JP4182339B2 - サービスエリア監視方法、サービスエリア監視システムおよび移動体通信装置 - Google Patents
サービスエリア監視方法、サービスエリア監視システムおよび移動体通信装置 Download PDFInfo
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ＣＤＭＡ（Code Division Multiple Access：符号分割多元接続）無線通信システムのサービスエリア監視方法、サービスエリアの監視システム、サービスエリア監視に使用可能な移動体通信装置に関する。
【０００２】
本発明は、特に、通信のトラヒック状態に基づき広さが変化するサービスエリアの広さとその無線品質の状態を監視することが可能なＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視方法、サービスエリア監視システム、サービスエリア監視に使用可能な移動体通信装置に関する。
【０００３】
【従来の技術】
移動体無線通信システムの無線基地局が有するサービスエリア内の無線通信用信号の品質（以下「無線品質」と称する。）は、無線通信の成否に関わる情報である。
【０００４】
従来、無線品質を示す情報として、例えば無線基地局から常時送信されているＣＰＩＣＨ（Common PIlot Channel：共通パイロットチャネル）の「Ｅｃ／Ｎｏ」（希望波１チップ当たりのエネルギー対帯域内受信電力密度比）または「ＲＳＣＰ」（Received Signal Code Power：各無線基地局から受信する電波の強さを評価する希望波受信電力）等が用いられている。
【０００５】
無線品質は、周囲の環境の変化に応じて変動してしまう。例えば、ある無線基地局のサービスエリア内に新たなビルが建つと、そのビルの周辺で無線品質が悪化して無線通信が行えなくなってしまうという問題が発生する可能性がある。
【０００６】
したがって、移動体無線通信システムにおいては、設計時のサービスエリアと実際のサービスエリアとが異なってしまうという問題が生じる場合がある。
【０００７】
従来、サービスエリア内の無線品質の実情を確認するために、走行する車両に搭載された測定用機器を用いてサービスエリア内等の無線品質の情報を収集するフィールド走行試験を定期的に実施していた。
【０００８】
フィールド走行試験の実施により、測定地点における無線品質の状態を示す様々なデータがフィールド情報として収集される。
【０００９】
無線通信システムの運用者は、フィールド情報の解析結果に基づいて、サービスエリアを最適化するための処理方法を探る。サービスエリアを最適化するための処理方法の例は、無線基地局の増局時期と増局する無線基地局の設計、または既存の無線基地局における無線回線数の変更等がある。
【００１０】
しかしながら、フィールド走行試験は、走行する車両に搭載された測定用機器を用いてサービスエリア内等の無線品質の情報を収集するので、非常に多くの時間と労力を必要とする。また、専用の測定用機器を必要とする。
【００１１】
特に、ＣＤＭＡ無線通信システムを採用した無線通信システムの場合、各々の無線基地局のサービスエリアの広さが各々の無線基地局に接続している呼の数等に応じて変動するので、ＣＤＭＡ無線通信システムにおいて行われるフィールド走行試験では、フィールド走行試験を行っている時点で設定されている広さのサービスエリアに関する無線品質の情報しか収集できず、実際のサービスエリアの変化の状況を確認するのは困難である。
【００１２】
特許文献１（特開２００３−３２１７４号公報）には、フィールド走行試験を行うことなく、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの状態をリアルタイムで監視することを可能にするサービスエリア監視システムが記載されている。
【００１３】
特許文献１に記載のサービスエリア監視システムは、サービスエリアを確認したい場所または基地局が形成するセル全体のサービスエリアが確認できる場所に携帯電話機等の測定用端末を固定配置し、その固定配置された測定用端末と携帯電話網側とが通信を行うことで、リアルタイムでサービスエリアの状態を収集するシステムである。
【００１４】
また、特許文献２（特開２００２−２７１８３３号公報）には、実際にユーザが使用している移動通信端末装置を用いて、サービスエリアの無線品質の情報を収集するシステムが記載されている。
【００１５】
特許文献２に記載のシステムは以下の通りである。
【００１６】
移動通信端末装置が通信異常になると、通信異常となった移動通信端末装置は、通信異常発生時刻と通信異常発生場所と通信異常発生要因とを示すエラー情報を内部に記憶する。
【００１７】
移動通信端末装置が通信可能なサービスエリア内で通信を再開する際に、内部に記憶してあるエラー情報を携帯電話通信網側に送信する。
【００１８】
携帯電話通信網側は、受け取ったエラー情報を解析してサービスエリア内の無線品質の状態を取得する。
【００１９】
【特許文献１】
特開２００３−３２１７４号公報
【特許文献２】
特開２００２−２７１８３３号公報
【００２０】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献１に記載のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムは、サービスエリアを確認したい場所などに固定配置された測定用端末と携帯電話網側とが通信を行うことで、リアルタイムでサービスエリアの状態を確認可能となる。
【００２１】
しかしながら、特許文献１に記載のシステムでは、固定配置される測定用端末は測定専用となってしまうので、測定専用機が必要となるという問題が生じる。また、測定専用機の設置に手間がかかるという問題も生じる。
【００２２】
特許文献２に記載のシステムは、実際にユーザが使用している移動通信端末装置を用いてサービスエリアの無線品質の情報を収集するので、測定専用機を不要にできる。
【００２３】
しかしながら、特許文献２に記載のシステムでは、移動通信端末装置の存在場所を示す情報は、通信異常になったときに生成するエラー情報にしか付加されないので、通信が可能な場所での無線品質の状態を確認できないという問題がある。したがって、例えば、サービスエリアの境界付近の無線品質を確認できないという問題が生じる。
【００２４】
本発明の目的は、測定専用機を用いることなくＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの無線品質の状態をリアルタイムで確認可能なＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの監視方法、サービスエリアの監視システムおよびサービスエリア監視に利用可能な移動体通信装置を提供することである。
【００２５】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のサービスエリア監視方法およびサービスエリア監視システムは、移動体通信装置が、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際に、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を含むメッセージの空きビットに現在位置を示す位置情報が挿入された発信信号を発信し、その発信信号に基づきサービスエリア監視手段がサービスエリアにおける無線品質を監視するので、移動体通信装置は固定配置される必要がなく、サービスエリア監視に用いる移動体通信装置を実際にユーザが使用する移動体通信装置とすることが可能となり、測定専用機を用いる必要がなくなる。
【００２６】
また、３ＧＰＰ（3rd Generation Partnership Project）によって、移動体通信装置は、Ｈ／Ｏ（ハンドオーバ：セル移行）時および圏外エリアとの境界に存在するときのそれぞれで、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を送信することが規定されているので、この規定に応じた移動体通信装置を用いれば、この規定に応じて送信される無線品質情報をサービスエリア監視用の無線品質情報に兼用できる。
【００２７】
また、通信が可能な場所での無線品質をリアルタイムで採取可能なので、例えば、サービスエリアの境界付近の無線品質を細かく確認することが可能となる。
【００２８】
また、本発明の移動体通信装置は、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際に、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を含むメッセージの空きビットに現在位置を示す位置情報が挿入された発信信号を発信するので、上記のサービスエリアの監視装置で使用可能となる。
【００２９】
また、３ＧＰＰによって、移動体通信装置は、Ｈ／Ｏ時および圏外エリアとの境界に存在するときのそれぞれで、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を送信することが規定されているので、本発明の移動体通信装置として、この規定に応じた移動体通信装置を用いれば、この規定に応じて送信される無線品質情報をサービスエリア監視用の無線品質情報に兼用できる。
【００３５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す一実施例に基づき説明する。
【００３６】
図１は、本発明の一実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【００３７】
図１において、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムは、携帯電話機１と、無線基地局２と、無線基地局３と、無線基地局４と、基地局制御装置５と、サービスエリア監視装置６および移動通信用交換機７とを含む。
【００３８】
携帯電話機１と無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４とはフィールド側に存在する。また、基地局制御装置５とサービスエリア監視装置６と移動通信用交換機７とはＣＤＭＡネットワーク側に存在する。
【００３９】
なお、本実施例のサービスエリア監視システムは、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４とサービスエリア監視装置６を含むものでもよいし、そのシステムが携帯電話機１をさらに含んでもよい。また、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４と基地局制御装置５とサービスエリア監視装置６を含むものでもよいし、そのシステムが携帯電話機１をさらに含んでもよい。
【００４０】
移動体無線通信装置としての携帯電話機１は、実際にユーザが携帯電話機として使用可能な３ＧＰＰの規定に対応した携帯電話機である。図１では、携帯電話機１が１つの例を示しているが、本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムでは、複数の携帯電話機１を有するようにしてもよい。
【００４１】
携帯電話機１は、３ＧＰＰで規定されている通り、Ｈ／Ｏ時に所定のメッセージを送信する。Ｈ／Ｏ時に送信されるメッセージは、「Measurement Report」（測定報告）である。
【００４２】
携帯電話機１は、３ＧＰＰで規定されている通り、複数の無線基地局のサービスエリアによって規定されるＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界（以下、「圏外エリアとの境界」と称する。）に存在する際、所定のメッセージを送信する。圏外エリアとの境界に存在するときに送信されるメッセージは、「Cell Update」（セル更新）である。
【００４３】
携帯電話機１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、無線基地局２、３、４から常時送信されているＣＰＩＣＨの「Ｅｃ／Ｎｏ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としてのパラメータが含まれている。
【００４４】
さらに、携帯電話機１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、「ＲＳＣＰ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としての無線品質を示すパラメータが含まれている。
【００４５】
携帯電話機１は、「Measurement Report」と「Cell Update」を送信する際、これらのメッセージとともに現在位置を示す位置情報を送信する。
【００４６】
図２は、携帯電話機１の一例を示したブロック図である。図２において、携帯電話機１は、入力部１１と、位置情報取得部１２と、メッセージ生成部１３および通信制御部１４とを含む。
【００４７】
入力部１１は、利用者に操作されることにより所望の電話番号が入力される。
【００４８】
位置情報取得手段としての位置情報取得部１２は、ＧＰＳ（Global Positioning System：全地球測位システム）用衛星１２ａから受信した信号に基づいて自身の位置情報を取得する。なお、位置情報の取得は、例えば間欠的に行われる。
【００４９】
メッセージ生成部１３は、３ＧＰＰで規定されている通り、Ｈ／Ｏ時は「Measurement Report」というメッセージを生成する。また、メッセージ生成部１３は、圏外エリアとの境界に存在する際には「Cell Update」というメッセージを生成する。
【００５０】
「Measurement Report」と「Cell Update」のそれぞれには、無線品質を示すパラメータとして「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とが含まれる。
【００５１】
通信制御手段としての通信制御部１４は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージに位置情報取得部１２が取得した位置情報を付加したサービスエリア情報信号を発信信号として発信する。
【００５２】
なお、通信制御部１４は、「Measurement Report」と「Cell Update」の両方に位置情報を付加するかわりに、「Measurement Report」と「Cell Update」のいずれか一方のみに位置情報を付加するようにしてもよい。なお、この場合、位置情報が付加されたメッセージのみに基づいてサービスエリアの監視が行われる。
【００５３】
図１に戻って、無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４のそれぞれは、携帯電話機１と無線通信が可能となるサービスエリアを有する。無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４のそれぞれは、それぞれが有するサービスエリア内に存在する携帯電話機１と無線通信を行う。
【００５４】
無線基地局２はサービスエリア２１を有する。無線基地局３はサービスエリア３１を有する。無線基地局４はサービスエリア４１を有する。
【００５５】
サービスエリア２１とサービスエリア３１とサービスエリア４１とは、互いに重なり合う領域を有するものとする。また、サービスエリア２１とサービスエリア３１とサービスエリア４１とで指定されるエリアが、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアとなる。
【００５６】
また、サービスエリア２１とサービスエリア３１とサービスエリア４１とは、各々のサービスエリア内に存在する携帯電話機の数等に応じて、エリアの広さが変更される。
【００５７】
基地局制御装置５は、無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４とを制御する。基地局制御装置５は、無線基地局２または無線基地局３または無線基地局４が受信した携帯電話機１からの信号、例えばサービスエリア情報信号を入力する。
【００５８】
基地局制御装置５は、サービスエリア情報信号を入力すると、入力したサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置６に出力する。
【００５９】
サービスエリア監視装置６は、基地局制御装置５から出力されたサービスエリア情報信号に基づき、各無線基地局のサービスエリアにおける無線品質の状態を監視する。
【００６０】
具体的には、サービスエリア情報信号に含まれる位置情報と同じくサービスエリア情報信号に含まれる無線品質を示すパラメータ（「Ｅｃ／ＮｏとＲＳＣＰ」）とに基づき、位置情報で示された位置における無線品質を確認することにより、無線基地局のサービスエリアの状態をリアルタイムで監視する。
【００６１】
特に、携帯電話機１が複数存在する場合、サービスエリアの監視用の情報が多く出力されるので、無線基地局のサービスエリアの状態の監視精度が向上する。
【００６２】
また、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した複数の境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【００６３】
また、サービスエリア監視装置６は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【００６４】
なお、本実施例は、サービスエリア監視に用いる無線品質を示すパラメータとして、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」の２つのパラメータを用いたが、これら２つのパラメータのうちいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。
【００６５】
また、サービスエリア監視装置６は、無線基地局のサービスエリアにおける無線品質を監視するとともに、監視した無線基地局のサービスエリアの無線品質に基づき、新たな無線基地局の増局時期または新たな無線基地局の設定または既存の無線基地局の無線回線数の変更等に関する設計情報等を算出するようにしてもよい。
【００６６】
移動通信用交換機７は、無線基地局２ないし４のいずれかの無線基地局と基地局制御装置５とを介して入力する携帯電話機１の呼の接続処理等を行う。
【００６７】
次に、動作を説明する。
【００６８】
図３は、図１に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【００６９】
以下、図３を参照して動作を説明する。なお、以下の説明では、携帯電話機１は、無線基地局２のサービスエリア２１内に存在しているものとする。
【００７０】
携帯電話機１内の位置情報取得部１２は、ＧＰＳ用衛星１２ａから出力される信号に基づき現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報の取得は、例えば間欠的に行われる。携帯電話機１は、ＧＰＳ用衛星１２ａから出力される信号に基づき現在位置を示す位置情報を取得することにより、自らの位置を高い精度で検出することができる。
【００７１】
携帯電話機１内のメッセージ生成部１３は、３ＧＰＰで規定されているように、Ｈ／Ｏ時に「Measurement Report」を、圏外エリアとの境界では「Cell Update」というメッセージを生成する。
【００７２】
「Measurement Report」と「Cell Update」のそれぞれには、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とが無線品質を示すパラメータとして含まれる。
【００７３】
携帯電話機１内の無線通信部１４は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージに位置情報取得部１２が取得した位置情報を付加したサービスエリア情報信号を発信する（ステップ３ａ）。
【００７４】
ステップ３ａの一例を以下に示す。
【００７５】
メッセージ生成部１３が「Measurement Report」を生成した場合、無線通信部１４は、位置情報取得部１２が取得した位置情報を「Measurement Report」の空きビットに挿入し、位置情報が挿入された「Measurement Report」をサービスエリア情報信号として発信する。
【００７６】
メッセージ生成部１３が「Cell Update」を生成した場合、無線通信部１４は、位置情報取得部１２が取得した位置情報を「Cell Update」の空きビットに挿入し、位置情報が挿入された「Cell Update」をサービスエリア情報信号として発信する。
【００７７】
したがって、携帯電話機１から発信されるサービスエリア情報信号は、携帯電話１の現在位置を示す位置情報とその位置情報で示された位置での無線品質の情報とが含まれる。
【００７８】
また、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信する無線品質情報を示す情報を含むメッセージの空きビットに携帯電話機の位置情報を付加するので、携帯電話機の位置情報の送信に際して、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信するメッセージのビット数を増やす必要がなくなる。
【００７９】
携帯電話機１から発信されたサービスエリア情報信号は、無線基地局２で受信される。無線基地局２は、受信したサービスエリア情報信号を、基地局制御装置５に出力する（ステップ３ｂ）。
【００８０】
基地局制御装置５は、入力したサービスエリア情報信号を、サービスエリア監視装置６に出力する（ステップ３ｃ）。
【００８１】
サービスエリア監視装置６は、入力したサービスエリア情報信号に基づき、無線基地局２のサービスエリアにおける無線品質を監視する。
【００８２】
具体的には、サービスエリア情報信号に含まれる位置情報と同じくサービスエリア情報信号に含まれる無線品質を示すパラメータ（「Ｅｃ／ＮｏとＲＳＣＰ」）とに基づき無線基地局のサービスエリアにおける無線品質を監視する。
【００８３】
さらに述べると、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１から発信される「Measurement Report」を含むサービスエリア情報信号が有する位置情報と該サービスエリア情報信号が有する「Ｅｃ／Ｎｏ」と該サービスエリア情報信号が有する「ＲＳＣＰ」とに基づき、複数のサービスエリアが重なり合う隣接セルの境界における無線品質を位置情報で示された位置でリアルタイムに監視する。
【００８４】
また、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１から発信される「Cell Update」を含むサービスエリア情報信号が有する位置情報と該サービスエリア情報信号が有する「Ｅｃ／Ｎｏ」と該サービスエリア情報信号が有する「ＲＳＣＰ」とに基づき、サービスエリアの圏外エリアとの境界における無線品質を位置情報で示された位置でリアルタイムに監視する。
【００８５】
また、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【００８６】
また、サービスエリア監視装置６は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【００８７】
広さが変動するサービスエリアの無線品質がサービスエリア監視装置６により監視可能となるので、ＣＤＭＡ無線通信システムの運用者は、サービスエリア監視装置６の監視内容に基づき、無線基地局の「増局時期」、「置局設計」や「無線回線数の変更」の決定が行い易くなる。
【００８８】
本実施例は、実際にユーザが使用している携帯電話機から、その携帯電話機の位置を示す位置情報とその位置での無線品質を示す無線品質情報とをリアルタイムで取得できるので、サービスエリアの無線品質を監視するためにフィールド走行試験を実行しなくて済み、また測定専用機を不要にできる。よって、システム構成の簡略化を図りながら、広さが変わるサービスエリアの状態をリアルタイムで確認可能となる。
【００８９】
また、無線品質を示す情報として、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信する「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とを用いているので、サービスエリア監視用の無線品質の情報として、新たな無線品質の情報を生成しなくて済む。
【００９０】
また、本実施例では、基地局制御装置を介してサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置６に供給するようにしているが、これに限るものではない。例えば、サービスエリア情報信号を無線基地局から直接サービスエリア監視装置６に供給するようにしてもよい。
【００９１】
また、本実施例では、携帯電話機１の現在位置を示す位置情報を取得するためにＧＰＳを用いたが、位置情報を取得する手法はＧＰＳに限るものではなく、適宜変更可能である。例えば、特開２００２−７７９７７号公報に記載の位置検索方法を用いて位置情報を収集してもよいし、特開２００２−２９１０２０号公報に記載の位置情報検索方法を用いて位置情報を収集してもよい。
【００９２】
なお、特開２００２−７７９７７号公報に記載の位置検索方法は、携帯電話網側で、携帯電話機からの電波を受信した無線基地局を特定し、特定した無線基地局の位置に基づいて携帯電話機の位置を特定し、特定した位置を含む所定領域の地図情報に応じて表示される地図上での携帯電話機の位置を特定する情報を携帯電話機に送信し、携帯電話機が現在位置を示す位置情報を収集する方法である。
【００９３】
また、特開２００２−２９１０２０号公報に記載の位置情報検索方法は、所定の位置に設置され、かつ自機の位置を示す位置情報を有する標準通信距離が１０ｍ以下の無線通信モジュールから、携帯電話機が位置情報を収集する方法である。
【００９４】
次に、位置情報を収集する機能を有さない携帯電話機を用いたＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの監視システムの実施例を説明する。
【００９５】
図４は、本発明の他の実施例となる位置情報を収集する機能を有さない携帯電話機を用いたＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。なお、図４において、図１と同一構成のものには、同一符号を附してある。
【００９６】
図４において、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムは、携帯電話機１０１と、無線基地局２と、無線基地局３と、無線基地局４と、移動通信用交換機７と、基地局制御装置８と、サービスエリア監視装置９とを含む。
【００９７】
携帯電話機１０１と無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４とはフィールド側に存在する。また、移動通信用交換機７と基地局制御装置８とサービスエリア監視装置９とはＣＤＭＡネットワーク側に存在する。
【００９８】
なお、本実施例のサービスエリア監視システムは、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４と基地局制御装置８とサービスエリア監視装置９を含むものでもよいし、そのシステムが携帯電話機１０１をさらに含んでもよい。
【００９９】
図４に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムでは、携帯電話機１０１の現在位置を示す情報として、基地局制御装置８が有するＨ／Ｏの情報を用いる。サービスエリア監視装置９は、Ｈ／Ｏの実行タイミングで、基地局制御装置８が有するＨ／Ｏの情報に基づき携帯電話機１０１の位置を特定する。
【０１００】
移動体無線通信装置としての携帯電話機１０１は、実際にユーザが携帯電話機として使用可能な３ＧＰＰに対応した携帯電話機である。図４では、携帯電話機１０１が１つの例を示しているが、本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムでは、複数の携帯電話機１０１を有するようにしてもよい。
【０１０１】
携帯電話機１０１は、３ＧＰＰで規定されている通り、Ｈ／Ｏ（ハンドオーバ：セル移行）時に所定のメッセージを送信する。Ｈ／Ｏ時に送信されるメッセージは、「Measurement Report」である。
【０１０２】
携帯電話機１０１は、３ＧＰＰで規定されている通り、圏外エリアとの境界に存在する際、所定のメッセージを送信する。圏外エリアとの境界に存在するときに送信されるメッセージは、「Cell Update」である。
【０１０３】
携帯電話機１０１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、無線基地局２、３、４から常時送信されているＣＰＩＣＨの「Ｅｃ／Ｎｏ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としてのパラメータが含まれている。
【０１０４】
さらに、携帯電話機１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、「ＲＳＣＰ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としての無線品質を示すパラメータが含まれている。
【０１０５】
図５は、携帯電話機１０１の一例を示したブロック図である。図５において、携帯電話機１０１は、入力部１１と、メッセージ生成部１３および通信制御部１５とを含む。なお、図５において、図２と同一構成のものには、同一符号を附してある。
【０１０６】
通信制御部１５は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージのうちＨ／Ｏ時に生成される「Measurement Report」をサービスエリア情報信号として発信する。
【０１０７】
図４に戻って、基地局制御装置８は、無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４を制御する。
【０１０８】
基地局制御装置８は、無線基地局２または無線基地局３または無線基地局４が受信した携帯電話機１０１からの信号、例えばサービスエリア情報信号を入力する。
【０１０９】
基地局制御装置８は、サービスエリア情報信号を入力すると、入力したサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する。
【０１１０】
基地局制御装置８は、サービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する際、サービスエリア情報信号とともにＨ／Ｏの情報をサービスエリア監視装置９に出力する。なお、基地局制御装置８は、Ｈ／Ｏの情報にかえてＨ／Ｏの情報に基づき算出される携帯電話機１０１の現在位置（図４の場合は、斜線で示した地域）を示す位置情報をサービスエリア監視装置９に出力するようにしてもよい。
【０１１１】
サービスエリア監視装置９は、基地局制御装置８から出力されたサービスエリア情報信号と基地局制御装置８から入力するＨ／Ｏの情報とに基づき、無線基地局のサービスエリアの状態を監視する。
【０１１２】
具体的には、Ｈ／Ｏの情報に基づき算出される携帯電話機１０１の存在位置（図４の場合は、斜線で示した地域）とサービスエリア情報信号に含まれる無線品質を示すパラメータ（「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」）とに基づき無線基地局のサービスエリアの状態を監視する。
【０１１３】
また、サービスエリア監視装置９は、携帯電話機１０１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【０１１４】
また、サービスエリア監視装置９は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【０１１５】
なお、本実施例は、サービスエリア監視に用いる無線品質を示すパラメータとして、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」の２つのパラメータを用いたが、これら２つのパラメータのうちいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。
【０１１６】
サービスエリア監視装置９は、無線基地局のサービスエリアにおける無線品質を監視するとともに、監視した無線基地局のサービスエリアの無線品質の状態に基づき、新たな無線基地局の増局時期または新たな無線基地局の設定または既存の無線基地局の無線回線数の変更等に関する設計情報等を算出するようにしてもよい。
【０１１７】
次に、動作を説明する。
【０１１８】
図６は、図４に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【０１１９】
以下、図６を参照して動作を説明する。なお、以下の説明では、携帯電話機１０１は、図４に示すように、無線基地局２のサービスエリア２１と無線基地局３のサービスエリア３１とが重なっている地域（図４において、斜線で示した部分）に存在し、無線基地局２から無線基地局３にＨ／Ｏが行われることとする。
【０１２０】
携帯電話機１内のメッセージ生成部１３は、３ＧＰＰで規定されているように、Ｈ／Ｏ時に「Measurement Report」というメッセージを生成する。「Measurement Report」には、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とが無線品質を示すパラメータとして含まれる。
【０１２１】
携帯電話機１０１内の無線通信部１５は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージをサービスエリア情報信号として発信する（ステップ６ａ）。
【０１２２】
携帯電話機１０１から発信されたサービスエリア情報信号は、無線基地局２および無線基地局３で受信される。無線基地局２および無線基地局３は、受信したサービスエリア情報信号を、基地局制御装置８に出力する（ステップ６ｂ）。
【０１２３】
基地局制御装置８は、入力したサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する（ステップ６ｃ）。さらに、基地局制御装置８は、サービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する際、サービスエリア情報信号にＨ／Ｏの情報を付加して出力する。
【０１２４】
サービスエリア監視装置９は、入力したサービスエリア情報信号と入力したＨ／Ｏの情報とに基づき、無線基地局２のサービスエリア２１と無線基地局３のサービスエリア３１とが重なっている領域のサービスエリアにおける無線品質の状態を監視する、さらにいえばリアルタイムで監視する。
【０１２５】
具体的には、サービスエリア監視装置９は、携帯電話機１０１から発信される「Measurement Report」を含むサービスエリア情報信号が有する「Ｅｃ／Ｎｏ」と同じくサービスエリア信号が有する「ＲＳＣＰ」とから無線品質を求める。さらに、サービスエリア監視装置９は、入力したＨ／Ｏの情報に基づき携帯電話機１０１の位置（図４の場合、斜線で示した位置）を求める。
【０１２６】
サービスエリア監視装置９は、Ｈ／Ｏの情報に基づき求めた位置の無線品質が、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とから求めた無線品質であると判定する。
【０１２７】
また、サービスエリア監視装置９は、携帯電話機１０１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【０１２８】
また、サービスエリア監視装置９は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【０１２９】
図７は、図４に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムにおいて、携帯電話機１０１が、無線基地局２のサービスエリア２１と無線基地局３のサービスエリア３１と無線基地局４のサービスエリア４１とが重なっている地域（図７において、斜線で示した部分）に存在し、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４との３つの無線基地局とＨ／Ｏを行う場合を示している。
【０１３０】
携帯電話機１０１が、図７に示すような位置に存在する場合、携帯電話機１０１は、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４との３つの無線基地局とＨ／Ｏを行うので、図４の場合と比べて高い精度の位置の情報を取得可能となる。
【０１３１】
図４および図７に示した実施例は、携帯電話機から位置を示す位置情報を送る必要がなく、基地局制御装置８で管理されているＨ／Ｏの情報をサービスエリア監視装置９で収集し解析することにより位置情報が得られる。
【０１３２】
広さが変動するサービスエリアの無線品質の状態がサービスエリア監視装置９により監視可能となるので、ＣＤＭＡ無線通信システムの運用者は、サービスエリア監視装置９の監視内容に基づき、無線基地局の「増局時期」、「置局設計」や「無線回線数の変更」の決定が行い易くなる。
【０１３３】
図４に示した実施例は、フィールド走行試験を行う必要がなくなり、また測定専用機を不要にできる。よって、システム構成の簡略化を図りながら、広さが変わるサービスエリアの状態をリアルタイムで確認可能となる。
【０１３４】
無線品質を示す情報として、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信する「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とを用いているので、サービスエリア監視用の無線品質の情報として、新たな無線品質の情報を生成しなくて済む。
【０１３５】
以上説明した各実施例において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【０１３６】
【発明の効果】
本発明によれば、移動体通信装置がＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際にＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報と現在位置を示す位置情報とを示す発信信号を発信し、その発信信号に基づきサービスエリア監視手段がサービスエリアの無線品質の監視を行うので、移動体通信装置を固定配置する必要がなく、移動体通信装置を実際にユーザが使用する移動体通信装置とすることが可能となる。
【０１３７】
さらに、通信が可能なエリアの無線品質の情報をリアルタイムで収集可能となる。
【０１３８】
これにより運用者は、従来の測定方法に比べ、より正確なサービスエリアの確認が随時可能となり、無線基地局の「増局時期」、「置局設計」や「無線回線数の変更」の決定が行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【図２】本実施例の携帯電話機１を示したブロック図である。
【図３】本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図４】本発明の他の実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【図５】本実施例の携帯電話機１０１を示したブロック図である。
【図６】本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図７】本発明の他の実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【符号の説明】
１ 携帯電話機
１１ 入力部
１２ 位置情報取得部
１３ メッセージ生成部
１４ 通信制御部
１５ 通信制御部
１０１ 携帯電話機
２ 無線基地局
２１ サービスエリア
３ 無線基地局
３１ サービスエリア
４ 無線基地局
４１ サービスエリア
５ 基地局制御装置
６ 移動通信用交換機
７ サービスエリア監視装置
８ 基地局制御装置
９ サービスエリア監視装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、ＣＤＭＡ（Code Division Multiple Access：符号分割多元接続）無線通信システムのサービスエリア監視方法、サービスエリアの監視システム、サービスエリア監視に使用可能な移動体通信装置に関する。
【０００２】
本発明は、特に、通信のトラヒック状態に基づき広さが変化するサービスエリアの広さとその無線品質の状態を監視することが可能なＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視方法、サービスエリア監視システム、サービスエリア監視に使用可能な移動体通信装置に関する。
【０００３】
【従来の技術】
移動体無線通信システムの無線基地局が有するサービスエリア内の無線通信用信号の品質（以下「無線品質」と称する。）は、無線通信の成否に関わる情報である。
【０００４】
従来、無線品質を示す情報として、例えば無線基地局から常時送信されているＣＰＩＣＨ（Common PIlot Channel：共通パイロットチャネル）の「Ｅｃ／Ｎｏ」（希望波１チップ当たりのエネルギー対帯域内受信電力密度比）または「ＲＳＣＰ」（Received Signal Code Power：各無線基地局から受信する電波の強さを評価する希望波受信電力）等が用いられている。
【０００５】
無線品質は、周囲の環境の変化に応じて変動してしまう。例えば、ある無線基地局のサービスエリア内に新たなビルが建つと、そのビルの周辺で無線品質が悪化して無線通信が行えなくなってしまうという問題が発生する可能性がある。
【０００６】
したがって、移動体無線通信システムにおいては、設計時のサービスエリアと実際のサービスエリアとが異なってしまうという問題が生じる場合がある。
【０００７】
従来、サービスエリア内の無線品質の実情を確認するために、走行する車両に搭載された測定用機器を用いてサービスエリア内等の無線品質の情報を収集するフィールド走行試験を定期的に実施していた。
【０００８】
フィールド走行試験の実施により、測定地点における無線品質の状態を示す様々なデータがフィールド情報として収集される。
【０００９】
無線通信システムの運用者は、フィールド情報の解析結果に基づいて、サービスエリアを最適化するための処理方法を探る。サービスエリアを最適化するための処理方法の例は、無線基地局の増局時期と増局する無線基地局の設計、または既存の無線基地局における無線回線数の変更等がある。
【００１０】
しかしながら、フィールド走行試験は、走行する車両に搭載された測定用機器を用いてサービスエリア内等の無線品質の情報を収集するので、非常に多くの時間と労力を必要とする。また、専用の測定用機器を必要とする。
【００１１】
特に、ＣＤＭＡ無線通信システムを採用した無線通信システムの場合、各々の無線基地局のサービスエリアの広さが各々の無線基地局に接続している呼の数等に応じて変動するので、ＣＤＭＡ無線通信システムにおいて行われるフィールド走行試験では、フィールド走行試験を行っている時点で設定されている広さのサービスエリアに関する無線品質の情報しか収集できず、実際のサービスエリアの変化の状況を確認するのは困難である。
【００１２】
特許文献１（特開２００３−３２１７４号公報）には、フィールド走行試験を行うことなく、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの状態をリアルタイムで監視することを可能にするサービスエリア監視システムが記載されている。
【００１３】
特許文献１に記載のサービスエリア監視システムは、サービスエリアを確認したい場所または基地局が形成するセル全体のサービスエリアが確認できる場所に携帯電話機等の測定用端末を固定配置し、その固定配置された測定用端末と携帯電話網側とが通信を行うことで、リアルタイムでサービスエリアの状態を収集するシステムである。
【００１４】
また、特許文献２（特開２００２−２７１８３３号公報）には、実際にユーザが使用している移動通信端末装置を用いて、サービスエリアの無線品質の情報を収集するシステムが記載されている。
【００１５】
特許文献２に記載のシステムは以下の通りである。
【００１６】
移動通信端末装置が通信異常になると、通信異常となった移動通信端末装置は、通信異常発生時刻と通信異常発生場所と通信異常発生要因とを示すエラー情報を内部に記憶する。
【００１７】
移動通信端末装置が通信可能なサービスエリア内で通信を再開する際に、内部に記憶してあるエラー情報を携帯電話通信網側に送信する。
【００１８】
携帯電話通信網側は、受け取ったエラー情報を解析してサービスエリア内の無線品質の状態を取得する。
【００１９】
【特許文献１】
特開２００３−３２１７４号公報
【特許文献２】
特開２００２−２７１８３３号公報
【００２０】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献１に記載のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムは、サービスエリアを確認したい場所などに固定配置された測定用端末と携帯電話網側とが通信を行うことで、リアルタイムでサービスエリアの状態を確認可能となる。
【００２１】
しかしながら、特許文献１に記載のシステムでは、固定配置される測定用端末は測定専用となってしまうので、測定専用機が必要となるという問題が生じる。また、測定専用機の設置に手間がかかるという問題も生じる。
【００２２】
特許文献２に記載のシステムは、実際にユーザが使用している移動通信端末装置を用いてサービスエリアの無線品質の情報を収集するので、測定専用機を不要にできる。
【００２３】
しかしながら、特許文献２に記載のシステムでは、移動通信端末装置の存在場所を示す情報は、通信異常になったときに生成するエラー情報にしか付加されないので、通信が可能な場所での無線品質の状態を確認できないという問題がある。したがって、例えば、サービスエリアの境界付近の無線品質を確認できないという問題が生じる。
【００２４】
本発明の目的は、測定専用機を用いることなくＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの無線品質の状態をリアルタイムで確認可能なＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの監視方法、サービスエリアの監視システムおよびサービスエリア監視に利用可能な移動体通信装置を提供することである。
【００２５】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のサービスエリア監視方法およびサービスエリア監視システムは、移動体通信装置が、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際に、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を含むメッセージの空きビットに現在位置を示す位置情報が挿入された発信信号を発信し、その発信信号に基づきサービスエリア監視手段がサービスエリアにおける無線品質を監視するので、移動体通信装置は固定配置される必要がなく、サービスエリア監視に用いる移動体通信装置を実際にユーザが使用する移動体通信装置とすることが可能となり、測定専用機を用いる必要がなくなる。
【００２６】
また、３ＧＰＰ（3rd Generation Partnership Project）によって、移動体通信装置は、Ｈ／Ｏ（ハンドオーバ：セル移行）時および圏外エリアとの境界に存在するときのそれぞれで、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を送信することが規定されているので、この規定に応じた移動体通信装置を用いれば、この規定に応じて送信される無線品質情報をサービスエリア監視用の無線品質情報に兼用できる。
【００２７】
また、通信が可能な場所での無線品質をリアルタイムで採取可能なので、例えば、サービスエリアの境界付近の無線品質を細かく確認することが可能となる。
【００２８】
また、本発明の移動体通信装置は、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際に、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を含むメッセージの空きビットに現在位置を示す位置情報が挿入された発信信号を発信するので、上記のサービスエリアの監視装置で使用可能となる。
【００２９】
また、３ＧＰＰによって、移動体通信装置は、Ｈ／Ｏ時および圏外エリアとの境界に存在するときのそれぞれで、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を送信することが規定されているので、本発明の移動体通信装置として、この規定に応じた移動体通信装置を用いれば、この規定に応じて送信される無線品質情報をサービスエリア監視用の無線品質情報に兼用できる。
【００３５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す一実施例に基づき説明する。
【００３６】
図１は、本発明の一実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【００３７】
図１において、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムは、携帯電話機１と、無線基地局２と、無線基地局３と、無線基地局４と、基地局制御装置５と、サービスエリア監視装置６および移動通信用交換機７とを含む。
【００３８】
携帯電話機１と無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４とはフィールド側に存在する。また、基地局制御装置５とサービスエリア監視装置６と移動通信用交換機７とはＣＤＭＡネットワーク側に存在する。
【００３９】
なお、本実施例のサービスエリア監視システムは、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４とサービスエリア監視装置６を含むものでもよいし、そのシステムが携帯電話機１をさらに含んでもよい。また、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４と基地局制御装置５とサービスエリア監視装置６を含むものでもよいし、そのシステムが携帯電話機１をさらに含んでもよい。
【００４０】
移動体無線通信装置としての携帯電話機１は、実際にユーザが携帯電話機として使用可能な３ＧＰＰの規定に対応した携帯電話機である。図１では、携帯電話機１が１つの例を示しているが、本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムでは、複数の携帯電話機１を有するようにしてもよい。
【００４１】
携帯電話機１は、３ＧＰＰで規定されている通り、Ｈ／Ｏ時に所定のメッセージを送信する。Ｈ／Ｏ時に送信されるメッセージは、「Measurement Report」（測定報告）である。
【００４２】
携帯電話機１は、３ＧＰＰで規定されている通り、複数の無線基地局のサービスエリアによって規定されるＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界（以下、「圏外エリアとの境界」と称する。）に存在する際、所定のメッセージを送信する。圏外エリアとの境界に存在するときに送信されるメッセージは、「Cell Update」（セル更新）である。
【００４３】
携帯電話機１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、無線基地局２、３、４から常時送信されているＣＰＩＣＨの「Ｅｃ／Ｎｏ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としてのパラメータが含まれている。
【００４４】
さらに、携帯電話機１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、「ＲＳＣＰ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としての無線品質を示すパラメータが含まれている。
【００４５】
携帯電話機１は、「Measurement Report」と「Cell Update」を送信する際、これらのメッセージとともに現在位置を示す位置情報を送信する。
【００４６】
図２は、携帯電話機１の一例を示したブロック図である。図２において、携帯電話機１は、入力部１１と、位置情報取得部１２と、メッセージ生成部１３および通信制御部１４とを含む。
【００４７】
入力部１１は、利用者に操作されることにより所望の電話番号が入力される。
【００４８】
位置情報取得手段としての位置情報取得部１２は、ＧＰＳ（Global Positioning System：全地球測位システム）用衛星１２ａから受信した信号に基づいて自身の位置情報を取得する。なお、位置情報の取得は、例えば間欠的に行われる。
【００４９】
メッセージ生成部１３は、３ＧＰＰで規定されている通り、Ｈ／Ｏ時は「Measurement Report」というメッセージを生成する。また、メッセージ生成部１３は、圏外エリアとの境界に存在する際には「Cell Update」というメッセージを生成する。
【００５０】
「Measurement Report」と「Cell Update」のそれぞれには、無線品質を示すパラメータとして「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とが含まれる。
【００５１】
通信制御手段としての通信制御部１４は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージに位置情報取得部１２が取得した位置情報を付加したサービスエリア情報信号を発信信号として発信する。
【００５２】
なお、通信制御部１４は、「Measurement Report」と「Cell Update」の両方に位置情報を付加するかわりに、「Measurement Report」と「Cell Update」のいずれか一方のみに位置情報を付加するようにしてもよい。なお、この場合、位置情報が付加されたメッセージのみに基づいてサービスエリアの監視が行われる。
【００５３】
図１に戻って、無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４のそれぞれは、携帯電話機１と無線通信が可能となるサービスエリアを有する。無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４のそれぞれは、それぞれが有するサービスエリア内に存在する携帯電話機１と無線通信を行う。
【００５４】
無線基地局２はサービスエリア２１を有する。無線基地局３はサービスエリア３１を有する。無線基地局４はサービスエリア４１を有する。
【００５５】
サービスエリア２１とサービスエリア３１とサービスエリア４１とは、互いに重なり合う領域を有するものとする。また、サービスエリア２１とサービスエリア３１とサービスエリア４１とで指定されるエリアが、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアとなる。
【００５６】
また、サービスエリア２１とサービスエリア３１とサービスエリア４１とは、各々のサービスエリア内に存在する携帯電話機の数等に応じて、エリアの広さが変更される。
【００５７】
基地局制御装置５は、無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４とを制御する。基地局制御装置５は、無線基地局２または無線基地局３または無線基地局４が受信した携帯電話機１からの信号、例えばサービスエリア情報信号を入力する。
【００５８】
基地局制御装置５は、サービスエリア情報信号を入力すると、入力したサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置６に出力する。
【００５９】
サービスエリア監視装置６は、基地局制御装置５から出力されたサービスエリア情報信号に基づき、各無線基地局のサービスエリアにおける無線品質の状態を監視する。
【００６０】
具体的には、サービスエリア情報信号に含まれる位置情報と同じくサービスエリア情報信号に含まれる無線品質を示すパラメータ（「Ｅｃ／ＮｏとＲＳＣＰ」）とに基づき、位置情報で示された位置における無線品質を確認することにより、無線基地局のサービスエリアの状態をリアルタイムで監視する。
【００６１】
特に、携帯電話機１が複数存在する場合、サービスエリアの監視用の情報が多く出力されるので、無線基地局のサービスエリアの状態の監視精度が向上する。
【００６２】
また、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した複数の境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【００６３】
また、サービスエリア監視装置６は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【００６４】
なお、本実施例は、サービスエリア監視に用いる無線品質を示すパラメータとして、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」の２つのパラメータを用いたが、これら２つのパラメータのうちいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。
【００６５】
また、サービスエリア監視装置６は、無線基地局のサービスエリアにおける無線品質を監視するとともに、監視した無線基地局のサービスエリアの無線品質に基づき、新たな無線基地局の増局時期または新たな無線基地局の設定または既存の無線基地局の無線回線数の変更等に関する設計情報等を算出するようにしてもよい。
【００６６】
移動通信用交換機７は、無線基地局２ないし４のいずれかの無線基地局と基地局制御装置５とを介して入力する携帯電話機１の呼の接続処理等を行う。
【００６７】
次に、動作を説明する。
【００６８】
図３は、図１に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【００６９】
以下、図３を参照して動作を説明する。なお、以下の説明では、携帯電話機１は、無線基地局２のサービスエリア２１内に存在しているものとする。
【００７０】
携帯電話機１内の位置情報取得部１２は、ＧＰＳ用衛星１２ａから出力される信号に基づき現在位置を示す位置情報を取得する。位置情報の取得は、例えば間欠的に行われる。携帯電話機１は、ＧＰＳ用衛星１２ａから出力される信号に基づき現在位置を示す位置情報を取得することにより、自らの位置を高い精度で検出することができる。
【００７１】
携帯電話機１内のメッセージ生成部１３は、３ＧＰＰで規定されているように、Ｈ／Ｏ時に「Measurement Report」を、圏外エリアとの境界では「Cell Update」というメッセージを生成する。
【００７２】
「Measurement Report」と「Cell Update」のそれぞれには、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とが無線品質を示すパラメータとして含まれる。
【００７３】
携帯電話機１内の無線通信部１４は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージに位置情報取得部１２が取得した位置情報を付加したサービスエリア情報信号を発信する（ステップ３ａ）。
【００７４】
ステップ３ａの一例を以下に示す。
【００７５】
メッセージ生成部１３が「Measurement Report」を生成した場合、無線通信部１４は、位置情報取得部１２が取得した位置情報を「Measurement Report」の空きビットに挿入し、位置情報が挿入された「Measurement Report」をサービスエリア情報信号として発信する。
【００７６】
メッセージ生成部１３が「Cell Update」を生成した場合、無線通信部１４は、位置情報取得部１２が取得した位置情報を「Cell Update」の空きビットに挿入し、位置情報が挿入された「Cell Update」をサービスエリア情報信号として発信する。
【００７７】
したがって、携帯電話機１から発信されるサービスエリア情報信号は、携帯電話１の現在位置を示す位置情報とその位置情報で示された位置での無線品質の情報とが含まれる。
【００７８】
また、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信する無線品質情報を示す情報を含むメッセージの空きビットに携帯電話機の位置情報を付加するので、携帯電話機の位置情報の送信に際して、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信するメッセージのビット数を増やす必要がなくなる。
【００７９】
携帯電話機１から発信されたサービスエリア情報信号は、無線基地局２で受信される。無線基地局２は、受信したサービスエリア情報信号を、基地局制御装置５に出力する（ステップ３ｂ）。
【００８０】
基地局制御装置５は、入力したサービスエリア情報信号を、サービスエリア監視装置６に出力する（ステップ３ｃ）。
【００８１】
サービスエリア監視装置６は、入力したサービスエリア情報信号に基づき、無線基地局２のサービスエリアにおける無線品質を監視する。
【００８２】
具体的には、サービスエリア情報信号に含まれる位置情報と同じくサービスエリア情報信号に含まれる無線品質を示すパラメータ（「Ｅｃ／ＮｏとＲＳＣＰ」）とに基づき無線基地局のサービスエリアにおける無線品質を監視する。
【００８３】
さらに述べると、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１から発信される「Measurement Report」を含むサービスエリア情報信号が有する位置情報と該サービスエリア情報信号が有する「Ｅｃ／Ｎｏ」と該サービスエリア情報信号が有する「ＲＳＣＰ」とに基づき、複数のサービスエリアが重なり合う隣接セルの境界における無線品質を位置情報で示された位置でリアルタイムに監視する。
【００８４】
また、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１から発信される「Cell Update」を含むサービスエリア情報信号が有する位置情報と該サービスエリア情報信号が有する「Ｅｃ／Ｎｏ」と該サービスエリア情報信号が有する「ＲＳＣＰ」とに基づき、サービスエリアの圏外エリアとの境界における無線品質を位置情報で示された位置でリアルタイムに監視する。
【００８５】
また、サービスエリア監視装置６は、携帯電話機１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【００８６】
また、サービスエリア監視装置６は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【００８７】
広さが変動するサービスエリアの無線品質がサービスエリア監視装置６により監視可能となるので、ＣＤＭＡ無線通信システムの運用者は、サービスエリア監視装置６の監視内容に基づき、無線基地局の「増局時期」、「置局設計」や「無線回線数の変更」の決定が行い易くなる。
【００８８】
本実施例は、実際にユーザが使用している携帯電話機から、その携帯電話機の位置を示す位置情報とその位置での無線品質を示す無線品質情報とをリアルタイムで取得できるので、サービスエリアの無線品質を監視するためにフィールド走行試験を実行しなくて済み、また測定専用機を不要にできる。よって、システム構成の簡略化を図りながら、広さが変わるサービスエリアの状態をリアルタイムで確認可能となる。
【００８９】
また、無線品質を示す情報として、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信する「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とを用いているので、サービスエリア監視用の無線品質の情報として、新たな無線品質の情報を生成しなくて済む。
【００９０】
また、本実施例では、基地局制御装置を介してサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置６に供給するようにしているが、これに限るものではない。例えば、サービスエリア情報信号を無線基地局から直接サービスエリア監視装置６に供給するようにしてもよい。
【００９１】
また、本実施例では、携帯電話機１の現在位置を示す位置情報を取得するためにＧＰＳを用いたが、位置情報を取得する手法はＧＰＳに限るものではなく、適宜変更可能である。例えば、特開２００２−７７９７７号公報に記載の位置検索方法を用いて位置情報を収集してもよいし、特開２００２−２９１０２０号公報に記載の位置情報検索方法を用いて位置情報を収集してもよい。
【００９２】
なお、特開２００２−７７９７７号公報に記載の位置検索方法は、携帯電話網側で、携帯電話機からの電波を受信した無線基地局を特定し、特定した無線基地局の位置に基づいて携帯電話機の位置を特定し、特定した位置を含む所定領域の地図情報に応じて表示される地図上での携帯電話機の位置を特定する情報を携帯電話機に送信し、携帯電話機が現在位置を示す位置情報を収集する方法である。
【００９３】
また、特開２００２−２９１０２０号公報に記載の位置情報検索方法は、所定の位置に設置され、かつ自機の位置を示す位置情報を有する標準通信距離が１０ｍ以下の無線通信モジュールから、携帯電話機が位置情報を収集する方法である。
【００９４】
次に、位置情報を収集する機能を有さない携帯電話機を用いたＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの監視システムの実施例を説明する。
【００９５】
図４は、本発明の他の実施例となる位置情報を収集する機能を有さない携帯電話機を用いたＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。なお、図４において、図１と同一構成のものには、同一符号を附してある。
【００９６】
図４において、ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムは、携帯電話機１０１と、無線基地局２と、無線基地局３と、無線基地局４と、移動通信用交換機７と、基地局制御装置８と、サービスエリア監視装置９とを含む。
【００９７】
携帯電話機１０１と無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４とはフィールド側に存在する。また、移動通信用交換機７と基地局制御装置８とサービスエリア監視装置９とはＣＤＭＡネットワーク側に存在する。
【００９８】
なお、本実施例のサービスエリア監視システムは、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４と基地局制御装置８とサービスエリア監視装置９を含むものでもよいし、そのシステムが携帯電話機１０１をさらに含んでもよい。
【００９９】
図４に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムでは、携帯電話機１０１の現在位置を示す情報として、基地局制御装置８が有するＨ／Ｏの情報を用いる。サービスエリア監視装置９は、Ｈ／Ｏの実行タイミングで、基地局制御装置８が有するＨ／Ｏの情報に基づき携帯電話機１０１の位置を特定する。
【０１００】
移動体無線通信装置としての携帯電話機１０１は、実際にユーザが携帯電話機として使用可能な３ＧＰＰに対応した携帯電話機である。図４では、携帯電話機１０１が１つの例を示しているが、本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムでは、複数の携帯電話機１０１を有するようにしてもよい。
【０１０１】
携帯電話機１０１は、３ＧＰＰで規定されている通り、Ｈ／Ｏ（ハンドオーバ：セル移行）時に所定のメッセージを送信する。Ｈ／Ｏ時に送信されるメッセージは、「Measurement Report」である。
【０１０２】
携帯電話機１０１は、３ＧＰＰで規定されている通り、圏外エリアとの境界に存在する際、所定のメッセージを送信する。圏外エリアとの境界に存在するときに送信されるメッセージは、「Cell Update」である。
【０１０３】
携帯電話機１０１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、無線基地局２、３、４から常時送信されているＣＰＩＣＨの「Ｅｃ／Ｎｏ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としてのパラメータが含まれている。
【０１０４】
さらに、携帯電話機１が送信するメッセージ（「Measurement Report」と「Cell Update」）には、「ＲＳＣＰ」というＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報としての無線品質を示すパラメータが含まれている。
【０１０５】
図５は、携帯電話機１０１の一例を示したブロック図である。図５において、携帯電話機１０１は、入力部１１と、メッセージ生成部１３および通信制御部１５とを含む。なお、図５において、図２と同一構成のものには、同一符号を附してある。
【０１０６】
通信制御部１５は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージのうちＨ／Ｏ時に生成される「Measurement Report」をサービスエリア情報信号として発信する。
【０１０７】
図４に戻って、基地局制御装置８は、無線基地局２と無線基地局３および無線基地局４を制御する。
【０１０８】
基地局制御装置８は、無線基地局２または無線基地局３または無線基地局４が受信した携帯電話機１０１からの信号、例えばサービスエリア情報信号を入力する。
【０１０９】
基地局制御装置８は、サービスエリア情報信号を入力すると、入力したサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する。
【０１１０】
基地局制御装置８は、サービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する際、サービスエリア情報信号とともにＨ／Ｏの情報をサービスエリア監視装置９に出力する。なお、基地局制御装置８は、Ｈ／Ｏの情報にかえてＨ／Ｏの情報に基づき算出される携帯電話機１０１の現在位置（図４の場合は、斜線で示した地域）を示す位置情報をサービスエリア監視装置９に出力するようにしてもよい。
【０１１１】
サービスエリア監視装置９は、基地局制御装置８から出力されたサービスエリア情報信号と基地局制御装置８から入力するＨ／Ｏの情報とに基づき、無線基地局のサービスエリアの状態を監視する。
【０１１２】
具体的には、Ｈ／Ｏの情報に基づき算出される携帯電話機１０１の存在位置（図４の場合は、斜線で示した地域）とサービスエリア情報信号に含まれる無線品質を示すパラメータ（「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」）とに基づき無線基地局のサービスエリアの状態を監視する。
【０１１３】
また、サービスエリア監視装置９は、携帯電話機１０１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【０１１４】
また、サービスエリア監視装置９は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【０１１５】
なお、本実施例は、サービスエリア監視に用いる無線品質を示すパラメータとして、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」の２つのパラメータを用いたが、これら２つのパラメータのうちいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。
【０１１６】
サービスエリア監視装置９は、無線基地局のサービスエリアにおける無線品質を監視するとともに、監視した無線基地局のサービスエリアの無線品質の状態に基づき、新たな無線基地局の増局時期または新たな無線基地局の設定または既存の無線基地局の無線回線数の変更等に関する設計情報等を算出するようにしてもよい。
【０１１７】
次に、動作を説明する。
【０１１８】
図６は、図４に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【０１１９】
以下、図６を参照して動作を説明する。なお、以下の説明では、携帯電話機１０１は、図４に示すように、無線基地局２のサービスエリア２１と無線基地局３のサービスエリア３１とが重なっている地域（図４において、斜線で示した部分）に存在し、無線基地局２から無線基地局３にＨ／Ｏが行われることとする。
【０１２０】
携帯電話機１内のメッセージ生成部１３は、３ＧＰＰで規定されているように、Ｈ／Ｏ時に「Measurement Report」というメッセージを生成する。「Measurement Report」には、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とが無線品質を示すパラメータとして含まれる。
【０１２１】
携帯電話機１０１内の無線通信部１５は、メッセージ生成部１３が生成したメッセージをサービスエリア情報信号として発信する（ステップ６ａ）。
【０１２２】
携帯電話機１０１から発信されたサービスエリア情報信号は、無線基地局２および無線基地局３で受信される。無線基地局２および無線基地局３は、受信したサービスエリア情報信号を、基地局制御装置８に出力する（ステップ６ｂ）。
【０１２３】
基地局制御装置８は、入力したサービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する（ステップ６ｃ）。さらに、基地局制御装置８は、サービスエリア情報信号をサービスエリア監視装置９に出力する際、サービスエリア情報信号にＨ／Ｏの情報を付加して出力する。
【０１２４】
サービスエリア監視装置９は、入力したサービスエリア情報信号と入力したＨ／Ｏの情報とに基づき、無線基地局２のサービスエリア２１と無線基地局３のサービスエリア３１とが重なっている領域のサービスエリアにおける無線品質の状態を監視する、さらにいえばリアルタイムで監視する。
【０１２５】
具体的には、サービスエリア監視装置９は、携帯電話機１０１から発信される「Measurement Report」を含むサービスエリア情報信号が有する「Ｅｃ／Ｎｏ」と同じくサービスエリア信号が有する「ＲＳＣＰ」とから無線品質を求める。さらに、サービスエリア監視装置９は、入力したＨ／Ｏの情報に基づき携帯電話機１０１の位置（図４の場合、斜線で示した位置）を求める。
【０１２６】
サービスエリア監視装置９は、Ｈ／Ｏの情報に基づき求めた位置の無線品質が、「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とから求めた無線品質であると判定する。
【０１２７】
また、サービスエリア監視装置９は、携帯電話機１０１が無線基地局のサービスエリアの境界付近でサービスエリア情報信号を出力することを利用し、サービスエリア情報信号が有する位置情報が示す位置を無線基地局のサービスエリアの境界部として認識して、認識した境界部に基づき無線基地局のサービスエリアの広さを確認する。
【０１２８】
また、サービスエリア監視装置９は、所定時間の間に確認した個々のサービスエリアに基づき、確認したサービスエリアの広さの所定時間内における平均である平均サービスエリアを求める。
【０１２９】
図７は、図４に示したＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムにおいて、携帯電話機１０１が、無線基地局２のサービスエリア２１と無線基地局３のサービスエリア３１と無線基地局４のサービスエリア４１とが重なっている地域（図７において、斜線で示した部分）に存在し、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４との３つの無線基地局とＨ／Ｏを行う場合を示している。
【０１３０】
携帯電話機１０１が、図７に示すような位置に存在する場合、携帯電話機１０１は、無線基地局２と無線基地局３と無線基地局４との３つの無線基地局とＨ／Ｏを行うので、図４の場合と比べて高い精度の位置の情報を取得可能となる。
【０１３１】
図４および図７に示した実施例は、携帯電話機から位置を示す位置情報を送る必要がなく、基地局制御装置８で管理されているＨ／Ｏの情報をサービスエリア監視装置９で収集し解析することにより位置情報が得られる。
【０１３２】
広さが変動するサービスエリアの無線品質の状態がサービスエリア監視装置９により監視可能となるので、ＣＤＭＡ無線通信システムの運用者は、サービスエリア監視装置９の監視内容に基づき、無線基地局の「増局時期」、「置局設計」や「無線回線数の変更」の決定が行い易くなる。
【０１３３】
図４に示した実施例は、フィールド走行試験を行う必要がなくなり、また測定専用機を不要にできる。よって、システム構成の簡略化を図りながら、広さが変わるサービスエリアの状態をリアルタイムで確認可能となる。
【０１３４】
無線品質を示す情報として、３ＧＰＰに基づきＣＤＭＡ無線通信において発信する「Ｅｃ／Ｎｏ」と「ＲＳＣＰ」とを用いているので、サービスエリア監視用の無線品質の情報として、新たな無線品質の情報を生成しなくて済む。
【０１３５】
以上説明した各実施例において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【０１３６】
【発明の効果】
本発明によれば、移動体通信装置がＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際にＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報と現在位置を示す位置情報とを示す発信信号を発信し、その発信信号に基づきサービスエリア監視手段がサービスエリアの無線品質の監視を行うので、移動体通信装置を固定配置する必要がなく、移動体通信装置を実際にユーザが使用する移動体通信装置とすることが可能となる。
【０１３７】
さらに、通信が可能なエリアの無線品質の情報をリアルタイムで収集可能となる。
【０１３８】
これにより運用者は、従来の測定方法に比べ、より正確なサービスエリアの確認が随時可能となり、無線基地局の「増局時期」、「置局設計」や「無線回線数の変更」の決定が行い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【図２】本実施例の携帯電話機１を示したブロック図である。
【図３】本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図４】本発明の他の実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【図５】本実施例の携帯電話機１０１を示したブロック図である。
【図６】本実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
【図７】本発明の他の実施例のＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリア監視システムを示したブロック図である。
【符号の説明】
１ 携帯電話機
１１ 入力部
１２ 位置情報取得部
１３ メッセージ生成部
１４ 通信制御部
１５ 通信制御部
１０１ 携帯電話機
２ 無線基地局
２１ サービスエリア
３ 無線基地局
３１ サービスエリア
４ 無線基地局
４１ サービスエリア
５ 基地局制御装置
６ 移動通信用交換機
７ サービスエリア監視装置
８ 基地局制御装置
９ サービスエリア監視装置
Claims (5)
- ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアにおける無線品質を監視するサービスエリア監視方法であって、
移動体通信装置がＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際に発信した、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を含むメッセージの空きビットに現在位置を示す位置情報が挿入された発信信号を無線基地局で受信する第１のステップと、
前記第１のステップで無線基地局が受信した発信信号が示す無線品質情報および位置情報とに基づき、前記ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアにおける無線品質を監視する第２のステップとを含むことを特徴とするサービスエリア監視方法。 - 請求項１に記載のサービスエリア監視方法において、
前記無線基地局は、自身のサービスエリアの広さが変わり、
前記第２のステップでは、前記無線基地局のサービスエリアの所定の時間内での広さの平均を示す平均サービスエリアを確認することを特徴とするサービスエリア監視方法。 - ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアにおける無線品質を監視するサービスエリア監視システムであって、
移動体通信装置がＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際に発信した、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を含むメッセージの空きビットに現在位置を示す位置情報が挿入された発信信号を受信する無線基地局と、
前記無線基地局が受信した発信信号が示す無線品質情報および位置情報とに基づき、前記ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアにおける無線品質を監視するサービスエリア監視手段とを含むことを特徴とするサービスエリア監視システム。 - 請求項３に記載のサービスエリア監視システムにおいて、
前記無線基地局は、自身のサービスエリアの広さが変わり、
前記サービスエリア監視手段は、所定の時間内での前記無線基地局のサービスエリアの広さの平均を示す平均サービスエリアを確認することを特徴とするサービスエリア監視システム。 - ＣＤＭＡ無線通信システムのサービスエリアの境界に存在する際および／またはハンドオーバの際に、ＣＤＭＡ無線通信用の信号の無線品質を示す無線品質情報を含むメッセージの空きビットに現在位置を示す位置情報が挿入された発信信号を発信する通信制御手段を含むことを特徴とする移動体通信装置。
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