JP4186022B2 - トレッドミル運動負荷試験における虚血性心疾患診断のための心電図解析装置 - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

トレッドミル運動負荷試験とは、虚血性心疾患（狭心症、心筋梗塞）の診断を行うために、患者に心電図を装着監視し、ベルトの上を歩かすことで徐々に運動負荷を加え、負荷前後の心電図変化を確認することで虚血性心疾患の有無を判定する検査である。トレッドミル運動負荷試験の判定結果は重要であり、陽性であれば冠動脈に狭窄病変があることが予想され、急性心筋梗塞を発症する前に心臓カテーテル検査を行い、冠動脈形成術を行う必要がある。しかし、トレッドミル運動負荷試験結果の精度が低いと、虚血性心疾患を見逃したり、不必要に心臓カテーテル検査が行われる危険性がある。この発明はトレッドミル運動負荷試験における虚血性心疾患診断のための新しい心電図解析装置に関するものである。

従来の方法では、虚血性心疾患であれば運動負荷により心電図のＳＴのレベルは低下するので、このＳＴの変化を読みとることで陽性か否か判定していた（標準判定法）。しかし、このＳＴレベルはジギタリス（強心剤）服用中の患者、高血圧症により心肥大を認める患者、ＷＰＷ症候群の患者、その他健康人女性の一部でも変化するため、これらの患者での標準判定法によるＳＴ低下の評価は虚血性心疾患を判定を複雑にし、鑑別が困難となる問題があった。ＳＴ／ＨＲｓｌｏｐｅと呼ばれ、運動負荷中のＳＴ低下度を心拍数で補正し、虚血性心疾患の診断精度を上げようとする方法も考案されたが、多くの追試論文により診断精度は必ずしも優れてはいないことが判明している。（Ｆｌｅｔｃｈｅｒ ＧＦ：Ｃｉｒｃｕｌａｔｉｏｎ１０４：１６９４，２００１）。

発明が解決しようとする課題

したがって、トレッドミル運動負荷試験では、虚血性心疾患を正しく診断するために、より感度、特異度ともに精度の高い心電図解析方法が必要である。本発明は、この問題を解決するためのものである。

課題を解決するための手段

その構成を説明すると、
（イ）レッドミル運動負荷中の心電図のＳＴレベルの変化を１５秒毎に計測する。
（ロ）Ｘ軸方向に時間経過を、Ｙ軸方向にＳＴレベルを示す座標に（イ）の数値をプロットする。
（ハ）（ロ）のプロット上の、負荷終了時から負荷終了前の５ポイントめと負荷終了時から負荷終了後の５ポイントめをそれぞれ線で結び、Ｘ軸と形成される角度をθＥ、Ｙ軸と形成される角度をθＲとする。
（ニ）（ハ）で求められたθＥとθＲの数値を掛け合わせ、得られた数値をＢｉ−Ａｎｇｌｅ Ｓｃｏｒｅと命名、Ｂｉ−Ａｎｇｌｅ Ｓｃｏｒｅの数値が１５００以上を心筋虚血陽性と診断する。
以上のように解析する。

次に本発明の実施の形態を実際の検討結果をもとに説明する。トレッドミル運動負荷にてＳＴ低下の認められた患者７３名に対して、心臓カテーテル検査を行い虚血性心疾患を診断し、標準判定法とＳＴ／ＨＲ ｓｌｏｐｅ法、Ｂｉ−Ａｎｇｌｅ Ｓｃｏｒｅ法でそれぞれの診断精度を調査、比較を行った。その結果、標準判定法の感度、特異度は６８．４％と３４．３％であり、ＳＴ／ＨＲ ｓｌｏｐｅ法の感度、特異度は７１．１％と６５．７％であった。これに対し、Ｂｉ−Ａｎｇｌｅ Ｓｃｏｒｅ法では感度、特異度は８１．６％と８８．６％であり、従来の方法論よりＢｉ−Ａｎｇｌｅ Ｓｃｏｒｅ法は感度、特異度ともに優れた診断精度であることが判明した。

発明の効果

したがって、本発明であるＢｉ−Ａｎｇｌｅ Ｓｃｏｒｅ法をもとに、トレッドミル運動負荷試験の判定がなされることにより、多くの病院にて精度の高い虚血性心疾患の診断が可能となり、疾患の見逃しや不必要な追検査および処方などが改善されることが期待できる。

本発明の解析図

Claims (1)

1. トレッドミル運動負荷試験において１５秒毎に計測した心電図のＳＴレベルを、Ｘ軸及びＹ軸にそれぞれ時間及びＳＴレベルを示す座標平面上にプロットし、
   前記座標平面において、負荷終了時のＳＴレベルをプロットした座標と負荷終了時の７５秒前のＳＴレベルをプロットした座標とを結ぶ第１の線とＸ軸負方向に延びる線との間に形成される角度θＥと、前記座標平面において、負荷終了時のＳＴレベルをプロットした座標と負荷終了時の７５秒後のＳＴレベルをプロットした座標とを結ぶ第２の線とＹ軸正方向に延びる線との間に形成される角度θＲと、を掛け合わせて虚血性心疾患の診断指数を得る、
   ことを特徴とする心電図解析方法。

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