JP4178153B2 - 塗料コンテナ用攪拌機 - Google Patents

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本発明は、塗料コンテナタンク内に収容された塗料を均一に攪拌するための塗料コンテナ用攪拌機に関するものである。
塗料コンテナタンクは、顔料などの主剤とシンナーなどの溶剤を予め混合させた状態で、造船所や製鉄所などの使用場所までコンテナトラックを用いて搬送することが行われている。
この場合、搬送途中の振動などの影響によって、コンテナタンク内に収容した物質がその比重差により分離することが多く、特に、塗料の場合には、顔料である主剤とシンナーなどの溶剤とが分離して、タンク底部に高粘度で高密度の顔料が沈殿してしまう。
そのため、使用時にはコンテナタンク内の塗料を均一に攪拌する必要があり、特許文献1に示すような塗料コンテナ用攪拌機が提案されている。
特許文献1に示す攪拌装置は、回転駆動される駆動軸と、駆動軸の先端に駆動軸と共に回転するように固着した回転翼収容部と、回転翼収容部と共に回転するように回転翼収容部内に収容され、回転翼収容部より側方に拡縮径可能に突設する少なくとも二つの回転翼部材とから構成され、回転翼収容部内に上下に摺動可能に回転翼拡縮径制御部材が装着されており、この制御部材が回転翼部材と係合してその上下動によって回転翼部材を拡縮径するように付勢されると共に、回転駆動時には回転翼部材の回転による遠心力、すくい角によって拡径するように構成されている。
特許第3210877号公報
しかし、特許文献1の攪拌装置では、攪拌羽根がタンク内の中央部に配置されているだけであるので、主剤である顔料とシンナーなどの溶剤とを均一に攪拌することができない。
また、塗料はコンテナタンクの下部より吐出されるが、その塗料の押出力として攪拌羽根の攪拌力が寄与する場合もあるが、攪拌羽根はタンク内中央部に位置するものであるため、攪拌力がタンクの底部に滞留する塗料にまで及ぶものではない。したがって、タンクの底部に塗料が残留する可能性が高くなる。
本発明は、上記に鑑み、塗料成分を均一に混合することができ、コンテナタンク内の残塗料を無くすことができる塗料コンテナ用攪拌機の提供を目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、コンテナタンク内の塗料を攪拌するための攪拌機であって、回転駆動される駆動軸と、該駆動軸に設けられた攪拌翼と、前記駆動軸の先端に設けられ混合攪拌された塗料を駆動軸の軸方向先端側に導く押込みスクリューとを備えている。
上記構成によると、駆動軸の先端に設けられた押込みスクリューが、タンク内で混合攪拌された塗料を駆動軸の軸方向先端側に導くので、その先端側からコンテナタンクの吐出口に塗料を押込むスクリューコンベアとして機能し、タンク内の塗料を確実に排出して残塗料をなくすことができる。
また、攪拌翼は、駆動軸の中間位置に固定され上層の塗料を攪拌しながら下方向に押し下げる上部翼と、駆動軸の下部位置に設けられ下層の塗料を攪拌しながら上方向に押し上げる下部翼とから構成され、前記上部翼と下部翼の回転駆動によりタンク内の上下方向での対流を発生させるようにしている。
上記構成によると、上部翼と下部翼の回転によりタンク内の上下方向で対流が発生してタンク内の塗料を十分攪拌することができる。
また、下部翼は、駆動軸に固定された下部固定翼と、該下部固定翼の外端に縦軸を介して拡縮径可能に軸支された回転翼とから構成され、回転翼は、ばねにより、非回転駆動時には縮径する方向に付勢され、回転駆動時にはその回転による塗料の同伴流によって拡径するように構成され、回転翼は、その縮径状態でコンテナタンクのハッチ開口径よりも小に設定されている。
上記構成によると、非回転駆動時には回転翼をばねにより縮径する方向に付勢するので、コンテナ上部のハッチから攪拌翼を容易に挿入することができる。また、回転翼は、特許文献1に示すように回転駆動時の遠心力によって拡径するものではなく、下部翼の回転に伴う塗料の同伴流によって拡径する。そのため、回転翼は同伴流による応力に応じた拡径量となり、塗料を均一に混合攪拌することができる。また、回転翼は同伴流による拡径量となるため、駆動軸を回転駆動する駆動モータにかかる負荷も軽減することができる。
また、回転翼および押込みスクリューの下端部を、コンテナタンクの底部傾斜に合わせて傾斜して形成し、かつタンク底部に近接して配置する。
上記構成によると、回転翼および押込みスクリューの下端部を、コンテナタンクの底部傾斜に合わせて傾斜させ、かつタンク底部に近接するので、タンク底部に滞留しやすい塗料を確実に掻き取り、残塗料をなくすことができる。
ここで、押込みスクリューの軸方向先端は、コンテナの底部中央部に形成された吐出口に配向され、吐出口から塗料が送り出しやすくなっている。
また、押込みスクリューは3枚の羽根が駆動軸の周囲に螺旋状に配列してなる。上記構成によると、3枚羽根でスクリューコンベアのように塗料を吐出口に送り出しやすくなる。
以上のとおり、本発明によると、駆動軸の先端に設けられた押込みスクリューが、タンク内で混合攪拌された塗料を駆動軸の軸方向先端側に導くので、その先端側からコンテナタンクの吐出口に塗料を押込むスクリューコンベアとして機能する。また、攪拌翼は、上部翼と下部翼の回転によりタンク内の上下方向で対流が発生してタンク内の塗料を十分攪拌することができる。さらに、下部翼は、駆動軸に固定された下部固定翼と、該下部固定翼の外端に縦軸を介して拡縮径可能に軸支された回転翼とから構成されており、回転翼がばねにより非回転駆動時には縮径する方向に付勢され、回転駆動時には回転翼の回転による同伴流によって拡径するように構成されているので、回転翼は同伴流による応力に応じた拡径量となり、塗料を均一に混合攪拌することができる。また、回転翼は同伴流による拡径量となるため、駆動軸を回転駆動する駆動モータにかかる負荷も軽減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態を示す攪拌機付きのコンテナタンクの断面図、図2(a)(b)はガバナー機構の作動状態を示す断面図、図3は同じく下部翼部分の拡大正面図、図4(a)は下部翼の拡径状態を示す平面図、(b)は下部翼の縮径状態を示す平面図、図5は下部翼の縮径状態を示す正面図である。
図に示すように、本実施形態では、コンテナタンク1に、その内部の塗料を攪拌するための攪拌機2が設けられている。
コンテナタンク1は、中央円筒部1a、上部円錐台部1bおよび下部円錐部1cとから紡錘型に形成される。上部円錐台部1bは、その天面傾斜により輸送中に跳ね返りなどにより天面に付着した塗料を下部に流れやすくしている。上部円錐台部1bの中央には開閉自在なハッチ3が設けられ、該ハッチの開口4からタンク内部に攪拌機2を挿入可能とされると共に開口4に攪拌機2が着脱自在に装着される。
下部円錐部1cは、傾斜角度が20度〜40度に設定され、塗料の吐出時に内部塗料の流れを良好にし、中央下部に塗料が集中するように設定される。本実施形態では30度の傾斜角度になっている。下部円錐部1cの中央部にはタンク吐出口5が形成される。
なお、タンク内部は、内部に塗料が付着しにくくかつ安全性を高めるために、例えば、導電性フィラーを混入した導電性のフッ素樹脂コーティングやセラミックコーティングを施こすことができる。
攪拌機2は、本体ケーシング7に設置された駆動モータ8と、該駆動モータにより回転駆動されるべく本体ケーシング7に回転自在に軸受けされた駆動軸9と、該駆動軸9に設けられた攪拌翼10、11と、前記駆動軸9の先端に設けられ混合攪拌された塗料を駆動軸9の軸方向先端側に導く押込みスクリュー12とを備えている。
駆動モータ8は、エアモータであって、本体ケーシングに囲まれてエアの吸入により回転するインペラ21を備えている。また、図2に示すように、駆動軸9の回転数を一定に保つためにガバナー機構22が設けられている。
ガバナー機構22は、周知構造であるので、概要を簡単に説明すると、ガバナーバルブ23とガバナウエイト24とスプリング26とを備え、回転数が低いときは、図2(a)に示すように、吸入口25とバルブ23との間の給気距離が大きくなってエア供給量が多くなり(回転数が増加)、また、回転数が高くなると、同図(b)に示すように、ガバナウエイト24の遠心力でバルブ23を押し上げるため、バルブ23と吸入口25との間の給気距離が小さくなってエア供給量が少なくなり(回転数が減少)、常に供給されるエア量を制御して、駆動軸9の回転を一定に保つようにしている。なお、図2ではガバナー機構の原理を横置き状態で図示したが、実際には図1に示すように縦置き状態でも使用可能である。
また、本体ケーシング7は、図1に示すように、タンク1の開口4を開閉するハッチ3に中央に着脱自在に設置され、その下部から突出する駆動軸9を回転自在に軸受けする。
駆動軸9は、上端が駆動モータ8のインペラ21の軸に連結され、タンク1への設置状態で下端がタンク底中央に形成された吐出口5に至る長さに設定される。
攪拌翼10,11は、駆動軸9の中間位置に固定されタンク1内に充填された上層の塗料を攪拌しながら下方向に押し下げる上部翼10と、駆動軸9の下部位置に設けられタンク1内に充填された下層の塗料を攪拌しながら上方向に押し上げる下部翼11とから構成され、前記上部翼10と下部翼11の回転駆動によりタンク1内で上下方向の対流を発生させ、塗料を混合攪拌する。
上部翼10は、駆動軸9に放射状に固定される3枚の羽根から構成され、上層の塗料を攪拌しながら下方へ押し下げる傾斜した羽根形状に設定されている。また、羽根の半径は、タンクの上部開口4の内径よりも小径に設定されている。なお、羽根の数は3枚に限らず、その他の枚数であってもよい。
下部翼11は、駆動軸9に固定された下部固定翼15と、該下部固定翼の外端に縦軸16を介して拡縮径可能に軸支された回転翼17とから構成され、回転翼17がばね18により非回転駆動時には縮径する方向に付勢され、回転駆動時には回転翼17の回転による塗料の同伴流によって拡径するように構成されている。固定翼15および回転翼17は、駆動軸9を挟んで点対称位置に一対配置される。固定翼15は、四角枠状に形成され、その外端部に縦軸16が配置される。
回転翼17は、台形枠状に形成され、縦軸16周りに回転自在に軸支される。回転翼17の下端部17aは、コンテナタンク1の底部傾斜に合わせて傾斜して形成され、かつタンク底部に近接して配置されている。タンク底部傾斜角は、塗料の吐出時の流れをよくするため、20度〜40度程度の傾斜とされる。本実施形態では30度に設定されている。さらに、回転翼17は、その縮径状態でコンテナタンク1のハッチ開口4の内径よりも小径に設定され、縮径状態でハッチ開口4に対して挿入・抜き出し自在とされている。
ばね18は、コイルスプリングであり、そのコイル部が縦軸16に嵌合され、一端が回転翼17に係合され他端が固定翼15に係合され、回転翼17を縮径方向(閉方向)に付勢するようにしている。
押込みスクリュー12は、3枚の羽根19が駆動軸9の周囲に螺旋状に配列されてなり、混合攪拌された塗料を駆動軸9の軸方向先端側に導くようになっている。押込みスクリュー12の軸方向先端は、コンテナタンク1の底部中央部に形成された吐出口5に配向されている。押込みスクリュー12は、下部固定翼15の下部に形成された凹部20に入り込むように設置され、その下端部は、コンテナタンク1の底部傾斜に合わせて傾斜して形成され、かつタンク底部に近接して配置されている。
上記構成において、攪拌機2の回転翼17の縮径状態での径および上部翼10の径はコンテナタンク1の上部開口4の内径よりも小径であるため、着脱自在な攪拌機2はコンテナタンク1内に挿入設置して、内部に充填された塗料を攪拌することができる。
駆動軸9の回転により上部翼10は上層の液を下方に押し下げるように攪拌混合し、また、下部翼11は、下層の液を上側に押し上げるように攪拌混合し、塗料を上下方向に対流させるように混合攪拌する。
このとき、タンク底部は傾斜しているため、タンク底部に滞留しがちな塗料はタンク底部の傾斜に沿ってタンク底部中央の吐出口5に流れ落ちる。さらに、回転翼17の下端部17aはタンク底部の傾斜に合わせて傾斜して形成されており、かつタンク底部に近接して配置されているので、タンク底部の傾斜に沿って滞留しがちな塗料を吐出口5にスムーズに導くことができる。
さらに、駆動軸9の軸方向先端に設けられた押込みスクリュー12は、タンク底部の傾斜に合わせて傾斜して形成され、かつ塗料を吐出口5側に押込むように螺旋状に形成されているので、攪拌混合された塗料はスムーズに吐出口5に押込み搬送される。
なお、下部翼11は、駆動軸9が一定回転になると、その塗料の同伴流により図4(b)の平面視Z形の縮径状態からばね18の付勢力に抗して拡径し、同図(a)に示す平面視横一形に拡開する。そして、駆動軸9の回転が静止すると、ばね18により横一形の拡径状態からZ形の縮径状態に移行する。
このように、本実施形態においては、上部翼10と下部翼11の回転駆動によりタンク内で上下方向の対流を発生させることができ、顔料などの主剤とシンナーなどの溶剤とが分離しやすいコンテナタンク内の塗料を均一に混合攪拌することができる。また、駆動軸9の先端に設けられた押込みスクリュー12が、タンク1内で混合攪拌された塗料を駆動軸9の軸方向先端側に導くので、その先端側からコンテナタンク1の吐出口5に塗料を押込むスクリューコンベアとして機能し、タンク内の塗料を確実に排出して残塗料をなくすことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正・変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態では、攪拌機2をハッチの開口に着脱自在に取り付けた例を示したが、開口部に固定されたものであってもよい。また、上記実施形態では、押込みスクリューとして3枚の羽根が螺旋状に配列された構成を示したが、これに限らず、単数の羽根、あるいは2枚または4枚以上の羽根を螺旋状に配列する構成であってもよい。さらに、上部翼および下部翼の羽根数は上記実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態を示す攪拌機付きのコンテナタンクの断面図 (a)(b)はガバナー機構の作動状態を示す断面図 下部翼部分の拡大正面図 (a)は下部翼の拡径状態を示す平面図、(b)は下部翼の縮径状態を示す平面図 下部翼の縮径状態を示す正面図
符号の説明
1 コンテナタンク
2 攪拌機
3 ハッチ
4 開口
5 吐出口
7 本体ケーシング
8 駆動モータ
9 駆動軸
10 上部翼(攪拌翼)
11 下部翼(攪拌翼)
12 押込みスクリュー
15 下部固定翼
16 縦軸
17 回転翼
18 ばね
19 羽根
20 凹部
21 インペラ
22 ガバナー機構

Claims (5)

  1. コンテナタンク内の塗料を攪拌するための攪拌機であって、回転駆動される駆動軸と、該駆動軸に設けられた攪拌翼と、前記駆動軸の先端に設けられ混合攪拌された塗料を駆動軸の軸方向先端側に導く押込みスクリューとを備え
    前記攪拌翼が、駆動軸の中間位置に固定され上層の塗料を攪拌しながら下方向に押し下げる上部翼と、駆動軸の下部位置に設けられ下層の塗料を攪拌しながら上方向に押し上げる下部翼とから構成され、前記上部翼と下部翼の回転駆動によりタンク内の上下方向の対流を発生させるようにし、
    前記下部翼は、駆動軸に固定された下部固定翼と、該下部固定翼の外端に縦軸を介して拡縮径可能に軸支された回転翼とから構成され、回転翼がばねにより非回転駆動時には縮径する方向に付勢され、回転駆動時には回転翼の回転による同伴流によって拡径するように構成されたことを特徴とする塗料コンテナ用攪拌機。
  2. 前記回転翼は、その縮径状態でコンテナタンクのハッチ開口径よりも小に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の塗料コンテナ用攪拌機。
  3. 前記回転翼および押込みスクリューの下端部が、コンテナタンクの底部傾斜に合わせて傾斜して形成され、かつタンク底部に近接して配置されたことを特徴とする請求項1に記載の塗料コンテナ用攪拌機。
  4. 前記押込みスクリューの軸方向先端が、コンテナの底部中央部に形成された吐出口に配向されていることを特徴とする請求項1に記載の塗料コンテナ用攪拌機。
  5. 前記押込みスクリューが3枚の羽根が駆動軸の周囲に螺旋状に配列してなることを特徴とする請求項1に記載の塗料コンテナ用攪拌機。
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