JP4184177B2 - 板材の支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、窓ガラス、間仕切り用パネル等の板材を支持するための板材の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建築物の躯体の開口部に配置された多数の窓ガラスを支持する場合には、躯体の開口部に複数の方立が立設される。各方立は、左右方向に所定の間隔をもって並んだ状態に配置される。各方立の一側部には、複数の載置部材が上下方向に所定間隔毎に設けられる。各方立の他側部にも、一側部に設けられた載置部材と同数の載置部材が上下方向に所定間隔毎に設けられる。一側部に設けられた各載置部材と他側部に設けられた載置部材とは、互いに同一高さに配置される。一の方立の一側部に設けられた載置部材と、この載置部材と同一高さに配置され、かつ一の方立に隣接する他の方立の側部に設けられた載置部材とには、窓ガラスの左右方向の下端一隅部と他隅部とがそれぞれ載置される。これにより、窓ガラスが方立に支持されている。
【0003】
方立は、窓ガラスより外側に配置された縦押縁を有している。この縦押縁は、左右に隣接する二つの窓ガラスの外側を向く面の各側部と対向しており、縦押縁と二つの窓ガラスの各側部との各間には縦押縁に沿って上下方向に延びる外側縦シール部材が設けられている。方立の窓ガラスより内側の部分と左右に隣接する二つの窓ガラスの室外側を向く面の各側部との各間には、上下方向に延びる内側縦シール部材が設けられている。さらに、上下に隣接する窓ガラスの端面間には端面間シール部材が設けられてる。これにより、室外から室内に雨水が侵入することが防止されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2922510号公報(第3頁、図1、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の窓ガラスの支持構造においては、外気に接するシール部材が劣化し易い。特に、外側縦シール部材は、層間変位が発生したときに縦押縁と窓ラスとの間で剪断力を受けるため、早期に劣化し易い。外側縦シール部材が劣化すると、縦押縁と窓ガラスとの間のシール性が低下し、縦押縁と窓ガラスとの間から雨水が室内側に侵入する。この雨水は、室内側シール部材によってそれ以上室内側に侵入することが防止されているが、方立、窓ガラス等を伝わって下方に流れ落ち、建築物の最も下側において溜まる。この場合、建築物が低いものであれば雨水の溜まる量が少なく、問題になることはほとんどないが、高層建築物の場合には最下層階に多量の雨水が溜まってしまう。そして、この多量の雨水が最下層の室内に侵入するおそれがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、躯体の開口部に左右方向に並んで立設された複数の方立と、各方立の左右方向における一側部と他側部とに所定の支持位置から下方へは移動不能に、かつ上記支持位置より上側では上下方向へ移動可能に設けられた載置部材とを備え、一の方立の一側部に設けられた載置部材と上記一の方立に隣接する他の方立の他側部に設けられた載置部材とによって一つの板材の下端両隅部が支持され、上記方立が、上記板材より室外側に長手方向を上下方向に向けて配置され、かつ左右に隣接する二つの板材の室外側を向く面の左右の側部と対向する縦押縁を有し、この縦押縁と上記二つの板材の左右の各側部との間に外側縦シール部材が設けられ、上記方立の上記二つの板材より室内側に位置する部分と上記二つの板材の各側部との間に内側縦シール部材が設けられ、上下に隣接する二つの板材の上下の端面間に端面間シール部材が設けられた板材の支持構造において、上記縦押縁と上記方立の上記板材より室内側に位置する部分との間に、上記縦押縁に沿って上下方向に延び、上記外側縦シール部材及び上記内側縦シール部材を構成部材の一部とする縦密封空間が形成され、この縦密封空間の内部に、当該縦密封空間内を落下する水を受け止める水受け部が設けられ、上記縦押縁の内部には、その下端面から上方に向かって延びる排水孔が形成され、上記縦押縁の上記水受け部の上面に接する箇所には、上記水受け部によって受け止められた水を上記排水孔に導く導入口が形成されていることを特徴としている。
この場合、左右方向に隣接する二つの方立間に、上記板材より室内側に配置され、かつ上下に隣接する二つの板材の下端部と上端部とに対向する横材が架け渡され、この横材と上記上下に隣接する二つの板材の各端部との間に、横シール部材が設けられ、上記上下に隣接する二つの板材と上記横材との間に、上記端面間シール部材及び横シール部材を構成部材の一部とし、上記横材に沿って左右方向に延びる横密封空間が形成され、この横密封空間の少なくとも一端部が上記縦密封空間に連通させられていることが望ましい。
上記水受け部が左右に隣接する横材間に配置されていることが望ましい。
上記水受け部が、水受け部材を有しており、この水受け部材が、深さの浅い容器状をなし、かつ上記方立の一側部と他側部とに配置された二つの載置部材の上記板材が載置される各部分を一側部と他側部とに受け入れる容器部を有し、この容器部が上記二つの載置部材の上下方向への相対移動に追随して弾性変形することができるよう、弾性材によって構成されていることが望ましい。
上記水受け部が、上記容器部の外周面と上記縦密封空間の内面との間に形成される隙間を埋める水受けシール部材を有していることが望ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図1〜図18を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、この実施の形態の板材の支持構造は、高層建築物の躯体(図示せず)の開口部に上下左右に隣接して配置された多数の窓ガラス(板材)Gを多数の方立1によって支持するものである。各方立1は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属によって構成されており、上下に立設されている。方立1の上下の端部は、躯体の開口部の上下の端部に固定されている。各方立1は、開口部に所定間隔毎に左右に並んで配置されている。
【0008】
図1〜図12に示すように、方立1は、方立本体2、押え部材(方立1の板材より室内I側に位置する部分)3及び縦押縁4を備えている。方立本体2は、特に図6に示すように、本体部5と縦板部6とを有している。本体部5は、断面長方形の筒状をなしており、上下の端部が躯体の開口部の上下の端部に固定されている。縦板部6は、本体部5の室外O側を向く側面(方立1の板材より室内側に位置する部分)5aの左右方向におけるほぼ中央部に本体部5と一体に形成されている。縦板部6は、その厚さ方向を左右方向に向けるとともに、その幅方向を室内外方向に向けた状態で、本体部5の全長にわたって形成されている。
【0009】
図3〜図5の各(B)図及び図6に示すように、縦板部6の室外O側の端部(以下、先端部という。)の左右の両側面には、その上端から下端まで延びる支持溝6a,6aが形成されている。一側面に形成された支持溝6aと他側面に形成された支持溝6aとは、室内外方向に若干離れて配置されている。支持溝6aは、断面長方形状をなしており、その側面の開放側の端部には、内側に突出する突起6b,6bが形成されている。これによって、支持溝6aの開口部の幅が狭められている。
【0010】
図6に示すように、縦板部6の先端部には、切欠き部6c,6d,6eが形成されている。切欠き部6cは、その上下方向の中央部が上下に隣接する二つの窓ガラスG,Gの中央部とほぼ一致するように配置されている。したがって、切欠き部6cは、縦板部6の長手方向に互いに離れて多数形成されている。切欠き部6cの上下方向の長さは、窓ガラスG,Gの間隔より若干長くなっている。切欠き部6cの深さは、縦板部6の先端面と二つの支持溝6aのうちの室内I側に配置された支持溝6aの室内I側の側面までの距離より深くなっている。したがって、二つの支持溝6aは、各切欠き部6cによって分断されている。切欠き部6dは、切欠き部6cの室外O側の端部から下方に所定長さだけ延びている。切欠き部6eは、後述するように、切欠き部6cから上方へ所定距離だけ離れて配置されており、上下方向において所定の長さを有している。切欠き部6eの深さは、切欠き部6cの深さとほぼ同一に設定されている。
【0011】
支持溝6aの両側部に形成された突起6b,6bは、切欠き部6eの下端から所定の長さの範囲にわたって切り落とされている。この結果、切欠き部6e,6c間に位置する支持溝6aの開口部の幅は、切欠き6e側では広くなっているのに対し、切欠き部6c側の端部では突起6b,6bの分だけ狭くなっている。
【0012】
図4に示すように、縦板部6の切欠き6c近傍部分には、載置部材7が所定の位置から下方へは移動不能に、所定の位置より上側では上下方向へ移動可能に設けられている。載置部材7は、上下に延びる嵌合部7aと、この嵌合部7aの上端部に一体に形成された頭部7bと、嵌合部7aの下端部に一体に形成された載置部7cとを有している。嵌合部7aは、支持溝6aとほぼ同一の断面形状をなしており、切欠き部6c,6e間に位置する支持溝6aの下部、つまり突起6bが残っている支持溝6aの下部に上下方向へ移動可能に嵌合されている。頭部7bは、支持溝6aのうちの突起6bが切り落とされた部分の下部に上下方向へ移動可能に嵌合されている。ただし、頭部7bは、突起6bが切り落とされた支持溝6aの断面形状と同一の断面形状を有している。したがって、頭部7bが所定の位置まで下方へ移動すると、図4(A)に示すように、頭部7bの下面が突起6bの残りの部分の上端面に突き当たる。すると、それ以上載置部材7が下方へ移動不能になる。勿論、頭部7bが突起6bの残りの部分の上端面より上側に位置しているときには、載置部材7は上下方向へ移動可能である。載置部7cは、支持溝6aから左右方向に突出しており、縦板部6の左右方向を向く側面にほぼ接してる。載置部7cの上面は、水平面なっており、切欠き部6cの上下方向におけるほぼ中央部に位置している。
【0013】
図5に示すように、切欠き部6c,6e間の縦板部6の下部には、緩衝部材8が上下方向へ移動可能に装着されている。緩衝部材8は、硬質ゴム等の若干の弾性を有する樹脂からなるものであり、鉛直部8aと、この鉛直部8aの下端部に一体に形成された水平な座部8bとを有している。鉛直部8aは、縦板部6の下部に上下方向へ移動可能に装着されている、座部8bは、載置部7cの上に載置されている。
【0014】
一枚の窓ガラスGは、左右に隣接する二つの方立1,1により載置部材7,7を介して支持されている。すなわち、二つの方立1,1の互いに対向する側面に同一高さに取り付けられた載置部材7,7の載置部7c,7cには、窓ガラスGの左右方向の一隅部と他の隅部とが座部8b,8bを介して載置されている。これにより、窓ガラスGが左右に隣接する二つの方立1,1に支持されている。ここで、頭部7bが突起6bに突き当たった所定の位置から上側の範囲では載置部材7が上下方向へ移動可能であるから、図22に示すように、例えば地震等に起因する層間変位によって窓ガラスGが下端右隅部を中心として上端左隅部が上方へ移動するように回動変位し、上端左隅部が後述する水受けカップを介して載置部7cに突き当たった場合、当該載置部7c(載置部材7)が上方へ移動させられるとともに、その載置部7c載置された窓ガラスGの下端左隅部が上方へ移動させられる。このように、窓ガラスGが載置部7cに突き当たったとしても、載置部7cが上方へ移動するので、窓ガラスGに過大な衝撃が作用することがない。したがって、この板材の支持構造においても、窓ガラスGが破損する事故を未然に防止することができる。
【0015】
図1、図2及び図7に示すように、左右に隣接する二つの方立1,1の縦板部6,6の各基端部間には、長手方向を左右方向に向けた複数の横材10が上下方向に互いに離間して設けられている。各横材10は、切欠き部6cとほぼ同一位置に配置されている。横材10の両端部は、左右に隣接する方立1,1の各縦板部6,6に設けられたブラケット11,11を介して縦板部6,6の基端部にそれぞれ固定されている。図8に示すように、横材10の上下方向の幅は、切欠き6cの上下方向の幅より広くなっており、横材10の室外O側を向く側面10aの上部は、上下に隣接する二つの窓ガラスG,Gのうちの上側の窓ガラスGの下端部と対向し、上部は下側の窓ガラスGの上端部と対向している。横材10の室内I側を向く側面10bは、本体部5の室外O側を向く側面5aと同一平面上に位置している。
【0016】
押え部材3は、縦板部6の基端側の左右両側にそれぞれ設けられており、長手方向を上下方向に向けて配置されている。押え部材3の長さは、上下に隣接する二つの横材10,10の間隔より若干短く設定されている。図8に示すように、押え部材3の下端面は、横材10の上面より若干上側に位置させられ、押え部材3の上端面は、横材10の下面より若干上側に位置させられている。そして、押え部材3の下端面は、上下に隣接する横材10,10のうちの下側の横材10の上面に第1シール部材S1を介して突き当たり、押え部材3の上端面は、上側の横材10の下面に第2シール部材S2を介して突き当たっている。これにより、押え部材3が方立本体2に横材10を介して上下方向へ移動不能に連結されている。しかも、押え部材3の上下の両端面と上下に隣接する横材10,10との各間がシール部材S1,S2によってシールされている。
【0017】
図1〜図3及び図9に示すように、押え部材3は、断面略「コ」字状をなしており、その開放部を縦板部6と対向させた状態で本体部5及び縦板部6に室内外方向及び水平方向へ移動不能に取り付けられている。しかも、押え部材3は、上下に隣接する二つの横材10,10によって上下方向へ移動不能になっているので、押え部材3は、方立本体2にほぼ固定されている。押え部材3と本体部5との互いに対向する面間、つまり押え部材3の室内I側を向く側面3aと本体部5の室外O側を向く側面5aの間には、本体部5の全長にわたって延びる第3シール部材S3が設けられている。この第3シール部材S3により、押え部材3の側面3aと本体部5の側面5aとの間がシールされている。押え部材3の縦板部6から左右方向に離れた外側面3bは、本体部5の左右方向を向く側面5bとほぼ同一平面上に位置させられている。図8に示すように、押え部材3の室外O側を向く側面3cは、切欠き部6cより室内I側に位置している。図9に示すように、各押え部材3,3の側面3c,3cの左右方向における外側の側部は、二つの板ガラスG,Gの互いに左右方向に隣接する側部と対向している。
【0018】
上記縦押縁4は、長手方向を上下方向に向けて配置されている。縦押縁4の長さは、窓ガラスGの上下方向の長さとほぼ同一に設定されており、上下の端面も窓ガラスGの上下の端面とほぼ同一位置に位置させられている。縦押縁4の長さは、複数の窓ガラスGの長さを合計した長さより若干長くしてもよい。その場合には、縦押縁4の上端面を最も上側の窓ガラスGの上端面とほぼ一致させ、縦押縁4の下端面を最も下側の窓ガラスGの下端面とほぼ一致させるのがよい。
【0019】
縦押縁4は、断面横「T」字状に形成されており、縦押縁4は、互いに一体に形成された押え部4aと連結板部4bとを有している。押え部4aは、左右に隣接する二つの窓ガラスG,Gの間隔より広い幅を有しており、押え部4aの幅方向(左右方向)の中央が窓ガラスG,Gの中央とほぼ一致するように配置されている。したがって、押え部4aの室内I側を向く面の左右の両側部は、左右に隣接する二つの窓ガラスG、Gの左右の両側部と対向している。一方、連結板部4bは、押え部4aの室内I側を向く面のほぼ中央部に形成されている。連結板部4bの幅方向(室内I側へ向かう方向)の先端部は、左右に隣接する二つの窓ガラスG,Gの間を通って室内I側に延びており、縦板部6の先端部に室内外方向及び左右方向へは移動不能に、上下方向には移動可能に連結されている。ただし、図3(A)及び図8に示すように、連結板部4bの下端部には、切欠き部4cが形成されており、この切欠き部4cに臨む連結板部4bの下方を向く面が、縦板部6に螺合固定されたねじ部材9に突き当たっている。したがって、縦押縁4は、切欠き部4cの下方を向く面がねじ部材9に突き当たる所定の位置から下方へは移動不能であるが、当該所定の位置より上側では上下方向へ移動可能になっている。連結板部4bの上端部には、切欠き部4dが形成されている。この切欠き部4dの下端は、切欠き部6dの下端と一致している。
【0020】
次に、雨水が室外Oから室内Iに入り込むのを防止するためのシール構造について上記第1〜第3シール部材S1〜S3を含めて説明すると、図1及び図8に示すように、上下に隣接する二つの縦押縁4,4の押え部4a,4a間には、第4シール部材S4が設けられている。また、図1、図2及び図9〜図12に示すように、窓ガラスGの室外O側を向く面の左右の側部と縦押縁4の押え部4aとの対向面間には、第5シール部材(外側縦シール部材)S5,S5が設けられている。第5シール部材S5は、方立1の全長にわたって延びており、第4シール部材S4の左右の両端部と接触している。これにより、窓ガラスGの両側部及び押え部4a,4a間から雨水が室内Iに侵入することが防止されている。
【0021】
図1、図2及び図8に示すように、上下に隣接する窓ガラスG,Gの上下の端面間には、第6シール部材(端面間シール部材)S6が設けられている。第6シール部材6の両端部は、第5シール部材S5に連続して一体に形成されている。これにより、窓ガラスG,G間から雨水が室内Iに侵入することが防止されている。第6シール部材S6は、第5シール部材S5と別体に形成し、第5シール部材S5に押圧接触させてもよい。このようにして第4〜第6シール部材S4〜S6が設けられることにより、雨水が室外O側から室内I側に侵入することが防止されている。
【0022】
ところで、第4〜第6シール部材S4〜S6は、外気に触れるとともに、日光に曝されるため、早期に劣化しやすい。第4〜第6シール部材S4〜S6が劣化すると、縦押縁4,4間、縦押縁4と窓ガラスGとの間、及び上下に隣接する窓ガラスG,G間から雨水が室内I側へ侵入することがある。その雨水がさらに室内I側に侵入するのを防止するため、窓ガラスGより室内側には第7及び第8シール部材S7,S8が設けられている。
【0023】
すなわち、図1、図2、図8及び図9に示すように、押え部材3と窓ガラスGとの対向面間には、上下方向に延びる第7シール部材(内側縦シール部材)G7が設けられている。この第7シール部材S7の下端部は、図10及び図14に示すように、上記第1シール部材S1の室外O側の端部と連続して一体にされている。第7シール部材S7の上端部は、上記第2シール部材S2の室外Oの端部と連続して一体に形成されている。これにより、雨水が押え部材3と窓ガラスGとの間、及び押え部材3と横部材10との間から室内I側に侵入することが防止されている。第7シール部材S7の上下の端部は、第1、第2シール部材S1,S2と別体に形成し、それらに押圧接触させるようにしてもよい。
【0024】
また、図8に示すように、横材10の側面10aの上部と窓ガラスGの下端部との間、及び横部材10の側面10aの下部と窓ガラスGの上部との間には、横部材10に沿って左右に延びる第8シール部材(横シール部材)S8がそれぞれ設けられている。第8シール部材S8の両端部は、図14に示すように、第7シール部材S7,S7と連続して一体に形成されている。この結果、窓ガラスGの室内側を向く面の周縁部は、シール部材S7,S7,S8,S8によって四角形の環状にシールされている。したがって、雨水が縦押縁4と窓ガラスGとの間及び上下に隣接する二つの窓ガラスG,G間から室内側へ侵入したとしても、その雨水が窓ガラスGと押え部材3及び横材10との各間からさらに室内Iに侵入することはない。しかも、シール部材S7,S8は、外気に曝されることがないので早期に劣化することがない。よって、雨水が室内に侵入するような事態を長期間にわたって防止することができる。
【0025】
縦押縁4の押え部4aと左右に隣接する窓ガラスG,Gの左右の両側部との間が第5シール部材S5によってシールされ、押え部材3と左右に隣接する窓ガラスG,Gの左右の両側部との間が第7シール部材S7によってシールされ、押え部材3と本体部5との間が第3シール部材S3によってシールされているので、縦押縁4、左右に隣接する二つの窓ガラスG,G、押え部材3,3及び本体部5により、窓ガラスGに沿って上下方向に延び、窓ガラスGとほぼ同一の長さを有する断面略長方形状の密封空間が形成される。上下に隣接する密封空間は、左右に隣接する二つの横材10,10間に形成される空間を介して互いに連通している。ここで、横材10,10間の空間は、上下に隣接する二つの縦押縁4,4間が第4シール部材S4によってシールされ、押え部材3の下端面と横材10の上面との間が第1シール部材S1によってシールされ、さらに押え部材3の上端面と横材10の下面との間がシール部材S2によってシールされているので、外部に対して密封されている。したがって、上下に隣接した密封空間どうしは、外部に対して密封された状態で互いに連通している。この結果、各上下に延びる各密封空間により、方立1に沿ってその上端から下端まで延びる縦密封空間20が形成されている。
【0026】
また、上下に隣接する二つの窓ガラスG,Gの上下の端面間が第6シール部材S6によってシールされ、当該二つの窓ガラスG,Gと横材10との各間が第8シール部材S8,S8によってシールされているので、上下に隣接する窓ガラスG,Gと横材10とにより、左右方向に延びる断面四角形状の横密封空間30が形成されている。この横密封空間30は、左右の両端部が開口している以外、密封されている。しかも、第6シール部材S6の両端部が第5シール部材S5に連結ないしは接触し、第8シール部材S8の両端部が第7シール部材S7に連結ないしは接触し、横材10と押え部材3との間が第3シール部材S3によってシールされているので、横密封空間30の両端開口部は、上記縦密封空間20に外部に対して密封された状態で連通している。この結果、縦密封空間20及び横密封空間30は、互いに連通しているが、いずれも外部に対しては密封されている。
【0027】
縦密封空間20が方立1の全長にわたって形成されているので、第5シール部材S5が劣化して、縦押縁4の押え部4aと窓ガラスGとの間から雨水が縦密封空間20内に侵入すると、その雨水が縦密封空間20の最下部に溜まる。しかも、第6シール部材S6が劣化して横密封空間30内に雨水が侵入すると、その雨水が横密封空間30内を左右に流れて縦密封空間20に入り込む。この結果、さらに多量の雨水が縦密封空間20の最下部に溜まる。多量の雨水が溜まると、それが建築物の最下層の室内Iに侵入するおそれがある。そこで、縦密封空間20内には、水受け部40が設けられている。
【0028】
すなわち、図11に示すように、横材10の左右の端面の上部には、端板41がビス止め等によって密に固定されている。端板41は、横材10の左右の端面に設けられているので、縦密封空間20内に入り込んでいる。左右に隣接する横材10,10にそれぞれ設けられた端板41,41間、より正確には各端板41,41と縦板部6との各間には、水受けシール部材42が隙間なく充填されている。この水受けシール部材42は、端板41,41及び縦板部6に接触するのみならず、本体部5の室外O側を向く側面5aの密封空間20に臨む面にも接触している。したがって、縦密封空間20のうちの端板41,41及び側面5aによって区画される部分を落下する雨水は、水受けシール部材42の上面によって受け止められる。水受けシール部材42の上面は、室内I側から室外O側へ向かって下り勾配をなす傾斜面になっている。したがって、水受けシール部材42によって受け止められた雨水は、室外O側へ向かって流れる。
【0029】
図11、図12及び図15〜図18に示すように、縦板部6の切欠き部6c,6d内には水受け部材43が配置されている。この場合、縦板部6が縦密封空間20内に位置しているので、水受け部材43全体も縦密封空間20内に位置している。水受け部材43は、ゴム等の弾性を有する材質からなるものであり、上面部が開放された深さが浅い四角形の容器状をなす容器部43aと、この容器部43aの下面に一体に設けられた装着部43bとを有している。装着部43bは、縦板部6のうちの、切欠き部6cより下側で切欠き部6dに対して室内I側に隣接する部分に装着されており、切欠き部6cの下端部に臨む縦板部6の端面に載置されている。これにより、水受け部材43が縦板部6に支持されている。
【0030】
容器部43aには、載置部材7,7の各載置部7c,7cが容器部43aの底面に接触した状態で収容されている。したがって、窓ガラスGの縦密封空間20に臨む側部を流れ落ちた雨水は、緩衝部材8の座部8b及び載置部7cを介して容器部43a内に流入する。
【0031】
容器部43aは、水受けシール部材42より下方に配置されている。容器部43aの室内I側の端部は、水受けシール部材42の上面の室外O側の端部より室内I側に配置されている。しかも、容器部43aの左右の幅は、水受けシール部材43の幅より広くなっており、容器部43aの左右の両側部は、水受けシール部材42の左右の側部より左右方向に突出している。したがって、水受けシール部材42の上面を室外O側に流れて水受けシール部材42から落下する雨水は、容器部43aによって受け止められる。雨水が水受けシール部材42の上面から容器部43aに確実に流れ落ちるようにするために、水受けシール部材42と容器部43aとの間には渡し部材44が設けられている。
【0032】
図15に示すように、水受け部材43の室外O側を向く面には、上下に延びる落水部43cが形成されている。この落水部43cは、容器部43aの周壁部のうちの室外O側に位置する周壁部の中央部に形成された切欠き部43dを介して容器部43aに連通している。したがって、容器部43aに溜まった雨水は、切欠き部43dから落水部43c伝わって下方へ流れ落ちる。
【0033】
図16に示すように、縦押縁4の押え部4aの切欠き部4dと対向する箇所には、上面部が開口したガイドボックス45が固定されている。このガイドボックス45の内部には、その開口部から落水部43cの下端部が挿入されている。したがってガイドボックス45内には、落水部43cから雨水が流れ込む。ガイドボックス45の周壁部のうち室外O側に位置する周壁部には、その上端からガイドボックス45の内底面45aまで達する切欠き部45bが形成されている。
【0034】
上記縦押縁4の押え部4aには、その上端面から下端面まで貫通する貫通孔(排水孔)4eが形成されている。この貫通孔4eの上端開口部は、遮蔽部材12によって閉じられている。貫通孔4eの下端開口部は開放されている。押え部4aの室内I側を向く面には、貫通孔4eに連通した導出孔4fが形成されている。この導出孔4fは、ガイドボックス45の切欠き部45bと対向するように配置されている。特に、この実施の形態では、内底面45aと対向するように配置されている。したがって、ガイドボックス45内に流れ込んだ雨水は、直ちに導出孔4fから貫通孔4e内に入り込み。貫通孔4e内を流れ落ちてその下端開口部から室外Oに排出される。
【0035】
上記構成の板材の支持構造によれば、地震等によって層間変位が発生したときに窓ガラス(板材)Gの上端隅部が破損するような事故を未然に防止することができるのは勿論のこと、外気に面する第5及び第6シール部材S5,S6が劣化したとしても、室外Oの雨水が侵入するのは縦密封空間20及び横密封空間30までであり、それ以上室内Iに入り込むことがない。しかも、縦密封空間30内に入り込んだ雨水がその最下部まで流れ落ちることがなく、縦密封空間30内に設けられた水受け部40によって受け止められる。そして、導出孔4f及び排水孔4eを介して室外Oに排出される。したがって、縦密封空間20の最下部に多量の雨水が溜まるのを防止することができ、建築物の最下層の室内Iに雨水が侵入するのを防止することができる。特に、この実施の形態では、水受け部40を構成する部材のうちの窓ガラスGを支持する載置部材7の載置部7cと供に移動する水受け部材43をゴム等の弾性部材によって構成しているので、図18に示すように、層間変位の発生時には水受け部40、特にその容器部43aが載置部材7の移動に追随して弾性変形する。したがって、載置部材7及び窓ガラスGの上下方向への移動を阻害することなく、円滑に移動させることができる。
【0036】
なお、この発明は、上記の実施の携帯に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、水受け部40を左右に隣接する横材10,10間に配置しているが、水受け部40は縦密封空間20内であれば任意の位置に配置してもよい。ただし、横部材10,10間に配置すれば、水受け部40を横部材10,10によって遮蔽することができるので、この実施の形態のように横材10,10間に配置するのが望ましい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、層間変位による窓ガラスの破損を防止することができるのは勿論のこと、建築物の最下層に位置する室内に多量の雨水が侵入するのを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の要部を示す斜視図である。
【図2】同要部の透視斜視図である。
【図3】同実施の形態において用いられている方立の方立本体の一部及び縦押縁の要部を示す図であって、図3(A)はその側面図、図3(B)は図3(A)のB−B線に沿う断面図である。
【図4】同実施の形態に用いられている載置部材を示す図であって、図4(A)は載置部材が方立の縦板部に取り付けられている状態を示す側面図、図4(B)は図4(A)のB−B線に沿う断面図、図4(C)は載置部材の斜視図である。
【図5】同実施の形態に用いられている緩衝部材を示す図であって、図5(A)は緩衝部材が方立の縦板部に取り付けられている状態を示す側面図、図5(B)は図5(A)のB−B線に沿う断面図、図5(C)は緩衝部材の斜視図である。
【図6】同実施の形態に用いられている方立の方立本体の要部及びその縦板部に取り付けられたブラケットを示す斜視図である。
【図7】図6に示すブラケットに横材を取り付けた状態で示す図6と同様の斜視図である。
【図8】同実施の形態の要部を示す側断面図である。
【図9】図8のA−A線に沿う断面図である。
【図10】図8のB−B線に沿う断面図である。
【図11】図8のC−C線に沿う断面図である。
【図12】図8のD−D線に沿う断面図である。
【図13】同実施の形態に用いられている窓ガラスとそれに設けられているシール部材とを室外側から見た図である。
【図14】同実施の形態に用いられている窓ガラスとそれに用いられているシール部材とを室内側から見た図である。
【図15】同実施の形態において用いられている水受け部材を示す図であって、図15(A)は水受け部材が方立の縦板部に取り付けられた状態を示す側面図、図15(B)は図15(A)のB−B線に沿う断面図、図15(C)は図15(A)のC−C線に沿う断面図、図15(D)は水受け部材の斜視図、図15(E)は図15(D)と異なる方向から見た水受け部材の斜視図である。
【図16】同実施の形態において用いられているガイドボックスを示す図であって、図16(A)は、ガイドボックスが方立の縦押縁に取り付けられている状態を示す側面図、図16(B)は図16(A)のB−B線に沿う断面図、図16(C)はガイドボックスの斜視図である。
【図17】図12のX−X線に沿う断面図である。
【図18】層間変位が発生したときにおける図17と同様の断面図である。
【符号の説明】
G 窓ガラス(板材)
S5 第5シール部材(外側縦シール部材)
S6 第6シール部材(端面間シール部材)
S7 第7シール部材(内側縦シール部材)
1 方立
3 押え部材(方立の板材より室内側に位置する部分)
4 縦押縁
4e 貫通孔(排出孔)
4f 導出孔
5 本体部
5a (室外側を向く)側面(方立の板材より室内側に位置する部分)
7 載置部材
20 縦密封空間
30 横密封空間
40 水受け部
42 水受けシール部材
43 水受け部材
43a 容器部
Claims (5)
- 躯体の開口部に左右方向に並んで立設された複数の方立と、各方立の左右方向における一側部と他側部とに所定の支持位置から下方へは移動不能に、かつ上記支持位置より上側では上下方向へ移動可能に設けられた載置部材とを備え、一の方立の一側部に設けられた載置部材と上記一の方立に隣接する他の方立の他側部に設けられた載置部材とによって一つの板材の下端両隅部が支持され、上記方立が、上記板材より室外側に長手方向を上下方向に向けて配置され、かつ左右に隣接する二つの板材の室外側を向く面の左右の側部と対向する縦押縁を有し、この縦押縁と上記二つの板材の左右の各側部との間に外側縦シール部材が設けられ、上記方立の上記二つの板材より室内側に位置する部分と上記二つの板材の各側部との間に内側縦シール部材が設けられ、上下に隣接する二つの板材の上下の端面間に端面間シール部材が設けられた板材の支持構造において、上記縦押縁と上記方立の上記板材より室内側に位置する部分との間に、上記縦押縁に沿って上下方向に延び、上記外側縦シール部材及び上記内側縦シール部材を構成部材の一部とする縦密封空間が形成され、この縦密封空間の内部に、当該縦密封空間内を落下する水を受け止める水受け部が設けられ、上記縦押縁の内部には、その下端面から上方に向かって延びる排水孔が形成され、上記縦押縁の上記水受け部の上面に接する箇所には、上記水受け部によって受け止められた水を上記排水孔に導く導入口が形成されていることを特徴とする板材の支持構造。
- 左右方向に隣接する二つの方立間に、上記板材より室内側に配置され、かつ上下に隣接する二つの板材の下端部と上端部とに対向する横材が架け渡され、この横材と上記上下に隣接する二つの板材の各端部との間に、横シール部材が設けられ、上記上下に隣接する二つの板材と上記横材との間に、上記端面間シール部材及び横シール部材を構成部材の一部とし、上記横材に沿って左右方向に延びる横密封空間が形成され、この横密封空間の少なくとも一端部が上記縦密封空間に連通させられていることを特徴とする請求項1に記載の板材の支持構造。
- 上記水受け部が左右に隣接する横材間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の板材の支持構造。
- 上記水受け部が、水受け部材を有しており、この水受け部材が、深さの浅い容器状をなし、かつ上記方立の一側部と他側部とに配置された二つの載置部材の上記板材が載置される各部分を一側部と他側部とに受け入れる容器部を有し、この容器部が上記二つの載置部材の上下方向への相対移動に追随して弾性変形することができるよう、弾性材によって構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板材の支持構造。
- 上記水受け部が、上記容器部の外周面と上記縦密封空間の内面との間に形成される隙間を埋める水受けシール部材を有していることを特徴とする請求項4に記載の板材の支持構造。
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