JP4179853B2 - 可とう性成形型及び微細構造体の製造方法 - Google Patents

可とう性成形型及び微細構造体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形技術に関し、さらに詳しく述べると、可とう性成形型及びその製造方法ならびに微細構造体の製造方法に関する。本発明の微細構造体の製造方法は、例えば、プラズマディスプレイパネル用背面板のリブの製造に有利である。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン技術のこれまでの進歩・発展に伴い、陰極線管(Cathode Ray Tube: CRT)の表示装置が経済的に量産化されてきたことはよく知られるところである。しかし、近年になっては、このCRTの表示装置に代わって、薄型かつ軽量のフラットパネルディスプレイが次世代の表示装置として注目されている。
【0003】
代表的なフラットパネルディスプレイの一つは液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display: LCD)で、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistant: PDA)又はその他の携帯電子情報機器の小型表示装置として既に使用されている。他方、薄型で大画面のフラットパネルディスプレイとしては、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel: PDP)が典型的で、実際、業務用でまた最近は家庭用で壁掛けテレビとして使用され始めている。
【0004】
PDPは、図1に模式的に示すような構成を有している。なお、PDP50は、図示の例では簡略化のために1個の放電表示セル56しか示されていないが、通常、多数個の微細な放電表示セルを含んでいる。詳細に述べると、それぞれの放電表示セル56は、離隔対向した一対のガラス基板、すなわち、前面ガラス基板61及び背面ガラス基板51と、これらのガラス基板間に所定形状をもって配置された微細構造のリブ(バリアリブ、隔壁又は障壁ともいう)54とによって囲まれて画定されている。前面ガラス基板61は、走査電極及び維持電極からなる透明な表示電極63と、透明な誘電体層62と、透明な保護層64とをその上に備えている。また、背面ガラス基板51は、アドレス電極53と、誘電体層52とをその上に備えている。走査電極及び維持電極からなる表示電極63とアドレス電極53は、直交しており、かつ、それぞれ、間隔をあけて一定のパターンで配置されている。各放電表示セル56は、その内壁に蛍光体層55を有するとともに、希ガス(例えば、Ne−Xeガス)が封入されており、上記電極間のプラズマ放電により自発光表示をできるようになっている。
【0005】
一般に、リブ54は、セラミックの微細構造体からなり、通常は、図2に模式的に示すように、アドレス電極53とともに背面ガラス基板51の上に予め設けられてPDP用背面板を構成している。リブは、その形状や寸法の精度がPDPの性能に大きく影響するので、従来、その製造に用いられる成形型や製造方法においていろいろな改良が加えられている。例えば、型材に金属又はガラスを使用し、リブ(隔壁)を形成する塗布液をガラス基板の表面と型材との間に配置し、塗布液が硬化した後に型材を取り除き、硬化された塗布液の転写された基板を焼成することを特徴とする隔壁形成方法が提案されている(特許文献1)。塗布液は、低融点ガラス粉末を主成分とする。また、セラミックス又はガラスの粉体と溶媒及び有機性添加物からなるバインダとの混合物を、隔壁用の凹部を有するシリコーン樹脂製成形型中に充填した後、これらの混合物をセラミックス又はガラスからなる背面板に接合して一体化する工程からなるPDP用基板の製造方法も提案されている(特許文献2)。さらに、所定の柔らかさを有する隔壁部材を所定の厚さで面状に基板表面に形成する工程と、形成すべき隔壁に対応する形状を設けた押圧型で隔壁部材を押圧成形する工程と、押圧型を隔壁部材から離型する工程と、所定の温度で成形後の隔壁部材を熱処理する工程とにより隔壁を形成する方法も提案されている(特許文献3)。
【0006】
しかし、これらの公開特許公報やその他の文献に開示されているPDP製造用の成形型には、依然として解決されなければならない問題点がある。すなわち、いずれの成形型も、その製造に使用された成形材料に原因して、製造から使用までの間に特に温度や湿度の変化に耐え切れずに寸法変化をおこし、目的とするリブを高精度で提供することができない。もしも形状の変化や寸法精度の低下を回避するとなると、精度よく温湿度管理された環境の下で保管し、使用しなければならず、人件費、設備費の増加を避けることができない。
【0007】
また、PDP用背面板の製造においては、アドレス電極に対してほとんどずれることなく所定位置にリブが設けられることが求められる。これは、リブが所定の位置に正確に設けられ、かつ寸法精度が高ければ高いほど、PDPにおける優れた自発光表示が可能となるためである。しかし、上記のような温湿度変化が周囲にあった場合、成形型の寸法を周囲の温湿度の調整を通じて入念に制御しようとしても、実現が困難である。基板の寸法変化、リブを形成する塗布液の粘度変化、リブ成形機の精度変化などに対する影響を排除することができないからである。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−12336号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−134676号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開平9−283017号公報(特許請求の範囲)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来の技術の問題点を解決することを目的としている。
【0010】
本発明の目的の1つは、PDPリブあるいはその他の微細構造体を製造するのに有用で、熟練を必要とすることなく、所定位置にリブ等の突起物を容易かつ正確に、高い寸法精度で設けることができる可とう性成形型を提供することにある。
【0011】
また、本発明のもう1つの目的は、PDPリブあるいはその他の微細構造体を、気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで高精度に製造できる可とう性成形型を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明のもう1つの目的は、PDPリブあるいはその他の微細構造体を製造するための可とう性成形型を、熟練を必要とすることなく高い寸法精度で製造できる方法を提供することにある。
【0013】
さらにまた、本発明のもう1つの目的は、本発明の可とう性成形型を用いて、例えばセラミック微細構造体などの微細構造体を製造する方法を提供することにある。
【0014】
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、その1つの面において、湿度応答性の材料からなる支持体と、前記支持体上に設けられ、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた成形層とを有する可とう性成形型であって、
前記成形型を金型から離型後に予め定められた温度及び湿度条件でコンディショニングすることによって、前記所定の形状及び寸法が前記溝パターンに付与されていることを特徴とする可とう性成形型にある。
【0016】
また、本発明は、そのもう1つの面において、支持体と、前記支持体上に設けられ、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた成形層とを有する可とう性成形型を製造する方法であって、下記の工程:
前記成形型の溝パターンに対応する形状及び寸法を有する突起パターンを表面に有する金型に光硬化性の材料を所定の膜厚で塗被して光硬化性材料層を形成する工程、
前記金型の上に湿度応答性のあるプラスチック材料のフィルムからなる透明支持体を積層して前記金型、前記光硬化性材料層及び前記支持体の積層体を形成する工程、
前記積層体にその支持体側から光を照射して前記光硬化性材料層を硬化させ、
前記光硬化性材料層の硬化によって形成された前記成形層を前記支持体とともに前記金型から離型する工程、そして
得られた成形型を予め定められた温度及び湿度条件でコンディショニングして前記成形層の溝パターンの形状及び寸法を調整する工程、
を含んでなることを特徴とする可とう性成形型の製造方法にある。
【0017】
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、予め定められた形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体を製造する方法であって、下記の工程:
湿度応答性の材料からなる支持体と、前記支持体上に設けられ、前記突起パターンに対応する形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた成形層とを有し、金型から離型後に予め定められた温度及び湿度条件でコンディショニングすることによって前記成形層の溝パターンの形状及び寸法を調整した可とう性成形型を用意する工程、
前記基板と前記成形型の成形層との間に硬化性の成形材料を配置して、前記成形材料を前記成形型の溝パターンに充填する工程、
前記成形材料を硬化させ、前記基板とそれに一体的に結合した突起パターンとからなる微細構造体を形成する工程、そして
前記微細構造体を前記成形型から取り去る工程、
を含んでなることを特徴とする微細構造体の製造方法にある。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明による可とう性成形型及びその製造方法ならびに微細構造体の製造方法は、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下では、微細構造体の典型例であるPDPリブの製造を参照して本発明の実施を詳細に説明する。なお、本発明がPDPリブの製造に限定されるわけではないことは、言うまでもない。
【0019】
すでに図2を参照して説明したように、PDPのリブ54は、背面ガラス基板51の上に設けられてPDP用背面板を構成している。リブ54の間隔(セルピッチ)cは、画面サイズなどによって変動するけれども、通常、約150〜400μmの範囲である。一般的に、リブには、「気泡の混入や変形などの欠陥のないこと」及び「ピッチ精度がよいこと」の2点が必要とされる。ピッチ精度に関して言えば、リブは、その形成時、アドレス電極に対してほとんどずれることなく所定位置に設けられることが求められ、実際、数十μm以内の位置誤差しか許容されない。位置誤差が数十μmを上回った場合、可視光の放出条件等に悪影響が生じ、満足のいく自発光表示が不可能となる。画面サイズの大型化が進んでいる今日、このようなリブのピッチ精度の問題は深刻である。
【0020】
リブ54を全体として見た場合、基板のサイズ及びリブの形状によって若干の差はあるものの、一般的に、リブ54のトータルピッチ(両端のリブ54の距離;図では5本のリブしか示されていないが、通常、3000本前後である)Rは、数十ppm以下の寸法精度が必要とされる。また、一般的には支持体とそれによって支持された溝パターン付きの成形層とからなる可とう性成形型を用いてリブを成形するのが有用であるが、そのような成形方法の場合、成形型のトータルピッチ(両端の溝部の距離)にも、リブと同様に数十ppm以下の寸法精度が必要とされる。
【0021】
ところで、従来の可とう性成形型の場合、その支持体に硬質プラスチックフィルムを使用するとともに、溝パターン(溝部)を備えた成形層を光硬化性樹脂の成形によって形成している。支持体として使用するプラスチックフィルムは、一般的に、プラスチック原料をシート化したもので、ロールに巻き取った状態で商業的に入手可能である。ロール状のプラスチックフィルムは、その製造工程で水分を失ってしまうためにほとんど水分を含んでおらず、乾燥状態にある。このような乾燥状態にあるプラスチックフィルムに金型を併用して成形型を製造する場合、ロールからプラスチックフィルムを巻き出した段階でフィルムの吸湿がはじまり、フィルムの膨脹の結果として寸法の変動が発生する。特にこの寸法の変動は金型から成形型を取り出した直後に顕著に発生し、フィルムの寸法変動は約300〜500ppmの大きさにまで達する。よって、このような慣用の成形方法を使用したのでは、PDPリブ用成形型として必要とされる数十ppm以下の寸法精度を達成することができない。
【0022】
本発明者らは、上述のような支持体フィルムの寸法変動が可とう性成形型の寸法変化の大きな原因になっていることをつきとめ、湿度応答性を有することがすでに判明している材料から支持体を形成するとともに、完成した成形型をコンディショニングするという簡単な後処理を施すだけで、形状及び寸法の精度に優れた可とう性成形型を提供できるということを発見した。可とう性成形型を金型から離型後に予め定められた温度及び湿度条件(すなわち、支持体フィルムの寸法変動を適正に補正するのに必要な温度及び湿度条件)でコンディショニングすることによって支持体フィルムを収縮もしくは伸長せしめれば、今までまったく予想されなかったことであるが、形状及び寸法の精度に優れた溝パターンを得ることができる。
【0023】
ここで、可とう性成形型のコンディショニングは、比較的に容易に可能である。プラスチックフィルムの水分含有率や伸長率は、通常、温度及び相対湿度にほぼ比例して変動可能であり、その既知の変動特性を考慮すれば、コンディショニングの条件を容易に設定可能であるからである。例えば商業的に入手可能なポリエステル(テトロンTM)フィルムの場合を例にとると、その水分含有率は温度の上昇とともにほぼ比例して低下しかつ相対湿度の上昇にほぼ比例して増加し、また、したがって、図3にプロットするように、ポリエステルフィルムの伸長率(%)も、温度及び相対湿度の上昇にほぼ比例して増加可能である。換言すると、本発明の可とう性成形型に使用する支持体は、湿度応答性があり、かつその湿度応答特性が既知であるかもしくは容易に確認できる材料からなることが好ましい。
【0024】
また、可とう性成形型のコンディショニングに使用する装置は、特に限定されるものではない。適当なコンディショニング装置としては、例えば、恒温恒湿装置を挙げることができる。場合によっては、可とう性成形型に、例えば水又は水蒸気の吹き付け、水中又は温水中における浸漬、高温多湿雰囲気の通過などによって適切な吸湿処理を施して、恒温恒湿処理に代えてもよい。
【0025】
支持体の材料は、湿度応答性を有することに加えて、成形型の可とう性を確保するのに十分な柔軟性(フレキシビリティ)及び適度の硬さを有していることが好ましい。
【0026】
支持体材料の硬さについて言うと、可とう性成形型の溝部のピッチ精度を数十ppm以内にコントロールするためには、溝部の形成に関与する成形層を構成する成形材料(好ましくは、光硬化性樹脂などの光硬化性材料)よりもはるかに硬い材料、好ましくはプラスチック材料を支持体材料に選択することが好ましい。一般的に、光硬化性樹脂の硬化収縮率は数%程度であるため、軟質のプラスチックフィルムを支持体に使用した場合、前者の硬化収縮によって、支持体自体の寸法も変化し、溝部のピッチ精度を数十ppm以内にコントロールすることはできない。一方、プラスチックフィルムが硬いと、光硬化性樹脂が硬化収縮したとしても支持体自体の寸法精度が維持されるので、溝部のピッチ精度を高精度で維持することができる。また、プラスチックフィルムが硬いと、リブを形成する際のピッチ変動も小さく抑えることができるため、成形性及び寸法精度の両面で有利である。本発明の実施に好適な硬いプラスチックフィルムの例は、以下に列挙する通りである。
【0027】
プラスチックフィルムが硬い場合、成形型の溝部のピッチ精度は、プラスチックフィルムの寸法変化にのみ依存することになるため、安定的に所望のピッチ精度を有する成形型を提供するためには、製造後の成形型においてそのプラスチックフィルムの寸法が予定通りであり、少しも変化していないように後処理するだけで十分である。
【0028】
支持体材料の硬さは、例えば引張りに対する剛性、すなわち、引張り強度で表すことができる。支持体材料の引張り強度は、通常、少なくとも約5kg/mmであり、好ましくは、少なくとも約10kg/mmである。支持体材料の引張り強度が5kg/mmを下回った場合、得られた成形型を金型から取り出す時や成形型からPDPリブを取り出す時などに取り扱い性が低下し、破損や引裂けが生じることもある。
【0029】
本発明の実施において好ましい支持体は、コンディショニングの容易さ、取り扱い性などを考慮して、湿度応答性があり、さらには硬さもそなえたプラスチック材料のフィルムである。支持体に適当なプラスチック材料の例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、延伸ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセテートなどを挙げることができる。とりわけPETフィルムが支持体として有用であり、例えば、ポリエステルフィルム、例えばテトロンTMフィルムを支持体として有利に使用することができる。これらのプラスチックフィルムは、単層フィルムとして使用してもよく、2種類以上を組み合わせて複合もしくは積層フィルムとして使用してもよい。
【0030】
また、上記のようなプラスチックフィルムもしくはその他の支持体は、成形型及びPDPの構成などに応じていろいろな厚さで使用することができるけれども、通常、約0.05〜1.0mmの範囲であり、好ましくは、約0.1〜0.4mmの範囲である。支持体の厚さが上記の範囲を外れた場合には取り扱い性などが低下する。なお、支持体の厚さは、大きいほうが強度の面で有利である。
【0031】
本発明の可とう性成形型は、上述のような支持体とともに、その上に設けられ成形層を有する。成形層は、以下に詳細に説明するように、この成形型を使用して製造されるPDP背面板のリブやその他の微細構造体の突起物に対応する、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えている。成形層は、通常、単層で形成されるけれども、必要ならば、性質を異にする2種類以上の材料から多層構造で形成してもよい。なお、光硬化性成形材料を使用することを特に考慮に入れた場合、支持体及び成形層のどちらも透明であることが好ましい。
【0032】
引き続いて、可とう性成形型の構成とその製造方法をさらに詳細に説明する。
【0033】
図4は、本発明の可とう性成形型の好適な一実施形態を模式的に示す部分斜視図であり、図5は、図4の線分V−Vに沿った断面図である。図から理解できるように、この可とう性成形型10は、図2に示したような複数本のリブ54が互いに平行に配置されたストレートリブパターンの背面ガラス基板51を製造するために設計されたものではなくて、図示しないが、複数本のリブが一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された、すなわち、格子状リブパターンの背面ガラス基板を製造するためのものである。
【0034】
可とう性成形型10は、図示のように、予め定められた形状及び寸法をもった溝パターンをその表面に有している。溝パターンは、一定の間隔を開けて互いに交差しながら略平行に配置された複数本の溝部4をもって構成された格子状パターンである。すなわち、可とう性成形型10は、もちろんその他の微細構造体の製造にも適用可能であるけれども、このように開口した格子状パターンの溝部を表面に設けて構成されているので、例えば格子状突起パターンをもったPDPリブの成形に有利に使用可能になっている。可とう性成形型10は、必要に応じて追加の層を有していたり型を構成する各層に任意の処理や加工を施していてもよいけれども、基本的には、図4に示されるように、支持体1と、その上の溝部4をもった成形層11とから構成される。
【0035】
成形層11は、好ましくは、硬化性材料の硬化物からなる。硬化性材料は、熱硬化性の材料又は光硬化性の材料である。特に光硬化性材料は、成形層の形成に長大な加熱炉を必要とすることなく、しかも比較的短時間に硬化させることが可能であるので、有用である。光硬化性の材料は、好ましくは、光硬化性のモノマーやオリゴマー、さらに好ましくは、アクリル系のモノマーやオリゴマーである。硬化性材料は、任意の添加剤を含有することができる。適当な添加剤としては、例えば、重合開始剤(例えば、光開始剤)、帯電防止剤などを挙げることができる。
【0036】
成形層の形成に好適なアクリル系モノマーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸エステルなどを挙げることができる。また、成形層の形成に好適なアクリル系オリゴマーとしては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマーなどを挙げることができる。特にウレタンアクリレートやそのオリゴマーは、硬化後に柔軟で強靭な硬化物を提供でき、また、アクリレート全般のなかでも硬化する速度が極めて速いので、成形型の生産性の向上にも寄与できる。さらに、これらのアクリル系モノマーやオリゴマーを使用すると、成形層が光学的に透明になる。したがって、このような成形層を備えた可とう性成形型は、PDPリブやその他の微細構造体を製造する時、光硬化性の成形材料を使用可能となす。なお、これらのアクリル系のモノマー及びオリゴマーは、単独で使用してもよく、2種類以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0037】
成形層11を担持する支持体1は、すでに詳細に説明したように、好ましくはプラスチックフィルムであり、また、その厚さは、通常、約0.05〜1.0mmの範囲である。また、支持体は、好ましくは光学的に透明である。支持体が光学的に透明であると、硬化のために照射する光がこの支持体を透過可能であるので、光硬化性の成形材料を用いて成形層を形成することができる。典型的な透明の支持体の例は、上記した通りである。
【0038】
本発明の可とう性成形型は、いろいろな技法に従って製造することができる。例えば、図2に示したPDP用基板(背面板)を製造するための可とう性成形型は、図6及び図7に順を追って示すような手順によって有利に製造することができる。
【0039】
まず、図6(A)に示すように、製造対象のPDP用基板に対応する形状及び寸法を備えた金型5、透明なプラスチックフィルムからなる支持体(以下、支持フィルムと呼ぶ)1及び及びラミネートロール23を用意する。金型5は、PDP用背面板のリブと同じパターン及び形状の隔壁14をその表面に備え、また、したがって、相隣りあう隔壁14によって規定される空間(凹部)15が、PDPの放電表示セルとなるところである。隔壁14の上端部には、泡かみを防止するためのテーパーを取り付けてもよい。最終リブ形態と同じ金型を用意することで、リブ作製後の端部処理が不要となり、端部処理によって発生する破片による欠陥発生の恐れもなくなる。また、本製造方法では、リブ作製用の成形材料がすべて硬化されるので、金型上における成形材料の残渣が非常に少なく、よって、金型の再利用が容易にできる。ラミネートロール23は、支持フィルム1を金型5に押し付けるもので、ゴムロールからなる。必要ならば、ラミネートロールに代えてその他の周知・慣用のラミネート手段を使用してもよい。支持フィルム1は、ポリエステルフィルムやその他の上記した透明プラスチックフィルムからなる。
【0040】
次いで、例えばナイフコータやバーコータ等の周知・慣用のコーティング手段(図示せず)により、金型5の端面に光硬化性の成形材料11を所定の量で塗布する。ここで、支持フィルム1として柔軟で弾性のある材料を使用すると、光硬化性の成形材料11が収縮しても、支持フィルム1と密着しているため、支持フィルムそのものが変形しない限り、10ppm以上の寸法変動を起こすことがない。
【0041】
ラミネート処理の前、支持フィルムの湿度による寸法変化を取り除くため、成形型の製造環境下でエージングを行うことが好ましい。このエージング処理を行わないと、得られる成形型において許容し得ない程度の寸法のばらつき(例えば、300ppmのオーダーのばらつき)が発生する恐れがある。
【0042】
次いで、ラミネートロール23を金型5の上を矢印の方向に滑動させる。このラミネート処理の結果、成形材料11が所定の厚さで均一に分布せしめられ、隔壁14の間隙も成形材料11で充填される。
【0043】
ラミネート処理が完了した後、図6(B)に示すように、支持フィルム1を金型5に積層した状態で、支持フィルム1を介して、光(hν)を矢印で示すように成形材料11に照射する。ここで、支持フィルム1が気泡等の光散乱要素を含むことなく、透明材料によって一様に形成されていれば、照射光は、ほとんど減衰することがなく、成形材料11は均等に到達可能である。その結果、成形材料は効率的に硬化して、支持フィルム1に接着した均一な成形層11になる。よって、支持フィルム1と成形層11が一体的に接合した可とう性成形型が得られる。なお、この工程では、例えば波長350〜450nmの紫外線を使用できるので、フュージョンランプなどの高圧水銀灯のように高熱を発生させる光源を使用しないで済むというメリットもある。さらに、光硬化時に支持フィルムや成形層を熱変形させることがないので、高度のピッチコントロールができるというメリットもある。
【0044】
その後、図6(C)に示すように、可とう性成形型10をその一体性を保持したまま金型5から分離する。
【0045】
引き続いて、図7に示すように、可とう性成形型10を恒温恒湿槽15に入れ、予め定められたスケジュールに従ってコンディショニングする。コンディショニング条件は、成形型に所望とされる寸法の調整レベルに応じて任意に変更可能である。この処理の結果、例えば恒温恒湿槽15の内部で相対湿度の減少があった場合、図8に模式的に示すように、成形型10のサイズが全体的に縮小し、トータルピッチMも減少する。反対に、相対湿度の増大があった場合には、成形型10のサイズが全体的に拡大し、トータルピッチMも増加する。
【0046】
本発明の可とう性成形型は、寸法・大きさによらず、それに応じた周知・慣用のラミネート手段及びコーティング手段を使用しさえすれば、比較的簡便に製造可能である。したがって、本発明によれば、真空プレス成形機等の真空設備を使用した従来の製造方法とは異なり、何らの制限を受けることなく大型の可とう性成形型を簡便に製造可能となる。
【0047】
さらに加えて、本発明の可とう性成形型は、いろいろな微細構造体の製造において有用である。例えば、本発明の成形型は、ストレートリブパターンあるいは格子状リブパターンをもったPDPのリブの成形に有用である。この可とう性成形型を使用すれば、真空設備及び(又は)複雑なプロセスの代わりにラミネートロールを用いただけで、放電表示セルから外部に紫外線が漏れ難いリブ構造を有する大画面のPDPを簡便に製造することができる。
【0048】
本発明はまた、本発明の可とう性成形型を使用した微細構造体の製造方法にある。微細構造体は、いろいろな構造を有することができるけれども、その典型例は、ガラス平板上にリブを設けたPDP用基板(背面板)である。以下、図2に示したPDP用基板の製造方法を図9を参照して説明する。なお、本方法の実施には、例えば特開2001−191345号公報の図1〜図3に示した製造装置を有利に使用できる。
【0049】
まず、一定の間隔をあけて互いに平行に電極を配設したガラス平板を予め用意して定盤上にセットする。次いで、図9(A)に示すように、溝パターンを表面に有する本発明の可とう性成形型10をガラス平板31上の所定の位置に設置し、ガラス平板31と成形型10との位置合わせ(アライメント)を行う。成形型10は透明であるので、ガラス平板31上の電極との位置合わせは、容易に可能である。詳細に述べると、この位置合わせは、目視によって行うか、さもなければ、例えばCCDカメラのようなセンサを用いて、成形型10の溝部とガラス平板31の電極とを平行にするようにして行う。このとき、必要により、温度及び湿度を調整して成形型10の溝部とガラス平板31上の相隣れる電極間の間隔を一致させてもよい。通常、成形型10とガラス平板31は温度及び湿度の変化に応じて伸縮し、また、その程度は互いに異なるからである。したがって、ガラス平板31と成形型10との位置合わせが完了した後は、そのときの温度及び湿度を一定に維持するよう制御する。かかる制御方法は、大面積のPDP用基板の製造に当たって特に有効である。
【0050】
引き続いて、ラミネートロール23を成形型10の一端部に載置する。ラミネートロール23は、好ましくはゴムロールである。このとき、成形型10の一端部はガラス平板31上に固定されているのが好ましい。先に位置合わせが完了したガラス平板31と成形型10との位置ずれが防止され得るからである。
【0051】
次に、成形型10の自由な他端部をホルダー(図示せず)によって持ち上げてラミネートロール23の上方に移動させ、ガラス平板31を露出させる。このとき、成形型10には張力を与えないようにする。成形型10にしわが入るのを防止したり、成形型10とガラス平板31の位置合わせを維持したりするためである。但し、その位置合わせを維持し得る限り、他の手段を使用してもよい。なお、本製造方法では、成形型10に弾性があるので、成形型10を図示のようにめくりあげても、その後のラミネート時には、もとの位置合わせの状態に正確に戻すことができる。
【0052】
引き続いて、リブの形成に必要な所定量のリブ前駆体33をガラス平板31の上に供給する。リブ前駆体の供給には、例えば、ノズル付きのペースト用ホッパーを使用できる。
【0053】
ここで、リブ前駆体とは、最終的に目的とするリブ成形体を形成可能な任意の成形材料を意味し、リブ成形体を形成できる限り特に限定されるものではない。リブ前駆体は、熱硬化性でも光硬化性でもよい。特に、光硬化性のリブ前駆体は、上述した透明の可とう性成形型と組み合せて極めて効果的に使用可能である。可とう性成形型は、上記したように、気泡や変形等の欠陥をほとんど伴わず、光の不均一な散乱等を抑制することができる。かくして、成形材料が均一に硬化され、一定かつ良好な品質をもったリブになる。
【0054】
リブ前駆体に好適な組成の一例を挙げると、(1)リブの形状を与える、例えば酸化アルミニウムのようなセラミック成分、(2)セラミック成分間の隙間を埋めてリブに緻密性を付与する鉛ガラスやリン酸ガラスのようなガラス成分、及び(3)セラミック成分を収容及び保持して互いに結合するバインダ成分とその硬化剤又は重合開始剤を基本的に含む組成物である。バインダ成分の硬化は、加熱又は加温によらず光の照射によってなされることが望ましい。かかる場合、ガラス平板の熱変形を考慮する必要はなくなる。また、必要に応じて、この組成物には、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)又は錫(Sn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、プラチナ(Pt)、金(Au)もしくはセリウム(Ce)の酸化物、塩又は錯体からなる酸化触媒が添加されて、バインダ成分の除去温度を低下させてもよい。
【0055】
また、図示の製造方法の実施に当たっては、リブ前駆体33をガラス平板31上の全体に均一に供給しない。図9(A)に示すように、ラミネートロール23の近傍のガラス平板31上にリブ前駆体33を供給するだけでよい。後述の工程でラミネートロール23が成形型10上を移動するときにガラス平板31の上に均一にリブ前駆体33を広げることができるからである。ただし、このような場合、リブ前駆体33には通常約20,000cps以下、好適には約5,000cps以下の粘度が付与されていることが望ましい。リブ前駆体の粘度が約20,000cpsより高いと、ラミネートロールによってリブ前駆体が十分に広がり難くなり、その結果、成形型の溝部に空気が巻き込まれ、リブの欠陥の原因となるおそれがある。実際、リブ前駆体の粘度が約20,000cps以下であると、ラミネートロールをガラス平板の一端部から他端部に一回だけ移動させるだけで、ガラス平板と成形型の間にリブ前駆体が均一に広がり、全ての溝部に気泡を含むことなく均一に充填できる。但し、リブ前駆体の供給は、上述の方法に限定されるものではない。例えば、図示しないが、リブ前駆体をガラス平板の全面にコーティングしてもよい。このとき、コーティング用のリブ前駆体は、上記と同様の粘度を有している。特に、格子状パターンのリブを形成する場合には、その粘度は、約20,000cps以下、好ましくは約5,000cps以下である。
【0056】
次に、回転モータ(図示せず)を駆動させ、図9(A)において矢印で示すように、ラミネートロール23を成形型10上を所定の速度で移動させる。ラミネートロール23がこのようにして成形型10上を移動している間、成形型10にはその一端部から他端部に圧力がラミネートロール23の自重によって順次印加されて、ガラス平板31と成形型10の間にリブ前駆体33が広がり、成形型10の溝部に成形材料が充填される。すなわち、リブ前駆体33が順次溝部の空気と置換されて充填されていく。このとき、リブ前駆体の厚さは、リブ前駆体の粘度又はラミネートロールの直径、重量もしくは移動速度を適当に制御することにより、数μmから数十μmの範囲にすることができる。
【0057】
また、図示の製造方法によれば、成形型の溝部は空気のチャネルにもなって、空気をそこに捕捉したとしても、上述した印加圧力を受けたときには空気を効率よく成形型の外部又は周囲に排除することができる。その結果、本製造方法は、リブ前駆体の充填を大気圧下で行っても、気泡の残存を防止することができるようになる。換言すれば、リブ前駆体の充填に当たって減圧を適用する必要はなくなる。もちろん、減圧を行って、気泡の除去を一層容易に行ってもよい。
【0058】
引き続いて、リブ前駆体を硬化させる。ガラス平板31上に広げたリブ前駆体33が光硬化可能である場合は、図9(B)に示すように、ガラス平板31と成形型10の積層体を光照射装置(図示せず)に入れ、紫外線(UV)のような光をガラス平板31及び成形型10を介してリブ前駆体33に照射して硬化させる。このようにして、リブ前駆体の成形体、すなわち、リブそのものが得られる。
【0059】
最後に、得られたリブ34をガラス平板31に接着させたまま、ガラス平板31及び成形型10を光照射装置から取り出し、図9(C)に示すように成形型10を剥離除去する。本発明の成形型10はハンドリング性にも優れるので、この成形型において被覆層に粘着性の低い材料を用いた場合、ガラス平板31に接着したリブ34を破損させることなく、少ない力で成形型10を容易に剥離除去できる。もちろん、この剥離除去作業に大掛かりな装置は不要である。
【0060】
【実施例】
本発明を下記の実施例に従って具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものでないことは、当業者ならば容易に理解されるであろう。
可とう性成形型の作製
PDP用背面板の製造のため、ストレートパターンのリブ(隔壁)をもった長方形の金型を用意した。詳細に述べると、この金型は、その長手方向に沿って等脚台形の断面をもったリブを一定のピッチで配置したもので、相隣接するリブによって規定される空間(凹部)が、PDPの放電表示セルに対応する。それぞれのリブは、高さ135μm、頂部幅60μm、底部幅120μm、そしてピッチ(隣接するリブの中心間の距離)300μmであり、また、リブの本数は、3000本であった。また、リブのトータルピッチ(両端のリブの中心間の距離)は、900.221mmであった。
【0061】
また、成形型の成形層の形成に使用するため、99重量%の脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー(ダイセルユーシービー社製)及び1重量%の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、商品名「ダロキュア1173」)を混合して光硬化性樹脂を調製した。
【0062】
さらに、成形型の支持体として使用するため、ロールに巻かれた幅1300mm及び厚さ188μmのPETフィルム(テイジン社製、商品名「HPE188」)を用意した。
【0063】
次いで、用意した金型の上流端に、上述の光硬化性樹脂をライン状に塗布した。次いで、その金型の表面を覆うように上述のPETフィルムをラミネートした。ラミネートロールを使用してPETフィルムを入念に押し付けたところ、金型の凹部に光硬化性樹脂が充填された。
【0064】
この状態で、三菱電機オスラム社製の蛍光ランプを用い、300〜400nmに波長をもった光を、PETフィルムを介して、光硬化性樹脂に30秒間照射した。光硬化性樹脂が硬化し、成形層が得られた。引き続いてPETフィルムを成形層と共に金型から剥離し、金型のリブに対応する形状及び寸法を有する多数の溝部を備えた可とう性成形型を得た。さらに続けて、この成形型を温度22℃及び相対湿度(RH)40%、50%、55%又は60%の恒温恒湿室に入れ、約12時間にわたって放置し、コンディショニングを行った
コンディショニング後の成形型について、そのトータルピッチを測定したところ、図10に白丸Mでプロットするような測定結果が得られた。
PDP用背面板の作製
上記のようにして可とう性成形型を作製した後、その成形型をPDP用ガラス基板の上に位置合わせして配置した。成形型の溝パターンをガラス基板に対向させた。次いで、成形型とガラス基板の間に感光性セラミックペーストを充填した。ここで使用したセラミックペーストは、次のような組成であった。
【0065】
Figure 0004179853
セラミックペーストの充填が完了した後、ガラス基板の表面を覆うように成形型をラミネートした。ラミネートロールを使用して成形型を入念に押し付けたところ、その成形型の溝部にセラミックペーストが完全に充填された。
【0066】
この状態で、フィリップス社製の蛍光ランプを用い、400〜450nmに波長をもった光を成形型とガラス基板の両面から30秒間照射した。セラミックペーストが硬化し、リブとなった。引き続いて、ガラス基板をその上のリブと共に成形型から剥離し、目的とするリブ付きのガラス基板からなるPDP用背面板を得た。それぞれの背面板について、成形型から剥離直後にそのリブのトータルピッチを測定したところ、図10に黒丸Rでプロットするような測定結果が得られた。なお、図10の曲線Iは、リブのトータルピッチについての変動傾向を示したものである。
【0067】
図10の測定結果から理解できるように、例えば成形型のコンディショニング条件が22℃及び50%RHの時に得られたPDPリブのトータルピッチは900.221mm(7点の平均値)であったけれども、RHを50%から10%高めて60%とした時、得られたPDPリブのトータルピッチは、900.291mm(7点の平均値)であった。すなわち、RHを増加させることによって、PDPリブのトータルピッチをRH増加前に比較して78ppm大きくすることができた。換言すると、トータルピッチは、7.8ppm/%RHの割で大きくすることができる。
【0068】
また、成形型のコンディショニング条件を22℃及び50%RHから22℃及び40%RHに変更した場合、得られたPDPリブのトータルピッチは、900.173mm(7点の平均値)であった。すなわち、RHを20%低下させることによって、上述の22℃及び60%RHと比較して、トータルピッチを131ppm小さくすることができた。換言すると、トータルピッチは、6.6ppm/%RHの割で小さくすることができる。
【0069】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、PDPリブあるいはその他の微細構造体を製造するのに有用で、熟練を必要とすることなく、所定位置にリブ等の突起物を容易かつ正確に、高い寸法精度で設けることができる可とう性成形型を提供することができる。
【0070】
また、本発明によれば、PDPリブあるいはその他の微細構造体を、気泡の発生、パターンの変形等の欠陥を伴わないで高精度に製造できる可とう性成形型を提供することができる。
【0071】
さらに、本発明によれば、PDPリブあるいはその他の微細構造体を製造するための可とう性成形型を、熟練を必要とすることなく高い寸法精度で製造することができる。
【0072】
さらにまた、本発明によれば、本発明の可とう性成形型を用いることによって、例えばPDPリブやその他のセラミック微細構造体を低コスト、短時間、高精度で容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明も適用可能な、従来のPDPの一例を模式的に示した断面図である。
【図2】図1のPDPに用いられたPDP用背面板を示した斜視図である。
【図3】ポリエステルフィルムにおける相対湿度及び温度の変化と伸長率の関係をプロットしたグラフである。
【図4】本発明による可とう性成形型の1実施形態を示した斜視図である。
【図5】図4の成形型の線分V−Vに沿った断面図である。
【図6】本発明による可とう性成形型の1製造方法を順を追って示した断面図である。
【図7】本発明による可とう性成形型のコンディショニング方法を模式的に示した断面図である。
【図8】コンディショニングにおける成形型の寸法変化を示した平面図である。
【図9】本発明によるPDP用背面板の1製造方法を順を追って示した断面図である。
【図10】PDPリブのトータルピッチの寸法変化を示したグラフである。
【符号の説明】
1…支持体
4…溝部
5…金型
10…可とう性成形型
11…成形層
31…ガラス平板
34…リブ

Claims (14)

  1. 支持体と、前記支持体上に設けられ、所定の形状及び寸法を有する溝パターンを表面に備えた成形層とを有する可とう性成形型を製造する方法であって、下記の工程:
    前記成形型の溝パターンに対応する形状及び寸法を有する突起パターンを表面に有する金型に光硬化性の材料を所定の膜厚で塗被して光硬化性材料層を形成する工程、
    前記金型の上に湿度応答性のあるプラスチック材料のフィルムからなる透明支持体を積層して前記金型、前記光硬化性材料層及び前記支持体の積層体を形成する工程、
    前記積層体にその支持体側から光を照射して前記光硬化性材料層を硬化させ、
    前記光硬化性材料層の硬化によって形成された前記成形層を前記支持体とともに前記金型から離型する工程、そして
    得られた成形型を、溝部において所望のピッチ精度を有する成形型を提供するのに必要な温度及び湿度でコンディショニングして前記成形層の溝パターンにおいて精度に優れた形状及び寸法をる工程、
    を含んでなることを特徴とする可とう性成形型の製造方法。
  2. 前記支持体及び前記成形層が透明である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記支持体が、0.05〜1.0mmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記成形層が、硬化性材料の硬化物からなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記成形層の溝パターンが、一定の間隔をあけて互いに略平行に配置された複数本の溝部をもって構成されたストレートパターンである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記成形層の溝パターンが、一定の間隔をあけて互いに交差しながら略平行に配置された複数本の溝部をもって構成された格子状パターンである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記支持体のプラスチック材料が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、延伸ポリプロピレン、ポリカーボネート及びトリアセテートからなる群から選ばれた少なくとも1種類のプラスチック材料である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記光硬化性材料が、光硬化性のモノマー及び(又は)オリゴマーである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記光硬化性のモノマー及び(又は)オリゴマーが、アクリル系モノマー及び(又は)オリゴマーである、請求項に記載の方法。
  10. 前記アクリル系モノマー及び(又は)オリゴマーが、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート及びポリエーテルアクリレートからなる群から選ばれる、請求項に記載の方法。
  11. 所定の形状及び寸法を有する突起パターンを基板の表面に備えた微細構造体を製造する方法であって、下記の工程:
    請求項1に記載の方法で製造した可とう性成形型を用意する工程、
    前記基板と前記成形型の成形層との間に硬化性の成形材料を配置して、前記成形材料を前記成形型の溝パターンに充填する工程、
    前記成形材料を硬化させ、前記基板とそれに一体的に結合した突起パターンとからなる微細構造体を形成する工程、そして
    前記微細構造体を前記成形型から取り去る工程、
    を含んでなることを特徴とする微細構造体の製造方法。
  12. 前記硬化性の成形材料が、光硬化性材料である、請求項11に記載の微細構造体の製造方法。
  13. 前記微細構造体がプラズマディスプレイパネル用背面板である、請求項11又は12に記載の微細構造体の製造方法。
  14. 前記基板の表面に、1組のアドレス電極を一定の間隔をあけて、略平行にかつ独立に設ける工程をさらに含む、請求項1113のいずれか1項に記載の微細構造体の製造方法。
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