JP4182719B2 - 熱電発電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料用流路を通過する燃料を燃焼させるための触媒が燃料用流路内に配設された燃焼器と、この燃焼器を熱源として熱電変換により発電する熱電モジュールとを備えた熱電発電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯機器などの小型の電子機器の電源として利用可能な超小型のマイクロ電源が各所で研究開発されており、この種の電源として、熱電材料に温度差を与えたときに生じる熱起電力を利用して熱エネルギを電気エネルギに変換する熱電発電装置が注目されている。この種の熱電発電装置としては、燃焼熱、触媒燃焼熱、排気熱などを利用した熱源を備えたものが提案されており、触媒燃焼熱を利用した熱源を備えた熱電発電装置は、燃料の流量調整によって容易に熱源の発熱温度を調節できるという特長や、燃料の流路を面状として燃焼熱を発電部へ効率的に熱入力できるという特長などを有している。
【0003】
従来、触媒燃焼熱を発生する熱源を備えた熱電発電装置としては、図9に示すように、熱伝導性材料からなる筒状体52および筒状体52内に形成される燃焼室内に配設され燃料を燃焼させるための触媒を保持する触媒保持筒53を有する燃焼器2’と、対となる異種導電形の2つの半導体エレメント13a,13b間を金属膜13cで繋いだ複数の熱電素子13が金属膜14’を介して直列接続され燃焼器2’を熱源として発電する2つの熱電モジュール1’,1’と、各熱電モジュール1’,1’それぞれの低温側の熱交換基板である熱伝導性基板12’,12’に固着されそれぞれ多数のフィン56が突設された2つの放熱板55,55とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1)。なお、熱電モジュール1’は、高温側の熱交換基板である熱伝導性基板11’が燃焼器2’の筒状体52に固着されている。
【0004】
また、図9に示す構成よりも熱電変換効率を改善できる熱電発電装置として、図10に示すように、燃料を燃焼させるための触媒層63を有する燃焼器2’’において熱電モジュール1’の高温側の熱伝導性基板11’が固着される熱伝導性材料からなる端板61の形状を工夫することで触媒層63の表面積を増大させた構成のものが提案されている(例えば、特許文献2)。すなわち、図10に示す構成の熱電発電装置は、端板61の断面形状を櫛形状とすることにより、熱電モジュール1’の高温側の熱伝導性基板11’との対向面とは反対側の面において触媒層63が被着される部位の表面積を増大させている。なお、端板61は、機械加工性の良好なアルミニウムダイキャストなどで形成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−85973号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】
特開平9−329058号公報(第3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、携帯電話などの小型の電子機器に組み込める小型電池サイズ(単4電池や釦電池など)の電源の実現には熱源となる燃焼器の小型化が課題となっており、全体としてのサイズが数cm3程度の超小型電源を実現するためには、燃焼器を一般的なICやLSIのチップサイズで実現することが不可欠な技術となる。しかしながら、従来の機械加工をベースとして形成される燃焼器2’,2”の構成では、材料、加工精度、触媒の形成方法などの制約から更なる小型化の要求に適応できず、材料、加工精度、触媒の形成方法などの抜本的な見直しが必要となっている。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来に比べて小型化が可能な熱電発電装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、燃料用流路を通過する燃料を燃焼させるための触媒層が燃料用流路内に配設された燃焼器と、対となる異種導電形の2つの半導体エレメント間を金属薄膜を介して繋いだ熱電素子を有し燃焼器で発生した熱が前記金属薄膜に伝達することで発電する発電ユニットとを備え、発電ユニットは、厚み方向の一面に前記金属薄膜が形成された熱伝導性材料からなる平板状の第1の基板を有し、燃焼器は、第1の基板の他面に重ねて固着された平板状の第2の基板を有し、第1の基板と第2の基板との互いの対向面の一方に溝を設けることにより燃料用流路が形成されてなることを特徴とする。この請求項1の発明の構成によれば、平板状の第1の基板と平板状の第2の基板との互いの対向面の一方に溝を設けておき第1の基板と第2の基板とを固着することにより平板形の燃焼器を形成することができ、従来のような機械加工を利用して燃焼器を形成したものに比べて第1の基板の厚み方向における厚さ寸法および当該厚み方向に直交する面内における外形寸法を小さくすることが可能となり、発電ユニットの外形を小さくしても燃焼器の外形寸法を発電ユニットの外形寸法と揃えることができ、装置全体の小型化を図ることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第2の基板は、熱絶縁材料により形成されてなることを特徴とする。この請求項2の発明の構成によれば、前記燃焼器で発生した熱を前記発電ユニットにおける前記金属膜へ効率良く伝達することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第1の基板はシリコン基板であり、前記第2の基板はガラス基板であることを特徴とする。この請求項3の発明の構成によれば、前記第1の基板と前記第2の基板との熱膨張係数差を比較的小さくすることができて前記燃焼器の反りを抑制することができ、また、前記第1の基板と前記第2の基板とを陽極接合により固着することができるから、前記第1の基板と前記第2の基板とを気密性良く強固に固着することができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記燃焼器は、前記第2の基板に前記溝が形成され、前記溝の内面に前記触媒層が被着されてなることを特徴とする。この請求項4の発明の構成によれば、前記溝をサンドブラスト法により形成することができるので、前記溝の幅を数十μm程度まで狭くすることができ、しかも、前記溝の内面に多数の微細な凹凸が形成される(前記溝の内面が粗面化される)から、前記溝の内面に対する前記触媒層の密着性を向上できて、前記燃焼器の長寿命化を図ることができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記第2の基板が熱伝導性材料により形成され、前記第2の基板における前記第1の基板との対向面とは反対側の面に形成された別の金属薄膜により対となる異種導電形の2つの半導体エレメント間を繋いだ熱電素子を有する別の発電ユニットを備えることを特徴とする。この請求項5の発明の構成によれば、前記燃焼器を熱源として前記第2の基板の厚み方向の両側に設けられた2つの発電ユニットにより発電することができ、発電効率の高効率化を図ることができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内で引き回されてなることを特徴とする。この請求項6の発明の構成によれば、前記燃料用流路の流路長を長くすることができるとともに、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内でスパイラル状に形成されてなることを特徴とする。この請求項7の発明の構成によれば、請求項6の発明と同様、前記燃料用流路の流路長を長くすることができるとともに、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができる。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内で蛇行していることを特徴とする。この請求項8の発明の構成によれば、請求項6の発明と同様、前記燃料用流路の流路長を長くすることができるとともに、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができる。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内で複数に分岐されてなることを特徴とする。この請求項9の発明の構成によれば、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の燃焼熱電発電装置は、図1(a),(b)に示すように、燃料用流路3を通過する燃料を燃焼させるための触媒(例えば、白金など)からなる触媒層4(図2(b)参照)が燃料用流路3内に配設された燃焼器2と、燃焼器2を熱源として発電する熱電モジュール1とを備えている。ここに、燃料用流路3には、例えば、炭化水素(例えば、メタン、ブタンなど)や水素などの燃料ガスと空気との混合燃料が燃料として供給される。
【0018】
熱電モジュール1は、平板状のシリコン基板からなる第1の熱伝導性基板11と称す)11と、第1の熱伝導性基板11に対向配置される平板状のシリコン基板からなる第2の熱伝導性基板12と、両熱伝導性基板11,12間に配設された複数個(図示例では、32個)の熱電素子13とを備えている。なお、各熱伝導性基板11,12の外形は矩形状に形成されている。また、熱電モジュール1は、第1の熱伝導性基板11が高温側の熱交換基板を構成し、第2の熱伝導性基板12が低温側の熱交換基板を構成しており、低温側の熱交換基板の冷却効率を上げるには、第2の熱伝導性基板12における第1の熱伝導性基板11との対向面とは反対側の面に多数の放熱フィンを有する放熱板を固着すればよく、さらに冷却用ファンなどを設ければ冷却効率をより向上できる。
【0019】
各熱電素子13は、対となる異種導電形の2つの半導体エレメント13a,13bが第1の熱伝導性基板11における第2の熱伝導性基板12との対向面にパターン形成された金属材料(例えば、チタン、白金、銅など)からなる第1の金属薄膜(図示せず)を介して繋がれている。そして、熱電モジュール1は、上述の複数個の熱電素子13が第2の熱伝導性基板12における第1の熱伝導性基板11との対向面にパターン形成された金属材料(例えば、チタン、白金、銅など)からなる多数の第2の金属薄膜14により直列接続されており、燃焼器2で発生した熱が上記第1の金属薄膜に伝達することにより発電するようになっている。なお、各半導体エレメント13a,13bは角柱状に形成されており、各半導体エレメント13a,13bの長手方向の一端部と第1の金属薄膜とは半田などにより物理的および電気的に接合してあり、同様に、各半導体エレメント13a,13bの長手方向の他端部と第2の金属薄膜14とも半田などにより物理的および電気的に接合してある。
【0020】
ここにおいて、導電形がp形の半導体エレメント(以下、p形半導体エレメントと称す)13aは、BiTe系のp形熱電半導体材料により形成され、導電形がn形の半導体エレメント(以下、n形半導体エレメントと称す)13bは、BiTe系のn形熱電半導体材料により形成されている。また、熱電モジュール1は、第1の熱伝導性基板11の厚み方向に直交する面内において、互いに直交する方向それぞれにp形半導体エレメント13aとn半導体エレメント13bとが交互に並んでいる。
【0021】
ところで、熱電モジュール1は、第2の熱伝導性基板12における第1の熱伝導性基板11との対向面の2つの隅部にパターン形成された金属材料(例えば、チタン、白金、銅など)からなる一対の出力用電極18a,18bを介して外部へ出力を取り出せるようになっている。すなわち、熱電モジュール1は、上述の複数個の熱電素子13の直列回路の一端となるp形半導体エレメント13aが一方の出力用電極18aに接続され、上記直列回路の他端となるn形半導体エレメント13bが他方の出力用電極18bに接続されており、出力用電極18a,18b間に接続する外部回路には複数個の熱電素子13の直列回路の両端電圧が印加されることになるのである。なお、本実施形態では、熱電モジュール1が発電ユニットを構成している。
【0022】
上述の燃焼器2は、上述の平板状のシリコン基板からなる第1の熱伝導性基板11と、第1の熱伝導性基板11における第2の熱伝導性基板12との対向面とは反対側の面に重ねて固着された平板状のガラス基板からなる熱絶縁性基板21とで平板形の器体を構成し、熱絶縁性基板21における第1の熱伝導性基板11との対向面には、燃料用流路3を形成するための溝5(図2(a)および図4参照)が形成されており、熱絶縁性基板21と第1の熱伝導性基板11とを固着することによって、燃料用流路3が形成されている。また、燃焼器2は、溝5の内面の全体に亘って触媒層4が被着されており(触媒層4は、溝5の内底面と内側面とに跨って被着されている)、燃料用流路3内に触媒層4が配設されることになる。ここに、燃焼器2は、第1の熱伝導性基板11の厚み方向に直交する面内における溝5の平面形状がスパイラル状に形成されており、第1の熱伝導性基板11の厚み方向(つまり、燃焼器2の厚み方向)に直交する面内における燃料用流路3の平面形状もスパイラル状に形成されている。なお、絶縁性基板21の外形は各熱伝導性基板11,12と外形寸法が同じ矩形状に形成されている。また、本実施形態では、第1の熱伝導性基板11が第1の基板を構成し、熱絶縁性基板21が第2の基板を構成している。
【0023】
ここにおいて、本実施形態では、上述のように熱絶縁性基板21としてガラス基板を採用しているので、溝5をサンドブラスト法によって形成してある。しかして、溝5として開口幅が数十μmの比較的微細なパターンを加工でき、さらに加工面に上記開口幅に比べて十分に微細な凹凸が形成される(つまり、溝5の内面が粗面化される)ので、溝5の内面に対する触媒層24の密着性を向上できる。また、熱絶縁性基板21としてガラス基板を用い、第1の熱伝導性基板11としてシリコン基板を用いているので、図2(a)に示すように溝5および触媒層4を形成した熱絶縁性基板21と第1の熱伝導性基板11とを図2(b)に示すように厚み方向を一致させて重ね合わせて陽極接合により固着することができ、接着剤により固着する場合に比べて、強固で気密性の良い接合を実現できる。また、熱絶縁性基板21としてガラス基板を用い、第1の熱伝導性基板11としてシリコン基板を用いていることにより、熱絶縁性基板21と第1の熱伝導性基板11との熱膨張係数差を比較的小さくすることができ、熱絶縁性基板21および第1の熱伝導性基板11の反りを抑制することができる(つまり、平板形の燃焼器2の反りを抑制することができる)。
【0024】
ところで、熱電モジュール1は、第1の熱伝導性基板11において燃料用流路3の両端近傍に、燃料用流路3と連通する貫通孔16が厚み方向に貫設されており、また、第2の熱伝導性基板12には厚み方向において貫通孔16に重なる部位に貫通孔15が形成されている。さらに、第1の熱伝導性基板11と第2の熱伝導性基板12との間には、第1の熱伝導性基板11の厚み方向において重なる貫通孔16,15とともに上記燃料の流路を形成する2つの円筒状の流通管17が挟まれている。ここに、流通管17はガラス製であって、第1の熱伝導性基板11の厚み方向に軸方向が一致する形で配設され上記軸方向の一端部が第1の熱伝導性基板11における貫通孔16の周部に接合され他端部が第2の熱伝導性基板12における貫通孔15の周部に接合されている。
【0025】
したがって、本実施形態の熱電発電装置では、図1(b)における左下の貫通孔15−図1(b)における左側の流通管17−図1(b)における左上の貫通孔16−スパイラル状の燃料用流路3−図1(b)における右上の貫通孔16−図1(b)における右下の貫通孔15の流路が形成されることになり、上記燃料が左下の貫通孔15と右下の貫通孔15とのいずれか一方から導入され、上記燃料の燃焼により生じた排ガス(二酸化炭素)が他方の貫通孔15から排出される。なお、本実施形態では、流通管17の材料としてガラスを採用しているが、流通管17の材料はガラスに限定するものではなく、断熱性および耐熱性を有するプラスチックなどを採用してもよい。
【0026】
ところで、本実施形態では、各熱伝導性基板11,12としてそれぞれシリコン基板を採用しているので、貫通孔15,16を半導体の微細加工に用いられるリソグラフィ技術やエッチング技術などを利用したマイクロマシンニング技術によって形成することができる。なお、貫通孔15,16は、例えば、誘導結合プラズマ型のドライエッチング装置を用いて各熱伝導性基板11,12に適宜エッチング用のマスクを形成してから貫通孔16,15の形成予定領域をエッチングすることによって形成すればよい。
【0027】
以上説明した本実施形態の熱電発電装置では、燃料用流路3に上記燃料が供給されると、上記燃料が触媒層4の表面に接触して燃焼し、この燃焼により生じた熱が第1の熱伝導性基板11を拡散して第1の熱伝導性基板11に形成されている上記第1の金属薄膜に伝達されるので、熱電モジュール1が発電することになる。
【0028】
しかして、本実施形態の熱電発電装置では、燃焼器2が熱電モジュール1の第1の熱伝導性基板11に重ねて固着された平板状の熱絶縁性基板21を有し、第1の熱伝導性基板11における熱絶縁性基板21との対向面に溝5を設けることにより燃料用流路3が形成されているので、溝5および触媒層4を形成した熱絶縁性基板21と第2の熱伝導性基板12とを固着することにより平板形の燃焼器2を形成することができ、従来のような機械加工を利用して燃焼器2’,2”を形成したものに比べて第1の熱伝導性基板11の厚み方向における燃焼器2の厚さ寸法および当該厚み方向に直交する面内における外形寸法を小さくすることが可能となり、発電ユニットたる熱電モジュール1の外形(平面サイズ)を小さくしても燃焼器2の外形寸法を熱電モジュール1の外形寸法と揃えることができ、装置全体の小型化を図ることができる。また、燃焼器2では、第2の熱伝導性基板12に固着する上記第2の基板(熱絶縁性基板21)が熱絶縁材料により形成されているので、上記燃料の燃焼により発生した熱は主に第2の熱伝導性基板12へ伝達することになり、上記燃料の燃焼により発生した熱を熱電モジュール1における上記第1の金属薄膜へ効率良く伝達することができる。
【0029】
また、本実施形態では、熱絶縁性基板21の厚み方向に直交する面内における燃料用流路3の平面形状がスパイラル状であって、上記面内で引き回されいるので、熱絶縁性基板21の小型化を図りながらも燃料用流路3の流路長を長くすることができるとともに、触媒層4において上記燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、燃焼器2での燃焼効率を高めることができる(燃料用流路3に供給された燃料の未燃焼分を少なくすることができる)。
【0030】
ところで、本実施形態では、熱絶縁性基板21に形成した溝5の内面に触媒層4を被着してあるが、図3(a)に示すように第1の熱伝導性基板11において溝5に対応する部位に触媒層4を被着しておき、図3(b)に示すように第1の熱伝導性基板11と熱絶縁性基板21とを固着するようにしてもよい。図3(b)の構成を採用する場合には、微細な溝5の内面に触媒層4を被着する場合に比べて触媒層4の厚みの均一性を高めることができるとともに、触媒層4の微細加工によるパターニングが容易になる。
【0031】
また、本実施形態では、図4に示すように熱絶縁性基板21に設ける溝5を熱絶縁性基板21の厚み方向に直交する面内でスパイラル状の平面形状としてあるが、上記面内における溝5の平面形状は例えば図5に示すように蛇行したつづら折れ状の形状として上記面内で引き回すようにしても、熱絶縁性基板21の小型化を図りながらも燃料用流路3の流路長を長くすることができるとともに、触媒層4において上記燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、燃焼器2での燃焼効率を高めることができる。また、図6に示すように、熱絶縁性基板21の厚み方向に直交する面内で溝5の両端間の中間部を複数(図示例では、6つ)に分岐するようにしてもよく、この場合には、燃料用流路3も上記面内で分岐されることになるので、触媒層4において上記燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、燃焼器2での燃焼効率を高めることができる。
【0032】
また、燃料用流路3は第1の熱伝導性基板11と熱絶縁性基板21との互いの対向面の一方に溝5を設けることにより燃料用流路3を形成すればよく、例えば図7(a)に示すように第1の熱伝導性基板11に溝5を設けて当該溝5の内面に触媒層4を被着しておき、第1の熱伝導性基板11と熱絶縁性基板21とを図7(b)のように重ねて固着するようにしてもよい。ここにおいて、第1の熱伝導性基板11としてシリコン基板を採用している場合に微細な開口幅の溝5を形成するには、誘導結合プラズマ型のドライエッチング装置を用いたドライエッチングや、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ系溶液を用いた異方性のウェットエッチングなどを行えばよい。
【0033】
(実施形態2)
ところで、実施形態1では、発電ユニットたる熱電モジュール1の第1の熱伝導性基板11に熱絶縁性基板21を固着することで燃焼器2を形成しているが、本実施形態の熱電発電装置は、図8に示すように、実施形態1と同様の熱電モジュール1を2つ備えており、第1の熱伝導性基板11同士を重ねて固着することで燃焼器2を形成している点が相違する。すなわち、本実施形態では、図8における左側の熱電モジュール1の第1の熱伝導性基板11に溝5を設けて当該溝5の内面に触媒層4を被着してあり、同図における右側の熱電モジュール1の第1の熱伝導性基板11には溝5は設けていない。他の構成は実施形態1と同じである。
【0034】
しかして、本実施形態では、実施形態1において上記第2の基板を構成していた熱絶縁性基板21の代わりに、図8における右側の熱電モジュール1の第1の熱伝導性基板11が固着されることになり、上記第2の基板が熱伝導性材料により形成されているから、燃焼器2を熱源として第2の基板の厚み方向の両側に設けられた2つの熱電モジュール1,1により発電することができ、発電効率の高効率化を図ることができる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1の発明は、上記構成を採用したことにより、平板状の第1の基板と平板状の第2の基板との互いの対向面の一方に溝を設けておき第1の基板と第2の基板とを固着することにより平板形の燃焼器を形成することができ、従来のような機械加工を利用して燃焼器を形成したものに比べて第1の基板の厚み方向における厚さ寸法および当該厚み方向に直交する面内における外形寸法を小さくすることが可能となり、発電ユニットの外形を小さくしても燃焼器の外形寸法を発電ユニットの外形寸法と揃えることができ、装置全体の小型化を図ることができるという効果がある。
【0036】
請求項2の発明は、上記構成を採用したことにより、前記燃焼器で発生した熱を前記発電ユニットにおける前記金属膜へ効率良く伝達することができるという効果がある。
【0037】
請求項3の発明は、上記構成を採用したことにより、前記第1の基板と前記第2の基板との熱膨張係数差を比較的小さくすることができて前記燃焼器の反りを抑制することができ、また、前記第1の基板と前記第2の基板とを陽極接合により固着することができるから、前記第1の基板と前記第2の基板とを気密性良く強固に固着することができるという効果がある。
【0038】
請求項4の発明は、上記構成を採用したことにより、前記溝をサンドブラスト法により形成することができるので、前記溝の幅を数十μm程度まで狭くすることができ、しかも、前記溝の内面に多数の微細な凹凸が形成される(前記溝の内面が粗面化される)から、前記溝の内面に対する前記触媒層の密着性を向上できて、前記燃焼器の長寿命化を図ることができるという効果がある。
【0039】
請求項5の発明は、上記構成を採用したことにより、前記燃焼器を熱源として前記第2の基板の厚み方向の両側に設けられた2つの発電ユニットにより発電することができ、発電効率の高効率化を図ることができるという効果がある。
【0040】
請求項6の発明は、上記構成を採用したことにより、前記燃料用流路の流路長を長くすることができるとともに、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができるという効果がある。
【0041】
請求項7の発明は、上記構成を採用したことにより、請求項6の発明と同様、前記燃料用流路の流路長を長くすることができるとともに、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができるという効果がある。
【0042】
請求項8の発明は、上記構成を採用したことにより、請求項6の発明と同様、前記燃料用流路の流路長を長くすることができるとともに、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができるという効果がある。
【0043】
請求項9の発明は、上記構成を採用したことにより、前記触媒層において燃料と接触可能な表面の面積を大きくすることができるから、前記燃料器での燃焼効率を高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示し、(a)は概略分解斜視図、(b)は一部破断した斜視図である。
【図2】同上における燃焼器を示し、(a)は概略分解断面図、(b)は概略断面図である。
【図3】同上における燃焼器の他の構成例を示し、(a)は概略分解断面図、(b)は概略断面図である。
【図4】同上に用いる熱絶縁性基板を示し、(a)は斜視図、(b)は下面図である。
【図5】同上に用いる熱絶縁性基板の他の構成例を示す下面図である。
【図6】同上に用いる熱絶縁性基板の別の構成例を示す下面図である。
【図7】同上における燃焼器の別の構成例を示し、(a)は概略分解断面図、(b)は概略断面図である。
【図8】実施形態2を示す概略断面図である。
【図9】従来例を示す概略構成図である。
【図10】他の従来例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 熱電モジュール
2 燃焼器
3 燃料用流路
4 触媒層
5 溝
11 第1の熱伝導性基板
12 第2の熱伝導性基板
13 熱電素子
13a p形半導体エレメント
13b n形半導体エレメント
14 第2の金属薄膜
15 貫通孔
16 貫通孔
17 流通管
18a,18b 出力用電極
Claims (9)
- 燃料用流路を通過する燃料を燃焼させるための触媒層が燃料用流路内に配設された燃焼器と、対となる異種導電形の2つの半導体エレメント間を金属薄膜を介して繋いだ熱電素子を有し燃焼器で発生した熱が前記金属薄膜に伝達することで発電する発電ユニットとを備え、発電ユニットは、厚み方向の一面に前記金属薄膜が形成された熱伝導性材料からなる平板状の第1の基板を有し、燃焼器は、第1の基板の他面に重ねて固着された平板状の第2の基板を有し、第1の基板と第2の基板との互いの対向面の一方に溝を設けることにより燃料用流路が形成されてなることを特徴とする熱電発電装置。
- 前記第2の基板は、熱絶縁材料により形成されてなることを特徴とする請求項1記載の熱電発電装置。
- 前記第1の基板はシリコン基板であり、前記第2の基板はガラス基板であることを特徴とする請求項2記載の熱電発電装置。
- 前記燃焼器は、前記第2の基板に前記溝が形成され、前記溝の内面に前記触媒層が被着されてなることを特徴とする請求項3記載の熱電発電装置。
- 前記第2の基板が熱伝導性材料により形成され、前記第2の基板における前記第1の基板との対向面とは反対側の面に形成された別の金属薄膜により対となる異種導電形の2つの半導体エレメント間を繋いだ熱電素子を有する別の発電ユニットを備えることを特徴とする請求項1記載の熱電発電装置。
- 前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内で引き回されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の熱電発電装置。
- 前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内でスパイラル状に形成されてなることを特徴とする請求項6記載の熱電発電装置。
- 前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内で蛇行していることを特徴とする請求項6記載の熱電発電装置。
- 前記燃料用流路は、前記第2の基板の厚み方向に直交する面内で複数に分岐されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の熱電発電装置。
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