JP4187267B2 - 金属工作物をレーザ衝撃ピーニングする方法 - Google Patents

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Description

関連する特許出願
この出願は、継続中の米国特許出願通し番号第08/319,346号、発明の名称「ターボ機械のレーザ衝撃ピーニング加工した回転子部品」、同第08/373,133号、発明の名称「レーザ衝撃ピーニング加工したガスタービン機関のファン羽根の縁」、同第08/399,285号、発明の名称「レーザ衝撃ピーニング加工したガスタービン機関の圧縮器の羽根の縁」、及び同第08/362,362号、発明の名称「走間レーザ衝撃ピーニング」と関連を有する。
発明の背景
発明の分野
この発明はガスタービン機関の部品のレーザ衝撃ピーニング、更に具体的に云えば、レーザ衝撃ピーニングによって工作物に加えられた局在化した圧縮残留応力を発生する削摩媒質を含むテープで工作物のレーザ衝撃ピーニング加工面を接着して覆う事に関する。
関連技術の説明
レーザ衝撃ピーニング又はレーザ衝撃処理と呼ばれるのは、工作物の表面区域をレーザ衝撃ピーニング加工する事によって加えられた深い圧縮残留応力を持つ領域を作る過程である。典型的には、レーザ衝撃ピーニングは、高エネルギ・パルス型レーザからの多数の放射パルスを使って、米国特許第3,850,698号、発明の名称「材料の性質の変更」、同第4,401,477号、発明の名称「レーザ衝撃処理」及び同第5,131,957号、発明の名称「材料の性質」に記載される方法と同様に、工作物の表面に衝撃波を発生する。この業界で云われる、そしてこの明細書で用いるレーザ・ピーニングは、レーザ・ビーム源からのレーザ・ビームを利用して、塗装した又は被覆した又は被覆しない表面の瞬時的な削摩又は蒸発による爆発力を発生する事によって、表面の一部分に強い局在化した圧縮力を発生する事を意味する。レーザ・ピーニングは、工作物の外側表面に圧縮応力を加えた保護層を作る為に利用されてきたが、これは、米国特許第4,937,421号、発明の名称「レーザ・ピーニング・システム及び方法」に記載されているように、工作物の疲労破損に対する抵抗力をかなり強める事が知られている。典型的には、こういう方法は、工作物の上に流す水のカーテンを用いる。水のカーテンが閉込め媒質となって、この過程で発生された衝撃波を閉込めると共に、それをレーザ衝撃ピーニング加工しようとする部品の材料のバルクに差向け、有益な圧縮残留応力を作り出す。この閉込め媒質は、この過程で発生された破片並びに使われなかったレーザ・ビーム・エネルギを取去る為の担体としても役立つ。水は、ND:YAGビームの波長に対して透明であって、生産時に実現しやすいので、理想的な閉込め媒質である。レーザ衝撃ピーニング加工する部品上の削摩媒質を持つ工作物の表面と水との間の隙間を略ゼロにして、水のカーテンを連続的に接触した状態に保つ事が有用である事が判った。水のカーテンは1mmより大きな深さに保たなければならない場合が多い。多くの表面張力効果及び部品の形状の為、隙間を略ゼロにし、所望の深さを保つのが困難で、その結果、期待されるLSP効果がなくなる。米国特許第13DV12153、発明の名称「レーザ衝撃ピーニングの方法と装置」には、水の収容及び水のカーテンの性質を高める手段が記載されている。
レーザ衝撃ピーニングは、どんな生産技術もそうであるが、機械を用いるものであり、時間がかかり、費用がかかる。従って、生産機械の量又は複雑さを少なくし、並びに/又は生産時間を短縮する技術があれば、どんな技術でも非常に望ましい。この発明は、時間がかかる塗装及び塗料乾燥工程をそれほど時間のかからないテープ貼り工程に置換えるものである。
この発明のレーザ衝撃ピーニングによって加えられた深い圧縮残留応力を持つ領域は、米国特許第5,235,838号、発明の名称「形のずれた工作物の形直し及び整流をする方法と装置」に記載されているように、レーザ・ビームを使って工作物を局部的に加熱して硬化させる硬化作業によって誘起される、局部的に区切られた圧縮残留応力を持つ工作物の表面層区域と混同してはならない。この発明は、高エネルギのパルス型レーザからの多数の放射パルスを使って、米国特許第3,850,698号、発明の名称「材料の性質の変更」、同第4,401,477号、発明の名称「レーザ衝撃処理」及び同第5,131,957号、発明の名称「材料の性質」に記載された方法と同様に、工作物の表面に衝撃波を発生する。業界で理解され、この明細書で使われるレーザ・ピーニングとは、レーザ・ビーム源からのレーザ・ビームを利用して、表面の一部分に強い局在化した圧縮力を発生する事を意味する。レーザ・ピーニングは、工作物の外側表面に圧縮応力を加えた保護層を作る為に利用されてきており、これは、米国特許第4,937,421号、発明の名称「レーザ・ピーニング・システム及び方法」に記載されているように、疲労破損に対する工作物の抵抗力をかなり高める事が判っている。1つの問題は、レーザ衝撃ピーニング過程の製造コストが禁止的に高い事である。この発明のレーザ衝撃ピーニング過程は、レーザ衝撃ピーニング加工の為のコストを節約する方法となるように考案されている。
発明の要約
金属部品のレーザ衝撃ピーニング加工する方法が、削摩媒質を持つテープ、好ましくは、削摩層の片側に接着剤層を持つ自己接着テープによって接着して覆われた部品のレーザ衝撃ピーニング用のテープを貼った面に対してレーザを発射する。レーザ・ビームを発射した表面の上に水のカーテンを流す。特定の1つの方法は、部品を連続的に移動させる事を含み、その間同時に不動のレーザ・ビームを発射する。これによって部品の一部分の上に、比較的一定の期間をおいて反復的にパルスが加えられる。削摩媒質を蒸発させるくらいのエネルギを持つレーザ・ビームを使うと、パルスがレーザ・ビームによって表面にレーザ・ビーム・スポットを形成すると共に、レーザ衝撃ピーニング過程によって、レーザ衝撃ピーニング加工された表面から部品の中に入込む、深い圧縮残留応力を持つ領域を形成する。部品を直線的に移動して、全体的に等間隔で直線的に整合する中心点を持つ少なくとも1列の重なり合う円形レーザ・ビーム・スポットを作る事が出来るし、隣接した列のスポットが重なり合うような、全体的に等間隔で直線的に整合した中心点を持つ重なり合う円形レーザ・ビーム・スポットの2つ以上の列を作るように、部品を移動し、レーザ・ビームを発射する事が出来る。レーザ・ビームの発射及び部品の移動は、隣接した列にある隣接したスポットの中心点が、中心点が直線的に整合する線に沿った方向に、全体的に、同じ量だけ互いにずれるようにする事が出来る。レーザ発射の各々のシーケンスで、新鮮なテープを使って、こういう工程を繰返す事が出来る。
この発明の別の実施例では、レーザ衝撃ピーニング用のテープを貼った面が、1組のシーケンスを用いてレーザ衝撃ピーニング加工される。この時、表面の各々のシーケンスにテープを貼り、その後部品を連続的に移動すると共に、不動のレーザ・ビームをこの表面に対して連続的に発射し、この組の相異なるシーケンスで、隣接するレーザ・ショック・ピーニング加工した円形スポットが命中し、どの1つのシーケンスでも、レーザ・スポットが重ならないようにする。更に特定の実施例では、隣接する列の隣接するスポットの中心点が、中心点が直線的に整合している線に沿った方向に、全体的に同じ量だけ互いにずれるように、レーザ・ビームの発射及び部品の移動を行う事が出来る。
利点
この発明の利点は数多くあり、コスト、時間、人力並びにレーザ衝撃ピーニングの複雑さを引き下げる事を含む。この発明は、退屈でコストがかかり、時間のかかる塗装、塗り直し及び塗料乾燥工程をそれほど時間のかからないテープ貼り工程に置換えるものである。更にこの発明は、塗装及び乾燥に要する機械と材料をいらなくし、塗料乾燥工程を省略する事によって、この過程を一層速くする。
この発明によって得られる利点の中には、高い引張り及び振動応力の場の中で動作するように設計された、羽根のようなガスタービン機関の部品の一部分の表面をレーザ衝撃ピーニング加工するコスト効率の良い方法がある。これによってこういう部品は、ファン羽根の前縁及び後縁にある刻み目及び裂け目による疲労破損に一層良く耐える事が出来ると共に、従来の構成のファン羽根よりも寿命が延びる。この発明の別の利点は、ファン及び圧縮機の羽根及びその他の部品を、コスト効率の良い方法で構成して、普通行われているように、前縁及び後縁に沿った厚さを増加する事なく、商業的に受け入れられる寿命スパンを持つようにする事が出来る事である。この発明は、費用のかかる設計のやり直しや、現在頻繁に行われ又は必要とされているように、疑いのあるファン羽根の頻繁な交換を避けながら、従来のガスタービン機関のファン羽根の安全で信頼性のある動作が得られるように、低コストの方法を用いて、現存のファン及び圧縮機の羽根を改造する為に有利に用いる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
この発明の上記の面及びその他の特徴を、次に図面について説明する。図面では、第1図はこの発明の実施例の方法に従って処理されるファン羽根の斜視図である。
第2図は第1図の処理の済んだファン羽根の断面図である。
第3図はテープを貼ってレーザ衝撃ピーニング・システムに取付けた第1図の羽根の簡略斜視図で、この発明の方法を例示している。
第3A図は、第3図の設定の部分的な断面図並びに部分的な略図である。
第4図は、第2図のファン羽根の前縁に沿ったレーザショックピーニング加工した面上のレーザ衝撃ピーニング加工した円形スポットのパターンを示す略図である。
第5図は所定のシーケンス内で重なり合う事のないレーザ衝撃ピーニング加工した円形スポットの4つのシーケンスを持つ特定のパターンの略図である。
発明の詳しい説明
第1図及び第2図には、この発明の1実施例によるレーザ衝撃ピーニングを行う一例の航空機用ターボファン・ガスタービン機関のファン羽根8が略図で示されている。ファン羽根8が、羽根の台部36から羽根先端38まで半径方向外向きに伸びるエーロフォイル34を有する。ファン羽根8が、台部36から根元部分40の半径方向内側端37まで半径方向内向きに伸びる根元部分40を有する。根元部分40の半径方向内側端37に羽根の根元42があり、これが羽根の軸部44によって台部36に接続される。エーロフォイル34は、エーロフォイルの前縁LE及び後縁TEの間で弦方向に伸びる。エーロフォイル34の弦Cが、第2図に示すように、羽根の各々の断面で、前縁LE及び後縁TEの間の線である。エーロフォイル34の圧力側46は、矢印Vで示す全体的な回転方向を向いており、吸込み側48がエーロフォイルの反対側にあり、中心線MLが全体的に弦方向で2つの面の大体中間に配置されている。
ファン羽根8が、羽根の台部36から羽根先端38までエーロフォイル34の前縁LEに沿って伸びる前縁部分50を有する。前縁部分50が予定の第1の幅W1を持っていて、前縁部分50は、エーロフォイル34の前縁に沿って起こり得る刻み目52並びに裂け目を持っている。エーロフォイル34は、機関の運転中に回転するファン羽根8によって発生される遠心力の為、かなりの引張り応力の場にある。エーロフォイル34は、機関の運転中に発生される振動も受け、刻み目52及び裂け目が高サイクル疲労応力の起こる場所となって、それらの周りに余分の応力集中を生じる。
刻み目及び裂け目に発生してそこから広がる恐れのあるひび割れ線に沿った羽根の一部分の疲労破損に対抗する為、圧力側46及び吸い込み側48の少なくとも一方、好ましくは両方が、第2図にみられるように、レーザ衝撃ピーニング面54とレーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられ、レーザ衝撃ピーニング面からエーロフォイル34の中に入り込む深い圧縮残留応力を持つ、予め応力が加えられた領域56とを有する。予め応力を加えられた領域56が、幅W1の範囲全体まで、弦方向に前縁部分50と同長であって、幅W1の少なくとも一部分に亘って合体するくらいに、エーロフォイル34の中に深く入っている事が好ましい。予め応力を加えられた領域56が、前縁LEに沿って半径方向に前縁部分50と同長である事が示されているが、これより短くても良い。
第3図及び第3A図には、この発明のレーザ衝撃ピーニング方法及び装置1に従って、「走間に」レーザ衝撃ピーニング加工を行う為に、羽根を移動し且つ位置決めする為に使われるロボット・アーム28に取付けられた羽根8が示されている。この発明を前縁部分50のレーザ衝撃ピーニングに使う場合を例示するが、この発明の実施例では、図示のように、レーザ衝撃ピーニング面54が、接着テープ層59によって覆われていて、重なり合うレーザ衝撃ピーニング加工された円形スポット58を有する。従来のレーザ衝撃ピーニング過程では、レーザ衝撃ピーニング面54は、レーザ衝撃ピーニングの各々のシーケンスの前に塗装されている。然し、この発明では、レーザ衝撃ピーニング面54を少なくとも1つのテープ層59で接着によって覆って、レーザ衝撃ピーニング用のテープ貼り面55を作る。然し、この発明では、2つ以上の層を使う事も考えられ、それも特許請求の範囲に含まれる。テープ59は良好な削摩媒質であると共に接着性媒質であるべきである。テープ59が、第3A図に示すように、接着材料の接着層60と削摩材料の削摩層61を持つ自己接着性である事が好ましい。削摩層の適当な材料は、ビニル・プラスチック・フィルムのようなプラスチック及び箔を含む。テープ59に対する適当な1つの供給源はスコッチ・ブランドNo.471のプラスチック・フィルム・テープであり、これに厚さ約0.102mmの黒色顔料入りのビニル・プラスチックの支持体及び厚さ約0.025mmのゴム接着層を設ける事が出来る。接着層を持たないテープ59の形をした削摩媒質を、レーザ衝撃ピーニング面54に直接的に適用した適当な接着材料と共に使う事が出来る。テープ59を衝撃ピーニング面59にこすりつけ又はその他の方法で圧接して、テープとレーザ衝撃ピーニング面の間に泡が残るのを除くべきである。テープは、この発明では、面54の被覆と考えられる。ファン羽根8は、羽根の台部36から羽根先端38までエーロフォイル34の後縁TEに沿って伸びる後縁部分70をも有する。後縁部分70は予定の第2の幅W2を持ち、第2図にみられるように、レーザ衝撃ピーニング面54,及びレーザ衝撃ピーニング(LSP)によって加えられ、レーザ衝撃ピーニングが加えられた面からエーロフォイル34に入り込む深い圧縮残留応力を持つ、予め応力が加えられた領域56を形成する事が望ましい。
閉込め手段は、給水管19の端にある給水ノズル20から供給された水21のような澄明な流体のカーテンである。図に示すレーザ衝撃ピーニング装置1がレーザ・ビーム装置を含む。この装置は、発振器及び前置増幅器を持つ発生器31と、予め増幅されたレーザ・ビームを、何れも夫々第1及び第2の増幅器30、32を持つ2つのビームの光学伝送回路に供給するビーム分割器と、レーザ・ビーム2を伝送すると共に、レーザ衝撃ピーニング用のテープ貼り面55に集束する光学素子を含む光学系35とを含む。制御装置24を使ってレーザ・ビーム装置を変調すると共に、制御された形でレーザ・ビーム2をレーザ衝撃ピーニング用のテープ貼り面55に発射する事が出来る。
予め圧縮応力が加えられた領域56でレーザ・ビームの衝撃によって誘起された深い圧縮残留応力は、全般的に約345−1034MPa(メガパスカル)であって、レーザ衝撃ピーニング面54から、レーザ衝撃によって誘起された圧縮残留応力が加えられた領域56の中に約0.51−1.27mmの深さに入込んでいる。レーザ・ビーム衝撃によって誘起された深い圧縮残留応力は、レーザ衝撃ピーニング用のテープ貼り面55に対して±数十×0.0026mm以内の焦点外れの高エネルギのレーザ・ビーム2を反復的に発射する事によって発生される。典型的には、レーザ・ビーム2は、ギガワット/cm2級程度の尖頭エネルギ密度を持ち、テープ貼り面55の上に流される流水のカーテン21を介して発射される。削摩層が削摩され、プラズマを発生し、その結果材料の表面に衝撃波が発生する。こういう衝撃波が流水のカーテンによってテープ貼り面に差し向けられ、テープ貼り面の下方にある材料内に進行衝撃波(圧力波)を発生する。こういう衝撃波の振幅及び量が、圧縮応力の深さ及び強度を決定する。テープは、標的面を保護する為並びにプラズマを発生する為に使われる。削摩されたテープ材料が流水のカーテンによって洗い流される。
第4図に示すように、レーザは逐次的に「走間に」発射して、レーザ衝撃ピーニング用のテープ貼りした面55への複数の発射からなるシーケンスを2以上受けることにより、レーザ衝撃ピーニング用のテープ貼りした面55がレーザ衝撃ピーニングを受けるようにする事が出来る。この発明の好ましい実施例の方法は、テープ貼りした面に対してレーザ・ビームを連続的に発射しながら羽根を連続的に移動して、隣接したレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポットが異なるシーケンスで命中するようにする事が出来る。然し、この代わりに、ビームと面の間の相対的な移動が行われるならば、レーザ・ビームを移動しても良い。
第4図及び第5図は、このような4つのシーケンスS1乃至S4のレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポット58(円で示す)のパターンを示す。隣接していないレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポット58の対応する中心Xが列の中心線62にあるという特徴を例示する為に、S1シーケンスが実線の円で示され、これに対して他のシーケンスは破線の円で示されている。複数のシーケンスのパターンがレーザ衝撃ピーニング用のテープ貼り面55の全体を覆っている。レーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポット58は、重なり合うレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポットの列64内で直径Dを持っている。このパターンは、レーザ衝撃ピーニング用のテープ貼り面55上の重なり合う衝撃ピーニングを受けた円形スポットの多数の重なり合う列64であって良い。第1の重なりは、所定の列内の隣接したレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポット58の間にあり、全体的に、隣接したレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポット58の中心Xの間の第1のずれO1によって定められ、直径Dの約30%−50%又はそれ以上に亘って変わり得る。
第2の重なりは、隣接する列内の隣接するレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポット58間にあり、隣接する列の中心線62の間の第2のずれO2によって全般的に限定され、レーザ・ビームの用途と強度又はなだらかさに応じて、直径Dの約30%−50%に亘って変わり得る。第3の重なりは、隣接した列64にある隣接したレーザ衝撃ピーニングを受けた円形スポット58の中心Xの間の直線的なずれO3の形であって、特定の用途に応じて、直径Dの約30%−50%に亘って変わり得る。
この方法は、エーロフォイルの表面には目立った影響又は損傷が全くなしに、未使用又は未使用に近いテープだけが削摩されるように設計されている。これは、羽根の動作に望ましくない空気力学的な影響を他の形で起こすかもしれないような、レーザによる小さな汚点又は再溶解部でも出来ないようにする為である。パターン全体を覆うにはいくつかのシーケンスが必要になる事があり、レーザ発射の各々のシーケンスの合間にレーザ衝撃ピーニング面54のテープの貼り直しが行われる。
各々のシーケンスを発射するレーザは、いくつかのレーザ発射又はパルスを持ち、発射の間にはよく「レップ」と呼ばれる期間を置く。レップの間、次のパルスが次のレーザ衝撃ピーニングを受ける円形スポット58の場所で発生するように、部品を移動する。部品を連続的に移動すると共に、レーザ・ビームのパルス又は発射の時に適切な場所にあるようにタイミングを計るのが好ましい。各々のシーケンスの1回又は更に多くの繰返しを使って、各々のレーザ衝撃ピーニングを受ける円形スポット58に1回よりも多く命中させる事が出来る。これによって、各々の発射又はレーザ・パルスに一層少ないレーザ・エネルギを使う事が出来る。この発明の1例は、長さ約28cmのエーロフォイル、約8.9cmの弦C、及び前縁LEに沿って長さ約5.1cmのレーザ衝撃ピーニング面を持つファン羽根8である。レーザ衝撃ピーニング面54の幅(W1)は約1.3cmである。前縁LEに最も近い第1列64のレーザ衝撃ピーニングを受ける円形スポット58は、レーザ・スポットの直径Dの約20%、即ち、約0.69cmだけ、前縁の先に延びており、こうして、前縁から約1.4cm伸びる、レーザ衝撃ピーニング面54の下方の予め応力が加えられる領域56に深い圧縮残留応力を加える。連続的なレーザ発射の4つのシーケンス及び羽根の移動を使う。レーザのレップの間の発射が、削摩されていないテープを貼った面上にあるスポット58に対してなされ、これは各々のシーケンスの合間にテープの貼り直しを必要とする。
各々のスポット58に3回命中し、その為、レーザ衝撃ピーニング面54の合計12回のテープ貼り及び貼り直しに対し、4回のシーケンスを3組使う。
第5図には、この発明によるレーザ衝撃ピーニング過程の別の実施例が示されている。この過程は、5列のレーザ衝撃ピーニングを受けるスポットを使い、レーザ衝撃ピーニング面54の区域全体をS1、S2、S3及びS4で表す4つのシーケンスでカバーする事により、ファン羽根の前縁の全部又は一部分をレーザ衝撃ピーニングする為に使う事が出来る。レーザ衝撃ピーニング過程が最初のシーケンスから開始される。このシーケンスでは、羽根を連続的に移動し、レーザ・ビームを連続的に発射し又はパルス駆動する間に、シーケンス1で、4つ毎のスポットがレーザ衝撃ピーニングを受ける。部品はS1のような所定のシーケンスで、隣接したレーザ衝撃ピーニングを受けるスポットの間を移動するように調時される。このタイミングは、羽根に対する連続的なレーザ発射のパルスの間のレップと一致する。5列全部の重なり合うレーザ衝撃ピーニングを受ける円形スポット58は、或る距離だけ隔たった各々のシーケンスのスポットを含んでおり、この為レーザ衝撃ピーニングを受ける同じシーケンスの他の円形スポットは、その周りのテープに影響しない。シーケンス1の前に最初のテープ貼りが行われるが、このシーケンス1が、図4では完全な円で示されており、これに対してシーケンスS2、S3及びS4などにおける他のレーザ衝撃ピーニングを受けるスポットは、破線、一点鎖線及び二点鎖線で示されている。シーケンスS1及びシーケンスS2の間のように、次のシーケンスの前に、レーザ衝撃ピーニングを加えようとするレーザ衝撃ピーニング面54の区域全体にテープを貼り直す。このようにテープを貼り直す手順により、レーザ衝撃ピーニング面の裸の金属に直接的にレーザ・ビームが命中する事が避けられる。列の間及び隣接するスポットの間の間隔が約30%で、5列の区域をカバーする場合、1回のテープ貼り及び3回のテープの貼り直しが必要になり、この為実際には部品は合計4回テープ貼りが行われ、これは、その代わりに用いられていた塗装及び塗り直しよりも、人力及び機械を使う事が一層少なく、一層速くなる。ファン羽根のような所定の部品を2列乃至5列でレーザ衝撃ピーニングする事が望ましい事が判った。更に、各々のスポット58を3回又は更に大きな回数だけレーザ衝撃ピーニングする事が望ましい事が判った。各々のスポット58に3回命中するとすると、合計12回のテープ貼り、即ち、1回のテープ貼りと11回のテープの貼り直しが、シーケンスS1−S4の3組に対して必要になる。
この発明の好ましい実施例を、その考えを説明する為に詳しく説明したが、請求の範囲に定められたこの発明の範囲を逸脱せずに、好ましい実施例に種々の変更を加える事が出来る事を承知されたい。

Claims (12)

  1. 金属工作物(48)をレーザ衝撃ピーニングする方法に於て、
    削摩媒質を持つテープ(59)を用いて、金属工作物のレーザ衝撃ピーニング面とする面(54)を接着によって覆う事により、テープを貼った面(55)を形成し、レーザ・ビーム及び前記工作物の間で連続的な移動を行わせる間、前記工作物のテープを貼った面に対して、定の期間の合間に反復的にパルスを発生するレーザ・ビームを連続的に発射する工程を含み、
    前記レーザ・ビームを発射する工程においては、
    前記レーザ・ビームを前記テープの削摩媒質(61)を蒸発させるのに十分なエネルギを持つレーザ・ビームとすると共に前記工作物に貼られたテープの上に流体カーテン(21)を流し、前記レーザ・ビームのパルスによりレーザ衝撃ピーニングを受けた複数のレーザ・ビーム・スポット(58)を前記テープ上に形成し、前記レーザ・ビーム・スポットが、重なり合うようなパターンとなるよう前記レーザ・ビームと前記工作物とを相対的に移動させて前記工作物にレーザ衝撃ピーニング面(54)を形成し、且つ、前記レーザ衝撃ピーニングによって加えられた圧縮残留応力を持つ領域(56)を前記レーザ衝撃ピーニング面から前記工作物の中に入込むように形成させる
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記工作物が圧力側(46)及び吸込み側(48)を備えるエーロフォイルであり、該圧力側(46)及び吸込み側(48)を同時にレーザ衝撃ピーニングする事を含む請求項1記載の方法。
  3. 前記レーザ・ビーム・スポットは円形であり、
    工作物を直線的に移動すると共に、レーザ・ビームを不動に保って、前記スポットの中心点(X)が等間隔で離間し且つ直線(62)上に並ぶスポットの列(64)を複数形成させる請求項1記載の方法。
  4. 前記スポットの列(64)は、ひとつの列(64)のスポットの中心点(X)が隣接する列スポットの中心点前記直線(62)沿った方向で全体的に同じ分だけ互いにずれるようにする請求項3記載の方法。
  5. 前記レーザ・ビームを発射する工程は複数のシーケンス(S1〜S4)からなり、前記複数のスポットは隣接するスポットが異なるシーケンスにおいて形成され、且つ、各シーケンスの合間に前記テープを貼り直すことを特徴とする請求項3記載の方法。
  6. 前記スポットの列(64)は、ひとつの列(64)のスポットの中心点(X)が隣接する列スポットの中心点前記直線(62)沿った方向で全体的に同じ分だけ互いにずれるようにする請求項5記載の方法。
  7. 前記テープが、削摩媒質を含む削摩層の片側に接着剤層を持つ接着テープである請求項1記載の方法。
  8. 前記レーザ衝撃ピーニング面とする面の一部分が2つ以上の前記接着テープ覆われ請求項1記載の方法。
  9. 前記接着テープがプラスチック・テープである請求項1記載の方法。
  10. 前記流体が澄明である請求項1記載の方法。
  11. 前記澄明な流体が水である請求項10記載の方法。
  12. 金属工作物をレーザ衝撃ピーニングする方法に於て、
    工作物の表面部分に接着性支持体と金属箔とを備えるテープを接着する事により、金属箔で前記工作物の表面部分を覆い、前記工作物を連続的に移動しながら、該工作物のテープを貼った面に対し一定の期間の合間に反復的にパルスを発射する不動のレーザ・ビームにして前記金属箔を蒸発させるのに十分なエネルギを持つレーザ・ビームを連続的に発射する工程を含み、
    前記レーザ・ビームを発射する工程においては、
    前記工作物に貼られたテープの上に流体カーテン(21)を流し、前記レーザ・ビームによりレーザ衝撃ピーニングを受けたレーザ・ビーム・スポットを前記金属箔上に形成し、前記レーザ・ビーム・スポットが、重なり合うようなパターンとなるよう前記レーザ・ビームと前記工作物とを相対的に移動させて前記工作物にレーザ衝撃ピーニング面(54)を形成し、且つ、前記レーザ衝撃ピーニングによって加えられた圧縮残留応力を持つ領域を前記レーザ衝撃ピーニング面から前記工作物の中に入込むように形成させる
    ことを特徴とする方法。
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