JP4174814B2 - 燃料噴霧シミュレーション装置および燃料噴霧シミュレーション方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴霧シミュレーション装置、燃料噴霧シミュレーション方法および燃料噴霧シミュレーションプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関(以下、内燃機関を「エンジン」という。)から排出される二酸化炭素あるいは窒素酸化物などの有害物質を低減するため、エンジンのシリンダ内に燃料を直接噴射する直噴エンジンの採用が拡大している。直噴エンジンは、ディーゼルエンジンに限らずガソリンエンジンにも採用されている。
直噴エンジンの場合、シリンダ内へ燃料が直接噴射されるため、燃料噴射装置(以下、燃料噴射装置を「インジェクタ」という。)のノズル部に形成されている噴孔から噴射される燃料噴霧の噴霧特性がエンジンの性能に大きく影響する。そこで、燃料噴霧の噴霧特性をコンピュータを用いて解析する方法が提案されており、コンピュータシミュレーションを利用して噴霧特性の最適化を図る試みがなされている。
【0003】
しかし、従来の燃料噴霧シミュレーションでは、シミュレーションを実施するためにノズル部の形状や燃料の流動状態の初期値が必要となる。これらの初期値としては実測値または経験値を使用しなければならない。そのため、実際にインジェクタを用いた燃料の噴射実験が必要となり、噴射実験を実施することなしに燃料噴霧の噴霧特性をシミュレーションすることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)982610に開示されている「Computations of Hollow-Cone Sprays from a Pressure-Swirl Injector」のように、噴射実験の一部を実施することなしに燃料噴霧のシミュレーションを実施する方法が提案されている。上記のSAE982610によると、ノズル部の内部における燃料の流動に対しCFD(Computational Flow Dynamics)を実施することにより、噴孔の出口近傍における燃料の流量、流速および液膜厚さを推算している。そして、推算された燃料の流量、流速および液膜厚さから液膜分裂理論による燃料の初期平均粒径を推算し、燃料の流量、流速および液膜厚さならびに初期平均粒径を初期値として燃料噴霧シミュレーションを実施している。
【0005】
しかしながら、上述のSAE982610に開示される方法であっても、噴孔から噴射された燃料の初期粒度分布については実測値が用いられている。そのため、完全に実験することなしに燃料噴霧シミュレーションを実施することはできない。
また、SAE982610に開示される方法では、CFDとして単層流解析が用いられており、その解析により推算された流速から液膜厚さが推定されている。しかし、単層流解析による液膜厚さの推定は、表面張力あるいは噴孔内に存在する空気などの気体の影響が考慮されておらず、シミュレーションの精度が低いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、噴孔の出口近傍における燃料の液膜厚さが高精度に算出され、実験値および経験値を用いる必要のない燃料噴霧シミュレーション装置、燃料噴霧シミュレーション方法および燃料噴霧シミュレーションプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1もしくは2記載の燃料噴霧シミュレーション装置、請求項6記載の燃料噴射シミュレーション方法、または請求項10記載の燃料噴霧シミュレーションプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体によると、噴孔から液膜状に噴射される燃料の噴霧特性を算出することができる。噴孔から噴射される燃料の液膜厚さおよび流速は、気液2相流3次元CFDにより推算される。噴孔から液膜状に噴射される燃料は、噴孔内では燃料と空気との気液2相状態となっている。そのため、気液2相流3次元CFDを用いて燃料の液膜厚さおよび流速を推算することにより、単層流解析では考慮することができない燃料の表面張力および気体の物性の影響を燃料噴霧シミュレーションに含めることができる。
【0008】
また、気液2相流3次元CFDを用いて推算された燃料の液膜厚さおよび流速から、噴孔から噴射される燃料の初期平均粒径を推算する。初期平均粒径の推算には、例えば液膜分裂理論などを適用することができる。推算された初期平均粒径から粒度分布関数を作成し、作成された粒度分布関数から燃料噴霧の噴霧特性についてシミュレーションを実施する。
【0009】
したがって、液膜厚さおよび流速の推算に気液2相流3次元CFD用いることにより、噴孔の出口近傍における燃料の液膜厚さおよび流速を高精度に推算することができる。また、気液2相流3次元CFDおよび粒度分布関数を用いることにより、実験値および経験値を用いる必要がなく、容易かつ高精度な燃料噴霧シミュレーションを実施することができる。
【0010】
本発明の請求項3記載の燃料噴霧シミュレーション装置、請求項6記載の燃料噴霧シミュレーション方法または請求項11記載の燃料噴射シミュレーションプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体によると、設計データにはノズル部の3次元座標データが含まれている。そのため、例えばCAD(Computer Aided Design)に用いる座標データを入力することにより、ノズル部の微細な形状の変化についても容易に燃料噴霧シミュレーションを実行することができる。
【0011】
本発明の請求項4記載の燃料噴射シミュレーション装置または請求項8記載の燃料噴霧シミュレーション方法によると、シミュレーションの対象となるインジェクタの噴孔はスリット状に形成されている。そのため、噴孔からは燃料が液膜状に噴射される。また、噴孔の内部では燃料が一方の壁面に沿って流動し、他方の壁面側には空気が存在する。その結果、噴孔の内部では気液2相流となり、気液2相流3次元CFDを適用することができる。
【0012】
本発明の請求項5記載の燃料噴霧シミュレーション装置または請求項9記載の燃料噴霧シミュレーション方法によると、シミュレーションの対象となるインジェクタの噴孔はテーパ形状に形成され、ノズル部には旋回流形成手段が配設されている。そのため、噴孔からは燃料が螺旋の液膜状に噴射される。また、噴孔の内部では燃料が噴孔の壁面に沿って旋回しながら流動し、噴孔の軸近傍には空気が存在する。その結果、噴孔の内部では気液2相流となり、気液2相流3次元CFDを適用することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す一実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように本実施例による燃料噴射シミュレーション装置1はコンピュータであり、キーボードなどの入力部2、演算部3および出力手段としてのディスプレイ4から構成されている。
本実施例による燃料噴射シミュレーション装置1は、図2に示すようなインジェクタ7の噴孔71から噴射される燃料の噴霧特性をシミュレーションする。噴孔71は、インジェクタ7のシリンダ側の端部に配設されているノズル部70に形成されている。
【0014】
演算部3は、記憶部10および処理部20から構成されている。記憶部10は、ハードディスクドライブ(以下、HDD)11、RAM(Random Access Memory)12およびROM(Read Only Memory)13を有している。HDD11には、入力されたノズル部70の設計データ、ならびに燃料噴射シミュレーションを処理部20に実行させるためのソフトウェアである燃料噴射シミュレーションプログラムが記録されている。RAM12には、処理部20で演算される各種データならびに演算の終了したデータが一時的に保管される。ROM13には、処理部20および燃料噴射シミュレーション装置1の各部を制御するためのコンピュータプログラムが記録されている。
【0015】
処理部20は、燃料流通特性算出部21、初期平均粒径算出部22、粒度分布作成部23および噴霧特性シミュレーション部24から構成されている。燃料流通特性算出部21は、入力されたノズル部70の設計データに基づいて、噴孔71の出口における燃料の流量、噴孔71から噴射される燃料の液膜の厚さ、ならびに燃料の流速を推算する。初期平均粒径算出部22では、燃料流通特性算出部21で算出された液膜の厚さおよび燃料の流速を用いて、噴孔71から噴射される燃料の初期平均粒径を推算する。粒度分布作成部23では、燃料流通特性算出部21で算出された燃料の流量、ならびに初期平均粒径算出部22で算出された初期平均粒径を用いて、噴孔71から噴射される燃料の粒度分布関数を作成する。処理部20は、CPU25を有しており、上記の処理はHDD11に記録されている燃料噴射シミュレーションプログラムに基づいてCPU25により処理が実行される。
ディスプレイ4は、例えばCRTなどであり、処理部20で処理された燃料噴射シミュレーションの結果である噴霧特性データにから作成される画像を表示する。
【0016】
次に、燃料噴射シミュレーションの対象であるインジェクタ7について説明する。
インジェクタ7は、エンジンのシリンダ内へ直接燃料を噴射する。インジェクタ7のシリンダ側の端部はノズル部70であり、ノズル部70には燃料を噴射する噴孔71が形成されている。噴孔71は、図2に示すようスリット状に形成されている。すなわち、ファンタイプといわれる噴孔71の形状である。この噴孔71は、図3に示すようにインジェクタ7の軸に対して一定角度傾斜して形成されている。なお、本実施例は噴孔71がインジェクタ7の軸線上に形成されている場合にも適用可能である。噴孔71を図2および図3に示すようスリット状に形成することにより、ノズル部70に形成されている噴孔71から燃料がシリンダ内へ液膜状に噴射される。
【0017】
ノズル部70はノズルボディ72とノズルニードル73とから構成されている。ノズルボディ72の内周部には弁座部721が配設され、この弁座部721にノズルニードル73の当接部731が着座可能である。ノズルボディ72の弁座部721と噴孔71との間には袋状の燃料噴射室74が形成されている。燃料は、燃料噴射室74を経由して噴孔71へ供給される。
【0018】
当接部731が弁座部721に着座すると、噴孔71の入口側が閉塞され、噴孔71から燃料は噴射されない。当接部731が弁座部721から離座すると、ノズルボディ72の内周部とノズルニードル73の外周部との間、ならびに燃料噴射室74を経由して噴孔71から燃料が噴射される。
【0019】
図2に示すようなインジェクタ7の場合、ノズル部70の設計データとして図4に示すように噴孔71に接続される燃料噴射室74の幅W、噴孔71の加工角α、および噴孔71の軸とインジェクタ7の軸との偏心量M、ならびに図5に示すように噴孔71の傾斜角β、噴孔71の厚さt、ならびに噴孔71の位置すなわちオフセット距離Sなどである。設計データは、上記のノズル部70および噴孔71の形状、ならびにノズルニードル73の外周部の形状などから、燃料が流通する部分の形状を3次元の座標データとして作成する。作成された設計データは、HDD11に記録される。処理部20は、HDD11に記録されているノズル部70の形状を座標化した3次元座標データを随時読み出し、シミュレーションを実施する。
【0020】
次に、燃料噴射シミュレーションの手順を図6に基づいて説明する。
(データの準備)
燃料噴射シミュレーションを実施する場合、シミュレーションの基礎となる各種データが入力される(S100)。入力されるデータは、上述のようなノズル部70の設計データならびに噴孔71に供給される燃料の圧力などのデータである。設計データは、上述のように3次元の座標データとしてHDD11に保管されている。
【0021】
(燃料流通特性の算出)
処理部20のCPU25は、HDD11に記録されている設計データの読み出しを命令し、読み出された設計データは燃料流通特性算出部21に送られる。燃料流通特性算出部21では、ノズル部70の設計データに基づいて噴孔71の出口における燃料の流量、ならびに噴孔71から噴射される燃料噴霧の液膜の厚さおよび流速を推算する(S200)。
【0022】
燃料噴霧の液膜の厚さおよび流速は、VOF(Volume Of Fluid)法による気液2相流CFDにより推算される。噴孔71はインジェクタ7の軸に対し傾斜して形成されているため、慣性の法則により燃料は一方の壁面に沿って噴孔71の内部を流動する。したがって、噴孔71の内部では気液2相流を形成しており、気液2相流3次元CFDを利用することにより燃料噴霧の液膜の厚さおよび流速が高精度に推算される。液膜の厚さおよび流速は以下の手順で推算される。
【0023】
図7に示すように、燃料はノズル部70に形成されているスリット状の噴孔71から概略扇形柱形状の液膜80として噴射される。このとき、図7に示すように燃料噴霧の液膜80を周方向へ複数の区間へ分割し、このある一つの区間の噴射角をθ[deg]とする。この噴射角θは、次の式(A)のように示すことができる。なお、この噴射角θはインジェクタ7の軸の延長線方向すなわち鉛直方向を0としている。
θ=θ’+Δθ (A)
このとき、ある一つの区間内に設定したセルについて円筒座標系での噴射角をθi[deg]、当該セルにおいて液体が占める割合をFi[−]、当該セルの検査面での断面積をSi[m2]とすると、θ’およびΔθはそれぞれ次の式(B)および(C)により算出される。
【0024】
【数1】
Figure 0004174814
【0025】
【数2】
Figure 0004174814
【0026】
ここで、Δθiは次の式(D)により算出される。なお、式(D)においてsui[m/s]は上述したセルにおいて円筒座標系でのR方向の流速であり、svi[m/s]は上述したセルにおいて円筒座標系でのθ方向の流速である。
【0027】
【数3】
Figure 0004174814
【0028】
このとき、燃料の流量Qは次の式(E)により算出される。
【0029】
【数4】
Figure 0004174814
【0030】
また、燃料の流速uθは次の式(F)、ならびに液膜の厚さhは式(G)により算出される。なお、式(G)におけるt[m]は図5に示すように噴孔71のスリットの厚さである。
【0031】
【数5】
Figure 0004174814
【0032】
【数6】
Figure 0004174814
【0033】
上記の式(F)および(G)を用いて、噴孔71から噴射される燃料噴霧の流速uθおよび液膜の厚さhが算出される。上記の演算を噴射角度θのすべての領域について実施する。
【0034】
(初期平均粒径の算出)
燃料流通特性算出部21で燃料噴霧の流速uθおよび液膜の厚さhが算出されると、算出された流速uθおよび液膜の厚さhのデータは初期平均粒径算出部22へ送られる。初期平均粒径算出部22では、算出された流速uθおよび液膜の厚さhを用いて噴孔71から噴射される燃料噴霧の第1次分裂による初期平均粒径が推算される(S300)。
【0035】
初期平均粒径の推算は、Fraserの液膜分裂理論を用いて燃料噴霧の体積平均粒径D30を算出することにより実施する。体積平均粒径D30は、次の式(H)の関係を有している。
【0036】
【数7】
Figure 0004174814
【0037】
Fraserの液膜分裂理論の式を用いると、体積平均粒径D30は次の式(I)により算出することができる。ここで、E[−]は定数、r[m]は検査面の位置すなわち円筒座標系のR、σ[N/m]は表面張力、ρL[kg/m3]は液体すなわち燃料の密度、ならびにρa[kg/m3]は気体すなわち空気の密度である。
【0038】
【数8】
Figure 0004174814
【0039】
すなわち、体積平均粒径D30は、流速uθおよび液膜の厚さhの関数である。
【0040】
(粒度分布関数の作成)
体積平均粒径D30が算出されると、算出された体積平均粒径D30は粒度分布作成部23へ送られる。粒度分布作成部23では、初期平均粒径算出部22で算出された体積平均粒径D30を用いて粒度分布関数が作成される(S400)。
粒度分布関数としては、例えば次の式(J)に示すような抜山・棚沢の粒度分布関数φが用いられる。
【0041】
【数9】
Figure 0004174814
【0042】
この式において、a、b、pおよびqは定数である。これらの定数a、b、pおよびqは、上述の燃料流通特性算出部21で算出された燃料の流量Q、ならびに初期平均粒径算出部22で算出された体積平均粒径D30を用いて決定される。
【0043】
(噴霧特性シミュレーション)
粒度分布作成部23により粒度分布関数φが作成されると、作成された粒度分布関数φ、燃料噴霧特性算出部21で推算された燃料の流速uθ液膜の厚さhおよび燃料の流量Q、ならびに粒度分布作成部23で作成された粒度分布関数φは噴霧特性シミュレーション部24へ送られる。噴霧特性シミュレーション部24では、既存の噴霧特性シミュレーションモデルを用いて燃料噴霧の噴霧特性シミュレーションを実行する(S500)。噴霧特性シミュレーションの結果は、シミュレーションデータとしてRAM12に一時的に保管、またはHDD11に記録される。
【0044】
(シミュレーション結果の表示)
噴霧特性シミュレーション部24により作成され、RAM12またはHDD11に保管されたシミュレーションデータは、例えば画像信号に変換されディスプレイ4に出力される。ディスプレイ4では、シミュレーションデータが視覚的に認識可能な画像として表示される(S600)。
【0045】
以上説明したように、本発明の一実施例による燃料噴射シミュレーション装置1によると、噴孔71の出口近傍における燃料噴霧の噴霧特性を高精度に算出することができる。また、燃料噴霧の液膜の厚さおよび流速を気液2相流3次元CFDを用いて推算することにより、実測値ならびに経験値を用いることなく噴霧特性のシミュレーションを実施することができる。
【0046】
また、ノズル部70の形状を3次元座標データとして入力することにより、ノズル部70の形状を微細に変化させた形状の異なるノズル部の場合でも、実測値ならびに経験値を用いることなく容易かつ高精度に噴霧特性のシミュレーションを実施することができる。
【0047】
なお、上述のようにスリット状の噴孔が形成されているインジェクタに限らず、図8に示すように燃料噴霧が旋回流となるインジェクタ90も本実施例による燃料噴射シミュレーションの対象として適用可能である。図8に示すようなインジェクタ90の場合、ノズルボディ91の内部に旋回流を形成するための図示しないスワーラを備えている。スワーラを備えることにより、図8に示すように噴孔92からは燃料噴霧が旋回しながら螺旋状の液膜として噴射される。そのため、気液2相流3次元CFDを適用でき、噴孔92から噴射された燃料の液膜厚さおよび流速を求めることができる。
また、燃料は旋回しながら噴孔92を流動するため、噴孔92の内部では気液2相状態となっている。そのため、気液2相流モデルを適用することにより、高精度な噴霧特性シミュレーションを実施することができる。
【0048】
以上説明した本発明の一実施例では、燃料流通特性の算出にVOF法を用いた。しかし、VOF法に限らず燃料の表面張力、ならびに気体である空気の物性を考慮可能な算出方法であればVOF法に限るものではない。また、初期平均粒径の算出にはFraserの液膜分裂理論を用い、粒度分布関数には抜山・棚沢の式を用いた。しかし、液膜が分裂した後の平均粒径を算出可能な式であればFraserの式に限るものではなく、粒度分布関数も抜山・棚沢の式に限らずRosin-Rammlersの式などを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による燃料噴霧シミュレーション装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による燃料噴射シミュレーション装置に適用されるインジェクタを示す断面図であって、ノズル部を拡大した図である。
【図3】図2のIII−III線で切断した断面図である。
【図4】図2に示すインジェクタの形状を説明するための断面図である。
【図5】図3に示すインジェクタの形状を説明するための断面図である。
【図6】本発明の一実施例による燃料噴射シミュレーション装置による燃料噴射シミュレーションの手順を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施例による燃料噴射シミュレーション装置に適用されるインジェクタから噴射される燃料噴霧を示す模式図であって、スリット形状の噴孔から噴射される燃料噴霧を示す図である。
【図8】本発明の一実施例による燃料噴射シミュレーション装置に適用されるインジェクタから噴射される燃料噴霧を示す模式図であって、スワーラを備えるインジェクタから噴射される燃料噴霧を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射シミュレーション装置
4 ディスプレイ(出力手段)
21 燃料流通特性算出部
22 初期平均粒径算出部
23 粒度分布作成部
24 噴霧特性シミュレーション部

Claims (11)

  1. 燃料噴射装置のノズル部に形成されている噴孔から液膜状に噴射される燃料の噴霧特性を算出するシミュレーション装置であって、
    前記ノズル部の形状を数値化した設計データに基づいて、前記噴孔の出口における燃料の流量、ならびに気液2相流CFDによる液膜の厚さおよび流速を推算する燃料流通特性算出手段と、
    前記燃料流通特性算出手段で算出された前記液膜の厚さおよび前記流速を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の初期平均粒径を推算する初期平均粒径算出手段と、
    前記燃料流通特性算出手段で算出された前記燃料の流量、ならびに前記初期平均粒径算出手段で算出された前記初期平均粒径を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の粒度分布関数を作成する粒度分布作成手段と、
    前記粒度分布作成手段で作成された前記粒度分布関数を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の噴霧特性データを算出する噴霧特性シミュレーション手段と、
    を備えることを特徴とする燃料噴霧シミュレーション装置。
  2. 前記噴霧特性データから作成された画像を表示可能な出力手段を備えることを特徴とする請求項1記載の燃料噴霧シミュレーション装置。
  3. 前記設計データは、前記ノズル部の3次元座標データを有していることを特徴とする請求項1または2記載の燃料噴霧シミュレーション装置。
  4. 前記ノズル部には、スリット状の噴孔が形成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料噴霧シミュレーション装置。
  5. 前記ノズル部には、旋回流形成手段が配設されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料噴霧シミュレーション装置。
  6. 燃料噴射装置のノズル部に形成されている噴孔から液膜状に噴射される燃料の噴霧特性を算出するシミュレーション方法であって、
    前記ノズル部の形状を数値化した設計データの入力を受け付ける入力段階と、前記入力段階で入力された前記設計データに基づいて、前記噴孔の出口における燃料の流量、ならびに気液2相流CFDにより液膜の厚さおよび流速を推算する燃料流通特性算出段階と、
    前記燃料流通特性算出段階で算出された前記流量、前記液膜の厚さおよび前記流速を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の初期平均粒径を推算する初期平均粒径算出段階と、
    前記燃料流通特性算出手段で算出された前記流量および前記流速、ならびに前記初期平均粒径算出段階で算出された前記初期平均粒径を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の粒度分布関数を作成する粒度分布作成段階と、
    前記粒度分布作成段階で作成された前記粒度分布関数を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の噴霧特性データを算出する噴霧特性シミュレーション段階と、
    を含むことを特徴とする燃料噴霧シミュレーション方法。
  7. 前記設計データは、前記ノズル部の3次元座標データを有していることを特徴とする請求項6記載の燃料噴霧シミュレーション方法。
  8. 前記ノズル部には、スリット状の噴孔が形成されていることを特徴とする請求項6または7記載の燃料噴霧シミュレーション方法。
  9. 前記ノズル部には、旋回流形成手段が配設されていることを特徴とする請求項6または7記載の燃料噴霧シミュレーション方法。
  10. 燃料噴射装置のノズル部に形成されている噴孔から液膜状に噴射される燃料の噴霧特性の算出を、コンピュータに実行させる燃料噴霧シミュレーションプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    前記ノズル部の形状を数値化した3次元座標データの入力を受け付ける入力手順と、
    前記入力手順で入力された前記3次元座標データに基づいて、前記噴孔の出口における燃料の流量、ならびに気液2相流CFDにより液膜の厚さおよび流速を推算する燃料流通特性算出手順と、
    前記燃料流通特性算出手順で算出された前記流量、前記液膜の厚さおよび前記流速を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の初期平均粒径を推算する初期平均粒径算出手順と、
    前記燃料流通特性算出手順で算出された前記流量および前記流速、ならびに前記初期平均粒径算出段階で算出された前記初期平均粒径を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の粒度分布関数を作成する粒度分布作成手順と、
    前記粒度分布作成手順で作成された前記粒度分布関数を用いて、前記噴孔から噴射される燃料の噴霧特性データを算出する噴霧特性シミュレーション手順と、前記噴霧特性シミュレーション手順で算出された前記噴霧特性データを画像として出力する出力手順と、
    をコンピュータに実行させる燃料噴霧シミュレーションプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  11. 前記設計データは、前記ノズル部の3次元座標データを有していることを特徴とする請求項10記載の燃料噴霧シミュレーションプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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