そこで、このような製造方法の問題点を解消する方法として、たとえば特開昭59−75205号公報では、インクジェット法を応用した方法が提案されている。この方法では、透明基板上に、インクに対して濡れ性の低い材料で着色層の形成領域を区画するように仕切りをマトリクス状に形成した後、インクジェット法を用いて非感光性色材を仕切り内に塗布することにより、着色層を形成する。この製造方法では、フォトリソグラフィー工程の煩雑さが緩和され、さらに色材のロスの低減を図ることができる。以来、インクジェット法等の液滴材料吐出法による非感光性色材の塗布プロセスによるカラーフィルタの製造方法が多数提案されている。
本発明の他の目的は、液滴材料を吐出させることにより、所定領域に色材を精度良く付与するために用いるカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法を提供することにある。
1.カラーフィルタおよび液滴材料着弾精度の測定方法
(A)本発明は、カラーフィルタにおいて、
遮光領域および前記遮光領域によって区画される透過領域を有する画素領域と、
前記画素領域以外に位置する着弾精度試験用領域と、
前記遮光領域に設けられる第1の遮光層と、
前記透過領域に設けられる色要素と、
前記着弾精度試験用領域に設けられる第2の遮光層と、
少なくとも前記第2の遮光層を覆うように前記着弾精度試験用領域に設けられる着弾精度試験用層と、
を備え、
前記着弾精度試験用領域には、前記第2の遮光層によって区画される評価領域が設けられていることを特徴とするカラーフィルタである。
本発明のカラーフィルタにおいて、画素領域とは、カラーフィルタに用いられる画素を含む領域をいう。また、着弾精度試験用領域とは、カラーフィルタにおいて、画素が形成されていないか、あるいはカラーフィルタの画素として用いられていない画素を含む領域をいう。また、評価領域とは、液滴材料の着弾精度試験において、液滴材料の着弾精度の評価対象となる領域をいう。
本発明のカラーフィルタによれば、前記着弾精度試験用領域に、前記評価領域が設けられていることにより、前記着弾精度試験用層上で液滴材料の着弾精度試験を行なうことができるため、画素領域において液滴材料を所定領域に精度良く付与することができる。このため、本発明のカラーフィルタは、前記遮光領域において十分な遮光性を有し、かつ前記透過領域において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いことを特徴とする。詳しくは、後述する本発明の実施の形態の欄で述べる。
(B)本発明は、カラーフィルタにおいて、
遮光領域、および前記遮光領域に囲まれた透過領域を有する画素領域と、
液滴材料を吐出することによって前記透過領域に形成された色要素と、
前記画素領域に隣り合って配置され、且つ遮光領域を有する周辺領域と、
前記周辺領域に含まれ、且つ前記周辺領域の遮光領域に囲まれることによって前記透過領域の形状に対応した形状を有する評価領域と、
を備えることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタによれば、前記評価領域が設けられていることにより、該領域上で液滴材料の着弾精度試験を行なうことができるため、前記画素領域において液滴材料を所定領域に精度良く付与することができる。このため、本発明のカラーフィルタは、前記遮光領域において十分な遮光性を有し、かつ前記透過領域において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いことを特徴とする。
(C)本発明は、カラーフィルタにおいて、
遮光領域、および前記遮光領域に囲まれた透過領域を有する画素領域と、
液滴材料を吐出することによって前記透過領域に形成された色要素と、
前記画素領域に隣り合って配置され、且つ遮光領域を有する周辺領域と、
前記周辺領域に含まれ、且つ前記周辺領域の遮光領域に囲まれた評価領域と、
前記評価領域に囲まれた領域を覆うように前記周辺領域に設けられ、且つ前記液滴材料をはじく性質を有する層と、
を備えることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタによれば、前記評価領域を覆うように前記周辺領域に設けられ、且つ前記液滴材料をはじく性質を有する層が設けられていることにより、該層上で液滴材料の着弾精度試験を行なうことができるため、前記画素領域において液滴材料を所定領域に精度良く付与することができる。このため、本発明のカラーフィルタは、前記遮光領域において十分な遮光性を有し、かつ前記透過領域において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いことを特徴とする。
(D)本発明は、カラーフィルタにおいて、
遮光領域、および前記遮光領域に囲まれた複数の透過領域を有する画素領域と、
液滴材料を吐出することによって前記透過領域に形成された色要素と、
前記画素領域に隣り合って配置され、且つ遮光領域を有する周辺領域と、
前記周辺領域に含まれ、且つ前記周辺領域の遮光領域に囲まれた評価領域と、を備え、
前記複数の透過領域および前記評価領域は、配列されていることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタによれば、前記複数の透過領域および前記評価領域が配列されていることにより、前記評価領域上で液滴材料の着弾精度試験を行なうことができるため、前記画素領域において液滴材料を所定領域に精度良く付与することができる。このため、本発明のカラーフィルタは、前記遮光領域において十分な遮光性を有し、かつ前記透過領域において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いことを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタを用いた液滴材料着弾精度の測定は、前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層上に液滴材料を着弾させて、凸状層を形成することにより行なわれる。この測定方法により、本発明のカラーフィルタにおいて、前記着弾精度試験用領域に設けられる前記着弾精度試験用層上に凸状層が形成される。
本発明のカラーフィルタにおいては、以下の(1)〜(3)の態様をとることができる。
(1)前記画素領域を構成する前記遮光領域はさらにバンク層を含み、前記バンク層を、前記画素領域に設けられる前記第1の遮光層上に設けることができる。
この構成によれば、前記画素領域に設けられる前記第1の遮光層上に前記バンク層を設けることにより、遮光機能と色要素の区画機能をそれぞれ独立して設定できるので、両者の機能を確実に発揮させることができる。その結果、本発明のカラーフィルタは、不十分な遮光性や混色に起因する画素欠陥が生じにくい。さらに、このように機能を分割することにより、前記画素領域に設けられる前記第1の遮光層および前記バンク層を構成するための最適な材料を広い範囲から選択でき、生産コストの点でも有利である。特に、前記第1の遮光層が金属層から構成される場合には、小さい膜厚で均一かつ十分な遮光性を得ることができる。
(2)前記着弾精度試験用領域に設けられる前記第2の遮光層は、前記画素領域に設けられる前記第1の遮光層と同じパターンを有することができる。この構成によれば、本発明のカラーフィルタの前記着弾精度試験用層に対して液滴材料着弾試験を行なう場合、前記画素領域において色要素が形成される領域に液滴材料を着弾する場合を想定して、液滴材料の着弾精度を評価することができる。
(3)前記着弾精度試験用領域において、バーニア層を設けることができる。この構成によれば、前記着弾精度試験用層に対する液滴材料着弾試験の際に、前記着弾精度試験用層上に形成される液滴材料層と前記バーニア層との相対位置によって、液滴材料の着弾位置のずれを明確に識別することができる。
この場合、前記バーニア層を、前記評価領域内の所定の位置に設けることができる。
また、この場合、前記バーニア層は、前記第2の遮光層と同じ材料で形成することができる。
2.カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板および液滴材料着弾精度の測定方法
本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板は、遮光層と、少なくとも該遮光層を覆うように形成された着弾精度試験用層とを含む着弾精度試験用領域を含み、
前記着弾精度試験用領域には、前記遮光層によって区画される評価領域が設けられている。
本発明によれば、カラーフィルタを製造する前に、本発明のカラーフィルタ用着弾精度試験基板に対して液滴材料着弾精度試験を行なうことにより、液滴材料の着弾精度を十分に確認し、着弾精度を高めてから、実際に製造するカラーフィルタの色要素の形成を行なうことができる。これにより、カラーフィルタの製造において、所定領域に精度良く液滴材料を付与することができるため、遮光領域において十分な遮光性を有し、かつ透過領域において混色がなく、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いカラーフィルタを製造することができる。
また、本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板を用いた液滴材料の着弾精度の測定は、前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層上に液滴材料を着弾させて、凸状層を形成することにより行なわれる。この測定方法により、本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板において、前記着弾精度試験用層上に凸状層が形成される。
さらに、本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板においては、バーニア層を設けることができる。
この場合、前記バーニア層を、前記評価領域内の所定の位置に設けることができる。
また、この場合、前記バーニア層を、前記遮光層と同じ材料で形成することができる。
上記構成によれば、上述した本発明のカラーフィルタの場合とほぼ同様の作用および効果を有する。
3.カラーフィルタの製造方法
本発明は、カラーフィルタの製造方法において、
(a)画素領域において、所定のマトリクスパターンを有する第1の遮光層を形成することにより、該第1の遮光層を含む遮光領域を設ける工程、
前記画素領域以外に位置する着弾精度試験用領域において、所定のマトリクスパターンを有する第2の遮光層を形成することにより、該第2の遮光層によって区画される評価領域を形成する工程、
(b)前記着弾精度試験用領域において、少なくとも前記第2の遮光層を覆うように着弾精度試験用層を形成する工程、および
(c)前記画素領域において、色要素形成領域に色要素を形成することにより、前記遮光領域によって区画される透過領域を形成する工程を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
本明細書において、色要素形成領域とは、前記画素領域において前記色要素が形成される領域であり、具体的には、前記画素領域において前記遮光領域によって区画された領域をいう。前記遮光領域は主に、前記第1の遮光層および必要に応じてバンク層(後述する)から構成される。
本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いカラーフィルタを簡易な工程で製造することができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、以下の(1)〜(6)の態様をとることができる。
(1)前記工程(b)は、前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層を形成するとともに、前記画素領域において、前記第1の遮光層上ににバンク層を形成する工程であることができる。この製造方法によれば、前記バンク層によって、例えば赤、緑および青の各色の色剤等の液滴材料を、混色のない状態で前記色要素形成領域に付与できるため、色調むらなどの欠陥のない高コントラストのカラーフィルタを得ることができる。
(2)さらに、(d)前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層上に液滴材料を着弾させて、凸状層を形成する工程を含むことができる。
この製造方法によれば、前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層上に凸状の液滴材料層を着弾させて液滴材料の着弾精度の評価を行なってから、前記画素領域において、前記色要素形成領域に液滴材料を着弾させて、実際に画素として用いる色要素を形成することができる。これにより、前記色要素を所定領域に精度良く付与することができるため、遮光領域において十分な遮光性を有し、かつ透過領域において混色がない、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いカラーフィルタを簡易な工程で製造することができる。
(3)前記工程(a)において、前記第1および第2の遮光層は、基板上に金属層を形成した後、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって該金属層をパターニングすることにより形成できる。この構成によれば、前記第1および第2の遮光層として金属層を用いることにより、小さい膜厚で十分かつ均一な遮光性が得られる。この金属層は、蒸着法、スパッタ法、化学蒸着法などの方法で形成できる。
(4)前記工程(a)は、前記着弾精度試験用領域において、前記第2の遮光層を形成するとともに、前記評価領域内の所定の位置にバーニア層を形成する工程であることができる。
(5)前記工程(b)は、前記画素領域において、前記第1の遮光層の上に感光性樹脂層を形成し、その後フォトリソグラフィーによってパターニングして前記バンク層を形成する工程であることができる。このバンク層は、遮光性を要求されないので、黒色である必要はなく、一般的に入手可能な感光性樹脂組成物の中から広く選択することができる。
(6)前記工程(c)は、前記色要素形成領域に液滴材料吐出ヘッドを用いて液滴材料を付与して前記色要素を形成する工程であることができる。この方法によれば、本発明のカラーフィルタを簡易かつ少ない工程で形成することができる。すなわち、前記色要素を、液滴材料吐出ヘッドを用いて液滴材料を付与して形成することにより、フォトリソグラフィーを用いたパターニングの工程を減らすことができ、工程を簡易化することができる。また、液滴材料吐出ヘッドを用いて色要素形成領域に液滴材料を付着させるので、必要な領域だけに液滴材料を与えることができる。このため、フォトリソグラフィーによるパターニングのように、不要部分を除去することによる色材のロスがなく、カラーフィルタのコストを低減することができる。本発明においては、前記液滴材料は、6〜30ピコリットルの微少液滴として付与することができる。このような微小液滴の滴数を制御することにより、たとえば40〜100μm角の微細な領域に、所望量の液滴材料を的確に付与することができる。
4.カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法
本発明は、カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法において、
(a)所定のマトリクスパターンを有する遮光層を形成することにより、該遮光層によって区画される評価領域を形成する工程、および
(b)少なくとも該遮光層を覆うように着弾精度試験用層を形成することにより、着弾精度試験用領域を形成する工程を備えることを特徴とするカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法である。
本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法によれば、前述の本発明のカラーフィルタの製造方法の場合とほぼ同様の作用および効果を有する。
本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法においては、以下の(1)〜(3)の態様をとることができる。
(1)さらに、(c)前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層上に液滴材料を着弾させて、凸状層を形成する工程を含むことができる。
(2)前記工程(a)において、前記遮光層は、基板上に金属層を形成した後、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって該金属層をパターニングすることにより形成できる。
(3)前記工程(a)は、前記遮光層を形成するとともに、前記評価領域内の所定の位置にバーニア層を形成する工程であることができる。
上記の(1)〜(3)に示した製造方法によれば、上述した本発明のカラーフィルタの製造方法とほぼ同様の作用および効果を有する。さらに、上記(1)に示した方法を、実際に製造するカラーフィルタの製造前に行なうことにより、本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板において、液滴材料の着弾精度を十分に確認し、着弾精度を高めてから、実際に製造するカラーフィルタの色要素の形成を行なうことができる。これにより、精度良く色要素に液滴材料を付与することができるため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いカラーフィルタを製造することができる。
5.発光用基板
(A)本発明は、発光用基板において、
バンク領域および前記バンク領域によって区画される発光領域を有する画素領域と、
前記画素領域以外に位置する着弾精度試験用領域と、
前記発光領域に設けられる機能層と、
前記着弾精度試験用領域に設けられる着弾精度試験用層と、
を備えることを特徴とする発光用基板である。
本発明の発光用基板において、画素領域とは、発光用基板に用いられる画素を含む領域をいう。また、発光用基板において、着弾精度試験用領域とは、画素が形成されていないか、あるいは発光用基板の画素として用いられていない画素を含む領域をいう。さらに、機能層とは、発光層と、必要に応じて正孔輸送/注入層とを含む層をいう。
本発明の発光用基板によれば、前記着弾精度試験用領域に設けられる着弾精度試験用層を備えることにより、前記着弾精度試験用層上で液滴材料の着弾精度試験を行なうことができるため、画素領域において液滴材料を所定領域に精度良く付与することができる。このため、本発明の発光用基板は、前記バンク領域において十分な遮光性を有し、かつ前記発光領域において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いことを特徴とする。詳しくは、後述する本発明の実施の形態の欄で述べる。
(B)本発明は、発光用基板において、
区画領域および前記区画領域に囲まれた発光領域を有する画素領域と、
液滴材料を吐出することによって前記発光領域に形成された機能層と、
前記画素領域に隣り合って配置された周辺領域と、
前記周辺領域に含まれ、且つ前記発光領域の形状に対応した形状を有する評価領域と、
前記評価領域を覆うように前記周辺領域に設けられ、且つ前記液滴材料をはじく性質を有する層と、
を備えることを特徴とする。
本発明の発光用基板において、評価領域とは、液滴材料の着弾精度試験が行なわれる領域をいう。
本発明の発光用基板によれば、前記評価領域を覆うように前記周辺領域に設けられ、且つ前記液滴材料をはじく性質を有する層が設けられていることにより、該層上で液滴材料の着弾精度試験を行なうことができるため、画素領域において液滴材料を所定領域に精度良く付与することができる。このため、本発明の発光用基板は、前記区画領域において十分な遮光性を有し、かつ前記発光領域において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いことを特徴とする。
(C)本発明は、発光用基板において、
区画領域および前記区画領域に囲まれた複数の発光領域を有する画素領域と、
液滴材料を吐出することによって前記発光領域に形成された機能層と、
前記画素領域に隣り合って配置され、且つ遮光領域を有する周辺領域と、
前記周辺領域に含まれ、且つ前記発光領域の形状に対応した形状を有する評価領域と、
を備え、
前記複数の発光領域および前記評価領域は、配列されていることを特徴とする。
本発明の発光用基板によれば、前記評価領域を備え、前記複数の発光領域および前記評価領域が配列されていることにより、該領域上で液滴材料の着弾精度試験を行なうことができるため、画素領域において液滴材料を所定領域に精度良く付与することができる。このため、本発明の発光用基板は、前記区画領域において十分な遮光性を有し、かつ前記発光領域において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いことを特徴とする。
また、本発明の発光用基板を用いた液滴材料の着弾精度の測定は、前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層上に液滴材料を着弾させて、凸状層を形成することにより行なわれる。この測定方法により、本発明の発光用基板において、前記着弾精度試験用領域に設けられる前記着弾精度試験用層上に凸状層が形成される。
本発明の発光用基板においては、以下の(1)〜(5)の態様をとることができる。
(1)前記機能層を、一対の電極層の間に形成することができる。
(2)前記バンク領域は、第1の絶縁層および樹脂層が順に積層されて構成できる。
この場合、前記着弾精度試験用領域は、第2の絶縁層を含み、
前記着弾精度試験用領域を構成する前記第2の絶縁層は、前記画素領域において前記バンク領域を構成する前記第1の絶縁層と同じ基体からの高さに形成され、かつ、同じパターンを有することができる。
(3)前記画素領域および前記着弾精度試験用領域はそれぞれ、スイッチング素子を含み、
前記着弾精度試験用領域に形成されるスイッチング素子と、前記画素領域に形成される前記スイッチング素子とは同じ構造を有することができる。
(4)前記着弾精度試験用領域において、バーニア層を設けることができる。
この場合、前記画素領域に形成されるスイッチング素子は、金属配線層を含み、
前記バーニア層は、前記金属配線層と同じ基体からの高さに形成することができる。
(5)前記着弾精度試験用領域に設けられる前記着弾精度試験用層上に、凸状層が形成されていることができる。
上記(1)〜(5)の態様によれば、前述した本発明のカラーフィルタとほぼ同様の作用および効果を有する。
6.発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板
本発明の発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板は、基板上に形成されたスイッチング素子、前記スイッチング素子に接続される電極層、所定のパターンを有するバンク絶縁層、および前記電極層上に形成された前記着弾精度試験用層を含む。
本発明の発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板によれば、前述した本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板とほぼ同様の作用および効果を有する。
また、本発明の発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板を用いた液滴材料の着弾精度の測定は、前記着弾精度試験用層上に液滴材料を着弾させて、凸状層を形成することにより行なわれる。この測定方法により、本発明の発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板において、前記着弾精度試験用層上に凸状層が形成される。
さらに、本発明の発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板においては、前記基板上にバーニア層を設けることができる。
この場合、前記バーニア層は、金属層から形成することができる。
上記構成によれば、上述した本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の場合とほぼ同様の作用および効果を有する。
7.発光用基板の製造方法
本発明は、発光用基板の製造方法において、
(a)画素領域において、所定のパターンを有するバンク領域を形成する工程、
(b)前記画素領域に以外に位置する着弾精度試験用領域において、着弾精度試験用層を形成する工程、および
(c)前記画素領域において、前記バンク領域によって区画される領域に機能層を形成することにより、前記バンク領域によって区画される発光領域を形成する工程を含むことを特徴とする発光用基板の製造方法である。
本発明の発光用基板の製造方法によれば、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高い発光用基板を簡易な工程で製造することができる。
本発明の発光用基板の製造方法においては、以下の(1)〜(6)の態様をとることができる。
(1)さらに、(d)前記画素領域において、前記機能層に電荷を付加する一対の電極層を形成する工程を含むことができる。
(2)前記工程(a)において、前記バンク領域は、第1の絶縁層上に樹脂層を積層することにより形成できる。
この場合、前記工程(a)は、前記画素領域において、第1の絶縁層を形成するとともに、前記着弾精度試験用領域において、第2の絶縁層を形成する工程を含み、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層とを同じ基体からの高さに形成し、かつ、同じパターンに形成することができる。
また、この場合、前記工程(a)において、前記樹脂層は、前記画素領域において感光性樹脂層を形成し、その後フォトリソグラフィーによってパターニングすることにより形成できる。
さらに、この場合、前記工程(a)において、前記樹脂層を形成する工程と、前記工程(b)において、前記着弾精度試験用層を形成する工程とを同一工程にて行なうことができる。
(3)さらに、(e)前記画素領域および前記着弾精度試験用領域において、同じ構造を有するスイッチング素子をそれぞれ形成する工程を含むことができる。
(4)さらに、(f)前記着弾精度試験用領域において、前記着弾精度試験用層上に液滴材料を含む液滴を着弾させて、凸状層を形成する工程を含むことができる。
(5)前記工程(a)は、前記着弾精度試験用領域において、前記基板上にバーニア層を形成する工程を含むことができる。
この場合、前記工程(e)において、前記画素領域に設けられる前記スイッチング素子は、金属配線層を含み、
前記バーニア層を、前記金属配線層と同じ基体からの高さに形成することができる。
(6)前記工程(c)は、前記バンク領域によって区画される領域に、液滴材料吐出ヘッドを用いて液滴材料を付与して前記機能層を形成する工程であることができる。
前記(1)〜(6)の態様によれば、前述した本発明のカラーフィルタの製造方法と場合とほぼ同様の作用および効果を有する。
8.発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法
本発明は、発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法において、
(a)スイッチング素子、電極層、および所定のパターンを有するバンク絶縁層を基板上に形成する工程、および
(b)前記電極層上に、着弾精度試験用層を形成する工程を含むことを特徴とする発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法である。
本発明の発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法によれば、前述の本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法の場合とほぼ同様の作用および効果を有する。
本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法においては、以下の(1)〜(4)の態様をとることができる。
(1)前記工程(b)は、前記着弾精度試験用層を、前記電極層および前記バンク絶縁層上に形成する工程であることができる。
(2)さらに、(c)前記着弾精度試験用層上に液滴材料を含む液滴を着弾させて、凸状層を形成する工程を含むことができる。
(3)前記工程(b)は、感光性樹脂層を形成し、その後フォトリソグラフィーによってパターニングすることにより前記着弾精度試験用層を形成する工程であることができる。
(4)前記工程(a)は、前記基板上にバーニア層を形成する工程を含むことができる。
上記の(1)〜(4)に示した製造方法によれば、上述した本発明のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法とほぼ同様の作用および効果を有する。
9.電気光学装置ならびに電子機器
(1)本発明に係る電気光学装置は、上述した本発明のカラーフィルタと、
該カラーフィルタと所定間隔を置いて配置される対向基板と、
前記カラーフィルタと前記対向基板との間に配置される電気光学材料層と、を含む。
この場合、前記電気光学材料層として、液晶材料層を用いれば、色調むらなどの画素欠陥がなく高いコントラストの表示ができる液晶表示装置を構成できる。
(2)本発明に係る電気光学装置は、上述した本発明の発光用基板を含み、
前記発光用基板を構成する前記機能層は、エレクトロルミネッセンスによって発光可能である。
(3)本発明に係る電子機器は、前記(1)または(2)に示した本発明の電気光学装置を含むことができる。
本発明に係る電気光学装置および電子機器によれば、上述した本発明のカラーフィルタまたは発光用基板の作用効果を反映して、コストの低減を図り、色調むらなどの画素欠陥がなく高いコントラストの表示ができる。
10.成膜方法
(1)本発明は、成膜方法において、
膜形成領域以外に位置する着弾精度試験用領域において、着弾精度確認用パターンを形成する工程と、
前記着弾精度試験用領域において、少なくとも前記着弾精度確認用パターンを覆うように着弾精度試験用層を形成する工程と、
前記着弾精度試験用層上の前記着弾精度確認用パターン位置に対応する位置に、液滴材料を吐出することによって凸状層を形成する工程と、
前記着弾精度確認用パターンおよび前記凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価する工程と、
を備えることを特徴とする。
本発明の成膜方法によれば、前記着弾精度確認用パターンおよび前記凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価する工程を備えることにより、前記液滴材料の着弾精度を正確に評価することができる。これにより、精度が良い成膜が可能となる。
(2)また、本発明は、成膜方法において、
膜形成領域以外に位置する着弾精度試験用領域において、着弾精度確認用パターンを形成する工程と、
前記着弾精度試験用領域において、少なくとも前記着弾精度確認用パターンを覆うように着弾精度試験用層を形成する工程と、
前記着弾精度試験用層上の前記着弾精度確認用パターン位置に対応する位置に、液滴材料を吐出することによって複数の凸状層を形成する工程と、
前記複数の凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価する工程と、
を備えることを特徴とする。
本発明の成膜方法によれば、前記複数の凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価する工程を備えることにより、前記液滴材料の着弾精度を正確に評価することができる。これにより、精度が良い成膜が可能となる。
また、前記(1)または(2)の成膜方法において、前記着弾精度試験用層は前記液滴材料をはじく性質を有することができる。
11.成膜装置
(1)本発明は、成膜装置において、
液滴材料を吐出するためのノズルを備え、
膜形成領域以外に位置する着弾精度試験用領域において、着弾精度確認用パターンを形成し、
前記着弾精度試験用領域において、少なくとも前記着弾精度確認用パターンを覆うように着弾精度試験用層を形成し、
少なくとも前記着弾精度確認用パターンを覆うように形成された前記着弾精度試験用層上の前記着弾精度確認用パターン位置に対応する位置に、前記ノズルから液滴材料を吐出することによって凸状層を形成し、
前記着弾精度確認用パターンおよび前記凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価することを特徴とする。
本発明の成膜装置によれば、前記着弾精度確認用パターンおよび前記凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価することにより、前記液滴材料の着弾精度を正確に評価することができる。これにより、精度が良い成膜が可能となる。
(2)また、本発明は、成膜装置において、
液滴材料を吐出するためのノズルを備え、
膜形成領域以外に位置する着弾精度試験用領域において、着弾精度確認用パターンを形成し、
前記着弾精度試験用領域において、少なくとも前記着弾精度確認用パターンを覆うように着弾精度試験用層を形成し、
少なくとも前記着弾精度確認用パターンを覆うように形成された前記着弾精度試験用層上の前記着弾精度確認用パターン位置に対応する位置に、前記ノズルから液滴材料を吐出することによって複数の凸状層を形成し、
前記複数の凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価することを特徴とする。
本発明の成膜装置によれば、前記複数の凸状層の相対位置に基づいて着弾精度を評価することにより、前記液滴材料の着弾精度を正確に評価することができる。これにより、精度が良い成膜が可能となる。
また、前記(1)または(2)の成膜装置において、前記着弾精度試験用層は前記液滴材料をはじく性質を有することができる。
次に、本発明の実施の形態に係るカラーフィルタおよびその製造方法、前記カラーフィルタを用いた液滴材料着弾精度の測定方法、電気光学装置および電子機器について、図面を参照しながら説明する。
[第1の実施の形態]
(カラーフィルタ)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるカラーフィルタを模式的に示す部分平面図であり、図2は、図1のA−A線に沿った部分を模式的に示す部分断面図である。
本実施の形態に係るカラーフィルタ1000は、透明な基板10と、基板10上にそれぞれ形成された画素領域100および周辺領域を含む。ここで、周辺領域とは、画素領域100に隣り合って配置され、かつ遮光領域を含む領域をいう。この周辺領域は着弾精度試験用領域200を含む。すなわち、着弾精度試験用領域200は画素領域100以外に位置する。なお、本実施の形態においては、着弾精度試験用領域200が画素領域100の外周縁に形成されている例を示したが、着弾精度試験用領域200の形成位置はこの場所に限定されるわけでない。
(1)画素領域
画素領域100は、図1および図2に示すように、遮光領域20と、遮光領域20によって区画される透過領域30とを含む。遮光領域20は光(可視光)が実質的に透過しない領域であり、透過領域30は光が透過可能な領域である。画素領域100においては、図1に示すように、遮光領域20と透過領域30とが所定のマトリクスパターンで配列している。
遮光領域20は、第1の遮光層22と、この第1の遮光層22上に形成されたバンク層24とを有する。そして、透過領域30には、色要素32が設けられている。色要素32は例えば基板10上に形成されている。
まず、遮光領域20について説明する。
遮光領域20を構成する第1の遮光層22は、基板10上に所定のマトリクスパターンで形成されている。そして、第1の遮光層22は、十分な遮光性を有し、ブラックマトリクスとして機能すればよく、その材質等は特に限定されず、金属,樹脂などを用いることができる。第1の遮光層22の材質としては、小さい膜厚で十分かつ均一な遮光性が得られる点で、金属を用いることが望ましい。第1の遮光層22として用いられる金属は特に限定されず、成膜ならびにフォトエッチングを含む全工程の効率を配慮して選択することができる。このような金属としては、たとえばクロム,ニッケル,アルミニウムなどの電子デバイス加工プロセスで用いられているものを好ましく用いることができる。第1の遮光層22を金属で構成する場合には、その膜厚が0.1μm以上であれば十分な遮光性が得られ、さらに金属層の密着性ならびに脆性などを考慮すれば、その膜厚が0.5μm以下であることが好ましい。
バンク層24は、第1の遮光層22上に形成され、所定のマトリクスパターンを有する。このバンク層24は、色要素が形成される領域を区画し、隣接する色要素の色が混じり合うこと(混色)を防止する。したがって、バンク層24の膜厚は、色要素を形成する際に注入される色材としての液滴材料がオーバーフローしないように、この液滴材料層の高さ等の関係で設定される。バンク層24は、このような観点から、たとえば膜厚1〜5μmの範囲で形成されることが好ましい。
バンク層24は、フォトリソグラフィーが可能な樹脂層によって構成される。このような感光性樹脂は、必ずしも水に対する接触角が大きい撥水性の優れたもの、あるいは遮光性を有するものである必要がなく、幅広い範囲で選択することができる。バンク層24を構成する樹脂としては、たとえば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ノボラック系樹脂、カルド系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルアルコールなどを含む感光性樹脂組成物を用いることができる。
次に、透過領域30について説明する。透過領域30は、遮光領域20によって区画された領域である。この透過領域30には色要素32が設けられている。
色要素32は、光の三原色を構成する赤,緑および青の各色を有する複数の色要素32r,32g,32bからなる。これらの色要素32は、所定の配列、たとえばストライプ配列,デルタ配列またはモザイク配列などの配列パターンによって配置され、連続した3色の色要素によって1画素が構成される。この色要素32は、例えば顔料または染料を含む着色層からなる。
(2)着弾精度試験用領域
着弾精度試験用領域200は前記周辺領域に含まれる。この着弾精度試験用領域200は、前記周辺領域に含まれ、且つ前記周辺領域の遮光領域(ここでは第2の遮光層122)に囲まれることによって透過領域30の形状に対応した形状を有する領域を含む。前記周辺領域の遮光領域に囲まれた領域は配列されている。具体的には、着弾精度試験用領域200は、図2に示すように、第2の遮光層122(遮光領域)および着弾精度試験用層26を含む。
着弾精度試験用領域200を構成する第2の遮光層122は、基板10上に所定のマトリクスパターンで形成されている。第2の遮光層122は、画素領域100を構成する第1の遮光層22と同じパターンを有することができる。本実施の形態においては、第2の遮光層122は第1の遮光層22と同じパターンを有し、かつ同じ工程で形成される。すなわち、第2の遮光層122は、第1の遮光層22と同様に十分な遮光性を有し、ブラックマトリクスとして機能すればよく、その材質等は特に限定されず、金属,樹脂などを用いることができる。
着弾精度試験用層26は、前記周辺領域の遮光領域(第2の遮光層122)に囲まれた領域を覆うように前記周辺領域に設けられ、かつ液滴材料をはじく性質を有する。この着弾精度試験用層26は、着弾精度試験用領域200において、少なくとも第2の遮光層122を覆うように設けられている。本実施の形態のカラーフィルタ1000においては、着弾精度試験用層26は、基板10上に第2の遮光層122を覆うように形成されている。
着弾精度試験用層26は、その表面に液滴材料を着弾させて、液滴材料の着弾精度を測定するために用いられる。着弾精度試験用領域200には、第2の遮光層122によって区画される領域(評価領域)が設けられている。本実施の形態においては、第1の遮光層22によって区画される領域と、第2の遮光層122によって区画される領域(評価領域)とは同じパターンを有する。
また、液滴材料の着弾制度を確実に測定するためには、着弾精度試験用層26の表面は、液滴材料に対して撥水性を有することが必要とされる。ここで、液滴材料に対する撥水性を有するとは、液滴材料に対して濡れ性が低いことをいう。着弾精度試験用層26の表面に液滴材料に対する撥水性をもたせるには、着弾精度試験用層26自体が液滴材料に対して撥水性を有する材料で形成されているか、あるいは、着弾精度試験用層26の表面に、液滴材料に対して撥水性を付与するための表面処理、例えばプラズマ処理による表面フッ素化等を施すことができる。本実施の形態においては、着弾精度試験用層26は、画素領域10を形成するバンク層24と同じ材料から形成することができる。
なお、着弾精度試験用層26は、必ずしも着弾精度試験用領域200の全領域にわたって形成される必要はなく、着弾精度試験用領域200のうち、少なくとも液滴材料の着弾試験を行なうための領域、すなわち液滴材料を着弾させる領域に形成されていればよい。
(カラーフィルタの製造方法)
次に、図3〜図5を参照しながら、本実施の形態のカラーフィルタの製造方法について説明する。図3および図4は、各工程において図1のB−B線に対応する部分の層構造を模式的に示す断面図である。図5は、図3および図4に示す工程により得られたカラーフィルタを模式的に示す部分平面図であり、図1のA−A線の近傍を拡大した図である。
(1)遮光層の形成
まず、図3(A)に示すように、画素領域100および着弾精度試験用領域200において、透明な基板10上に、ドライメッキ法、たとえばスパッタ法、蒸着法、化学蒸着法で金属層220を、膜厚0.1〜0.5μmで堆積させる。金属層220の材料としては、前述したように、クロム,ニッケル,アルミニウムなどの各種の金属を用いることができる。ついで、金属層220の表面に所定のパターンを有するレジスト層R1をフォトリソグラフィーによって形成する。ここで、画素領域100および着弾精度試験用領域200で同じパターンを有するマスクを使用してフォトリソグラフィ工程を行なう。その後、このレジスト層R1をマスクとしてエッチングを行い、金属層220のパターニングを行う。このようにして、図3(B)に示すように、画素領域100および着弾精度試験用領域200において、基板10上に所定のマトリクスパターンを有する第1および第2の遮光層22,122がそれぞれ形成される。ここで、第1および第2の遮光層22,122は同じパターンを有する。
(2)バンク層の形成
ついで、図3(C)に示すように、画素領域100および着弾精度試験用領域200において、第1および第2の遮光層22,122が形成された基板10の上に、樹脂層240を形成する。この樹脂層は、ネガ型あるいはポジ型のレジストによって形成できる。樹脂層240は、たとえばウレタン系あるいはアクリル系などの光硬化型(ネガ型)の感光性樹脂からなる。そして、フォトマスクM1を用いて露光を行い、さらに現像を行うことにより、樹脂層240をパターニングする。これによって、図3(D)に示すように、画素領域100にバンク層24が形成されて、遮光領域20が形成されるとともに、着弾精度試験用領域200に着弾精度試験用層26が形成される。バンク層24および着弾精度試験用層26の構成については、既に述べたのでその記載を省略する。この工程で、画素領域100において、遮光領域20によって区画された色要素形成領域330が所定のマトリクスパターンで形成される。
ついで、必要に応じて、後に行なう色要素の形成工程の前に、基板10の露出面の表面処理を行う。このような表面処理としては、紫外線の照射,プラズマ照射,レーザ照射などの方法を用いることができる。このような表面処理を行うことにより、基板10の露出面10aに付着した汚染物質などが除去され、この表面10aの水に対する接触角を小さくして液滴材料の濡れ性を向上させることができる。より具体的には、基板10の露出面10aとバンク層24の表面との水に対する接触角の差が15゜以上になることが望ましい。このように、基板10の露出面10aとバンク層24の表面の水に対する接触角を制御することにより、色要素形成領域330の露出面10aに密着性が良好な状態で液滴材料を付与できるとともに、バンク層24の液滴材料をはじく性質によって、液滴材料がバンク層24を越えてオーバーフローすることが防止される。また、液滴材料の乾燥途中に、液滴材料がバンク層に引っ張られて生じる膜厚むらが抑制される。
表面処理の方法としては、工程をライン化するのに適している点で、インライン型プラズマ照射方式による表面処理方法を用いることが好ましい。
(3)液滴材料着弾精度試験
次に、画素領域100において色要素32を形成する前に、着弾精度試験用領域200において、色要素32の形成の際に用いる液滴材料を着弾精度試験用層26上に着弾させて、当該液滴材料の着弾精度を測定する。
なお、本実施の形態では、液滴材料を付与する方法として、液滴材料吐出ヘッドによる液滴材料吐出法を適用する。画素領域100において、たとえば50μm角の微細な色要素形成領域330に精度よく液滴を着弾させるためには、吐出する液滴を微細化し、しかも吐出する液滴の数を制御できる液滴材料吐出法が最適である。
液滴材料吐出法により液滴材料を付与する場合、想定された位置に液滴材料が着弾されない原因として、液滴材料吐出ヘッドが曲がって設置されていること、液滴材料を吐出する際に用いるノズル自体が曲がっていること、液滴材料がノズルから曲がって吐出すること、基板と液滴材料吐出ヘッドとの相対位置がずれていること等が考えられる。以下に示す方法にて液滴材料の着弾精度を評価し、これらの原因を究明することにより、液滴材料の着弾精度を向上させることができる。
まず、図4(A)に示すように、着弾精度試験用領域200において、着弾精度試験用層26上に液滴材料を付与して、凸状の液滴材料層320を形成する。凸状層320は、着弾精度試験用層26のうち第2の遮光層122上に形成されていない部分に着弾させる。すなわち、凸状層320を、着弾精度試験用層26上であって、第2の遮光層122の縁部122aに囲まれた領域内に着弾させる(図5参照)。液滴材料の着弾精度は、図5に示すように、凸状層320と、第2の遮光層122の縁部122aとの相対位置および/または着弾された凸状層320同士の相対位置等で評価する。凸状層320同士の相対位置で評価する場合は、図5に示すように、着弾精度試験用層26上に凸状層320を複数形成し、凸状層320間の相対位置により着弾精度を評価する。
本実施の形態では、画素領域100および着弾精度試験用領域200それぞれにおいて、第1および第2の遮光層22,122が同じパターンで形成されている。すなわち、第1および第2の遮光層22,122によって区画される領域が同じパターンを有する。具体的には、図4(A)に示すように、隣接する第1の遮光層22間の幅ha(色要素形成領域330の幅)と、隣接する第2の遮光層122間の幅hbとがほぼ等しくなるように形成されている。したがって、着弾精度試験用領域200において、着弾精度試験用層26上であって、第2の遮光層122の縁部122aに囲まれた領域内に凸状層320を着弾させることにより、画素領域100の色要素形成領域330に液滴材料が着弾される場合を想定して液滴材料の着弾精度を評価することができる。
以上の液滴材料の着弾精度試験の結果、着弾精度が好ましくなかった場合は、必要に応じて、着弾精度を向上させるための調整を行なう。
(4)色要素の形成
つづいて、実際に画素となる色要素32を形成する。まず、図4(B)に示すように、画素領域100において、第1の遮光層22およびバンク層24によって区画される色要素形成領域330に液滴材料を付与して液滴材料層を形成することにより、色要素32(32g,32r,32b)を形成する。本実施の形態では、液滴材料を付与する方法として、前述した液滴材料着弾精度試験で用いた液滴吐出法を適用する。
微細化した液滴を精度よく目標とする位置(基板10の露出面10a)に付与するためには、まず、液滴のサイズをターゲットである色要素形成領域330の露出面10aのサイズに合わせて制御する。液滴のサイズは、たとえば50μm角の色要素形成領域330に対しては、6〜30ピコリットルに制御することが好ましい。さらに、スループットを考慮すれば、液滴のサイズは、より好ましくは12〜20ピコリットルである。また、液滴材料吐出ヘッドより液滴を飛翔させ、ターゲットに正確に到着させるには、液滴が飛翔途中に分裂することなく、しかもまっすぐに飛翔するように条件を制御することが望ましい。
本発明では、付与する液滴材料の層が、付着、乾燥、硬化の後に、膜厚が均一となるように乾燥途上のレベリング性を改善する以下の手段を含むことが望ましい。
ひとつの手段は、付与する液滴材料に高沸点溶剤を加えて液滴材料の乾燥速度を減速させる方法である。高沸点溶剤としては、ブチルカルビトールアセテート、メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネートおよびメトキシ−2−プロピルアセテートから選択される少なくとも1種を用いることができる。このような溶剤は、沸点が150〜300℃の溶剤であれば、顔料の分散性あるいは染料の溶解性などを考慮しつつ幅広く選択可能である。
他の手段は、付与された液滴材料の乾燥速度を制御する方法である。液滴材料は、付与後、低沸点溶剤分から蒸発が進行しレベリングしつつ粘度上昇を起こし、顔料あるいは染料を含む樹脂成分が熱によって架橋し硬化する。乾燥条件は、液滴材料の特性に応じ、自然雰囲気中でのセッティングおよび40〜100℃のプレベークの少なくとも一方と、150〜300℃の最終ベークとを組み合わせることができる。液滴材料は、それぞれ固有の粘度、表面張力、流動特性を持つ。そのため、乾燥後の均一膜厚を得るには、液滴材料固有の特性に応じて、上記乾燥条件の範囲および組み合わせを選択する。乾燥硬化条件が液滴材料の特性とマッチングしない場合には、色要素の膜厚が不均一となりやすく、画素色調のばらつきの原因となる。
本実施の形態では、色要素32は、赤,緑および青の各色毎に順次形成される。これらの色要素32の形成順序は、特に限定されない。たとえば、まず緑色の色要素32gを形成し、その後、赤の色要素32rあるいは青の色要素32bのいずれかを形成し、最後に残りの色の色要素を形成する。
なお、赤、緑および青の各色の色要素は、液滴材料吐出方式のカラーヘッドもしくは複数ヘッドを選択すれば、同時に形成することもできる。
(5)オーバーコート層などの形成
ついで、図4(C)に示すように、色要素32の形成の後、必要に応じて、平滑表面を得るためのオーバーコート層40を形成する。さらに、図4(D)に示すように、オーバーコート層40の表面に、必要に応じて、共通電極50を形成することにより、カラーフィルタ1000が得られる。これらのオーバーコート層40および共通電極50は、カラーフィルタが適用される電気光学装置の構成に応じて設けることができる。
(作用効果)
以下に、本実施の形態のカラーフィルタの主な作用効果を述べる。
(a)本実施の形態のカラーフィルタは、着弾精度試験用領域200において、着弾精度試験用層26上に凸状の液滴材料層320を着弾させて液滴材料の着弾精度の評価を行なった後に、画素領域100において、色要素形成領域330に液滴材料を着弾させて、実際に画素として用いる色要素32が形成される。これにより、色要素32を所定領域に精度良く付与できる。
特に、本実施の形態のカラーフィルタにおいては、着弾精度試験用領域200に、第2の遮光層122によって区画される領域(評価領域)が設けられている。この構成によれば、液滴材料層320を着弾させた際に(図4(A)参照)、液滴材料層320の着弾精度を確実に測定することができる。この結果、色要素32を精度よく形成できるため、遮光領域20において十分な遮光性を有し、かつ透過領域30において混色がない。このため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高い。
(b)第1の遮光層22とバンク層24とを設けることにより、遮光機能と色要素の区画機能をそれぞれ独立して設定できるので、両者の機能を確実に発揮させることができる。その結果、本実施の形態のカラーフィルタは、不十分な遮光性や混色に起因する画素欠陥が生じにくい。さらに、このように機能を分割することにより、第1の遮光層22およびバンク層24を構成するための最適な材料を広い範囲から選択でき、生産コストの点でも有利である。特に、第1の遮光層22が金属層から構成される場合には、小さい膜厚で均一かつ十分な遮光性を得ることができる。
また、本実施の形態のカラーフィルタの製造方法によれば、主に以下の作用効果を有する。
(a)本実施の形態のカラーフィルタの製造方法によれば、着弾精度試験用領域200において、着弾精度試験用層26上に凸状の液滴材料層(凸状層)320を着弾させて液滴材料着弾精度の評価を行なった後に、画素領域100において、色要素形成領域330に液滴材料を着弾させて、実際に画素として用いる色要素32を形成する。すなわち、簡便な方法にて液滴材料着弾精度を評価することができ、かつ、この評価結果に基づいて、必要に応じて装置の調整等を行なうことにより液滴材料着弾精度を向上させたうえで、画素領域100において色要素32を形成するため、色要素32を所望の領域に精度良く付与することができる。これにより、遮光領域20において十分な遮光性を有し、かつ透過領域30において混色がないため、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いカラーフィルタを作成することができる。
(b)また、色要素32を液滴材料吐出法によって形成することにより、フォトリソグラフィーを用いたパターニングの工程を減らすことができ、工程を簡易化することができる。したがって、本実施の形態のカラーフィルタを少ない工程で形成することができる。さらに、液滴材料吐出法で液滴材料を付着させて色要素32を形成するので、必要な色要素形成領域だけに液滴材料を与えることができる。そのため、フォトリソグラフィーによるパターニングのように、不要部分を除去することによる色材のロスがなく、カラーフィルタのコストを低減することができる。
[第2の実施の形態]
(カラーフィルタ)
図6は、本発明の第2の実施の形態にかかるカラーフィルタを模式的に示す部分平面図であり、図7は、図6のA−A線に沿った部分を模式的に示す部分断面図である。
本実施の形態に係るカラーフィルタ1001は、着弾精度試験用領域200において、基板10上にバーニア層28が形成されている点を除いて、図1〜図5に示すカラーフィルタ1000と近似した構造を有する。カラーフィルタ1001において、第1の実施の形態にかかるカラーフィルタ1000と実質的に同じ機能を有する部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
バーニア層28は、図6および図7に示すように、着弾精度試験用領域200において、第2の遮光層122で区画される領域(評価領域)内に形成されている。図6においては、バーニア層28の平面形状が十字形である場合を示したが、バーニア層28の平面形状はこれに限定されるわけではなく、丸形、三角形、四角形等種々の態様をとることができる。バーニア層28の上には着弾精度試験用層26が形成されている。
バーニア層28は、バーニア層28の上に着弾精度試験用層26ならびに凸状層320を形成した場合に、凸状層320の設置面側から識別できるものであれば、その材質等は特に限定されず、金属,樹脂などを用いることができる。バーニア層28を第1および第2の遮光層22,122と同一工程で形成する場合は、第1および第2の遮光層22,122と同じ材料から形成される。
(カラーフィルタの製造方法)
次に、図8〜図10を参照しながら、本実施の形態のカラーフィルタ1001の製造方法について説明する。図8および図9は、各工程において図6のB−B線に対応する部分の層構造を模式的に示す断面図である。図10は、図8および図9に示す工程により得られたカラーフィルタを模式的に示す部分平面図であり、図6のA−A線の近傍を拡大した図である。なお、各製造工程において、第1の実施の形態にかかるカラーフィルタ1000の製造工程と実質的に同じ部分については、詳細な説明を省略する。
(1)遮光層およびバーニア層の形成
本実施の形態においては、第1および第2の遮光層22,122およびバーニア層28が同じ工程で形成される。まず、図8(A)に示すように、画素領域100および着弾精度試験用領域200において、透明な基板10上に、金属層220を堆積させた後、金属層220の表面に所定のパターンを有するレジスト層R2をフォトリソグラフィーによって形成する。その後、このレジスト層R2をマスクとしてエッチングを行い、金属層220のパターニングを行い、図8(B)に示すように、画素領域100において基板10上に所定のマトリクスパターンを有する第1の遮光層22を形成するとともに、着弾精度試験用領域200において、第2の遮光層122ならびにバーニア層28を形成する。この工程において、バーニア層28は、第2の遮光層122で区画される領域(評価領域)内に形成される。
(2)バンク層の形成
以下に示す工程は、第1の実施の形態のカラーフィルタの製造工程と同様である。すなわち、図8(C)に示すように、画素領域100および着弾精度試験用領域200において、第1および第2の遮光層22,122が形成された基板10の上に樹脂層240を形成した後、フォトマスクM1を用いて露光を行い、さらに現像を行うことにより、樹脂層240をパターニングして、図8(D)に示すように、画素領域100にバンク層24が形成されて、遮光領域20が形成されるとともに、着弾精度試験用領域200に着弾精度試験用層26が形成される。さらに、この工程で、遮光領域20によって区画された色要素形成領域330が所定のマトリクスパターンで形成される。ついで、必要に応じて、後に行なう色要素の形成工程の前に、基板表面の表面処理を行う。
(3)液滴材料着弾精度試験
次に、画素領域100において色要素32を形成する前に、着弾精度試験用領域200において、色要素32の形成の際に用いる液滴材料を着弾精度試験用層26上に着弾させて、液滴材料の着弾精度を測定する。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、液滴材料吐出法を適用して色要素32を形成する。すなわち、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様の方法にて、着弾精度試験用領域200にて液滴材料着弾精度を測定する。
まず、図9(A)に示すように、着弾精度試験用領域200において、着弾精度試験用層26上に液滴材料を付与して、凸状の液滴材料層320を形成する。液滴材料の着弾精度は、前述したように、凸状層320と、第2の遮光層122の縁部122a(図10参照)との相対位置、ならびに着弾された凸状層320同士の相対位置等で評価する。さらに、本実施の形態のカラーフィルタ1001においては、基板10上にバーニア層28が形成されているため、図5に示すように、凸状層320とバーニア層28との相対位置によって、液滴材料の着弾位置のずれを明確に識別することができる。
以上の液滴材料着弾精度試験の結果、着弾精度が好ましくなかった場合は、必要に応じて、着弾精度を向上させるための調整を行なった後、図9(B)〜図9(D)に示すように、第1の実施の形態のカラーフィルタの製造工程と同様の工程を行ない、カラーフィルタ1001を製造する。
本実施の形態にかかるカラーフィルタ1001は、前述の第1の実施の形態のカラーフィルタ1000の作用効果に加えて、基板10上にバーニア層28が形成されているため、凸状層320とバーニア層28との相対位置から液滴材料の着弾位置のずれをより明確に識別することができる。
[第3の実施の形態]
(カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板)
図11は、本発明の第3の実施の形態にかかるカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板を模式的に示す部分平面図であり、図12は、図11のA−A線に沿った部分を模式的に示す部分断面図である。
本実施の形態に係るカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板1002は、前述した第2の実施の形態のカラーフィルタ1001を構成する着弾精度試験用領域200と近似した構造を有する。すなわち、液滴材料着弾精度試験基板1002には、図6に示す画素領域100が設けられておらず、図6でいう着弾精度試験用領域200が全面にわたり形成されている。カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板1002において、第2の実施の形態にかかるカラーフィルタ1001と実質的に同じ機能を有する部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板1002は、着弾精度試験用領域200を含む。この着弾精度試験用領域200は、遮光層122と、遮光層122を覆うように形成された着弾試験用層26とを含む。この液滴材料着弾精度試験基板1002は、液滴材料の着弾精度試験を行なうために作成されたものである。着弾精度試験基板1002に設けられた着弾精度試験用領域200には、第1の実施の形態に係るカラーフィルタ1000の着弾精度試験用領域200(図2参照)と同様に、遮光層122によって区画される領域(評価領域)が設けられている。カラーフィルタの製造工程において、カラーフィルタを実際に製造する前に、液滴材料着弾精度試験基板1002を用いて色要素形成時の液滴材料の着弾精度試験を実施する。
液滴材料着弾精度試験基板1002は、画素領域が形成されていない点を除いて、実際に製造するカラーフィルタと同様の構造を有する。すなわち、液滴材料着弾精度試験基板1002は、実際に製造するカラーフィルタと同じ基板を用いて作成され、かつ、実際に製造するカラーフィルタに形成される遮光層と同じパターンの遮光層122を有する。また、基板10上の遮光層122に囲まれた領域内にバーニア層28が形成され、さらに、基板10上に着弾精度試験用層26が形成されている。
(カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法)
カラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板1002は、第2の実施の形態のカラーフィルタ1001において着弾精度試験用領域200を形成する工程と同様の工程にて製造することができる。また、本実施の形態において、液滴材料の着弾精度試験は、第2の実施の形態における図9に示す工程と同様の工程にて行なうことができる。この場合、前述したように、液滴材料着弾精度試験基板1002に対する液滴材料の着弾精度試験は、実際に製造するカラーフィルタの製造前に行なわれる。
図13は、液滴材料着弾精度試験後の液滴材料着弾精度試験基板1002を模式的に示す部分平面図であり、図11のA−A線の近傍を拡大した図である。
液滴材料着弾精度試験基板1002は、実際に製造するカラーフィルタと同様の構造を有するため、実際に製造するカラーフィルタに対して試験を行なうのと同様に着弾精度試験を行なうことができる。さらに、本実施の形態によれば、カラーフィルタを製造する前に、試験専用基板である液滴材料着弾精度試験基板1002に対して液滴材料着弾精度試験を行なう。この液滴材料着弾精度試験基板1002は、実際に製造するカラーフィルタと同様のパターンの第2の遮光層122が形成されているため、この液滴材料着弾精度試験基板1002に対して予め試験を行ない、液滴材料の着弾精度を十分に確認し、着弾精度を高めてから、実際に製造するカラーフィルタの色要素の形成を行なうことができる。これにより、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高いカラーフィルタを製造することができる。
[第4の実施の形態]
(電気光学装置)
図14に、第1の実施の形態のカラーフィルタ1000を組み込んだ電気光学装置の一例として、カラー液晶表示装置の断面図を示す。なお、図14においては、カラーフィルタ1000のうち、画素領域100部分のみを示す。
カラー液晶表示装置1100は、一般的に、カラーフィルタ1000と対向基板80とを組み合わせ、両者の間に液晶組成物70を封入することにより構成される。液晶表示装置1000の一方の基板80の内側の面には、TFT(薄膜トランジスタ)素子(図示せず)と画素電極52とがマトリクス状に形成される。また、もう一方の基板として、画素電極52に対向する位置に赤,緑,青の色要素32が配列するようにカラーフィルタ1000が設置される。基板80とカラーフィルタ1000の対向するそれぞれの面には、配向膜60,62が形成されている。これらの配向膜60,62はラビング処理されており、液晶分子を一定方向に配列させることができる。また、基板10およびカラーフィルタ1000の外側の面には、偏光板90,92がそれぞれ接着されている。また、バックライトとしては蛍光灯(図示せず)と散乱板の組み合わせが一般的に用いられており、液晶組成物をバックライト光の透過率を変化させる光シャッターとして機能させることにより表示を行う。
なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態のカラーフィルタ1000を液晶表示装置に組み込んだ例を示したが、カラーフィルタ1000のかわりに、第2の実施の形態にかかるカラーフィルタ1001を組み込んで液晶表示装置を作成することもできる。
[第5の実施の形態]
(発光用基板および電気光学装置)
図15は、発光用基板1003と、発光用基板1003を組み込んだ電気光学装置の一例として、カラーEL表示装置1200の断面図を示す。また、図16は、図15に示す発光用基板1003を模式的に示す平面図である。本実施の形態においては、発光用基板1003がカラー発光用基板である場合について説明する。なお、第1の実施の形態にかかるカラーフィルタ1000と同様の構造を有し、同様の作用および効果を有する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
カラーEL表示装置1200は、図15に示すように、基体112と、基体112上に設置された発光用基板1003とを含む。
まず、発光用基板1003の概要について説明する。図15および図16に示すように、発光用基板1003は画素領域110および周辺領域を含む。ここで、周辺領域とは、画素領域110に隣り合って配置された領域をいう。この周辺領域は着弾精度試験用領域210を含む。すなわち、着弾精度試験用領域210は画素領域110以外に位置する。この着弾精度試験用領域210は、前記周辺領域に含まれ、且つ発光領域230の形状に対応した形状を有する評価領域を含む。まず、画素領域110について説明する。
(1)画素領域
画素領域110は、図15および図16に示すように、バンク領域(区画領域)220と、発光領域230とを含む。このバンク領域220および発光領域230は基体111上に形成されている。また、発光領域230は、バンク領域220によって区画されている。具体的には、図16に示すように、この画素領域110において、発光領域230はバンク領域220によって区画されている。
また、画素領域110はさらに、基体111上に形成されたスイッチング素子202を含む。
基板111は、支持体であると同時に光を取り出す面として機能する。したがって、基板111は、光の透過特性や熱的安定性を考慮して選択される。基板111に用いる透明基板材料としては、たとえばガラス基板、透明プラスチック等が挙げられる。
スイッチング素子202としては、例えばTFT素子が挙げられる。隣接するスイッチング素子202は、絶縁層221によって分離されている。
発光領域230は、機能層と、第1および第2電極層227,229からなる一対の電極層とを含む。前記機能層は、発光層と、必要に応じて正孔輸送/注入層とを含む。本実施の形態の発光用基板1003においては、前記機能層は、発光層42(42g,42r,42b)と、正孔輸送/注入層204とを含む。
発光層42は、基板111上に所定のマトリクスパターンで配列され、かつバンク領域220によって区画されている。また、発光層42は、図15に示すように、第1電極層227と第2電極層229との間に形成されている。本実施の形態においては、発光層42は、光の三原色を構成する赤,緑および青の各色を有する複数の発光層42r,42g,42bからなる。これらの発光層42は、所定の配列、たとえばストライプ配列,デルタ配列またはモザイク配列などの配列パターンによって配置され、連続した3色の色要素によって1画素が構成される。また、本実施の形態においては、発光層42は、エレクトロルミネッセンスによって発光可能な材料から形成される。
本実施の形態の発光用基板1003においては、図15に示すように、第1電極層227と発光層42との間に正孔輸送/注入層204を形成することができる。ここで、正孔輸送/注入層とは、陽極から発光層へと正孔を輸送しまたは有効に正孔を注入させ得る層である。
バンク領域220は主に、発光層42を区画するために形成されている。このバンク領域220としては、バンク絶縁層(第1の絶縁層)222および樹脂層224からなる積層体を用いることができる。バンク絶縁層222は、例えば酸化シリコン層からなる。樹脂層224は、例えばポリイミドからなる。このバンク絶縁層222は、絶縁層221上に積層されており、樹脂層224はバンク絶縁層222上に形成されている。また、バンク絶縁層222は、バンク領域220の構成要素として発光領域230を区画するとともに、隣接する第1電極層227同士を分離する機能を有する。
第1および第2電極層227,229は、発光層42に電荷を付与するために設けられる。本実施の形態においては、第1電極層227が陽極であって、第2電極層229が陰極である場合を示す。第1電極層227は、仕事関数の大きい(例えば4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を用いることができる。例えば、ITO,CuI,SnO2,ZnO等の透明な導電材料で第1電極層227が構成される。また、第2電極層229としては、電子注入性金属、合金電気伝導性化合物およびこれらの混合物を用いることができる。
(2)着弾精度試験用領域
着弾精度試験用領域210は前記周辺領域に含まれる。この着弾精度試験用領域210は、前記周辺領域に含まれ、且つ発光領域230の形状に対応した形状を有する領域を含む。前記発光領域230の形状に対応した形状を有する領域は配列されている。具体的には、着弾精度試験用領域210には、図15に示すように、着弾精度試験用層226が形成されている。また、着弾精度試験用領域210には、画素領域110と同様に、基板111上に形成されたスイッチング素子202、隣接するスイッチング素子202を分離するバンク絶縁層(第2の絶縁層)222、主にバンク絶縁層222上に形成され、かつスイッチング素子202と接続される第1電極層227、および隣接する第1電極層227を分離するバンク絶縁層222とが形成されている。
着弾精度試験用層226は、発光領域230の形状に対応した形状を有する領域を覆うように前記周辺領域に設けられ、かつ液滴材料をはじく性質を有する。この着弾精度試験用層226は、画素領域110を構成するバンク領域220の樹脂層224と同じ材料から形成することができる。例えば、この樹脂層224がポリイミド樹脂から形成されている場合、着弾精度試験用層226も同様に、ポリイミド樹脂から形成することができる。
また、着弾精度試験用領域210を構成するバンク絶縁層(第2の絶縁層)222は、画素領域110においてバンク領域220を構成するバンク絶縁層(第1の絶縁層)222と同じ工程にて形成できる。すなわち、着弾精度試験用領域210を構成する第1バンク絶縁層222は、画素領域110において、バンク領域220を構成する第2バンク絶縁層222と、基体112からの高さを同じに形成され、かつ、同じパターンを有することができる。
さらに、着弾精度試験用領域210に形成されるスイッチング素子202は、画素領域110に形成されるスイッチング素子202と同じ工程にて形成でき、かつ同じ構造を有することができる。
また、本実施の形態の発光用基板1003では、着弾精度試験用領域210において、図15に示すように、基板111上にバーニア層228が形成されている。このバーニア層228は、前述した第2の実施の形態においてカラーフィルタを構成するバーニア層と同様の作用および効果を有する。なお、本実施の形態の発光用基板1003においては、このバーニア層228は、スイッチング素子202を構成する金属配線層(図示せず)と、基体112からの高さを同じに形成されている。この場合、バーニア層228は、この金属配線層と同じ材料から形成することができる。例えば、この金属配線層がクロムやアルミニウムからなる場合、バーニア層228も、クロムやアルミニウムから形成することができる。
(デバイスの動作)
次に、図15に示す発光用基板1003が形成されたカラーEL表示装置1200の動作および作用について説明する。
第1電極層(陽極)227と第2電極層(陰極)229とに所定の電圧が印加されることにより、陰極229から電子が、陽極227からホールが、それぞれ発光層42内に注入される。発光層42内では、この電子とホールとが再結合されることにより励起子が生成され、この励起子が失活する際に蛍光や燐光などの光が発生する。
(発光用基板の製造方法)
次に、図17および図18を参照しながら、本実施の形態の発光用基板1003の製造方法について説明する。図17(A)〜(C)ならびに図18(A)〜(C)はいずれも、図16に示す発光用基板1003の製造工程を模式的に示す部分断面図であり、図16のC−C面に沿って切断した断面を示す図である。
(1)遮光層の形成
まず、図17(A)に示すように、画素領域110および着弾精度試験用領域210において、基板111上にスイッチング素子202、隣り合うスイッチング素子202を分離する絶縁層221、第1電極層227、および所定のパターンを有するバンク絶縁層(第1および第2の絶縁層)222を順に公知の方法にて形成する。ここで、図17(A)に示すように、第1電極層227の形成前に、絶縁層221の所定の領域(スイッチング素子202上に位置する領域)に開口部を形成した後、この絶縁層221上に第1電極層227を形成することにより、スイッチング素子202と第1電極層227とを電気的に接続する。また、後述する工程において、図16に示すように、バンク絶縁層222が形成されていない部分に発光領域230が形成される。
つづいて、感光性樹脂層(図示せず)を全面に形成した後、フォトリソグラフィーによってパターニングすることにより、画素領域110において、バンク絶縁層222上に樹脂層224を形成することにより、バンク領域220を形成するとともに、着弾精度試験用領域210において、バンク絶縁層222および第1電極層227上に着弾精度試験用層226を形成する。また、バンク領域220が形成されることにより、後述する工程において発光領域230が形成される領域に、開口部が形成される。すなわち、この開口部は機能層形成領域430となる。すなわち、この機能層形成領域430は、バンク領域220によって区画される領域であって、後述する工程において、機能層(発光層42および正孔輸送/注入層204)が形成される領域である。
(2)正孔輸送/注入層の形成
つづいて、図17(B)および図17(C)に示すように、液滴材料吐出方式で用いられる、液滴材料吐出ヘッド500による液滴材料吐出法を適用して、機能層形成領域430に正孔輸送/注入層204を形成する。正孔輸送/注入層204を形成するための材料502としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォネートとの混合物を用いることができる。なお、本実施の形態では、各カラードットとも同じ材質の正孔輸送/注入層を形成したが、場合によっては、各発光層毎に発光層に適した正孔輸送/注入材料を用いて正孔輸送/注入層を形成してもよい。
(3)液滴材料着弾精度試験
次に、画素領域110において発光層42を形成する前に、着弾精度試験用領域210において、これらの発光層42の形成の際に用いる液滴材料を着弾精度試験用層226上に着弾させて、当該液滴材料の着弾精度を測定する。
本実施の形態では、前述した正孔輸送/注入層204の形成の際に用いた方法と同様に、液滴材料吐出法を適用して発光層42を形成する。
液滴材料吐出法により液滴材料を付与する場合、前述したように、想定された位置に液滴材料が着弾されない原因として、液滴材料吐出ヘッドが曲がって設置されていること、液滴材料を吐出する際に用いるノズル自体が曲がっていること、液滴材料がノズルから曲がって吐出すること、基板と液滴材料吐出ヘッドとの相対位置がずれていること等が考えられる。以下に示す方法にて液滴材料の着弾精度を評価し、これらの原因を究明することにより、液滴材料の着弾精度を向上させることができる。
まず、図18(A)に示すように、着弾精度試験用領域210において、着弾精度試験用層226上に液滴材料を付与して、凸状の液滴材料層420を形成する。ここで、凸状層420は、着弾精度試験用層226のうちバンク領域222上に位置する領域、すなわちバンク領域222の縁部222aより内側に位置する領域内に凸状層420を着弾させる(図16参照)。液滴材料の着弾精度は、図16に示すように、凸状層420と、バンク領域222の縁部222aとの相対位置および/または着弾された凸状層420同士の相対位置等で評価する。凸状層420同士の相対位置で評価する場合は、図16に示すように、着弾精度試験用層226上に凸状層420を複数形成し、凸状層420間の相対位置により着弾精度を評価する。
本実施の形態では、画素領域110および着弾精度試験用領域210それぞれにおいて、バンク絶縁層222が同じパターンで形成されている。したがって、着弾精度試験用領域210において、着弾精度試験用層226上であって、バンク領域222の縁部222aに囲まれた領域内に凸状層420を着弾させることにより、画素領域110の機能層形成領域430に液滴材料が着弾される場合を想定して液滴材料の着弾精度を評価することができる。
以上の液滴材料着弾精度試験の結果、着弾精度が好ましくなかった場合は、必要に応じて、着弾精度を向上させるための調整を行なう。
(4)発光層の形成
つづいて、実際に画素となる発光層42(42g,42r,42b)を形成する。まず、図18(B)に示すように、液滴材料吐出法により、赤色発光層用液滴材料、緑色発光層用液滴材料、および青色発光層用液滴材料を、正孔輸送/注入層204上にそれぞれ塗布する。その後、溶媒を除去し、続けて窒素雰囲気中で熱処理を行ない、液滴材料組成物を硬化または共役化させて、図18(C)に示すように、赤、緑、青の3原色の赤色発光層42r,緑色発光層42g,および青色発光層42bを形成する。熱処理により共役化した発光層は溶媒に不溶である。以上の工程により、図15に示す発光領域230が形成される。
かかる液滴材料吐出法によれば、微細なパターニングを簡便かつ短時間で行なうことができる。また、液滴材料の固形分濃度および吐出量を変えることにより、膜厚を変えることが可能である。
また、発光層42を形成する前に、正孔輸送/注入層204に対して酸素ガスとフルオロカーボンプラズマを用いて連続プラズマ処理を行なってもよい。これにより、正孔輸送/注入層204上にフッ素化物層が形成され、イオン化ポテンシャルが高くなることにより、正孔注入効率に優れた有機EL基板を提供できる。
なお、発光材料の種類に応じて、有機発光層のうちの1色または2色を液滴材料吐出法により形成し、他の2色または1色を従来の塗布方法で形成することもできる。この方法によれば、液滴材料吐出法にあまり適さない発光材料であっても、液滴材料吐出法に用いられる他の有機発光材料と組み合わせることによりフルカラーの有機EL基板を形成することができるため、素子設計の自由度が増す。なお、液滴材料吐出法以外の塗布方法としては、印刷法、転写法、ディッピング法、スピンコート法、キャスト法、キャピラリ法、ロールコート法、バーコード法などが挙げられる。
(5)第2電極層の形成
ついで、図15に示すように、陰極として第2電極層229を形成する。第2電極層229としては金属薄膜を用いることができる。第2電極層229を構成する金属としては、たとえばマグネシウム、銀、アルミニウム、リチウムなどが挙げられる。また、これらの他に仕事関数が小さい材料を用いることができ、たとえばアルカリ金属や、カリウムなどのアルカリ土類金属およびこれらを含む合金を用いることができる。また、金属のフッ素化物も適用できる。このような第2電極層229は、蒸着法およびスパッタ法などにより形成することができる。
さらに、第2電極層229の上に保護膜を形成してもよい。保護膜を形成することにより、第2電極層229および各発光層42の劣化、損傷、および剥離などを防止することができる。
このような保護膜の構成材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、液状ガラスなどが挙げられる。また、保護膜の形成方法としては、たとえばスピンコート法、キャスト法、ディッピング法、バーコード法、ロールコート法、キャピラリ法などが挙げられる。
第2電極層229は、発光体が適用される電気光学装置の構成に応じて設けることができる。その後、発光用基板1003を所定位置で切断することにより、複数の発光体が形成される。
上述した製造方法においては、各層の材質として公知の物質を用いることができる。また、正孔輸送/注入層、発光層などの材料としては、本願出願人による特願平11−134320号、特願平11−250486号に記載されたものを用いることができる。
また、上述した製造方法においては、カラードットを構成する正孔輸送/注入層および発光層を液滴材料吐出法で形成した例について述べたが、発光層のみであってもよい。あるいは、さらに電子輸送/注入層を設けてもよい。
また、第3の実施の形態のカラーフィルタ用液滴材料着弾精度試験基板と同様に、本実施の形態にかかる発光用基板1003のうち画素領域110が形成されない液滴材料着弾精度試験基板を形成することもできる(後述する第7実施形態参照)。この発光用基板の液滴材料着弾精度試験基板によれば、実際に製造する発光用基板と同様のパターンの第1電極層227およびバンク絶縁層222を含む液滴材料着弾精度試験基板に対して液滴材料着弾精度試験を行なうことにより、液滴材料の着弾精度を十分に確認し、着弾精度を高めてから、実際に製造する発光用基板の発光層の形成を行なうことができる。これにより、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高い発光用基板を製造することができる。
[第6の実施の形態]
(電子機器)
以下に、本発明に係る電気光学装置として液晶表示装置を用いた電子機器の例を示す。
(1)ディジタルスチルカメラ
本発明の第4の実施の形態に係る液晶表示装置1100をファインダに用いたディジタルスチルカメラについて説明する。図19は、このディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図であり、さらに外部機器との接続についても簡易的に示すものである。
通常のカメラは、被写体の光像によってフィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ2000は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号を生成するものである。ここで、ディジタルスチルカメラ2000におけるケース2202の背面(図19においては前面側)には、上述した液晶表示装置1100の液晶パネルが設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて、表示を行う構成となっている。このため、液晶表示装置1100は、被写体を表示するファインダとして機能する。また、ケース2202の前面側(図19においては裏面側)には、光学レンズやCCDなどを含んだ受光ユニット2204が設けられている。
ここで、撮影者が液晶表示装置1100に表示された被写体像を確認して、シャッタボタン2206を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板2208のメモリに転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ2000にあっては、ケース2202の側面に、ビデオ信号出力端子2212と、データ通信用の入出力端子2214とが設けられている。そして、図19に示されるように必要に応じて、前者のビデオ信号出力端子2212にはテレビモニタ2300が接続され、また、後者のデータ通信用の入出力端子2214にはパーソナルコンピュータ2400が接続される。さらに、所定の操作によって、回路基板2208のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ2300や、パーソナルコンピュータ2400に出力される構成となっている。
(2)携帯電話、その他の電子機器
図20(A)、(B)、および(C)は、本発明に係る電気光学装置として液晶表示装置を用いた、他の電子機器の例を示す外観図である。図20(A)は、携帯電話機3000であり、その前面上方に液晶表示装置1100を備えている。図20(B)は、腕時計4000であり、本体の前面中央に液晶表示装置1100を用いた表示部が設けられている。図20(C)は、携帯情報機器5000であり、液晶表示装置1100からなる表示部と入力部5100とを備えている。
これらの電子機器は、液晶表示装置1100の他に、図示しないが、表示情報出力源、表示情報処理回路、クロック発生回路などの様々な回路や、それらの回路に電力を供給する電源回路などからなる表示信号生成部を含んで構成される。表示部には、例えば携帯情報機器5000の場合にあっては入力部5100から入力された情報等に基づき表示信号生成部によって生成された表示信号が供給されることによって表示画像が形成される。
本発明に係る液晶表示装置1100が組み込まれる電子機器としては、ディジタルスチルカメラ、携帯電話機、腕時計、および携帯情報機器に限らず、電子手帳、ページャ、POS端末、ICカード、ミニディスクプレーヤ、液晶プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータ(PC)およびエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ノート型パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、タッチパネルを備えた装置、時計など様々な電子機器が考えられる。
なお、液晶表示パネルは、駆動方式で言えば、パネル自体にスイッチング素子を用いない単純マトリクス液晶表示パネルやスタティック駆動液晶表示パネル、またTFT(薄膜トランジスタ)で代表される三端子スイッチング素子あるいはTFD(薄膜ダイオード)で代表される二端子スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス液晶表示パネル、電気光学特性で言えば、TN型、STN型、ゲストホスト型、相転移型、強誘電型など、種々のタイプの液晶パネルを用いることができる。
本発明に係る装置は、そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、本発明はその要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば上述した実施の形態では、電気光学装置の映像表示手段(電気光学表示部)として、本発明の第4の実施の形態にかかる液晶表示装置1100を使用した場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、例えば本発明の第5の実施形態にかかるEL表示装置1200を用いることもできる。また、本発明の電気光学装置を、薄型のブラウン管、あるいは液晶シャッター等を用いた小型テレビ、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ、FED(Field Emission Display)パネル、電気泳動ディスプレイ装置等の種々の電気光学手段に適用することができる。
[第7の実施の形態]
(発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板)
図21は、本発明の第7の実施の形態にかかる発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板1004を模式的に示す部分平面図である。
本実施の形態に係る発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板1004は、前述した第5の実施の形態の発光用基板1003を構成する着弾精度試験用領域210(図15参照)と近似した構造を有する。すなわち、図21に示す液滴材料着弾精度試験基板1004には、図15に示す画素領域100が設けられておらず、図15でいう着弾精度試験用領域210が全面にわたり形成されている。発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板1004において、第5の実施の形態にかかる発光用基板1003と実質的に同じ機能を有する部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板1004は、基板111上に形成されたスイッチング素子202、電極227、バンク絶縁層222、および着弾精度試験用層226を含む。電極227はスイッチング素子202に接続されており、着弾試験用層226は電極227上に形成されている。バンク絶縁層226は、所定のパターンを有し、かつ、隣り合う電極227を分離する機能を有する。
この液滴材料着弾精度試験基板1004は、液滴材料の着弾精度試験を行なうために作成されたものである。すなわち、発光用基板の製造工程において、発光用基板を実際に製造する前に、この液滴材料着弾精度試験基板1004を用いて機能層形成時の液滴材料の着弾精度試験を実施する。
液滴材料着弾精度試験基板1004は、画素領域が形成されていない点を除いて、実際に製造する発光用基板と同様の構造を有する。すなわち、液滴材料着弾精度試験基板1004は、実際に製造する発光用基板と同じ基板を用いて作成される。バンク絶縁層226および電極227は、実際に製造する発光用基板に形成される図15に示す発光用基板1003のバンク絶縁層226および電極227と同じパターンを有する。また、基板111上には、金属層からなるバーニア層228が形成されている。このバーニア層228は、図15に示す発光用基板1003と同様に、スイッチング素子202を構成する金属配線層(図示せず)と、基体112からの高さを同じに形成できる。
(発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板の製造方法)
発光用基板用液滴材料着弾精度試験基板1004は、第5の実施の形態の発光用基板1003において着弾精度試験用領域210を形成する工程と同様の工程にて製造することができる。また、本実施の形態において、液滴材料の着弾精度試験は、第5の実施の形態における図18(A)に示す工程と同様の工程にて行なうことができる。この場合、前述したように、液滴材料着弾精度試験基板1004に対する液滴材料の着弾精度試験は、実際に製造する発光用基板の製造前に行なわれる。
この液滴材料着弾精度試験基板1004は、実際に製造する発光用基板と同様の構造を有するため、実際に製造する発光用基板に対して試験を行なうのと同様に着弾精度試験を行なうことができる。さらに、本実施の形態によれば、発光用基板を製造する前に、試験専用基板である液滴材料着弾精度試験基板1004に対して液滴材料着弾精度試験を行なう。試験の結果、図15に示す発光用基板1003と同様に、着弾精度試験用層226には凸状層(図21には図示せず)が形成される。
この液滴材料着弾精度試験基板1004は、実際に製造する発光用基板と同様のパターンのバンク絶縁層222および電極層227が形成されているため、この液滴材料着弾精度試験基板1004に対して予め試験を行ない、液滴材料の着弾精度を十分に確認し、着弾精度を高めてから、実際に製造する発光用基板の機能層の形成を行なうことができる。これにより、画素欠陥や色調むらがなくコントラストが高い発光用基板を製造することができる。