この発明の第1の実施の形態を適用したディスク装置を図1から図32により説明する。 図1および図2は、ディスク装置の上蓋を外した状態であり、図1は図2において、コーナ部を一部破断した図である。図1および図2は装置本体1と、トレイ3を示す。トレイ3は裸ディスクまたはディスクを内包したカートリッジを載置して装置本体1に搬入搬出するものであり、図は搬入状態であり装置本体1内のトラバース上に位置する。
装置本体1は箱枠形であり、コーナ部の外側に取付部4を設けている。トレイ3は装置本体1の搬入搬出方向に摺動自在に保持されており、トレイ3はディスクを内包したカートリッジを載置することができる大きさを有し、略中央に回転手段であるスピンドルモータや光ピックアップが入り込む穴70が形成され、その穴70を含む位置に2種類の径の裸ディスクを載置させる凹部5、6が形成されている。またトレイ3の両側にカートリッジの両側を案内する両側壁7を設けているが、前壁はなく、また奥側にはカートリッジのストッパ8を設けている。ストッパ8よりも奥側はシャッタ開閉部材9が幅方向に移動自在に設けられている。とくにトレイ3の前端部のコーナ部にはカートリッジを位置決めするアライメント部材10が没入した状態に設けられている。
図3から図5は、装置本体1の詳細を示している。装置本体1の両側壁の内側にトレイ3の搬送を案内するガイド支持部11がある。装置本体1の前端部にはローディング機構部12が設けられ、また両側壁の外側に設けた軸13にサイドアーム14が回動自在に軸支されている。すなわち、装置本体1の前側には前壁73と仕切り壁74がスペース74aをおいて設けられており、仕切り壁74にはトラバース2を昇降させるための昇降用手段であるスライドカム23が摺動自在に設けられ、スペース74a内にはトレイ3を搬送するためのローディング機構部12を構成するローディングモータ19、プーリ20、中間ギヤ21、ローディングギヤ22が配置されている。
サイドアーム14は側壁の上から装置本体1内に延びるカートリッジ押さえ部15と側壁の下から装置本体1内に延びるトラバース係合部16を有し、さらに前蓋開閉部17を設けている。そしてカートリッジがトレイ3によって装置本体1内に搬入されたとき後述のトラバース2の上昇動作に連動してカートリッジ押さえ部15でカートリッジの上面をトレイ3に向けて押えるようにばね18により回動付勢している。
前蓋(フロントカバー)30は装置本体1のトレイ3およびカートリッジが出入りする開口31をトレイ3の搬入時に閉じて内部を保護するものである。前蓋30は両側に軸受け32を設け、装置本体1の両側壁の前端部の軸13よりも前側に設けた軸33に軸支され、軸受け32よりも軸13寄りに設けた例えば凸形の連結部34を例えば凹形の前蓋開閉部17に回動可能に嵌合して連結している。また軸受け32に支持した例えばねじりコイルばねを用いたばね113により前蓋30を閉じる方向に付勢している。
装置本体1の前端部の下面にはディスク装置に必要とされる各種の制御回路を実装した回路基板28が取付けられ、ローディングモータ19等が制御されている。回路基板28に設けた状態検出スイッチ80、81は、カートリッジの検出用の穴に嵌合する後述の状態検出レバーの後端部によって、スイッチ操作される。また状態検出スイッチ212はトレイ3の搬入・搬出の状態を検出するもので、スライドカム23の下部に設けた突起状の操作部213によりスイッチ操作する。
図6から図8は、装置本体1の上端開口を閉じる上蓋を示す。上蓋100の下面にはプレート102が取付けられる。プレート102にはクランプアーム101の中間部が例えば線ばねを用いたばね103により一方向に回動するように付勢され保持されている。クランプアーム101の後端にはトレイ3の後端に設けた押上部104によりトレイ3の搬入動作で押上げられる受け部105を折曲により設け、クランプアーム101の先端の貫通穴101aにはクランパ106が設けられている。クランパ106は上下2つに分割可能な部材107、108により構成され、両者間を連結することにより貫通穴101aの縁部に挟持するとともにその間に板109および磁石110を介在している。また上蓋100の下面にはシャッタ開閉用の溝111を設けている。
図9から図11は、ローディング機構部12の詳細を示し、ローディングモータ19の原動プーリ19aとプーリ20がベルト24で連結され、プーリ20に設けた小ギヤ20aが中間ギヤ21の大ギヤと噛合し、中間ギヤ21の小ギヤ21aがローディングギヤ22の大ギヤ22aに噛合して減速されている。スライドカム23にはローディングギヤ22と外れた位置から噛合することができるラック25が設けられ、スライドカム23の装置本体1の内方に向いた面に略Z字形のカム溝26が一対形成され、さらにスライド方向の一端の上面に係合部27が突設されている。
なお、75、76はカートリッジにその状態を示す孔がある場合にその孔に嵌合することにより検出動作となり、状態検出スイッチ80、81を作動するカートリッジの状態検出レバーである。例えばDVD−RAMのカートリッジにおいては、一方のレバーはアクティブサイド検出用の穴に対応し、他方は書き込み禁止検出用穴に対応している。通常時はばね78aにより付勢されたリンクアーム78により、搬入されたトレイ3のカートリッジから離れた位置に後退させられ、後述のようにアライメント部材がカートリッジの位置決め穴に嵌合した状態でスライドカム23の動作に連動してリンクアーム78が状態検出レバー75、76の押さえを解除し、各レバーに設けたばねの復元作用でカートリッジに向けて回動する。
図12から図14はトレイ3の詳細を示している。トレイ3の表面側には両側壁の内側でストッパ8の奥側に支軸41を設け、支軸41にカートリッジ保持部材42の中間部が軸支されている。カートリッジ保持部材42の先端部はストッパ8よりも前方に位置し、内面に略山形の引掛部44を突設し、後端部は例えばコイルばねを用いたばね43をトレイ3との間に圧縮介在し、引掛部44が前進する方向すなわち一対の引掛部44が相接近する方向に付勢されている。カートリッジ保持部材42の先端部は凹部6の外側に配置され、裸ディスクの載置の邪魔にならない。一方カートリッジ77の先端すなわち挿入側端部の両側には係合凹部54を形成しており、カートリッジ77の先端をトレイ3の手前から表面に沿って挿入するときまず先端部でカートリッジ保持部材42の先端が押されて回動し引掛部44が係合凹部54に位置するとばね43の復元作用で係合し保持する。このとき引掛部44が例えば山形に傾斜しているため係合部54に係合する際に、その傾斜面でカートリッジ77をトレイ3の内方へ引き寄せる作用が生じる。カートリッジ77の位置決めについては後述する。シャッタ開閉部材9は上記したようにトレイ3の幅方向にスライド自在となるように設けられている。9aは上蓋100の下面に設けたガイド溝111に摺動自在に係合する係合部である。
トレイ3の裏側の一側にはスライドカム23に設けた突起状の係合部27がガイドされるガイド溝48が設けられ、ガイド溝48のトレイ前端側端部51はトレイ3の幅方向に折れ曲がり、折れ曲がり部分は略45度の傾斜部50となっている。トレイ3の他側にはガイド溝48と平行にローディングギヤ22と噛合するラックギヤ49が配設されている。したがって、ローディングモータ19が作動すると、ベルト24、プーリ20および中間ギヤ22を介してローディングギヤ22が減速回転し、これによりラックギヤ49が駆動され、トレイ3が装置本体1に沿ってローディングモータ19の回転方向により搬入または搬出される。この場合、トレイ3の搬入動作では係合部27が傾斜部50に移動するとスライドカム23がトレイ3の幅方向にスライドを始め、そのラック25の端部がローディングギヤ22に噛合し始めると同時にラックギヤ49の端部から外れ、ラック25の噛合により係合部27がガイド溝48の前端側端部51に移動するとき、トレイ3は搬入搬出方向の動作が停止する。なお、ラック25とラックギヤ49はローディングギヤ22に相互に軸方向にずれて噛合する。トレイ3を搬出するときはローディングモータ19を逆回転すると、上記と反対の動作、すなわちトレイ3の停止位置からまずラック25によりスライドカム23が駆動され、係合部27がガイド溝48の傾斜部50に移動し、これによりトレイ3が搬出動作を開始し、ローディングギヤ22がラックギヤ49に噛合しトレイ3が搬出動作する。そしてスライドカム23の搬入方向に連動する動作によって後述のトラバース2が上昇し、またリンクアーム78が検出レバー75、76の押さえを解除する。一方、トレイ3の搬入動作でトレイ3のシャッタ開閉部材9の係合部9aが上蓋100のガイド溝111に案内されるため、シャッタ開閉部材9が移動し、トレイ3にカートリッジ77が載置されている場合、カートリッジ77の操作部9bでシャッタを開く。またトレイ3の搬入完了位置付近で押上部104でクランプアーム101の受け部105を押上げ、これによりクランパ106が下降し、開かれたシャッタ内のディスク上に位置する。
図15および図16はトラバース2を示す。トラバース2はディスク回転手段であるスピンドルモータ60と、光ピックアップ61を搭載している。このトラバース2はトラバースベース83と、トラバースベース83に取付けられるトラバースプレート84と、カバープレート62を備えている。トラバースベース83上に取付具94により取付けられた振動吸収用の弾性体88を介してトラバースプレート84が取付けられている。このトラバースプレート84は中央に穴部84aを設け、前端部にスピンドルモータ60を取付け、穴部84aの一側に位置するように光ピックアップ用モータ89とモータ89に連動するねじ(らせん)溝のついた駆動シャフト90がトラバースベース83に取付けられ、穴部84a上で駆動シャフト90に平行に一対のガイドシャフト91、92が取付具93により架設され、これに光ピックアップ61が摺動自在にガイドされ、駆動シャフト90に係合する雌ねじ状の係合部61aを光ピックアップ61に取付けている。カバープレート62はダンパ97によりトラバースプレート84に取付けられてスピンドルモータ60および光ピックアップ61を含む範囲の周囲を囲んでいる。95は光ピックアップ61のと回路基板28とを接続する可撓性のリードであり、トラバースベース83の中央貫通部83aを貫通している。96はトラバースベース83の下面側に取付けられて可撓リード95を支持する部材である。
トラバースベース83は基端部の両側が装置本体1に回動自在に取付けられるため例えば軸85を設け、装置本体1に軸受け86(図3参照)を設けている。またトラバースベース83の前端部の前面に一対のカム係合部87を突設し、スライドカム23のカム溝26(図4、図10参照)に係合している。したがって、スライドカム23の上記したトレイ挿入方向に連動するスライドに応じてトラバースベース83の先端が上昇し、トレイ3の搬出方向に連動するスライドに応じて下降するようにトラバースベース83が回動する。これによりトレイ3が装置本体1に搬入後スライドカム23が最終位置へ移動する過程でトラバースベース83が上昇し、シャッタが開いたカートリッジ77内にスピンドルモータ60が進入してそのターンテーブルにディスクを載せると同時に、下降したクランパ106に押付け、スピンドルモータ60のターンテーブルに設けた磁性体とクランパ106の磁石110がディスクを挟んで吸着される。またトラバース2の上昇により光ピックアップ61が信号読み出しまたは書き込み可能に開いたシャッタ内のディスクに接近する。
図17から図19はトレイ3の搬入後の位置決めを示す。トラバースベース83の一側に、搬入されたトレイ3を位置決めする位置決め部99を例えば突設している。この位置決め部99に嵌合する受け部210はトレイ3の裏面に例えば凹設されている。図17および図18はトレイ3がローディングモータ19により装置本体1内に搬入されて停止した状態であるが、トラバース2がスライドカム23によりまだ上昇していない状態である。図19はトラバース2がスライドカム23により上昇した状態であり、これにより位置決め部99がトレイ3の受け部210に嵌合し位置決めされる。
図20から図23はトラバース2と、サイドアーム14と、前蓋30との関係を示す。
図20および図21はトレイ3が搬出された状態または搬入されてまだトラバース2が上昇していない状態である。このとき、トラバース受け16がトラバース2により下方に押されるため軸13を中心に回動してカートリッジ押さえ部15および前蓋開閉部17を上昇し、前蓋30は軸33を中心にばね113に抗して下降するように回動し装置本体1のトレイ用開口31を開いている。
図22および図23は、トレイ3の搬入完了時のスライドカム23の動作によりトラバースベース2が上昇した状態である。このとき、サイドアーム14はばね18によりトラバース受け16がトラバース2に追従するように逆回動し、カートリッジ押さえ部15が搬入されたカートリッジ77をトレイ3に押さえ、前蓋開閉部17の下降により軸33を中心に前蓋30が上昇し、ばね113が助勢して開口31を塞ぐ。一方トレイ3が搬出するときはまずトラバース2が下降するため、図20および図21に示す状態となるので、前蓋30はトレイ3が装置本体1内に搬入されたときのみ開口31を閉じ、同時にサイドアーム14はカートリッジ77をトレイ3に押さえることができる。
図24から図32はトレイ3上のカートリッジ77の位置決めを示す。カートリッジ77は前端部一側部に位置決め穴(図示せず)を有し、トレイ3は位置決め穴に嵌脱自在に嵌合するアライメント部材121を位置決め穴に対応して前端部の一側部に有する。そして、トレイ3が装置本体1に搬入されるときアライメント部材121を位置決め穴に嵌合させる押上手段140を装置本体1に有する。アライメント部材121は径方向にレバー122を延出したアライメントピン123により形成し、トレイ3はレバー122を裏側に露出したアライメントピン123を納める埋設孔124を有し、アライメントピン123と埋設孔124の相互間にはレバー122を押してアライメントピン123を軸心回りに回動することによりアライメントピン123が埋設孔124を出没するように相摺接する摺動傾斜部125、126が構成されている。押上手段140はトレイ3が装置本体1に搬入されるときトレイ3の搬入動作でレバー122に係合してアライメントピン123を回動させてアライメントピン123を位置決め穴に嵌合させる係合部128により構成している。
またレバー122はトレイ3の搬入方向に対して略直角な姿勢と搬入方向に傾斜した姿勢との間をトレイ3の裏面に平行に回動するものであり、摺動傾斜部125、126はアライメントピン123がレバー122の略直角な姿勢でトレイ122から突出しレバー122の傾斜した姿勢でトレイ3に没入するように設定され、アライメントピン123はレバー122を傾斜した姿勢に付勢するばね127が付設され、押上手段140はトレイ3の搬入動作によりレバー122に係合しばね127に抗してレバー122を略直角な姿勢に回動させる第1の係合片130と、トレイ3の搬入動作ではレバー122に係合せずにトレイ3の搬出動作により略直角な姿勢のレバー122に係合し傾斜した姿勢に回動させる第2の係合片131とを有する。以下各図を追って説明する。
図24はアライメント部材121を示し、アライメントピン123の下面に凹部123aを形成し、中間部の外周につば128を形成している。摺動傾斜部125はつば128の下面のアライメントピン123を中心とする対称位置に傾斜面により形成している。またレバー122の側面にばね受け部129を有し、アライメントピン123のレバー122と反対側にもばね受け部130を突設している。131はばね案内部である。
図25はトレイ3に形成された、アライメント部材121を収納する埋設孔124を示している。この埋設孔124は円形の有底孔である。底部中央に傾き防止摺動ピン132を設け、摺動傾斜部126は摺動ピン132を中心とする対称位置に設けられ傾斜面(125)に摺接する突部により形成している。また内周面にトレイ3の裏面に連通する開口133を形成している。
図26は埋設孔124にアライメント部材121を収納してトレイ3の裏面側からみた状態である。アライメントピン123は埋設孔124に没入する方向に回動するように例えばねじり付勢するねじりコイルばね127が付設されている。アライメントピン123にねじりコイルばね127の巻き部を通しばね受け部130に係らせ、両端をレバー122のばね受け部129に引掛けて、トレイ3の上面からレバー122を開口133より裏面に通してアライメントピン123を埋設孔124収納部に収納する。ねじりコイルばね127の一端をレバー122のばね受け部129から外し、トレイ3の裏面のばね受け部134に係止させる。このとき凹部123aが傾き防止摺動ピン132に嵌合し、つば128の外周が孔124の内周面に摺接するとともに摺動傾斜部125の傾斜面が摺動傾斜部126に摺接する。これによりレバー122の回動に伴ってアライメントピン123が凹部123aおよび埋設孔124の内周面に沿って倒れることなく回動するとともに摺動傾斜部125、126で摺動してアライメントピン123の上端がトレイ3の表面に出没可能となるが、レバー122の先端はばね127により、トレイ3の裏面に設けた第1のストッパ135に係止する。このときレバー122はトレイ3の搬入搬出方向(矢印A)に対して略45度傾斜するように設定され、かつ、アライメントピン123の先端がトレイ3の表面から没入した状態となるように摺動傾斜部125、126が設定されている。
図27はねじりコイルばね127に抗してレバー122を回動し、トレイ3の裏面に設けた第2のストッパ136に係止した状態である。このときレバー122はトレイ3の搬入搬出方向に対して略直角となり、アライメントピン123の先端がトレイ3の表面から突出した状態となる。
図28および図29は装置本体1の押上手段140を示す。押上手段140はトレイ3が装置本体1に搬入されるときトレイ3の搬入動作でレバー122に係合してアライメントピン123を回転させてアライメントピン123を位置決め穴に嵌合させる。押上手段140は第1の係合片130と第2の係合片131を有する。第1の係合片130はトレイ3の搬入動作によりレバー122に係合しばね127に抗してアライメントピン123を突出する方向に回転させる。第2の係合片131はトレイ3の搬入動作ではレバー3に係合せず、トレイ3の搬出動作で略直角な姿勢のレバー3に係合しレバー3を傾斜した姿勢に逆回動させる。すなわち、第1の係合片130よりも搬出方向側に位置しかつトレイ3の搬入動作でレバー122の先端を通り過ぎてレバー122の回動軌跡に交差するように位置する。
図30および図31はアライメント部材121の動作説明である。図30(a)、(b)はトレイ3にカートリッジが載置され、トレイ3が装置本体1内に搬入され、レバー122が第1の係合片130に当たった状態である。ここまではアライメント部材121の先端はトレイ3の表面から没入し飛び出していない。図30(c)、(d)および図31(a)、(b)はトレイ3がさらに搬入動作を続け、レバー122が第1の係合片130に押されて回動し、アライメント部材121の先端がトレイ3の表面から突出動作している状態である。図31(c)、(d)はトレイ3が搬入動作を完了し、同時にレバー122も略45度回動し第2の係合片131に対向した状態であり、このときアライメント部材121の先端はトレイ3の表面から最大に突出し、カートリッジ77の位置決め穴に嵌合する。これによりカートリッジ77がトレイ3に位置決めされるが、カートリッジ77はサイドアーム14に押さえられるので確実に位置決め固定される。一方トレイ3を搬出するときは上記の反対の動作すなわちレバー122が第1の係合片130から離れることによりねじりコイルばね127(図30および図31では複雑になるため図示せず)の作用でレバー122が復帰回動し、これによりアライメント部材121の先端がカートリッジの位置決め穴から外れてトレイ3の埋設穴124に没入する。
図32はトレイ3の搬入状態でレバー122が引っ掛かりを生じてねじりコイルばね127で復帰しない場合について説明している。すなわちトレイ3の搬出動作で第1係合片130がレバー122から離れると同時に第2の係合片131がレバー122に当たり、レバー122を復帰方向に強制的に押し、矢印のように元の位置まで戻す。この結果、トレイ3が搬出されるときは必ずレバー122が復帰し、したがってアライメント部材121の先端はトレイ3の表面から没入し、トレイ3が搬出された状態ではカートリッジ77をアライメント部材121に引っ掛かることなく取り出すことができる。なお、カートリッジ77ではなく裸のディスクをトレイ3に載置して搬入したときもアライメント部材121は上記と同じ動作を行うが、トレイ3が搬出しているときはつねに没入しているので裸ディスクの着脱操作の障害とならない。
第1の実施の形態によれば、アライメントピン123がカートリッジ77と係合するタイミングが、トレイ3の搬送中となるため、例えばローディング時のメカ負荷が小さく設計できる。アライメントピン123を埋設孔124に上から取付けるのでトレイ3への加圧で外れ難い。またトレイ3等に余分な穴や突起がないので外観が良好である。
カートリッジ77をトレイ3の載置位置に保持するカートリッジ保持部材42を有するため、カートリッジ77の位置決めがより一層確実なものとなり、カートリッジ77の装着感を演出することも可能である。
この発明の第2の実施の形態を図33から図37により説明する。図33は第1の実施の形態において、アライメント部材160をトレイ3の埋設孔124に摺動自在に嵌合し、トレイ3に沈む方向に付勢するばね161を設けたものとしている。またディスク回転手段であるスピンドルモータ60をディスクに接近離間する方向に昇降させるスライドカム23に押上部162を設け、これを押上手段としている。その他のディスク装置の構成は第1の実施の形態と同様である。
アライメント部材160はアライメントピン163と、その下端部より径方向の互いに反対方向に張り出して上端側に延びた一対の引掛片164と、一対の引掛片164の間にあってアライメントピン163の下端部より上端側に延びた支持片165を有する。ばね161は例えばコイルばねを使用しており、アライメントピン163に嵌装し一端が引掛片164の付根側に支持されている。
トレイ3の埋設孔124にはアライメントピン163が裏面から挿通されている。埋設孔124の両側には段付孔166が貫通し引掛片164のかぎ部が段付孔166の段に引っ掛かって抜止めされている。このときばね161の先端がトレイ3の裏面に当接し、ばね力によりアライメントピン163を埋設孔124に沈める方向に付勢している。押上部162はスライドカム23のトレイ3の搬入動作となるスライド方向の前端側に傾斜面をもつ山形に形成されラック25に隣接して設けている。
図34および図35はトレイ3が装置本体1に搬入される途中の状態であり、スライドカム23はまだスライドしていない状態である。押上部162はアライメント部材160から離れている。図36および図37はトレイ3が搬入完了し、スライドカム23が移動完了した状態である。スライドカム23が移動することにより押上部162が傾斜面でアライメントピン163の後端部を押上げアライメントピン163の先端がトレイ3の表面より突出しカートリッジ77の位置決め穴に嵌合する。アライメントピン163の支持片165がトレイ3の裏面に当接してアライメントピン163の突出量が規制されるとともにアライメントピン163の傾きが防止される。一方トレイ3を搬出する場合、スライドカム23がまず逆方向にスライドすることにより押上部162がアライメントピン163から離れ、ばね161によりアライメントピン163が埋設孔124に没入する。スライドカム23のスライド後ローディングギヤ22が噛み合いをラック25からラックギヤ49に切り替わってトレイ3は搬出動作を開始する。
この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果がある。
この発明の第3の実施の形態を図38により説明する。第1の実施の形態において、トレイ3は第1の実施の形態のアライメント部材に代えて、カートリッジ77の表面に摺接可能でかつ位置決め穴170の開口縁部170aに係合可能な凸曲面171を有する。この凸曲面171は、トレイ3に一体形成された部分球面としている。その他は第1の実施の形態と同様である。
凸曲面171が開口縁部170aに係合するためには、位置決め穴170の直径よりも凸曲面171の直径の方が大きくなり、その差は係合時のカートリッジ77とトレイ3との隙間Hに関係している。また部分球面の突出量はカートリッジ77のトレイ3の着脱時の引っ掛かりが少なくなる点より小さい方が好ましい。カートリッジ77の位置決め穴170と凸曲面171との装着寸法を最大で設計しておけばカートリッジ77が浮き気味になるが、必ず凸曲面171が開口縁部170aに係合するので調心が可能となる。またアライメントピンと異なり開口縁部170aで位置決めを行うので係合に要するメカ負荷は小さく安定動作が可能である。
この実施の形態によれば、凸曲面171はカートリッジ77や裸ディスクの着脱時に引っ掛かりが少なくなるとともに、カートリッジ77の位置決めが可能である。凸曲面171をトレイ3に一体形成した部分球面にすると、コストアップが少ない。
この発明の第4の実施の形態を図39により説明する。第3の実施の形態において、凸曲面171を、球体175をトレイ3に埋設することにより形成している。トレイ3の製造時に球体175を圧入することにより埋設する。
ディスクの材料よりも表面硬度の低い材料、例えばポリアセタールなどを使用することができ、裸ディスクの傷つき防止が図れる。またトレイ3上に別部品があることになるのでカートリッジ77の載置時の識別用のサインにもなる。
なお、球体に代えて部分球体でもよい。
この発明の第5の実施の形態を図40により説明する。第3の実施の形態において、凸曲面171を回動自在に装着されたボール179により形成している。実施の形態ではトレイ3に凹球部178を形成し、凹球部178に例えばボールベアリングのボール179を嵌め、ボール179より直径の小さい抜止め孔181のある押さえ蓋180をトレイ3に取付け、ボール179を回転自在に保持している。
ボール179が回転するためトレイ3にカートリッジ77を載置する際のカートリッジの装着感は軽快になり、傷付防止となる。またボール179がトレイ上のアクセントになるので外観がよい。
なお、ボール179は回転方向が任意であったが、軸を設けて一方向のみに回転するローラ式でもよい。
この発明の第6の実施の形態を図41により説明する。第1の実施の形態において、トレイ3のアライメント部材192は没入可能に突出付勢されてカートリッジ77の位置決め穴170に嵌合するように構成されている。
実施の形態では、トレイ3の埋設孔190の裏面側に筒状のばね収納部191を設けている。アライメント部材192はアライメントピン193と、つば194と、脚195を有する。アライメントピン193はカートリッジ77がトレイ3の表面に沿った移動により没入するように、先端部が曲面または傾斜面例えば球面または山形に形成され、つば194はばね収納部191に位置してトレイ3の裏面に当接することによりアライメントピン193を抜止めするとともにばね収納部191の底面とつばとの間に例えばコイルばね等のばね196を圧縮介在し、これによりアライメントピン193をトレイ3の表面より突出している。したがって、カートリッジ77をトレイ3の表面に滑らせながら移動してアライメントピン193に衝突したときアライメントピン193の曲面または斜面によりアライメントピン193がばね196に抗して埋設孔190内に没入し、カートリッジ77は引っ掛かることなくスムースにトレイ3上に載置することができ、カートリッジ77の位置決め孔170がアライメントピン193に整合すると、ばね196の復元作用によりアライメントピン193が位置決め孔170に嵌合しカートリッジ77がトレイ3に位置決めされる。
実施の形態ではさらに、ディスク回転手段であるスピンドルモータ60を搭載したトラバース2をディスクに接近離間する方向に昇降する昇降用手段としてのスライドカム23に、スピンドルモータ60を上昇させる際にアライメント部材192の突出状態の後端部を支持する支持部材198を設けている。支持部材198はスライドカム23の終端位置で脚195の下面に当接または接近し、カートリッジ77にトレイ3の表面に沿う方向に力が加わることにより、アライメントピン193が下降するのを防止し、カートリッジを確実に位置決めすることができる。
この実施の形態によれば、トレイ3に没入可能に突出付勢されカートリッジ77の位置決め穴170に嵌合するアライメント部材192を有するため、カートリッジ77や裸ディスクが当たってもアライメント部材192が位置決め穴170に没入するので引っ掛かりが少なく傷付きも低減できる。
またスライドカム23にアライメント部材192の突出状態の後端部を支持する支持部材198を有するため、カートリッジ77の位置決めが確実にできる。
なお、この発明において、カートリッジの位置決め穴およびトレイのアライメント部材の位置は上記各実施の形態のようにトレイの前端部に限らず他の部位に設けることができる。また第1の実施の形態等において、アライメント部材はピンに限らず球状でもよく、第3の実施の形態のように位置決め穴の開口縁部に係合するものでもよい。
さらにトレイ3に没入した状態のアライメント部材の突出量はできるだけ小さい方がよいが支障ない範囲で突出していてもよい。
また装置本体1において、トラバース2は固定でカートリッジまたはトレイ3側をトラバースに接近離間する構成も可能である。