図2は、本発明に係るカード用コネクタの一例を、細型メモリカードとともに示す。
図2において、カード用コネクタ10は、例えば、携帯電話機、電話機、PDA、カメラ等の電子機器の内部に配される。カード用コネクタ10は、その収納部に着脱可能に収納される細型メモリカード16の電極部と所定の電子機器の内部に配される信号入出力用
等の基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。
メモリスティック(商標)のような板状の細型メモリカード16は、例えば、図7に示されるように、相対向する表面部16Fおよび裏面部16Bを有するものである。また、細型メモリカード16は、その先端の角部に、面取り部16aを有している。
細型メモリカード16における裏面部16Bには、その面取り部16aに隣接した側面部分に、後述するイジェクト部材の爪部が係合される比較的浅い切欠部16bが形成されている。また、面取り部16aに隣接した先端部分には、他の部分の厚さに比べて薄く形成される溝部16cが設けられている。
細型メモリカード16の裏面部16Bにおける先端部には、溝部16cに対し中央側に離隔した位置に、複数の凹部16gがその長辺に対し略平行に配列形成されている。これらの各凹部16gの底面には、電極部としてのコンタクトパッド16pがそれぞれ配設されている。コンタクトパッド16pの構成は、例えば、10ピン方式をとっている。隣接する凹部16gの相互間は、細型メモリカード16の板厚よりも小なる所定の高さを有する細長い隔壁16wにより等間隔に仕切られている。従って、複数のコンタクトパッド16pからなる電極群ELは、細型メモリカード16の裏面部16Bにおいて、図7において示される中心線Cに対し一方向に偏った位置に形成されている。
一方、カード用コネクタ10は、図2および図8に示されるように、細型メモリカード16を着脱可能に収容する収容部20を有するベース部材14と、ベース部材14の全体を覆うカバー部材12とを含んで構成されている。
門形断面形状を有するカバー部材12は、例えば、薄板の金属材料で形成されている。カバー部材12の両側面部うちの一方の側面12WLには、それぞれ、後述するベース部材14の爪部がそれぞれ、係合される係合孔12a,12b,12c,12d,および12eがその爪部に対応して設けられている。また、他方の側面12WRには、ベース部材14の係合爪に係合される係合孔12fが形成されている。
従って、カバー部材12は、その各係合孔12a〜12fと、ベース部材14の各爪部とがそれぞれ係合されることにより、ベース部材14に対し固定されることとなる。
また、図2および図3に示されるように、カバー部材12の平坦部における略中央部分には、矩形状の開口部12Hが形成されている。カバー部材12の平坦部における側面12WL側であって開口部12Hよりも開口端部側の位置には、後述するイジェクト機構の制御部材としてのカムレバー部材を所定の圧力で押圧する制御部材押圧手段としてのカムレバー押え部材12PMが設けられている。カムレバー押え部材12PMの周囲には、カムレバー押え部材12PMが弾性変位可能とされるようにカバー部材12との間に隙間CLが形成されている。
カムレバー押え部材12PMの一端は、カバー部材12と一体に形成され、一方、カムレバー押え部材12PMの他端の湾曲部12PMaは、図1に拡大されて示されるように、後述するイジェクト機構のカムレバー34の直線部におけるイジェクト部材24に近い部位に当接している。湾曲部12PMaは、棒状のカムレバー34の直線部における所定位置に点接触に近い状態で当接せしめられる押圧面部12PMsを有している。押圧面部12PMsは、カバー部材12の平坦面に対し平行な直線Xに対し所定の角度αをなしている。角度αは、後述するように、例えば、湾曲部12PMaによりカムレバー34に作用される押圧力の方向が図1において矢印Fの示す方向となるように設定されている。なお、押圧面部12PMsがカムレバー34の直線部に接触する位置は、斯かる例に限定されるものではなく、いずれの位置であってもよい。また、カバー部材12には、カムレバー押え部材12PMと一列となる部位であって開口端部に対向する部分には、透孔12tが設けられている。
ベース部材14における収容部20は、図8に示されるように、上方、および、下方の一部と、後述するコンタクト端子固定部側とは反対側の端部とが、開口している。従って、上述のカバー部材12によりベース部材14が覆われることにより、図2に示されるように、収容部20の一方の端部に細型メモリカード16が挿入されるスロットが形成されることとなる。
ベース部材14は、例えば、成形樹脂材料で一体に成形されている。ベース部材14は、細型メモリカード16が着脱可能に収納される収容部20の一方の側方を形成する側壁14WLと、コンタクト端子22ai(i=1〜10)が配されるコンタクト端子固定壁部14WFと、側壁14WLに対向して形成される側壁14WRとを含んで構成されている。
側壁14WLの外面には、それぞれ、爪部14Rbが所定の間隔で5箇所に形成されている。
側壁14WLに連なる底部には、図5および図8に示されるように、略L字状の開口部14Hが形成されている。
ベース部材14のコンタクト端子固定壁部14WFには、複数のコンタクト端子22ai(i=1〜10)が設けられている。例えば、10本のコンタクト端子22aiは、所定の相互間隔で側壁14WLに対して略平行に配列されている。
コンタクト端子22aiは、弾性を有し細型メモリカード16のコンタクトパッド16pに当接し電気的に接続される接点部22Aと、基板(不図示)の電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部22Cと、接点部22Aと半田付端子部22Cとを相互に連結し、ベース部材14に固定される固定部22Fとを含んで構成されている。
薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られるコンタクト端子22aiは、プレス加工により成形された後、その表面に対し金メッキ処理が施されているものとされる。
コンタクト端子22aiの固定部22Fは、ベース部材14に形成される溝に、細型メモリカード16の挿入方向と同一方向に圧入されることにより、ベース部材14に固定されている。
ベース部材14の収容部20内に突出する各コンタクト端子22aiの接点部22Aの周囲には、それぞれ、ベース部材14に一体に形成されるガイド壁部14Gi(i=1〜10)が形成されている。図8に示されるように、隔壁部としての各ガイド壁部14Giは、コンタクト端子22aiの接点部22Aの両側面にそれぞれ対向し側壁14WLに対し略平行に延びる縦壁と、各縦壁の一端を連結する横壁とから構成されている。縦壁の相互間距離は、上述の細型メモリカード16の凹部16gが係合されるように設定されている。従って、各コンタクト端子22aiに対応する複数の横壁は、同一直線上に一列に配され、即ち、側壁14WLに交差する共通の平面内に形成されることとなる。
隣接する各コンタクト端子22aiにおけるガイド壁部14Giの相互間には、上述の細型メモリカード16の各隔壁16wが通過し得る隙間が形成されている。
これにより、細型メモリカード16が収容部20内に正規な方向で挿入されるとき、即ち、その裏面部16Bがベース部材14の開口部14Hに対向した状態で挿入されるとき、細型メモリカード16の各隔壁16wが各ガイド壁部14Giに案内されつつ、コンタクト端子22aiの接点部22Aが、コンタクトパッド16pにより下方に向けて押し下げられることとなる。
図8において左端のガイド壁部14Giから所定距離、離隔した位置には、突起片14Pが互いに略平行に設けられている。その所定の距離は、例えば、細型メモリカード16の溝部16cと凹部16gとの相互間距離に一致するように設定されている。
突起片14Pの一端は、コンタクト端子固定壁部14WFの内周面に連結されている。突起片14Pの側壁14WLに沿った長さは、ガイド壁部14Giの全長に略等しく設定されている。従って、突起片14Pの他端は、ガイド壁部14Giの横壁14gbと共通の平面内に形成されることとなる。
かかる構成において、細型メモリカード16の先端部が正規な挿入状態、例えば、その面取り部16aが突起片14P側となるような挿入状態のとき、細型メモリカード16の先端部は、その溝部16cにより突起片14Pに干渉することなく、かつ、隔壁16wが隙間を通過し、また、コンタクトパッド16pがコンタクト端子22aiの接点部22Aの位置まで到達するように挿入可能とされる。
一方、細型メモリカード16の先端部が誤った挿入状態、即ち、その面取り部16aが突起片14Pの位置に対向する側となるような挿入状態のとき、細型メモリカード16の先端部は、複数のガイド壁14Giおよび突起片14Pの端部に当接することとなるので細型メモリカード16の先端部の挿入動作が途中で規制されることとなる。
これにより、細型メモリカード16の先端部の誤挿入が認識されるとともに、細型メモリカード16の先端部の誤挿入が規制されることとなる。
側壁14WLの内側部分には、選択的に細型メモリカード16を収容部20から排出するとともに、細型メモリカード16の不所望な飛び出しを規制するロック/アンロック制御部を備えるイジェクト機構が設けられている。
イジェクト機構は、図8および図9に示されるように、ベース部材14に対し相対的に移動しつつ回動可能に支持され細型メモリカード16に係合する略L字状のイジェクト部材24と、ベース部材14およびイジェクト部材24間に介装され、イジェクト部材24を細型メモリカード16の排出方向に付勢するコイルスプリング26と、イジェクト部材24およびカムレバー34を選択的にベース部材14に対し保持または解放するカム機構部と、加えて、細型メモリカード16に対しイジェクト部材24をロック状態あるいはアンロック状態とする制御を行なうロック/アンロック制御部と、を含んで構成されている。
ニッケルメッキ処理されているコイルスプリング26の一端は、図8に示されるように、ベース部材14に支持され、コイルスプリング26の他端は、イジェクト部材24のスプリング受部24sに連結されている。
イジェクト部材24は、図9に拡大されて示されるように、例えば、樹脂材料で成形されている。イジェクト部材24におけるコンタクト端子固定壁部14WFに近い一端部には、挿入された細型メモリカード16の面取り部16aが係合する斜面部24Bが収容部20側に形成されている。
一方、イジェクト部材24における略V字状の他端部には、後述するカムレバー34が連結される透孔24hが形成されている。また、イジェクト部材24の他端部における収容部20側には、細型メモリカード16の切欠部16bに選択的に係合する爪部24Nが形成されている。爪部24Nは、挿入される細型メモリカード16の切欠部16bの形状に対応して形成されている。
また、ベース部材14の底部に摺接されるイジェクト部材24の下面部には、図5および図11に示されるように、ベース部材14のガイド孔14Eおよび14Fに対応して所定の相互間隔をもって案内ピン24Paおよび24Pbが形成されている。案内ピン24Paは、下面部における斜面部24Bに対向する領域に形成されている。また、案内ピン24Pbは、下面部における爪部24Nに対向する領域に形成されている。案内ピン24Paおよび24Pbは、それぞれ、ハウジング部材14のガイド孔14Eおよび14Fに移動可能に挿入されている。ガイド孔14Eは、所定の長さを有し、細型メモリカード16の着脱方向に沿って延在する長孔とされる。ガイド孔14Eに対し一列となるようにスロット側に隣接して形成されるガイド孔14Fは、所定の長さを有する長孔部14faと、長孔部14faの端部から側壁14WL側に徐々に拡大して幅広となる開口を有する拡大部14fbと、からなる。拡大部14fbの側壁14WL側は、長孔部14faと傾斜部を介して連なっている。その際、案内ピン24Pbは、イジェクト部材24に細型メモリカード16が当接していない状態においては、図8および図9に示されるように、コイルスプリング26の付勢力の分力により拡大部14fbの直線部分側に付勢されながら、カムレバー34がカムレバー押え部材12PMの弾性力により、図1における矢印Fの示す方向に付勢されることにより、図10に示されるように、爪部24Nの先端が収容部20内に若干突出することとなる。
従って、細型メモリカード16がイジェクト部材24内に適正に挿入される場合、その爪部24Nが、細型メモリカード16の先端によりカムレバー押え部材12PMの弾性力に抗して図10に示される矢印ULの示す時計回り方向に一旦、回動された後、細型メモリカード16がさらに挿入され、その切欠部16bが爪部24Nに到達したとき、カムレバー押え部材12PMの弾性力により、爪部24Nが反時計回り方向に回動され切欠部16bに比較的浅く係合されることとなる。その際、爪部24Nが切欠部16bの周縁に衝突することにより、確認音が発生することとなる。
イジェクト部材24は、収容部20内においてコンタクト端子固定壁部14WFに向けてさらに前進せしめられる場合、案内ピン24Paはガイド孔14Eの周縁に案内され直線的に移動され、一方、案内ピン24Pbはガイド孔14Fの周縁により案内されるのでイジェクト部材24は、前進しつつ、その案内ピン24Pbが拡大部14fbから長孔部14faに移動するとき、コンタクト端子固定壁部14WFに向うにつれて反時計回り方向に案内ピン24Paを回動中心としてさらに回動される。これにより、イジェクト部材24の爪部24Nは、挿入される細型メモリカード16の切欠部16bに確実に係合することとなる。その際、細型メモリカード16の面取り部16aがイジェクト部材24の斜面部24Bに当接することとなる。
従って、ロック/アンロック制御部は、案内ピン24Pa、24Pb、ガイド孔14E,14F、カムレバー34により形成されることとなる。
カム機構部は、図9に拡大されて示されるように、側壁14WLの上述のスロット側における内側に形成された略ハート形状のカム要素(ハートカム)30と、ハートカム30の周囲に形成された複数の段差部を含んでなるレバー案内溝32と、一方の端部がイジェクト部材24の透孔24hに連結され、他方の端部がレバー案内溝32に沿って摺動せしめられるホチキス針形状のカムレバー34と、カムレバー34の屈曲された先端を複数のレバー案内溝の案内面に対し付勢する上述のカム押え部材12PMと、を含んで構成されている。
樹脂で成形されるハートカム30は、イジェクト部材24の略V字状の端部24Eに対向する部分に、カムレバー34の一端部が選択的に係合する略V字状のカム面30aを有している。
樹脂で成形されるレバー案内溝32は、ハートカム30の一方の傍を側壁14WLに沿って直線的に延在する第1の案内溝32G1と、ハートカム30の他方の傍を第1の案内溝32G1の途中から分岐するように側壁14WLに向って斜めに延びた後、第1の案内溝32G1に対し平行に延びる第2の案内溝32G2と、カム面30aに対向する第1の案内溝32G1の一端と第2の案内溝32G2の一端との間であってカム面30aに対向する部分を連結する第3の案内溝32G3とから形成されている。
第1の案内溝32G1の平均的深さは、第2の案内溝32G2の平均的深さに比して大に設定されている。第1の案内溝32G1における第2の案内溝32G2の一端との交差部分の深さは、最も深く設定されている。従って、第1の案内溝32G1における第2の案内溝32G2の一端との交差部分には、段差部分が形成されている。
また、第3の案内溝32G3における第1の案内溝32G1の一端側の端部と案内溝32G1の一端との間においては、案内溝32G3の一端の深さが、第1の案内溝32G1の深さよりも深くなるように設定されている。従って、第3の案内溝32G3における第1の案内溝32G1の一端側の端部と案内溝32G3の一端との境界部分に段差部分が形成されている。
さらに、第3の案内溝32G3における第2の案内溝32G2の一端側の端部と案内溝32G2の一端との間においては、案内溝32G2の一端の深さが、第3の案内溝32G3の深さよりも深くなるように設定されている。従って、第3の案内溝32G3における第2の案内溝32G2の一端側の端部と案内溝32G2の一端との境界部分に段差部分が形成されている。
これにより、カムレバー34の一端部は、イジェクト部材24の動作に追従して図9に示される矢印の示す方向に沿って第1の案内溝32G1、第3の案内溝32G3、および第2の案内溝32G2を順次、経由して案内されることとなる。
レバー案内溝32が形成される部分よりも上述の拡大部14fb側には、イジェクト部材24の端部24Eの後退動作のとき、イジェクト部材24の端部24Eが当接される当接壁38がイジェクト部材24の移動方向に対し略直交する方向に平坦に形成されている。
このような構成において、細型メモリカード16の装着にあたり、先ず、細型メモリカード16がスロットを通じて収容部20に挿入されるとき、図8に示されるように、イジェクト部材24の端部24Eが当接壁38に対し離隔した状態からその面取り部16aがイジェクト部材24の斜面部24Bに当接されることにより、イジェクト部材24が案内ピン24Paを中心とした回転モーメントにより回転されるとともに前進を開始せしめられる。その際、イジェクト部材24の爪部24Nは、その衝突による確認音を伴って細型メモリカード16の切欠部16bに比較的浅く係合された後、さらに深く確実に係合されることとなる。
次に、細型メモリカード16がさらにイジェクト部材24とともにコイルスプリング26の付勢力に抗して押圧されるとき、イジェクト部材24は、当接壁38から離隔しさらに前進せしめられるとともに、回転せしめられる。その際、案内ピン24Pbは、拡大部14fbから離脱し長孔部14faに移動せしめられる。また、カムレバー34の一端部は、第1の案内溝32G1により案内される。
続いて、細型メモリカード16がさらにイジェクト部材24とともにコイルスプリング26の付勢力に抗して押圧された後、その押圧力が解放されるとき、カムレバー34の一端部は、第1の案内溝32G1から離脱し第3の案内溝32G3のカム面30aに係合される。その際、イジェクト部材24の爪部24Nが細型メモリカード16の切欠部16bに係合される状態は、保持されることとなる。
従って、カム機構部がイジェクト部材24を保持状態とし、ロック/アンロック制御部がロック状態とする。
これにより、細型メモリカード16が、収容部50内で保持され、かつ、細型メモリカード16のコンタクトパッド16pと後述するコンタクト端子とが当接され電気的に接続される。また、装着が完了した細型メモリカード16の不所望な外部への飛び出しが回避されることとなる。
一方、細型メモリカード16が収容部50から取り外される場合、先ず、装填された細型メモリカード16が若干さらに押し込まれる。その際、イジェクト部材24が前進せしめられることにより、カムレバー34の一端部がカム面30aから解放され、かつ、離脱されて第2の案内溝32G2に移動せしめられるのでイジェクト部材24は、その案内ピン24Pbが長孔部44faに案内されコイルスプリング26の付勢力により後退せしめられる。即ち、カム機構部がイジェクト部材24を解放状態とする。
次に、イジェクト部材24の案内ピン24Pbが拡大部14fbの傾斜部の基端に到達したとき、コイルスプリング26の付勢力に起因した案内ピン24Pa回りの回転モーメントによりイジェクト部材24の爪部24Nは、細型メモリカード16の切欠部16bから離隔し始めることが可能な状態となる。
しかし、カムレバー押え部材12PMの弾性力が図1における矢印Fの示す方向にカムレバー34に作用しているのでイジェクト部材24の爪部24Nはそのまま状態、即ち、係合状態が維持される。従って、細型メモリカード16の飛び出しおよび抜け落ちが確実に回避される。
そして、コイルスプリング26の付勢力により、イジェクト部材24の案内ピン24Pbが拡大部14fbの直線部分に到達したとき、イジェクト部材24の端部24Eが当接壁38に当接される。
さらに、細型メモリカード16がカムレバー押え部材12PMの弾性力に抗して強制的に引き抜かれることにより、イジェクト部材24の爪部24Nが、細型メモリカード16の切欠部16bから離隔され細型メモリカード16に干渉しない上述の待機位置に戻される。従って、ロック/アンロック制御部がアンロック状態とし、細型メモリカード16が排出される。
図12は、本発明に係るカード用コネクタの他の一例の外観を示す。
図12に示される例におけるカード用コネクタにおいても、同様に、例えば、携帯電話機、電話機、PDA、カメラ等の電子機器の内部に配される。
図2に示される例においては、コンタクト端子22aiの半田付端子部22Cが収容部20内に位置しているものとされるが、一方、図12に示される例では、コンタクト端子46aiの半田付端子部46Cがベース部材44の端部から外部に突出する構成を有するものとされる。
カード用コネクタ40は、図12に示されるように、細型メモリカード16を着脱可能に収容する収容部50を有するベース部材44と、ベース部材44の全体を覆うカバー部材42とを含んで構成されている。
門形断面形状を有するカバー部材42は、例えば、薄板の金属材料で形成されている。図13に示されるように、カバー部材42の両側面部うちの一方の側面部42WLには、それぞれ、後述するベース部材44の爪部がそれぞれ、係合される係合孔(不図示)がその爪部に対応して設けられている。
他方の側面部42WRには、図16に示されるように、ベース部材44の係合爪に係合される係合孔42fが形成されている。また、カバー部材42の側面部42WLおよび42WRには、それぞれ、図示が省略される基板に固定される固定片42gが2箇所に一体に形成されている。
さらに、図17に示されるように、折曲部42jが二箇所の固定片42gの相互間に対応して一体に形成されている。折曲部42jは、側面部42WRに連なりベース部材44側であってカバー部材42の平坦面に略平行に内向きに(図17において示されるX座標方向)折り曲げられている。また、折曲部42jよりも小なる折曲部42kが、一方の固定片42gに隣接して一体に同様に形成されている。折曲部42jおよび折曲部42kは、それぞれ、カバー部材42の剛性を補強する役目を果たすものとされる。カバー部材42における折曲部42jに隣接した部分には、折曲部42f2が形成されている。
折曲部42f2は、側面部42WRに連なりベース部材44側であってカバー部材42の平坦面に略平行に内向きに(図17において示されるX座標方向)折り曲げられており、図17において示されるY座標方向に突出する突起部42fpを端部に有している。突起部42fpは、後述するベース部材の凹部に圧入されている。
折曲部42f2に対して一方の端部側に所定距離、離隔した位置には、折曲部42f1が形成されている。折曲部42f1は、図17において示されるX座標方向に向けて突出している。折曲部42f1のベース部材における面積は、折曲部42f2のその面積に比して小なるものとされる。折曲部42f1は、後述するベース部材44の他の凹部に圧入されている。
カバー部材42における開口端に対向する端部には、図12および図17に示されるように、ベース部材44に向けて屈曲された折曲部42Faおよび42Fbが形成されている。また、折曲部42Faおよび42Fbの相互間には、ベース部材44に向けて屈曲された固定片42f3が一体に形成されている。その固定片42f3は、後述するベース部材44のさらなる他の凹部に圧入されている。また、折曲部42Faに隣接した部分には、接地用端子42GCが一体に設けられている。
一方、カバー部材42における開口端の周縁における側面部42WL側には、ベース部材44に向けて屈曲された固定片42f4が一体に形成されている。
図13に示されるように、カバー部材42の平坦部における所定位置には、それぞれ、ダボのような比較的浅い凹部42a、42bおよび42cが形成されている。凹部42a42b、および42cの内側の面は、それぞれ、着脱される細型メモリカード16の外面の所定位置に当接するものとされる。
カバー部材42の平坦部における側面部42WL側であって凹部42bよりも開口端部側の位置には、後述するイジェクト機構の制御部材としてのカムレバー34を所定の圧力で押圧する制御部材押圧手段としてのカムレバー押え部材42PMが設けられている。カムレバー押え部材42PMの周囲には、カムレバー押え部材42PMが弾性変位可能とされるようにカバー部材42との間に隙間CLが形成されている。
カムレバー押え部材42PMの一端は、カバー部材42と一体に形成され、一方、カムレバー押え部材42PMの他端の湾曲部42PMaは、図1に示される例と同様に、後述するイジェクト機構のカムレバー34の直線部におけるイジェクト部材24に近い部位に当接している。湾曲部42PMaは、棒状のカムレバー34の直線部における所定位置に点接触に近い状態で当接せしめられる押圧面部42PMsを有している。押圧面部42PMsは、上述の図1の例と同様に、カバー部材42の平坦面に対し平行な直線に対し所定の角度αをなしている。図13に示される例においても、角度αは、湾曲部42PMaによりカムレバー34に作用される押圧力の方向が図1において矢印Fの示す方向となるように設定されている。なお、押圧面部42PMsがカムレバー34の直線部に接触する相対位置は、斯かる例に限定されるものではなく、いずれの位置であってもよい。
カバー部材42におけるカムレバー押え部材42PMに対し略平行に隣接した部分には、着脱される細型カード16の表面を押圧するブレーキ片としての押圧片42Pが設けられている。押圧片42Pの一端は、弾性変位可能とされ、一方、押圧片42Pの他端はカバー部材42と一体に形成されている。また、カバー部材42における側面部42WR側にも押圧片42Pが所定の間隔をもって略平行に設けられている。
さらに、透孔42ha,および、透孔42hbが、それぞれ、押圧片42P、および、凹部42cと一列に並んでカバー部材42における側面部42WR側に形成されている。透孔42ha,および、透孔42hbは、それぞれ、上述の折曲部42f1、突起部42fpの真上となる位置に形成されている。これらの透孔42ha,および、透孔42hbは、例えば、組み立ての場合、後述するベース部材44の凹部の位置を目視により確認するために利用される。
カバー部材42には、カムレバー押え部材42PMと一列に並ぶ透孔42tが設けられている。
ベース部材44における収容部50は、図18に示されるように、上方、および、下方の略L字状の一部と、後述するコンタクト端子固定部側とは反対側の端部とが、開口している。従って、上述のカバー部材42によりベース部材44が覆われることにより、図14に示されるように、収容部50の一方の端部に細型メモリカード16が挿入されるスロットが形成されることとなる。
ベース部材44は、例えば、成形樹脂材料で一体に成形されている。ベース部材44は、細型メモリカード16が着脱可能に収納される収容部50の一方の側方を形成する側壁44WLと、コンタクト端子46ai(i=1〜10)が配されるコンタクト端子固定壁部44WFと、側壁44WLに対向して形成される側壁44WRとを含んで構成されている。
側壁44WLの外面には、それぞれ、爪部44Rbが5箇所に形成されている。
側壁14WLに連なる底部には、図14および図18に示されるように、略L字状の
開口部44Hが形成されている。
ベース部材44のコンタクト端子固定壁部44WFには、複数のコンタクト端子46ai(i=1〜10)が設けられている。例えば、10本のコンタクト端子46aiは、所定の相互間隔で側壁44WLに対して略平行に配列されている。
コンタクト端子46aiは、図18および図19(A)に示されるように、弾性を有し細型メモリカード16のコンタクトパッド16pに当接し電気的に接続される接点部46Aと、基板の電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部46Cと、接点部46Aと半田付端子部46Cとを相互に連結し、ベース部材44に固定される固定部46Fとを含んで構成されている。
薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られるコンタクト端子46aiは、プレス加工により成形された後、その表面に対し金メッキ処理が施されているものとされる。
コンタクト端子46aiの固定部46Fは、ベース部材44に形成される溝に、コンタクト端子固定壁部44WFに形成される透孔を通じて細型メモリカード16の挿入方向と逆方向に圧入されることにより、コンタクト端子固定壁部44WFに固定されている。
ベース部材44の収容部50内に突出する各コンタクト端子46aiの接点部46Aの周囲には、図15および18に示されるように、それぞれ、ベース部材44に一体に形成されるガイド壁部14Gi(i=1〜10)が形成されている。図18に示されるように、隔壁部としての各ガイド壁部44Giは、コンタクト端子46aiの接点部46Aの両側面にそれぞれ対向し側壁44WLに対し略平行に延びる縦壁と、各縦壁の一端を連結する横壁とから構成されている。縦壁の相互間距離は、上述の細型メモリカード16の凹部16gが係合されるように設定されている。従って、各コンタクト端子46aiに対応する複数の横壁は、同一直線上に一列に配され、即ち、側壁44WLに交差する共通の平面内に形成されることとなる。
隣接する各コンタクト端子46aiにおけるガイド壁部44Giの相互間には、上述の細型メモリカード16の各隔壁16wが通過し得る隙間が形成されている。
図18において左端のガイド壁部44Giから所定距離、離隔した位置には、突起片44Pが互いに略平行に設けられている。その所定の距離は、例えば、細型メモリカード16の溝部16cと凹部16gとの相互間距離に一致するように設定されている。突起片44Pの一端は、コンタクト端子固定壁部44WFの内周面に連結されている。突起片44Pの側壁44WLに沿った長さは、ガイド壁部44Giの全長に略等しく設定されている。従って、突起片44Pの他端は、ガイド壁部44Giの横壁と共通の平面内に形成されることとなる。なお、突起片44Pは、上述の例における突起片14Pと同様な作用効果を奏する。
コンタクト端子固定壁部44WFにおける突起片44Pの一端近傍には、上述の固定片42f3が圧入される凹部44g3が設けられている。
図18において右端のガイド壁部44Giから所定距離、側壁44WR側に離隔した位置には、上述の固定片42f1、および、突起片42fpがそれぞれ圧入される凹部44g1、44g2が形成されている。
側壁44WLの内側部分には、選択的に細型メモリカード16を収容部50から排出するとともに、細型メモリカード16の不所望な飛び出しを規制するロック/アンロック制御部を備えるイジェクト機構が設けられている。
イジェクト機構は、図18に示されるように、ベース部材44に対し相対的に移動しつつ回動可能に支持され細型メモリカード16に係合する略L字状のイジェクト部材24と、ベース部材44およびイジェクト部材24間に介装され、イジェクト部材24を細型メモリカード16の排出方向に付勢するコイルスプリング26と、イジェクト部材24を選択的にベース部材44に対し保持または解放するカム機構部と、加えて、細型メモリカード16に対しイジェクト部材24をロック状態あるいはアンロック状態とする制御を行なうロック/アンロック制御部と、を含んで構成されている。
なお、図18においては、図8に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
案内ピン24Paおよび24Pbは、図14に示されるように、それぞれ、ベース部材44のガイド孔44Eおよび44Fに移動可能に挿入されている。ガイド孔44Eは、所定の長さを有し、細型メモリカード16の着脱方向に沿って延在する長孔とされる。ガイド孔44Eに対し一列となるようにスロット側に隣接して形成されるガイド孔44Fは、所定の長さを有する長孔部44faと、長孔部44faの端部から側壁44WL側に徐々に拡大して幅広となる開口を有する拡大部44fbと、からなる。拡大部44fbの側壁44WL側は、長孔部44faと傾斜部を介して連なっている。その際、案内ピン24Pbは、イジェクト部材24に細型メモリカード16が当接していない状態においては、図18に示されるように、コイルスプリング26の付勢力の分力により拡大部44fbの直線部分に付勢されながら、カムレバー34がカムレバー押え部材42PMの弾性力により、付勢されることにより、図18に示されるように、爪部24Nの先端が収容部50内に若干突出することとなる。
レバー案内溝32とベース部材44の端部との間には、図18に示されるように、上述の固定片42f4が圧入される凹部44g4が設けられている。
これにより、カバー部材42がベース部材44に対し組み付けられる場合、カバー部材42は、その各係合孔と、ベース部材44の各爪部44Rbとがそれぞれ係合されることにより、ベース部材44に対し固定されることとなる。また、図19(A)および(B)に拡大されて示されるように、カバー部材42の折曲部42f1および突起片42fpがベース部材44の凹部44g1および44g2に圧入されるとともに、各固定片42f3,および42f4がそれぞれ凹部44g3,44g4に圧入される。
その際、ベース部材44の側壁44WRの表面積が比較的小さく、爪部を複数個設けることができない場合であっても、カバー部材42の折曲部42f1および突起片42fpと凹部44g1および44g2とにより、カバー部材42とベース部材44とを確実に、かつ、容易に結合でき、しかも、設計上の自由度が増すこととなる。
このような構成において、細型メモリカード16の装着にあたり、先ず、細型メモリカード16がスロットを通じて収容部50に挿入されるとき、図18に示されるように、イジェクト部材24の端部24Eが当接壁38に対し離隔した状態からその面取り部16aがイジェクト部材24の斜面部24Bに当接されることにより、イジェクト部材24が案内ピン24Paを中心とした回転モーメントにより回転されるとともに前進を開始せしめられる。
次に、細型メモリカード16がさらにイジェクト部材24とともにコイルスプリング26の付勢力に抗して押圧されるとき、イジェクト部材24は、当接壁38から離隔しさらに前進せしめられるとともに、回転せしめられる。
その際、イジェクト部材24の爪部24Nは、その衝突による確認音を伴って細型メモリカード16の切欠部16bに比較的浅く係合される。
続いて、細型メモリカード16がさらにイジェクト部材24とともにコイルスプリング26の付勢力に抗して押圧された後、その押圧力が解放されるとき、カムレバー34の一端部は、第1の案内溝32G1から離脱し第3の案内溝32G3のカム面30aに係合される。その際、イジェクト部材24の爪部24Nが細型メモリカード16の切欠部16bに係合される状態は、保持されることとなる。従って、カム機構部がイジェクト部材24を保持状態とし、ロック/アンロック制御部がロック状態とする。
これにより、細型メモリカード16が、収容部50内で保持され、かつ、細型メモリカード16のコンタクトパッド16pとコンタクト端子46aiとが当接され電気的に接続される。また、装着が完了した細型メモリカード16の不所望な外部への飛び出しが回避されることとなる。
一方、細型メモリカード16が収容部50から取り外される場合、先ず、装填された細型メモリカード16が若干さらに押し込まれる。その際、イジェクト部材24が前進せしめられることにより、カムレバー34の一端部がカム面30aから解放され、かつ、離脱されて第2の案内溝32G2に移動せしめられるのでイジェクト部材24は、その案内ピン24Pbが長孔部44faに案内されコイルスプリング26の付勢力により後退せしめられる。即ち、カム機構部がイジェクト部材24を解放状態とする。
次に、イジェクト部材24の案内ピン24Pbが拡大部44fbの傾斜部の基端に到達したとき、コイルスプリング26の付勢力に起因した案内ピン24Pa回りの回転モーメントによりイジェクト部材24の爪部24Nは、細型メモリカード16の切欠部16bから離隔し始めることが可能な状態となる。
しかし、カムレバー押え部材42PMの弾性力が図1における矢印Fの示す方向にカムレバー34に作用しているので図20および図21に示されるように、イジェクト部材24の爪部24Nはそのままの係合状態となる。従って、細型メモリカード16の不所望な飛び出しおよび抜け落ちが回避される。
そして、コイルスプリング26の付勢力により、イジェクト部材24の案内ピン24Pbが拡大部44fbの直線部分に到達したとき、イジェクト部材24の端部24Eが当接壁38に当接される。
さらに、細型メモリカード16がカムレバー押え部材42PMの弾性力に抗して強制的に引き抜かれることにより、イジェクト部材24の爪部24Nが、細型メモリカード16の切欠部16bから離隔され細型メモリカード16に干渉しない上述の待機位置に戻される。従って、ロック/アンロック制御部がアンロック状態とし、細型メモリカード16が排出されることとなる。