JP4189650B2 - 分割が容易な段ボールブランク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば青果物、菓子、酒・飲料、医薬品、衣料品等繊維製品の保管や輸送包装に使用して、埃や物理的な衝撃から内容物を保護する段ボール箱に関するものである。
さらに詳しく述べると、開梱後の使用済み段ボール箱を2分割することにより、同じ大きさ、形の2個の小箱用ブランクを取出せるようになしたもので、各小箱用ブランクから組立てた段ボール箱に商品を詰め替えて小ロット包装することで、出荷時使用した大型の外装箱を分割して流通に耐える小型の包装箱として再利用し得る段ボール箱に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の段ボール製もしくは板紙製の個装用小箱を連結した状態で工場より出荷し、問屋などで1個ずつに分割して小売店に納入をする集合・小分け包装はすでに知られている。
この集合・小分け包装は、従来の様に商品を収納した小箱を段ボール等からなる大型の外装箱に詰めて、二重の箱に収納(包装)することがない包装形態であるから包装材料と包装作業の大幅な節減ができ、コストダウンがはかれるものである。また、連結した箱は、小売店等のユーザーが要求する扱い量に応じて任意の単位に分割することが可能であり、小ロットで配送して欲しいユーザーに対して分割小分けしての供給が可能となったものである。
【0003】
ところで、包装箱は小さすぎると箱単位での輸送保管の扱いは概して不便であり、積上げたときには荷崩れなどもし易く物流の合理化が妨げられるので、大型の箱の方が扱いやすい。ところが流通の末端段階においては、1つの大きな包装箱に数多くの商品(多品種)が充填されていると、ロット当りの商品の個数が大きくなって、前記のようにユーザーの多様なニーズに対応できなくなるという問題があった。
【0004】
そこで、このような出荷後の各流通段階におけるユーザーの多様な要求を満たすために、複数個集合させた同一の小箱の上面に共通の蓋材やテープ等の連結部材を設け、その共通の連結部材に切取部を設けて、この小箱を必要に応じて分割可能とする集合包装箱が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、上記と同種の課題を解決する展示用トレイ箱も提案されている(特許文献2参照)。
さらに、販売単位としての小箱を2個一体に連結したもので、輸送保管時に1個の箱として取り扱うことができるようにした一枚の台紙からなる小分け容器が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
一般に商品が詰められて出荷された大型の外装箱は、使用先で商品の一部(例えば半分)が取り出された場合に、残りの商品は他の包装箱に移し変えて別途に包装する必要が生じる。しかしこのような場合、大きな段ボール箱は無用となり廃棄するか回収業者に渡すことになり、不経済であった。また、業者は移し変えのために小さな箱を別途購入して用意しておくことが求められ、さらに小箱単位で多品種を収納する作業を行なう必要があるため包装コストは高価のものとなっていた。
【0006】
近年、環境問題を意識して、本来の役割を終え使用済みの紙ごみとして廃棄される商品ケースを、切り離してティッシュケースとして組立て再利用できるようにした包装箱も提案されている(特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
実公昭57−11002号公報
【特許文献2】
特許第2914270号公報
【特許文献3】
実開平6−20219号公報
【特許文献4】
実用新案登録第3069091号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記文献1〜3の集合小分け包装箱は、共通の連結部材を利用して複数の同一の小箱を連結した構成であるから、流通の過程で適宜連結した箱を分割して小型化できる。しかし、一つ一つの小箱は既に組立てられており、もともと組立てられた小箱には入るべき内容物が入っているのものである。
一方で、不特定の大きさの物品が一つの大きな箱に包装されていたり、あるいは、衣料品のように種々の品物が大きさの異なる袋に詰められ、それらが大きな段ボール箱に包装されていたりすることがある。また、不特定の大きさの小箱が一つの大きな外装箱に包装されていたり、あるいは種々の品物が直接一つの大きな段ボール箱に包装されていたりすることもある。流通の過程で業者は、そのような段ボール箱を開梱して品物を送り先別に別途用意してある小箱に詰めかえて輸送することも多い。
そうすると、既に説明したように大きな段ボール箱は廃棄するか回収業者に渡すことになるし、また、小さな箱を別途購入しておく必要があるという問題がある。
【0009】
また文献4の箱はごみとして廃棄する箱をティッシュケースとして再利用できるようにしたものであるが、その箱は輸送包装に多用されているJIS Z1507で規定される02形式(旧JIS A−1形式)の段ボール箱ではなかった。また、ティッシュケースとして再利用できるとしても紙取には無駄が多く、元の箱から小型の箱を2個取出せるようにしたものではなかった。
【0010】
このように、JISの02形式の段ボール箱で、出荷時使用した大型の元箱を分割して流通に耐える小箱として再度使用し得る段ボール箱は知られていなかった。
そこで、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、出荷時使用したJISの02形式(旧A−1形式)の大型の段ボール箱を2次使用に際して、概ね1/2の面積のシートブランクになるように分割することにより、分割後は、6面が密閉された形態の箱が構成でき、かつ流通に耐える機能ももつ箱を元の箱から少なくとも2個取出せるように工夫して本発明を完成したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の段ボールブランクは、以下の構成を採用したものである。
すなわち1 個の大型の箱を構成するJIS Z−1507に規定される02形式の1ピースの段ボールブランクであり、組立状態で、相対する短側面または長側面となるパネルの中央部に分割線を形成し、その中央分割線をはさんで対称的に、小ロット包装用小箱のブランクが2個取りできるように、段ボールの段に平行な方向は印刷によるカットライン表示を付し、それ以外の方向には切刃若しくは抜き型により形成するミシン目カットライン表示を付し、さらに前記小箱のブランクは、JIS Z−1507に規定される04形式のブランクとして構成されていることを特徴としている。
【0017】
以上の本発明によれば、工場出荷時使用した0201形式(旧A−1形式)の大型の段ボール箱を開梱後、ごみとして廃棄することなく2分割して、小ロット包装用の箱として再利用することができる。分割後の箱は、6面が密閉された状態の元箱の略1/2のシートブランク面積をもった箱が構成でき、かつ流通に耐える機能ももつ同じ大きさ、形の箱を元の箱から少なくとも2個取り出すことができる。従って本発明によれば、例えば、特約店や代理店などの1次、2次取扱店を経由するような通信販売に適した商品の流通分野において、取扱店を経由するごとに輸送包装の内容量が減少する場合に有用であり、大きな効果を発揮する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく述べる。
本発明における分割可能な段ボールシートを「元の段ボールシートとか、段ボールブランク」と表現し、それにより形成された大きな箱を「元の段ボール箱とか、元箱」と表現する。また、分割された段ボールシートを「小箱用ブランクシートとか、小箱用ブランク」と表現し、またそのブランクから形成される新たな箱を「小箱」と表現する。
本発明において、元の段ボールシートは、特に形態を限定する必要があるわけではないが、前記したように、不特定の大きさのものを大きな箱に入れて一次流通させる場合、JIS Z−1507に規定される02式段ボールであることが通常多い。また、この形式だと、フラップが充分な大きさであるため、2つの箱を形成するブランクシートの設計がし易い。特に、0201式であることが好ましい。
0201式は、旧JISでA−1式と呼ばれる市場流通量が多い最も代表的な段ボール箱である。
【0019】
本発明における分割されたブランクシートから形成される小箱の形状も、特に限定される必要はないが、流通の現場で簡単に箱が組み立てられる必要性から、単に組み立てて接着するだけで箱が形成できることが好ましい。
元の段ボールシートが前記02式である場合、その罫線や切り込みを有効に活用して2つの箱用のブランクシートを切り取るためには、小箱の形式はJIS Z−1507に規定される04式あるいはその類型であることが好ましい。
【0020】
元の段ボール箱の大きさは特に限定される訳ではないが、本発明の目的からして、直方体の各辺が30〜60cm程度の範囲である。
本発明に使用される段ボールシートの段の高さ、米坪などについては、本発明の目的から、また、人手でカットしたりする作業性などから、普通のAフルート又はBフルート段ボールであることが好ましい。ライナー米坪としては、150〜280g/m2、中芯米坪としては、110〜220g/m2程度が好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、図面に基づいて、本発明の実施例を説明する。
〔第1の実施例〕
図1は本発明で使用する元の段ボールシート(JIS Z−1507に規定される02形式のブランク)の基本形態を示す模式図である。この段ボールシートを使用することで出荷用の段ボール箱(元箱)を製函機により組立てるのである。
図1の(A)のブランクは、天面側の内外フラップの長さL0を底面側の内外フラップL1よりも若干長く形成し、外フラップを重ね合わせる構成にしたものである。しかし図1の(B)に示すように天面側と底面側の内外フラップは何れも同じ長さのものでもよい。なお、底面側の外フラップは突き合わせできる構成とすることが好ましい。
符号1で示すものは箱の長さ面を構成する矩形パネル、2は幅面を構成する矩形パネルであり、これらのパネルは交互に一方向に連接されている。また各面の上下に箱天面または底面を封緘するため、同一の長さの外フラップ3と内フラップ4が連接されている。符号5はパネル1の端縁に付設した繋ぎしろである。
【0022】
図2は前記した大型段ボール箱を、使用後に2分割して同じ大きさ、形の小箱として切取り再利用するために元の段ボールシートBにカットライン表示を付与した模式図である。
▲1▼は折線(罫線)である。この折線は、実際は抜き型によりこの位置に入れておく。
▲2▼はミシン線である。この線は小箱を2個取するための分割線である。
▲3▼は切断線であるが、箱強度に影響がでるため、印刷による切断位置の指定にと止めてある。
▲4▼は折線(罫線)であり、抜き型によりこの位置に入れておく。
▲5▼は切断線(ジッパー)である。印刷による切断位置の指定にと止めてある。
【0023】
上記の実施例に示したように、本発明は一個の段ボール箱を構成する1ピースの段ボールブランBから、同じ大きさ、形の少なくとも2個の小箱用ブランクb1、b2が簡単に分割形成できるように、印刷加工によるカットライン表示及び/又は切刃若しくは抜き型により形成したミシン目カットライン(図に丸数字で表したライン)が前記1ピースの段ボールブランクに設けられていることが特徴の一つである。
【0024】
図3の(A)は、使用済みの大型の箱を分割して小ロット包装用の小箱を製作するための状況を示すものであり、先ず、符号Vで示す位置で開梱した箱を2分割する。分割後にはこのブランクに設けられているカットラインに沿って切り取っていけば、図3の(B)に示すよう小箱用ブランクb1、b2が2枚出来上がる。これらのブランクの形式はJIS Z−1507に規定される04式あるいはその類型である。小箱用ブランクb1、b2を簡単に形成できる。
【0025】
図4の(A)に基づいて小箱用ブランクb1、b2の形態を説明する。符号6は矩形底板、7は矩形底体の幅面に連接した短側板、8は同じく長さ面に連接した長側板、9は短側板7の両側縁に連接した折込フラップである。なお符号10は内フラップ、11は外フラップであり、短側板7又は長側板8の端縁に連接されている。
上記の小箱用ブランクは1ピースのシートで構成され、組み上がると図4の(B)にも示すように6面が閉じられた形態の小箱が形成されるブランクである。この小箱用ブランクは、開梱した1次使用後の大型の箱を流通業者等が前記カットライン表示に従って必要に応じて分割した後、小口配送用の小型の箱に組み立てて接着し使用するのである。
【0026】
〔第2の実施例〕
本実施例で使用する元の段ボールシートも、実施例1と同様にJIS Z−1507に規定される02形式のブランクである。従って、以下の説明において、図1を参照しながら、同一の部材については同一の符号つけて説明することとする。
【0027】
図5は、前記した元の段ボールシートBにカットライン表示を付与した模式図である。
▲1▼は折線(罫線)である。この折線は、段に平行で折れやすいため、印刷表示によりこの位置に入れておく。
▲2▼はミシン線である。この線は小箱を2個形成するための分割線である。
▲3▼は折線(罫線)である。この折線は、印刷表示または抜き型によりこの位置に入れておく。
▲4▼は折線である。この線は抜き型によりこの位置に入れておく。
▲5▼は折線(罫線)であり、小箱の分割製作時の補助罫線であり、印刷表示にのみとしてある。
【0028】
本実施例も、一個の段ボール箱を構成する1ピースの段ボールブランBから、少なくとも同じ大きさ、形の2個の小箱用ブランクC1、C2が簡単に分割形成できるように、印刷加工によるカットライン表示及び/又は切刃若しくは抜き型により形成したミシン目カットラインが前記1ピースの段ボールブランクに設けられていることが特徴の一つである。
【0029】
図6の(A)は、出荷時使用した大型の箱の使用終了後(開梱後)に、この使用済みの箱を分割して小ロット包装用の小箱を製作するための状況を示すものであり、符号Vで示す位置で開梱した箱を2分割するのである。分割後には、図6の(B)に示すように同じ大きさ、形の小箱用ブランクC1、C2が2枚出来上がる。これらのブランクの形式は、実施例1の小箱用ブランクと同様にJIS Z−1507に規定される04式の類型である。このブランクに設けられているカットラインに沿って切り取っていけば小箱用ブランクC1、C2を簡単に形成できる。
【0030】
なお上記の小箱用ブランクの符号6は矩形底板、7は矩形底体の幅面に連接した短側板、8は同じく長さ面に連接した長側板、9は短側板7の両側縁に連接した折込フラップである。なお符号10は内フラップ、11は外フラップであり、短側板7又は長側板8の端縁に連接されている。12はそのフラップ9に連接した天フラップである。
【0031】
上記の小箱用ブランクは1ピースのシートで構成されている。この小箱用ブランクの組立に際しては、図7に示したように、▲5▼の線に沿ってブランクを2つに折り、その後図7(B)の斜線部をテープ貼りする。しかる後、底板6と長側板8及びフラップ11を広げる。
組み上がると図8の(A)〜(B)にも示すように6面が閉じられた形態の小箱が形成される。この小箱は、開梱した大型の箱を分解して小口配送用の小型の箱に組み直して接着し使用するのである。
【0032】
〔その他の実施例〕
図9に示した展開図は外フラップ3と内フラップ4の長さを異ならしめた元の段ボールシートBにカットライン表示(図に太い黒線で表した)を施した例である。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、従来は廃棄あるいは回収されていた元の段ボールシートが、次の輸送に使用されるため、廃棄等の処理の必要がなくなり、また、新たな小箱を準備する量が減少するため、無駄を省くことができる。社会的には、資源の節減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)と(B)は本発明で使用する元の段ボールシート(JIS Z−1507に規定される02形式のブランク)の基本形態を示す模式図である。
【図2】図1の(A)の段ボールシートBにカットライン表示(図に太い黒線で表した)を付与した模式図である。
【図3】 (A)は、使用済みの箱を分割する位置を示した説明図である。(B)は、分割後の形成された小箱用ブランクb1、b2を示す説明図である。
【図4】(A)は、小箱用ブランクの構成を示す説明図。(B)はその小箱用ブランクの組立図である。
【図5】第2の実施例を示し、元の段ボールシートBにカットライン表示を付与した模式図である。
【図6】 (A)は、使用済みの箱を分割する位置を示した説明図である。(B)は、分割後の形成された小箱用ブランクC1、C2を示す説明図である。
【図7】(A)と(B)は小箱用ブランクC1、C2の組立説明図である。
【図8】(A)と(B)は小箱用ブランクC1、C2の組立説明図である。
【図9】他の変形例を示す展開図である。
【符号の説明】
B 元のブランクシート
b1、b2 小箱用ブランク
C1、C2 小箱用ブランク
1 長さ面のパネル
2 幅面のパネル
3 外フラップ
4 内フラップ
5 繋ぎしろ
6 底板
7 短側板
8 長側板
9 折込フラップ
10 内フラップ
11 外フラップ
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