JP4187518B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カメラ、詳しくは、電子カメラ等の画像処理機能を有するカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、近年、電子カメラ、所謂デジタルカメラの普及が著しく、様々なユーザーがこのデジタルカメラを携帯して種々のシーンで撮影を楽しんでいる。こうしたデジタルカメラは、銀塩フィルム式のカメラに対して画像をデジタル電子画像データの形式で保存するため、この保存の際に種々の画像処理技術を併用するので、カメラの機種による画像再現性の差異が大きい。
【0003】
よって、上記デジタルカメラにおいては、前記画像処理技術を適切に利用しないと、不自然で見栄えの悪い写真が撮影されることとなるが、その一方で、適切な利用によっては、質感を出した雰囲気の豊かな画像を得ることができる。例えば、人物の肌や金属のような光沢物の撮影に際しては、人物には適度な柔らかみを持った画像を、金属にはきりりとした質感を持った画像を再現することができる。
【0004】
上記事情に鑑みて、特許文献1や特許文献2または特許文献3では、得られた像データの輝度分布を輝度ヒストグラム等によって分析し、撮影シーンによって画像処理の方法を変更する提案がなされている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−107519号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平11−32236号公報
【0007】
【特許文献3】
特開2001−311867号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1及び上記特許文献2の技術は、撮像された画像を利用して主被写体と背景のバランスをとるものであるため、被写体の質感(光沢の有無等)を考慮したものではない。
【0009】
また、上記特許文献3の技術は、撮影時、被写体に応じて画像処理の方法を変更する際、撮影者が操作する必要があるので、即写性に優れたものとは言えなかった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被写体の質感に応じて、例えば被写体が光沢物である場合は、撮像した画像に適切な画像処理を行って雰囲気の豊かな画像が得られるカメラ、かつ、即写性に優れたカメラを提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段、及び作用】
上記の目的を達成するために本発明によるカメラは、被写体を撮像して画像データを生成する撮像手段と、上記画像データに画像処理を施す画像処理手段と、上記被写体からの光信号をモニタして上記被写体までの距離を測定する測距手段と、上記被写体に対し光を投射する光投射手段と、上記光投射手段による上記被写体からの反射光を受光する受光手段とを有するカメラにおいて、上記被写体に上記光投射手段より光を投射し、その反射光の光信号を上記受光手段でモニタした際の受光光量を、上記測距手段により測定された被写体までの距離に基づく基準を用いて判定し、受光光量が多いと判定された場合は、上記画像処理手段により上記画像データに対して輪郭を強調する処理と、上記光信号の信号分布において所定レベル以上のピーク部を増幅し飽和させ、上記画像データの光沢形状を整える処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、被写体を撮像して画像データを生成する撮像手段と、上記画像データに画像処理を施す画像処理手段と、上記被写体からの光信号をモニタして上記被写体までの距離を測定する測距手段と、上記被写体に対し光を投射する光投射手段と、上記光投射手段による上記被写体からの反射光を受光する受光手段とを有するカメラにおいて、
上記被写体に上記光投射手段より光を投射し、その反射光の光信号を上記受光手段でモニタした際の受光光量分布においてピーク数が所定数よりも多く、かつ上記受光光量と上記測距手段により測定された上記被写体までの距離に基づいて求められる反射率が所定値よりも大きい場合は、上記画像処理手段により上記画像データに対して輪郭を強調する処置と、上記画像データに対するγ変換の補正を変更して階調補正処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0014】
このことにより、被写体が光沢物であるかどうかを検出して最適な画像処理を行うので、きりりとした硬質の質感を画像に与え、自然で豊かな雰囲気の写真を得ることができる。
【0015】
また、被写体が光沢物であるときは、これを検知して露出補正を行い、主被写体に光を補うと共に、最適な画像処理を施すので自然な質感の写真画像を得ることができる。
【0016】
ところで、JPEG等の画像圧縮技術は、非可逆圧縮なので的確な画像処理が行なわれていないと、せっかく撮影できた画像の重要な情報を失ってしまい、元に戻すことができない。よって、本発明のような画像処理パラメータ変更制御手段は非常に重要な技術である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態を示すカメラの電気回路の全体の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、カメラ内には、撮影者のスイッチ操作に従ってカメラの全体的な動作シーケンスを制御するワンチップマイクロコンピュータ等で構成された演算制御回路1(以下、CPUと称す)が配設されており、このCPU1には、カメラの撮影シーケンスを開始させるためのレリーズスイッチ1aと、第1のA/D変換手段4と、ズーミング機能やピント合わせ機能を有する撮影レンズ5aの駆動手段(LensDrive手段)(以下、LD手段という)5と、被写体に向けてストロボ光を照射するためのストロボ発光部6aを有するストロボ発光回路6と、シャッタ手段8と、圧縮手段11と、記録手段12と、画像処理回路20内の階調補正回路21及び輪郭強調回路23がそれぞれ接続されている。
【0019】
尚、上記撮影レンズ5aと後述する撮像素子7は、被写体を撮像して画像データを生成する撮像手段を構成しており、また、上記ストロボ発光部6aは、被写体に対し、光を投射する光投射手段を構成しており、さらに、上記画像処理回路20は、上記撮像手段により生成された画像データに画像処理を施す画像処理手段を構成している。
【0020】
上記第1のA/D変換手段4には、一対の受光レンズ2a,2b及び一対のセンサアレイ3a,3bを備えたAFセンサ3が接続されている。このAFセンサ3は、上記被写体からの光信号をモニタして、上記被写体までの距離を測定する測距手段と、上記光投射手段6aによる被写体からの反射光を受光する受光手段を構成している。
【0021】
また、上記画像処理回路20内の前記階調補正回路21には、第2のA/D変換手段9と上記画像処理回路20内のRGB/YC回路22が接続され、また、前記RGB/YC回路22には、上記画像処理回路20内の前記輪郭強調回路23と、上記圧縮手段11が接続され、さらに、前記輪郭強調回路23には、上記画像処理回路20内のピークキャンセル回路24が接続され、また、前記圧縮手段11には、前記記録手段12が接続されている。さらに、上記第2のA/D変換手段9には、CCD等からなる前記撮像素子7が接続されている。尚、上記撮像素子7は、上記撮影レンズ5aによって結像された被写体像を光電変換する役目をする。
【0022】
上記CPU1は、撮影者が行う上記レリーズスイッチ1aのオン動作等の各種カメラ操作を判別して、上記LD手段5や上記シャッタ手段8を制御して撮影動作を制御するほか、被写体に上記光投射手段6aより光を投射し、その反射光の光信号を上記撮像素子7からなる受光手段でモニタした際の受光光量及び測距結果に従って、上記画像処理回路20の画像処理パラメータを変更する制御手段を構成している。
【0023】
上記シャッタ手段8は、上記撮像素子7の電荷蓄積時間を上記CPU1からの信号に応じて制御するものである。また撮影に先立って、上記CPU1は、上記撮影レンズ5aを上記LD手段5によって移動させ、ピント合わせを行う。
【0024】
このピント合わせは、上記第1のA/D変換手段4の出力を利用して得た被写体距離データによって行ってもよく、上記撮影レンズ5aを微少量ずつ変位させて得られたコントラストピーク値を、上記画像処理回路20から得て、ピント合わせを行ってもよい。
【0025】
被写体距離Lの検出は、上記AFセンサ3において、基線長(視差)Bだけ隔てて配置された一対の上記受光レンズ2a、2bを介して得られた上記被写体100の像を、焦点距離fの位置に配置された上記一対のセンサアレイ3a、3b上に結像させて、この視差に基づく像位置差xから、既知の三角測距の原理によって上記CPU1が行う。
【0026】
また、上記センサアレイ3a、3b、又は上記撮像素子7から出力された像信号を用いれば、上記被写体100が暗いか、逆光状態であるかを調べることができる。このとき、上記ストロボ発光部6aを、上記ストロボ発光回路6によって発光制御させると、上記被写体100に対し露出時に補助光を照射することができる。
【0027】
被写体100の光像は、上記撮影レンズ5aを介して上記撮像素子7に入射され、この撮像素子7で、その入射した光のR,G,B3原色に対応する積分を行い、その積分結果を、第2のA/D変換手段9に出力する。
【0028】
上記第2のA/D変換手段9は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して、上記画像処理回路20のガンマ(γ)変換回路と呼ばれる前記階調補正回路21に出力する。この階調補正回路21は、得られた画像信号のトーンカーブを適正にするものであり、この回路によって暗い部分や明るい部分を強調して再生時に目に見える画面の明るさの分布を自然なものとする。その後、前記画像信号を上記画像処理回路20の前記RGB/YC回路22に出力する。
【0029】
上記RGB/YC回路22は、前記階調補正回路21から出力された像信号のRGBの3原色を、輝度信号Yと色座標情報CR,CBに変換して、情報量を整理する。その後、前記輝度信号Yは、上記画像処理回路20の前記輪郭強調回路23に出力され、上記色座標情報CR,CBは、上記圧縮手段11に出力される。
【0030】
上記輪郭強調回路23は、画像のコントラストを強調する回路であり、これはシャープネス処理とも言われる。前記輪郭強調回路23でコントラスト(輪郭)が強調された前記輝度信号Yは、上記画像処理回路20の前記ピークキャンセル回路24に出力される。
【0031】
上記ピークキャンセル回路24は、前記輝度信号Yの所定値以上の信号にリミットをかける回路である。その後、前記輝度信号Yを、上記圧縮手段11に出力する。
【0032】
このようにして上記画像処理回路20で各種画像処理をされた画像は、上記圧縮手段11でJPEG等のツールにより圧縮されて上記記録手段12に出力され、上記記録手段12に記録することにより、上記被写体100の被写体像は、デジタル記録される。
【0033】
ところで、光沢物が主被写体になっているような撮像シーンでは、所定のラチチュード(許容輝度範囲)に画像を収めようとすると、大きな輝度変化の光沢部に引きずられて、自然な撮影ができなくなることがあった。つまり、このような状態で上記輪郭強調回路23や上記階調補正回路21で、間違った輪郭強調及び明るさ強調を行うと、得られた被写体像に偏った偽輪郭が生じたり、暗い箇所にノイズが生じたり、主要部の画像がつぶれたりして、極めて不自然な画像となってしまう。
【0034】
このことについて、図3に示すヒストグラムを用いて説明を行う。
図3は、横軸に明るさ(輝度)をとり、縦軸にどの明るさの画素がいくつあるかを度数にして示したものである。
【0035】
図3(a)に示すように、光沢物の多いシーンや逆光シーンでは、明るさの差が大きく、明るいデータを出力する画素数及び暗いデータを出力する画素数が多く、その中間のデータを示すものは限られている。従って、視認可能範囲に収まりきらない画像部分が増加する。
【0036】
この画像にγが小さくなる方向に上記階調補正回路21でγ補正を加えると、図3(b)のようになる。ここで、図5に、上記γ補正のγの値の大小によって画像の明るさが、どのように入出力変換されるかの関係を示す。▲1▼γが小さくなると、暗い部分が強調されて暗い所の像変化が見えやすく、明るい所は変化がなくなる方向となる。▲2▼逆にγが大きくなると、暗い所は黒く塗りつぶされる傾向となり、明るい所の変化が強調される。従って、図3(a)に示すような像では、γが小さくなる方向にγ補正を加えると図3(b)のようなヒストグラムとなる。
【0037】
このとき、黒く塗りつぶれた部分が視認可能領域となるが、もともと暗い部分は信号量が少なく相対的にノイズが多いので、ノイズが強調され、デジタル化されたデータの一部を広げて強調すると、図3(b)に示すように、階調飛びが生じて、かえって画面を劣化させる可能性があった。
【0038】
例えば図2(a),図3(a)のような逆光シーンでは、上記ストロボ発光部6aよりストロボ光を発光させ、図2(c)のような背景にも人物にも露出の合ったきれいな写真を得ようとする。つまり、図2(b)に示すような大きな輝度差を有する輝度分布や、又は図3(a)に示すヒストグラムが、上記一対のセンサアレイ3a,3bや上記撮像素子7から得られた場合は、上記ストロボ発光部6aからストロボ光を照射して、図2(d)に示すように主被写体部に光を補って輝度分布を持ち上げ、ラチチュード内に背景も人物も収めるようにする。
【0039】
逆光シーンでストロボ光を補うと、図3(a)のヒストグラムは、図3(c)のようなヒストグラムとなり、ストロボ光補助によって中間的な明るさが増加するので、暗い部分は犠牲にした露出での記録が可能となる。この場合は、上記階調補正回路21でのγ補正で特定の明るさを強調する必要もなく、上記輪郭強調回路23での輪郭強調も通常の処理で良い。
【0040】
なお、図4は、横軸に輝度(BV),縦軸に明るさの画素度数をとった、順光時の被写体の視認可能領域を示したヒストグラムである。次に、上記輪郭強調回路23での輪郭強調処理について、図6を用いて説明すると、図6(a)は、前記図1における輪郭強調回路23のブロックの内部で行われる処理を、ブロック回路で等価的に示したものであり、図6(b)は、後述する輪郭成分抽出回路での行列演算を示した図である。
【0041】
上記輪郭強調回路23は、輪郭成分抽出回路23aと制限回路23bと加算回路23cで構成されている。
【0042】
上記輪郭成分抽出回路23aは、図6(b)の101に示すように、入力される上記輝度信号Yのうち、シャープ化のフィルタ行列を画素データ102に行列演算する。これによって、103に示すように、中央の画素に画素データが集中して、強いコントラストが生じ、輪郭信号が形成される。
【0043】
ただし、これをすべてのコントラスト部に適用すると、不自然になるので上記制限回路23bにて、所定のコントラスト以上のもの(図中ΔYの範囲をこえるもの)に対してのみ、この強調処理を行う制限をし、上記加算回路23cにて、元データに対し、輪郭を付与する。
【0044】
このように、上記フィルタ行列のフィルタ定数を変更することによって、輪郭強調が切り替えられる。また、上記制限回路23bのΔYを大きくしても、輪郭強調はされなくなる。
【0045】
一方、光沢物が被写体である場合は、また別の画像処理を行った方がよい。図7に、被写体が光沢物であるか否かを、光投射とその反射光モニタによって判定する方法を説明する。
【0046】
先の図1においては、補助光投射手段として上記ストロボ発光部6aからのストロボ光を用いたが、ここでは、シンプルな光投射手段として発光ダイオード60を用い、この発光を投光レンズ60bによって集光投光する例を基に説明する。
【0047】
一般的な被写体は、光が投射されると、その光を散乱させるので、例えば上記センサアレイ3aと上記受光レンズ2aを用いて、この時の反射光量を測定すると、レンズ径dと被写体距離Lが規定する立体角Φによって、上記センサアレイ3aに入射する光束が変化するので、被写体の反射率をほぼ一定とすると、既知の三角測距の原理により、レンズ直径dは固定値なので、Lの逆数の二乗に比例して、光量が増減する。
【0048】
しかし、図7(c)に示すように、被写体が銅像のように光沢物である場合は、図7(a)の関係とは全く別に、図7(b)に示すように、入射角θ1と出射角θ2が同角になる関係で、散乱ではなく正反射で上記センサアレイ3aに入射する成分が増加する。
【0049】
ところが、上記発光ダイオード60の照射する部分は点ではなく、また、上記受光レンズ2aと上記センサアレイ3aも点の部分のみをモニタしているわけではないので、照射光と反射光の関係は図7(d)に示すようになり、上記図7(a)で示した1/L2に比例する光量よりもはるかに大きな光量が検知されることになる。この関係を用いれば、被写体が同じ様な形状であっても図7(c)に示すような光沢物か、図2(a)に示すような人物であるかを判別することが可能となる。
【0050】
本発明では、このようにして検出された光沢物の被写体の画像の質感を高めるために、上記輪郭強調回路23及び上記階調補正回路21(いずれも図1参照)で、適度なエッジ強調処理や光の影響を加減するためにγ変換処理を変更するのである。光沢物には硬めの質感を与えるために輪郭を強調することが好ましいが、これをかけすぎると偽輪郭を生むことがあり、最適化が難しい。
【0051】
そこで、このような判別によって光沢物か否かを判定し、自然な質感の画像を得る方法について、図9のフローチャートを用いて説明する。図9は、本発明の第1実施の形態を示すカメラの撮影手順を示した基本フローチャートである。
【0052】
本実施形態におけるカメラの撮影シーケンスは、上記CPU1(図1参照)により制御される。まず、ステップS1,S2では、ピント合わせや被写体距離の検出を行う。被写体距離の検出には、図1で示したAFセンサ3で行ってもよく、また撮影レンズをスキャンして像のコントラストよりピント合わせを行う図8(c)に示すような構成の所謂、山登り方式のAFで撮影レンズ繰り出し量から被写体距離を求めても良い。この被写体距離を基準に、後述するステップS11,ステップS12で、光投射時の基準となる反射光量を決定する。
【0053】
ステップS3では、露出制御用の測光を行い、ステップS4に移行する、この測光においては、上記撮像素子7(図1参照)の出力によって像分布を調べてもよいし、AFセンサ3(図1参照)を用いてもよい。
【0054】
ステップS4では、前記ステップS3での測光の結果から、被写体の輝度差が大きいか否かを判定する。ステップS4で輝度差無しと判定された場合は、ステップS51に分岐し、ステップS51で被写体が低輝度であるか否かを判定する。
【0055】
ステップS51で低輝度であると判定された場合は、ステップS52に移行し、ステップS52でストロボ撮影を行いステップS55に移行する。
【0056】
この場合、背景は暗くなる確率が高いのでステップS55にてγ補正を小さめにして暗い部分を明るくなる方向に強調して、画面のつぶれた所を見えるようにして後述するステップS45に移行する。
【0057】
ステップS51に戻って、低輝度でないと判定された場合は、ステップ53に分岐して、ステップS53でストロボは発光させずに通常の撮影を行って、ステップS54に移行し、ステップS54で、図3(a)に示すような通常のγ補正を行って後述するステップS45に移行する。
【0058】
ステップS4に戻って、輝度差が大と判定された場合は、上述したように、被写体の輝度が大きければ、逆光シーン又は光沢物と判定できるのでステップS11に移行し、ステップS11で図1に示した上記ストロボ発光部6aまたは、図7で示した発光ダイオード60より光投射を行って、ステップS12に移行する。
【0059】
ステップS12では、上述したように、前記ステップS11で投射した光の反射光量判定を、上記撮像素子7または上記センサアレイ3aに入射した光から上記CPU1(図1参照)が判断する。光の光量が少なければ、被写体は逆光にあるとして、ステップS41に分岐する。
【0060】
被写体が逆光にあるとステップS41で判定された場合は、ステップS42に移行し、ステップS42で、明るい所、即ち背景に露出を合わせてステップ43に移行し、さらに図2(c)のような人物は、ストロボ照射で光を補うので、ステップS43にて、ストロボ撮影を行う。その後、ステップS44に移行する。
【0061】
ステップS44では、γを大きくすると、図3(d)に示すように、白く背景が飛んでしまうので、γを小さくして、背景の飛びを抑え、人物・背景とも何が写っているかわかりやすくし、ステップS45に移行する。
【0062】
ステップS45では、もともと逆光時は、コントラストの強いシーンなので、輪郭強調は弱めにして背景と人物を自然にブレンドさせるようにし、ステップS30に移行する。
【0063】
ステップS12に戻って、光の光量が多いと判定された場合には、被写体は光沢物であるとして、ステップS23に移行する。被写体が光沢物であるとステップS23で判定された場合は、ステップS24に移行し、光沢物判定時は、明るい部分は光沢なので、それを除いた暗い部分で露出を合わせてステップS25に移行して、ステップS25で撮影を行い、ステップS26に移行する。
【0064】
ステップS26でのγ補正は、前述した図3(a)に示すように、通常にしてステップS27に移行し、ステップS27で輪郭強調(シャープネス)をかけて、光沢物の硬質感を強調し、ステップS28に移行する。
【0065】
ただし、図10(a)に示すように、光沢物の特徴である光沢部の光の部分に、輪郭強調をきかせると、図10(b)に示すように偽輪郭を生じさせることがあるので、ステップS28では、上記ピークキャンセル回路24(図1参照)により、図10(c)にように、所定レベル以上のピーク部は増幅して飽和させて、白く飛ばして光沢形状を整えてステップS30に移行する。
【0066】
ステップS30では、こうして得られた画像を上記圧縮手段11(図1参照)によって圧縮してステップS31に移行し、最後に、ステップS31で上記記録手段12(図1参照)に記録し、その後リターンする。
【0067】
以上説明したように本発明の第1実施の形態のカメラによれば、被写体が光沢物または逆光であるか否かを、上記撮像素子7または上記センサアレイ3aに入射する被写体の反射光で上記CPU1が自動判定することができるので、光沢物や逆光に対して自然な画像が得られ、また即写性に優れたカメラを提供することができる。
【0068】
図11、図12は、本発明の第2実施の形態を示すカメラの撮影手順を示した基本フローチャートである。
この第2実施形態のカメラの構成は、前記図1に示した第1実施形態のカメラの構成と殆ど同じであるが、上述した第1実施の形態では、光沢物に対してストロボ光を照射すると、思わぬ反射光で像が乱れることがあるため、ストロボ光投射を行わなかったが、この第2実施の形態では、光沢物撮影時に必要に応じてストロボ光を投射し、またその反射の違いによって画像処理を切り替えるようにしている。よって、この相違点のみを説明し、第1実施形態のカメラと同様の構成部材には、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0069】
本実施形態におけるカメラの撮影シーケンスは、上記CPU1(図1参照)により制御される。ステップS101では、例えば上述した図1に示すような上記測距手段あるいは前記図8(c)に示す撮像素子7による山登りAF手段により被写体距離Lを検出して、ステップS102に移行する。
【0070】
ステップS102では、上記LD手段5の制御により、上記撮影レンズ5aを移動させて、撮影時のピント合わせを行ってステップS103に移行し、ステップS103では、露出制御用の測光を行い、ステップS104に移行する、この測光においては、上記撮像素子7(図1参照)の出力によって像分布を調べてもよいし、上記AFセンサ3(図1参照)を用いてもよい。
【0071】
ステップS104では、ストロボ補助光を投射し、その反射によって光沢物か否かを判定する。このストロボ補助光は広い範囲に投射されるので図7(c)に示したような光沢物からは、図8(a)の実線▲3▼に示すような所々にピークのある反射光70が図8(c)に示すように上記撮像素子7に入射する。一方、光沢物でない場合は、図8(a)の点線▲4▼のような反射光分布となる。尚、図8(a)の1点鎖線▲5▼は、投射なし時の輝度分布である。
【0072】
また、上述した図2(a)のような人物等の被写体では、図8(b)に示すように、実線▲6▼のような反射光しか得られないので、こうした反射光の違いも考慮して光沢物判定を行ってもよい。
【0073】
例えばピークを示す画素数が所定数以上なら光沢物と判定するような判断を入れてもよい。そこで、このフローにおいては、続くステップS105で、ピーク数が所定数よりも多いか否かを判定する。ピーク数が所定数よりも多ければ、ステップS106に移行し、少なければ、ステップS111に分岐する。
【0074】
ステップS106では、上記反射光70の光量のピーク値Pを検出してステップS107に移行し、ステップS107では、上記ピーク値Pが、上記ステップS101で求めた上記被写体距離Lの二乗と乗算させた値を反射係数Aとし、ステップS108に移行する。
【0075】
上記ピーク値Pが小さくても、上記被写体距離Lが大きいと反射率が高くなるので、ステップS108では、上記反射係数Aを所定値A1と比べて、被写体が光沢物か否かを判定する。上記反射係数Aが所定値A1より大きければ、被写体は光沢物であると判定してステップS121に移行し、上記反射係数Aが所定値A1より小さければ、被写体は光沢物ではないとして、ステップS111に分岐する。
【0076】
ステップS121では、ストロボを光らせるか否かを判定する。これは通常のストロボ判定(後述するステップS111で行われる、被写体が光沢物でない場合のストロボ判定)より厳しい判定をして思わぬ正反射による画像の乱れを極力防ぐようにする。ストロボを発光するのであれば、ステップS122に移行し、ストロボを発光しないのであれば、ステップS140に分岐する。
【0077】
ステップS122では、ストロボを発光させる場合、正反射光でストロボの調光を行うと被写体が光沢物であるが故、正しい明るさにならないので、被写体距離と上記撮影レンズ5a(図1参照)の絞りよりストロボ光量(以下、ガイドナンバと称す)を決定してステップS123に移行する。
【0078】
ステップS123ではストロボ撮影を行ってステップS124に移行する。この時、ストロボ光と定常光の和による露出誤差は、前記ステップS121のストロボ発光判定レベルが厳しいので無視できる。
【0079】
ステップS124では、ストロボ撮影後、上記反射係数Aが上記所定値A1よりも大きな所定値A2と比較して、上述したγ変換時のγの値や差で強調の度合いを切り替える。反射係数が大きい場合(A>A2)、ステップS131に移行し、反射係数がそれほど大きくない場合(A<A2)、ステップS125に分岐する。
【0080】
ストロボ発光時はストロボの光の反射オーバーになりがちなので、ステップS131,ステップS125では、共にγ補正を大にして黒い部分を引き締め、階調的なメリハリを付けて、それぞれステップS132,ステップS126に移行する。
【0081】
ステップS132では、反射率が大きい時には十分コントラストが高いとして、特に輪郭強調は行わず、ステップS155に移行する。また、ステップS126では、反射率がそれほど高くない時には、輪郭強調を行い、くっきりとした輪郭を強調して光沢物の質感を高め、ステップS155に移行する。
【0082】
ステップS121に戻って、ストロボを発光しないのであれば、ステップS140に分岐する。ステップS140では、光沢成分による誤差を露出補正して、ステップS141に移行し、撮影が行なわれ、ステップS142に移行する。
【0083】
ステップS142では、ストロボ撮影後、上記反射係数Aを、上記所定値A1よりも大きな所定値A3と比較して、上述したγ変換時のγの値や差で強調の度合いを切り替える。反射係数が大きい場合(A>A3)は、ステップS151に移行し、反射係数がそれほど大きくない場合(A<A3)は、ステップS143に分岐する。
【0084】
ステップS151では、ストロボがなくとも、反射率が大きい時には、光反射の大きい所が目立って露出が狂い、全体的に暗い写真になりがちなので、γ補正を小さくして白い部分を強調して明るくした後、ステップS152に移行し、さらにステップS152では、輪郭強調を行って、ステップS153に移行する。
【0085】
ステップS153では、図10(c)に示したように高輝度部を増幅して白く飛ばし、偽輪郭を防止して光沢感を自然にして質感を高める処理を上記ピークキャンセル回路24(図1参照)で行い、その後、ステップS155に移行する。
【0086】
ステップS142に戻って、ストロボなしで反射係数Aが所定値A3よりも小さい時には、ステップS143に移行し、ステップS143で、露出は狂わないとしてγ補正は通常のまま行ってステップS144に移行し、さらに、ステップS144で輪郭強調のみを行って、その後、ステップS155に移行する。
【0087】
ステップS105に戻って、上記ピーク数が所定数よりも少ない場合、または、ステップS108に戻って、上記反射係数Aが所定値A1より小さく、被写体が光沢物ではないと判定された場合は、ステップS111に分岐し、ステップS111で、ストロボ発光が必要か否かを判定する。
【0088】
ステップS111でストロボ発光が必要な時には、ステップS112に移行し、ステップS112で、背景の光とストロボ光を合わせて適正な露出になるようにストロボ発光時の反射光量をモニタして、ストロボ光量を決定する。これには、露出前にプリ発光によって露出を予測する方式と、ダイレクト調光と呼ばれる方式があり、どちらを用いても良いが、本実施の形態では、プリ発光による方式を想定してステップS113に移行し、さらに、ステップS113では、上述したプリ発光による方式で得たストロボ光量の予測値に基づき、ストロボ撮影を行って、ステップS118に移行する。
【0089】
ステップS111に戻って、一方、ストロボ発光が必要でないと判定された場合には、ステップS115に分岐して、ステップS115で通常の撮影を行い、ステップS118に移行する。
【0090】
ステップS118では、被写体は光沢物ではないので、通常のγ補正を行って、ステップS119に移行し、さらにステップS119では、通常の輪郭強調を行って、ステップS155に移行する。
【0091】
ステップS155では、こうして得られた画像を上記圧縮手段11(図1参照)によって圧縮してステップS156に移行し、最後に、ステップS156で上記記録手段12(図1参照)に記録し、その後リターンする。
【0092】
以上説明したように本発明の第2実施の形態のカメラによれば、ストロボ発光の有無や、反射光量の違いによって画像処理を自動判定により切り替えたので光沢物にふさわしい階調を持ち、質感を高めた写真撮影を楽しめかつ、即写性に優れたカメラが提供できる。
【0093】
尚、本発明の光沢物を自然な質感で撮影可能な技術を、カメラに搭載すれば、アクセサリーや工業製品等が被写体の場合であっても、質感を高めた画像を得ることができる。
【0094】
また、本発明の実施の形態では、カメラの機能による自動判定を前提としたので、撮影時の即写性を高めることができるとしたが、これに限らず、手動設定によって被写体が光沢物か否かを選択しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、被写体の質感に応じて、撮像した画像に適切な画像処理を行って雰囲気の豊かな画像が得られるカメラ、かつ、即写性に優れたカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態を示すカメラの電気回路の全体の構成を示すブロック図、
【図2】(a)は逆光時の被写体を示したファインダ画像図、(b)は逆光時の被写体の輝度分布を示した線図、(c)は逆光時の被写体にストロボ光を照射して得たファインダ画像図、(d)は逆光時の被写体にストロボ光を照射したときの輝度分布を示した線図、
【図3】横軸に輝度(BV)、縦軸に画素度数ととったヒストグラムであって、(a)は逆光時又は光沢のある被写体の視認可能領域を示したヒストグラム、(b)はγ補正を小にしたときの逆光時の被写体の視認可能領域を示したヒストグラム、(c)は逆光時の被写体にストロボ光を照射した状態の被写体の視認可能領域を示したヒストグラム、(d)はγ補正を大にしたときの逆光時の被写体の視認可能領域を示したヒストグラム、
【図4】順光撮影時の被写体の視認可能領域を示すヒストグラム、
【図5】γ補正のγの値の大小によって画像の明るさがどのように入出力変換されるかの関係を示した線図、
【図6】(a)は輪郭強調回路の内部の構成を、ブロックで等価的に示した回路図、(b)は輪郭成分抽出回路での行列演算を示した図、
【図7】(a)は発光ダイオードを用いて、通常の被写体に補助光を照射する光学系統図、(b)は発光ダイオードを用いて、光沢物の被写体に補助光を照射した状態を示す光学系統図、(c)は被写体が光沢物であることを示したファインダ画像図、(d)は照射光と反射光の関係を示す図、
【図8】(a)は被写体にストロボ補助光を照射したときの反射光の輝度分布を示した線図、(b)は人物等の被写体にストロボ補助光を照射したときの反射光の輝度分布を示した線図、(c)は山登り方式のAFで撮影レンズ繰り出し量から被写体距離を求めるAF装置のブロック構成図、
【図9】本発明の第1実施の形態を示すカメラの撮影手順を示した基本フローチャート、
【図10】(a)は被写体の光沢部の領域をセンサアレイがモニタした状態を示す線図、(b)は被写体の光沢部の領域に輪郭強調を行った結果、偽輪郭が生じたことをセンサアレイがモニタした状態を示す線図、(c)は偽輪郭に、ピークキャンセル処理を行ったことをセンサアレイがモニタした状態を示す線図、
【図11】本発明の第2実施の形態を示すカメラの撮影手順を示した基本フローチャート、
【図12】本発明の第2実施の形態を示すカメラの撮影手順を示した基本フローチャート。
【符号の説明】
1…CPU(制御手段)
3…AFセンサ(測距手段)(受光手段)
5a…撮影レンズ(撮像手段)
6a…ストロボ発光部(光投射手段)
7…撮像素子(撮像手段,受光手段)
20…画像処理回路(画像処理手段)
60…発光ダイオード(光投射手段)
100…被写体
Claims (2)
- 被写体を撮像して画像データを生成する撮像手段と、上記画像データに画像処理を施す画像処理手段と、上記被写体からの光信号をモニタして上記被写体までの距離を測定する測距手段と、上記被写体に対し光を投射する光投射手段と、上記光投射手段による上記被写体からの反射光を受光する受光手段とを有するカメラにおいて、
上記被写体に上記光投射手段より光を投射し、その反射光の光信号を上記受光手段でモニタした際の受光光量を、上記測距手段により測定された被写体までの距離に基づく基準を用いて判定し、受光光量が多いと判定された場合は、上記画像処理手段により上記画像データに対して輪郭を強調する処理と、上記光信号の信号分布において所定レベル以上のピーク部を増幅し飽和させ、上記画像データの光沢形状を整える処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とするカメラ。 - 被写体を撮像して画像データを生成する撮像手段と、上記画像データに画像処理を施す画像処理手段と、上記被写体からの光信号をモニタして上記被写体までの距離を測定する測距手段と、上記被写体に対し光を投射する光投射手段と、上記光投射手段による上記被写体からの反射光を受光する受光手段とを有するカメラにおいて、
上記被写体に上記光投射手段より光を投射し、その反射光の光信号を上記受光手段でモニタした際の受光光量分布においてピーク数が所定数よりも多く、かつ上記受光光量と上記測距手段により測定された上記被写体までの距離に基づいて求められる反射率が所定値よりも大きい場合は、上記画像処理手段により上記画像データに対して輪郭を強調する処置と、上記画像データに対するγ変換の補正を変更して階調補正処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とするカメラ。
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