JP4185518B2 - 磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents

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Description

本発明は情報の記録・再生を行う磁気記憶装置に用いられるハードディスク等の磁気記録媒体に関する。特に、再生出力の分解能を向上させ且つノイズ低減を図り高記録密度を実現できる磁気記録媒体に関する。
近年の情報処理技術の発達に伴い、コンピュータの外部記憶装置として用いられる磁気ディスク装置については高密度化の要求が益々高まっている。この要求を満たすためは磁気記録媒体からの再生出力の分解能を向上させること及びノイズの低減を図ることが必要である。
一般的な面内記録(長手記録)タイプの磁気記録媒体について、再生波形のパルス幅Pw50は媒体の静磁気特性である保磁力Hc、残留磁化Br、磁気記録層厚tを用いて下記式(1)のように示されることが知られている。
Pw50 =(2(a+d)2+(a/2)21/2 …… (1)
但し、a∝(t×Br/Hc)1/2 であり、dは磁気スペーシングである。
一般的に上記パルス幅Pw50が狭い程、記録再生信号の分解能が向上することが知られている。よって、磁気記録媒体の高密度化のためには、磁気記録層厚tを薄くし、高い保磁力Hcを有するように形成することが必要であることが分かる。
また、磁気記録媒体に求められる他の重要な特性として高S/Nm(出力対媒体ノイズ比)化がある。このような磁気記録媒体のノイズ低減化を促進するには、例えば磁気記録層を形成する磁性粒子の微細化、及び磁性粒子間の磁気的相互作用を抑制することが必要である。そこで、磁気記録媒体のS/Nmを改善する手法として、例えば特開平8−31638号公報で開示される技術の提案がある。この技術では、磁気記録媒体の磁気記録層に6〜20at%(原子%)のCrと9at%以下のTaを含むCo系合金膜に、Cuを0.5〜7at%を含有せせることにより粒径を微細化して、上記S/Nmを改善することが記載されている。
特開平8−31638号公報
前記特開平8−31638号公報では、Crの濃度が6〜20at%であるようなCo系合金の磁性膜へCuを含有させることにより磁気記録媒体のS/Nmを改善できることが開示されている。しかしながら、最近ではより高密度記録が可能な磁気記録用媒体への要求が高く、ここで開示されている組成の磁気記録層を有する磁気記録媒体ではその要求を十分に満たすことができない。
また、磁気記録層の特性を向上させることに関して、異方性磁界(Hk)を改善に関する検討や、磁気記録層の層厚(t)とその残留磁束密度(Br)の積t・Brの値が低い側での保磁力Hcの低下を抑制することに関して種々の検討がなされているが、何れも具体的な手段を開示するものではない。
さらに、前述した磁気記録媒体の高密度化との関係で、最近特に重大な課題であると指摘されているもの1つに所謂、「熱揺ゆらぎ」による問題がある。この熱揺らぎは、磁気記録層の層厚tを薄くしたり、結晶粒子径を小さくすると磁気的緩和(残留磁化の減少)が進む現象であり、磁気記録媒体においては抑制すべき現象である。
すなわち、磁気記録媒体の高記録密度化のため重大な課題の1として耐熱揺らぎ性の向上がある。その一方で、磁気記録媒体の記録密度を向上させるためにはノイズの低減が必須であり、その為には前述したように磁気記録媒体のtBr値を低くすることへの要求がある。
また、Neel−Arrhenius等によると磁気記録媒体の磁化の緩和は、下記式(2)で示される緩和時間(τ)に従うことが知られている。

τ-1=f0exp(−ΔE/kT) …… (2)
但し、ΔE=KuV(1−H/H01/n ;n=2/3であり、
Ku=Hk・Ms/2、H=He+Hdである。

ここで,f0はスピン歳差運動の周波数で10(S−1)であり、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Kuは磁気異方性エネルギー定数、Vは実効的な粒子の体積、H0は熱揺らぎが無い場合のイントリンジック(固有)な保磁力、Msは飽和磁化、Heは外部磁界、Hdはビットトランジッションでの反磁界、Hkは異方性磁界である。
上記式(2)を参照すると、磁気記録媒体のノイズ低減のために前述した低tBr化を図ろうとすると上式(2)の実効的な粒子の体積V若しくは飽和磁化Msの低下を招来して緩和時間(τ)が短くなる。よって、耐熱揺らぎ性が低下して時間と共に再生出力が低下し易くなる。
そこで、最近、上記のように低tBr化を図りつつ十分な耐熱揺らぎ性を確保するため、異方性磁界Hkを向上させKuV(磁気異方性エネルギー定数×実効的な粒子の体積)を高い値に保つことができるような技術への要請も高くなっている。
また、磁気記録層の保磁力Hcも測定温度と測定時間の関数であり、上記熱揺らぎの影響を受け易く、一般の磁気記録媒体では温度が高い程、保磁力Hcの値が低く測定される。リマネンス保磁力Hcrの値は下記式(3)に従うことが知られている。
Hcr/H0=1−{Cln(f0tim/ln2)}n …… (3)
但し、C−1=ΔE/kTである。
ここで、timは外部磁界(He)が印加されている時間である.
よって、低tBr化して熱揺らぎの影響を受け易い磁気記録媒体では、通常では保磁力Hcの値が低下する。そして、耐熱揺らぎ性の低下と共にS/Nmも低下してしまう。
前述したように、磁気記録媒体で高密度化を図るためには、低いtBr値(低tBr)でも高い保磁力Hcが得られるように磁気記録層の磁気的特性を設定することが良いことは確認されているものの、前述したように磁気記録層の磁気的特性は相互に影響を与えており、特に熱揺らぎの問題を抑制しつつ、低tBrでしかも高い保磁力Hcを有する磁気記録媒体を作成することは極めて困難であるとされている。
したがって本発明の主な目的は、高い保磁力Hcを有する磁気記録層を形成して、再生出力の分解能と共に低ノイズ性も向上させて高記録密度化が可能な磁気記録媒体を提供することである。
上記目的は請求項1に記載される如く、非磁性支持体と、該非磁性支持体の上方に形成される下地層と、該下地層の上方に形成された中間層と、該中間層の上方に形成された少なくとも2層の磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、前記下地層は、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン及びバナジウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含むクロム系合金層を少なくとも1層含み、前記中間層の膜厚が1nm〜5nmで、前記中間層はhcp構造を有するコバルト系合金からなり、前記中間層の飽和磁束密度(Bs)は0.4〜0.6Tに設定され、前記少なくとも2層の磁気記録層は、いずれもCoCrPtBCuからなる合金磁気記録層であり、前記CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層の組成をCo(α)−Cr(β)−Pt(γ)−B(δ)−Cu(ε)と表したときに、α、β、γ、δ及びεのそれぞれは含有at%を示し、20≦β≦26、6≦γ≦20、1≦δ≦7、2≦ε≦7、および残部はαの範囲に設定される、構成により達成される。
請求項1記載の発明によれば、所望の保磁力Hc、例えば2000(×1/4π kA/m)以上を得ることができる。よって、再生出力の分解能を向上させると共にノイズ低減が図られているので、高記録密度化が可能な磁気記録媒体として提供できる。本磁気記録媒体は高い異方性磁界を有し、前述した耐熱揺らぎ性においても優れている。
また、上記Co(α)−Cr(β)−Pt(γ)−B(δ)−Cu(ε)の組成で示される合金磁気記録層は、コバルト系の合金である。クロムの含有率β(at%)、白金の含有率γ(at%)、硼素の含有率δ(at%)及び銅の含有率ε(at%)の総和が例えば55at%であれば、100−55=45がαであり、コバルトの含有率は45at%となる。
また、前記中間層の飽和磁束密度(Bs)は0.4〜0.6Tとするのが好ましい。磁気記録層の低tBrと高Hcを維持しつつ磁気記録層の面内配項性の向上を図ることができるからである。
また、上記モリブデン等を含有したクロム系合金の下地層は磁気記録層の面内配向性を向上させるのでより良好な磁気記録媒体とすることができる。
さらに、下地層と磁気記録層との間にコバルト系合金層中間層として介在させることで、磁気記録層の面内配向性をさらに向上させることができる。上記中間層は、磁気記録層のC軸の面内配向性を向上させるようなhcp構造を有するコバルト系合金である。このようなコバルト系合金としては、例えばコバルト−クロム−タンタル(CoCrTa)があり、1〜5nm程度の膜厚に形成する。上記中間層として採用できるコバルト系合金としては、他にCoCrB、CoCrPtB、CoCrPtBCu等がある。
また、請求項2の記載の如く、非磁性支持体と、該非磁性支持体の上方に形成される下地層と、該下地層の上方に形成された中間層と、該中間層の上方に形成された少なくとも2層の磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、
前記下地層は、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン及びバナジウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含むクロム系合金層を少なくとも1層含み、前記中間層の膜厚が1nm〜5nmで、前記中間層はhcp構造を有するコバルト系合金からなり、前記中間層の飽和磁束密度(Bs)は0.4〜0.6Tに設定され、前記少なくとも2層の磁気記録層のうち少なくとも一層は、CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層であり、前記CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層の組成をCo(α)−Cr(β)−Pt(γ)−B(δ)−Cu(ε)と表したときに、α、β、γ、δ及びεのそれぞれは含有at%を示し、20≦β≦26、6≦γ≦20、1≦δ≦7、2≦ε≦7、および残部はαに設定されるものであって、前記少なくとも2層の磁気記録層のうち少なくとも他の一層は、CoCrPtBからなる合金磁気記録層であり、前記CoCrPtBからなる合金磁気記録層の組成は、前記CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層の組成とは、異なるものである構成とすることができる。
また、請求項3の記載の如く、請求項1または2に記載の磁気記録媒体において、前記少なくとも2層の合金磁気記録層の層厚tと残留磁束密度Brとの積t・Brが2.0〜7.0nTmである構成とすることができる。
また、t・Br値は、本磁気記録媒体を設計する際の合金磁気記録層の層厚tと残留磁束密度Brとにより相対的に定められる。よって、層厚tと残留磁束密度Brのそれぞれは広い値を取り得るが、例えば磁気記録層の層厚(t)は10〜25nmである。
また、請求項に記載の如く、請求項1から3のうち、いずれか一項記載の磁気記録媒体において、前記下地層は複数の前記クロム系合金層で形成され、前記非磁性支持体側に近い下側層となる程、当該各クロム系合金層に含むクロム以外の元素の比率が低い構成とすることもできる。
請求項記載の発明によれば、非磁性支持体側に近いクロム系合金層はクロムの含有率が高く、反対側(磁気記録層側)はクロムの含有率が低い。このような磁気記録媒体は高S/N性と良好な面内配向性を有すると共に、Texture処理を施した基板上に形成した場合には磁気記録層のC軸の円周方向への配向性も良化する。
なお、上記磁気記録媒体は、成膜開始時温度を160〜300℃の範囲として前記下地層を形成して製造することが好ましい。この場合より高いS/N性を有した磁気記録媒体を製造できる。
また、請求項5に記載の如く、請求項1〜4のうち、いずれか一項記載の磁気記録媒体と、磁気抵抗効果型ヘッドとを備える磁気記憶装置も本発明の範疇に含む。
請求項5記載の発明によれば、前述したような高記録密度化した磁気記録媒体を搭載しているのでより多くの情報を記録・再生できる磁気記憶装置として提供できる。
本発明によれば磁気記録媒体のt・Brが低い値であっても所望の保磁力Hcを得ることができる。よって、再生出力の分解能を向上させると共にノイズ低減が図られているので、高記録密度化が可能な磁気記録媒体として提供できる。このような磁気記録媒体は高い磁気異方性磁界を有し、耐熱揺らぎ性においても優れている。
以下には本発明の実施例に係る磁気記録媒体を図面に基づき説明する。
図1は本発明の第1実施例に係る磁気記録媒体10の層構成を示した図である。磁気記録媒体10は非磁性である支持体11上に、下地層、磁気記録層、カーボン系(C系)保護膜等を下から順次積層した基本構造を有している。非磁性の支持体11としては、Al基板を用いることができその表面に無電解メッキによるNiP膜をコートし、その表面にテクスチャ処理を施しておくことが好ましい。
支持体11上に形成される下地層は非磁性層であり、純クロム単独の層或いはクロムを主成分とするクロム系合金を用いる。この下地層は1層でも複数層でもよい。この下地層にはこの上に成膜される磁気記録層15の面内配向性を向上させる観点からクロム系合金を用いることが好ましい。よって、下地層を1層とするときはクロム系合金層とすることが推奨される。また、下地層を2層以上とするときには支持体11側(下側)の下地層はクロムの含有率が高く、磁気記録層15側(上側)の下地層はクロムの含有率を低くすることが望ましい。
図1では、純クロム(Cr)単独層12とクロムとモリブデン(CrMo)のクロム系合金層13との2層で下地層が構成されている。このクロム系合金層は、モリブデンの他にタンタル、チタン、タングステン、バナジウムを用いて形成することができる。これら元素を複数組合せたクロム系合金により下地層を形成してもよい。
上記下地層13の上部には、磁気記録層15が形成される。本第1実施例の磁気記録層15は、コバルト(Co)を主成分とし、クロム(Cr)、白金(Pt)、硼素(B)及び銅(Cu)を所定の組成で含むコバルト系合金で形成される合金磁気記録層である。磁気記録層15は1層であっても、複数層であってもよい。上記CoCrPtBCuを含む合金層からなる磁気記録層を少なくとも1層含めばよい。2層以上で磁気記録層を形成するときには、全ての層について同様に所定組成を有するCoCrPtBCuの合金層としてもよいし、所定組成を有さない磁気記録層を含んでいてもよい。図1の場合は所定組成のCoCrPtBCuから成る磁気記録層15が示されている。
本発明の磁気記録媒体10では、必須ではないが、上記下地層13と磁気記録層15との間に中間層を配設しておくことが推奨される。図1の場合は、下地層13と磁気記録層15の間に、CoCrTaから成る中間層14が形成されている。この中間層15はコバルト系合金で形成することが好ましいく、例えば1〜5nmの層厚である。さらに、上記磁気記録層15上にはC系保護膜が設けられている。
上記磁気記録媒体10は従来の薄膜形成技術を用いて、非磁性支持体11上に前述した各層を順次成膜して製作される。例えば、無電解メッキNiP膜がコートされた非磁性支持体11としてのAl基板表面にテクスチャ処理を施す。その後、スパッタリング法により下からCr、CrMoから成る下地層12、13を形成し、CoCrTaの中間層14を形成する。さらにCoCrPtBCuの磁性膜15及びC系保護膜17を順次形成して積層構造とする。
その際、下地層12、13の成膜前にスパッタ室内を例えば4×10−5Pa以下となるように排気を行う。次に、基板11の温度が220℃程度になるまで加熱し、Arガスを導入してスパッタ室内を0.67Pa程度に保持する。
そして、例えばCr下地層12(6nm)、CrMo下地層13(4nm)、CoCrTa中間層14(1nm)、CoCrPtBCu磁気記録層15(10〜25nm)、C系保護膜17(6nm)の順で、非磁性NiP−Al基板11上に形成する。ここで、括弧内に示したのは各層の例示的な膜厚(nm)である。特に磁気記録層15の膜厚は磁気記録媒体を設計する際に適宜調整される。
なお、本発明者等は上記製造工程において下地層12,13の成膜を開始する時の温度を160〜300℃の範囲とすると、磁気記録層15のS/N特性を向上させることができることを確認している。
さて、本第1実施例の磁気記録媒体10では前述したようにtBr値が低く設定しても高い保磁力Hcを有する磁気記録層15を備えている。そのために、磁気記録媒体10の磁気記録層15はCoCrPtBCuで示されるコバルト系の合金であり、所定の組成を有している。
すなわち、磁気記録層15の原子%組成は下記式(4)により示される。
Co(α)−Cr(β)−Pt(γ)−B(δ)−Cu(ε) …… (4)
ここで、20≦β≦26、6≦γ≦20、1≦δ≦7、2≦ε≦7であり、残部はα(>0)となるような組成を有している。ここで、α、β、γ、δ及びεのそれぞれは含有at%(原子%)を示している。
すなわち、磁気記録層15はコバルト(Co)系の合金であり、上記範囲からβ、γ、δ及びεが特定されると、その残部のαat%のコバルトとなる。
以下、さらに具体的にデータを示して上記のように特定される磁気記録媒体についてより詳細に説明をする。
図2は室温でトルクロス法にて測定した磁気記録層15のHk(磁気異方性磁界)と磁気記録層15のCu含有率(at%)との関係を示す図である。図2により、磁気記録層15のCu含有率依存性を確認することができる。なお、図2で示すCoCrPtBCuの組成は、Cr(24at%)、Pt(9at%)B(4at%)であり、Cuの含有率をXat%としてそれぞれ0,1,2,3,4,5,6,7at%と変化させ、その際に残部をコバルトとした場合について示している。
図2から磁気記録層15のCu含有率を2〜7at%の範囲とすると磁気異方性磁界Hkが改善されることが確認できる。前記本発明の課題でも説明したように磁気異方性磁界Hkが向上すると耐熱揺らぎ性が向上するので磁気記録媒体10を高密度化するために必要な条件の1つである。図2から明らかなように磁気記録層15のCu含有率は、より好ましくは3〜7at%であり、さらに好ましくは4〜6at%である。
図3は、磁気記録層15のtBr値と保磁力Hcとの関係について示す図である。図3では、磁気記録層15のCu含有率を3at%、5at%とした場合について保磁力HcのtBrへの依存性が確認できる。さらに、比較のためCu含有率が0at%であり本発明に従わない磁気記録層についても示している。
本実施例によるCu含有率が3at%及び5at%である磁気記録層は、本発明に従わないCu含有しない場合と比較して、特に低tBr側で高い保磁力Hcを保持していることが確認できる。また、Cu含有率が5at%の場合はその効果がより顕著である。前述したように、低tBrであり且つ高い保磁力Hcを確保することは従来において困難であったが、本実施例によればこれを可能としていることが分かる。
なお、図3で示したデータも図2で用いた磁気記録層と同様の基本組成を有する磁気記録層に基づくものでありCr(24at%)、Pt(9at%)B(4at%)とし、Cuの含有率を0,3,5at%と変化させ、残部をコバルトとした場合である。
図4は、磁気記録層15のCr濃度と孤立波S/N(Siso/Nm)との関係について示す図である。図4では孤立波S/N(Siso/Nm)がCr濃度に依存性があることが確認できる。なお、図4に示すデータにつても磁気記録層15の組成は前述したα、γ、δ及びεの条件を満たすものであり、クロムの含有率をXとして変化させた場合である。
図4によれば、前述した従来技術(特開平8−31638号)で示した組成範囲Cr=6〜20at%では27dBまでの不十分なS/Nしか得られていない。しかし、この範囲の最高値20at%以上となるとCr濃度に依存して所望のSiso/Nm=27dBが得られることが分かる。これは、従来例のCr含有率では磁性粒界へのCrの析出が十分でないために、磁性粒同士の磁気的相互作用が大きく、媒体ノイズが比較的大きいためと考えられる。よって、図4から磁気記録層15のCr含有率は20at%以上が好ましいことが確認できる。
次に、図5は磁気記録層15のCr濃度と保磁力Hcとの関係について示す図である。図5では、磁気記録層15の保磁力HcがCr濃度に依存することが確認できる。
前記図4では、Crの含有率を多くすると磁気記録層15のノイズ低減を促進できること、すなわちSiso/Nmを向上できることが示された。しかし、図5からCrの含有率を多くすると保磁力Hcが低下することが確認される。そのために、磁気記録媒体10の記録再生分解能が劣化することになる。
一般に磁気記録層の保磁力Hcの値はPt、Bの含有率によっても変化するが、例えば図5に示す様にPt=8at%、B=3at%の場合には所望の2000(×1/4π kA/m)以上の保磁力Hcを得るには、Cr濃度は26at%以下とすることが望ましい。すなわち、高い保磁力Hcと高いSiso/Nmを両立できるCr濃度として採用できる組成範囲は20≦Cr≦26at%となる。
さらに、前述したように2≦Cu≦7at%含有することにより、異方性磁界Hk値を向上させ、低tBrでも高い保磁力Hcを有する磁気記録媒体を作成すできることが分かる。
次に、図6は磁気記録層15のPt含有率(at%)と保磁力Hcとの関係について示している。図6では、磁気記録層15の保磁力HcがPt含有率に依存性があることが示されている。図6によれば、保磁力HcはPtの含有率12at%までは単調に増大している。よって、所望の保磁力Hc=2000(×4/π kA/m)以上を得るには、Ptの組成は6at%以上必要であることが分かる。
また、CoPt二元合金(バルク)の相図(phase diagram)より、εCo(hcp)相が得られるのはPt≦20at%の範囲である。よって、強磁性で高い保磁力Hcの得られる白金Ptの好ましい組成範囲は6≦Pt≦20at%となる。
また、図7は磁気記録層15の硼素Bの含有率(at%)と保磁力Hcとの関係について示す図である。Bの含有率が1≦B≦7at%であると、保磁力Hcとしての所望の値2000(×1/4π kA/m)を得ることができる。さらにBの含有率が2≦B≦6at%であると、保磁力Hcとして2500(×1/4π kA/m)以上を得られることが確認できる。
図8は、本第1実施例による磁気記録層15としてCo(59at%)Cr(20at%)Pt(10at%)B(6at%)Cu(5at%)を有する磁気記録媒体10と、比較例のCuを含有しない磁気記録層Co(64at%)Cr(20at%)Pt(10at%)B(6at%)を有する磁気記録媒体との線記録密度270kFCIにおけるtBrとS/Nmの関係を示す図である。図8では、S/NmがtBrに依存性を有することが示されている。
本第1実施例によるCoCrPtBCuで形成された磁気記録層15を備えた磁気記録媒体では比較例と比較してS/Nmが高く、特にtBr値の低い側で高いS/Nmの得られることが確認できる。本第1実施例による磁気記録層では、tBrの値が特に低い2nTmから所望の15dB以上のS/Nmを得られている。
ここで、スピンバルブ等のGMR(巨大磁気抵抗効果)膜を用いた高感度な磁気再生ヘッドを採用する磁気ディスク装置では、tBr値が7nTm以下でも十分に高い信号再生出力が得ることができる。よって、磁気記録媒体10のtBrを低めの7nTm以下とすることにより、高いトータルS/N(信号出力をヘッド、媒体、回路ノイズで割った値)が得られることになる。よって、本第1実施例の磁気記録媒体10ではtBrが2〜7nTmの範囲となるような低い範囲に設定することができる。
さらに、本発明の第2から第4実施例の磁気記録媒体について説明する。図9から図11のそれぞれは、第2〜第4実施例の磁気記録媒体20、30、40の層構成を図1と同様に示した図である。前記図1で示した、第1実施例の磁気記録媒体10では磁気記録層が1層であったが、以下の第2〜第4実施例では磁気記録層が2層である場合について示している。これら実施例の磁気記録媒体も第1実施例の場合と同様に従来の薄膜形成技術を用いて製造することができる。
図9に示す第2実施例の磁気記録媒体20は、非磁性支持体21として無電解メッキNiP膜がコートされたAl基板を用い、その表面にテクスチャ処理を施す。その後、スパッタリング法により下から順にCrとCrMoの2層の下地層22、23を形成し、CoCrTaの中間層24を形成する。さらに、Co−Cr(25at%)−Pt(11at%)−B(4at%)−Cu(5at%)及びCo−Cr(20at%)−Pt(10at%)−B(6at%)−Cu(5at%)の組成を有する2層の磁気記録層25、26を形成し、最後にC系保護膜27を形成した積層体である。
本第2実施例の磁気記録層25及び26では含有している元素は同じであり、共にCoCrPtBCuである。例えば磁気記録層25はCrが25at%、Ptが11at%、Bが4at%、Cuが5at%であり、残部が55at%となりこれがコバルトの含有率となる。同様に、磁気記録層26はCrが20at%、Ptが10at%、Bが6at%、Cuが5at%であり、残部が59at%でコバルトの含有率となる。
図10に示す第3実施例の磁気記録媒体30は、上記第2実施例とは異なり磁気記録層36にCuを含まない構成である。この磁気記録媒体30も同様に、非磁性支持体31上に、スパッタリング法により下から順にCrとCrMoの2層の下地層32、33を形成し、CoCrTaの中間層34を形成する。さらに、Co−Cr(25at%)−Pt(11at%)−B(4at%)−Cu(5at%)及びCo−Cr(20at%)−Pt(10at%)−B(6at%)の組成を有する2層の磁気記録層35、36を形成し、最後にC系保護膜37を形成した積層体である。
本第3実施例の磁気記録層35及び36の場合は、含有している元素が異なる。磁気記録層35はCoCrPtBCuを含むが、磁気記録層36にはCuを含んでいない。例えば磁気記録層35はCrが25at%、Ptが11at%、Bが4at%、Cuが5at%であり、残部の55at%がコバルトとなる。同様に、磁気記録層36ではCrが20at%、Ptが10at%、Bが6at%であり、残部64atがコバルトである。
図11に示す第4実施例の磁気記録媒体40は、上記第3実施例とは反対に下側の磁気記録層45にCuを含まない構成である。この磁気記録媒体40も同様に、非磁性支持体41上に、スパッタリング法により下から順にCrとCrMoの2層の下地層42、43を形成し、CoCrTaの中間層44を形成する。さらに、Co−Cr(25at%)−Pt(11at%)−B(4at%)及びCo−Cr(20at%)−Pt(10at%)−B(6at%)−Cu(5at%)の組成を有する2層の磁気記録層45、46を形成し、最後にC系保護膜47を形成した積層体である。
本第4実施例の磁気記録層45及び46の場合についても含有している元素が異なることになる。磁気記録層45はCuを含んでいないが、磁気記録層36はCoCrPtBCuでありCuを含む。磁気記録層45及び46に含まれる各元素の含有率(原子%)はカッコ内に示されている。例えば磁気記録層45ではCrが25at%、Ptが11at%、Bが4at%であり、残部50at%がコバルトとなる。同様に磁気記録層36はCrが20at%、Ptが10at%、Bが6at%、Cu5at%であり、残部59at%がコバルトとなる。
上記第2〜4実施例に示すように、本発明の磁気記録媒体はその磁気記録層として前述した所定の組成を有するCoCrPtBCuを少なくとも1層含む構成である。
さらに、図12には本発明に従わない比較例の磁気記録媒体100の層構成を示している。この磁気記録媒体100は、実施例2〜4と同様に2層の磁気記録層105、106を有するが両者ともCuを含んでいない。この磁気記録層105と106は共にCoCrPtBであり、その組成はCo−Cr(25at%)−Pt(11at%)−B(4at%)及びCo−Cr(20at%)−Pt(10at%)−B(6at%)である。なお、磁気記録媒体100の他の構成、下地層102、103、中間層104、C系保護膜107は前述した実施例と同様である。
図13は上記第2〜4実施例の磁気記録媒体と図12で示す比較例の磁気記録媒体とに関して、tBrと保磁力Hcとの関係について示す図である。図13ではIで示すのが上記第2実施例の磁気記録媒体20であり、IIで示すのが上記第3実施例の磁気記録媒体30であり、IIIで示すのが上記第4実施例の磁気記録媒体40である。図13にはそれぞれの磁気記録層の構成を簡略化して示している。Botが下層、Topが上層である。
図13では保磁力HcがtBrに依存性を有することが示されている。本第2〜4実施例の磁気記録媒体の何れもが、比較例と比べて高い保磁力Hcを有することが確認できる。tBrの値が低い5.5〜7.0nTm側で高い保磁力Hcが得られることが確認できる。特に、第2実施例の様に磁気記録層の両方にCuを含むと5.5〜7.0nTmでより高い保磁力Hcで安定することが確認できる。また、第3実施例のように2層の磁気記録層の内でBot側(媒体の支持体側)にCuを含むと第2実施例よりは劣るが同様に5.5〜7.0nTmで高い保磁力Hcで安定することが確認できる。さらに、第4実施例のように2層の磁気記録層の内でTop側(媒体の表面側)にCuを含むと5.5nTm近辺では第2実施例よりは劣り第3実施例と同様であるが7.0nTmに向けて高い保磁力Hcを示す傾向が確認できる。
なお、図13ではtBr値が約5.5〜約8.0nTmの範囲でのデータとしているが、従来の磁気記憶装置において採用されているtBr値に対応してデータを取得したためであり、本第2〜4実施例の磁気記録媒体は5.5nTm以下でも所望の保磁力Hcを保持している。次の図14についても同様である。
図14は、上記第2実施例の磁気記録媒体(I)と上記比較例の磁気記録媒体について、tBrとS/Nmについて示す図である。tBrの低い値5.5〜7.0nTmでも第2実施例の磁気記録媒体は比較例の場合と比べて高いS/Nm(dB)を有していることが確認できる。
本実施例の磁気記録媒体は磁気記録層として前述したように所定の組成を有したコバルト系合金CoCrPtBCuを用いている。よって、低tBrの範囲でも高いS/Nmや高い保磁力Hcを得ることができる。したがって、高記録密度の磁気記録媒体とすることができる。
なお、本発明の磁気記録層は低tBrでも高い保磁力Hcを得ることができるという長所を有するので、上記第2実施例のようにこの磁気記録層を積み重ねて形成した多層磁性層では、さらに特にその効果が顕在化すると考察できる。
以下さらに、本実施例の磁気記録媒体で用いている下地層について説明する。本実施例では図6に基づいて説明したように所望の保磁力Hcを得るための構成として比較的Ptの濃度が高い磁気記録層(6≦Pt≦20at%)となっている。この場合、磁気記録層の結晶格子と下地層のCr結晶格子のミスフィットを低減することが必要である。そこで、本実施例の磁気記録媒体ではクロムを主成分とし、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、バナジウムからなる群から選択された元素を少なくとも1種以上を含有している下地層を用いている。このように、下地層側の構成を選定することで面内配向性が良好な磁気記録層を形成して好適な磁気記録媒体とすることができる。
さらに、テクスチャ処理を施したAl基板等の上に2層の下地層、例えば上記実施例でも示したように基板側Cr/表層側CrMoを形成した場合には、面内配向性のみでなく、O.R.(Orientation Ratio:記録媒体の周方向における保磁力Hc/半径方向の保磁力Hc)も改善したより好ましい磁気記録媒体を作成することができる。
図15は、純Cr又はCr(80at%)Mo(20at%)の合金を下地層として単層で形成した場合と、前記実施例のようにCr(80at%)Mo(20at%)/Crの2層で下地層を形成した場合とについて、トータルの下地層厚(t)と上記O.R.との関係について示す図である。図15からトータル下地膜厚(t)にO.R.が依存性を有することが示されている。
図15において、下地層がCrMo単層であるとき比較して、本実施例のCrMo/Crの2層とした磁気記録媒体ではO.R.が改善していることが分かる。
特に、下地層を純Cr層とCr合金層で形成するときには、下側(支持体側)をクロム層とし上側(磁気記録層側)をCr合金層とする磁気記録媒体は前述したように面内配向性も良好である。この点については、膜垂直方向と面内方向での保磁力Hcを測定して本願発明者等が確認している。
上記O.R.は周/径方向での下地層格子の歪方が異なる事に起因し発現すると推測される。実際、CrMo等のクロム系合金と比較して、純Crの方が周/径での格子歪が大きい。これに起因して図15に示す様に純Cr単層により下地層で高いO.R.が得られると推定される。
そこで、本実施例では、Crを用いて形成した場合に得られる高O.R.性と、CrMoを用いて形成した場合の高面内配向性を両立させることを意図し、Bot:Cr/Top:CrMoの2層で下地層を形成している。なお、下地層を1層で形成するときには、磁気記録層の面内配向性を考慮してクロム系合金を用いることが望ましい。
また、図16に示す第5実施例の磁気記録媒体50のように、2層の下地層52、53を共に、クロム系合金で形成してもよい。その際には、前述した磁気記録層の面内配向性とO.R.を考慮して、支持体51側に近いクロム系合金層はクロムの含有率が高く、反対側(磁気記録層55側)はクロムの含有率が低くなるように形成する。このような磁気記録媒体は高S/N性と良好な面内配向性を有すると共に歪み難い磁気記録媒体とすることができる。
さらに、前述した各実施例の磁気記録媒体では磁気記録層のC軸の面内配向性を高めるために、1〜5nmの膜厚で、下地層と磁気記録層との間にhcp構造を有するCo系合金を中間層として配設している。この中間層として使用するCo系合金としては、含有する非磁性材料の成分が少ないほど面内配向性が良好で、非磁性材料の含有率が高くなるほど面内配向性が劣化する傾向がある。しかし、非磁性材料成分が少ない場合、中間層の飽和磁束密度Bsが高くなり、磁性膜全体として前記tBr値の合わせを行う際、相対的に磁気記録層の膜厚を薄く形成することになり、保磁力Hcが低下させることになる。そこで、上記中間層の飽和磁束密度Bsは0.4〜0.6T程度に設定することが好ましい。
続いて、本発明になる磁気記憶装置の一実施例を、図17及び図18と共に説明する。図17は磁気記憶装置の一実施例の要部を示す断面図であり、図18は同装置の要部を示す平面図である。
図17及び図18に示すように、磁気記憶装置は大略ハウジング113からなる。ハウジング113内には、モータ114、ハブ115、複数の磁気記録媒体116、複数の記録再生ヘッド117、複数のサスペンション118、複数のアーム119及びアクチュエータユニット120が設けられている。磁気記録媒体116はモータ114により回転されるハブ115に取付けられている。記録再生ヘッド117は、MRヘッドやGMRヘッド等の再生ヘッドと、インダクティブヘッド等の記録ヘッドとからな複合型の記録再生ヘッドである。各記録再生ヘッド117は、対応するアーム119の先端にサスペンション118を介して取付けられている。アーム119はアクチュエータユニット120により駆動される。この磁気記憶装置の基本構成自体は周知であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。
上記磁気記憶装置では例えば前述した実施例で示した磁気記録媒体を用いている。各磁気記録媒体10は、前記図1、図9、図10、図11或いは図16で説明した構成を有する。勿論、磁気記録媒体10の数は3枚には限定されず、1枚でも、2枚又は4枚以上であってもよい。
本磁気記憶装置の基本構成は、図17及び図18に示すものに限定されるものではない。また、本発明の磁気記憶媒体は磁気ディスクに限定されるものではない。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 非磁性支持体と、該非磁性支持体の上方に形成される下地層と、該下地層の上方に形成された磁気記録層を少なくとも1層含む磁気記録媒体であって、
前記磁気記録層には、Co(α)−Cr(β)−Pt(γ)−B(δ)−Cu(ε)の組成で示されるコバルト、クロム、白金、硼素及び銅を含む合金で形成された合金磁気記録層を少なくとも1層含み、
前記合金磁気記録層の層厚tと残留磁束密度Brとの積t・Brが2.0〜7.0nTmである、ことを特徴とする磁気記録媒体。
(但し、α、β、γ、δ及びεのそれぞれは含有at%を示し、20≦β≦26、6≦γ≦20、1≦δ≦7、2≦ε≦7にあり、残部はαとなる)
(付記2) 非磁性支持体と、該非磁性支持体の上方に形成される下地層と、該下地層の上方に形成された磁気記録層を少なくとも1層含む磁気記録媒体であって、
前記磁気記録層は2層以上で形成され、該磁気記録層の少なくとも1層はCuを含んだ合金磁気記録層であることを特徴とする磁気記録媒体。
(付記3) 付記1又は2記載の磁気記録媒体において、
前記下地層には、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン及びバナジウムから成る群から選択された少なくとも1つの元素を含むクロム系合金層を少なくとも1層含むことを特徴とする磁気記録媒体。
(付記4) 付記3記載の磁気記録媒体において、
前記下地層は前記クロム系合金層の下側に、さらにクロム層を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
(付記5) 付記3又は4記載の磁気記録媒体において、
前記下地層は複数の前記クロム系合金層で形成され、前記非磁性支持体側に近い下側層となる程、当該各クロム系合金層に含むクロム以外の元素の比率が低いことを特徴とする磁気記録媒体。
(付記6) 付記1から5いずれかに記載の磁気記録媒体において、
前記下地層と前記磁気記録層との間にコバルト系合金からなる中間層を少なくとも1層配設したことを特徴とする磁気記録媒体。
(付記7) 付記6記載の磁気記録媒体において、
前記中間層の飽和磁束密度(Bs)は0.4〜0.6Tであることを特徴とする磁気記録媒体。
(付記8) 付記1から7いずれかに記載の磁気記録媒体を製造する方法であって、
成膜開始時温度を160〜300℃の範囲として前記下地層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(付記9) 付記1から7いずれかに記載の磁気記録媒体と、磁気抵抗効果型ヘッドとを含むことを特徴とする磁気記憶装置。
本発明の第1実施例に係る磁気記録媒体の層構成を示した図である。 トルクロス法にて測定した磁気記録層のHk(磁気異方性磁界)と磁気記録層15のCu含有率(at%)との関係を示す図である。 磁気記録層のtBr値と保磁力Hcとの関係について示す図である。 磁気記録層のCr濃度とSiso/Nmとの関係について示す図である。 磁気記録層のCr濃度と保磁力Hcとの関係について示す図である。 磁気記録層のPt含有率(at%)と保磁力Hcとの関係について示している。 磁気記録層15の硼素Bの含有率(at%)と保磁力Hcとの関係について示す図である。 第1実施例による磁気記録媒体と、比較例の磁気記録媒体との線記録密度270kFCIにおけるtBrとS/Nmの関係を示す図である。 本発明の第2実施例に係る磁気記録媒体の層構成を示した図である。 本発明の第3実施例に係る磁気記録媒体の層構成を示した図である。 本発明の第4実施例に係る磁気記録媒体の層構成を示した図である。 比較例の磁気記録媒体の層構成を示した図である。 第2〜4実施例の磁気記録媒体と図12で示す比較例の磁気記録媒体とに関して、tBrと保磁力Hcとの関係について示す図である。 第2実施例の磁気記録媒体(I)と比較例の磁気記録媒体について、tBrとS/Nmについて示す図である。 純Cr又はCrMoの合金を下地層として単層で形成した場合と、CrMo/Crの2層で下地層を形成した場合について、トータルの下地層厚(t)とO.R.との関係について示す図である。 本発明の第5実施例に係る磁気記録媒体の層構成を示した図である。 磁気記憶装置の一実施例の要部を示す断面図である。 図17に示した装置の要部を示す平面図である。
符号の説明
10 磁気記録媒体
11 非磁性支持体
12 下地層(クロム)
13 下地層(クロム系合金)
14 中間層
15 磁気記録層(合金磁気磁性層)
17 C系保護膜

Claims (5)

  1. 非磁性支持体と、該非磁性支持体の上方に形成される下地層と、該下地層の上方に形成された中間層と、該中間層の上方に形成された少なくとも2層の磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、
    前記下地層は、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン及びバナジウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含むクロム系合金層を少なくとも1層含み、
    前記中間層の膜厚が1nm〜5nmで、前記中間層はhcp構造を有するコバルト系合金からなり、前記中間層の飽和磁束密度(Bs)は0.4〜0.6Tに設定され、
    前記少なくとも2層の磁気記録層は、いずれもCoCrPtBCuからなる合金磁気記録層であり、前記CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層の組成をCo(α)−Cr(β)−Pt(γ)−B(δ)−Cu(ε)と表したときに、α、β、γ、δ及びεのそれぞれは含有at%を示し、20≦β≦26、6≦γ≦20、1≦δ≦7、2≦ε≦7、および残部はαの範囲に設定されることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 非磁性支持体と、該非磁性支持体の上方に形成される下地層と、該下地層の上方に形成された中間層と、該中間層の上方に形成された少なくとも2層の磁気記録層とを備える磁気記録媒体であって、
    前記下地層は、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン及びバナジウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素を含むクロム系合金層を少なくとも1層含み、
    前記中間層の膜厚が1nm〜5nmで、前記中間層はhcp構造を有するコバルト系合金からなり、前記中間層の飽和磁束密度(Bs)は0.4〜0.6Tに設定され、
    前記少なくとも2層の磁気記録層のうち少なくとも一層は、CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層であり、前記CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層の組成をCo(α)−Cr(β)−Pt(γ)−B(δ)−Cu(ε)と表したときに、α、β、γ、δ及びεのそれぞれは含有at%を示し、20≦β≦26、6≦γ≦20、1≦δ≦7、2≦ε≦7、および残部はαに設定されるものであって、
    前記少なくとも2層の磁気記録層のうち少なくとも他の一層は、CoCrPtBからなる合金磁気記録層であり、前記CoCrPtBからなる合金磁気記録層の組成は、前記CoCrPtBCuからなる合金磁気記録層の組成とは、異なるものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 前記少なくとも2層の合金磁気記録層の層厚tと残留磁束密度Brとの積t・Brが2.0〜7.0nTmであることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録媒体。
  4. 前記下地層は複数の前記クロム系合金層で形成され、前記非磁性支持体側に近い下側層となる程、当該各クロム系合金層に含むクロム以外の元素の比率が低いことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項記載の磁気記録媒体。
  5. 請求項1〜4のうち、いずれか一項記載の磁気記録媒体と、磁気抵抗効果型ヘッドとを備える磁気記憶装置。
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