JP4192317B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房用熱交換器に循環する温水の流量または温度を制御する温水弁を備え、この温水弁により車室内への吹出空気温度を調整する車両用空調装置において、特に、吹出モードにより上下吹出温度差の目標値が異なる場合等に、各吹出モードでの上下吹出温度差を成立させるための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置においては、暖房用熱交換器の温水入口側部位の温度が高くなり、温水出口側部位の温度が低くなるので、熱交換器吹出空気温度も、温水入口側部位の吹出空気温度が高くなって、温水出口側部位の吹出空気温度が低くなる。また、暖房用熱交換器の空調ケース内への配置姿勢は、通常、温水中の空気抜きを行うために、暖房用熱交換器の温水入口側を下方とし、温水出口側を上方としている。
【0003】
従って、吹出モードがフットモードやフットデフロスタモードの際には、暖房用熱交換器の温水入口側部位を通過した吹出空気が空調ケース下方側のフット開口部側へ流れ、暖房用熱交換器の温水出口側部位を通過した吹出空気が空調ケース上方側のデフロスタ開口部側へ流れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのため、従来装置の構成では、フット開口部から所定温度の空気を吹き出すために、暖房用熱交換器への温水流量を温水弁により所定量に絞ると、暖房用熱交換器における温水温度が温水入口側から温水出口側へ行くにつれて大幅に低下するので、フット吹出空気温度に比してデフロスタ吹出空気温度が大幅に低下して、窓ガラスの防曇性能が低下するとともに、乗員の上半身側の温度が下がり過ぎて、暖房フィーリングを悪化させるという不具合がある。
【0005】
このため、本発明者らは、暖房用熱交換器の温水入口側部位に冷風バイパス通路およびこれを開閉する冷風バイパスドアを配設し、この冷風バイパスドアと温水弁とを手動操作機構により連動操作するマニュアル方式のものを開発中である。
このように、冷風バイパスドアと温水弁とを連動操作する方式によると、冷風バイパスドアを独立に開閉制御する方式に比して冷風バイパスドアの操作機構部を簡素化でき、その分、コスト低減できる利点がある。
【0006】
しかし、その反面、冷風バイパスドアを単純に温水弁と連動させるだけであると、次のごとき不具合が生じることが判明した。すなわち、図9(a)はバイレベル(B/L)モードにおいて、温水弁と上下吹出温度との関係を示し、図9(b)はフット(FOOT)モードおよびフットデフロスタ(F/D)モードにおいて、温水弁と上下吹出温度との関係を示している。この図9(a)、(b)から分かるように、吹出モードが変化しても、温水弁開度が同一(例えば、θ0 )であると、これに連動する冷風バイパスドア開度も同一になってしまう。
【0007】
その結果、図9(a)のバイレベルモード時の上下吹出温度差T1 と図9(b)のフットモードおよびフットデフロスタモードにおける上下吹出温度差T2 が略同等になってしまう。
なお、図9(b)において、デフロスタ吹出温度はサイドフェイス吹出温度より若干低い温度となる。
【0008】
ところで、上下吹出温度差の目標値は、バイレベルモード時における頭寒足熱の空調フィーリングの確保と、フットモードおよびフットデフロスタモード時における窓ガラス防曇性能確保との両立を図るために、通常、T1 >T1 の関係に設定される。
しかし、冷風バイパスドアを単純に温水弁と連動させるだけであると、同一の温水弁開度に対して、上下吹出温度差が常に同一になってしまうので、吹出モードにより異なった値となる上下吹出温度差の目標値を成立できないことになる。
【0009】
本発明は上記点に鑑みてなされたもので、暖房用熱交換器に循環する温水の流量または温度を制御する温水弁を備え、この温水弁により車室内への吹出空気温度を調整するようにし、かつ、暖房用熱交換器をバイパスする冷風量を調整する冷風バイパスドアを温水弁と連動操作する車両用空調装置において、吹出モードにより異なった上下吹出温度差を成立できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1〜6記載の発明では、空調ケース(11)内において、暖房用熱交換器(13)の吹出空気温度の高温側部位をフット開口部(23)側に配置するとともに、暖房用熱交換器(13)の吹出空気温度の低温側部位をフェイス開口部(21)およびデフロスタ開口部(19)側に配置し、暖房用熱交換器(13)をバイパスして空調空気が流れる冷風バイパス通路(15)を暖房用熱交換器(13)の吹出空気温度の高温側に配置し、この冷風バイパス通路(15)に、温水弁(14)と連動して開閉される冷風バイパスドア(16)を備え、
フェイス開口部(21)およびフット開口部(23)の両方から空調空気を吹き出す第1の上下吹出モードと、デフロスタ開口部(19)およびフット開口部(23)の両方から空調空気を吹き出す第2の上下吹出モードとを設定するようになっており、
さらに、第1、第2の上下吹出モードの切替に連動して第1の上下吹出モードと第2の上下吹出モードとで異なる位置に移動して、冷風バイパス通路(15)からフット開口部(23)に流入する冷風量を第1の上下吹出モード時よりも第2の上下吹出モード時に増大することにより、第1の上下吹出モード時の上下吹出温度差を第2の上下吹出モード時の上下吹出温度差よりも大きくする補助ドア手段(22b、24b)を備えることを特徴としている。
【0011】
なお、本発明において、第1の上下吹出モードはいわゆるバイレベルモードを意味し、第2の上下吹出モードはいわゆるフットモードおよびフットデフロスタモードの両方を包含する意味で用いている。
本発明によると、冷風バイパス通路(15)を開閉する冷風バイパスドア(16)とは、別に第1、第2の上下吹出モードの切替に連動する補助ドア手段(22b、24b)を備え、この補助ドア手段(22b、24b)により冷風バイパス通路(15)からフット開口部(23)に流入する冷風量を調整できるから、冷風バイパスドア(16)の開度が温水弁(14)の開度に連動して一義的に決定されても、補助ドア手段(22b、24b)によりフット開口部(23)に流入する冷風量を上下吹出モードの切替に伴って独立に調整できる。
【0012】
その結果、温水弁(14)の開度が同一であっても、バイレベルモード時の上下吹出温度差をフットモードおよびフットデフロスタモード時での上下吹出温度差よりも大きくして、バイレベルモード時における頭寒足熱の空調フィーリングの確保と、フットモードおよびフットデフロスタモード時における窓ガラス防曇性能の確保との両立を良好に達成できる。
【0013】
なお、上下吹出温度差の目標値が等しくても、ユニット構造の特性からフットモードおよびフットデフロスタモード時の上下吹出温度差とバイレベルモード時の上下吹出温度差が変化してしまう場合に、本発明を用いて上下吹出温度差を等しくすることもできる。
請求項2記載の発明では、冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を分岐してフェイス開口部(21)に案内する空気案内通路(26)を備え、フェイス開口部(21)を開閉するフェイスドア(22)に補助ドア手段(22b)を設け、
第1の上下吹出モード時には、補助ドア手段(22b)により空気案内通路(26)を開放して、冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を空気案内通路(26)を通してフェイス開口部(21)に導入し、
一方、第2の上下吹出モード時には、補助ドア手段(22b)により空気案内通路(26)を閉塞して、冷風バイパス通路(15)からの冷風の全量をフット開口部(23)に流入させることを特徴としている。
【0014】
これによると、第1の上下吹出モード(バイレベルモード)時には冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を空気案内通路(26)を通してフェイス開口部(21)に導入することにより、フット開口部(23)への流入冷風量が減少して上下吹出温度差を拡大することができ、また、第2の上下吹出モード(フットモードおよびフットデフロスタモード)時には、空気案内通路(26)を通過する冷風流れを遮断することによりフット開口部(23)への流入冷風量が増加して上下吹出温度差を縮小することができる。
【0015】
しかも、第2の上下吹出モード時にはフット開口部(23)への流入冷風量が増加するので、フット開口部(23)から所定温度の空気を吹き出すに当たり、温水弁(14)の開度をより暖房側(開度増大側)に設定できる。その結果、温水弁(14)の温度制御領域におけるデフロスタ開口部(19)からの吹出空気温度を高くすることができ、デフロスタ吹出温度の大幅低下に起因する窓ガラス防曇性能の低下や暖房フィーリングの悪化を防止できる。
【0016】
さらに、フェイスドア(22)に補助ドア手段(22b)を設けているから、フェイスドア(22)に補助ドア手段(22b)を一体化でき、構成の簡素化を図ることができる。
請求項3記載の発明では、冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を分岐してフェイス開口部(21)に案内する空気案内通路(26)を備え、フット開口部(23)を開閉するフットドア(24)に補助ドア手段(24b)を設け、
第1の上下吹出モード時には、補助ドア手段(24b)により空気案内通路(26)を開放して、冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を空気案内通路(26)を通してフェイス開口部(21)に導入し、
一方、第2の上下吹出モード時には、補助ドア手段(24b)により空気案内通路(26)を閉塞して、冷風バイパス通路(15)からの冷風の全量をフット開口部(23)に流入させることを特徴としている。
【0017】
これによると、フットドア(24)に一体化した補助ドア手段(24b)を用いて、請求項2と同じ作用効果を発揮できる。
請求項4記載の発明では、温水弁(14)が最大冷房位置に操作されると、冷風バイパスドア(16)により冷風バイパス通路(15)を全開し、温水弁(14)が最大暖房位置に操作されると、冷風バイパスドア(16)により冷風バイパス通路(15)を全閉し、
温水弁(14)が最大冷房位置より最大暖房位置に向かって操作されると冷風バイパスドア(16)の開度が全開位置から全閉位置へ向かって減少することを特徴としている。
【0018】
これによると、最大暖房時には、冷風バイパスドア(18)を冷風バイパス通路(17)の全閉位置に操作することにより最大暖房能力を支障なく発揮でき、かつ、最大冷房時には、冷風バイパス通路(17)の全開により空調ケース(11)内通風路の圧損を低減して冷風量を増大し、最大冷房能力を良好に発揮できる。
【0019】
なお、本発明では、請求項5記載のように、暖房用熱交換器(13)として、温水入口側タンク(13a)から温水が熱交換用コア部(13c)の全部のチューブ(13d)を通って温水出口側タンク(13b)へ向かって一方向に流れる一方向流れタイプのものを用いて好適に実施ができる。
請求項6記載の発明では、空調操作パネル(161)に手動操作される温度調整用操作部材(162)を備え、この温度調整用操作部材(162)に温水弁(14)の駆動機構(142、143、144)を連結するとともに、この駆動機構(142、143、144)に冷風バイパスドア(16)を連結したことを特徴としている。
【0020】
これによると、空調操作パネル(161)の温度調整用操作部材(162)を手動操作することにより、温水弁(14)および冷風バイパスドア(16)を連動操作でき、請求項1〜5の作用効果をマニュアル方式の簡単な機構で奏することができる。
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図に示す実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1〜図5は本発明の第1実施形態を示すものであり、図1に示すように空調装置通風系は、大別して、送風機ユニット1と空調ユニット10の2つの部分に分かれている。空調ユニット10部は、車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されるものであり、一方、送風機ユニット1は車室内において空調ユニット10の側方(助手席側)にオフセット配置される。
【0022】
送風機ユニット1は周知の構成であり、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)を切替導入する内外気切替箱(図示せず)を送風ファン2の上側に配置し、この内外気切替箱に導入された内気または外気を送風ファン2によりスクロールケース3内を送風するようになっている。この送風ファン2は電動モータ4により駆動される遠心多翼ファン(シロッコファン)からなるものであって、助手席側の部位から空調ユニット10へ向かって空気を車両幅方向に送風する。
【0023】
次に、空調ユニット10部を図2、3に基づいて詳細に説明すると、空調ユニット10は車両の前後、左右および上下方向に対して図1〜3の矢印方向に搭載されるもので、空調ケース11内に蒸発器(冷房用熱交換器)12とヒータコア(暖房用熱交換器)13とを両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。
ここで、空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなり、図2、3の上下方向(車両上下方向)に分割面を有する複数の分割ケースからなる。この複数の分割ケース内に、上記熱交換器12、13、後述するドア等の機器を収納して、この複数の分割ケースを金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合することにより、空調ユニット10部が組み立てられる。
【0024】
空調ケース11内において車両前方側の部位に蒸発器12が設置されている。ここで、蒸発器12は図2に示すように、車両前後方向には薄型の形態であり、空調ケース11内の空気通路の全域を横切るように蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して空調空気を冷却するものである。空調ケース11において蒸発器12よりもさらに車両前方側の部位で、かつ、助手席側の側面には空気入口11aが開口しており、この空気入口11aに上記送風機ユニット1からの送風空気が流入する。
【0025】
なお、蒸発器12は周知の積層型のものであって、アルミニュウム等の金属薄板を最中状に張り合わせて構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。
次に、ヒータコア13は蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に隣接配置されており、このヒータコア13は蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。
【0026】
本例のヒータコア13は、温水入口側タンク13aを下方側に配置するとともに、温水出口側タンク13bを上方側に配置している。そして、この両タンク13a、13bの間に熱交換コア部13cを構成している。この熱交換コア部13cは周知のものであって、図4に示すようにアルミニュウム等の金属薄板を断面偏平状に成形してなる偏平チューブ13dをコルゲートフィン13eを介在して多数並列配置し、一体ろう付けしたものである。
【0027】
従って、ヒータコア13は温水入口側タンク13aからの温水が熱交換コア部13cの全部の偏平チューブを下方から上方への一方向に流れる一方向流れタイプ(全パスタイプ)として構成されている。
そして、ヒータコア13に流入する温水の流量を調整する温水弁14を設けて、この温水弁14の温水流量の調整作用により車室内への吹出空気温度を調整できるようにしてある。この温水弁14は、例えば、弁ハウジング内に弁体を回動可能に収納し、この弁体の回動量を連続的に可変することにより、弁ハウジング内の温水流路の開口面積を連続的に可変して、温水流量を調整するものであって、その具体的構造例は図4、図5により後述する。
【0028】
ヒータコア13も蒸発器12と同様に車両前後方向には薄型の形態であるが、蒸発器12より上下方向の寸法(高さ)を所定量小さくして、空調ケース11の底面部11bと、ヒータコア13の底部を支持する壁部11cとの間(換言すると、ヒータコア13の下方部)に冷風バイパス通路15を形成している。そして、ヒータコア13の下方部で、空気流れの下流側(車両後方側)の部位に、冷風バイパス通路15を開閉する冷風バイパスドア16が配置されている。この冷風バイパスドア16は回転軸17を中心として回動自在な板状ドアからなる。
【0029】
一方、空調ケース11の上面部には、ヒータコア13の直後の部位に開口するデフロスタ開口部19が配置されている。このデフロスタ開口部19は図示しないデフロスタダクトおよびデフロスタ吹出口を介して、車両窓ガラス内面に向けて風を吹き出すためのものである。このデフロスタ開口部19は、回転軸20aにより回動自在な板状のデフロスタドア20により開閉される。
【0030】
空調ケース11の最も車両後方側(乗員寄り)の上方部位には、ヒータコア13直後の上方側に開口するフェイス開口部21が配置されている。このフェイス開口部21は図示しないフェイスダクトを介して車両計器盤上方部のフェイス吹出口より乗員頭部に向けて風を吹き出すためのものである。このフェイス開口部21は、回転軸22aにより回動自在なバタフライ状のフェイスドア22により開閉される。
【0031】
また、空調ケース11の車両後方側の下方部位には、ヒータコア13直後の下方側に開口するフット開口部23が配置されている。このフット開口部23は図1の左右のフット吹出口23aに連通し、このフット吹出口23aから車室内左右の乗員足元に温風を吹き出すためのものである。フット開口部23は、回転軸24aにより回動自在な板状のフットドア24により開閉される。
【0032】
さらに、本実施形態では、空調ケース11の内部において、フット開口部23より空気流れ下流側(車両後方側)の部位に、上下方向に延びる仕切り壁部25を形成し、この仕切り壁部25と空調ケース11の車両後方側端部の壁部との間に上下方向に延びる空気案内通路26を形成している。この空気案内通路26の下端部は冷風バイパス通路15の下流側に連通して、冷風バイパス通路15からの冷風が流入する。
【0033】
これに対して、空気案内通路26の上端部は、フェイス開口部21の下方部に連通して、冷風バイパス通路15からの冷風をフェイス開口部21の下方部に流入させる。ここで、バタフライ状のフェイスドア22の下方部には、「く」の字状に屈折した補助ドア部22bが一体成形されている。そして、フェイスドア22が図2に示すようにフェイス開口部21の開放位置に操作されているときは、補助ドア部22bがヒータコア13に接近する方向(車両前方側)に移動して空気案内通路26の上端部を開口するようになっている。逆に、フェイスドア22が図3に示すようにフェイス開口部21の閉塞位置に操作されているときは、補助ドア部22bがヒータコア13から離れる方向(車両後方側)に移動して空気案内通路26の上端部を閉塞するようになっている。
【0034】
図4、5はヒータコア13と温水弁14との一体化構造を例示しており、ヒータコア13は上述した通り、その下方側に位置する温水入口側タンク13aと上方側に位置する温水出口側タンク13bとの間に、偏平チューブ13dとコルゲートフィン13eとからなる熱交換コア部13cを構成している。偏平チューブ13dは図4の左右方向に多数本並列配置されている。
【0035】
従って、ヒータコア13においては、温水入口側タンク13aからの温水が熱交換コア部13cの全部の偏平チューブ14dを下方から上方への一方向に流れる。
ヒータコア13に流入する温水の流量を調整する温水弁14は、特開平8−72529号公報等により公知のもので、弁ハウジング140内の温水流路開口面積を連続的に可変する、いわゆるアナログ式流量調整タイプのものであり、弁ハウジング140内に円柱状の弁体141を回動可能に収納している。この弁体141は制御流路(図示省略)を有しており、この弁体141の回動量を連続的に可変することにより弁ハウジング140内の温水流路の開口面積が連続的に変化するようになっている。なお、図5では、弁ハウジング140の蓋部140a(図4参照)をとりはずした状態を示している。
【0036】
弁体141の操作軸142には駆動レバー143が連結され、この駆動レバー143のピン144に、ケーブル160等の連結部材を介して、空調操作パネル161の温度調整用操作部材162が機械的に連結され、この操作部材162を乗員が手動操作することより、弁体141の回動量を調整できるようになっている。なお、本例では、操作軸142、駆動レバー143、およびピン144により温水弁14の弁体141の駆動機構が構成されている。
【0037】
図示しない車両エンジンの温水ポンプにより圧送される温水は、図5の入口パイプ145から弁ハウジング140内に流入し、弁体141の制御流路を通過するとともに、弁体141の回動量により温水流量が調整される。その後、温水は接続パイプ146(図4)から温水入口側タンク13a内に流入する。そして、温水出口側タンク13b内の温水は接続パイプ147を通って再び弁ハウジング140内に流入した後、出口パイプ148(図5)から車両エンジンへ戻るようになっている。
【0038】
また、弁ハウジング140内には、入口パイプ145から弁体141の制御流路を通って出口パイプ148に連通するバイパス路149(図5)が設けてあり、このバイパス路149には、車両エンジン回転数変動による温水流量変化を吸収するための圧力応動弁150が弁ハウジング140内に備えられている。150aは圧力応動弁150の閉弁用のスプリングである。
【0039】
ところで、温水弁14は、前述した冷風バイパスドア16とともに、室室内への吹出空気の温度を調整する温度調整手段を構成するものであって、本実施形態では、温水弁14と冷風バイパスドア16を連動して手動操作するようになっている。この両者14、16の連動のために、冷風バイパスドア16の回転軸17を適宜のリンク(図示せず)を介して、温水弁14側の駆動レバー143のカム溝(図示せず)に連結している。
【0040】
これにより、空調操作パネル161(図4)の温度調整用操作部材162の手動操作により温水弁14の弁体141を回動操作すると、これに連動して冷風バイパスドア16を開閉操作できる。この際、冷風バイパスドア16の開度特性は、駆動レバー143のカム溝の形状の選択により調整できる。図6は温水弁14の開度と冷風バイパスドア16の開度との連動関係を示す具体的一例で、詳細は後述する。
【0041】
なお、デフロスタドア20、フェイスドア22、およびフットドア24は吹出モード切替用のドア手段であって、図示しないリンク機構等を介して空調操作パネル161の吹出モード操作部材163により連動操作される。同様に、送風機ユニット1の送風ファン2の駆動用モータ4の回転数(風量)切替も空調操作パネル161の風量切替操作部材164により操作され、さらに、送風機ユニット1の内外気切替も空調操作パネル161の内外気切替操作部材165により操作される。
【0042】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
まず、最初に、図6により温水弁14と冷風バイパスドア16との連動特性について説明すると、図6の横軸は温水弁14の開度(弁体141による温水流路開口面積の開口割合(%))と車室内への吹出空気温度であり、縦軸は冷風バイパスドア16の開度(%)である。
【0043】
空調操作パネル161の温度調整用操作部材162を手動操作して最大冷房(M.C)位置に操作すると、温水弁14の弁体141を開度=0%の位置に回動操作する。従って、ヒータコア13への温水循環が遮断される。
これに連動して、温水弁14の駆動レバー143等を介して冷風バイパスドア16が操作され、冷風バイパス通路15の開度を最大(100%)とする。これにより、最大冷房時の冷風通路面積が拡大され、冷風量が増加するので、最大冷房能力を確保できる。
【0044】
また、最大暖房(M.H)時には温水弁14の弁体141を開度=100%の位置に回動操作して、ヒータコア13への温水流量を最大にするとともに、冷風バイパスドア16を全閉位置(開度=0%)に操作する。これにより、ヒータコア13による最大暖房能力を発揮できる。
図6において、温水弁14の開度=0〜a%の微小開度域では、冷風バイパスドア16の開度が100%から所定の小開度(図6の例では25%)に向かって直線的に急減少する特性に設定されている。
【0045】
そして、温水弁14の開度=a〜e%の範囲では、冷風バイパスドア16の開度が所定の小開度(図6の例では25%)に維持される。ここで、温水弁14の開度のe%は、全開状態近傍の高い値である。そして、温水弁14の開度がe%を越えると、温水弁14の開度増加とともに冷風バイパスドア16の開度が0%に向かって減少する。
【0046】
図6の開度特性において、この温水弁14の開度がa%より所定量大きい開度b%以下の小開度域がフェイスモードの使用域である。そして、温水弁14の開度がb%より所定量大きい開度c%以上の中間開度域および大開度域がフットモード(およびフットデフロスタモード)の使用域である。さらに、温水弁14の開度=a〜d%の中間開度域がバイレベルモードの使用域である。ここで、d%はc%より所定量大きい開度である。
【0047】
図6の開度特性からわかるように、温水弁14の開度=c〜d%の中間開度域では、温水弁14の同一開度に対してフットモード(およびフットデフロスタモード)と、バイレベルモードの両方が使用される。
次に、吹出モードごとの作動を説明する。
(1)フェイスモード
空調操作パネル161の吹出モード操作部材163によりフェイスモードが選択されると、この操作部材163に連動するリンク機構等を介してデフロスタドア20がデフロスタ開口部19を閉塞し、また、フェイスドア22がフェイス開口部21を開放し、また、フットドア24はフット開口部23を閉塞する位置にそれぞれ操作される。
【0048】
そのため、空調装置の冷凍サイクルを運転すると、蒸発器12により冷却された冷風がヒータコア13により再加熱されて、温度調整された後、すべてフェイス開口部21側へ流れる。
なお、空調操作パネル161の温度調整用操作部材162を最大冷房(M.C)位置に操作すると、温水弁14が全閉状態となり、ヒータコア13への温水循環が遮断されるとともに、冷風バイパスドア16が冷風バイパス通路15を全開するので、冷風の送風量を増加でき、冷房能力が最大となる。
【0049】
一方、温度調整用操作部材162を最大冷房(MC)位置から温度制御領域に操作すると、温水弁14が全閉状態(開度=0%)から温水弁14が開き始め、ヒータコア13に温水が流れて蒸発器12からの冷風がヒータコア13にて再加熱されて温度調整される。また、冷風バイパスドア16が冷風バイパス通路15を小開度だけ開くので、蒸発器12からの冷風の一部が冷風バイパス通路15によりヒータコア13をバイパスして流れ、ヒータコア13で再加熱された冷風と混合する。この混合後の冷風がフェイス開口部21を通して車室内へ吹き出される。
(2)バイレベルモード
空調操作パネル161の吹出モード操作部材163によりバイレベルモードが選択されると、この操作部材163に連動するリンク機構等を介してデフロスタドア20、フェイスドア22、およびフットドア24は図2に示す状態に操作される。
【0050】
これにより、フェイスドア22がフェイス開口部21を開口するとともに、フェイスドア22の補助ドア部22bが空気案内通路26の上端部を開口する。また、フットドア24がフット開口部23を開口するとともに、デフロスタドア20がデフロスタ開口部19を全閉する。従って、フェイス開口部21とフット開口部23を通して、車室の上下両方から同時に風を吹き出すことができる。
【0051】
バイレベルモードにおける温度制御は次のごとく行われる。すなわち、バイレベルモードは通常、春秋の中間シーズンで使用されるので、空調操作パネル161の温度調整用操作部材162により温水弁14は、図6に示すa(%)〜d(%)の中間開度に操作される。これに連動して、冷風バイパスドア16は25(%)の小開度域に設定される。図2では、バイレベルモードでの冷風バイパスドア16の中間開度位置を例示している。
【0052】
従って、ヒータコア13に温水が流れて蒸発器12からの冷風がヒータコア13にて再加熱されて温度調整される。同時に、蒸発器12からの冷風の一部が冷風バイパス通路15によりヒータコア13をバイパスして流れる。そして、、ヒータコア13で再加熱された温風と混合する。そして、この混合後の空気がフェイス開口部21およびフット開口部23を通して車室内の上下両方へ吹き出される。
【0053】
ここで、ヒータコア13が一方向流れタイプであるとともに、ヒータコア13の温水入口側が下方側に位置し、温水出口側が上方側に位置しているので、ヒータコア13の吹出側において、フットドア24の下方側に吹き出す温風aの温度が最も高くなり、フットドア24の直ぐ上側に吹き出す温風b、さらに、フェイスドア22の上側に吹き出す温風cの順に温風温度が低下する。
【0054】
また、冷風バイパス通路15を通過した冷風は、フット開口部23に流入する冷風dと、空気案内通路26を通過してフェイス開口部21の下側に流入する冷風eとに分岐される。
以上のように、フェイス開口部21には、温風aに比して温度の低い温風b、cおよび冷風バイパス通路15からの冷風eが混合された空気が流入する。これに対して、フット開口部23には温度が最も高い温風aと冷風バイパス通路15からの冷風dが混合された空気が流入するので、フット開口部23からの吹出温度をフェイス開口部21からの吹出温度に比して高くすることができ、その結果、車室内温度分布を頭寒足熱形の快適な状態とすることができる。
【0055】
特に、バイレベルモード時には、フェイスドア22の補助ドア部22bが空気案内通路26の上端部から開離して、空気案内通路26が開放されるので、冷風バイパス通路15からの冷風が全部フット開口部23に流入せず、一部の冷風eのみがフェイス開口部21に流入するので、フット吹出温度を高め、フェイス吹出温度を引き下げることができる。その結果、バイレベルモード時の上下吹出温度差を頭寒足熱形の快適な空調フィーリングを得るための目標値(例えば、15〜20°C程度)を達成できる。
【0056】
(3)フットモード
空調操作パネル161の吹出モード操作部材163によりフットモードが選択されると、この操作部材163に連動するリンク機構等を介してデフロスタドア20、フェイスドア22、およびフットドア24は図3に示す状態に操作される。
【0057】
これにより、フェイスドア22がフェイス開口部21を閉塞するとともに、フェイスドア22の補助ドア部22bが空気案内通路26の上端部を閉塞する。また、フットドア24が図2の水平位置よりもさらに反時計方向に回動してフット開口部23を開口する。従って、ヒータコア13の吹出側で、フット開口部23に連通する領域を拡大する。また、デフロスタドア20はデフロスタ開口部19を小開度だけ開く。
【0058】
従って、デフロスタ開口部19とフット開口部23を通して、車室の上下両方から同時に風を吹き出すことができる。
フットモードにおける温度制御は次のごとく行われる。すなわち、フットモードは通常、冬期の暖房時に使用されるので、空調操作パネル161の温度調整用操作部材162により温水弁14は、図6に示すc(%)以上の中間開度および大開度域に操作される。これに連動して、冷風バイパスドア16は図6の所定の小開度(25%)およびこれ以下の微小開度域に操作される。
【0059】
最大暖房時には、温水弁14が全開(開度=100%)するとともに、冷風バイパスドア16が冷風バイパス通路15を全閉(開度=0%)する。従って、ヒータコア13に最大流量の温水が流れて蒸発器12からの冷風がヒータコア13にて最大限加熱されて、最も高温の温風が得られる。この高温の温風がデフロスタ開口部19とフット開口部23の両方から吹き出す。
温度調整用操作部材162により温水弁14を温度制御域に操作すると、温水弁14の開度が減少して、ヒータコア13への温水流量が減少するとともに、冷風バイパスドア16が冷風バイパス通路15を小開度開く。このとき、空気案内通路26が上述のごとく閉塞されているのて、冷風バイパス通路15からの冷風fが全量フット開口部23に流入する。
【0060】
ここで、注目すべきことは、フットモード時ではバイレベルモード時に比して冷風バイパス通路15からの冷風fが全量フット開口部23に流入するので、フット開口部23への冷風流入割合が増大し、フット吹出温度を引き下げる。従って、フットモード時ではバイレベルモード時に比して上下吹出温度差を縮小させることができる。
【0061】
また、フット開口部23への冷風流入割合が増大する分だけ、温水弁14の開度は高開度側に設定できる。このことは、ヒータコア13への温水流量がその分だけ増大するので、ヒータコア13において温水入口側(すなわち、フットドア24の下側領域)からフット開口部23に流入する温風aと、ヒータコア13において温水出口側(すなわち、フットドア24の上側領域)からデフロスタ開口部19に流入する温風gとの温度差を減少させることができる。この理由からも、フットモード時での上下吹出温度差を縮小することができる。
【0062】
フットモード時では、通常、バイレベルモード時に比して上下吹出温度差の目標値を小さくする(例えば、10〜15°C以下)ことが要求されるが、本実施形態によると、この要求を上記のごとくして良好に達成できる。
フットモード時における上下吹出温度差をバイレベルモード時より小さくできるので、デフロスタ吹出空気温度が過度に低下して窓ガラス防曇性能が低下することを防止できるとともに、乗員の上半身側温度が過度に低下して、暖房フィーリングを悪化させるといったことも防止できる。
【0063】
(4)フットデフロスタモード
空調操作パネル161の吹出モード操作部材163によりフットデフロスタモードが選択されると、この操作部材163に連動するリンク機構等を介してデフロスタドア20が図3の位置よりさらに所定量だけ時計方向に回動して、デフロスタ開口部19の開度を図3より増大させる。フェイスドア22およびフットドア24は図3に示す操作位置のままである。
【0064】
フットデフロスタモードは、フットモード時に比してデフロスタ吹出風量が増大するだけである。フェイスドア22の補助ドア部22bが空気案内通路26を閉塞するとともに、温水弁14の使用開度領域が図6のc%以上の領域であることはフットデフロスタモードでも同じであるので、フットデフロスタモードでの上下吹出温度差をバイレベルモードよりも縮小できる。
【0065】
(5)デフロスタモード
デフロスタモードにおいては、フェイスドア22がフェイス開口部21を、また、フットドア24がフット開口部23をそれぞれ全閉する。また、デフロスタドア20がデフロスタ開口部19の最大開度の位置に操作される。従って、送風空気は蒸発器12およびヒータコア13を通過した後に、デフロスタ開口部19を通して車両窓ガラスの内面に吹き出され、窓ガラスの曇り止めを行う。
【0066】
ここで、温度調整用操作部材162により温水弁14の開度調整を行うことにより、デフロスタ開口部19からの吹出温度調整を行うことができる。
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、バタフライ状のフェイスドア22の下方部に「く」の字状に屈折した補助ドア部22bを一体成形し、この補助ドア部22bにより空気案内通路26の上端部を開閉するようにしているが、第2実施形態では、図7、8に示すようにフットドア24をバタフライ状のドア構造に変更して、回転軸24aより車両後方側の部位を補助ドア部24bとして構成し、この補助ドア部24bにより空気案内通路26の上端部を開閉するようにしたものである。
【0067】
図7は、図2に対応するバイレベルモード時を示し、図8は図3に対応するフットモード時を示す。
第2実施形態においても、温水弁14および冷風バイパスドア16は図6の特性により開度が調整され、第1実施形態と同様に、フットモードおよびフットデフロスタモード時ではバイレベルモード時に比して上下吹出温度差を縮小することができる。
【0068】
(他の実施形態)
▲1▼上記の実施形態では、温水弁14と冷風バイパスドア16とをリンク機構等による純機械的な機構により連動させる場合について説明したが、温水弁14と冷風バイパスドア16をそれぞれ電気的なアクチュエータ(モータ等)により駆動するようにして、温水弁14と冷風バイパスドア16とを電気的に連動させるようにしてもよい。
【0069】
▲2▼上記の実施形態では、フットモードおよびフットデフロスタモード時の上下吹出温度差<バイレベルモード時の上下吹出温度差の関係に設定しているが、これとは、逆に、フットモードおよびフットデフロスタモード時の上下吹出温度差>バイレベルモード時の上下吹出温度差の関係に設定する必要がある場合に本発明を適用してもよい。
【0070】
この場合は、フットモードおよびフットデフロスタモード時に空気案内通路26を開放して、冷風バイパス通路15からの冷風の一部をデフロスタ開口部19に導入し、バイレベルモード時には空気案内通路26を閉塞して、冷風バイパス通路15からデフロスタ開口部19への冷風導入を停止するようにすればよい。▲3▼上記の実施形態では、ヒータコア13として、温水入口側タンク13aからの温水が熱交換コア部13cの全部の偏平チューブ13dを下方から上方への一方向に流れる一方向流れタイプ(全パスタイプ)を用いているが、ヒータコア13として、空気流れ方向の前後で温水流れをUターンさせる、いわゆる前後Uターンタイプを用いることができる。
【0071】
この前後Uターンタイプのヒータコア13では、熱交換コア部13cの一端側に温水の出入口部が設けられ、他端側に温水のUターン部が設けられ、そして、温水出入口部の吹出温度が温水Uターン部の吹出温度より高くなるので、ヒータコア13の温水出入口部が下方のフット開口部23側に位置し、温水Uターン部が上方のフェイス開口部21およびデフロスタ開口部19側に位置するように、ヒータコア13を配置すればよい。
【0072】
この前後Uターンタイプのヒータコア13を用いる場合においても、上記の実施形態と同じ考え方、つまり、吹出モードにより冷風バイパス通路15から各開口部への冷風配分を切替る考え方で上下吹出温度差を良好に調整できる。
▲4▼上記の実施形態では、ヒータコア13(暖房用熱交換器)に循環する温水の流量を制御する温水弁14を備え、この温水弁14により車室内への吹出空気温度を調整する車両用空調装置について説明したが、ヒータコア13出口の低温温水とエンジンから出た高温温水との流量比率を制御して、ヒータコア13に流入する温水温度を制御する温水弁も周知であり、このようなタイプの温水弁を用いて車室内への吹出空気温度を調整する車両用空調装置においても本発明は同様に適用できる。
【0073】
▲5▼上記の実施形態では、図6において、温水弁14の開度=a〜e(%)の領域において、冷風バイパスドア16の開度を所定の小開度に保持しているが、これに限らず、例えば、冷風バイパスドア16の開度を温水弁14の開度=a〜e(%)の領域で徐々に減少させるようにしてもよい。
▲6▼上記の実施形態では、送風機ユニット1および空調ユニット10内の空気通路の仕切り構造について説明していないが、送風機ユニット1および空調ユニット10内の空気通路を外気側の第1空気通路と内気側の第2空気通路とに仕切り、冬期の暖房時に内外気2層流モードを設定し、第1空気通路からの外気をヒータコア13で加熱して、低湿度の外気温風をデフロスタ開口部19から吹き出し、一方、第2空気通路からの内気をヒータコア13で加熱して、高温の内気温風をフット開口部23から吹き出すことが可能な車両用空調装置に本発明を適用できることはもちろんである。
【0074】
この場合、フットドア24を内外気2層流モード時における第1、第2空気通路間の仕切り部材として兼用できる。
▲7▼上記の実施形態では、吹出モードにより上下吹出温度差の目標値が異なる場合に、各吹出モードでの上下吹出温度差を成立させるため、吹出モードドアである、フェイスドア22またはフットドア24に補助ドア22b、24bを設けて、空気案内通路26を吹出モードの変更に連動して開閉しているが、逆に、上下吹出温度差の目標値が等しくても、ユニット構造の特性からフットモードおよびフットデフロスタモード時の上下吹出温度差とバイレベルモード時の上下吹出温度差が変化してしまう場合に、吹出モードが変わっても上下吹出温度差を等しくするために、補助ドア22b、24bと空気案内通路26とを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の通風系の全体配置の平面図である。
【図2】第1実施形態における空調ユニット部のバイレベルモード時を示す縦断面図である。
【図3】第1実施形態における空調ユニット部のフットモード時を示す縦断面図である。
【図4】第1実施形態のヒータコアの一部破断正面図である。
【図5】第1実施形態のヒータコアの側面図で、温水弁部分は蓋部を取り外している。
【図6】第1実施形態の温水弁開度と冷風バイパスドア開度との関係を示すグラフである。
【図7】第2実施形態における空調ユニット部のバイレベルモード時を示す縦断面図である。
【図8】第2実施形態における空調ユニット部のフットモード時を示す縦断面図である。
【図9】本発明者らの開発中の比較品における温水弁開度と吹出空気温度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…送風機ユニット、10…空調ユニット、11…空調ケース、
12…蒸発器、13…ヒータコア、14…温水弁、15…冷風バイパス通路、
16…冷風バイパスドア、19…デフロスタ開口部、20…デフロスタドア、
21…フェイス開口部、22…フェイスドア、22b…補助ドア部、
23…フット開口部、24…フットドア、24b…補助ドア部、
26…空気案内通路。
Claims (6)
- 空調空気が流れる空気通路を形成する空調ケース(11)と、
この空調ケース(11)内に配置され、空調空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
この暖房用熱交換器(13)に循環する温水流量または温水温度を制御する温水弁(14)と、
前記暖房用熱交換器(13)を通過して温度制御された空調空気を車室内乗員の頭部に向けて吹き出すフェイス開口部(21)と、
前記暖房用熱交換器(13)を通過して温度制御された空調空気を車室内乗員の足元に向けて吹き出すフット開口部(23)と、
前記温度制御された空調空気を車両窓ガラス内面に向けて吹き出すデフロスタ開口部(19)とを備え、
前記空調ケース(11)内において、前記暖房用熱交換器(13)の吹出空気温度の高温側部位を前記フット開口部(23)側に配置するとともに、
前記暖房用熱交換器(13)の吹出空気温度の低温側部位を前記フェイス開口部(21)および前記デフロスタ開口部(19)側に配置し、
前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして空調空気が流れる冷風バイパス通路(15)を前記暖房用熱交換器(13)の吹出空気温度の高温側に配置し、
この冷風バイパス通路(15)に、前記温水弁(14)と連動して開閉される冷風バイパスドア(16)を備え、
前記フェイス開口部(21)および前記フット開口部(23)の両方から空調空気を吹き出す第1の上下吹出モードと、前記デフロスタ開口部(19)および前記フット開口部(23)の両方から空調空気を吹き出す第2の上下吹出モードとを設定するようになっており、
さらに、前記第1、第2の上下吹出モードの切替に連動して前記第1の上下吹出モードと前記第2の上下吹出モードとで異なる位置に移動して、前記冷風バイパス通路(15)から前記フット開口部(23)に流入する冷風量を前記第1の上下吹出モード時よりも前記第2の上下吹出モード時に増大することにより、前記第1の上下吹出モード時の上下吹出温度差を前記第2の上下吹出モード時の上下吹出温度差よりも大きくする補助ドア手段(22b、24b)を備えることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を分岐して前記フェイス開口部(21)に案内する空気案内通路(26)を備え、
前記フェイス開口部(21)を開閉するフェイスドア(22)に前記補助ドア手段(22b)を設け、
前記第1の上下吹出モード時には、前記補助ドア手段(22b)により前記空気案内通路(26)を開放して、前記冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を前記空気案内通路(26)を通して前記フェイス開口部(21)に導入し、
一方、前記第2の上下吹出モード時には、前記補助ドア手段(22b)により前記空気案内通路(26)を閉塞して、前記冷風バイパス通路(15)からの冷風の全量を前記フット開口部(23)に流入させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を分岐して前記フェイス開口部(21)に案内する空気案内通路(26)を備え、
前記フット開口部(23)を開閉するフットドア(24)に前記補助ドア手段(24b)を設け、
前記第1の上下吹出モード時には、前記補助ドア手段(24b)により前記空気案内通路(26)を開放して、前記冷風バイパス通路(15)からの冷風の一部を前記空気案内通路(26)を通して前記フェイス開口部(21)に導入し、
一方、前記第2の上下吹出モード時には、前記補助ドア手段(24b)により前記空気案内通路(26)を閉塞して、前記冷風バイパス通路(15)からの冷風の全量を前記フット開口部(23)に流入させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記温水弁(14)が最大冷房位置に操作されると、前記冷風バイパスドア(16)により前記冷風バイパス通路(15)を全開し、前記温水弁(14)が最大暖房位置に操作されると、前記冷風バイパスドア(16)により前記冷風バイパス通路(15)を全閉し、
前記温水弁(14)が前記最大冷房位置より前記最大暖房位置に向かって操作されると前記冷風バイパスドア(16)の開度が前記全開位置から前記全閉位置へ向かって減少することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 - 前記暖房用熱交換器(13)は、温水入口側タンク(13a)から温水が熱交換用コア部(13c)の全部のチューブ(13d)を通って温水出口側タンク(13b)へ向かって一方向に流れる一方向流れタイプであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 空調操作パネル(161)に手動操作される温度調整用操作部材(162)を備え、
この温度調整用操作部材(162)に前記温水弁(14)の駆動機構(142、143、144)を連結するとともに、
この駆動機構(142、143、144)に前記冷風バイパスドア(16)を連結したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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