JP4189205B2 - 真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システム - Google Patents
真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、追加工事の増大を抑制して、既存のインフラを活用出来る真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図7及び図8に示すような真空式下水道汚水収集装置が知られている。
【0003】
この様なものでは、各建物家屋1,1から排出される汚水を流下させる自然流下管3が、各建物家屋1,1から真空弁4を設けた真空弁ユニットとしての汚水マス2まで延設されている。
【0004】
この汚水マス2の真空弁4は、汚水マス2のマス本体2a内に溜められた汚水が一定量、例えば40リットルに到達すると、このマス本体2a内を大気圧に開放するように構成されている。
【0005】
すなわち、この真空弁4は、常時、真空弁吸込管12と真空汚水管5との間を遮断している。また、マス本体2a内に設けられて、下部開口14aを臨ませる汚水量検出管14には、上端に気体圧導入管15を介して真空弁コントローラ16が接続されている。
【0006】
この真空弁コントローラ16は、前記汚水量検出管14内の圧力を検出して、一定圧力以上となると、前記真空弁4を開放するように構成されている。
【0007】
また、この汚水マス2は、真空汚水管5及び真空下水管6を介して真空ステーション7の集水タンク8に接続されている。
【0008】
この集水タンク8は、前記真空ステーション7内に設けられる真空ポンプ9によって、常に一定の真空度に保持されている。
【0009】
更に、この集水タンク8には、圧送ポンプ10が設けられている。この圧送ポンプ10は、前記集水タンク8内に溜められた汚水を、下水管11内を流下させて、最終処理場となる下水処理場に送出するように構成されている。
【0010】
次に、この従来の真空式下水道汚水収集装置の監視システムの作用について説明する。
【0011】
このように構成された従来の真空式下水道汚水収集装置では、各建物家屋1,1から排出された汚水が、自然流下管3内を流下して前記汚水マス2のマス本体2a内に溜められる。
【0012】
汚水は、前記汚水量検出管14の下部開口14aを閉塞して、汚水量検出管14内部を上昇し、この汚水量検出管14内の圧力を上昇させる。
【0013】
この汚水マス2のマス本体2a内に溜められた汚水が一定量、例えば40リットルに到達すると、前記汚水量検出管14内の圧力が、予め定められた一定値を越えて、前記真空弁コントローラ8を作動させる。
【0014】
この真空弁コントローラ8の作動により、前記真空弁4は開放され、大気圧にこのマス本体2a内が開放される。
【0015】
この汚水マス2は、真空汚水管5,5及び真空下水管6を介して真空ステーション7の集水タンク8に接続されているので、この汚水マス2内の汚水が、ベント管17から導入された空気と共に混合流となり、前記真空汚水管5及び前記真空下水管6を介して前記真空ステーション7の集水タンク8に送られる。
【0016】
この際、前記真空汚水管5及び前記真空下水管6内では、汚水が、導入された空気と共に、前記真空ポンプ9によって吸引されるので、長い距離、例えば、数百メートル〜数キロメートルの道程であっても、汚水を前記集水タンク8内に収集できる。
【0017】
このため、真空式下水道汚水収集装置は、各建物家屋1,1間の距離が離間していたり、或いは高低差から、一般の自然流下式下水道を敷設すると、施工コストが割高になりやすい田園町村部等においても、汚水収集効率の良好な施工コストの掛からない下水道として用いることができる。
【0018】
出願人らが提案する真空式下水道汚水収集装置には、前記真空弁4の異常・故障等を監視する維持管理システムが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0019】
このようなものでは、前記汚水マス2a内に、汚水の水位を検出する水位センサ18及び前記真空弁4の開閉を検知する弁センサ19が設けられて、前記真空ステーション7に設けられた監視装置20に、前記真空下水管6に沿って敷設されるケーブルを介して接続されている。
【0020】
そして、前記監視装置20によって、汚水水位の正常・異常、真空弁の開閉状態及び動作回数等がモニタリングされて、真空弁の異常・故障等の早期発見が行われるようにしている。
【0021】
加えて、近年、田園町村部等においては、独居老人の在住する建物家屋が増加傾向にある。例えば、トイレの使用状況等から生活のパターンを把握し、異変を察知した場合には、セキュリティ管理会社等へ通報する生活異変感知装置を用いて、安否を確認することにより、独居老人でも安心した生活を送れるものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0022】
このような生活異変感知装置では、新たに、建物家屋内のトイレに体温を測定する温度センサ、荷重センサ、人体検知センサ、或いは水流センサ等の各種センサを設けると共に、監視を行う前記セキュリティ管理会社との間にも、通信線を別途敷設したり、電話線を介在させなければならず、管理コストが増大してしまうといった問題があった。
【0023】
【特許文献1】
特開平10−317478号公報(1頁〜6頁、図1)
【特許文献2】
特開平8−16966号公報(1頁から5頁)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、追加工事の増大を抑制して、既存のインフラを活用出来る真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムを提供することを課題としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、建物家屋毎に設けられた公共マスと、複数の公共マスから流出された汚水を溜める真空弁ユニットと、該真空弁ユニットに溜められた汚水を真空下水管を介して収集する真空ステーションを有する真空式下水道汚水収集装置に用いられて、前記真空弁ユニットに設けられて真空弁ユニットの故障又は異常を検出するセンサと、前記真空ステーションに設けられて該センサで検知された故障又は異常情報を監視する監視装置とを有する真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムであって、
前記公共マスにセンサを設けて、該センサでは、前記建物家屋から排出された汚水の流出入を検出すると共に、
前記真空ステーションの監視装置では、該検出データを集積して、前記建物家屋の住人の安否を監視することを特徴とする真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムである。
【0026】
このように構成された請求項1記載のものでは、真空弁ユニットが数軒に1個づつ配置して敷設される場合であっても、前記真空ステーションの監視装置では、前記公共マスに設けられたセンサで検出された検出データを集積して、前記建物家屋の住人の安否が監視できる。
【0027】
このため、新たに、建物家屋内に各種センサを配置する必要が無いと共に、前記公共マスから発信された信号は真空弁ユニットから前記真空ステーションまでの間を接続する既存の回線を利用して、検出データを送受信できるので、追加工事の増大を抑制して、既存のインフラを活用することにより、コストを削減出来る。
【0039】
また、請求項2記載の発明は、前記真空弁ユニット内に設けられるセンサは、真空弁の開閉を検出する弁センサ及び/又は汚水の滞留量を検出する水位センサであることを特徴とする請求項1記載の安否監視システムである。
【0040】
このように構成された請求項2記載のものでは、前記真空弁ユニット内に設けられるセンサとして、真空弁の開閉を検出する弁センサを用いているので、該真空弁の開閉の頻度等によって、独居老人等の建物家屋の住人の安否を確認できる。
【0041】
また、該真空弁の開閉は、所定量の汚水が、前記真空弁ユニットに溜まった時点で行われるので、日々の微細な変動を吸収して誤通報の虞を減少させることが出来る。
【0042】
更に、前記水位センサが、汚水の滞留量を検出することにより、滞留量の変動によって、独居老人等の建物家屋の住人の安否を確認できる。
【0045】
また、請求項3に記載されたものでは、前記監視装置には、検出データのパターンによって、使用頻度の高い時間帯を抽出して、検出時間帯を設定する検出時間帯設定手段と、該検出時間帯内の検出データに基づいて、前記建物家屋の住人の安否を判断する安否判断手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の安否監視システムである。
【0046】
このように構成された請求項3記載のものでは、前記検出時間帯内の検出データに基づいて、前記安否判断手段が、前記建物家屋の住人の安否を判断する。
【0047】
このため、例えば、使用量が朝夕の時間帯に多い建物家屋には、朝夕の時間帯の検出データに基づいて、また、昼間の時間帯に多い建物家屋には、昼間の時間帯の検出データに基づいて、前記安否判断手段が各建物家屋の住人の安否を判断するので、建物家屋の住人の構成に個別に対応できる。
【0058】
【発明の実施の形態1】
次に、本発明の実施の形態1を図面を参照しながら説明する。この実施例は、代表として、公共マスが設けられた場合で説明しているが、この構成が本発明の全てではない。
【0059】
図1乃至図6は、本発明の実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムを示すものである。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0060】
まず、構成から説明すると、この実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムでは、建物家屋1,1には、各々水廻り設備として、キッチン,洗面台1a,トイレ1b,及び浴室1cが設けられていて、各水廻り設備である洗面台等1a〜1cから排出される汚水を流下させる自然流下管3が、設けられている。
【0061】
この自然流下管3には、水流センサ26が設けられた公共マス25が設けられてもよい。この場合は、複数の公共マス25からの汚水管が、真空弁4が設けられた真空弁ユニットとしての汚水マス2に接続されている。
【0062】
この公共マス25は、汚水が流れるマス本体251と、マス本体251の上部に設けられて地上に開口される立ち上がり管252と、マス本体251への汚水の流入口と流出口とを有しており、水流センサ26はマス本体251部に設けられている。
【0063】
水流センサとしては、例えば、マス本体251の内部に、永久磁石26aを取り付けた堰板253が、その下端部が公共マス本体251底面近くに位置するようにして、汚水の流れ方向に揺動可能に設けられている。リードスイッチ26bはマス本体251の底部外側又はマス本体251内に配置される。
【0064】
図5(a)のように、水流センサ26には、建物家屋毎に設けられた公共マス25の汚水流路内に、汚水が衝突するとその流れ方向に揺動する堰板253と、該堰板253下部に永久磁石26aと、公共マス25底面の外側に、永久磁石26aの磁場の強度により開閉するリードスイッチ26bとが設けられている。水流センサ26は、汚水が流れたら堰板253が揺動して、永久磁石26aとリードスイッチ26bとの距離が離れるように配置され、リードスイッチ26bと真空弁ユニット2に設けられた端末コントローラー22とは、ケーブル29で結ばれている。
【0065】
水流センサ26を構成する永久磁石26aとリードスイッチ26bとの位置関係は、リードスイッチ26bがマス本体251の底部外側におかれた場合には、永久磁石26aは堰板253の下部に設けられ、堰板253が揺動した場合に永久磁石26aとリードスイッチ26bとの距離が離れるようにされている。従って、汚水が流れないときは、永久磁石26aとリードスイッチ26bとの位置は近接しており、リードスイッチ26bはOFFの状態となっている。汚水が流れると、永久磁石26aとリードスイッチ26bとの位置が離れて、リードスイッチ26bはONの状態となる。
【0066】
リードスイッチ26bは、マス底部外側面に取り付けられた脱着可能なコネクター26cを介してケーブル29に接続され、ケーブル29は真空弁ユニット2に設けられた端末コントローラー22まで、自然流下管3に沿って配線される。リードスイッチ26bからの信号は、ケーブル29を通って真空弁ユニット2の端末コントローラー22に伝達される。
【0067】
又、図5(b)のように、水流センサ26が、建物家屋毎に設けられた公共マス25の汚水流路内に、汚水が衝突するとその流れ方向に揺動する堰板253と、該堰板253上部に永久磁石26aが取り付けられ、公共マス25の中に永久磁石26aの磁場の強度により開閉するリードスイッチ26bとが設けられているものでも良い。汚水が流れたら堰板253が揺動して、永久磁石26aとリードスイッチ26bとが離れるように配置された水流センサ26であり、リードスイッチ26bと真空弁ユニット2に設けられた端末コントローラー22とが、ケーブル29で結ばれてるようにされてもよい。
【0068】
リードスイッチ26bがマス本体251の中におかれた場合には、永久磁石26aは堰板253の上部に設けられ、堰板253が揺動した場合に、永久磁石26aとリードスイッチ26bとの距離が離れるようにされている。リードスイッチ26bのON−OFF作動機構は前述と同じである。
【0069】
リードスイッチ26bは、マス内部に取り付けられたコネクターボックス26d内に収納され、コネクターボックス26d外に取り付けられた脱着可能なコネクター26cを介してケーブル29に接続され、ケーブル29は立ち上がり管252の壁から地中に出て、真空ユニット2に設けられた端末コントローラー22まで、自然流下管3に沿って配線される。リードスイッチ26bからの信号は、ケーブル29を通って真空弁ユニット2の端末コントローラー22に伝達される。コネクターボックス26dは、Oリング、ネジ、ボルト、カシメ具等の仮固定手段によって、マス内の所定の位置から容易に移動しないよう、脱着可能に仮固定される。
【0070】
水流センサ26は静電容量センサであっても良く、静電容量センサは周囲物体の静電容量の変化を検知する。即ち、コイル(インダクタンスLは常数)とコンデンサーとで構成される発信回路において、発信周波数(f)はLとCとの関数である。コンデンサーの静電容量(C)は排水の有無で変化するので、発信回路からのfを測定することで、排水流出入を知ることが出来る。
【0071】
図6(a)は静電容量センサを取り付けた公共マス25の一例の断面図である。静電容量センサの検出端子27aは公共マス25の底面外側面に防水ボックス27bに覆われて配置され、その信号はコネクター27cを介してケーブル29から真空弁ユニット2の端末コントローラー22に伝送される。
【0072】
水流センサ26は超音波式レベルセンサであっても良く、超音波センサは、超音波受発信器28aから超音波を発信(→印A)し、それが測定対象に当たって反射(→印B)して戻って来た超音波を受信して、発信から受信までの所要時間を計測して、対象物までの距離を測定する。従って、公共マス25内に排水がある場合には、超音波発信器から排水表面までの距離が公共マスの底面までの距離路離より短く計測され、排水流出入を知ることができる。但し、音波は温度により速度が変わるので、温度センサー28bを用いて補正を行う。
【0073】
図6(b)は超音波センサを取り付けた公共マス25の一例の断面図である。超音波センサは超音波受発信器28aと温度センサー28bと制御部28cとを備えたセンサボックス28dを、公共マス25の本体251内に装着し、センサボックス28d外側に設けられたコネクター28eを介してケーブル29を経由しして真空弁ユニット2の端末コントローラー22に伝送される。
【0074】
以上のような水流センサ26は、公共マス25の中に全てのセンサ機器類があるものでは、機器類の機器類の水密性が必要となるが保守や点検が容易となる。またセンサ端子が公共マス外にあるものでは、排水や水蒸気が直接接する可能性が低くかつ静電容量センサ等安価なセンサを用いることができるが、保守や点検時に公共マスを掘り返す等の必要が生じる可能性がある。従って、いずれの方法を採るかは、状況に応じて適宜選択されることが望ましい。
【0075】
この自然流下管3には、真空弁4が設けられた真空弁ユニットとしての汚水マス2が接続されている。
【0076】
この汚水マス2は、主に、汚水を溜めるマス本体2aと、このマス本体2内に設けられる真空弁4と、マス本体2の上部開口を閉塞する鋼鉄製の蓋体2bとを有している。
【0077】
このうち、前記真空弁4は、汚水マス2のマス本体2a内に溜められた汚水が一定量、例えば40リットルに到達すると、このマス本体2a内を大気圧に開放するように構成されている。
【0078】
すなわち、この真空弁4は、常時は、真空弁吸込管12と真空汚水管5との間を遮断している。また、マス本体2a内に設けられて、下部開口14aを臨ませる汚水量検出管14には、上端に気体圧導入管15を介して真空弁コントローラ16が接続されている。
【0079】
この真空弁コントローラ16は、前記汚水量検出管14内の圧力を検出して、一定圧力以上となると、前記真空弁4を開放するように構成されている。
【0080】
また、この汚水マス2は、真空汚水管5及び真空下水管6を介して真空ステーション7の集水タンク8に接続されている。
【0081】
この集水タンク8は、前記真空ステーション7内に設けられる真空ポンプ9,9によって、常に一定の真空度に保持されている。
【0082】
更に、この集水タンク8には、圧送ポンプ10が設けられている。この圧送ポンプ10は、前記集水タンク8内に溜められた汚水を、下水管11内を流下させて、最終処理場となる下水処理場に送出するように構成されている。
【0083】
また、前記公共マス25には水流センサ26が取付られ、各真空弁ユニット2の汚水マス2a内には、汚水の水位を検出する水位センサ18が設けられている。更に、前記真空弁4には、この真空弁4の開閉を検知する弁センサ19が設けられている。
【0084】
更に、この汚水マス2には、前記建物家屋1近傍に設けられて、外気を導入するベント管17が設けられていて、このベント管17のうち、地表から露出する一部分には、真空ステーション7の監視装置120による安否の監視結果を出力する出力部としての赤色発光部17aが設けられている。
【0085】
これらの水流センサ26、水位センサ18及び弁センサ19は、各々端末コントローラ22に接続されている。この実施の形態1では、この端末コントローラ22に、前記赤色発光部17aが接続されていて、安否の監視結果に応じて、前記赤色発光部17aを点灯させるように構成されている。
【0086】
そして、これらの端末コントローラ22は、前記真空ステーション7に設けられた監視装置120に、前記真空汚水管5及び真空下水管6に沿って敷設されるケーブル23を介して各々接続されている。
【0087】
この監視装置120には、前記各ケーブル23…を接続するインターフェース24を有して、パーソナルコンピュータ等から構成されるコントロールユニット121が設けられている。
【0088】
このコントロールユニット121には、中央演算装置としてのCPU122と共に、プログラミングを保持するROM部123と、書き換え可能な照合データを保持するデータベース部124と、前記ROM部に保持されたプログラミングを読み込んで、前記データベース部124に保持された照合データを演算するRAM部125とが設けられている。
【0089】
そして、この監視装置120によって、汚水水位の正常・異常、真空弁の開閉状態及び動作回数等がモニタリングされて、前記データベース部124に蓄積された照合データと、前記インターフェース部24から送られてくる検出データとを比較することにより、前記真空弁4及び水位の異常・故障等の早期発見が行われるように構成されている。
【0090】
この実施の形態1の前記RAM部125には、前記ROM部123等からのプログラミングの読み込みによって、前記送られてくる検出データに対して比較の対象となる照合データを、この検出データを用いて、順次更新して記憶する照合データ記憶部126が構成される。
【0091】
また、このRAM部125には、前記送られてくる検出データを漸次記憶する検出データ記憶部127が構成されている。
【0092】
そして、これらの照合データ記憶部126の照合データと検出データ記憶部127の検出データをオンタイムで比較する比較部128が構成されていて、この比較部128によって、照合データと検出データとの一致度を判断して前記集積された検出データから、前記建物家屋の住人の安否が監視できるように構成されている。
【0093】
更に、この実施の形態1では、検出データのパターンによって、使用頻度の高い時間帯を抽出して、検出時間帯を設定する検出時間帯設定手段129が設けられている。
【0094】
また、この検出時間帯設定手段129によって設定された検出時間帯内の検出データに基づいて、前記建物家屋1の住人の安否を判断する安否判断手段130が設けられている。
【0095】
これらの監視装置120は、制御盤131を介して前記真空ポンプ9及び圧送ポンプ10に接続されていると共に、前記インターフェース部24を介して、電話線132に接続されている。
【0096】
この電話線132は、前記真空ステーション120から離間した場所に位置する管理部署としての下水道局、市町村役場、消防署、警察署133等に接続されて、各々モデム装置或いはTA装置等のインターフェース133aを介して前記真空ステーション7の監視装置120による安否の監視結果をモニタリングするモニタ端末を有する各パーソナルコンピュータ133bに前記安否の情報を送信可能としている。
【0097】
次に、この実施の形態1の作用について説明する。
【0098】
この実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムでは、前記真空ステーション7の監視装置120を利用して、前記公共マス25に設けられた水流センサー26、及び前記汚水マス2に設けられた水位センサ18及び弁センサ19で検出された検出データが集積される。
【0099】
まず公共マス25内を、各建物家屋1の前記洗面台1a等から、生活排水である汚水が前記自然流下管3を介して流下する。
【0100】
公共マス25内に設けられた堰板253は流下する汚水により揺動し、堰板253に取り付けられた永久磁石26aとリードスイッチ26bとの距離が離れて、リードスイッチ26bがONとなりその信号がケーブル29を通って真空弁ユニット2に設けられた端末コントローラー22に送られる。
【0101】
公共マスを出た汚水は、前記自然流下管3を介して前記汚水マス2のマス本体2a内に流入して溜められる。
【0102】
居住者の水道等の使用により、汚水の滞留量が増大すると、前記汚水量検出管14の下部開口14aが閉塞されて、汚水量検出管14内部を水面が上昇し、この汚水量検出管14内の圧力が上昇する。
【0103】
これらの汚水が一定量、例えば40リットルに到達すると、前記汚水量検出管14内の圧力が、予め定められた一定値を越えて、前記真空弁コントローラ8を作動させる。
【0104】
この真空弁コントローラ8の作動により、前記真空弁4は開放され、大気圧にこのマス本体2a内が開放されると共に、前記弁センサ19は、真空弁4が開放された状態を検出して、前記ケーブル23を介して前記真空ステーション7の監視装置120に検出データを送信する。
【0105】
前記コントロールユニット121では、図4のフローチャート図のStep1に示すように、安否判断をスタートさせると、Step2では、この検出データを前記インターフェース24から取り込むと共に、Step3では、前記検出データ記憶部127に一旦、検出データが保存されると共に、Step4では、前記照合データ記憶部126で、この検出データを用いて順次、記憶された照合データを更新し、常に直近の使用状況に沿った照合データにオンタイムで更新する。
【0106】
そして、Step5では、前記比較部128によって、前記検出データ記憶部127に一旦、保存された検出データと、前記照合データ記憶部126で、更新、記憶された照合データとが比較される。
【0107】
この際、例えば、昨日まで、規則的に真空弁4が開閉されていたのと同様に、開閉されれば、比較は一致しているので、Step2に戻り、検出データの取り込みを続行すると共に、昨日まで、規則的に真空弁4が開閉されていたのに、突然、真空弁4の開閉が停止した場合等には、居住者である独居老人に、前記水廻り設備を使用出来ない何らかの理由が発生したと判断して、Step6に進む。
【0108】
Step6では、安否判断手段130によって、独居老人に危険が生じた旨の監視結果が、前記インターフェース24及び電話線132を介して下水道局133等の管理部署に送信出力される。
【0109】
下水道局133等の管理部署では、この監視結果がインターフェース133aを介して受信して、パソコン133bの画面等に出力表示される。
【0110】
また、この監視結果は、前記インターフェース24及びケーブル23を介して前記汚水マス2に送信出力される。汚水マス2の端末コントローラ22では、この監視結果を受けて、前記ベント管17に設けられた赤色発光部17aを点灯させる。
【0111】
このように、生活に欠かせない水廻りの使用によって一日数回行われる真空弁4の開閉を検出する弁センサ19を用いるので、真空弁4の開閉の頻度等によって、独居老人等の建物家屋の住人の安否を確認できる。
【0112】
また、真空弁4の開閉は、所定量の汚水が、前記汚水マス2に溜まった時点で行われるので、日々の微細な変動が吸収されて誤通報の虞を減少させることが出来る。
【0113】
そして、前記水位センサ19でも、汚水の滞留量を検出することにより、滞留量の変動によって、独居老人等の建物家屋の住人の安否を確認できる。
【0114】
このため、新たに、建物家屋1内に、安否確認の為に、各種センサを配置する必要が無いと共に、前記汚水マス2から前記真空ステーション7までの間を接続する既存のケーブル23等の回線を利用して、検出データを送受信できるので、追加工事の増大を抑制して、既存のインフラを活用することにより、コストを削減出来る。
【0115】
また、この実施の形態1では、前記検出時間帯設定手段129によって、真空弁4の開閉の頻度が高い時間帯を設定できる。
【0116】
そして、この検出時間帯内の検出データに基づいて、前記安否判断手段130が、前記建物家屋1の住人の安否を判断する。
【0117】
このため、例えば、使用量が朝夕の時間帯に多い建物家屋1には、朝夕の時間帯の検出データに基づいて、また、昼間の時間帯に多い建物家屋1には、昼間の時間帯の検出データに基づいて、前記安否判断手段130が各建物家屋の住人の安否を判断するので、建物家屋の住人の構成に個別に対応できる。
【0118】
更に、前記照合データ記憶部126に記憶された照合データが、検出データが用いられて、順次更新されていくので、常に直近の使用状況に沿ったデータを照合データとして用いることが出来、監視精度を向上させることができる。
【0119】
また、前記真空ステーション7から離間した場所に位置する下水道局を始め、市町村役場、消防署、警察署等の管理部署133に設けられたパーソナルコンピュータ133b等のモニタ端末によって、前記真空ステーション7の監視装置120による安否の監視結果がモニタリング出来る。
【0120】
このため、各真空ステーション7,7毎に人員を配置する必要が無く、管理部署133によって複数の真空ステーション7,7を一元管理できる。
【0121】
従って、監視が必要な建物家屋1…が散在している場合であっても、人件費の高騰を抑制しつつ在宅の安否を監視出来るので、田園町村部等の安否監視システムとして用いて好適である。
【0122】
また、この実施の形態1では、前記各建物家屋1近傍に設けられたベント管17の赤色発光部17aが、前記真空ステーション7の監視装置120による安否の監視結果を出力して発光表示する。
【0123】
このため、近隣の住人がこの赤色発光部17aの発光によって出力される安否の情報に基づいて直ちに駆け付けることが出来るので、更に、独居老人の救命率を向上させることができる。
【0124】
以上、本発明の実施の形態1を図面に基づいて説明してきたが、本発明は、前記実施の形態1に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれる。
【0125】
例えば、実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムでは、前記各真空弁ユニット2の汚水マス2a内に、汚水の水位を検出する水位センサ18が設けられていると共に、前記真空弁4の開閉を検知する弁センサ19が設けられているが、特にこれに限らず、例えば、水位センサ18又は弁センサ19のうち、少なくとも何れか一方であっても良い。
【0126】
例えば、前記弁センサ19のみを設けた場合には、簡便なON−OFFスイッチを用いて弁センサ19を構成することにより、電源を必要とせずに、前記真空ステーション7で、検出データを収集できる。
【0127】
また、前記真空弁ユニット2に流出入する汚水の流量を検出する水流センサや、汚水の流出入に際してベント管17から取り入れられる空気流を検出する気流センサ等、汚水の流出入を検出したり、或いは、前記真空弁ユニット2に設けられて故障又は異常を検出するセンサで有れば、どのようなセンサであってもよい。
【0128】
更に、この実施の形態1では、管理部署としての下水道局、市町村役場、消防署、警察署133等を例示しているが、特にこれに限らず、例えば、前記真空ステーション120で監視結果をモニタリングしたり、或いは、介護ステーションで監視結果をモニタリングしても良く、モニタリングが複数箇所で行われてもよい。
【0129】
また、前記汚水マス2の端末コントローラ22は、前記真空ステーション7に設けられた監視装置120に、前記真空汚水管5及び真空下水管6に沿って敷設されるケーブル23を介して各々接続されているが、特にこれに限らず、例えば、前記汚水マス2の端末コントローラ22と、前記真空ステーション7の監視装置120との間を無線装置を介して接続するようにしてもよい。
【0130】
そして、前記監視装置120と、前記管理部署としての下水道局、市町村役場、消防署、警察署133等との間を接続する電話線132に代えて、インターネット網や、地域ケーブルテレビのケーブル線或いは無線装置等を介して接続するようにしてもよい。
【0131】
なお、公共マス25内に水流センサ26を設けた場合には、水位センサ18又は弁センサ19は、維持管理専用として用いてもよい。更に、赤色発色部17aは、通常は真空弁ユニット2に取り付けられるが、真空弁ユニットに流入する汚水が、複数の公共マス25から流入している場合には、公共マス25に取り付けてもよい。
【0132】
【発明の効果】
以上、上述してきたように、請求項1に記載のものでは、真空弁ユニットが数軒に1個づつ配置して敷設される場合であっても、前記真空ステーションの監視装置では、前記公共マスに設けられたセンサで検出された検出データを集積して、前記建物家屋の住人の安否が監視できる。
【0141】
このため、新たに、建物家屋内に各種センサを配置する必要が無いと共に、前記公共マスから発信された信号は真空弁ユニットから前記真空ステーションまでの間を接続する既存の回線を利用して、検出データを送受信できるので、追加工事の増大を抑制して、既存のインフラを活用することにより、コストを削減出来る。
【0142】
そして、請求項2に記載されたものでは、前記真空弁ユニット内に設けられるセンサは、真空弁の開閉を検出する弁センサ及び/又は汚水の滞留量を検出する水位センサを用いているので、該真空弁の開閉の頻度等によって、独居老人等の建物家屋の住人の安否を確認できる。
【0143】
このように構成された請求項2記載のものでは、前記真空弁ユニット内に設けられるセンサとして、真空弁の開閉を検出する弁センサを用いているので、該真空弁の開閉の頻度等によって、独居老人等の建物家屋の住人の安否を確認できる。
【0144】
該真空弁の開閉は、所定量の汚水が、前記真空弁ユニットに溜まった時点で行われるので、日々の微細な変動を吸収して誤通報の虞を減少させることが出来る。
【0145】
更に、前記水位センサが、汚水の滞留量を検出することにより、滞留量の変動によって、独居老人等の建物家屋の住人の安否を確認できる。
【0146】
また、請求項3に記載されたものでは、前記検出時間帯内の検出データに基づいて、前記安否判断手段が、前記建物家屋の住人の安否を判断する。
【0147】
このため、例えば、使用量が朝夕の時間帯に多い建物家屋には、朝夕の時間帯の検出データに基づいて、また、昼間の時間帯に多い建物家屋には、昼間の時間帯の検出データに基づいて、前記安否判断手段が各建物家屋の住人の安否を判断するので、建物家屋の住人の構成に個別に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムで、主要部の構成を説明する模式図である。
【図2】実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムで、制御を行う要部の構成を説明するブロック図である。
【図3】実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムで、全体の構成を説明する一部断面鳥瞰図である。
【図4】実施の形態1の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムで、主な制御を説明するフローチャート図である。
【図5】(a)リードスイッチが公共マスの外に配置されている水流センサを備えた公共マスの一例の断面図である。(b)リードスイッチが公共マスの中に配置されている水流センサを備えた公共マスの一例の断面図である。
【図6】(a)静電容量式である水流センサを備えた公共マスの一例の断面図である。(b)超音波式レベルセンサである水流センサを備えた公共マスの一例の断面図である。
【図7】従来例の真空式下水道汚水収集システムの構成を説明する模式図である。
【図8】従来例の真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムで、建物家屋に用いられる真空弁ユニットの構成を説明する一部断面模式図である。
【符号の説明】
1 建物家屋
2 汚水マス(真空弁ユニット)
4 真空弁
7 真空ステーション
18 水位センサ
19 弁センサ
23 ケーブル
25 公共マス
26 水流センサ
120 監視装置
126 照合データ記憶部
127 検出データ記憶部
128 比較部
129 検出時間帯設定手段
130 安否判断手段
133 下水道局(管理部署)
Claims (3)
- 建物家屋毎に設けられた公共マスと、複数の公共マスから流出された汚水を溜める真空弁ユニットと、該真空弁ユニットに溜められた汚水を真空下水管を介して収集する真空ステーションを有する真空式下水道汚水収集装置に用いられて、
前記真空弁ユニットに設けられて真空弁ユニットの故障又は異常を検出するセンサと、
前記真空ステーションに設けられて該センサで検知された故障又は異常情報を監視する監視装置とを有する真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システムであって、
前記公共マスにセンサを設けて、該センサでは、前記建物家屋から排出された汚水の流出入を検出すると共に、
前記真空ステーションの監視装置では、該検出データを集積して、前記建物家屋の住人の安否を監視することを特徴とする真空式下水道汚水収集装置の維持管理システムを用いた安否監視システム。 - 前記真空弁ユニットに設けられるセンサは、真空弁の開閉を検出する弁センサ及び/又は汚水の滞留量を検出する水位センサであることを特徴とする請求項1記載の安否監視システム。
- 前記監視装置には、検出データのパターンによって、使用頻度の高い時間帯を抽出して、検出時間帯を設定する検出時間帯設定手段と、該検出時間帯内の検出データに基づいて、前記建物家屋の住人の安否を判断する安否判断手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の安否監視システム。
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