料19も排気で加熱されると、原料粉粒間の結合力が弱められて流動性が高められ、原料粉粒の比重が軽くなる。そして、含有水分が4〜5%に減って比重(嵩比重)が軽くなった原料粉粒から排気の流れに乗って排気路13の下流側に流れる。
【0042】
下流に流れた原料粉末はサイクロン20で排気の流れから分離され、ホッパータンク21に貯留され、ホッパータンク21内に所定量の活性炭原料19が溜まると、シャッター22を開いて炉内容器2内に活性炭原料19を投下する。
【0043】
一方、バーナ10の燃焼により加熱された気流が流れるボイラ14では高温の水蒸気が生成され、アキュムレータ15で設定された所定の圧力に水蒸気の圧力が上昇すると、水蒸気供給管3から炉内容器2内に水蒸気が供給され始め、乾留が開始される。
【0044】
ここで、炉内容器2に供給される水蒸気の温度は、従来と同様に200〜250℃でよいが、水蒸気導管16の一部を炉室1、2次燃焼室12、ボイラ14を含む排気路13のうちの少なくとも1つの内部、又はその周囲壁内、若しくはその周囲壁外近傍部に配置して、燃焼熱及び/又は排気熱で水蒸気を加熱したり、特別に設けた加熱手段で水蒸気を加熱したりしてこれよりも高温の水蒸気を供給すると、炉内容器2内の温度を高くして、処理時間を短縮することができる。
【0045】
前記活性炭原料19から乾留ガスが発生し始める前に空気ポンプ9を始動して、エアダクト8から炉室1内に供給して、炉内容器2外の炉室1の雰囲気を乾留ガスの燃焼を助長する酸化雰囲気にしておいて、炉内容器2から溢れ出した乾留ガスにバーナ10の火を引火させることにより炉内容器2内を除く炉室1内の雰囲気全体を燃焼させる。引火後も水蒸気の供給と燃焼用空気の供給とを適当に制御しながら連続させ、一定時間後、水蒸気の供給を停止した時点で燃焼を終了する。
【0046】
この燃焼が連続する間は、この燃焼熱により炉内容器2内の活性炭原料19が高温に加熱されるので、短時間で良質の活性炭が製造できるようになる。
【0047】
特に、この実施例ではエアダクト8をセラミックス管で形成しているので、エアダクト8に炉室1内の燃焼熱が蓄積され、エアダクト8が赤熱して周囲に高熱を放散するようになる。このエアダクト8からの放熱(輻射熱)により炉内容器2及びその内部の活性炭原料19が加熱され、熱利用率が高められるので、活性炭原料19の乾留温度を例えば1000℃の高温に保持して、一層短時間で良質の活性炭を製造できるようになる。
【0048】
なお、炉室1内に例えばセラミックスからなる特別の蓄熱体を配置して、炉室1内の燃焼熱でこの特別の蓄熱体を赤熱させ、該蓄熱体からの輻射熱又は輻射熱及び伝導熱により炉内容器2及びその内部の活性炭原料19を加熱することによっても同様の効果を得ることができる。
【0049】
又、例えば炉壁の内面をセラミックスでコーティングしたり、ライニングしたりすると、このコーティング又はライニングに炉室1内の燃焼熱が蓄積され、赤熱状態になったこのコーティング又はライニングからの放熱により炉内容器2及びその内部の活性炭原料19を加熱することができる。
【0050】
又、炉内容器2自体をセラミックスで形成し、この炉内容器2に蓄熱させて赤熱させ、その内部に収容した活性炭原料19を炉内容器2からの輻射熱及び伝導熱により加熱することによっても同様の効果を得ることができる。
【0051】
ところで、この実施例では、上述したように攪拌手段4を設けてあり、炉内容器2内の活性炭原料19をこの攪拌手段4で攪拌しながら乾留しているので、短時間で均質かつ良質の活性炭を製造することができるのみならず、攪拌手段4で活性炭原料19の攪拌状態を制御することにより、水蒸気と活性炭原料19との接触効率を制御して乾留の進行状態を制御し、乾留ガスの発生量を制御することができる。
【0052】
乾留ガスは炉内容器2の上面に形成された開口部から炉室1内に流出し、エアダクト8から供給された空気と接触することにより炉室1内の炉内容器2外の空間全体にわたる空間で燃焼する。
【0053】
従って、乾留ガスの生成量を制御すれば、炉室1内の燃焼を制御して炉内容器2や活性炭原料19の温度を制御することができる。
【0054】
もちろん、前記攪拌手段4は必要に応じて運転すればよく、連続運転するか間欠運転するか、又、間欠運転をする場合の動作周期などは試験運転の結果や実用運転中の状況などに基づいて自由に設定することができる。
【0055】
なお、この実施例においては、前記空気ポンプ9からエアダクト8に至る空気配管35が設備コストを安価にするために全部大気中に配置されているが、この空気配管35の一部分を炉室2、2次燃焼室12、及び排気路13のうちの少なくとも1つの内部、又はその周囲壁内、若しくはその外側近傍部に設けて、エアダクト8から炉室1内に供給される燃焼用空気が燃焼熱ないし排気熱で加熱されるように構成すれば、炉室1及び炉内容器2内の温度を一層高めることができ、更に一層短時間で良質の活性炭を製造できるようになる。
【0056】
又、前記バーナ10の出力は例えば炉室1内の温度を監視し、炉室1内の温度が範囲内に保持されるようにフィードバック制御される。
【0057】
ところで、図1に示すように、前記炉内容器2の底部は漏斗状に形成され、その下端部には製品排出管25が連通状に連設されている。そして、この製品排出管25と炉内容器2の底部との接続部に形成される排出口26は排出弁27で開閉されるようにしている。
【0058】
この排出弁27は、排出口26ないし製品排出管25内の流路を開閉できるように構成してあればよく、公知の構造の弁を採用すればよい。この実施例では、弁径が排出口26の口径と同等(同等以上であってもよい。)の茸形弁で排出弁27を構成し、弁子を炉内容器2内に突入させることにより開弁され、排出口26内に退入させることにより閉弁されるようにしている。
【0059】
もちろん、この排出弁27の操作は手動操作によっても、電磁操作、空気圧操作、油圧操作などを用いる自動操作によってもよい。
【0060】
前記製品排出管25は、炉室1と2次燃焼室12とを連通させる通気孔28を通り、2次燃焼室12を貫通してその下側まで延長されており、この製品排出管25の下側に出し入れされる製品タンク29に製品、即ち、炉内容器2内で活性炭原料19を乾留してできた活性炭を投下するようにしている。尚、製品排出管25より製品タンク29への途中に通常は製品冷却ゾーンを設ける。
【0061】
炉内容器2への活性炭原料19の投下が終了し、乾留が開始された後にも、原料ホッパー18からは活性炭原料19が排出され、排気の流れに乗ってサイクロンに運ばれ、ホッパータンク21内に活性炭原料19が蓄積されるので、乾留が終了し、炉内容器2から製品を排出し終えた時以後にシャッター22を開いて活性炭原料19を炉内容器2に投下すれば、空気ポンプ9、バーナ10、ボイラ14、排気ファン17などの運転を連続させて炉内温度を一定に保持したたまま、炉内容器2への原料投下、乾留処理、及び製品の取出しという一連の処理を繰り返すことができる。
【0062】
ここで、炉内容器2への活性炭原料19の投入を開始するタイミングは、炉内容器2からの製品取出し完了以後であればよく、ここでは、炉内容器2から製品を取出し終えて排出弁27を閉弁すると同時にシャッター22を開いて炉内容器2に次回に処理する活性炭原料を投入し始めて、前記一連の処理を繰り返すタクトタイムが最短になるようにしている。
【0063】
もっとも、排出弁27を閉じた後、水蒸気で炉内容器2内のエアパージを行ってからシャッター22を開いて、炉内容器2に投下される活性炭原料19が酸化雰囲気に接触することを確実に防止するようにしてもよい。
【0064】
なお、この実施例では、前記排気ファン17から前記ゲート32及び原料ホッパー18との接続点をバイパスするバイパス路33を設けると共に、排気ファン17の送風口をゲート側とバイパス路側とに接続切替えする方向切替え弁34を設け、原料ホッパー18からホッパータンク21に搬送された活性炭原料19が所定量に達した後、乾留、製品取出しが終って、更にホッパータンク21から次回の活性炭原料19が炉内容器2内に投下され切るまで、排気ファン17をバイパス側に接続してホッパータンク21への活性炭原料19の搬送を中断することにより、ホッパータンク21に過剰の活性炭原料19が蓄積されないようにしている。
【0065】
又、前記排気路13のボイラ14と排気ファン17との間には、排気路13に大気を導入する冷気路30が接続され、この冷気路30の流量を可変ダンパ31(固定ダンパでもよい。)で調整することにより、排気ファン17に流入する排気の温度が200〜250℃になるように、又、サイクロン20から大気中に放散される排気温度が200℃以下になるように調整するようにしている。
【0066】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、炉室内で活性炭原料を収容する炉内容器と、該炉内容器内に水蒸気を供給する水蒸気供給管と、前記炉室内に前記炉内容器から流出する乾留ガスに混合する燃焼用空気を供給する炉室側壁または炉室内に直接挿入したエアダクトとを備え、前記水蒸気供給管から供給される水蒸気及び又は炉室の加熱により活性炭原料を乾留することにより発生する乾留ガスと前記燃焼用空気と接触させて燃焼させることにより生じる燃焼熱で炉内容器内の活性炭原料を加熱するので、本発明によれば、炉内容器内の活性炭原料が水蒸気によって加熱されると共に、炉内容器から流出し、炉室内で燃焼する乾留ガスの燃焼熱で加熱されるので、乾留ガス雰囲気である炉内容器内で例えば1000℃の高温で乾留されるという作用が得られ、この作用により短時間に良質の活性炭を製造できると言う効果を得ることができる。
【0067】
本発明において、炉室内に乾留ガスの燃焼熱を蓄積して赤熱する蓄熱体が配置される場合には、乾留ガスの燃焼熱の利用率を高めることができるという作用を得ることができ、これにより、一層短時間で良質の活性炭を製造することができるという効果を得ることができる。
【0068】
又、この場合に、前記炉壁内面のコーティング又はライニングと、前記炉内容器と、前記エアダクトとの少なくとも1つがセラミックスで形成されることにより前記蓄熱体に兼用されると、部品点数を削減して炉構造を簡単にすることができという作用が得られ、この作用により、装置の資材コスト、組立コスト、設備コスト、メンテナンスコストなどを削減することができという効果を得ることができる。
【0069】
更に、本発明において、炉室から導出された排気路にボイラが配置され、このボイラで発生する水蒸気が前記水蒸気供給管を介して炉内容器内に供給される場合には、排気熱を有効利用できるという作用を得ることができ、これにより、ランニングコストを削減できると共に、エネルギー資源を節約することができるなどの効果を得ることができる。
【0070】
又更に、本発明において、炉室から導出された排気路に活性炭原料を投入する原料ホッパーが設けられ、この原料ホッパーから排気路に投入され、排気に乗って排気路の下流側に搬送された活性炭原料を排気から分離回収するサイクロンと、このサイクロンで回収した活性炭原料を蓄積し、前記炉内容器に投下するホッパータンクとを備える場合には、原料ホッパーに投入された含有水分の多い活性炭原料を排気熱で乾燥させて原料粉粒間の結合力を弱めると共に、結合力の弱まった原料粉粒間に排気を流入させて流動性を高めることができるという作用が得られるので、原料ホッパー内に詰まっている活性炭原料を原料ホッパーから排出できるようになるという効果を得ることができる。
【0071】
又、この場合には、原料ホッパーから排気路内に投下された活性炭原料を更に排気により加熱乾燥し、比重が軽くなった原料粉粒から排気の流れに乗せてサイクロンに運び、加熱乾燥された活性炭原料をサイクロンで回収し、ホッパータンクを経て炉内容器に供給することができるという作用を得ることができる。即ち、炉内容器には排気によって十分に乾燥させた活性炭原料が供給されるという作用が得られるので、これにより、炉内容器内での乾留に要する時間を短縮して、一層短時間で良質の活性炭を製造できるという効果を得ることができる。
【0072】
加えて、本発明において、前記炉内容器内の活性炭原料を攪拌する攪拌手段が設けられる場合には、この攪拌手段により炉内容器内の活性炭原料を攪拌することにより、活性炭原料の乾留を平均して進行させることができるという作用を得ることができ、この作用により、短時間で均質な製品を製造できるという効果を得ることができる。
【0073】
又、この場合には、炉内容器内の活性炭原料の攪拌状態を制御することにより活性炭原料への熱伝達と水蒸気との接触効率を制御し、乾留ガスの発生量を制御することができるという作用を得ることができる。そして,この作用により、炉室内での乾留ガスの燃焼熱量を制御して、炉内容器及びその中の活性炭原料の温度を所定の範囲内に制御し、炉内容器内での活性炭原料の発火を確実に防止できると言う効果を得ることができる。
【0074】
更に,この場合に、前記水蒸気供給管がその軸心周りに回転可能に設けられ、前記攪拌手段が、該水蒸気供給管と、炉内容器内でこの水蒸気供給管に固定された攪拌具と、前記水蒸気供給管を回転駆動する回転駆動手段とを備えるように構成すると、部品点数を削減することができると共に、構造が簡単になるという作用を得ることができ、この作用により、装置の資材コスト、組立コスト、設備コスト、メンテナンスコストなどを削減することができという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成図である。
【図2】本発明の横断平面図である。
【図3】本発明の側面図である。
【図4】本発明の側面図である。
【図5】本発明の側面図である。
【図6】本発明の横断平面図である。
【図7】本発明の横断平面図である。
【符号の説明】
1 炉室
2 炉内容器
3 水蒸気供給管
4 攪拌手段
5 第1の攪拌具
6 第2の攪拌具
7 回転駆動手段
8 エアダクト

Claims (7)

  1. 炉室内で活性炭原料を収容する炉内容器と、該炉内容器内に水蒸気を供給する水蒸気供給管と、前記炉室内に前記炉内容器から流出する乾留ガスに混合する燃焼用空気を供給する炉室側壁又は炉室内直接挿入したエアダクトとを備え、前記水蒸気供給管から供給される水蒸気及び又は炉室の加熱により活性炭原料を乾留することにより発生する乾留ガスと前記燃焼用空気と接触させて燃焼させることにより生じる燃焼熱で炉内容器内の活性炭原料を加熱することを特徴とする活性炭製造装置。
  2. 炉室内に乾留ガスの燃焼熱を蓄積して赤熱する蓄熱体が配置される請求項1に記載の活性炭製造装置。
  3. 前記炉室の炉壁内面のコーティング又はライニングと、前記炉内容器と、前記エアダクトとの少なくとも1つがセラミックスで形成されることにより前記蓄熱体に兼用される請求項2に記載の活性炭製造装置。
  4. 炉室から導出された排気路にボイラが配置され、このボイラで発生する水蒸気が前記水蒸気供給管を介して炉内容器内に供給される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の活性炭製造装置。
  5. 炉室から導出された排気路に活性炭原料を投入する原料ホッパーが設けられ、この原料ホッパーから排気路に投入され、排気に乗って排気路の下流側に搬送された活性炭原料を排気から分離回収するサイクロンと、このサイクロンで回収した活性炭原料を蓄積し、前記炉内容器に投下するホッパータンクとを備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の活性炭製造装置。
  6. 前記炉内容器内の活性炭原料を攪拌する攪拌手段が設けられる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の活性炭製造装置。
  7. 前記水蒸気供給管がその軸心周りに回転可能に設けられ、前記攪拌手段が、該水蒸気供給管と、炉内容器内でこの水蒸気供給管に固定された攪拌具と、前記水蒸気供給管を回転駆動する回転駆動手段とを備える請求項6に記載の活性炭製造装置。
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