JP4180900B2 - 駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記憶媒体 - Google Patents

駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記憶媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記憶媒体に関し、詳細には、画像読取装置の駆動系の事前検証、特に、タイミングベルト等の伝達要素特性値の影響をモータの速度テーブル等の制御パラメータを実際の計測データを参照しながら行って、画像読取装置の駆動機構の設計の最適化を図ることのできる駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平6−282611号公報
スキャナ、複写装置等の画像読取装置は、一般的に、モータの駆動をタイミングベルトでプーリに伝達して、当該プーリを回転させて当該プーリに巻き付けられているワイヤで、光源やミラーを搭載したキャリッジを走査移動させるベルト駆動方式が採用されている。
【0003】
すなわち、画像読取装置は、一般的に、図3に示すように、副走査方向に延在して平行に配設された一対のレール101、102に、第1キャリッジ103と第2キャリッジ104が当該レール101、102に沿って移動可能に搭載されており、第1キャリッジ103は、光源105及びミラー106を搭載している。第2キャリッジ104は、複数個のミラー107を搭載しており、その両端には、プーリ108、109が設けられている。
【0004】
レール101とレール102に直交する状態で、回転軸110が配設されており、回転軸110のレール101側には、ギヤ111が設けられている。ギヤ111は、モータ112の駆動軸に連結されたギヤ113との間に張り渡されたタイミングベルト114で連結されており、モータ112の駆動力がギヤ113及びギヤ111を介してタイミングベルト114により回転軸110に伝達される。このモータ112は、一般的に、ステッピングモータが用いられ、ステッピングモータは、回転動作条件を予め設定した速度テーブルに従って回転動作する。
【0005】
レール101、102の両端部には、それぞれアイドラプーリ115、116、117、118が設けられており、レール101、102に沿ってそれぞれその一端が図示しない筐体の壁に固定されているワイヤ119、120が張り渡されている。
【0006】
ワイヤ119は、固定された筐体の壁側から第2キャリッジ104のプーリ108、アイドラプーリ115の順に架け回されて、回転軸110に固定されているワイヤプーリ121に数回巻き付けられ、さらに、アイドラプーリ116及び第2キャリッジ104のプーリ108に順次架け回されて、その他端が図示しないスプリングを介して筐体に固定されている。また、ワイヤ119は、アイドラプーリ115と第2キャリッジ104のプーリ108との間の部分が、第1キャリッジ103のレール101側の一端に固定されている。
【0007】
また、ワイヤ120は、同様に、固定された筐体の壁側から第2キャリッジ104のプーリ109、アイドラプーリ117の順に架け回されて、回転軸110に固定されているワイヤプーリ122に数回巻き付けられ、さらに、アイドラープーリ118及び第2キャリッジ104のプーリ109に順次架け回されて、その他端が図示しないスプリングを介して筐体に固定されている。また、ワイヤ120は、アイドラプーリ117と第2キャリッジ104のプーリ109との間の部分が、第1キャリッジ103のレール102側の一端に固定されている。
【0008】
従来の画像読取装置は、上記第1キャリッジ103と第2キャリッジ104の駆動機構が、原稿の載置される図示しないコンタクトガラスの下部に配設されて、モータ112の駆動力により、ワイヤプーリ121、122が回転し、ワイヤ119、120に引かれて、第1キャリッジ103と第2キャリッジ104が副走査方向に移動する。画像読取装置は、この第1キャリッジ103に搭載されている光源105から原稿に読取光を照射して、原稿で反射された原稿画像の反射光を第1キャリッジ103のミラー106で第2キャリッジ104のミラー107方向に反射し、第2キャリッジ104のミラー107で、図示しないCCD(Charge Coupled Device )等の読取センサに入射させて主走査することで原稿の画像を読み取る。すなわち、画像読取装置は、モータ112の回転を制御することにより、第1キャリッジ103と第2キャリッジ104を副走査方向に移動させつつ、主走査して、原稿の画像を読み取る。
【0009】
そして、画像読取装置は、上述のような読取動作において、原稿の画像情報を忠実に再現するためには、キャリッジ103、104を精度よく駆動し、原稿の画像の読み取りを行う必要がある。
【0010】
従来、このような駆動機構を設計する場合には、設計者等の経験に基づいて設計して試作品を試作し、実機を用いて駆動系の設計チューニング、いわゆる実機評価を行うという手順で製品開発を行っている。このような従来の設計者の経験を利用した開発設計においては、設計者の作業負担が大きくなるため、結果として、設計期間が長期化してしまうという問題点があった。また、設計完了後に試作を行い、その試作機を用いて評価を行うことになるため、最適化した設計が完了するまでに、試行錯誤を繰り返すことになり、開発期間が長期化するとともに、試作回数の増加に伴って、開発費用が高くなるといった問題点もあった。
【0011】
また、最近では、複写機等のフルカラー化及び高解像度化の要求が高まっており、これらの要望を実現するには、読取精度の向上及び設計の迅速化が望まれている。
【0012】
このような要求に対応するため、設計段階で、読取精度を事前評価し、向上を図るために、読取時キャリッジの挙動を予測する必要がある。
【0013】
そして、従来、画像読取装置の設計においては、シミュレーション等の手法で画像読取装置の駆動系の挙動を予測し、その結果を設計に反映する手法が採用されている(特許文献1参照)。そして、この従来の設計支援技術は、ベルト特性を有限要素法統の手法で解析している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の設計支援技術にあっては、ベルト特性を有限要素法統の手法で解析しているため、画像読取装置の駆動系のように、駆動系にタイミングベルト等のような時間の進行とともに材料のヤング率が変化する粘弾性材料を用いた駆動系の挙動予測を正確に行うことができず、改良の必要があった。
【0015】
すなわち、駆動系にタイミングベルト等のような時間の進行とともに材料のヤング率が変化する粘弾性材料を用いた駆動系においては、駆動機構の急速な立ち上、あるいは、立ち下げの際、駆動系全体の挙動を正確に評価するためには、立ち上げ(立ち下げ)速度の変化に伴うベルト特性を正確に評価する必要があるが、ベルト特性を有限要素法等の手法で解析すると、タイミングベルトのような材料に対して、単にヤング率のみをベルト特性として入力した場合、解析計算上の誤差が大きくなって、正確に計算することが困難となり、駆動系の挙動予測を正確に行うことができないという問題があった。
【0016】
そこで、本発明は、画像読取装置における駆動軸以降の部品のイナーシャを実験装置における従動軸に換算し、キャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、実験装置における従動軸の速度変動を評価することにより、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成することなく、駆動機構の挙動を予測して、画像読取装置の駆動機構の設計時における的確な指針を行い、設計期間を短縮化することのできる駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記録媒体を提供することを目的としている。
【0017】
具体的には、請求項1記載の発明は、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させる実験装置と、該実験装置の駆動制御と該実験装置における計測データの処理とを行う計測制御装置とを備え画像読取装置の駆動機構の挙動予測を行う駆動機構設計支援装置であって、前記実験装置では、前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリが取り付けられ、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリが取り付けられ、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトが取り付けられ、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータが用いられ、前記実験装置では、前記従動軸に、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段が取り付けられ、かつ前記駆動軸に、該駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を計測する計測手段が設けられ、前記計測制御装置が、前記実験装置の前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記計測手段により計測された前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算して計測結果として出力することにより、前記画像読取装置の前記駆動機構の挙動予測を行うことにより、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、その従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の駆動機構全体の挙動を予測し、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことのできる駆動機構設計支援装置を提供することを目的としている。
また、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの速度変動と同等な結果で駆動機構を速やかに評価し、設計期間をより一層短縮化しつつより一層適切な設計を行うことのできる駆動機構設計支援装置を提供することを目的としている。
【0018】
請求項2記載の発明は、前記計測制御装置は、前記計測データをリアルタイムに収集し、かつ該計測データを回転速度と時間との関係にリアルタイムに換算し、ついで換算した回転速度と時間との関係を計測結果としてリアルタイムに出力することにより、計測データ収集中にデータ落ちが発生することを防止して、駆動軸と従動軸の回転量と時間との関係を精度が良くリアルタイムで計測し、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を効率的に行うことのできる駆動機構設計支援装置を提供することを目的としている。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記計測手段は、前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を、同一の計測間隔でかつ同時に計測することにより、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行い、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことのできる駆動機構設計支援装置を提供することを目的としている。
【0020】
請求項4記載の発明は、前記計測制御装置には、前記駆動モータを駆動制御するためのモータ制御プログラムが搭載されていることにより、駆動軸を任意の速度で駆動制御して、当該駆動条件下での従動軸の回転速度変動を計測し、駆動速度を最適化することで、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことのできる駆動機構設計支援装置を提供することを目的としている。
【0021】
請求項5記載の発明は、前記実験装置は、前記駆動伝達ベルトのテンションを調整するために該駆動伝達ベルトに任意の負荷を付与するベルト負荷付与手段を備えていることにより、駆動伝達ベルトに任意の負荷(テンション)を加えて、ベルト負荷を最適化し、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことのできる駆動機構設計支援装置を提供することを目的としている。
【0022】
請求項6記載の発明は、前記軸負荷付与手段は、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な慣性モーメントのフライホイールであることにより、画像読取装置の駆動機構と同等の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動をより一層適切に予測し、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことのできる駆動機構設計支援装置を提供することを目的としている。
【0025】
請求項記載の発明は、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させて、画像読取装置の駆動機構の挙動予測処理を行う駆動機構設計支援方法であって、前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリを取り付け、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリを取り付け、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトを取り付け、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータを用い、かつ前記従動軸には、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段を取り付け、前記挙動予測処理として、前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算することにより、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測し、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことのできる駆動機構設計支援方法を提供することを目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の駆動機構設計支援装置は、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させる実験装置と、該実験装置の駆動制御と該実験装置における計測データの処理とを行う計測制御装置とを備え画像読取装置の駆動機構の挙動予測を行う駆動機構設計支援装置であって、前記実験装置では、前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリが取り付けられ、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリが取り付けられ、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトが取り付けられ、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータが用いられ、前記実験装置では、前記従動軸に、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段が取り付けられ、かつ前記駆動軸に、該駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を計測する計測手段が設けられ、前記計測制御装置が、前記実験装置の前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記計測手段により計測された前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算して計測結果として出力することにより、前記画像読取装置の前記駆動機構の挙動予測を行うことにより、上記目的を達成している。
【0028】
上記構成によれば、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して従動軸を回転させ画像読取装置の駆動機構の挙動予測を行うのに際して、駆動軸の回転量と時間との関係及び従動軸の回転量と時間との関係を計測手段で計測して挙動予測を行うので、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことができる。
また、上記構成によれば、駆動軸プーリとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリを取り付け、従動軸プーリとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリを取り付け、駆動伝達ベルトとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトを取り付けているので、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
さらに、上記構成によれば、駆動モータとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計、または、選択された駆動モータを用いているので、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
上記構成によれば、従動軸に任意の負荷を付与する軸負荷付与手段を設けているので、画像読取装置の駆動機構と同等の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動をより一層適切に予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
上記構成によれば、計測制御装置が、収集した駆動軸の回転量と時間との関係及び従動軸の回転量と時間との関係のデータから当該駆動軸と当該従動軸の回転速度と時間の関係を算出して、当該算出結果を表示出力するので、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの速度変動と同等な結果で駆動機構を速やかに評価することができ、設計期間をより一層短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0029】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記計測制御装置は、前記計測データをリアルタイムに収集し、かつ該計測データを回転速度と時間との関係にリアルタイムに換算し、ついで換算した回転速度と時間との関係を計測結果としてリアルタイムに出力するものであってもよい。
【0030】
上記構成によれば、計測手段の計測した駆動軸の回転量と時間との関係及び従動軸の回転量と時間との関係をリアルタイムでデータ収集するデータ収集手段を設けているので、計測データ収集中にデータ落ちが発生することを防止して、駆動軸と従動軸の回転量と時間との関係を精度が良くリアルタイムで計測することができ、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を効率的に行うことができる。
【0031】
また、例えば、請求項3に記載するように、前記計測手段は、前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を、同一の計測間隔でかつ同時に計測するものであってもよい。
【0032】
上記構成によれば、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0033】
さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記計測制御装置には、前記駆動モータを駆動制御するためのモータ制御プログラムが搭載されているものであってもよい。
【0034】
上記構成によれば、駆動モータをモータ制御プログラムで駆動制御する計測制御手段を設けているので、駆動軸を任意の速度で駆動制御して、当該駆動条件下での従動軸の回転速度変動を計測することができ、駆動速度を最適化することで、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことができる。
【0035】
また、例えば、請求項5に記載するように、前記実験装置は、前記駆動伝達ベルトのテンションを調整するために該駆動伝達ベルトに任意の負荷を付与するベルト負荷付与手段を備えているものであってもよい。
【0036】
上記構成によれば、駆動伝達ベルトに任意の負荷を付与するベルト負荷付与手段を設けているので、駆動伝達ベルトに任意の負荷(テンション)を加えて、ベルト負荷を最適化することができ、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことができる。
【0037】
さらに、例えば、請求項6に記載するように、前記軸負荷付与手段は、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な慣性モーメントのフライホイールであるものであってもよい。
【0038】
上記構成によれば、画像読取装置の駆動機構と同等の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動をより一層適切に予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0043】
請求項記載の発明の駆動機構設計支援方法は、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させて、画像読取装置の駆動機構の挙動予測処理を行う駆動機構設計支援方法であって、前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリを取り付け、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリを取り付け、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトを取り付け、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータを用い、かつ前記従動軸には、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段を取り付け、前記挙動予測処理として、前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算することにより、上記目的を達成している。
【0044】
上記構成によれば、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトが巻き付けられて、駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して従動軸を回転させて、画像読取装置の駆動機構の挙動予測処理を行うのに際して、駆動軸の回転量と時間との関係及び従動軸の回転量と時間との関係を計測して、挙動予測処理を行うので、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことができる。
【0046】
また、コンピュータ等の情報処理装置で読取可能な記憶媒体に、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトが巻き付けられて、駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して従動軸を回転させて、画像読取装置の駆動機構の挙動予測処理を行う駆動機構設計支援プログラムであって、駆動軸の回転量と時間との関係及び従動軸の回転量と時間との関係を計測して挙動予測処理を行う駆動機構設計支援プログラム及び当該駆動機構設計支援プログラムの実行に必要なデータを記録しているものとすると、当該記憶媒体をコンピュータ等の情報処理装置に読み取らせて、当該駆動機構設計支援プログラムを実行させることができ、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測して、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことのできる駆動機構設計支援装置を、容易にかつ任意の場所で構築することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0048】
図1及び図2は、本発明の駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記憶媒体の一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記憶媒体の一実施の形態を適用した画像読取装置の駆動機構設計支援装置1の実験装置10と計測制御装置40を示す図である。
【0049】
図1において、駆動機構設計支援装置1は、設計対象の画像読取装置の駆動機構を実験を行う実験装置10と、実験装置10のモータ制御を行ってリアルタイムに計測結果を収集して出力する計測制御装置40と、を備えている。
【0050】
実験装置10は、駆動側20と従動側30を有し、駆動側20には、駆動源として、設計対象の画像読取装置の駆動機構の設計時に選択された駆動モータ21が設けられている。この駆動モータ21は、画像読取装置の駆動源として一般的に使用されるステッピングモータ等が用いられており、駆動軸22を回転駆動する。
【0051】
駆動軸22には、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリ23が取り付けられ、駆動軸プーリ23と駆動モータ21との間は、例えば、剛性の高いカップリング24で結合されている。
【0052】
駆動軸22には、駆動軸プーリ23を挟んで駆動モータ21とは反対側に、計測部(計測手段)25が取り付けられており、計測部25は、駆動軸22の回転量と時間との関係を計測するもので、例えば、エンコーダ等が用いられている。
【0053】
そして、駆動軸プーリ23には、駆動伝達ベルト26が巻き付けられており、駆動伝達ベルト26としては、画像読取装置の設計時に設計された駆動伝達ベルト、例えば、タイミングベルト等が用いられている。
【0054】
一方、従動側30には、従動軸31に従動軸プーリ32が取り付けられており、従動軸プーリ32としては、駆動伝達ベルト26に応じたプーリ、例えば、駆動伝達ベルト26がタイミングベルトであると、当該タイミングベルトに応じたタイミングプーリ等が用いられている。従動軸プーリ32としては、画像読取装置の設計時に設計された従動軸プーリが用いられており、この従動軸プーリ31が駆動伝達ベルト26を介して駆動軸プーリ23の回転が伝達されて回転することで、従動軸31が回転する。
【0055】
従動軸31には、従動負荷(軸負荷付与手段)33が取り付けられており、この従動負荷33は、従動軸31により、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動を再現するための負荷で、例えば、実際の画像読取装置の駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等なフライホイールが用いられている。この従動負荷33を適宜変化させることで、実際の画像読取装置の駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントを実現させることができる。
【0056】
また、従動軸31の従動軸プーリ32を挟んで従動負荷33と反対側には、計測部(計測手段)34が取り付けられており、計測部34は、従動軸31の回転量と時間との関係を計測するもので、例えば、エンコーダ等が用いられている。
【0057】
そして、この実験装置10は、駆動伝達ベルト26に任意の負荷を加えるために、例えば、従動側30の全体が可動ステージに搭載されており、この可動ステージにテンション計測装置を設けて、例えば、スプリングの伸び量によってテンションを調整可能としている。このテンション計測装置で、所定テンションに達成するまで、可動ステージの位置を調整し、最後に可動ステージを固定して、駆動伝達ベルト26に任意の負荷を与える。これらの可動ステージ及びテンション計測装置は、全体として、請求項5のベルト負荷付与手段として機能している。
【0058】
そして、上記計測制御装置40は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いることができ、実験装置10の駆動側20の駆動モータ21を制御するモータ制御プログラムと、実験装置10の計測部25及び計測部34の計測データをリアルタイムで計測する計測プログラムと、を搭載している。計測制御装置40は、これらのモータ制御プログラムと計測プログラム及び必要なデータの記録されているCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )等の記録媒体をパーソナルコンピュータ等の情報処理装置に読み取らせて搭載することで、構築されている。
【0059】
計測制御装置40は、モータ制御プログラムにより、駆動モータ21に速度テーブルを与えて、この速度テーブルを適宜変えることで、駆動モータ21の回転を制御し、駆動軸22の回転速度を制御する。
【0060】
また、計測制御装置40は、計測プログラムにより、計測部25及び計測部34からの計測データ収集中に計測制御装置40のCPU(Central Processing Unit )の追従速度によるデータ落ち現象を回避するために、駆動軸22と従動軸31の回転量と時間との関係を計測部25と計測部34が計測した計測データをリアルタイムで収集する。そこで、計測制御装置40は、リアルタイム計測データ収集を実現可能なDSPボードを備えていてもよい。
【0061】
次に、本実施の形態の作用を説明する。本実施の形態の画像読取装置の駆動機構設計支援装置1は、駆動機構の実験を行う実験装置10と実験装置10の制御と計測を行って駆動軸22と従動軸31の回転速度と時間の関係を収集する計測制御装置40を備えている。
【0062】
実験を行うには、まず、駆動伝達ベルト26に負荷を付与するために、スプリングの伸び量等によってテンションを計測する図示しないテンション計測装置で駆動伝達ベルト26にかかる負荷が任意の負荷になるように、従動側30の全体が搭載されている可動ステージの位置調整を行う。
【0063】
この状態で、計測制御装置40が、モータ制御プログラムにより、速度テーブルを駆動モータ21に与えて駆動モータ21の回転を制御して、駆動モータ21に連結されている駆動軸22を回転駆動させる。
【0064】
そして、駆動軸22には、駆動軸プーリ23と計測部25が取り付けられており、駆動軸22が回転することで、駆動軸プーリ23が回転して、駆動軸プーリ23と従動側30の従動軸プーリ32に架け渡されている駆動伝達ベルト26により駆動軸プーリ23の回転が従動軸プーリ32に伝達さて、回転するとともに、駆動軸22の回転を計測部25が計測して、計測制御装置40に出力する。
【0065】
従動軸プーリ32は、従動軸31に連結されており、従動軸31には、従動負荷33と計測部34が取り付けられている。
【0066】
従動軸31が従動軸プーリ32が回転することで回転し、この従動側30の回転を計測部34が計測して、計測制御装置40に出力する。
【0067】
そして、従動軸31により、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動を再現するために、実験装置10の従動軸31に、従動負荷33として、実際の画像読取装置の駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等なフライホイールを付加し、従動軸31の負荷を変化させる。
【0068】
そして、このときの駆動軸22の回転量と時間との関係を計測部25でリアルタイムに計測し、また、従動軸31の回転量と時間との関係を計測部34がリアルタイムに計測し、計測制御装置40が当該計測部25と計測部34の計測結果を計測プログラムにより収集する。特に、計測制御装置40が、例えば、DSPボードを備えることで、計測部25と計測部34の計測データを、データ落ちを回避しつつ、リアルタイムに収集することができる。
【0069】
そして、計測制御装置40は、この計測部25と計測部34から収集した回転量と時間の関係から、次式に基づいてリアルタイムに回転速度と時間との関係に換算して、計測結果をリアルタイムにディスプレイに表示出力する。
【0070】
ω=〔D_cnt(n+1)−D_cnt(n)〕/T
なお、ωは、回転速度と時間関係を示し、D_cnt(n+1)とD_cnt(n)は、相隣両回転量と時間関係の計測データ、Tは、相隣両回転量と時間関係の計測間隔である。
【0071】
いま、例えば、駆動モータ21として5相ステッピングモータが用いられていると、駆動モータ21の立ち上げ加速度を10ms/kppsに設定すると、駆動軸22の回転速度は、図2に実線で示すようになり、計測制御装置40が、速度テーブルを変えることによって、従動軸31の速度変動を最小に抑えることができ、このときの従動軸31の回転速度は、図2に破線で示すようになる。すなわち、画像読取装置駆動機構におけるキャリッジ副走査方向の速度変動を最小に抑えることができる。
【0072】
このように、本実施の形態の画像読取装置の駆動機構設計支援装置1は、駆動モータ21により回転駆動される駆動軸22に取り付けられた駆動軸プーリ23と、任意の負荷の付与される従動軸31に取り付けられた従動軸プーリ32と、に駆動伝達ベルト26を巻き付けて、駆動軸22の回転により駆動伝達ベルト26を介して従動軸31を回転させ画像読取装置の駆動機構の挙動予測を行うのに際して、駆動軸22の回転量と時間との関係及び従動軸31の回転量と時間との関係を計測部25、34で計測して挙動予測を行っている。
【0073】
したがって、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸31の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、駆動軸プーリ23として、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリを取り付け、従動軸プーリ32として、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリを取り付け、駆動伝達ベルト26として、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトを取り付けている。
【0075】
したがって、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0076】
さらに、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、駆動モータ21として、画像読取装置の駆動機構設計時に設計、または、選択された駆動モータを用いている。
【0077】
したがって、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0078】
また、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、駆動モータ21をモータ制御プログラムで駆動制御する計測制御装置40を設けている。
【0079】
したがって、駆動軸22を任意の速度で駆動制御して、当該駆動条件下での従動軸の回転速度変動を計測することができ、駆動速度を最適化することで、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことができる。
【0080】
さらに、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、駆動伝達ベルト26に任意の負荷を付与する可動ステージ及びテンション計測装置を設けている。
【0081】
したがって、駆動伝達ベルト26に任意の負荷(テンション)を加えて、ベルト負荷を最適化することができ、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、従動軸31に任意の負荷を付与する軸負荷付与手段である従動負荷33を設けている。
【0083】
したがって、画像読取装置の駆動機構と同等の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動をより一層適切に予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0084】
さらに、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、計測部25、34の計測した駆動軸22の回転量と時間との関係及び従動軸31の回転量と時間との関係をリアルタイムでデータ収集する計測制御装置40を設けている。
【0085】
したがって、計測データ収集中にデータ落ちが発生することを防止して、駆動軸22と従動軸31の回転量と時間との関係を精度が良くリアルタイムで計測することができ、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を効率的に行うことができる。
【0086】
また、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、計測制御装置40が、収集した駆動軸22の回転量と時間との関係及び従動軸31の回転量と時間との関係のデータから駆動軸22と従動軸31の回転速度と時間の関係を算出して、当該算出結果を表示出力している。
【0087】
したがって、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの速度変動と同等な結果で駆動機構を速やかに評価することができ、設計期間をより一層短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0088】
さらに、本実施の形態の駆動機構設計支援装置1は、コンピュータ等の情報処理装置で読取可能な記憶媒体に、駆動モータ21により回転駆動される駆動軸22に取り付けられた駆動軸プーリ23と、任意の負荷の付与される従動軸31に取り付けられた従動軸プーリ32と、に駆動伝達ベルト26が巻き付けられて、駆動軸22の回転により駆動伝達ベルト26を介して従動軸31を回転させて、画像読取装置の駆動機構の挙動予測処理を行う駆動機構設計支援プログラムであって、駆動軸22の回転量と時間との関係及び従動軸31の回転量と時間との関係を計測して挙動予測処理を行う駆動機構設計支援プログラム及び当該駆動機構設計支援プログラムの実行に必要なデータを記録して、当該記憶媒体をコンピュータ等に読み取らせることで構築されている。
【0089】
したがって、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測して、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことのできる駆動機構設計支援装置1を、容易にかつ任意の場所で構築することができる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0091】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の駆動機構設計支援装置によれば、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させる実験装置と、該実験装置の駆動制御と該実験装置における計測データの処理とを行う計測制御装置とを備え画像読取装置の駆動機構の挙動予測を行う駆動機構設計支援装置であって、前記実験装置では、前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリが取り付けられ、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリが取り付けられ、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトが取り付けられ、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータが用いられ、前記実験装置では、前記従動軸に、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段が取り付けられ、かつ前記駆動軸に、該駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を計測する計測手段が設けられ、前記計測制御装置が、前記実験装置の前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記計測手段により計測された前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算して計測結果として出力することにより、前記画像読取装置の前記駆動機構の挙動予測を行うので、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことができる。
また、駆動軸プーリとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリを取り付け、従動軸プーリとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリを取り付け、駆動伝達ベルトとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトを取り付けているので、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
さらに、駆動モータとして、画像読取装置の駆動機構設計時に設計、または、選択された駆動モータを用いているので、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
従動軸に任意の負荷を付与する軸負荷付与手段を設けているので、画像読取装置の駆動機構と同等の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動をより一層適切に予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
計測制御装置が、収集した駆動軸の回転量と時間との関係及び従動軸の回転量と時間との関係のデータから当該駆動軸と当該従動軸の回転速度と時間の関係を算出して、当該算出結果を表示出力するので、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの速度変動と同等な結果で駆動機構を速やかに評価することができ、設計期間をより一層短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0092】
請求項2記載の発明の駆動機構設計支援装置によれば、前記計測制御装置は、前記計測データをリアルタイムに収集し、かつ該計測データを回転速度と時間との関係にリアルタイムに換算し、ついで換算した回転速度と時間との関係を計測結果としてリアルタイムに出力するので、計測データ収集中にデータ落ちが発生することを防止して、駆動軸と従動軸の回転量と時間との関係を精度が良くリアルタイムで計測することができ、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を効率的に行うことができる。
【0093】
請求項3記載の発明の駆動機構設計支援装置によれば、前記計測手段は、前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を、同一の計測間隔でかつ同時に計測するので、画像読取装置の駆動機構における駆動軸系と同様の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動予測を適切に行うことができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0094】
請求項4記載の発明の駆動機構設計支援装置によれば、前記計測制御装置には、前記駆動モータを駆動制御するためのモータ制御プログラムが搭載されているので、駆動軸を任意の速度で駆動制御して、当該駆動条件下での従動軸の回転速度変動を計測することができ、駆動速度を最適化することで、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことができる。
【0095】
請求項5記載の発明の駆動機構設計支援装置によれば、前記実験装置は、前記駆動伝達ベルトのテンションを調整するために該駆動伝達ベルトに任意の負荷を付与するベルト負荷付与手段を備えているので、駆動伝達ベルトに任意の負荷(テンション)を加えて、ベルト負荷を最適化することができ、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動を最小に抑える設計を容易に行うことができる。
【0096】
請求項6記載の発明の駆動機構設計支援装置によれば、前記軸負荷付与手段は、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な慣性モーメントのフライホイールであるので、画像読取装置の駆動機構と同等の駆動機構を構築して、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、実際の画像読取装置の駆動機構の挙動をより一層適切に予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時におけるより一層的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつより一層適切な設計を行うことができる。
【0099】
請求項記載の発明の駆動機構設計支援方法によれば、駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させて、画像読取装置の駆動機構の挙動予測処理を行う駆動機構設計支援方法であって、前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリを取り付け、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリを取り付け、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトを取り付け、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータを用い、かつ前記従動軸には、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段を取り付け、前記挙動予測処理として、前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算するので、例えば、画像読取装置の駆動機構におけるキャリッジの副走査方向の速度変動の代わりに、従動軸の速度変動を評価することで、画像読取装置の駆動機構全体の設計を完成しなくても、駆動機構全体の挙動を予測することができ、画像読取装置の駆動機構設計時における的確な指針を行って、設計期間を短縮化しつつ適切な設計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の駆動機構設計支援装置、駆動機構設計支援方法及び記憶媒体の一実施の形態を適用した画像読取装置の駆動機構設計支援装置のシステム構成図。
【図2】図1の駆動機構設計支援装置で計測した駆動軸の回転速度と従動軸の回転速度を示す図。
【図3】画像読取装置の駆動機構の斜視図。
【符号の説明】
1 駆動機構設計支援装置
10 実験装置
20 駆動側
21 駆動モータ
22 駆動軸
23 駆動軸プーリ
24 カップリング
25 計測部
26 駆動伝達ベルト
30 従動側
31 従動軸
32 従動軸プーリ
33 従動負荷
34 計測部
40 計測制御装置

Claims (7)

  1. 駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させる実験装置と、該実験装置の駆動制御と該実験装置における計測データの処理とを行う計測制御装置とを備え画像読取装置の駆動機構の挙動予測を行う駆動機構設計支援装置であって、
    前記実験装置では、前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリが取り付けられ、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリが取り付けられ、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトが取り付けられ、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータが用いられ、
    前記実験装置では、前記従動軸に、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段が取り付けられ、かつ前記駆動軸に、該駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を計測する計測手段が設けられ、
    前記計測制御装置が、前記実験装置の前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記計測手段により計測された前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算して計測結果として出力することにより、前記画像読取装置の前記駆動機構の挙動予測を行うことを特徴とする駆動機構設計支援装置。
  2. 前記計測制御装置は、前記計測データをリアルタイムに収集し、かつ該計測データを回転速度と時間との関係にリアルタイムに換算し、ついで換算した回転速度と時間との関係を計測結果としてリアルタイムに出力することを特徴とする請求項1記載の駆動機構設計支援装置。
  3. 前記計測手段は、前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係を、同一の計測間隔でかつ同時に計測することを特徴とする請求項1または請求項2記載の駆動機構設計支援装置。
  4. 前記計測制御装置には、前記駆動モータを駆動制御するためのモータ制御プログラムが搭載されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の駆動機構設計支援装置。
  5. 前記実験装置は、前記駆動伝達ベルトのテンションを調整するために該駆動伝達ベルトに任意の負荷を付与するベルト負荷付与手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動機構設計支援装置。
  6. 前記軸負荷付与手段は、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な慣性モーメントのフライホイールであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の駆動機構設計支援装置。
  7. 駆動モータにより回転駆動される駆動軸に取り付けられた駆動軸プーリと、任意の負荷の付与される従動軸に取り付けられた従動軸プーリと、に駆動伝達ベルトを巻き付けて、前記駆動軸の回転により当該駆動伝達ベルトを介して前記従動軸を回転させて、画像読取装置の駆動機構の挙動予測処理を行う駆動機構設計支援方法であって、
    前記駆動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動軸プーリを取り付け、前記従動軸プーリとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された従動軸プーリを取り付け、前記駆動伝達ベルトとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された駆動伝達ベルトを取り付け、前記駆動モータとして、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計または選択された駆動モータを用い、かつ前記従動軸には、前記画像読取装置の駆動機構設計時に設計された前記駆動機構における駆動軸後の慣性モーメントと同等な負荷を付与する軸負荷付与手段を取り付け、
    前記挙動予測処理として、前記駆動モータを駆動制御し、かつ前記駆動軸の回転量と時間との関係及び前記従動軸の回転量と時間との関係の前記計測データを収集し、ついで該計測データを回転速度と時間との関係に換算することを特徴とする駆動機構設計支援方法。
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