JP4180947B2 - 雨水ます - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は路上や庭に集まる雨水を排水管に流下させる雨水ます(「ます」に枡、桝、マスの字が充てられることがあるが、この明細書では「ます」と表記する。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中に埋設する排水管へ、地上の水を流入させるために適当な間隔で雨水ますを設ける。すなわち、雨水ますは地中と地上との連絡路となる。
夏場で雨が少なく、排水管に水が流れていないときに、雨水ますの底に若干の水が溜まることがある。この溜まり水に蚊が卵を産み付け、ぼうふらが発生し、蚊が大量に発生することがあり、その対策が必要となる。
【0003】
この対策として、ますの内部に中蓋を設けて、蚊の発生や悪臭の飛散を防止することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−201704号公報(図1)
【0005】
図9は特許文献1の図1の再掲図である。ただし、符号は振り直した。
従来の排水ますAは、ます本体114の上にます蓋101を取付け、内部に中蓋103(傾斜片106,106を有す。)を開放可能に取付けたもので、雨水が一定量を超えて一定以上の重力になると巻きばね111、111のばね力に抗して傾斜片106,106を開放し、降雨がないときは中蓋103の傾斜片106,106を閉じる。
【0006】
すなわち、殆どの期間において中蓋103が閉じているため、外からの蚊の浸入を防ぐことができる。蚊が浸入しなければ、ぼうふらが発生する虞がない。仮に、ぼうふらが発生したとしても、成虫となった蚊が中蓋で閉じこめられるため、蚊の発生を効果的に防止することができ、且つ、臭気の漏洩も防止することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこの構造によると、大雨により排水孔102から大量の雨水が溜まり部118に溜まり、又は排水管113を通じて他のますから水が流入し、溜まり部118が増水し、ます本体114の水嵩が増し、中蓋103、傾斜片106を押上げる力を生じ、中蓋103、傾斜片106は破損することがある。これに対応するために、ますには逆流扉を配設することが必要不可欠となる。
【0008】
ます本体114の満水、逆流時の中蓋103、傾斜片106の破損を防止するために配設する逆流扉には、雨水が増水したときに作動する逆流扉、あるいはばね仕掛けなどからなる、逆流扉開閉機構を追加する必要がある。
しかし、前記開閉機構などの追加は、雨水ますの構造を複雑にし、コストアップにもつながる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、大雨などにより水が下から上に抜ける逆流時に備えてますに装備する逆流扉を廃止し、より簡素化、単純化した構造の雨水ますを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、排水管や排水溝の途中にます本体を設置し、このます本体の上部に雨水を通す外スクリーンを取付け、外スクリーンの下方に雨水を通す中スクリーン装置を配置した雨水ますにおいて、
前記中スクリーン装置は、前記ます本体に上から装着する枠体と、この枠体に水平に渡した支軸と、この支軸に取付けると共に前記枠体の内断面を塞ぎ得る面積で且つ上下スイング可能とした遮蔽部材と、この遮蔽部材を一方に回転させるために前記遮蔽部材の一端に付設した重錘と、前記遮蔽部材を一端が高く他端が低くなるように、遮蔽部材の一端を抑えるために前記枠体に設けた傾斜位置決めストッパと、から構成し、枠体に、傾斜位置決めストッパで静止した遮蔽部材の他端に当接して気密性を保つシール部材を設け、傾斜位置決めストッパの上方に遮蔽部材の全開位置を制限する全開ストッパを設けたことを特徴とする。
【0011】
この雨水ますは、傾斜部材と、支軸と、重錘とからなる簡便な構造を採用し、雨水逆流時にも作用するため、逆流時の雨水ますの破損を回避することができ、メンテナンスを不要にできる。
【0013】
遮蔽部材の他端に当接して気密性を保つシール部材を取付けることで、枠体と遮蔽部材との遮蔽性が高まり、排水溝詰まりのもととなる落ち葉やゴミ・土砂などの無用物が排水溝内部に侵入することを回避することができる。
また遮蔽部材の全開位置を制限する全開ストッパを設けたことで、傾斜部材のスイングを規制することができる。
【0014】
請求項2は、前記遮蔽部材は、1個のます本体につき、互いに平行に配置した第1遮蔽部材と第2遮蔽部材とからなり、双方の傾斜方向を互いに逆に配置したことを特徴とする。
【0015】
雨水が溜まり、その重さが重錘の重さを超えると、2枚の遮蔽部材が互いに反対側にスイングするので、雨水の落下のための開口部は、スイングする方向に加え、スイングにより支軸方向、遮蔽部材が相互に隣接した側面にも形成されるため、害虫の侵入を防ぎつつ、溜まった雨水を効果的に排出することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る雨水ますの正面図であり、雨水ます10は、排水管11の途中に又は末端に取付けたます本体20と、このます本体20の上に被せた外スクリーン21と、この外スクリーン21の下方に配置した中スクリーン装置22とで構成する。配水管11は排水溝であっても良い。
【0017】
この中スクリーン装置22を以下詳細に説明する。
中スクリーン装置22は、枠体23と、この枠体23に(図面表裏方向に)水平に渡した支軸24と、この支軸24に取付けると共に枠体24の内断面を塞ぎ得る面積で且つ上下スイング可能とした遮蔽部材25と、この遮蔽部材25を一方に回転させるために遮蔽部材25の一端に付設した重錘26と、遮蔽部材25を一端が高く他端が低くなるように、遮蔽部材25の一端を抑えるために枠体23に設けた傾斜位置決めストッパ27と、からなる構造物である。
なお、28は全開ストッパ、29はパッキン、31はパッキンホルダである。
【0018】
図2は本発明に係る雨水ますの分解図であり、予め埋設したます本体20に、枠体23を含む中スクリーン装置22を上から装着し、次に外スクリーン21を取付ける。中スクリーン装置22はます本体20の底を掃除するときなどにます本体20から自由に外せるようにした。
【0019】
図3は図1の3−3線断面図であり、中スクリーン装置の遮蔽部材25を支持する支軸24は、軸受プレート32、32及びブラケット33、33を用いて枠体23に水平に取付けたことを示す。
【0020】
以上の構成からなる雨水ます10の作用を次に説明する。
図4は非降水時における雨水ますの作用図であり、水平に渡した支軸24に取付け、一端が高く他端が低くなるように配置した遮蔽部材25の一端(図左端)に重錘26を設けることで、図反時計回りに回転するようにした。
【0021】
この結果、遮蔽部材25の一端は傾斜位置決めストッパ27に当って停止し、締切り状態になる。このときに、遮蔽部材25の他端の上面がパッキン29を介してパッキンホルダ31を押圧する構造にすることで、遮蔽部材25のシール性を高めることができる。
【0022】
図5は降水時における雨水ますの作用図であり、降雨により遮蔽部材25の一端に雨水が溜まり、溜まった雨水の重さが重錘26の重さを超えると、遮蔽部材25は支軸26を矢印aのごとくスイングする。この結果、溜まった雨水は落下する。
【0023】
このとき遮蔽部材25は、傾斜位置決めストッパ27の上方に配置した、遮蔽部材25の全開位置を制限する全開ストッパ28に当接して規制される。次に雨水が雨水ますに落下すると、遮蔽部材25は重錘26の作用で矢印a向きとは逆方向にスイングして元の位置に戻る。
【0024】
図4に戻って台風や集中豪雨の際に排水溝の水が増水し溢れることがある。このときの対策を次に述べる。
図6は逆流時における雨水ますの作用図であり、増水した水の作用により遮蔽部材25は矢印aのごとくスイングし、溢れた水を上側に解放し、中スクリーン装置22の破損を回避する。このとき、大きくスイングする遮蔽部材25は、遮蔽部材25の全開位置を制限する全開ストッパ28で規制する。
【0025】
本発明の雨水ますの別実施例を図7、図8で説明する。
図7は本発明の別実施例に係る雨水ますの斜視図であり、1個のます本体20につき、互いに平行に配置した第1遮蔽部材25Aと第2遮蔽部材25Bとを備え、双方の傾斜方向が互いに逆になるようにした雨水ますである。
【0026】
詳細には、支軸24に取付け、一端が高く他端が低くなるように配置した第1遮蔽部材25Aの一端に重錘26Aを設けることで、一方向に回転するようにした。この結果、第1遮蔽部材25Aの一端は傾斜位置決めストッパ27Aに当って停止し、締切り状態になる。このときに、第1遮蔽部材25Aの他端の上面がパッキン29Aを押圧する構造にすることで、第1遮蔽部材25Aのシール性を高めることができる。
【0027】
同様に、一端が高く他端が低くなるように配置した第2遮蔽部材25Bの一端に重錘26B(不図示)を設けることで、一方向に回転するようにした。この結果、第2遮蔽部材25Bの一端は傾斜位置決めストッパ27Bに当って停止し、締切り状態になる。このときに、第2遮蔽部材25Bの他端の上面がパッキン29Bを押圧する構造にすることで、第2遮蔽部材25Bのシール性を高めることができる。
【0028】
図8は図7の作用説明図であり、第1遮蔽部材25Aと第2遮蔽部材25Bの上に溜まった雨水の重さが重錘26A、26Bの重さを超えると、第1遮蔽部材25Aと第2遮蔽部材25Bは支軸24を中心にスイングし雨水を落とす。支軸24の図右において第1遮蔽部材25Aが下がり、第2遮蔽部材25Bが上がるため、両部材の間に大きな開口ができるため、多量の雨水を落下させることができる。支軸24の図左においても同様である。
【0029】
また、1個の雨水ますに2個の遮蔽部材25A、25Bを備えるため、万一、一方の遮蔽部材25Aが作動不良になっても他方の遮蔽部材25Bが作動するため、雨水ますの点検間隔を延ばすことができる。
【0030】
尚、本発明に係るます本体20は一体で構成してあるため、既存雨水ますのサイズに合わせ設計・制作し、後付けで取付けることが可能である。
また、本発明に係る構造は、雨水ます以外の例えば排水ますなどにも応用することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、遮蔽部材のスイングは、傾斜部材と、支軸と、重錘とからなる簡便な機構を採用し、雨水逆流時にも逆流時の雨水ますの破損を回避することができ、また簡便な機構のためメンテナンスを不要にすることができる。
【0032】
また、枠体と遮蔽部材の間に、シール部材を備えた。
枠体と遮蔽部材との遮蔽性が高まり、排水溝詰まりの元となる落ち葉やゴミなどの無用物の排水溝内部への侵入を回避することができる。
【0033】
請求項2は、前記遮蔽部材は、1個のます本体につき、互いに平行に配置した第1遮蔽部材と第2遮蔽部材とからなり、双方の傾斜方向を互いに逆に配置したことを特徴とする。雨水の落下のための開口部面積が広がるため、溜まった雨水を効率よく排出し、排出後は開口部を素早く閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る雨水ますの正面図
【図2】本発明に係る雨水ますの分解図
【図3】図1の3−3線断面図
【図4】非降水時における雨水ますの作用図
【図5】降水時における雨水ますの作用図
【図6】逆流時における雨水ますの作用図
【図7】本発明の別実施例に係る雨水ますの斜視図
【図8】図7の作用説明図
【図9】従来の排水ますの説明図
【符号の説明】
10…雨水ます、20…ます本体、21…外スクリーン、22…中スクリーン装置、23…枠体、24…支軸、25、25A、25B…遮蔽部材、26、26A、26B…重錘、27、27A、27B…傾斜位置決めストッパ、28、28A、28B…全開ストッパ、29、29A、29B…パッキン。
Claims (2)
- 排水管や排水溝の途中にます本体を設置し、このます本体の上部に雨水を通す外スクリーンを取付け、外スクリーンの下方に雨水を通す中スクリーン装置を配置した雨水ますにおいて、
前記中スクリーン装置は、前記ます本体に上から装着する枠体と、この枠体に水平に渡した支軸と、この支軸に取付けると共に前記枠体の内断面を塞ぎ得る面積で且つ上下スイング可能とした遮蔽部材と、この遮蔽部材を一方に回転させるために前記遮蔽部材の一端に付設した重錘と、前記遮蔽部材を一端が高く他端が低くなるように、遮蔽部材の一端を抑えるために前記枠体に設けた傾斜位置決めストッパと、から構成し、
前記枠体に、前記傾斜位置決めストッパで静止した遮蔽部材の他端に当接して気密性を保つシール部材を設け、前記傾斜位置決めストッパの上方に遮蔽部材の全開位置を制限する全開ストッパを設けたことを特徴とする雨水ます。 - 前記遮蔽部材は、1個のます本体につき、互いに平行に配置した第1遮蔽部材と第2遮蔽部材とからなり、双方の傾斜方向を互いに逆にしたことを特徴とする請求項1記載の雨水ます。
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