JP4194394B2 - 線材切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設のコンクリート製電柱の中空部においてコンクリートに付着した線材を切断する線材切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製電柱の中空部には、通常アース線を引き込むための線材であるワイヤが設けられている。このワイヤは、コンクリート製電柱を遠心力工法によって製造する際に、その一部がコンクリートに付着することが多い。
【0003】
このようなコンクリート製電柱の経年変化等に対応して、そのコンクリート製電柱を補強する際には、中空部内に補強材を注入することによって補強を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−357018号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、補強材を中空部内に挿入するに際して、その中空部の底面付近のコンクリートに付着しているワイヤや、中空部の上部付近で切断されて底面付近に落下したワイヤが補強材の挿入を妨げる場合があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既設のコンクリート製電柱の中空部内でコンクリートに付着した線材を簡単に切断することのできる線材切断装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、既設のコンクリート製電柱の中空部内を上方から吊下し、当該中空部のコンクリート内壁から突出する線材を切断する線材切断装置であって、前記線材切断装置を吊下したときに、当該線材切断装置の下降に従って切断すべき線材を下側から上側に誘導するために下側に向けて開拡する2つの斜辺部の交点付近に切り欠きが設けられる基盤部と、この基盤部に固定され、前記切り欠きと重なり合う位置に切断用の刃が設けられる固定刃部と、前記基盤部の盤面に対して垂直な方向を指向するように固定される軸によって軸支され、当該軸を中心に回動可能な円盤状体から、中心角が90度の扇形の弧を含み、かつ当該扇形の中心を含まない領域を切り欠いて形成される形状を有し、この形成される領域が有する断面のうち前記円盤状体の径方向を指向する断面に 、前記固定刃部と掛合して前記線材をせん断する切断用の刃が設けられ、少なくとも、この切断用の刃が前記基盤部に固定される固定刃部と掛合する位置に達するまで切断方向に回転可能な回転刃部と 、この回転刃部の前記円盤状体の径方向を指向する、前記切断用刃が設けられた断面以外の、いずれかの断面を押圧して当該回転刃部を前記切断方向に回動せしめる押圧手段とを具備し、前記基盤部の斜辺部によって切り欠きに切断すべき線材が誘導されたときに、前記押圧手段は当該断面を押圧して回転刃部を前記切断方向に回動せしめ、前記固定刃部と掛合して前記線材をせん断することを要旨とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、本発明の線材切断装置を既設のコンクリート製電柱の中空部内の内壁から突出する切断すべき線材の上方から吊下し、この線材切断装置の下降に従って、切断すべき線材を下側に向けて開拡する2つの斜辺部によって下側から上側の切り欠きに誘導し、次に押圧手段で前記回転刃部の円盤状体の径方向を指向する断面を押圧して回転刃部を切断方向に回動せしめ、この回転刃部と固定刃部とを掛合し当該線材をせん断することを可能とする。
【0009】
なお、本発明においては、二つの切断用の刃を用いた具体的な切断方法を示すとき、「せん断」という言葉を用いることにする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記回転刃部は、中心角が90度で半径の等しい二つの扇形が互いの中心角を対角として配置されて成る第1の扇形の組と、この第1の扇形の組をなす扇形の半径と異なる半径を有し、中心角が90度で半径の等しい二つの扇形が互いの中心角を対角として配置されて成る第2の扇形の組とを、互いの中心を一致させ、なおかつ各扇形の面が互いに重ならないように組み合わせることによって構成される形状をなすことを要旨とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記押圧手段は、外部から加えられる空気圧または油圧によって押圧するピストンにより構成されることを要旨とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の発明において、前記回転刃部の回転または回動の中心となる軸の軸心方向の厚みが20mm乃至24mmであることを要旨とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、コンクリート製電柱の主筋の間隔が小さく、横幅の狭い開口部しか外周部に設けることができない場合でも、中空部内に挿入可能な線材切断装置を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、添付した図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1、図2、および図3は、それぞれが本発明の一実施形態に係る線材切断装置の概略構成を示す正面図、背面図、および斜視図である。図1乃至図3に示す線材切断装置1は、基盤部2をベースとして、他の構成要素がこの基盤部2に取り付けられることによって構成される。基盤部2に取り付けられる構成要素は、外部からの空気圧を装置内部に加えるためのホース等の部材を連結する連結部を備えた加圧部3、切断用の刃(直刃)を備えて固定される固定刃部4、この固定刃部4との間でせん断を行うために、基盤部2に固定される軸9を回転軸として回動自在に軸支され、切断用の刃(直刃)を備えた回転刃部5、この回転刃部5を装置内部に格納するためのカバー6、基盤部2と固定刃部4との間に回転刃部5が回動可能な空間を設けるために基盤部2および固定刃部4双方にボルト等で締結されるスペーサ7および8を有している。
【0017】
基盤部2は、厚みが5mm乃至8mm程度、より好ましくは6mm乃至7mm程度を有する板状の部材を加工して形成されるものであり、図2の背面図にその詳細を示すように、少なくともその一方の側は、略直交して「ハの字」型をなすように形成され、この「ハの字」を形成する二つの斜辺が交わる交点付近の基端部には、各辺が交点から延出する方向とそれぞれ135度程度の角度をなす方向に略長方形状の切り欠きが設けられている。換言すれば、切り欠きをなす略長方形状の(長手方向の)面を通過する中心軸が、「ハの字」型をなす二つの斜辺の対称軸となるように切り欠きが設けられている。この二つの斜辺のうちの一方は、前述したカバー6がその斜辺に沿う形状を有して被覆され、基盤部2の斜面とは異なる面でボルト等を用いて締結されている。このカバー6と基盤部2の間にできる隙間には、回転刃部5が格納されている。基盤部2に形成された一方の斜辺部21と、カバー6を基盤部2に固着することによって生じ、斜辺部21とは異なる斜辺を被覆するカバー6上の斜辺部61とは、線材であるワイヤを切り欠きの根元まで誘導するワイヤ誘導部(誘導部)としての機能を有している。
【0018】
基盤部2に形成される切り欠きは、前述したワイヤ誘導部を誘導されてくるワイヤが貫通可能な幅を有している。したがって、切り欠きと固定刃部4との相対的な位置関係は、ワイヤが貫通可能であるとともに、その貫通するワイヤを切断する前後で保持可能とするように設計される。ところで、本実施形態で切断することが想定されるワイヤは、その断面の直径が4mm乃至5mm程度の針金等である。この意味では、切り欠きをなす略長方形の奥行き(長辺の長さ)が15mm乃至20mm程度、幅(短辺の長さ)が6mm乃至8mm程度であり、なおかつ直径5mm程度の針金を保持可能であるように、固定刃部4を基盤部2に対して配置することが望ましい。
【0019】
なお、基盤部2は、その大部分が板状の平面から構成されるが、後述するピストンを格納するために、加圧部3付近の一部が筐体状部分2’をなしている。
【0020】
固定刃部4は、図1の正面図および図3の斜視図に示すように、正面視で略長方形をなす一方の長辺の中心付近から所定の半径を有する半円を突出させて図1のように正面から見た場合に左右対称な形状を有するように構成されるものである。このうち半円の中心が、回転刃部5の回転または回動の中心となる軸9に一致する。また、半円が突出している側の長方形の長辺部分は研磨されて切断用の刃となっており、そのうちの一方が前述した基盤部2の切り欠きの位置に対応して切断部23を形成している。もう一方については、切断用の刃を設ける必要はないが、例えば固定刃部4が前述したように正面視(図1の視方向)で左右対称な形状を有することに鑑み、最初に切断部23を構成する刃が磨耗等の理由で交換が必要となった場合、固定刃部4を取り外して図1における左右を入れ替えた後、再び同じ固定刃部4を使用可能にするという意味では、半円形の部分を挟んだ両側に切断用の刃を設けておけば、より好ましい。
【0021】
図4は、線材切断装置1のカバー6を取り外して図3と同じ方向から見たときの斜視図である。また、図5は、線材切断装置1の正面(図1の正面図に対応)から見たときの部分断面図であり、そのX−X線断面図が図6である。これらの図を参照して、線材切断装置1内部の詳細な構成について説明する。
【0022】
回転刃部5は、軸9を回転または回動可能に軸支されており、軸9を中心として円盤形状を有する部材から適宜「部分円環」を切り取った形状を有する。ここでいう「部分円環」とは、軸9の軸心方向の中心をその中心とする扇形から、その扇形の弧を含み、かつその扇形の中心を含まない領域を適宜切り欠いて形成される形状を意味するものとする。
【0023】
図5に示す回転刃部5は、具体的には、半径の異なる複数の扇形を組み合わせて構成される形状を有する。さらに詳細には、中心角が90度で半径の等しい扇形を互いの中心角が対角となるように対向して配置して形成される二組の扇形の組(第1および第2の扇形の組)を、互いの中心を一致させ、なおかつ各扇形の面が互いに重ならないように組み合わせて構成したものとほぼ同じ形状を有する。ここで「ほぼ同じ形状」と記載したのは、図5に示す場合のように、切り欠いた断面の一部、より具体的には、扇形の半径方向を向く断面が半径の小さい扇形の部分に接続する箇所が、階段状ではなくフランジ形状をなしている場合も想定されるためである。
【0024】
このような形状を有する回転刃部5の半径が異なる部分に生じる段差部分に形成される断面のうち、扇形の半径方向を指向する断面のうち少なくとも基盤部2の切り欠きに最も近い断面は、研磨されて切断用の刃となっている。本実施形態においては、図5に示すように、回転刃部5には前述した断面が4箇所形成されており、その各々を研磨して切断用の刃とすることが可能である。この意味では、回転刃部5が軸9を中心として180度の回転対称性を有することに加え、正面と背面(表裏)の折り返しの対称性も有しているので、計4箇所を切断用の刃部として研磨しておき、利用することが可能である。したがって、固定刃部4と同様に磨耗等の理由によって交換が必要なときには、軸9を取り外して回転刃部5の設置方向を変更することにより、少なくとも3回の変更までは新規な回転刃または刃砥ぎを必要としない。なお、固定刃部4と回転刃部5にそれぞれ設けられる切断用の刃については、互いにせん断時に接触する側の面を研磨して刃部を設けることはいうまでもない。
【0025】
ところで、回転刃部5の扇形の半径方向を指向する段差部分の断面のいずれかには、回転刃部5を外部からの空気圧によって押圧して回動させるラムに相当するピストン13が当接する。図5の場合には、略鉛直方向を向き、軸9より図面上で上部に位置する(段差部分の)断面にピストン13が当接している。他方、この回転刃部5には、回転または回動方向と垂直な方向、すなわち軸9と平行な方向に突出した突出部10が設けられており、この突出部10には、フランジにばね等の弾性部材を巻回して構成されるねじりコイルばね11の一端部が当接している。このねじりコイルばね11の弾性力によって、回転刃部5は、ピストン13から押圧を受けて自身が回転する方向と反対側に回転する方向(図5で反時計回りの方向)に付勢されている。この結果、初期状態では、ねじりコイルばね11から受ける弾性力とピストン13から受ける力がつりあって回転刃部5は静止している。
【0026】
また、回転刃部5には、軸9の方向への移動を拘束し、軸9を中心とした回転または回動を円滑に行わせるためのサポート部12が設けられている。
【0027】
なお、図5に示す回転刃部5の場合、段差部分に切断用の刃を4箇所備えることも可能なため、突出部10はボルト等を回転刃部5の本体に設けるねじ孔に締結するなどして形成し、着脱自在な構成にしておけばより好ましい。
【0028】
ちなみに、以上説明した固定刃部4および回転刃部5の材質としては、焼入れ焼戻しが行われたSKD11またはSKD61等が想定され、刃部の硬さはHRC58〜60であれば本実施形態を実施する上で好適である。
【0029】
ピストン13は、外部から加わる空気圧によって移動自在な構成を有しており、回転刃部5に当接するのと反対側の基端部付近は、軸9の方向に厚みを有する基盤部2の筐体状部分2’に格納されている。このピストン13に対しては、加圧部3に設けられ、外部から空気圧を伝達するホース等の空気圧伝送部材を連結するねじ孔等の連結部31、およびこの連結部31からピストン13まで空気圧を伝達するための加圧用通路33を介して空気圧がピストン13に加えられる。なお、外部から空気圧を加える方法については、ホース等の連結部31とは反対側の端部には、圧発生手段として、例えば電動式のコンプレッサを接続してもよいし、手動式の油圧コンプレッサを接続してもよい。実際の作業現場では、運搬および作業の簡便性を考慮した場合、特に後者の方が使い勝手がよいのでより好ましい。
【0030】
以上の構成を有する線材切断装置1は、既設のコンクリート製電柱の側面に設けられる開口部からコンクリート製電柱の中空部内に挿入される。コンクリート製電柱の外周部には、立設時に鉛直方向を指向する複数の鉄筋がコンクリートを補強するための主筋として設けられている。この鉄筋の外周方向の埋設間隔はコンクリート製電柱の重量やサイズ等に依存しており、その最小値は25mm程度である。このため、開口部の横方向(水平方向)の幅は、25mm程度しか取れない場合もある。したがって、本実施形態に係る線材切断装置1の軸9の軸心方向の厚みは、20mm乃至24mm程度であれば好ましく、特に20mm程度であれば、あらゆるサイズのコンクリート製電柱に対して線材切断装置1を中空部内に挿入し、適用することが可能となる。
【0031】
次に、線材切断装置1の作用について説明する。
【0032】
図9は、コンクリート製電柱40の中空部41に線材切断装置1を挿入するときの状況を示す説明図である。同図に示すように、外周部43にも受けられる開口部42から中空部41へ挿入される線材切断装置1は、空気圧伝送部材であるホース51を介して電動コンプレッサや手動油圧コンプレッサ等の圧発生手段(図示せず)に接続されているが、実際の中空部41内は暗いため、ワイヤ100の切断を行うときには、小型カメラおよび照明を備えた撮影装置71を予め中空部41内に挿入し、その撮影装置71が撮影する映像を、ケーブル72を介して接続される外部のモニタ(図示せず)で表示し、この表示された中空部41内の映像をモニタで見ながらワイヤ100の位置を確認して切断作業を進めることが望ましい。
【0033】
なお、図9に示す撮影装置71には、その先端から線状部材73が突出しているが、この線状部材73は、例えば中空部41内部に水が堆積している場合に、撮影装置71を誤って水中に沈めてしまい、使用不能状態にしてしまうのを防止するためのガイドの役割を果たすものである。すなわち、中空部41の下部付近に水が堆積している場合には、この線状部材73の先端が水面に達すると波紋が生じるので、この波紋を小型カメラが撮影することにより、その様子をモニタで見た作業者は、撮影装置71のさらなる降下を一旦停止し、ポンプ等を中空部41に挿入して水を外部に汲み上げてから、再度ワイヤ100の切断を試みることが可能となる。
【0034】
図10は、線材切断装置1を徐々に降下していき、ワイヤ誘導部を利用して、ワイヤ100を切断部23に誘導して切断するに際しての中空部内の状況を示す説明図である。切断部23にワイヤ100が誘導され、ワイヤ100を切断部23の切り欠きと固定刃部4との間の基端部に当接した後、コンクリート製電柱40の外部から空気圧を適宜加えることによってピストン13を押し出す。
【0035】
ピストン13が押し出されると、このピストン13の先端に当接する回転刃部5がピストン13から押圧を受け、軸9を中心とする回転を始める。
【0036】
この結果、回転刃部5が回転するうちに、その回転刃部5の切断用の刃がワイヤ100に当接し始め、回転刃部5に設けられる切断用の刃と固定刃部4に設けられる切断用の刃との間で挟持される状態になり、この結果ワイヤ100にせん断力が加わり始める。このせん断力が一定の値を超えたときにワイヤ100がせん断されることになる。
【0037】
図7は、ワイヤ100をせん断した後の線材切断装置1の各部位の状態を示す部分断面図であり、図8は図7のX−X線断面図である。これらの図からも分かるように、切断されたワイヤ100のうち、回転刃部5、基盤部2、および固定刃部4の間で挟持される側のワイヤ100はそのままの状態で線材切断装置1から離間しない(ちなみに、せん断直後にはワイヤ100に加わるせん断力自体が急激に減少することもあり、基盤部2と回転刃部5の間でさらにせん断等が起こることはない)。このため、ワイヤ100のコンクリートへの付着具合によっては、このまま線材切断装置1をコンクリート製電柱40の外部へ取り出すことにより、把持されている側のワイヤ100自体もコンクリート製電柱40の外部に取り出すことができる。この意味で、ワイヤ100を切断する際には、図9及び図10に示すように、できるだけ外周部43に近い方を固定刃部4が露出する側(切断後にワイヤ100が把持されない側。図1の正面側に相当)が向くように合わせておき、その状態で切断部23にワイヤ100を誘導して切断するようにすれば、コンクリートに付着しているワイヤ100の量をできるだけ少なくすることができ、補強工事を施工する際にも中空部41内に残留するワイヤ100の影響をほとんどなくすことができる。
【0038】
なお、前述した場合とは別に、例えばワイヤ100の2箇所がコンクリートに付着しており、一度切断しただけではまだワイヤ100をコンクリート製電柱40の外部に取り出すことができない場合、すなわち再び中空部41内での切断が必要な場合には、最初にワイヤ100を切断した後、一旦ピストン13に対して加えた圧を開放する。これにより、ピストン13は、ねじりコイルばね11の弾性力の作用によって元の位置(図5の位置を参照)に戻され、切断後も把持していたワイヤ100が離間される。その後、改めてワイヤ100で切断すべき箇所を特定し、再びワイヤ誘導部(および撮影装置71)を利用しながら切断部23にワイヤ100の切断すべき箇所を誘導固定して上記同様にワイヤ100の切断を行う。以後の処理については、1回で切断が完了した場合と同じである。
【0039】
ここでは、ワイヤ100の2箇所が外周部43のコンクリートに付着している場合を説明したが、さらに多くの箇所が外周部43に付着している場合にも、基本的には以上説明した処理を繰り返すことにより、中空部41内のワイヤ100の大部分をコンクリート製電柱40の外部に取り出すことが可能となる。
【0040】
ちなみに、本実施形態の線材切断装置1の最大せん断力は、およそ9.8kN(キロニュートン)である。
【0041】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、既設コンクリート製電柱の中空部内の下部付近に電柱外周をなすコンクリートにその一部が付着しているワイヤを簡単かつ迅速に切断することができる。
【0042】
この結果、中空部内に障害物のない状態を作り出し、その後に実施することが想定される中空部内補強工事を円滑に施工することが可能となる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、既設のコンクリート製電柱の中空部内でコンクリートに付着した線材を簡単に切断することのできる線材切断装置を提供することができる。
【0044】
また、本発明によれば、中空部内の線材を除去することができるので、中空部に補強材を挿入することによって、既設コンクリート製電柱の補強を行う際にも円滑な施工を実現することができ、補強効果も大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る線材切断装置の概略構成を表す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る線材切断装置の概略構成を表す背面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る線材切断装置の概略構成を表す斜視図である。
【図4】図3で基盤部のカバーを取り外したときの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る線材切断装置内部の構成を示す部分断面図である。
【図6】図5のX−X線断面図である。
【図7】線材を切断した後の状態を示す部分断面図である。
【図8】図7のX−X線断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る線材切断装置をコンクリート製電柱に適用するときの実施例を示す説明図である。
【図10】コンクリート製電柱中空部内で線材を切断する直前の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 線材切断装置
2 基盤部
3 加圧部
4 固定刃部
5 回転刃部
6 カバー
7、8 スペーサ
9 軸
10 突出部
11 ねじりコイルばね
12 サポート部
13 ピストン
21、61 斜辺部
23 切断部
31 連結部
33 加圧用通路
40 コンクリート製電柱
41 中空部
42 開口部
43 外周部
51 ホース
71 撮影装置
72 ケーブル
73 線状部材
100 ワイヤ(線材)
Claims (4)
- 既設のコンクリート製電柱の中空部内を上方から吊下し、当該中空部のコンクリート内壁から突出する線材を切断する線材切断装置であって、
前記線材切断装置を吊下したときに、当該線材切断装置の下降に従って切断すべき線材を下側から上側に誘導するために下側に向けて開拡する2つの斜辺部の交点付近に切り欠きが設けられる基盤部と、
この基盤部に固定され、前記切り欠きと重なり合う位置に切断用の刃が設けられる固定刃部と、
前記基盤部の盤面に対して垂直な方向を指向するように固定される軸によって軸支され、当該軸を中心に回動可能な円盤状体から、中心角が90度の扇形の弧を含み、かつ当該扇形の中心を含まない領域を切り欠いて形成される形状を有し、この形成される領域が有する断面のうち前記円盤状体の径方向を指向する断面に 、前記固定刃部と掛合して前記線材をせん断する切断用の刃が設けられ、少なくとも、この切断用の刃が前記基盤部に固定される固定刃部と掛合する位置に達するまで切断方向に回転可能な回転刃部と 、
この回転刃部の前記円盤状体の径方向を指向する、前記切断用刃が設けられた断面以外の、いずれかの断面を押圧して当該回転刃部を前記切断方向に回動せしめる押圧手段と
を具備し、
前記基盤部の斜辺部によって切り欠きに切断すべき線材が誘導されたときに、前記押圧手段は当該断面を押圧して回転刃部を前記切断方向に回動せしめ、前記固定刃部と掛合して前記線材をせん断すること
を特徴とする線材切断装置。 - 前記回転刃部は、
中心角が90度で半径の等しい二つの扇形が互いの中心角を対角として配置されて成る第1の扇形の組と、
この第1の扇形の組をなす扇形の半径と異なる半径を有し、中心角が90度で半径の等しい二つの扇形が互いの中心角を対角として配置されて成る第2の扇形の組とを、
互いの中心を一致させ、なおかつ各扇形の面が互いに重ならないように組み合わせることによって構成される形状をなすことを特徴とする請求項1記載の線材切断装置。 - 前記押圧手段は、外部から加えられる空気圧または油圧によって押圧するピストンにより構成されることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の線材切断装置。
- 前記回転刃部の回転または回動の中心となる軸の軸心方向の厚みが20mm乃至24mmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の線材切断装置。
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